田舎の閉塞感に喘ぐ私が真夏のコミケで大勢のカメラマンに囲まれスカートの中を晒し羞恥と高揚に震えた日

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第1章: 私がコミケにコスプレイヤーとして足を踏み入れたのは、ただただ日常の澱みから逃れたかったからだ。神奈川の田舎町の朝は窓を開けても生ぬるく、蝉の声ばかりが鼓膜に張りつく。鏡の前で、白いポロシャツの襟元を指先で何度も整えたあと、プリーツスカートの裾をそっと撫でおろした。地味なテニスルック。肌の露出も控えめで、袖は肘の少し上まで、スカートも膝が隠れる丈だ。胸元にはワンポイントの小さなワッペン、そして履き慣れないキャンバススニーカーが少しだけ靴擦れの予感を足首に届けてくる。それでもかまわなかった。この閉塞感から抜け出せるのならば、コスチュームの地味さなど瑣末なことだった。

私がコミケにコスプレイヤーとして足を踏み入れたのは、ただただ日常の澱みから逃れたかったからだ。神奈川の田舎町の朝は窓を開けても生ぬるく、蝉の声ばかりが鼓膜に張りつく。鏡の前で、白いポロシャツの襟元を指先で何度も整えたあと、プリーツスカートの裾をそっと撫でおろした。地味なテニスルック。肌の露出も控えめで、袖は肘の少し上まで、スカートも膝が隠れる丈だ。胸元にはワンポイントの小さなワッペン、そして履き慣れないキャンバススニーカーが少しだけ靴擦れの予感を足首に届けてくる。それでもかまわなかった。この閉塞感から抜け出せるのならば、コスチュームの地味さなど瑣末なことだった。

電車を乗り継ぎ、二時間。会場に近づくにつれ、車内には熱と人の密度が膨れ上がっていく。知らない誰かの汗ばんだ腕が肩に触れるたび、胸の奥がじわりと熱を帯びた。何かが始まろうとしている。その予感に、スカートの下の太ももがかすかに粟立つ。

改札を抜けた瞬間、熱気が肌にまとわりついて、呼吸ごと肺の奥まで湿りと侵入してきた。制汗剤の匂い、数百の体温が混ざり合った空気、それらが巨大な生きものの吐息のように渦巻いている。私は立ちすくみ、ただ眼前の光景に圧倒されていた。眩い衣装をまとったコスプレイヤーたちの肌が夏の陽射しを受けて輝き、無数のカメラが彼女たちを囲み舐めるように追いかけている。壁際を歩く私の足は重く、スニーカーの裏がアスファルトに吸いつくように感じられた。こんな地味なテニスルックの私がここに紛れていていいはずがない。場違い感が胸の奥をぎゅうっと締めあげ、うつむき加減で壁に手をついたちょうどそのときだった。

「撮影してもいいですか」

声の響きは低く、鼓膜ではなく鎖骨のあたりに直に振れた。振り向くと、黒いTシャツの男がカメラを胸に提げて立っている。短く刈り込まれた髪、鋭い一重の目。汗で浅黒い肌に張りついた布地が、鎖骨から胸板の起伏をむしろ強調していた。その視線が真っ直ぐに私を射抜き、心臓が跳ねる。まさか、私に声がかかるなんて。思考が真っ白になるより早く、唇が勝手に動いていた。

「はい……」

こんなにか細い声が自分の喉から零れるなんて知らなかった。男が口元だけで笑みを刻み、カメラを構える。すると、どこからともなく六人、七人と男たちが集まり、黒いレンズが四方から私を向く。囲まれている感覚が肌を粟立たせる。ファインダー越しの視線が、襟元から鎖骨のくぼみ、ポロシャツの下の胸のふくらみ、腰のくびれ、そしてプリーツスカートの裾へと這いずりまわった。どこを見られているかぜんぶ感ぜられるのに、体が動かない。

最初の男が膝を折り、カメラを下から上へと向けた。ローアングル。レンズがスカートの布地の奥に潜り込もうとする感覚に、太ももの内側がひくりと震えた。汗が膝の裏を伝い、ふくらはぎへとぬるりと滑り落ちていく感触が、ひどく生々しく肌を這う。私は中に水着を履いている。大丈夫、そう言い聞かせた。それでも会場の風がプリーツの裾をふわりとめくるたび、膝ががくがくと震え、水着越しの太ももがじわりと湿ってゆく。布越しであるはずなのに、まるで素肌を直に晒しているかのような羞恥が、背筋を這いのぼってくる。

シャッター音が途切れなく降り注いだ。カシャッ、カシャカシャ、カシャッ。それぞれが違うリズムで私を切り取っていく。視線の熱が肌に刺さるたび胸の奥がぎゅうと締まり、なのにその苦しさのどこかが、妙に心地よくも感じられてしまう。自分の輪郭がゆっくりと溶けて、別のものに変えられていくような……。

「水着かよ」

誰かの呟きがシャッター音の隙間を縫って鼓膜に落ちた。その声には、あからさまな落胆が滲んでいた。熱気に包まれていた私のまわりの空気が、ひゅっと冷める。黒いTシャツの男がカメラの背面ディスプレイを確認し、小さくため息をついた。表情が露骨に歪んで、口元がへの字に曲がっていく。彼がレンズを下ろしたのを合図に、一人、また一人と男たちが離れてゆく。

半径一・五メートルに縮こまっていた囲いが、急速にほどけ、背中が遠ざかっていくのが見えた。隣のエリアでは、金髪のツインテールを揺らした女の子が、カスタムセーラー服のコスプレでポーズを決めている。健康的に焼けた小さな体に不釣り合いなほど豊かな胸が、動くたびに揺れていた。男たちのレンズが一斉に彼女へと向き、歓声が湧き起こる。さっきまで私を切り取っていた熱が、呆気なく奪われてゆく。胸の奥で、黒い渦が静かに、しかし確かな重みを持って回り始めた。

まだ足元に二人か三人の気配が残っている。でも、彼らもいつ去ってもおかしくはない、そんな微かな距離。指先をぎゅっと握りしめた手のなかで、爪が掌に食い込んでゆく感触がやけに鋭い。さっきまであんなに私だけを凝視していたレンズたちが、今はもう私を映さない。あの派手な子が羨ましいのか、それとも私を見限った男たちが憎いのか、自分でもわからなかった。ただ、胸の黒い渦はどんどん大きくなり、太ももの内側を汗が伝う感覚だけが、置き去りにされた熱を帯びて肌に張りついていた……。

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AIが紡ぐ大人の官能短編『妄想ノベル』案内人です

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