第5章: 膣に残る精液と式場見学(続き 2/2)
純白の内装に、ステンドグラスから差し込む優しい光。祭壇の前には、二人が立つことになる場所が示されていた。担当の女性が、厳かな口調で挙式の流れを説明する。
「新郎新婦はこちらへお入りいただき、まずはご宣誓を……」
その時、亜理砂の膣が、くらりと疼いた。
まるで、俊夫の巨根が再び奥深くまで押し込まれてくるような、鮮明な幻覚に近い感覚。彼の精液が、まだ自分の内部に残っていることを、子宮が鋭く訴えているようだった。腿の内側が、ほんのりと熱を持ち、また湿り気を帯び始める。
――ああ……。
彼女は無意識に、スカートの裾を軽くつかんだ。健太は彼女の小さな動作に気づかず、真剣に担当者の話を聞いている。
チャペルの白い壁を見上げながら、亜理砂は静かに息を吐いた。
この清潔で神聖な場所で、自分の中には別の男の精液がまだ温もりを保っている。これから誓いを交わす相手の隣に立ちながら、昨夜あれほど激しく体を重ねた男のことを思い出さずにはいられない。
矛盾が、胸の奥で重く渦巻いた。
健太を愛している。彼の優しさ、誠実さ、全てが大切だ。でも、俊夫とのあの濃密で獣じみた時間も、紛れもない事実として体に刻まれている。二つの感情が混ざり合い、彼女の心を引き裂いていく。
「……どうかな、ここ」
説明が一段落し、健太が彼女に尋ねた。
「気に入った?」
彼の目は、期待に輝いていた。この式場で、彼女と新しい人生を始めることを、心から望んでいるのだ。
亜理砂はゆっくりとうなずいた。
「うん……すごく綺麗な場所だね」
その言葉は嘘ではなかった。本当に美しいチャペルだった。でも、その美しさが、かえって自分の中の穢れを際立たせるように思えてならなかった。
外へ出ると、夕方近くの柔らかな陽ざしが庭を包んでいた。健太がそっと彼女の手を握った。その手の温もりは、優しくて、そしてどこか儚かった。
「じゃあ、ここで決めようか。亜理砂が気に入ってくれたみたいだし」
「……うん」
彼女はまた微笑んだ。頬の筋肉が、わずかに痙攣するのを感じながら。
帰りの電車で、健太は嬉しそうに式の細かい計画を話し始めた。招待客のリスト、料理の選択、ドレスの予約。彼の声は明るく、未来への希望に満ちていた。
亜理砂は相槌を打ちながら、窓に映る自分を見つめていた。
その顔は、一見幸せそうな花嫁の顔だった。でも、瞳の奥には、消えない違和感が潜んでいた。腿の間には、まだほんのりと俊夫の精液の温もりが残り、時折、膣の奥が微かに疼いては、あの夜の激しさを静かに訴えかけていた。
電車がトンネルに入り、窓に映った自分の顔が暗闇に消えた。
彼女はそっと目を閉じた。
――これで、いいんだよね。
問いかけに、答えは返ってこなかった。ただ、体の奥で、二つの男の痕跡が混ざり合い、溶け合うような、重くて甘い感覚だけが、ゆっくりと広がっていくのを感じるだけだった。
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