中学時代いじめていた後輩男の子の冷徹な罠でアイドルから玉の輿を獲得した女性は媚薬と巨根の快楽に理性を溶かされ婚約破棄へ転落
あらすじ
綾瀬莉子は高層マンションの最上階から東京の夜景を見下ろし、上場企業の御曹司・和田祐介との婚約と芸能界引退という完璧な未来に酔いしれる。祐介の優しい言葉に、自分は過去を全て清算したと確信する莉子。しかし、彼女のスマートフォンには、差出人不明の古い校舎の写真が添付されたメッセージが届く。「綺麗になったな、莉子」という文言に、中学生時代の記憶――冷たい床、尿の匂い、松藤賢也への嘲笑がフラッシュバックし、完璧な夜に小さな亀裂が走る。
第11章: 復讐を喰らい尽くした者の行方
第11章 復讐を喰らい尽くした者の行方
あの公開配信から、一年が過ぎていた。
画面越しに晒された凌辱の夜。
そして、それをきっかけに暴かれた中学時代の蛮行――莉子が麻美と共に賢也へ繰り返した、壮絶なイジメの全容。
週刊誌は彼女を「清純派アイドルの仮面を被った鬼女」と書き立て、ワイドショーは連日、同級生たちの証言を垂れ流した。
婚約者は即座に去り、慰謝料と違約金の請求だけが弁護士を通じて届く。
芸能記者の執拗な追跡を逃れるように、彼女は街を転々とした。
高層マンションを引き払い、祐介から贈られた宝石もバッグもすべて売り払い、それでも金は底をつき――。
辿り着いたのは、東京の西の果て、昼なお暗い木造アパートだった。
六畳一間の古びた部屋で、莉子は膝を抱えて座っている。
窓の外には隣の建物の灰色の壁しか見えず、部屋の中では安物の蛍光灯が、じいじいと耳障りな音を立てて点滅していた。
その光は彼女の肌を蝋のように青白く照らし、荒れた畳は湿気を含んで冷たく足裏に絡みつく。
空気は黴と埃の匂いで澱み、そこにはかつて彼女を包んでいたフローラルの香りなど、微塵も残っていなかった。
テレビはとうに映らなくなり、スマートフォンの契約も解除した彼女には、外界と繋がる手段が何もない。
時折、階下の住人が立てる生活音だけが、かすかに壁を震わせて届いてくる。
莉子は痩せ細っていた。
かつての白磁のような滑らかさを誇った肌は、今は栄養失調で茶色いくすみを浮かべ、腰まで届いた黒髪は櫛も通さずに絡まり、油で束になっている。
ただ、左手の薬指だけは、まだ何かを求めるようにわずかに浮いていた。
あの日、婚約指輪が嵌っていた場所には、うっすらと日焼けの痕だけが白く残っている。
――私、何をしてたんだろう。
夕方になると、莉子はよろよろと立ち上がり、冷蔵庫からペットボトルの水を取り出して一口含む。
ぬるく、鉄錆びたような味のする水が、ひび割れた唇に沁みた。
ふと、郵便受けを覗くと、ダイレクトメールに混ざって一枚の封書が入っている。
茶封筒には差出人の名前もなく、しかしその几帳面な筆跡を見た瞬間、彼女の胸の奥でどくりと心臓が跳ねた。
震える指で封を切ると、中には一枚の便箋だけ。
万年筆で書かれた、たった四行の短文。
彼女の濁った瞳が、ゆっくりとそれを追う。
「お前が俺に味わわせた地獄の何分の一かは、これで知っただろう。これで終わりだ。さようなら、綾瀬莉子」
署名はなかったが、松藤賢也以外の誰が書くものだろう。
莉子は便箋を握りしめたまま、その場にへたり込んだ。
涙は出なかった。
もう、この一年で泣き尽くしてしまったのだ。
その代わりに、胸の奥からせり上がってきたのは、初めて全身で理解する「痛み」だった。
「……あたしが、賢也に、味わわせた、地獄……」
呟いた声は、まるで他人のもののように、ひび割れて遠く聞こえる。
「あんなこと……何年も、何年も……」
中学時代、彼女が麻美と共に繰り返した陵辱の数々が、今度は被害者の視点で脳裏をよぎっていく。
冷たい床に押さえつけられ、無理やりに水をかけられ、濡れた制服を嘲笑されるあの感触。
箒の柄を捻じ込まれ、内臓を持ち上げられるような異物感に涙を流しながら、「気持ちよがってんじゃないの」と罵られる絶望。
そして、女の股間を舐めさせられ、生ぬるい液体を飲まされるという、言葉にすらできないほどの辱め――。
賢也はそれを、たった一人で、何度も何度も受け続けたのだ。
莉子は初めて知った。
自分のしてきたことの本当の重みを。
それは頭での理解ではない。
