⌂ トップ

弟の友達が居間で私のパンツを凝視するから、わざと脚を開いて見せつけていたら浴室で大和くんと二人きりになり、互いの性器を洗い合って初めての共同絶頂を迎えてしまった二十歳の夏

禁断/近親ぼかし系 / 露出/羞恥 全7章 約59分で読了(29,059字) 短編 2026年8月29日

あらすじ

二十歳の夏を振り返る一人称の語りから物語は始まる。母子家庭のアパートの間取りと、弟・悠太の親友である康介と大和が毎日のように居間に集まる日常を克明に描写。ともみが椅子に座ると、腰の位置と少年たちの目線がほぼ同じ高さだった。無意識のうちに制服のスカートから覗くパンツを、康介が熱心に見つめていることに偶然気づく。羞恥よりも「女として見られている」ことへのくすぐったい喜びと優越感が芽生え、胸の奥で何かが静かに動き出す。五感を使った密室の空気感と、まだ誰にも知られぬ秘密の共有が始まる予感を漂わせつつ、露出への意識的な一歩を踏み出すまでを描く。

第1章 弟たちの目線の高さで

夏の午後、私は弟の友達に見られていることに、はっきりと気づいた。

今となっては遠い日の出来事のように思えるのに、ふとした拍子に肌がひりつくほど生々しく、あの時の空気の匂いまで甦ってくる。当時、私は二十歳になったばかりで、母子家庭の狭いアパートで、四歳下の弟・悠太と二人、肩を寄せ合うようにして暮らしていた。母は水商売の仕事で夜遅くまで帰らず、六畳一間の居間と細長い台所、それから小さな浴室だけの間取りには、いつも若い男の子たちの声が反響していた。悠太の親友である康介と大和は、学校が終わるとまるで自分の家のように我が家へ上がり込み、狭い座敷に三人並んで座り込む。壁に背をもたれかけ、膝を突き合わせるようにしてテレビゲームに興じる少年たちの背中を、私はいつも台所の隅からぼんやりと眺めていた。

当時の私は、腰まで伸びた黒髪を無造作に垂らしただけの、小柄でほっそりとした体つきをしていた。身長は百五十センチ台半ばほどで、肌は日に焼けず、しっとりと白い。薄茶色の瞳は、どちらかといえば物静かな印象を与えるらしく、自分でも表情の乏しい顔だちだと思っていた。胸は慎ましやかで、カットソーの上からではほとんど起伏がわからない。それでも、痩せすぎているわけでもなく、太腿から腰にかけての曲線は女らしい丸みを帯びていて、二十歳の身体つきとしては、どちらかといえば幼げな色を残しているほうだった。

大学生になったばかりの私は居酒屋のバイトに明け暮れていて、家に帰ると疲れきって椅子に倒れ込むのが日課だった。あの日もそう、私はバイト先の黒いパーカーを脱ぎ、制服代わりのジーンズと薄手のカットソーに着替える間もなく、居間の真ん中に置かれた一脚のパイプ椅子に腰を下ろしていた。扇風機の首が首を振るたび、湿った風が頬を撫で、汗で張りついた前髪の数本がこめかみに絡む。冷えた麦茶を一気に飲み干し、空になったコップを膝の上で転がしながら、私はぼんやりと三人の様子を眺めていた。

ちょうどそのパイプ椅子の座面の高さが、床に座る三人の目線と、ほぼ同じ位置にあったのだ。

今思えば、この微妙な距離感こそが、すべての始まりだったのだと思う。狭い部屋の中で、視線の交錯はあまりにも無防備だった。自分の身体が少年たちの目にどう映っているかなんて、これっぽっちも考えていなかった。スカートではなくジーンズを穿いているから大丈夫だろうという、その無頓着さが、かえって私のあられもない姿を彼らの前に差し出していたのだ。ジーンズの股の部分は、椅子に座ることでぐっと食い込み、薄い布地の奥にある柔らかな膨らみを、まるで包み隠さず浮き立たせている。私は無意識に脚を少し開いて座る癖があって、その日も、疲れた太腿をだらりと左右に投げ出していた。股の中心はジーンズの縫い目にぴったりと覆われたまま、かすかに温く湿った空気を閉じ込めているのを、肌の内側でなんとなく感じてはいた。けれど、それが彼らにとってどれほど生々しく、どれほど目を奪われる光景なのか、まるで気づいていなかった。

康介の視線に気づいたのは、まったくの偶然だった。

悠太と大和がゲームの画面に声を上げているなか、ふと私が脚を組み替えようとした瞬間、視界の端で何かが動いた気がして、そちらへ視線を流したのだ。康介は、少し長めの黒髪を無造作に分け、細い縁の眼鏡をかけている。一見真面目そうな、物静かな少年だった。けれど、その眼鏡の奥の濃い茶色の瞳が、じっと私の股のあたりに据えられている。視線はまっすぐに、食い込んだジーンズの縫い目をなぞるように這い回り、彼の口元はわずかに半開きになっている。私はとっさに脚を閉じることもできず、ただそのままでいた。胸の奥で、どきりと心臓が跳ねる。康介は私が気づいたことに気づいていないのか、それとも気づいてなお目を離せないのか、視線がぴたりと縫い付けられたまま揺るがない。

そのとき私を襲ったのは、羞恥ではなかったのだ。もっとくすぐったくて、身体の芯のほうからじんわりと滲み出るような、熱に似た感情だった。彼は今、私のことを「悠太の姉ちゃん」ではなく、女として見ている。夏用に薄くなった布地一枚を隔てて、私の秘めやかな部分を、想像の中で剥き出しにしている。その確信が、私の皮膚の下をぞくぞくと這い回るような震えを呼び起こした。誰かにそんな目で見られたことなんて、それまで一度もなかったわけじゃないのに、こんなに近い距離で、しかも実の弟の友達に、と思っただけで、息が詰まるほど妙な昂奮がこみ上げてくる。

私はあえて脚を閉じなかった。それどころか、少しだけ腰の位置を動かして、ジーンズの股の部分がいっそうくい込むように身体を預け直した。布地が陰部の割れ目に沿って食い込む感触が、自分の動きで増してゆくのがわかる。閉じられた縫い目の下が、じわりと熱を持ち、汗のせいで布が肌に貼りついていくのがわかる。もしも彼らが大人だったら、こんなことはしなかっただろう。相手がまだ十六歳の、それも弟のように可愛がってきた少年たちだからこそ、私は自分の内側に渦巻くこの感情に、名前をつけることを先延ばしにできたのだ。康介はごくりと唾を飲むように喉を動かし、それでも視線を外さなかった。部屋の中に、テレビの電子音だけが虚ろに響いている。悠太も大和も、まだ私が作り出したこのひそやかな淫靡に気づいてはいないようだった。

でも、あのときの私はもう、確信的だった。この閉じた小さな部屋の中で、私と康介だけの秘密が、ひっそりと産声を上げたのだと感じていた。窓の外でじりじりと照りつける夏の陽射しが、カーテン越しに部屋の中をむんむりと暑くさせていて、汗ばんだ肌に張りつく空気がやけに粘っこく感じられた。首のうしろを汗が一筋、背中へと流れ落ちる。誰にも知られてはいけない、でも、誰にも止められない。胸の奥で静かに動き出した何かは、もう私の意思とは別のところで、次の瞬間を待ち望んでいたのだ。

その日から、私の身体は少しずつ、三人の視線を意識するようになっていった。

第2章 あえて開く脚と視線の蜜

第2章のシーン

第2章: あえて開く脚と視線の蜜

あの日、康介が私のパンツを覗いていると気づいてから、私の中で何かが決定的に変わってしまったのだと思う。まるで、ずっと蓋をされていた瓶の中から、甘ったるい蜜がとろりと溢れ出すみたいに、胸の奥のくすぐったい熱が、ゆっくりと全身に広がっていったのだ。私はそれを、「いけないこと」と感じるよりも先に、もっと深く味わいたいと思ってしまった。

次の日、大学の講義を終えてアパートに戻ると、もう三人はいつもの場所にいた。悠太と大和は居間の真ん中でテレビゲームに夢中で、康介だけが少し離れた壁際で、膝を抱えて画面を眺めている。私は「ただいま」と短く言って、自分の定位置である折り畳み椅子に腰を下ろした。ジーンズ越しに、ひんやりとした座面の感触が腿の裏に伝わる。心臓が、いつもより少し早く打っているのを感じた。

――今日は、あの子、見るかな。

私は鞄から教科書を取り出すふりをしながら、そっと康介のほうを盗み見た。彼は相変わらず無表情で、瞳の奥の視線はゲーム画面に固定されているように見える。でも、私はもう知っている。この子は、私が脚を少し開くだけで、その瞳に熱い灯をともすのだ。それがわかっているからこそ、私はまるでこれから舞台に上がる役者のように、胸の高鳴りを抑えながら、最初の仕草を始めるのだ。

そう、ただの体育座り。膝を軽く立てて、ふくらはぎを腕で抱える、どこにでもある普通の格好。だけど、あの日まではきっちり閉じていた腿のあいだに、ほんの少しだけ、本当にわずかな隙間を作る。私は教科書のページをめくる指先に意識を集中させているふりをしながら、自分の身体の中心が、じわりと熱を帯びていくのを感じていた。下着は、今朝わざわざ選んだ薄い桃色のショーツだ。履くときに、一瞬、鏡を見た。小さなリボンがついていて、布地は柔らかくて、私の皮膚のすぐ下で眠っている割れ目の形に、ぴったりと吸いつくようだった。その感触を思い出すだけで、顔がほてる。

私はページをめくる手を止め、視界の隅で康介のようすを探った。彼は、まだ動かない。でも、何かが違う。ゲームのコントローラーを握る彼の指が、ほんの少しだけ強張っているように見えた。その視線は、もう画面にはない。私の膝のあたりで、まるで空気が揺らめくみたいに、熱を帯びた何かが、じっと止まっているのを感じた。

