第5章: 朝の光と残る肌の記憶(続き 2/2)
りながシャワーのお湯を出すと、湯気がすぐに室内に充満した。
「入って」
りなに背中を向けられ、みつるは言われるがままにシャワー室へと入った。
温かいお湯が二人の体を包み、昨夜の汗や体液を洗い流していく。
りながボディソープを手に取り、泡立てる。
その泡を、まずはみつるの胸に塗り広げた。
「みつるの体……案外、がっちりしてるんだね」
りなの手の平が、みつるの胸板をゆっくりと洗っていく。
指が乳首のあたりをかすめると、みつるは思わず息を詰まらせた。
「昨夜は私ばっかり見られてたから、今度は私がみつるの体をじっくり見る番」
りなはそう言うと、みつるの肩から腕、腹筋へと、丁寧に泡で洗っていった。
その手つきは、昨夜の激しさとはうって変わって、優しくて慎重だった。
「りな……」
みつるは声を震わせた。
まだ敏感になっている体が、りなの触れるたびにじんわりと反応する。
「感じてる?」
りなはみつるの股間を、そっと泡で包み込んだ。
「おちんちん、また少し立ってきてるよ」
確かに、みつるの陰茎は半ば起きていた。
りなの手の温もりと、泡のぬめりが、昨夜の記憶を鮮明に呼び覚ます。
「だめ……また、勃っちゃう……」
みつるは恥ずかしさに目を伏せた。
「いいんだよ」
りなは優しく握りしめながら、先端から根本までゆっくりと洗った。
「朝立ちみたいなものだよ。男の子なら、しょうがないでしょ」
「でも……」
「気にしないで」
りなはみつるの陰茎を洗い終えると、今度は自分の体に泡を塗り始めた。
「私も……まだ、みつるの精が残ってるから」
彼女は足を軽く開き、自分の股間を洗った。
指が割れ目の間をゆっくりと動き、白く泡立った体液が流れ落ちる。
その光景を見て、みつるはまた勃起が強くなった。
りなの体内に注いだ自分の精が、彼女の指で洗い流されていく。
なんだか、とても罪深いような、それでいて興奮するような感覚だった。
「見てる?」
りなはいたずらっぽく笑った。
「みつるのもの、私から流れてくよ」
「……ごめん」
「もう、謝らないって言ったでしょ」
りなはシャワーの水を浴び、体をすすいだ。
「私が望んだことだから。みつるに中に出してほしかったんだ」
洗い終わると、りなはタオルで体を拭き、みつるにもタオルを渡した。
「さあ、出ようか。そろそろチェックアウトの時間だよ」
二人は身支度を整えた。
りなはキャミソールとミニスカートを再び身に着け、みつるは昨日のままのTシャツとジーンズを着た。
どちらも少し皺になっていて、昨夜の激しさを物語っていた。
ホテルを出ると、外の空気が冷たく感じられた。
朝の通勤時間帯で、歩道にはサラリーマンや学生たちの姿がちらほら見える。
みつるとりなは並んで歩いた。
手は繋いでいないが、肩と肩が時折触れ合う距離で。
「みつる、これからどうするの?」
りなが尋ねた。
「大学? バイト?」
「うん……今日は午後からバイトだ」
みつるは答えた。
現実に戻されるような気分だった。
「そっか。私は……ちょっと実家に顔出すよ」
りなは俯き加減に言った。
「昨夜も言ったけど、ちょっと揉めててさ。でも、向こうから連絡が来たから」
「大丈夫?」
「うん。多分ね」
りなはみつるを見て、微笑んだ。
「みつると会えて、よかったよ。ホントに」
「俺も……よかった」
みつるは心からそう思った。
もしあのショッピングモールでりなに声をかけられていなかったら、この一夜はなかった。
駅の改札前で、二人は立ち止まった。
「じゃあ……ここで」
りなは少し躊躇いながら言った。
「うん」
みつるもどう別れの言葉を選べばいいのかわからなかった。
「また……会おうね」
りなはみつるの袖を、そっとつまんだ。
「連絡先、交換したし。メールするよ」
「ああ……俺もする」
みつるはうなずいた。
りなは一歩前に出て、みつるの頬に軽くキスをした。
それは、昨夜の熱いキスとは違う、そっと触れるだけのものだった。
「バイバイ、みつる」
「うん……バイバイ、りな」
りなは振り返り、改札を通って階段を降りていった。
茶色のロングヘアが風に揺れ、最後に一度だけ振り返って手を振ると、その姿は人混みに消えた。
みつるはその場にしばらく立ち尽くした。
自分の頬に、りなの唇の感触が残っているような気がした。
それから、ゆっくりと手の平を開いてみる。
――この手で、りなの体を撫でた。
乳房の柔らかさも、腰のくびれも、汗でぬれた背中も、全てこの手の感触で覚えている。
電車に乗り、窓の外を流れる街並みを見つめながら、みつるは思った。
あの激しい夜の全てを、これからも忘れられないだろう。
りなの喘ぎ声も、肌のぬくもりも、膣の締まりも、全てがみつるの体に刻み込まれた。
そして、それはきっとりなも同じなんだ。
二人の間にできた何かは、一夜限りでは終わらないような気がした。
みつるはポケットからスマホを取り出し、りなからのメールが来ていないか確認した。
まだ何も来ていなかったが、彼は少し笑みを浮かべた。
――また、会える。
その期待が、胸の中で温かく灯り始めていた。
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