第8章: 秘密の月曜日――おじさんと私だけが知る、甘く背徳的なスープの味(続き 3/3)
ひまりの声が裏返り、全身が弓なりにしなった。彼女は膣から指を引き抜くと、その濡れた指で陰核を素早く、執拗に擦り上げる。ぐちゅぐちゅぐちゅっ、という必死な水音が浴室に響き渡り、彼女の太ももが小刻みに震え、つま先がピンと伸びた。
「ひうぅ……っ! イ、く、イっちゃう、イっちゃうよぉぉ……んっ! あ、ああ……っ、とろけちゃう……!」
ひまりの身体が大きく跳ね上がり、どぼん、と大量の湯が床へ溢れ出る。彼女の膣口が、まるで何かを必死に貪るように、くぱくぱと収縮を繰り返し、その間からとろりと白濁した愛液が新たに湧き出て、湯の表面にゆっくりと広がっていった。ひまりはしばらくの間、脱力して浴槽の壁にもたれかかり、はあはあと荒い息を繰り返す。その頬は涙に濡れ、口元にはうっとりとした微笑みが浮かんでいた。
翼は深く息を吐き出し、椅子からゆっくりと立ち上がった。浴室の床は溢れた湯でびしょ濡れになっているが、彼の目はただ、浴槽の中で静かに余韻に浸るひまりの姿だけを見つめていた。
「……ありがとう、ひまり。今日も、最高の出汁が取れたよ」
翼がかすれた声でそう言うと、ひまりはゆっくりと顔を上げ、潤んだ瞳で彼を見つめた。湯気に濡れた彼女の黒髪が白い肌に貼りつき、その姿はどこか神聖なもののようにさえ感じられた。
「うん……。あたしも、すごく気持ちよかった。お客さんのこと考えながらすると、いつもより、もっと深いところがきゅんきゅんして……お汁もいっぱい出た気がする」
ひまりは湯の中で身を起こし、浴槽の縁に手をかけた。その白い太ももを、とろりとした愛液の名残がまだ伝っているのを、翼は目の当たりにする。
「おじさん、あたしね、最近思うんだ。これって、もしかしたら、ずっと続くのかなって。お店が流行ってるかぎり、あたしは毎週、こうやってお汁を作って、おじさんはそれでラーメンを作る。それって、なんだか……結婚してるみたいだなって」
その言葉に、翼の心臓がどきりと跳ね上がった。ひまりの顔はあいかわらず無邪気で、しかしその瞳の奥には、かすかに熱を帯びた光が宿っている。
「……ひまり、それは」
「冗談だよ、半分は。でも、あたし、おじさんのこと、大好きだもん。これからもずっと、おじさんの役に立ちたい。お店が続くかぎり、あたし、毎週来るよ。お母さんにだって、ちゃんと内緒のままで」
ひまりは浴槽から立ち上がると、翼の差し出したバスタオルを受け取り、その白い布で身体を包んだ。湯上がりの甘い匂いが、浴室いっぱいに広がる。翼は、その光景を胸の奥に焼き付けながら、静かにうなずいた。
「ああ……そうだな。でも、いつか、この秘密が終わる日が来るかもしれない。それを俺は、ずっと怖がってる」
翼の告白に、ひまりはバスタオルの端で濡れた髪を拭きながら、小さく首を振った。
「大丈夫だよ。だって、これはあたしたちだけの秘密なんだから。おじさんとあたしが黙ってれば、誰にもわからない。それに、たとえ終わる日が来ても、あたしは後悔しないよ。おじさんと一緒に、こんなに特別なことができたんだもん」
ひまりの声には、かすかな哀しみと、それ以上の確かな充足感が宿っていた。翼は、もうこれ以上何も言えず、ただ深くうなずくことしかできなかった。
その日の午後、翼は二人で採取した二番出汁をラーメンに仕立て、カウンターでひまりと向かい合って試食した。スープは琥珀色に輝き、湯気とともに立ちのぼる香りは、あいかわらず背徳的な旨味の予感に満ちている。ひまりはレンゲでスープを一口啜り、目を閉じてじっくりと味わってから、満足そうに微笑んだ。
「……今日のも、すごく美味しい。これ、明日もきっと、お客さんたち、喜んでくれるよ」
「ああ、間違いない。今日のは、いつもよりさらにコクが深い。お前が、ちゃんと気持ちよくなってくれた証拠だな」
翼がそう言うと、ひまりはほんの少しだけ頬を赤らめ、それからいたずらっぽく笑った。
「えへへ、じゃあ、来週はもっと気持ちよくなって、もっとすごいの作るね。おじさんも、楽しみにしてて」
「……ああ、楽しみにしてるよ」
翼はそう答えながら、窓の外に目をやった。春の日差しがアパートの駐車場に降り注ぎ、遠くの桜並木がほんのりと色づき始めている。季節は巡り、店は今日も繁盛し、そして月曜日には必ず、この秘密の儀式が繰り返される。いつか終わりが来るかもしれない。しかし今はただ、この甘く背徳的なスープの味が、彼ら二人だけの永遠のように感じられてならなかった。
コメント