――ああ、見てる。やっぱり見てるんだ。

その確信が、私の腿の内側をぞくりと這い上がる。私は、さりげない動作を装って、抱えた膝を、さらに少しだけ外側に開いた。正面から見たら、私のジーンズの股の部分が、ぐっと布地を引っ張られて、中心の縫い目が食い込んでいるのがわかるかもしれない。ジーンズの硬いデニム地が、下着の柔らかな綿を押しつぶして、私の一番敏感な部分に、じかに圧力をかけてくる。そのほんの小さな刺激が、今の私には、信じられないほど甘美な疼きに変わっていた。

教科書を読むふりをしながら、私はゆっくりと顔を上げた。そして、真正面から康介と目を合わせた。彼ははっとして、慌てて視線をそらそうとしたけれど、間に合わない。私の目は、彼のその動揺を、しっかりと捕まえてしまったのだ。彼の頬が、ほんのりと赤く染まるのが見えた。私は、何も言わなかった。ただ、唇の端をほんの少しだけ上げて、彼にだけわかるように、かすかに微笑んでみせた。

その瞬間だった。康介が、まるで秘密の合図を送るみたいに、隣にいる大和の腕を、そっと肘でつついたのだ。

ドキリ、と心臓が跳ねた。大和が、ゲームから顔を上げる。康介は何も言わず、ただ顎をしゃくるようにして、私のほうへと目配せをした。大和の大きな茶色い瞳が、一瞬きょとんとしてから、ゆっくりと私の下半身のあたりに向けられる。それとほぼ同時に、私の弟である悠太までもが、二人の様子に気づいて、同じ方向を見た。

三人の、十六歳の少年たちの視線が、一斉に私の股間に、つき刺さった。

部屋の空気が、瞬間、凝固したみたいだった。テレビから流れるゲームの陽気な音楽だけが、場違いに空虚に響いている。私は息を呑み、全身の感覚が、その一点にだけ集中するのを感じた。ジーンズの縫い目が、ぬるりとした私自身の熱で、少しだけ湿ってきている感触まで、彼らに見透かされているんじゃないかという錯覚。恥ずかしさ、だけじゃない。それよりももっと強烈な、体の芯を震わせるような何かが、私を貫いた。

――弟の悠太まで、私のことを……こんな目で、見てるんだ。

その事実が、頭のどこかを白く灼く。小さい頃から知っている、無邪気で甘えん坊だった悠ちゃん。守ってあげなきゃと思っていた、たった一人の弟。その子が今、友達と一緒になって、女としての私の、一番恥ずかしい場所に視線を注いでいる。普通なら吐き気を催すほどの嫌悪感を抱くべきなのに、私は……私は、言いようのない、背筋が震えるような興奮を、たしかに感じてしまっていたのだ。

私は、彼らの視線を受け止めながら、さらに一歩、踏み出すことにした。ゆっくりと、抱えていた膝から腕を解き放つ。そして、腿のつけ根で組むようにして、足の裏をぴったりと合わせ、膝を左右にぐっと開いた。まるで蝶が羽を広げるような、教科書通りのM字開脚。

ジーンズの布地が張りつめて、股の中心がパンパンに膨らむのが、自分でもはっきりとわかる。あそこの、柔らかな肉のふくらみが、硬い縫い目に押し潰されて、ぷっくりと左右に割れているに違いない。私はもう、彼らから目をそらさなかった。教科書はとっくに膝の上から滑り落ちている。喉がからからに渇いて、心臓は早鐘を打つように鳴り響いているのに、頭の中は不思議と冷静だった。

三人の目は、もう完全に私の中心に釘付けになっていた。康介の眼鏡の奥の瞳は、恐怖にも似た真剣さで見開かれている。大和は、わずかに口を開けて、呼吸をするのも忘れているみたいだった。そして悠太……悠太だけは、どこか困ったような、それでいて抗えないものを見るような、複雑な顔をしていた。それでも、絶対に目を逸らそうとはしない。

誰も、一言もしゃべらない。ゲームの音楽だけが、無人の部屋に鳴り響いている。私は、その沈黙の中で、彼らの視姦という名の熱い手が、ジーンズの上から、私の秘部の輪郭を執拗になぞっているのを、はっきりと感じていた。その視線の圧力は、直接触れられるよりも、もっと深く、もっと淫らに私の内側に侵入してくる。

「……なに、見てるの?」

私は、自分でも驚くほど静かな、しかし甘く湿った声で、初めて彼らにそう尋ねた。

三人は、まるで落雷に打たれたかのように、一斉に硬直した。康介は弾かれたように下を向き、大和は意味もなくコントローラーをいじり始める。悠太は、かあっと首まで真っ赤になって、「な、なんでもない!」と、裏返った声で叫んだ。私は、その動揺のすべてを、目に焼きつけながら、もう二度と戻れない場所に足を踏み入れてしまった予感に、全身が甘く痺れていくのを感じていた。

この沈黙こそが、私たちだけの淫らな秘密を、永遠に物語っているかのようだった。

第3章 裸身を横切る息詰まる沈黙

第3章のシーン

第3章: 裸身を横切る息詰まる沈黙

六月の半ば、蒸し暑さがアパートの狭い廊下にまで這い寄ってくる夜のことだった。私はいつものように居酒屋のバイトから戻り、汗ばんだ身体をそのままに脱衣所へと向かった。黒いパーカーを脱ぎ、ジーンズのボタンを外して腰から引き下ろす。衣類カゴにブラウスとスカートをくしゃりと丸めて落とし、下着だけの姿で鏡をちらりと見る。そこに映るのは、小柄で慎ましやかな胸のふくらみを包む白い綿の簡素なブラジャーと、同じ布地のショーツだけをまとった、二十歳の平凡な女。汗で湿った下着が肌に張りついて、乳房の輪郭と脚の付け根のやわらかな膨らみを、隠すどころかかえって際立たせていた。

その姿のまま、私は浴室のドアを開け、湯をかぶる前に少しだけ考える。居間には、あの子たちがいる。悠太と康介、それに大和。私が浴室に入る前から、彼らはソファと座布団のうえでテレビゲームに興じていて、コントローラーのボタンを叩く音と、時おり漏れるくぐもった笑い声が、薄い壁越しに微かに届いていた。いつもと変わらない、平和な夕暮れの音。けれど、これから私が仕掛けることで、その平和が静かにひっくり返るのかと思うと、胸の奥がきゅうっと疼いて、じわりと下着の中心に湿度が滲むのがわかった。

まずは、この姿で居間を通る。汗ばんだ下着姿のまま、何食わぬ顔をして、彼らの前を横切ってみる。私の身体のどこまでが、彼らの眼を捉えるか。その反応を見定めてから——私は浴室の蛇口をひねり、肌を洗いながら、次の段階を組み立てていく。

そう、この数日で、私のなかで何かが決定的に変わり始めていた。M字に開いた脚のあいだに三人分の視線が突き刺さる瞬間の、ぞくぞくとしたあの感覚。それはもう、偶然でもなければ彼らに気づかぬふりをするような中途半端なものでもなかった。私の意志で、私の身体を使って、彼らの眼を奪う——その倒錯した饗宴が、まるで甘い毒のように私の日常へと染み込んでいったのだ。

身体を洗い終え、髪の泡を丹念にすすいだ私は、いったん浴室を出て、脱衣所に用意してあった白い綿の下着を身につけた。まだしっとりと湿った肌に、乾いた布がぴたりと吸いつく。ブラジャーのカップに乳房の下の膨らみがこうして持ち上がる感触が、いつもより濃密に意識へとのぼってくる。ショーツの中心、まだ微かに湿った陰毛の茂みを包む布地が、歩くたびに私の秘部の輪郭をなぞる。心臓がとくとくと速くなり、耳の裏にじんわりと熱が集まる。浴室の白い湯気と脱衣所の空気が混ざり合う、あの湿った雨上がりの匂いに似た空気を吸い込むたび、喉の奥がからからに渇いていく。

私は大きく息を整え、濡れた髪からぽたぽたと水滴が落ちるまま、脱衣所から居間へと続く短い廊下へ踏み出した。湿った素足が、古いフローリングの冷たさをじかに吸い上げて、ぺたりと小さな水音を立てる。下着だけの姿で歩く感覚が、ひどく露わで、ひどく自由で、まるで薄い布一枚だけをまとって熱帯の夜を歩くような生々しさに似ていた。ブラジャーの肩紐が食い込む場所、ショーツのゴムが腰骨を締めつける場所、そのわずかな圧迫感がかえって、布に隠された部分の輪郭を痛烈に意識させる。

居間の引き戸は開いていた。テレビの画面が色とりどりの光を放ち、ゲームの電子音が規則正しく続いている。私が部屋の敷居をまたいだ瞬間、最初に気づいたのは、やはり康介だった。彼はソファの手前、座布団のうえに体育座りをしていて、ちらりと私のほうを向いたまま、その目が眼鏡の奥で見開かれるのが、まるでスローモーションのようにはっきりと見えた。彼の口が、言葉をなくしたように半開きになり、手に持ったコントローラーがかたんと膝のうえで鈍い音を立てる。彼の濃い茶色の瞳は、私の顔ではなく、濡れた髪の先から滴る水が伝う首筋でもなく、白いブラジャーに包まれた胸のふくらみと、ショーツの上から浮き出た股の中心のくぼみを、一度に捉えようとするみたいに泳ぎ、その眼鏡の奥の視線がやけに熱っぽく揺れた。

次に、悠太。私の弟は、ソファの隅にだらりともたれていた姿勢のまま、首だけをぎこちなくこちらへ向けた。黒目がちな瞳が、私の下着姿の全体を、何がなんだかわからないというふうに、ゆっくりと上下する。彼の口元がかすかにひきつって、何か言おうとした息が、喉の奥でかすれた吐息になった。それから、彼の唇が、ほとんど無意識のように、かすかに動いた。

