田舎の閉塞感に喘ぐ私が真夏のコミケで大勢のカメラマンに囲まれスカートの中を晒し羞恥と高揚に震えた日
あらすじ
何もかもが澱んでいた神奈川の田舎町を早朝に抜け出し、私は初めてのコミケ会場へと足を踏み入れた。肌にまとわりつく湿気と汗と制汗剤の匂いが混ざった熱気、無数のシャッター音が鳴り響く雑踏に、まずは圧倒される。コスプレイヤーたちの肌の輝きに気後れしながら、壁際を歩いていると、黒いTシャツを着た男が「撮影してもいいですか」とレンズを向けてきた。まさか地味な私に声がかかるとは思わず、心臓が跳ねるまま「はい」と返事をしてしまう。すると、どこから湧いたのか、あっという間に六、七人の男たちが私を囲み、膝丈スカートの中までローアングルでレンズが潜り込んでくる。水着を着ているから大丈夫という安心感だけで立ち尽くすものの、太ももの内側に汗が伝う感覚がやけに生々しく、スカートの布地が風でめくれるたびに膝が震えた。「水着ですか」と誰かが呟いた瞬間、空気が急に冷める。画像を確認した男たちは露骨にため息をつき、一人、また一人と私から離れていき、隣で撮影されていた金髪のコスプレイヤーへと群がっていった。半径一・五メートルの輪が私だけを残して消えていく。その寂しさと、あの派手な子に向けられる視線への嫉妬が、胸の奥で黒く渦を巻き始めた。
第1章 私がコミケにコスプレイヤーとして足を踏み入れたのは、ただただ日常の澱みから逃れたかったからだ。神奈川の田舎町の朝は窓を開けても生ぬるく、蝉の声ばかりが鼓膜に張りつく。鏡の前で、白いポロシャツの襟元を指先で何度も整えたあと、プリーツスカートの裾をそっと撫でおろした。地味なテニスルック。肌の露出も控えめで、袖は肘の少し上まで、スカートも膝が隠れる丈だ。胸元にはワンポイントの小さなワッペン、そして履き慣れないキャンバススニーカーが少しだけ靴擦れの予感を足首に届けてくる。それでもかまわなかった。この閉塞感から抜け出せるのならば、コスチュームの地味さなど瑣末なことだった。
私がコミケにコスプレイヤーとして足を踏み入れたのは、ただただ日常の澱みから逃れたかったからだ。神奈川の田舎町の朝は窓を開けても生ぬるく、蝉の声ばかりが鼓膜に張りつく。鏡の前で、白いポロシャツの襟元を指先で何度も整えたあと、プリーツスカートの裾をそっと撫でおろした。地味なテニスルック。肌の露出も控えめで、袖は肘の少し上まで、スカートも膝が隠れる丈だ。胸元にはワンポイントの小さなワッペン、そして履き慣れないキャンバススニーカーが少しだけ靴擦れの予感を足首に届けてくる。それでもかまわなかった。この閉塞感から抜け出せるのならば、コスチュームの地味さなど瑣末なことだった。
電車を乗り継ぎ、二時間。会場に近づくにつれ、車内には熱と人の密度が膨れ上がっていく。知らない誰かの汗ばんだ腕が肩に触れるたび、胸の奥がじわりと熱を帯びた。何かが始まろうとしている。その予感に、スカートの下の太ももがかすかに粟立つ。
改札を抜けた瞬間、熱気が肌にまとわりついて、呼吸ごと肺の奥まで湿りと侵入してきた。制汗剤の匂い、数百の体温が混ざり合った空気、それらが巨大な生きものの吐息のように渦巻いている。私は立ちすくみ、ただ眼前の光景に圧倒されていた。眩い衣装をまとったコスプレイヤーたちの肌が夏の陽射しを受けて輝き、無数のカメラが彼女たちを囲み舐めるように追いかけている。壁際を歩く私の足は重く、スニーカーの裏がアスファルトに吸いつくように感じられた。こんな地味なテニスルックの私がここに紛れていていいはずがない。場違い感が胸の奥をぎゅうっと締めあげ、うつむき加減で壁に手をついたちょうどそのときだった。
「撮影してもいいですか」