あの生配信の夜、自分自身が味わった「魂の死」を通して、ようやく身体の奥底の奥底まで、どろりと染み渡ってきたものだった。
「……こんなの、知らなかった。あたし、こんな気持ちになるなんて、全然、わかってなかった」
彼女は便箋を畳に押し当て、額を床に擦りつけるようにしてうずくまる。
目を閉じると、瞼の裏に焼き付いているのは、掃除用具室の冷たい床。
自分の制服の乱れ。
そして、あの生配信の夜、自分を貫いた黒い肌の感触と、カメラの無機質なレンズの光。
「ごめん……ごめんなさい、賢也くん……ごめんなさ……」
詫びの言葉は誰に届くでもなく、薄暗い部屋の埃っぽい畳に吸い込まれていくだけだった。
彼女はもう、テレビに出ることも、婚約者と笑い合うことも、何より自分が「綾瀬莉子」として生きてきたすべての時間を取り戻すこともできない。
失ったものの大きさは、彼女が賢也から奪ったものの重みに、ようやく追いついたのだ。
――私、なんてことを……。
――でも、私は生きてる。
――賢也くんは、あのとき、もっと小さくて、もっと怖くて、助けてくれる人もいなかったのに……。
莉子はふと顔を上げた。
耳の奥で、あの生配信の自分の嬌声が、おぞましい幻聴のように蘇る。
「奥に当たってるぅ……!」
「イグ、イグ、いぐぅ……!」
彼女は自分の両手を見つめた。
細く、力なく、かつてはピアノを奏で、今は何も掴めない指。
この指が、中学時代、どれほどの惡意を楽しんだのか。
彼女は立ち上がり、洗面所の鏡を覗き込んだ。
薄暗い裸電球の下に浮かぶのは、かつて「清純派アイドル」として何万人ものファンを魅了した顔ではない。
痩け、くすみ、目の下に深い隈を刻んだ、一個の罪人の顔だけがあった。
莉子はしばらくその顔を見つめ、それからゆっくりと、水道の蛇口をひねった。
冷たい水が、古びた鉄管を軋ませながら流れ出し、洗面ボウルを叩く。
彼女はその水を両手で掬い、顔を洗う。
何度も、何度も、汚れを落とすように顔を洗い続ける。
冷たさが肌を刺し、指の隙間から水滴が滴り落ちて、胸元を濡らした。
――こんなことじゃ、洗えないのに。
――何をしても、もう元には戻れないのに。
彼女は蛇口を閉め、鏡の中の自分にもう一度向き合った。
水滴に濡れた顔は、それでも依然としてくすんだままで、唇だけが震えている。
「……あたし、生きていく」
その声は、誰への宣言でもなく、ただ自分自身に言い聞かせるような、か細い声だった。
この先、何ができるのかはわからない。
登場人物
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綾瀬莉子 あやせ りこ女性 ・ 27
外見: 腰まで伸びた艶やかな黒髪、大きな茶色の瞳、透き通るような白い肌、華奢で小柄な肢体。服装: 上品なワンピースやブランドスーツ、清楚な印象を与えるアイドル服。表向きは可憐で清純、内面は計算高く過去に弱者を虐めていた二面性を持つ。
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松藤賢也 まつふじ けんや男性 ・ 27
外見: 短く整えた黒髪、冷たい光を宿す細い黒目、色白の肌に引き締まった痩身、中学時代は美少年と称された顔立ち。服装: ダークスーツやシックなカジュアル、隙のないビジネススタイル。内向的で傷つきやすかった過去を秘め、今は冷徹な知性と復讐心を内に燃やす。
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和田祐介 わだ ゆうすけ男性 ・ 29
外見: 短い茶色の髪、柔和な茶色の瞳、均整のとれた健康的な体格、爽やかな印象。服装: 高級ビジネススーツ、清潔感あるカジュアル。温厚で誠実、莉子の裏の顔を知らずに一途に愛する。
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間宮麻美 まみや あさみ女性 ・ 27
外見: 茶色のショートボブ、挑戦的な吊り目、小柄だが肉感的な肢体、妊娠中で腹部が膨らんでいる。服装: カジュアルなマタニティウェアや派手な夜のドレス。中学時代は不良グループのリーダー格で、現在は表向き平凡な主婦だが欲望に弱い。