「……姉、ちゃん」

それは、呼びかけるというよりも、自分自身に確かめるための、ひどく小さな声だった。悠太の指が、ソファの縁をぎゅっと握り、その細い肩がまるで戸惑いを吐き出すみたいに、ふっと上下したのがわかった。彼の視線は、姉である私の下着のあいだから覗く肌の白さ、太腿の内側のやわらかそうな肉づきを、恐る恐るなぞっていた。

そして大和。彼はソファの背にだらりと腕を預けて、少し離れた位置からテレビを見ていたのだが、他の二人の異変に気づいて顔を上げ、私を正面から捉えた。彼の明るい茶色の瞳が、一瞬で真剣な光を宿して、私の顔ではなく、私の身体の真ん中あたり——汗と湯気に湿りを帯びたブラジャーの先の、淡く尖り始めた乳首の位置から、白いショーツの影に浮かぶ、うっすらと茂った陰毛の輪郭までを、ごくりと唾を飲むような間で見下ろした。彼の長い脚がぴくりと動き、スウェットの膝が擦れるかすかな布擦れの音が、やけに大きく響いたような気がした。

私は、三人の視線を肌に突き刺したまま、居間の真ん中をゆっくりと横切った。下着姿の私が一歩踏み出すたびに、ブラジャーのカップの上で慎ましやかな乳房がわずかに揺れ、ショーツからこぼれそうな太腿の白さが、部屋の蛍光灯の下でしっとりと光る。股のくぼみが、まだ乾ききっていないショーツの中心に、はっきりと刻み込まれているのが、自分でもわかるほどだった。恥ずかしさよりも先に、熱いものが込み上げてきた。三人の若い男の子たちが、私の下着姿を、息を呑んで、まばたきもせずに見つめている。この部屋の空気を、私の身体が支配している——そのことが、ショーツの奥でじわりと熱いものを滲み出させ、布地がわずかに湿っていくのを感じた。

そのまま、私は奥の自室へと続く襖に手をかけた。襖を開けて半身を部屋に滑り込ませる直前に、私はちらりと振り返り、ほんの一瞬だけ彼らのほうを見た。大和が、ひときつい視線で私の背中を追っていた。いや、正確には、私の腰のあたり——ショーツが食い込む臀部のふくらみと、そこから伸びる脚の線を、彼の瞳が焼きつくように見つめていた。それが、屈辱でもなく、羞恥でもなく、もっと別の、名前をつけてはならない甘い予感に似た痛みを下腹へ与えた。

襖を閉め、私は自室の薄暗がりのなかで立ち尽くした。心臓は早鐘を打ち、ショーツの中心はしっとりと熱く湿っていた。まだ髪から滴る水が、鎖骨や胸のふくらみを伝い、臍のくぼみをなぞって、さらに下へとつうっと流れていく。それでも、今の私には足りなかった。下着姿で横切るだけで、彼らは十分すぎるほどに私を見たけれど、それではまだ、この胸の奥で暴れている熱いものが、満ち足りない。私は、この白い布一枚さえも、自分で剥いでしまいたい。濡れた髪も、湿った肌も、尖りかけた乳首も、すっかり女の匂いを含んだ陰毛の茂みも、すべて、あの三人の視線のなかに置いてしまいたい——。

私は大きく息を吸い込んでから、背中に手を回し、ブラジャーのホックを外した。肩紐が腕を滑り落ち、カップが乳房から離れていく。続いて、ショーツの両脇に指をかけて、腰から太腿へと押し下ろした。湿った布が陰毛を抜け、股の中心からは、見えない透明な糸がしばらく粘って、私の指を汚した。それを振り払うように、私は下着を脱ぎ捨てた。そこには、生まれたままの肌と、空気に触れて尖り始めた淡い桃色の乳首と、しっとりと濡れた陰毛の茂みだけが、薄暗い部屋のなかに残される。

私は裸のまま、再び襖に手をかけた。脱衣所のことも、タオルのことも、もう頭の片隅にもなかった。浴室のドアを開けて洗面所へ抜け、そのまま居間へと続く短い廊下へ踏み出す。一歩、二歩。湿った素足が、古いフローリングの冷たさをじかに吸い上げて、ぺたりと小さな水音を立てる。まだ滴る髪の先から、ぽたぽたと水滴が落ちて、私の鎖骨や胸のふくらみを伝い、臍のくぼみをなぞって、さらに下へとつうっと流れていく。その感触が、やけにいやらしくて、自分で歩いているのに自分の身体じゃないみたいな、ふわふわした距離感に包まれた。さっきまでの下着姿とは、まるで違う。あの白い布だけでも、まだ私の身体の一部を隠していた。あのわずかな壁が、彼らの視線を恥じらう言い訳になっていた。けれど今は、その壁さえない。生まれたままの肌と、いつもより敏感に尖った乳首と、しっとりと濡れた陰毛の茂みが、部屋の明かりのなかにどこまでも剥き出しになって、彼らの眼を待っている。

居間の引き戸は、まだ開いていた。テレビの画面が色とりどりの光を放ち、ゲームの電子音が規則正しく続いている。私が部屋の敷居をまたいだ瞬間、最初のときよりはっきりと、三人の視線が一斉に私へ突き刺さった。康介は、眼鏡の奥の目を限界まで見開き、手にしたコントローラーを落としかけて、それを取り落とすまいと両手で抱え込むようにして固まった。悠太は、ソファの隅から身を起こしかけ、片手を宙に浮かせたまま、私の乳首から、陰毛の茂みへ、それから私の脚のあいだの暗がりへと、視線を引きずり落としていった。その唇が、何度も小さく開いて閉じて、言葉というよりは空気の塊を吐き出すみたいな動きをくり返していた。

そして大和。彼は、私が下着姿で通ったときとは比べ物にならないほど、激しい目つきで私を見ていた。彼はソファに預けていた背中をゆっくりと起こし、無防備に片足を床へ下ろした。彼のつま先がフローリングをかすり、身を乗り出す手前でかろうじて止まった、その半端な姿勢のまま、私を見上げるようにして凍りついた。彼の明るい茶色の瞳は、もはや隠しもしない熱を宿して、私の乳房の先から、うっすらと茂った陰毛のあたりまでを、ごくりと唾を飲むような間で見下ろしていた。彼の目が、私の脚の付け根のくぼみに吸い寄せられるたび、そこがまた、じわりと湿っていく。

三人とも、凍りついたように動けなくなっていた。ゲームの画面では、キャラクターが無意味に走り続け、軽快な音楽がむなしく流れている。それなのに、居間の空気だけがぴんと張りつめて、誰一人として口をきかない。私も、何も言わなかった。ただ、濡れた裸のまま、部屋の真ん中を横切る——そのことだけに意識を集中させて。

私は一歩、また一歩と、ゆっくりと彼らの正面を過ぎった。自分の乳房が歩くたびにかすかに揺れるのを、自分でも感じる。慎ましやかな膨らみの先で、桃色の乳首がつんと尖っているのが、部屋の明かりに照らされて彼らに見えているはずだ。それから、脚の付け根のあたり。太腿を伝って落ちる水滴が、陰毛のしっとりとした茂みを濡らし、その中央の割れ目をそっと舐めるように流れていく。恥ずかしさよりも先に、熱いものが込み上げてきた。見られている。三人の若い男の子たちが、私の裸を、息を呑んで、まばたきもせずに見つめている。この部屋の空気を、私の身体が支配している——そのことが、下腹部の奥をきゅんと疼かせ、じわりと熱いものが滲み出そうになるのを感じた。

そのまま、私は奥の自室へと続く襖に手をかけた。背後で、誰かの息が、はあっと長く吐き出されるのが聞こえた。襖を開けて半身を部屋に滑り込ませる直前に、私はちらりと振り返り、ほんの一瞬だけ彼らのほうを見た。大和と目が合った。彼は、ひときわ真剣な、それでいてどこか熱に浮かされたようなまなざしで、私の腰から下をじっと見つめていた。私の陰毛の具合が、太腿の内側のやわらかさが、彼の眼に焼きついているのがわかった。

襖を閉め、私は自室の薄暗がりのなかで立ち尽くした。心臓が早鐘を打ち、太腿のあいだはじっとりと熱いものがにじんで、自分の匂いがふわりと鼻をつく。さっきまで感じていた、自分の身体が自分のものではないような浮遊感は、まだ続いていた。でも、その違和感は嫌なものじゃなかった。むしろ、自分という存在がもっと大きな、もっと深い何かに変わっていくような、身を任せたくなる甘やかさがあった。壁の向こうからは、しばらくして、ぎこちなく再開されたゲームの音が聞こえ始めたけれど、さっきまでの無邪気な熱気はすっかり失われて、どこか上の空の操作音が混じっていた。私は、そのままの裸でしばらく立ち、胸の尖りを指でそっと押さえながら、静かに息を吐いた。下着姿で見せたときの反応と、こうしてすべてを曝したときの反応とが、身体の芯のまだ浅い場所で、ゆっくりとひとつに溶けて混ざり合っていく。そのかき混ぜられるような甘い疼きを確かめながら、私はしばらく、壁に背を預けて目を閉じたのだった。

第4章 ペディキュアとドライヤーの風

第4章のシーン

それは土曜日の午後、外は梅雨の晴れ間の蒸し暑さで、アパートの部屋には扇風機の風が生ぬるく回っていた。数日前の、あの裸で部屋を横切った夜の記憶が、太腿の内側にまだ張りついた薄い膜のように、ともみの肌のどこかにこびりついている。彼女はシャワーを浴びたあと、いつものようにバスタオル一枚を身体に巻きつけて、素足のまま居間へと出た。髪はまだ湿っていて、肩から背中にかけて張りつくタオルの布地に、じわりと水の染みが広がっていく。冷房のない部屋で、肌にまとわりつく湿気が、湯上がりの火照りをいつまでも冷ましてくれない。くすんだ畳の匂いと、洗い立ての石鹸の残り香が、むっとした空気の層のなかでゆっくりと混ざり合っていた。