声の響きは低く、鼓膜ではなく鎖骨のあたりに直に振れた。振り向くと、黒いTシャツの男がカメラを胸に提げて立っている。短く刈り込まれた髪、鋭い一重の目。汗で浅黒い肌に張りついた布地が、鎖骨から胸板の起伏をむしろ強調していた。その視線が真っ直ぐに私を射抜き、心臓が跳ねる。まさか、私に声がかかるなんて。思考が真っ白になるより早く、唇が勝手に動いていた。
「はい……」
こんなにか細い声が自分の喉から零れるなんて知らなかった。男が口元だけで笑みを刻み、カメラを構える。すると、どこからともなく六人、七人と男たちが集まり、黒いレンズが四方から私を向く。囲まれている感覚が肌を粟立たせる。ファインダー越しの視線が、襟元から鎖骨のくぼみ、ポロシャツの下の胸のふくらみ、腰のくびれ、そしてプリーツスカートの裾へと這いずりまわった。どこを見られているかぜんぶ感ぜられるのに、体が動かない。
最初の男が膝を折り、カメラを下から上へと向けた。ローアングル。レンズがスカートの布地の奥に潜り込もうとする感覚に、太ももの内側がひくりと震えた。汗が膝の裏を伝い、ふくらはぎへとぬるりと滑り落ちていく感触が、ひどく生々しく肌を這う。私は中に水着を履いている。大丈夫、そう言い聞かせた。それでも会場の風がプリーツの裾をふわりとめくるたび、膝ががくがくと震え、水着越しの太ももがじわりと湿ってゆく。布越しであるはずなのに、まるで素肌を直に晒しているかのような羞恥が、背筋を這いのぼってくる。
シャッター音が途切れなく降り注いだ。カシャッ、カシャカシャ、カシャッ。それぞれが違うリズムで私を切り取っていく。視線の熱が肌に刺さるたび胸の奥がぎゅうと締まり、なのにその苦しさのどこかが、妙に心地よくも感じられてしまう。自分の輪郭がゆっくりと溶けて、別のものに変えられていくような……。
「水着かよ」
誰かの呟きがシャッター音の隙間を縫って鼓膜に落ちた。その声には、あからさまな落胆が滲んでいた。熱気に包まれていた私のまわりの空気が、ひゅっと冷める。黒いTシャツの男がカメラの背面ディスプレイを確認し、小さくため息をついた。表情が露骨に歪んで、口元がへの字に曲がっていく。彼がレンズを下ろしたのを合図に、一人、また一人と男たちが離れてゆく。
半径一・五メートルに縮こまっていた囲いが、急速にほどけ、背中が遠ざかっていくのが見えた。隣のエリアでは、金髪のツインテールを揺らした女の子が、カスタムセーラー服のコスプレでポーズを決めている。健康的に焼けた小さな体に不釣り合いなほど豊かな胸が、動くたびに揺れていた。男たちのレンズが一斉に彼女へと向き、歓声が湧き起こる。さっきまで私を切り取っていた熱が、呆気なく奪われてゆく。胸の奥で、黒い渦が静かに、しかし確かな重みを持って回り始めた。
まだ足元に二人か三人の気配が残っている。でも、彼らもいつ去ってもおかしくはない、そんな微かな距離。指先をぎゅっと握りしめた手のなかで、爪が掌に食い込んでゆく感触がやけに鋭い。さっきまであんなに私だけを凝視していたレンズたちが、今はもう私を映さない。あの派手な子が羨ましいのか、それとも私を見限った男たちが憎いのか、自分でもわからなかった。ただ、胸の黒い渦はどんどん大きくなり、太ももの内側を汗が伝う感覚だけが、置き去りにされた熱を帯びて肌に張りついていた……。
第2章 スカートの中の反撃、パンツを食い込ませて肛門の割れ目まで晒す
第2章: スカートの中の反撃、パンツを食い込ませて肛門の割れ目まで晒す
立ち去っていく背中たちを、私はじっと見つめていた。黒いTシャツの男の背中が人混みに紛れていく。さっきまで私を囲んでいた六人、七人のレンズが、今はあの金髪の子に群がっている。胸の奥で、何かがめらめらと燃え始めていた。悔しい。なんで私じゃだめなの。水着だったから? それだけで、みんな行っちゃうの?
