第5章: 朝の光と残る肌の記憶
第5章: 朝の光と残る肌の記憶
夜の濃さが、ほんのりと薄紫に褪めていく頃だった。
窓の隙間から微かな光が差し込み、それが天井に揺れる木漏れ日のような影を作っている。
みつるは、その光の動きで目を覚ました。
――ああ、まだ明けきってない……。
体が重い。
全身の筋肉が、激しい運動をした後のようにだるく、腰のあたりには鈍い疼きが残っていた。
股間は、使いすぎたというより、むしろ搾り取られたような、じんわりとした熱さを覚えている。
そっと横を見ると、りなが眠っていた。
彼女はみつるの腕を枕にして、顔をうずめるようにして寝息を立てている。
茶色のロングヘアはベッドシーツの上に乱れ、肩から背中にかけて滑らかに広がっていた。
キャミソールは脱ぎ捨てたままらしく、上半身は何も着ていなかった。
薄暗がりの中でも白く浮かび上がる肌は、汗でわずかに湿り、光を吸い込んでいるように見える。
その寝顔は、無防備で幼かった。
口を少し開けて、ゆったりとした呼吸を繰り返している。
睫毛が長く、頬にはまだほんのりと赤みが残っている。
――高校のときの、りな……。
ふと、そんな思いが胸をかすめた。
教室の隅で静かにノートを取っていた、おかっぱの少女。
今の彼女からは想像もつかない、どこか控えめで、でも確かにそこに存在していたあの子。
それが、この肌を露わにして、激しく腰を振る女性と同一人物だなんて。
みつるはそっと息を吐いた。
布団の中には、濃厚な匂いが充満していた。
二人の汗と、愛液と、それから何か甘く脂っこいような、性の匂い。
その匂いを吸い込むたびに、昨夜の記憶が鮮明に蘇ってくる。
何度、射精しただろう。
最初の結合の後、りなは「もう一回」とねだり、みつるがまだ勃起しきっていないのにまたがってきた。
「中に出して」と言いながら、腰を激しく上下に振るその姿は、もう高校の同級生なんかではなく、完全に欲望の化身のようだった。
みつるは「もうだめ」と喘ぎながらも、りなの膣の締まりにまた勃起させられ、気づけば三度も、四度も中に出していた。
そのたびにりなは「ああ……温かい……」と呻き、みつるの精を子宮の奥で受け止めるように深く腰を沈めた。
――あのときの、りなの顔……。
目をぎゅっと閉じて、唇を噛みしめながら、しかし確かに快楽に酔いしれている表情。
あれは、みつるにしか見せていない顔なのだろうか。
それとも、他の男たちにも……
考えると、胸の奥がざわつく。
嫉妬というより、むしろ自分がその中の一人に過ぎないのではないかという不安。
それでも、この腕の中で眠っている彼女は、紛れもない現実だった。
「ん……」
りなが微かに動いた。
彼女は目をこすりながら、ゆっくりと瞼を開ける。
その瞳は、眠気でぼんやりとしている。
でも、みつるの顔を見つめると、ほんのりと笑みが浮かんだ。
「……朝、だね」
声はかすれていて、少し嗄れていた。
昨夜、あんなに嬌声を上げていたせいだろう。
「うん……朝だ」
みつるも小声で返した。
自分の声が、りなと同じように嗄れているのに気づいた。
りなはゆっくりと体を起こし、みつるの胸にもたれかかるようにした。
彼女の肌がみつるの肌に触れ、温もりがじわりと伝わってくる。
「みつるの腕、枕にしてたんだ」
りなはみつるの上腕を、そっと揉みほぐすような仕草をした。
「ごめんね、痺れてない?」
「いや……大丈夫」
実際は少し痺れていたが、みつるはそう答えた。
りなの頭の重みは、むしろ心地よかった。
しばらく二人は無言で、窓の外がだんだんと明るくなっていくのを見つめていた。
車の音が、遠くからかすかに聞こえてくる。
平日の朝が、ゆっくりと動き始めている。
「ねえ」
りなが突然、声を上げた。
「昨夜のこと……覚えてる?」
みつるは思わず息をのんだ。
そんなことを、朝一番に聞かれるとは。
「う、うん……覚えてるよ」
顔が熱くなるのを感じた。
「何回やったか、数えてる?」
りなの声には、いたずらっぽい含みがあった。
「そ、それは……」
みつるは言葉に詰まった。
確かに、あまりにもたくさん射精しすぎて、正確な回数はわからなかった。
「三回……かな? いや、四回……?」
「五回だよ」
りなは即答した。
彼女はみつるの胸に顔を押し付けながら、くくっと笑った。
「五回も中に出してくれた。すごいよね、みつる」
その声は、どこか誇らしげに聞こえた。
「えっ……そんなに……?」
みつるは自分の股間を見た。
確かに、まだ少し疼いている感じがする。
「私のなかで、ぴくぴくって何度も震えてたもん」
りなの手が、みつるの下腹部をそっと撫でた。
「最後の方は、精子も薄くなってきたみたいだけど……それでも、みつるはがんばってくれた」
「りな……」
みつるは言葉を失った。
そんな詳細まで覚えているんだ。
恥ずかしさで、頭が真っ白になりそうだった。
「ごめん……汚しちゃって」
思わず、謝る言葉が口をついた。
りなは首を振った。
「謝らないで」
彼女はみつるの顎に指を当て、そっと上に向かせた。
「私、気持ちよかったから。すごく、すごく気持ちよかった」
その目は、まっすぐにみつるを見つめていた。
嘘やからかいの色はなく、ただ純粋な喜びが輝いているように見えた。
「みつるが私のなかでいっぱい出してくれたの、感じてたよ」
りなはみつるの唇に、軽くキスをした。
「温かくて……ぐじゅってなるたびに、私も一緒にイケたんだ」
「そっか……」
みつるはりなの言葉に、胸が熱くなった。
自分が与えた快楽を、彼女が確かに感じ取ってくれていた。
その事実が、なんだかとても嬉しかった。
「ありがと」
今度はみつるの方から、りなの額にキスをした。
「ふふ……朝っぱらから、甘いね」
りなはくすっと笑うと、ベッドから起き上がった。
彼女の背中は、汗で少し光っている。
腰のあたりには、みつるが握った跡のような、かすかな赤みが残っていた。
「シャワー浴びようか」
りなは振り返り、みつるに手を差し伸べた。
「二人で洗おう。まだ、みつるの匂いが私についてるから」
その言葉に、みつるはまた顔が熱くなるのを感じた。
でも、迷わずりなの手を取った。
浴室は広く、大きな鏡が壁一面を覆っていた。
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