三人はソファと座布団に散らばって、またテレビゲームに夢中になっているふうだったけれど、ともみが部屋に入った瞬間、康介の指がコントローラーのボタンを押し間違えたのか、画面のキャラクターが派手に爆発する音がした。爆発の閃光が、薄暗い居間の壁に一瞬、青白い影を走らせる。その光のなかで、康介の眼鏡の奥の濃い茶色の瞳が、明らかに、彼女の脚のほうへと吸い寄せられていた。

ともみは何も言わずに、いつもの定位置、テレビの斜め前にあるパイプ椅子に腰を下ろした。背もたれに浅く尻をかけ、片脚を組む。バスタオルの裾がつれて、太腿の半ばまでが露わになった。まだ水滴の光る、白くてやわらかい腿の内側。そのほの明るい肌が、湿った空気のなかで、うっすらと湯気を放っているようにも見えた。彼女はそれを隠そうともせず、サイドテーブルから小さな瓶を取り出した。ペディキュアの、深い紅色の小さな瓶だ。何気ない動作で瓶を振り、刷毛を引き抜くと、甘いような、シンナーのような刺激臭がふわりと鼻をつく。ともみは身をかがめるようにして、右足の親指にそっと刷毛をあてた。

そのとき、彼女の脚のあいだ、タオルでかろうじて隠れた中心の場所が、ほんのわずかに開いたのが自分でもわかった。ともみは刷毛を動かしながら、そっと膝を外へ開いていく。最初はほんの数センチ。でも、ペディキュアを塗るために足先を見るふりをして、少しずつ、もっと深く。やがて、椅子の座面に太腿の裏が吸い付くほどにまで開いたとき、バスタオルの合わせ目が、彼女の陰部のすぐ横でぴんと張りつめ、もう少しでこぼれ落ちそうな危うさで止まった。蜜色の陰りをまとったその布目が、三方向からの視線を、暗く、柔らかく受け止めている。

(……ああ、見られてる。あの夜と同じ、三人の、目。息づかいが、違ってきてる……)

「……ともみさん、それ」

最初に口を開いたのは、康介だった。彼は座布団の上で正座の姿勢のまま、眼鏡の奥の目を、ともみの脚のつけ根に釘付けにしていた。指先は、膝の上で、ぎゅっとスウェットの布を握りしめている。

「足、きれいですね」

その声は、喉の奥から絞り出すように、かすれていた。ともみは顔を上げずに、爪に集中しているふりを続ける。刷毛の先が、親指の爪の半月のふちをなぞるたび、紅の色がぷっくりとした爪半月の上に、血液よりも濃い液膜を広げていった。

「あら、康ちゃん、わかる? ちょっと気分転換したくてね」

彼女はわざと軽い調子で返した。でも、声の終わりが、ほんの少しだけ震えているのを、自分自身の耳の奥で感じていた。康介はごくりと唾をのむと、おもむろに立ち上がり、洗面所のほうへと歩いていった。ゲームの音楽だけが、むなしく部屋に流れている。悠太はソファの端で、手に持ったコントローラーを動かすでもなく、じっと姉の脚を見ている。黒目がちな瞳の奥に、姉弟という関係を忘れかけた、警戒と憧憬の混じった光がゆれていた。大和は、少し離れた壁にもたれて、腕を組んだまま、何か熱に浮かされたような目で彼女の全身を舐めるように見下ろしている。

(大和くん……あの、上から見る目。全部、はがされてるみたいで、ぞくぞくする)

すぐに康介が戻ってきた。手には、黒いドライヤーを持っている。コードが、彼の足元で、迷子の蛇のように長く伸びていた。

「あの……まだ濡れてるみたいなんで。風、当てましょうか」

ともみは、心臓がとくんと大きく跳ねるのを感じた。来た、と思った。この子は、自分が作った舞台に、ちゃんと乗ってきたのだ。彼女は顔を上げて、康介に微笑みかける。

「ありがとう、康ちゃん。優しいね。でも、今は足を乾かしたいの。ここ、座って当ててくれる?」

彼女は自分の股のあいだ、バスタオルがかろうじて陰りを作っている、まさにその場所を指さした。細い人差し指の先が、布の合わせ目から、まだ見えない裂け目の上を、ほんの二秒ほど、ゆっくりと横切る。康介の喉が、また上下する。彼はこくりと小さくうなずくと、彼女の脚のすぐ前に正座した。彼の制服の膝が、汗でしっとりと湿っているのが見えた。部屋の熱気と、彼の緊張とが、布地に小さな染みを作っているのだろう。扇風機の風とは違う、生あたたかなドライヤーの風が、ごう、と音を立てて吹き出した。

「ああ……気持ちいい……」

ともみは思わず声を漏らした。温風が、彼女の太腿の内側の、しっとりと濡れた肌を撫でていく。それは、ただの風のはずなのに、目に見えない無数の舌が、彼女の一番敏感な場所のすぐ近くを、ざらざらと舐め回しているような感触だった。乾きかけの産毛が、風のゆらぎのなかで、一斉にそよいだ。康介は、無言だった。彼の顔は、彼女の膝の高さよりも下にある。眼鏡の奥の黒い瞳が、じっと、バスタオルの合わせ目、その暗がりの奥を覗き込もうとしていた。

ともみは、彼の視線の熱さを、自分の性器のひだの一枚一枚で感じていた。まだ完全に乾いてはいない、生乾きの陰毛が、温風にふわりと揺れる。そのすぐ下にある、薄紅色の襞が、かすかに湿り気を帯びて、ひくひくと小さく痙攣するのを、自分ではっきりと自覚していた。ドライヤーの風向きが、少し変わる。風が、より直接的に、彼女の割れ目の中心を狙い始めた。粘膜の手前で渦を巻いた熱風が、敏感な蕾のまわりを、執拗に、やわらかくかき回す。

(あ……いや……見えてる……わたしの、おまんこ、康ちゃんに、全部……あの子、息、荒くなってる……)

羞恥とは別の、甘い痺れが、子宮の奥からこみ上げてくる。ともみはもう、ペディキュアの刷毛を持つ手を止めていた。両手をだらりと垂らし、ただ、自分の股を、弟の親友の眼前に、無防備に開け放っている。彼女は、背筋を思い切り反らせて、腰を少しだけ彼のほうへと突き出すようにした。パイプ椅子が、ぎしり、とひとつ、軋む。座面にひらいた太腿の、内ももの一番やわらかな肉が、べったりと椅子に張りついて離れない。

康介は、無言のまま、ドライヤーを持つ手を、ほんの数センチ、彼女に近づけた。もう、風の熱さと、彼の吐息の熱さの区別がつかない。ともみの秘裂の、一番敏感な小さな蕾に、じかに風が当たった瞬間、彼女はぶるりと身体を震わせた。

「んっ……」

鼻にかかった、甘い声が、自分の口から漏れた。もう、見られてる、なんて段階じゃない。自分は今、この康介くんという少年の手によって、ドライヤーという道具で、愛撫されているのだ。その倒錯した事実が、ともみの理性をじわりじわりと溶かしていく。愛液が、とろりと、膣口から滲み出て、バスタオルの内側の、暗い布地に染み込んでいくのがわかった。どろりと熱い蜜が、内腿のつけ根を、ゆっくりと一筋、流れ落ちる感触まで、はっきりと知覚してしまう。視界の隅で、悠太が息を呑み、大和がじっとりと股間を押さえるようにしてスウェットの上から手を当てているのが見える。彼らも、彼女の痴態を、固唾を呑んで見つめているのだ。

沈黙が、部屋を支配していた。ゲームの音は、いつのまにか、誰かが消したのだろう。聞こえるのは、扇風機の首振りの音と、ドライヤーの唸り声、そして四人分の、荒く、熱っぽい、獣じみた息遣いだけだった。部屋の隅で、古い畳と若い汗の匂いが、むわりと湯立つように、ともみの鼻腔をくすぐる。

「と、……ともみ、姉……」

かすれた声で、悠太が彼女を呼んだ。その声に、姉としての情けなさや、禁断の行為への怯えが混じっているのを聞き分けながら、ともみの身体は、もう止まれないところまできていた。彼女は、ゆっくりと自分の右手を、太腿の上に滑らせた。指先が、汗ばんだ自分の肌の上で、ぬるりとあとを引く。そして、康介の前で、自分の指で、バスタオルの端を、つまみあげた。布の先から、たまっていた湯気と、女の匂いが、ほんの少しだけ逃げていく。

「康ちゃん……もっと、よく見せてあげよっか……?」

彼女のその言葉に、康介がはっと息を呑み、ドライヤーを取り落としそうになりながらも、ともみの中心を凝視するのをやめない。部屋の熱と、淫らな羞恥と、抗えない優越感が、彼女の膣の奥で、ぐちゃぐちゃに混ざり合って、どろどろに蕩けていた。もう、だめかもしれない。でも、その一線を、超えたい。彼女は彼の眼の前で、震える指を、タオルの端にかけたまま、息を詰めた。これ以上ない、臨界点の空気だけが、狭い居間に、重く、濃く、満ち満ちていた。

第5章 浴室で触れ合う互いの中心

第5章のシーン

第5章: 浴室で触れ合う互いの中心

あの臨界点の空気から、どれだけの時間が流れたのかはわからない。康介がドライヤーを落としそうになりながら私の股ぐらを見つめ、悠太がかすれた声で私を呼び、大和がスウェットの上から自分の股間を押さえつけていた、あの土曜日の午後。結局、私はバスタオルの端を摘まみあげたものの、そこから先へは進めずに、なんでもない顔でペディキュアの刷毛を瓶に戻し、「ありがと、康ちゃん、もう乾いたわ」と微笑んで、彼らを解放したのだった。三人は何も言わず、居間には気まずい沈黙だけが堆く積もり、やがて誰からともなく帰り支度を始めた。しかし、あの日の淫靡な熱は消えるどころか、私の下腹部の奥でくすぶり続け、次なる逢瀬の機会を虎視眈々と待ちわびていたのである。