足元にはまだ、二人か三人の気配が残っていた。目の端で捉えたのは、迷彩柄のベストを羽織ったがっしりした男。オールバックの髪に白いものが交じっていて、ぎょろりとした大きな目が、まだ私のスカートのあたりをうろうろしている。私を撮るのをやめたわけじゃないみたい。でも、その視線にもさっきまでの熱が感じられなくて、いつ離れてもおかしくない、そんな宙ぶらりんな感じ。
このまま終わりたくない。せっかく勇気を出して「はい」って言ったのに、たった数分でおしまいなんて。胸の奥の黒い渦が、ぐるぐると音を立てて回り始める。私にだって、できることがあるはず。負けたくない。あの派手な子に──そして私を見捨てた男たちに──せめて一瞬でも、振り向かせてみせる。
太ももの内側を汗が伝っていく感触。そのぬめりに指先が誘われるように、私はそっと右手をスカートの裾に這わせた。誰かに見られているかもしれない。いや、見られているからこそ、この動きには意味がある。私は何でもないふうを装って、指先をスカートの布地の奥へと滑り込ませた。
湿った空気が、太もものつけ根にまで忍び込んでくる。指先がパンツの布地に触れた。暑さと汗でしっとりと湿ったコットンの感触。私はそれを指で摘み、表向きは食い込みを直すように見せかけて──逆に、ぐいっと深く引き込んだ。
布が太もものつけ根に食い込んでいく圧迫感。それだけじゃない。私は指を離さず、さらに奥へ奥へと布を押し込んでいく。パンツの布地が臀の割れ目に沿ってめり込んでいく感触に、背筋がぞくりと震えた。布が肉の狭間に沈み込み、生地の縁が肛門のすぐ手前まで届いている。まるでTバックみたいに、お尻のほとんどが剥き出しになっているのが自分でわかった。
その瞬間、背後で息を呑む気配がした。
「……おい」
誰かの掠れた声。迷彩ベストの男のほうから聞こえた気がした。私は気づかないふりを続ける。心臓が早鐘を打ち始めて、指先がかすかに震えていた。でも、その震えは怖さだけじゃない。何かが始まる予感に、唇の端がひくっと動く。
衣擦れの音がした。カメラを構え直す気配。それから、足音。一人、また一人と近づいてくる。さっきまでつまらなそうにレンズを下ろしていた男たちが、戻ってきているのだとわかった。迷彩ベストの男が何か言ったのかもしれない。でも私の耳には、自分の心臓の音と、近づいてくる足音しか届かなかった。
私はまだ足りなかった。もっと振り向かせたい。もっと、私だけを見させたい。胸の奥の渦が、もっともっとと叫んでいる。私は再びスカートの中へ手を差し入れた。今度は迷わず、パンツの布地を横にずらす。臀の肉が直接空気に触れて、ひりつくような感覚が走った。会場の熱風が汗でしっとりした肌にまとわりつき、普段は絶対に触れられることのない奥の奥まで、空気が入り込んでくる。
お尻の割れ目が、完全に晒されている。
スカートの布が後ろからめくれているのかもしれない。自分では見えないけど、背後から突き刺さる無数の視線の熱で、今自分がどうなっているのかはっきりとわかった。臀の肉の丸み、その中央を縦に走る割れ目、そして汗でてらてらと光る肌の質感。すべてがレンズに吸い取られていく。
カシャッ。
最初のシャッター音が響いた。それから、カシャカシャカシャ、と連写の雨。一人じゃない。何人ものシャッター音が重なり合って、私のお尻だけを撮っている。目の端で捉えた人影は、さっきよりも増えている。五人、いや六人。あの金髪の子のところから、こっちに戻ってきたんだ。
その確信が、胸の奥からせり上がってくる。
「見てる……みんな、私のこと見てる……」
唇の端が、自然と上がっていく。抑えようとしても、だめだった。顔がにやけるのを、私はうつむいて隠した。悔しがるどころか、誇らしさが込み上げてくる。さっきまで「水着ですか」で私を捨てた男たちが、今度は私のお尻に群がっている。あの金髪の子じゃなくて、私のところに戻ってきている。その事実が、胸の奥をじんわりと満たしていく。
立ちっぱなしの膝が、心地よく震えていた。太ももの内側を汗が伝い、ふくらはぎまでぬるぬると落ちていく。私は疲れを理由に、その場にゆっくりと座り込んだ。コンクリートの床の冷たさが、スカート越しに臀に伝わってくる。でも、パンツが食い込んだままの肌には、直接ひんやりとした感触が届いていて、その落差にまた背筋がぞくっとした。
