第7章: 露見、静かな絶望
第7章: 露見、静かな絶望
プロジェクトの最終発表が無事に終わり、思ったより早く片付いた。
午後三時、亮介は上司から「今日は早く帰って休め」と言われ、いつもより三時間も早くオフィスを出ることができた。
――はるかに驚かせてやろう。
そう思いながら、彼はいつもより豪華なケーキを買い、マンションへと向かった。
エレベーターを降り、ドアの前に立つ。
いつもならここで遥の気配を感じ、ドアを開ける前からほんのり温かい空気が伝わってくるものだった。
今日は違った。
玄関のドアを開けた瞬間、冷たい、張り詰めた空気が顔を撫でた。
それだけではない。リビングから、何かがきしむような、低く鈍い音が聞こえてくる。
「はるか?」
呼びかけても返事はない。
靴を脱ぎながら、亮介は首をかしげた。テレビの音でもない。聞き慣れない、しかしどこかで聞いたことのあるような……
彼の足は自然と寝室へと向かった。
音は確実に、あの部屋から聞こえていた。
ドアには細い隙間が空いており、その向こうから漏れる喘ぎ声が、次第に鮮明になっていく。
「んっ……あっ……お、お義父さん……もっと……奥まで……」
亮介の手がドアノブにかかった。
金属の冷たさが、掌全体に広がる。
――なんだ、この声は。
頭の中で何かが破裂する音がした。
理解したくない。信じたくない。しかし、体は先に動いてしまった。
ドアが静かに開く。
寝室のカーテンは半分閉められ、薄暗い光の中で、二人の影が激しく絡み合っていた。
遥はベッドの上でうつ伏せになり、腰を高く突き出していた。
栗色の髪は汗でびっしょりと濡れ、背中には光る汗の粒が無数に浮かんでいる。彼女の腰は後ろから掴まれ、無理やり引き寄せられるたびに、柔らかい肉が波打っていた。
その背後には、がっしりとした男の背中。
白髪混じりの短い髪、大きく広がる肩、力強い腕。遥の腰を掴んでいるその手には、年齢を感じさせない逞しい血管が浮き上がっていた。
「ふん……随分と弛んできたな、このケツ穴は」
俊一の声は低く、支配的な響きを帯びていた。
彼は腰を深く突き入れ、遥の体内でゆっくりと捩じるような動きを見せた。
「ああっ! そ、そこ……お義父さんの……あっ……入りすぎます……!」
遥の声は亮介が知っているそれではなかった。
唸るような、甘ったるく蕩けた声。彼女の顔は半開きの口から涎を垂らし、目は虚ろに上を向いている。頬は火照り、涙と汗が混じって光っていた。
ベッドがきしむ。
シーツは遥の膝で擦り切れそうに皺になり、その上には二人の汗が滲んでいた。
亮介は動けなかった。
足が床に根を張ったように、ただただそこに立っているしかなかった。
視界の端で、遥がゆっくりと顔を上げた。
彼女の瞳が、ドアの方向を向く。焦点が合う。亮介の姿が、彼女の網膜に焼き付けられる。
一瞬、時間が止まった。
遥の口がぽかんと開く。
虚ろだった目に、突然恐怖が走った。
「あ……りょう……さん……?」
その声を聞いた俊一は、動作を止めなかった。
むしろ、より強く腰を振った。遥の体が前に押し出され、喘ぎ声が途切れた。
「あんっ! だ、ダメ……見られて……います……っ!」
「構うものか」
俊一は振り返りもせず、そのままの姿勢で遥の腰を握り締めた。
彼の背中の筋肉が波打ち、遥の体内へと深く食い込んでいく。
亮介はその光景を、一コマ一コマ、焼き付けるように見つめていた。
妻の背中に滴る汗。義父の腰の動き。結合部から漏れる、ぐちゅっという湿った音。部屋に充満する、汗と体液、それに何か別の――肛門から漏れるような生々しい匂い。
遥はもう亮介を見つめられなかった。
顔をベッドに押し付け、嗚咽を漏らしながら、それでも腰は俊一の動きに合わせて震えていた。
「や……やめて……お義父さん……亮介さんが……あっ!」
「お前の体はやめたがっていない」
俊一の声には嘲るような響きがあった。
彼は遥の髪を掴み、無理やり顔を上げさせた。
「ほら、亮介をよく見ろ。息子が、お前がどう犯されているか、しっかり見ているぞ」
「いや……あっ……見ないで……亮介さん……見ないでください……!」
遥の泣き声が部屋に響く。
しかし彼女の股間からは、俊一のペニスが抜き差しされるたびに、くちゅくちゅと淫らな音が鳴り続けていた。
亮介の喉が震えた。
声が出ない。怒りも、悲しみも、すべてが喉の奥で詰まっていた。拳は握りしめられ、爪が掌に食い込む痛みだけが、これが現実であることを告げていた。
俊一の動きが次第に荒くなっていく。
遥の体をベッドに押し付け、腰を速く、深く突き立てる。彼の睾丸が遥の股間に叩きつけられる音が、規則的に響いた。
「イク……イきそうです……お義父さん……あっ……んあっ!」
「いいだろう……中でイけ」
「はい……! ああっ……! 亮介さん……ごめんなさい……ごめんなさい……っ!」
遥の絶叫と共に、彼女の体が激しく痙攣した。
背中を弓なりに反らせ、足指をピンと伸ばす。股間からは俊一のペニスを締め付けるように収縮が走り、愛液が溢れ出た。
その直後、俊一は深く唸った。
腰をぐいと押し込み、静止する。遥の体内で射精しているのが、腰の微かな震えから伝わってきた。
長い沈黙が流れた。
俊一がゆっくりとペニスを抜く。
ずるっという湿った音と共に、結合部が離れる。遥の肛門は少し開いたまま、白濁した液体が糸を引いて溢れ出ていた。
亮介はようやく一歩、足を動かした。
部屋の中へと入り、ドアを閉めた。
カチャリという音が、異常に大きく響いた。
俊一は平然とベッドから降り、床に落ちたパンツを拾い上げた。
彼は亮介を一瞥すると、何もなかったかのようにパンツを穿き始めた。
遥はまだベッドに崩れたままだった。
肩を震わせ、声を殺して泣いている。彼女の背中には俊一の手形が赤く浮かび上がり、腰のあたりには精液と愛液が混じった液体が光っていた。
「……どうして」
亮介の声はかすれていた。
彼は遥を見つめ、ゆっくりと繰り返した。
「どうして、言ってくれなかった」
遥は顔を上げた。
涙でぐしゃぐしゃになった顔は、亮介の知っている妻のそれではなかった。目は腫れ、鼻水が垂れ、唇は噛み締められて血が滲んでいた。
「す……すみ……ません……」
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