その機会は、不思議と早く訪れた。それから数日後の、やはり蒸し暑い午後のことだ。外は梅雨明けを思わせる強い日差しが照りつけ、アパートの部屋の中には、むわりと生あたたかい空気がよどんでいた。その日は平日で、悠太は学校の補習、康介は用事があるとかで、なぜか大和だけがぽつりと一人でやって来たのだ。彼はいつものように学生服ではなく、部活帰りなのか、汗で薄汚れた白いTシャツと紺のジャージ姿だった。「悠太、補習で遅くなるって」「うん、知ってるよ」私はそう返しながら、自分の心臓が、小さく跳ねるのを、はっきりと自覚していた。今日は、誰もいない。この背の高い、無口で、でも時折熱っぽい眼差しを私に向ける少年と、二人きりなのだ。その事実だけで、太腿の内側がじんわりと湿り気を帯びてくるのを感じる。

大和は、いつものように居間のソファにだらりと腰を下ろし、テレビもつけずに、ぼんやりと窓の外を眺めていた。私はキッチンで麦茶をコップに注ぎながら、彼の背中を盗み見る。Tシャツの下で動く肩甲骨の、薄くて硬そうな筋肉。日に焼けた太い首筋。そして、立ち上がったときの、見上げるような長身。そのすべてが、今の私には、たまらなく雄としての輪郭を帯びて見えた。私は麦茶を差し出しながら、できるだけ何気ない声音を作って言った。

「大和くん、今日、部活? 汗、すごいね」

大和はコップを受け取り、一気に半分ほど飲み干すと、「はい、すごい汗かきました」とだけ短く言い、自分のTシャツの襟ぐりをつまんで、ぱたぱたと風を送った。その仕草から、若い皮膚の匂いと、かすかに酸っぱい汗の匂いが、ふわりと私の鼻腔をくすぐった。その匂いを嗅いだ瞬間、私の下腹部の奥が、きゅうん、と疼く。

「シャワー、浴びてく? 汗、気持ち悪いでしょ」

私の提案に、大和は少し驚いた顔をしてから、こくりとうなずいた。

「でも……着替え、ないです」

「タオルは貸してあげる。それに、もしよかったらだけど……」

私は、ここで言葉を切り、自分でも信じられないような次の台詞を、冗談めかした口調に包んで放った。

「一緒にお風呂、入っちゃう?」

浴室の外で、心臓が早鐘を打つのが分かった。顔が、カッと熱くなった。何を言ってるんだ、私は。二十歳にもなって、弟の友達の、それも十六歳の少年を、風呂に誘うなんて。大和はきっと、冗談だと思うだろう。あるいは、ドン引きして、気まずい沈黙が流れるだけだ。そう思って、慌てて「冗談よ」と言おうとした、その瞬間。

「いいですよ」

大和は、真顔で、私の目をじっと見つめて、そう言った。その明るい茶色の瞳は、まるで当然のことのように澄みきっていて、私の方がかえって、ぎくりと心臓を掴まれたようになった。もう、引き返せない。私は口の中がからからに乾いていくのを感じながら、彼を脱衣所へと導いた。

脱衣所の狭い空間に二人で立つ。私の背の高さは、彼の肩のあたりまでしかない。壁に掛けられた鏡には、年上の女、姉の立場である私の、ひどくうろたえた表情と、大和の、落ち着き払った横顔が並んで映っていた。私は震える指で、まず自分のTシャツを脱ぎ、ジーンズのジッパーを下ろした。大和も、無言でTシャツを脱ぎ捨て、濡れたタオルのように床に落とす。鏡越しに彼の裸の上半身が見える。まだ少年のそれだけれど、胸板は薄く引き締まり、腹筋の中央にはかすかな縦線が走っている。日に焼けた肌は、湿度を吸ってしっとりと光って見えた。彼はためらいもなくジャージと下着を一緒に脱ぎ去り、一糸まとわぬ姿になった。

私は、息を呑んだ。彼の股間には、もう既に、彼の意思とは無関係に、それは存在していた。まだ完全に硬くはないけれど、明らかに平常時よりも充血して、その重みと熱さを主張するように、ゆるく上を向いている。包皮の先から、淡い紅色の亀頭が少しだけ顔を覗かせ、浴室のぼんやりとした明かりをぬらりと照り返していた。その、自分の体の一部ではない、異物としての“男”が、今、この密室で、私の目の前に曝け出されている。私の膣の奥が、ぎゅうっと引きつるように収縮し、じわりと熱いものが滲み出て、自分の下着の布地を湿らせた。

私も、下着を脱いだ。ブラのホックを外すとき、自分の乳房が、重力に従ってかすかに揺れるのを感じた。小さな胸の先端にある淡い桃色の乳首はもう、空気に触れる前から、硬くつんと尖り、ぴりぴりと痛いほど敏感になっている。私は彼に背を向け、腰をかがめてショーツを脱いだ。自分の太腿のつけ根、うっすらと茂った陰毛が覆う秘裂から、女の匂いが、ほのかに立ち上っているのを、自分で感じた。すべてが、これからの行為への、身体じゅうの準備だった。

浴室の引き戸を開けると、むわりと湿った熱気が肌にまとわりつく。私はシャワーの栓をひねり、湯を出した。狭い浴室に、シャーッという水音だけが満ちる。無言のまま、大和が私の後ろに立った。鏡越しではなく、すぐ背後の、彼の体温と、心臓の鼓動まで感じられそうな距離で、私はふたたび心臓をどきどきさせた。

「じゃあ……身体、洗おっか」

私は振り返らずに言った。声がうわずっていないか、それだけが気がかりだった。小さな風呂椅子に座ると、大和も隣の椅子に腰を下ろす。浴槽に溜めた湯を桶で汲み、そっと互いの肩にかけ合う。生ぬるい湯が、私の背中を伝い、丸いお尻のふくらみを濡らしていった。

「背中、流してあげるね」

私は泡立てたタオルで、大和の背中をこすった。彼の背中は広くて、硬くて、肌はハリがあって、絹のように滑らかなのに、その下に若い筋肉の弾力を隠していた。背骨のラインをなぞるようにタオルを滑らせると、大和の首筋から、ツンとする汗の匂いと、男の子特有の、どこか甘やかなフェロモンの匂いが立ち上る。

「ともみさんも、洗います」

大和が突然、そう言った。彼の大きな手が、泡のついたタオルを持って、私の背中に触れる。ゴシゴシと、少女を洗うように無骨で、でもどこか緊張した手つきが、逆に私の肌を敏感にさせた。首筋から、肩甲骨の間、腰のくびれ、そして、お尻のふくらみの上まで、彼は一気にタオルを滑らせた。そのたび、私の陰部の奥が、ひくん、と小さく脈打つ。

「前も、洗ってあげるよ。はい、こっち向いて」

私は彼の手からタオルを奪い返し、今度は向かい合う姿勢になった。真正面から見る大和の裸は、やはり衝撃的だった。彼の“おちんちん”は、もう完全に勃起していた。さっきよりもずっと硬く、太く反り上がり、亀頭はパンパンに張って、てらてらと光っている。その先端の小さな尿道口からは、透明な我慢汁が、ほんの一滴、きらりと光って滲み出ていた。

「……すごいね、大和くん、おっきくなっちゃったね」

私は、わけもなくそんなことを口走っていた。普段の私なら絶対に口にしないような、自分の羞恥心が蕩けてしまったような甘い声で。

「見てたら……こうなります」

大和は、うつむきながら、ぼそりと言った。彼の頬も、耳の先まで真っ赤に染まっている。羞恥心が薄いと思っていた彼にも、やはり年相応の照れはあるのだ。それがわかると、私の中に、年上としての倒錯した優越感と、それ以上の、母性にも似た愛おしさがこみ上げてきた。

私は泡のついた自分の手のひらで、大和の胸板を、ゆっくりと円を描くように洗い始めた。彼の心臓の鼓動が、手のひらに伝わってくる。固く小さな乳首を指の腹でそっと撫でると、大和の身体が、びくんと震えた。彼の吐息が、熱くなって、私の髪を揺らす。

「ともみさん、ここ……どうやって洗うんですか?」

そのとき、大和が、今までにない、かすれた声で尋ねた。彼の指が、まっすぐに、私の股間を指差していたのだ。うっすらと茂った陰毛に覆われた、私の女の中心。その指は、三センチほどの距離で、空中で止まっていた。まるで、触れたくてたまらないけど、許可を待っているかのように。

私は、喉がからからに渇くのを感じながら、自分の震える右手を伸ばした。そして、大和の熱い指を、そっと包み込むように握りしめて、彼の人差し指と中指を、自分の陰部の中心へと導いた。指の腹が、私の湿った陰毛をかきわけ、最も敏感で、やわらかい肉のひだに、じかに触れる。その瞬間、私の口からは、「ああっ……」という、ため息にも似た声が、自然と漏れ出ていた。

「ここ、この、いちばん上の、小さなところ……クリトリスっていうの。ここをね、指でやさしく、くるくるって洗ってほしいの」

自分でも、なんて淫らなことを言っているんだろうと思った。二十歳の女が、十六歳の少年の指を掴んで、自分のクリトリスの洗い方を教えている。その背徳があまりにも甘美で、私のアソコは、彼の指に吸い付くように、クチュリ、と卑猥な水音を立てた。

大和は、息を詰めて、言われた通りに指を動かし始めた。最初はぎこちなく、壊れ物を扱うかのようだったが、私の腰が自然と動き、膣の入口から、とろりと溢れた蜜が彼の指を濡らすにつれ、彼の動きは次第に、ねっとりと、官能的になっていった。

「いい……すごく、いいよ、大和くん……んっ、はぁん……」

私は、風呂椅子の背にもたれかかり、両脚を思い切り開いた。彼の指が、腫れたクリトリスをぐりぐりと押し潰すたびに、視界に火花が散るような快感が、脳天を突き抜ける。私も、彼の、硬く熱く反り返った、若い肉茎を、右手でそっと握りしめた。手のひらに感じる、言葉にできないほどの硬さと熱。握り返すと、皮膚のすぐ下で、血管がどくどくと脈打っているのが分かる。その鼓動が、自分の子宮の奥の疼きと、まるで呼応し合うかのように同調して、互いの快楽の波を高めていく。