頭上からもレンズが覗き込む気配がして、私は顔を上げなかった。まだ終わらない。私の反撃は、まだ始まったばかりだ。
第3章 ブラを浮かせた30秒、歓声と連写が永遠に伸びる勝利の余韻
第3章: ブラを浮かせた30秒、歓声と連写が永遠に伸びる勝利の余韻
座り込んだ私の頭上からも、レンズが覗き込む気配がしていた。うつむいたままの私の視界には、自分の膝小僧と、コンクリートの床に広がるスカートのベージュの布地だけ。でも、頭のてっぺんから背中にかけて、無数の視線が刺さるような熱を感じる。太陽とは違う、人の目だけが持つ熱だった。
ブラウスが胸に張りついている。さっきまでの緊張でかいた汗が、白い布地を肌にぴったりと貼りつかせていた。ブラのワイヤーが汗ばんだ肌に食い込んで、息をするたびに窮屈な圧迫感が胸を締めつける。指先を持ち上げようとすると、自分の手がかすかに震えているのが見えた。
怖いんじゃない。違う。胸の奥がぐらぐらと煮え立つような期待で、手が震えてるんだ。
私は第一ボタンに指をかけた。汗で湿った布地が指先にしっとりと絡む。ボタンを外すのに少し手間取って、そのぶんだけ背中に突き刺さる視線の熱が強くなった気がした。ようやくボタンが外れて、ブラウスの襟元がゆるむ。隙間から会場の熱風が入り込んで、鎖骨のあたりの汗ばんだ肌にひんやりと触れた。
気持ちいい。そんな思いが自然と口元をゆるませる。
「なあ……もっと」
掠れた声が、どこからか届いた。すぐ近く。さっき迷彩ベストの男が立っていた方角からかもしれない。でも確かめるために顔を上げることはしなかった。私はまだ、この熱に浮かされたような感覚に浸っていたかったから。
私はブラウスの胸元をハンカチで拭うふりをした。白い布で鎖骨のくぼみをそっと押さえ、それから胸の谷間のあたりへとハンカチを滑らせる。汗でしっとりした肌の上を布が撫でていく感触が、必要以上にゆっくりに感じられた。カメラのファインダー越しに、この動きがどう見えているのかを想像すると、太ももの内側がひくんと震える。
ハンカチを握ったままの左手で、私はブラウスの襟元を少しだけ横に引いた。右手の指先が、自分の左胸のふくらみの上をなぞる。布越しにブラの縁の硬さを感じ、そのワイヤーが食い込んでいたあたりの肌が、まだじんじんと疼いていた。
右の指を、ブラのカップの縁にそっとかける。レースの縁取りが指の腹にざらりと触れた。私は息を止め、ほんの数センチだけカップを持ち上げた。ワイヤーが肌から離れる解放感が、じわりと胸の下に広がる。
薄暗い布の奥から、乳輪の縁がちらりと覗いているのが自分でも見えた。淡い桜色の輪郭が、ブラの影から少しだけ顔を出している。完全には見せない。まだ焦らす。その駆け引きが、背筋をぞくぞくと走り抜けた。
周囲から、ため息が重なる。一人じゃない。何人もの息遣いが混ざり合い、熱のこもった空気の塊みたいになって私の肌に降りかかってくる。
「ああ……」
「見えてる……見えてるぞ……」
誰の声かもわからない。ただ、自分が掌握している感覚だけがはっきりとあった。彼らは私が見せたがっているのを知っている。私は彼らが見たがっているのを知っている。その共犯じみた空気が、会場の熱気よりも熱く私を包んだ。
心臓が早鐘を打つ。指先がさらに持ち上がる。もう迷わなかった。
一気にブラを浮かせた。カップが持ち上がり、左の乳房の頂点が完全に露出する。ほんのりと桜色に染まった乳首が、会場のむっとした空気に触れて、きゅっと固くなっていく感触。胸全体が熱を持ち、心臓の鼓動に合わせて小さく震えているのがわかった。
視界の端で、フラッシュが白く炸裂した。
それから、シャッター音。カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ。一人じゃない。何人ものカメラが同時に連写を始めて、その音が雨のように降り注ぐ。さっきまでのお尻の露出とは比べものにならない反応。あの金髪の子のところからも、たぶん何人か戻ってきている。その確信が胸の奥で弾けた。
私は顔を伏せたまま、唇の端が上がっていくのを感じていた。見られてる。こんなにたくさんのレンズが、私の、誰にも見せたことのなかった乳首を、食い入るように撮っている。
時間の流れが急にゆっくりになった。三〇秒が、三〇秒じゃなくなる感覚。連写のシャッターの一音一音が引き伸ばされ、その合間に流れる沈黙がやけに長く感じられる。フラッシュが焚かれるたびに、まぶたの裏が白く灼けて、残像がゆらゆらと踊った。