「あ、あの、俺も、なんか……変な感じで」

大和が、苦しそうな、それでいて切なげな声で言った。彼は前かがみになり、私の首筋に額を押し付ける。彼の腰は、私の手の動きに合わせて、無意識に小刻みに揺れ始めていた。浴室に充満する湯気と、混ざり合う汗と、かすかにアンモニア臭のする二人の性器の匂い。互いの荒い吐息と、自分の手のひらのなかでくちゅくちゅと鳴る、粘りつく水音だけが、密室にこだまする。

「私も……だめ、もう、わたし、いっちゃう……ヤマトくん……!」

「ともみ、さん……」

私が彼の名を呼んだ瞬間、彼の指が、クリトリスの先端を、きゅうっ、と強く摘みあげた。その刹那。

「イクっ、イッてる……!」

私の身体の真ん中から、何かが堰を切って溢れ出した。目の前がまっ白になり、子宮がどろどろにとろけ落ちていくような、深くて、暗い絶頂だった。同時に、手のひらのなかの大和のペニスが、倍ほどの硬さに膨張し、ドクン、ドクンと、内側から激しく脈打った。次の瞬間、ぬるりと熱い液体が、私の手のひらを、そして自分の腹までを、勢いよく打った。

「あっ……出、る……」

大和が、うわごとのように言う。彼の腰が、びくん、びくんと痙攣し、そのたびに掌のなかで、どぴゅっ、どくどく、と熱い精液が脈打ち、いつまでもいつまでも、吐き出され続ける。十六歳の少年の、濃厚で、かすかに栗の花のような青臭い匂いのするそれは、私の指のあいだから、とろりと滴り落ち、湯に濡れた床のタイルの上で、白く濁った斑点をいくつも作った。その、生まれて初めて手のひらで受け止めた精液の熱と、量と、そして執拗な鼓動は、私の膣の奥を、もっともっと切なく疼かせた。

二人はしばらくのあいだ、言葉もなく、もつれ合うようにして息を整えた。浴室の排気扇だけが、ぶうん、と低く唸っている。私の身体は、まだ絶頂の余韻で、ひくひくと小さく震えていた。それと同時に、凄まじい罪悪感と、そして、説明のつかない、大和という少年への愛おしさが、胸の中で嵐のように渦巻いていた。

「……大和くん、ごめんね、あんなこと言って……でも」

私は、彼の耳元に唇を寄せ、ほとんど声にならない声で言った。

「わたし、たぶん、すごく嬉しい……」

それを聞いた大和は、ようやく顔を上げて、汗と精液でぐしゃぐしゃになった私の顔をじっと見つめ、やがて、最高に照れくさそうに、でも心の底から嬉しそうに、にっこりと笑ったのだった。その笑顔を見た瞬間、私はもう、この年下の男の子から逃れられないのだと、はっきりと悟った。悟りながらも、その胸の熱さが、新しい苦しみの始まりだと、薄々感づいてもいたのだけれど。

第6章 秘密の後始末と平静の仮面

第6章のシーン

第6章: 秘密の後始末と平静の仮面

「……姉ちゃん、まだ入ってるの?」

浴室の扉の向こうから、悠太の間延びした声が、排気扇の低い唸りを裂くようにして届いた。ガチャリという玄関の鍵の音は、もう遠い昔の出来事のようにも思えたが、実際にはついさっきのことで、私の太腿の内側には、あの強烈な共同絶頂の余韻がまだ生温かく張りついている。立ち上がろうとした拍子に、風呂椅子ががたんと派手な音を立て、私は慌てて大和の腕を掴んだ。

「早く……早く流して。悠太たち、帰ってきちゃった」

声はかすれ、ほとんど空気だけの悲鳴になっていた。大和は呆然としたまま、私の手のひらにこびりついた白濁を見下ろし、それから、はっとしたようにシャワーの蛇口へ手を伸ばした。湯が勢いよく吹き出し、タイルの床に残った精液の水たまりを叩いて、白い筋を排水溝へと散らしていく。あの青臭くて甘い栗の花のような匂いが、湯気に混じってむわりと鼻をつき、私は唇を噛みしめながら、泡立てたボディタオルを彼の胸に押しつけた。

「いい? 身体をよぉく洗って。石鹸も、いっぱい使って」

大和は、初めて見せる動揺に茶色の瞳を揺らしながら、こくりと頷いた。彼の若い性器は、まだ緩やかに萎えきらずに、尿道口の先に透明な滴を光らせている。私はそれを見ないようにしながら、自分の腹や太腿に飛び散った生臭い染みを、別のタオルでごしごしと擦った。さっきまであれほど愛おしかった感触が、今は冷たく固まる汚れに変わっていくことが、胸の奥を掻き毟るように切なかった。

「大和くんは、先にあがって。服を着て、居間でゲームの続きでもしてて。私が『ヤマトくん、先にお風呂もらったよ』って言うから、それで、わかるでしょ」

私はそう言いながら、二人のあいだに起きたすべてを「お風呂」という平凡な言葉で塗り替えようとしている自分を、冷めた頭の片隅で自覚していた。大和は何か言いたげに唇を動かしたが、結局、小さく頷き、黙って浴室を出ていく。その広い背中と引き締まった腰のラインを、湯気の隙間から見送りながら、私の膣の奥が、きゅん、とまた小さく疼くのを、自分だけが知っていた。

私は一人で手早く浴室を洗い流し、鏡の前で、浴衣にも似た薄手のワンピースを素肌の上に被った。下着を身につける余裕はなく、湿った肌に布がぺたりと張りつく。居間へ続く襖を開くと、むっとした午後の空気がよどんでいて、テレビは消えたまま、ソファに悠太と康介が座り、その少し離れた床で大和が胡座をかいていた。三人とも、手元のスマホや畳の目に視線を落とし、誰も口を開かない。私が足を踏み入れると、悠太がちらりと顔を上げた。

「姉ちゃん、風呂入ってたん?」

幼さの残る無邪気な調子の裏で、黒目がちな瞳がほんの一瞬、私の汗ばんだ首筋を這うのを、私は見逃さなかった。心臓をどきどきさせながら、口元に笑みをのせる。

「そうよ。あんたたち、汗くさいんだもん。先に浴びちゃった」

空いているパイプ椅子に腰を下ろすと、太腿のあいだからじわりと愛液が滲み、薄い布が女の中心に貼りつく。大和の指がさっきまで這っていた場所が、布の擦れだけでぴりぴりと疼いて、私はそれをごまかすように足を組み替えた。

「大和くん、先にシャワー借りたんだって?」

康介が眼鏡の奥の目を細めて探りを入れると、大和は膝のうえで指をぎゅっと握り、うつむき加減で「すごい汗で、悪かった」とだけ答えた。浴室で「変な感じで」と震えていた声とは別人のように硬く、ぎこちない。私は、その空気が不審へ変わる前に、わざと明るく話題を振った。

「悠ちゃん、補習どうだった? ちゃんと勉強してきた?」

「まあ、ぼちぼち……。てか、姉ちゃん、髪まだびしょびしょじゃん。ドライヤー使わないの?」

ドライヤーという言葉に、数日前、康介が私の開いた股へ風を当てた倒錯の瞬間が蘇り、指先がぴくりと震えた。けれど私は、肩をすくめて「暑いから自然乾燥でいいの。どうせまた汗かくし」と返した。会話はそれ以上続かず、それぞれの胸の内に沈めた違和感だけが、部屋の湿度を上げているようだった。やがて、大和が突然立ち上がり、リュックサックを乱暴に掴んだ。

「俺、そろそろ帰るわ。なんか、頭痛くて」

私のほうを見ずに言い放ち、足早に廊下へ出ていく。追いかける私の背後で、康介と悠太が顔を見合わせる気配がした。玄関の三和土に降りた大和が、片足をスニーカーに突っ込みながら、紐を結ぶ手を止めた。

「ごめん……なんか、よくわかんないけど」

下を向いたまま、大和の長い指が、解けかけた靴紐を無意味に弄る。外はもう夕方を過ぎ、網戸の向こうから風鈴の音と、遠くの自転車のベルが、くぐもった余韻を残して流れていく。私は、庇の下で立ち竦み、二の腕を自分の手でさすりながら、彼のつむじを見つめていた。言いたいことは、身体のあちこちで渦を巻いていた。あのとき、ここが熱くて溶けそうだったと、恥ずかしくて死にそうなのに、指を抜いてほしくなかったと。でも、そんな言葉は、高校生の背中にぶつけていいものではない。

「頭痛、ほんと? うちの風呂、のぼせたのかもね」

私の声は、思ったより平らで、少しだけ喉の奥が痛んだ。大和はようやく身を起こし、玄関灯に照らされた顔を私へ向けた。その大きな茶色い瞳の縁が、わずかに赤く潤んでいて、唇がひく、と動いた。

「ともみさん、また会えますか」

突然の問いかけは、湿った生ぬるい風と一緒に、私の胸許へ染み込んできた。会えますか、ではなく、会えますか、と、まるで二度と会えないかもしれないと、彼自身が怯えているような、切実な響きだった。私は、咄嗟に笑おうとして失敗し、唇が変な形に歪む。

「……大和くん、うちに来れば、いつだって会うでしょ」

だって、悠太の友達なんだから。そう続けた声は、自分で聞いても薄っぺらくて、背徳の上に張りつけた紙の表面は、すぐにでも破れそうだった。大和は、私の手のひらを見つめ、それから、す、と一歩近づいて、私の指先に触れそうになった。私は、触れられてはいけないと、胸の奥が鋭く警告するのに、足は動かなかった。彼の指が、私の小指に、ほんの一瞬だけ触れる。汗ばんだ熱い皮膚。その感触だけで、浴室のすべてが、ざあっと音を立てて蘇る。