「もうちょっと……」
「右も……右も見せて……」
さっきとは違う声。何人もの男たちのねだるような言葉が重なり、溶け合い、一つの大きなうねりになって私を押してくる。私はまだ焦らすように、右手をゆっくりと右胸の上に這わせた。ハンカチを持つ左手はそのままに、右手だけでブラウス越しに右の乳房の丸みをなぞる。布越しに伝わる自分の肌のやわらかさと、その奥で硬くなり始めている乳首の感触。
指先が右のブラの縁に届いた。今度は少しだけ手順を変えて、レースの縁をゆっくりとずらしていく。左と同じように一気にではなく、じわじわと。乳輪のほんの一部が覗いたところで手を止め、周囲の反応をうかがう。
ため息がまた重なった。今度は焦れたような、もどかしそうなため息。でも私はすぐには動かない。カップの縁を指でつまんだまま、ただじっと待つ。自分の息が上がっているのがわかった。胸が上下するたびに、露出した左の乳首が空気に触れてひりつく。
「お願い……」
その一言が、やけにはっきりと耳に届いた。お願い。私に懇願している。今朝までは、地味で誰からも見向きもされなかった私に。
指先が震えながら、右のブラを押し上げる。ワイヤーが外れ、布地が持ち上がり、そして右の乳首もまた、会場の熱気と無数の視線の前に晒された。左右の乳房が完全に露出して、汗でてらてらと光っている。心臓の鼓動に合わせて、胸の先端が小さく震えるたび、シャッター音がまた激しさを増した。
今、私は見られているんじゃない。私が、見せているんだ。
その逆転の感覚が、頭の芯を痺れさせる。恥ずかしさと誇らしさがぐちゃぐちゃに溶け合って、胸の奥で金色の渦を巻いている。汗が背中を伝い、ブラウスの布地が肌に張りついたまま、私は両肘を床について少しだけ上体を反らせた。乳房が重力に従ってふくらみ、レンズの前でその形を変える。
三〇秒。いや、もう少し経ったかもしれない。時間の感覚はまだぐにゃりと歪んだままだ。フラッシュの残像と、連写音と、周囲の熱いため息とが混ざり合って、世界全体がひとつの大きな生き物みたいに私を包み込んでいる。
十分に晒した。そう思えた瞬間、全身から力が抜けた。
うつむくと、ブラウスの布地がはだけた胸元にかかり、露出していた乳房が隠れる。両手を床について、ただ荒い息を繰り返した。額から汗が滴り落ちて、コンクリートの床に小さな染みを作る。
シャッター音が、少しずつ減っていく。一人がレンズを下ろし、また一人が去っていく足音。さっきの熱狂が嘘みたいに、私の周りの輪がゆっくりとほどけていく。でも、さっきのような寂しさはなかった。
男たちが満足げに散っていく気配が、むしろ心地よい。私は彼らに全てを見せて、彼らはそれで満足して散っていく。その循環が、不思議と清々しかった。
最後の一人の足音が遠ざかったのを確かめて、私はようやく顔を上げた。金髪のツインテールの子はもういなかった。あの子はずっと前に撮影を終えて、どこかへ移動したのかもしれない。私の周りに残っているのは、フラッシュの残像がちらつく視界と、コンクリートの床のひんやりした感触だけだった。
震える指でブラウスのボタンを留め直す。指先がまだ思うように動かなくて、一番上のボタンに手間取った。ブラの位置を直そうとして、カップが汗で湿っているのを感じる。全部を元に戻すのに、随分と時間がかかった気がする。
立ち上がると、膝が笑っていた。長時間の緊張と、座り込んでいたせいで、太ももの裏側がじんじんと痺れている。スカートの後ろを手で払い、それからあたりを見回した。さっきまで私を囲んでいた男たちは、もう誰もいない。みんな別の被写体を求めて、会場の人混みの中に溶けていった。
でも私の肌はまだ、あの視線の熱を覚えていた。露出していた胸の先端が、ブラの布地に擦れるたびひりっと疼く。パンツが食い込んだままのお尻の割れ目にも、じんわりとした熱が残っていた。
私はゆっくりと歩き出した。会場の出口へ向かう人の流れに乗りながら、さっきまでの時間を頭の中で反芻する。スカートの中を撮られて、水着でがっかりされて、それからパンツを食い込ませて、ブラをずらして。半日も経っていないのに、何年分もの感情を味わった気がする。
会場を出ると、外の空気がまだ熱気を孕んでいた。でも、中のむっとした熱とは違う。風が少しだけ吹いていて、汗で冷えた頬に気持ちいい。駅までの道のりを歩きながら、私は何度も唇の端が上がるのを抑えられなかった。
電車に乗り込むと、冷房の風が汗ばんだ肌にしみた。窓際の席に座り、ガラスに映る自分をぼんやりと見つめる。朝、電車に乗ったときと同じ顔のはずなのに、なんだか別人のように見えた。目が少しだけ据わっていて、でもその奥にきらきらとした光が灯っている。
窓を開けると、走り出した電車の風が髪を揺らした。風に当たる首筋や鎖骨のあたりの肌が、まだ他人の視線を覚えている気がする。目を閉じると、あのシャッター音が耳の奥でまだカシャカシャと鳴っていた。
家に着いたのは、夕方近くになってからだった。玄関を開け、誰もいない部屋にただいまと言う。返事がないのはいつものこと。でも今日は、その静けさがいつもよりずっと心地よかった。
洗面所の鏡の前に立つ。朝、何度もスカートの裾を直したときと同じ鏡なのに、映っている自分が微妙に違って見える。目が輝いている。肌がほんのりと上気して、口元にはうっすらと笑みが浮かんでいる。私はそっと自分の胸に手を当てた。ブラの下で、何時間か前まであれだけ無数のレンズに晒されていた乳房が、静かに上下している。
あれは夢だったんだろうか。でも体に残る倦怠感と、胸の奥にくすぶり続ける熱が、現実だったと教えている。パンツの食い込みを直そうとして指を伸ばし、ためらった。まだいいか、と思い直す。あの感触を、もう少しだけ覚えておきたかった。
居間のカレンダーに目をやる。今月のページ。来月のページをめくって、ついでにその次もめくる。コミケの次の開催日は、どこかにメモしてあったはず。私はスマホを取り出して、検索を始めた。
次は、何を着ていこう。それとも、何を着ないでいこう。そんな考えが自然と湧いてきて、自分でも驚く。今朝までの私なら、そんなこと思いもしなかった。でも今の私は、あの会場の熱気とレンズの嵐が恋しくてたまらない。
指先がまだ、かすかに震えている。あの連写のシャッター音が耳の奥で鳴り止まない。私はカレンダーに次の日付を書き込みながら、誰に言うでもなく呟いた。
「……次は、もっとすごいこと、しちゃうかも」
声に出して言ってみると、その言葉がやけにリアルに感じられた。今までは退屈で仕方なかった神奈川の田舎町が、次のコミケまでの待ち時間に変わっている。日常の閉塞感が、少しだけ和らいでいた。それだけで、私は確かに変わったんだと思う。
鏡の中の自分が、ゆっくりと微笑み返した。
登場人物
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紗季 さき女性 ・ 19
外見: 肩にかかる黒髪のおかっぱ、切れ長の茶色い瞳、色白で華奢な体型、身長158cm、Cカップ。服装: ベージュの膝丈スカートに白い半袖ブラウス、地味な印象。神奈川の田舎で退屈な日々を送り、内に鬱屈した欲求を秘めている。普段はおとなしいが、一度火がつくと止まれなくなる性格。
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若いカメラマン わかい かめらまん男性 ・ 28
外見: 短く刈り込んだ黒髪、鋭い一重の目、浅黒く日焼けした肌、中肉中背で身長172cm。服装: 黒いTシャツにカーゴパンツ、首に一眼レフを提げている。紗季に最初に声をかけた男で、失望した表情がすぐに顔に出るわかりやすさがある。
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ベテランカメラマン べてらん かめらまん男性 ・ 40
外見: オールバックの白髪交じりの髪、ぎょろりとした大きな目、色白でがっしりした体格、身長175cm。服装: 迷彩柄のベストを羽織り、ポケットにレンズキャップをいくつも突っ込んでいる。紗季のパンツの食い込みに最初に気づき、仲間を呼び戻すきっかけを作った観察力のある男。
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ギャラリーの若い女性ぎゃらりーの わかい じょせい)(女性 ・ 21
外見: 金髪のツインテール、青いカラーコンタクト、健康的に焼けた肌、小柄で胸が大きい体型、身長152cm。服装: 改造セーラー服のコスプレ。紗季の近くで撮影されていた人気レイヤーで、カメラマンたちが紗季から離れた時に視線を集めていた存在。