「また、二人で話したいです」

そう囁いて、大和は身を翻すと、サンダルをひっかけ、しゃがんで行きに脱いだスニーカーを小脇に抱え、玄関戸に手をかけた。開いた戸の隙間から、茹だるような外気と、夕方の生暖かい光が流れ込んで、彼の横顔を橙に染めた。

「大和くん、あの」

呼び止めたものの、次の言葉が見つからない。彼は半身だけ振り返り、私が何かを言うのを待っていた。私は、玄関框に手をつき、爪先を内側にぎゅっと縮める。深く息を吸うと、洗い残した石鹸のような、汗と夕暮れの混じった彼の匂いが、また鼻腔を満たした。

「気をつけて、帰りなよ。頭、痛いうちに、まっすぐ帰るのよ」

母でも姉でもない、間抜けな言葉が口をつく。それでも、大和はふっと笑った。あの、あどけない笑顔。茶色い瞳が、きゅっと細められ、犬のような人懐こさで私を見た。

「はい。ありがと、いろいろ。ごめん」

最後の「ごめん」が、何に対するものなのか、私にはわかるようで、わからなかった。彼はもう一度「お邪魔しました」と、小さく言って、戸を閉めた。ばたん、という音のあと、靴音がゆっくり遠ざかっていく。私は、冷たい玄関タイルに尻を落とし、膝を抱えて座り込んだ。小指の先が、熱を持ってぴりぴりと疼く。心臓は、ばらばらと不規則に跳ねて、汗ばんだ手のひらが、浴衣の裾を握りしめた。

私は今、たしかに、この十六歳の少年に、恋をしている。いや、これは恋というより、もっと皮膚の下を流れるものだ。沸騰した湯がやけに冷めるまで止まらない、身体の熱から滲み出た執着なのかもしれない。でも、どちらにせよ、この気持ちは、もう止められないところまで育ってしまっている。その自覚が、鋭い罪悪感とともに、私の胸の奥を、深く、深く、切り裂いていった。

その夜、私は片付けを済ませ、自室の布団にもぐりこんだ。網戸越しに夜風と虫の声が流れ込み、隣室から悠太の寝息がかすかに聞こえる。暗い天井を見つめながら、私は右手をそっと鼻先へ寄せた。石鹸で何度も洗ったはずの指先から、あの甘く青臭い匂いが、皮膚の皺の奥から滲み出してくる気がする。瞬間、膣の奥がきゅんと疼き、とろりと蜜が滲んで、何も穿いていない浴衣の裾を湿らせた。

(大和くん、また会えますか、だって)

彼の指先が触れた小指を、私はゆっくりと自分の唇に押し当てた。触れただけで、会いたいと、身体の芯が悲鳴を上げる。私は、浴衣の合わせ目から手を差し入れ、薄い陰毛をかきわけて、まだ濡れそぼつ肉のひだのあいだに、中指を沈めた。くちゅ、と小さな音が漏れ、腫れた陰核に触れた瞬間、鼻にかかった吐息が部屋の闇に溶けた。明日から、バイトのシフトを増やして、家にいる時間を減らそう。もう二度と、彼らに故意に見せたりしない。大和に二人きりで会おうとも思わない。

そうすれば、この胸を焼く熱も、いつかは忘れられるはずだ。でも、と、私は思いながら、指先で自分の柔らかい襞をゆっくりなぞる。この二十歳の夏に、身体の芯まで焼き尽くした記憶だけは、誰にも言えない秘密として、きっと永久に、この胸の奥底でくすぶり続ける。彼の「また会えますか」という声を、私はもう一度、暗い天井に向かって小さく反芻し、火照った太腿を、きつく閉じた。

第7章 日常への回帰と消えない刻印

第7章 日常への回帰と消えない刻印

あの夜、私は自分自身に固く誓った。もう二度と、あんな真似はすまい、と。布団のなかで幾度も繰り返した決意は、翌朝の目覚めとともに、私の全身をぎちぎちに縛りつける枷となった。寝不足で重たい瞼を持ち上げ、カーテンの隙間から射し込む白々しい朝日を見つめながら、私はまるで壊れ物を扱うかのように、そっと上体を起こした。身体の芯には、まだ昨夜の、自分で自分を慰めた余韻が、うっすらとした熱となって残っていたけれど、それを振り払うように、私は強く唇を引き結んだ。

最初に変えたのは、バイトのシフトだった。大学の講義が終わると、私はすぐさま居酒屋の厨房へと向かい、深夜まで働く日々を自分に課した。もともと、それほど広くもないアパートの居間に、悠太とその友達が集まってくるのは、夕方の早い時間からだった。だから、その時間帯に私が家にいなければ、すべては元通りになるはずだった。「今日もバイトだから、夕飯は冷蔵庫のもの、適当に食べて」そう言い置いて、私は逃げるように家を出た。悠太は、少し寂しそうな顔をしたけれど、深くは追及してこなかった。それが、私の張り詰めた神経を、ほんの少しだけ緩ませた。

最初の一週間は、苦しかった。慣れない長時間労働で足腰はパンパンに張り、生ビールのジョッキを運ぶ指先は荒れた。けれど、その肉体的な疲労が、かえって心地よかった。身体が悲鳴を上げているあいだは、あの浴室の湯気も、大和の指の感触も、手のひらに溢れた精液の生ぬるい熱も、すべてを思考の外へと追いやることができた。帰宅すれば、悠太はたいていもう自分の部屋で寝息を立てていて、私は音を立てないようにシャワーを浴び、倒れ込むように布団に潜り込んだ。以前の、あの三人の視線を浴びながら脚を開いていた自分が、まるで遠い昔の、別人の記憶のように思えた。

しかし、どんなに避けていても、彼らの存在を完全に生活から消し去ることまではできなかった。私がどれほど帰りを遅くしても、土曜日の昼下がりなどは、どうしても彼らと顔を合わせてしまうことがある。そんなとき、私はわざと、だぼだぼのスウェットを着て、すっぴんで、髪も無造作に一つに束ね、いかにも「女」を捨てたような格好で過ごした。居間のパイプ椅子には決して座らず、キッチンに立ったまま、麦茶を出すだけですぐに自室へ引っ込んだ。

三人の態度は、それぞれに少しずつ違っていた。康介は、眼鏡の奥の視線を、あからさまに私の脚へと這わせるのをやめ、どことなく気まずそうに、私から目をそらすようになった。あの、ドライヤーの風を私の中心に当てたときの、熱に浮かされたような執着は、表面上はなりを潜めている。悠太は、相変わらず無邪気なもので、「姉ちゃん、最近バイトばっかじゃん。大丈夫?」と、純粋な心配の声をかけてきた。その言葉に、私は「大丈夫だよ、悠ちゃん。夏のあいだに、少しでもお金を貯めたくてね」と、精一杯の姉の顔で笑いかけた。だが、彼の無垢な瞳を見るたび、私は自分の腹の底が、じくりと罪悪感に灼かれるのを感じていた。この子は、実の姉が、自分の親友と浴室で何をしていたのか、露ほども知らずにあんなに心配してくれているのだ。

そして、大和である。あの日以来、彼だけは、ぱったりと我が家に来なくなった。康介と悠太が二人でゲームをしている午後も、彼の長身が玄関に現れることは、ついぞなかった。私は、それでいいと思った。これが、正しい距離なのだと。彼の顔を見ずに済むことは、私の決意を鈍らせないための、必要な空白だった。しかし、私は気づいていなかった。会わないということが、かえって私の中で彼の存在を、どんどん理想化し、膨張させていくことになるとは。

それから一ヶ月ほどが経った、ある蒸し暑い夜のことだ。私はバイトから帰り、居間のソファでぐったりとしていた悠太に、冷蔵庫から取り出した麦茶を手渡した。クーラーの冷気が部屋の空気をひんやりと沈ませるなか、汗で首筋に張りついた髪をかき上げながら、私は何気なく尋ねたのだ。「そういえば、大和くん、最近来ないけど、部活忙しいの?」。自分でも驚くほど自然な声だった。心の奥に蠢いていた問いを、何でもない世間話の皮で包んで、するりと口にした。悠太は、手渡したグラスを傾け、喉を鳴らして麦茶を飲み下してから、ふと思い出したように言った。

「そういえばさあ、大和、最近すごいんだよ。身長もまた伸びて、一八〇センチ超えたんだって。でさ、なんか、めちゃくちゃモテるらしいぜ。二年生の女子とかが、わざわざ教室まで見に来るんだと。あと、この前の夏祭り、部活のマネージャーと二人で歩いてるの、康介が見かけたって言ってた」

悠太の声は、半分笑い話のような、それでいて少し誇らしげな調子だった。最後のひとことは、軽い調子のまま、すっと私の胸の中央へ刺さった。部活のマネージャーと、二人で夏祭り。焼きそばの湯気と夜店の灯りのなかを、大和の隣には、私の知らない若い女の子がいて、彼のジャージの袖あたりを、無邪気につまんでいたのだろうか。醜い嫉妬と、胸を引き裂くような切なさが、私の心臓を一気に貫いた。一八〇センチ。あの、浴室で私の指使いにおそるおそる応え、うろたえながらも懸命に私のことを愛撫してくれた、不器用で真っ直ぐな少年が。彼はもう、ただの弟の友人ではないのだ。周囲の女子が放っておかない、一人前の、若く美しい男になりつつある。私があのとき、彼のペニスを握りしめた掌に、どぴゅっと熱い精を放った、雄へと。

「……ふうん、そうなんだ。大和くん、もともと顔立ちはっきりしてたもんねえ」

私は、自分でも驚くほど平坦な声でそう返した。麦茶のコップを握る指先が、かすかに震えているのを、必死で隠しながら。涼しいはずの部屋の空気が、私の周囲だけ、むわりと粘度を増して絡みつくように感じられた。悠太は、私の内心の嵐に気づくはずもなく、「まあ、あいつも彼女とかできんのかなあ。できたらできたで、全然家に来なくなりそうだけど」と暢気に言って、テレビのリモコンを手に取った。私は、その場にいることが急に耐えられなくなり、「疲れたから、先にお風呂入るね」と呟いて、逃げるように浴室へと向かった。

浴室の戸を閉め、服を脱ぎ捨てる。むわりと湿った空気のなか、私は全裸で鏡の前に立った。そこに映る自分は、あの頃と何一つ変わっていない。相変わらず小柄で、胸は慎ましやかで、腰のくびれも華奢なままだ。陰毛もうっすらと茂るばかりで、太腿も、決して肉感的とは言えない。そんな、二十歳の、年下の少年にしか相手にされないような身体。一八〇センチの大和は、きっともう、私の裸になど、あの頃のようには、息を呑んだりしないのだろう。いや、あのころから、私の裸になど、大和は息を呑んでなどいなかったではないか。彼が息を呑んだのは、私の指先が、私の淫らな中心を、くるくると見せつけるように撫でていたからだ。そのことだけが、あの子の雄を、硬く、熱く、抑えきれないほどに膨らませたのだ。私は、自分の裸身を鏡越しに眺めながら、そっと右手を持ち上げ、鎖骨の下、慎ましやかな乳房のふくらみに触れた。それから、指先をゆっくりと下へ滑らせ、臍のくぼみをなぞり、うっすらと生えた陰毛のうえを、くすぐるように撫でた。鏡のなかの女は、みるみるうちに、うっとりと目を細めていく。大和が私に触れたのと同じ手つきを、私自身がなぞっているのだと気づいたとき、すでに私の指先は、陰裂のあいだに埋もれていた。シャワーの湯を頭上から浴びせながら、私は、ここを彼が洗った、と、ぼんやりと思う。彼の長い指が、私の秘肉の襞をかきわけて、クリトリスを探り当てた。あのときの、くちゅり、という粘液の音が、耳の奥で蘇る。どんなに時が流れても、この音は、私の耳の奥に、消えないでいる。指を動かすたび、くちゅり、くちゅり、と、哀しいほど忠実に、あの日の音が再現された。

「んっ……」

鼻にかかった声が、浴室に小さく反響した。あれほど自分に禁じていたのに、悠太の言葉を聞いただけで、私の身体は、あの夏の記憶を求め、じわりと蜜を滲ませ始めていた。私は、壁に手をつき、腰をかがめると、自分の右手の指で、腫れぼったいクリトリスを、ぐりぐりと押しつぶす。子宮の奥がきゅうんと疼き、膣口がひくひくと物欲しげに蠢くのを感じながら、私は心のなかで、もういないはずの彼の名を、声にならない声で、何度も、何度も呼び続けた。……ヤマトくん。それ以上は、もう現実の言葉にはならなかった。ただ、切なさと、どうしようもない性欲だけが、排水溝へと流れ落ちる湯と一緒に、私のなかでぐるぐると渦を巻いていた。

さらに数年の歳月が流れた。私は大学を卒業し、社会人になった。相変わらず、小柄な自分にコンプレックスを抱えながら、日々の仕事に追われている。

そんな私に、今は、ちゃんとした恋人がいる。彼氏は、以前のバイト先の同僚だった友人に紹介された男の子で、年下で、そしてやはり、百八十センチを優に超える高身長だった。初めて会ったとき、私は思わず彼の全身を、舐めるように見上げてしまった。すらりと伸びた脚、広い肩幅、そして、やや幼さの残る、明るい顔立ち。私はその瞬間、自分という人間の性癖が、完全にあの二十歳の夏に、鋳型に流し込まれるようにして決定されてしまったのだと、暗く、深い確信を得たのだ。恋人を見上げるたび、私のなかに死なないでいる十六歳の少年が、彼の後ろで、あの頃と同じように、私を見下ろして笑っている。あの頃の大和くんが。私の腰の、ずっと低い位置で、私がすがるように見上げなければ、表情を確かめることさえできないほどの、若い雄が。

今の彼氏は、とても優しい。彼の固いペニスが、私の膣の襞をぐちゅぐちゅと掻き分けて奥を突くたびに、視界が白く弾けるような快楽に包まれる。彼の大きな手のひらが、私の小さな乳房をわしづかみにし、指先が乳首をきゅっと摘む。そのすべてが、私の身体を芯から蕩けさせる。こんなに満たされているのに、それでも、私は絶頂の間際、ふと、目を閉じるのだ。

暗闇の裏側で、仄かな湯気が揺らめいている。十六歳の、まだあどけなさの抜けきらない少年の指が、私のクリトリスの包皮を、やさしく、やさしく剥いている。そして、私の手のなかで、若い男性自身が、どくん、どくんと脈打ちながら、熱い飛沫を吐き出す。あのとき、浴室のタイルのうえに散った、青臭く、生温かい栗の花の匂いが、私の鼻腔をくすぐるのだ。

「イッてる……ヤマト、くん……」

絶頂の瞬間、私は、今の彼の名ではない、あの頃の少年の名を、うわごとのように口にしてしまうことがある。幸い、その声は、乱れた喘ぎ声にかき消されて、彼の耳に届いたことはない。行為が終わったあと、彼の胸に顔をうずめながら、私はいつも、言い知れぬ背徳感と、消えることのない執着の狭間で、身動きができなくなる。

もしも、あのとき、私が年齢差を言い訳にせず、彼を追いかけていたら。もしも、今、悠太を通じて、イケメンに成長した大和に、もう一度だけ会うことができたなら——。そんな、出口のない「もしも」を、私は飼い殺しにしている。誰にも言えない、この淫らで、切なくて、蕩けるように甘い秘密を、私はこれからも、セックスのたびに、そっと思い出すのだろう。胸の奥深くに、あの夏の浴室の熱を、永遠に消えない刻印として抱きしめながら、私は今日も、静かに、けれど確かに熱く疼く女の中心を、何も知らない今の彼に、ゆっくりと明け渡すのだ。

その夜、彼が眠りに落ちたあと、私はヘッドボードのうえで小さく光るスマートフォンに、何となく手を伸ばした。汗で湿ったシーツの感触を背中に感じながら、画面の明かりが、暗い寝室に、ぽっかりと白い穴をあける。何の気なしに開いたSNSの検索窓へ、私は、ためらいもなく、彼の名を打ち込んでいた。山城大和。そこから先は、指先が勝手に動いた。一度も訪れたことのない彼のアカウントは、しばらく画面を滑らせていくうちに、すぐに見つかった。鍵がかかっていない、開かれたページ。学生らしい、何気ない投稿の合間から、彼のいまが、垣間見える。部活の後輩たちと並んで撮った、炎天下のグラウンドの写真。真っ白な歯を見せて笑う、あの頃よりずっと大人びた、精悍な輪郭。どくり、と心臓が跳ねた。ああ、ここに、大和くんがいる。何も知らない私の指先は、その写真を、何度も、何度も、親指の腹でなぞる。彼氏の寝息が、すぐ横で聞こえている。いけないことだと、頭の隅では、ちゃんとわかっている。それなのに、私の親指は、画面の向こうの彼の笑顔に、そっと触れることしかできない。そのまま、動悸を隠すように、スマートフォンを裏返して、布団の下へ押し込んだ。背徳感と、どうしようもなさと、それから、ひとかけらの幸福とが、私の胸を、どろりとした熱で満たしていく。あの夏に一度きりの交わりが、私の人生の、いちばん深いところを、まだ、ずっと、支配している。私は目を閉じ、彼氏の背中へ額を押し当てた。瞼の裏には、相変わらず、あの日の浴室の湯気が揺れている。会えない、会わない、それでも消えない。それが、私の初恋の、そして私の淫らな未練の、形なのだった。

スポンサーリンク

読み終えたあとの余韻に。

OVA 夏妻 #2 を FANZA で見る →
登場人物
  • 三橋ともみ みつはし ともみ
    女性 ・ 20

    外見: 腰まで伸びた黒髪ストレート、薄茶色の瞳、小柄でほっそりとした体型、身長150センチ台半ば。肌はしっとりと白く、乳房は慎ましやかで乳首は淡い桃色。陰毛は柔らかく薄く茂る。服装: 普段はジーンズにTシャツなどカジュアルな格好、居酒屋バイトの際は黒のパーカーとジーンズ。姉気質で面倒見がよく内向的ながら、無意識のうちに羞恥よりも興奮が勝つ倒錯的な性的嗜好を内に秘める。自己分析が得意で内省的な反面、欲望に抗えない激情家。

  • 三橋悠太 みつはし ゆうた
    男性 ・ 16

    外見: 短く無造作な黒髪、黒目がちな瞳、姉と同じく小柄で華奢な体格、身長160センチ台前半。あどけなさの残る童顔。服装: 主に学生服、または部屋着のスウェット。性格は無邪気で姉に懐いているが、性的興味に目覚めた年頃の少年で、友人の視線に同調し姉を凝視する側に回る。

  • 田村康介 たむら こうすけ
    男性 ・ 16

    外見: 少し長めの黒髪を無造作に分け、細い縁の眼鏡をかけている。瞳は濃い茶色。体格は中肉中背、身長165センチ前後。一見真面目そうな印象。服装: 主に学生服。性格はむっつりとした資質で、ともみのパンツを最初に覗いた張本人。性的好奇心が強く、目配せで友人を巻き込む積極性も持つが、普段は物静かで口数が少ない。

  • 山城大和 やましろ やまと
    男性 ・ 16

    外見: 短く清潔感のある黒髪、明るい茶色の大きな瞳。身長170センチを超えるすらりとした高身長で、スポーツで鍛えた引き締まった筋肉質の体型。日に焼けた健康的な肌。服装: 主に学生服、部活帰りはジャージ姿のことも。性格は物怖じせず率直で、羞恥心が薄い大胆な面を持つが、根は純粋でうろたえやすい。ともみとの浴室での一件で彼女の恋心の対象となる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です