第2章: ホテルで解かれる倫理
第2章: ホテルで解かれる倫理
駅前のビジネスホテルは、外観は無機質なガラスと鋼鉄で出来ていた。
エレベーターに揺られながら、僕は自分が何をしているのかを何度も考えた。講師と保護者。その関係が、こうしてホテルの一室で話し合うという形になることの不自然さ。けれど扉を開けた時、そこにいた野口優子は、塾で会った時と同じ、上品な薄いグレーのワンピースに身を包み、むしろ緊張した面持ちで立っていた。
「お越しいただいて……ありがとうございます」
声は少し震えているように聞こえた。
部屋はシングルルームで、ベッドの上には彼女のショルダーバッグが置かれ、窓の外には午後の光が差し込んでいた。香水の甘い香りが、前回よりも濃く、しかしそれでいて部屋の清掃剤の匂いに混ざって、どこか密室的な熱を帯びて感じられた。
僕は指示されたソファに腰を下ろし、優子はベッドの端に座った。
距離は二メートルほど。適度な講師と保護者の間合いだ。
「突然こんな場所をお願いして、本当に申し訳ありません」
優子は両手を膝の上でぎゅっと握りしめ、目を伏せたまま話し始めた。
「翔太の……前回の模試の結果が先週出まして。志望校の合格可能性、まだ三十パーセントなんです」
数字を口にする彼女の声には、母親としての焦りが滲んでいた。僕は講師としての顔を作り、頷いた。
「夏前の模試ですから、まだ挽回の時間はあります。特に苦手な理科の計算問題ですが――」
「時間がありません」
優子が顔を上げた。
その目は、塾で会った時よりも切れ長に吊り上がって見え、黒い瞳の奥に何かが燃えているような光があった。
「あと半年です。翔太は内気で、新しい環境に慣れるのに時間がかかる子なんです。もし不合格になったら……彼が傷つくのが怖くて」
彼女の言葉は、確かにどこの保護者にもある懸念だ。だがその口調には、どこか通常の範囲を超えた切迫感が込められていた。
優子の視線が、僕の顔からゆっくりと下りていった。
喉仏の辺りで一瞬止まり、それから胸、腹、そして膝の上に置かれた僕の手へ。その目線の動きは、もはや息子の成績について話している母親のものではない。何かを評価し、計量し、欲望の対象として測っているような、ゆっくりとした掃引だった。
「足立先生は、お若いのにしっかりしていらっしゃる。こうしてわざわざ時間を作ってくださるなんて……感謝してもしきれません」
言葉は丁寧だった。だが、彼女が少し前のめりになり、ワンピースの襟元からその谷間が深くのぞいた時、僕の呼吸が一瞬乱れた。
甘い香水の奥から、ほのかに汗じみた、成熟した女の肌の匂いが漂ってきた。
「全て……先生にお任せしたいんです」
その言葉を発する時、優子の声には微かな震えが加わっていた。しかしそれは緊張ではなく、何か別の感情――興奮に近い震えだった。
次の瞬間、彼女はゆっくりとソファから立ち上がり、僕の前に歩み寄った。
そして、床に膝をついた。
「どうか……」
優子の両手が、僕の膝を包み込んだ。薄いグレーのストッキング越しに、彼女の掌の温もりが伝わってくる。彼女は上目遣いで僕を見上げ、切れ長の目に涙が滲んでいるように見えた。
「翔太を……合格させてください。お願いします。私にできることなら……何でもしますから」
その時、彼女の目つきが変わった。
涙のような湿り気は一瞬で消え、代わりにむき出しの欲望が瞳の底に灯った。清楚な主婦の仮面が剥がれ、その下から現れたのは、何かを貪る前に目を凝らす雌の目だった。
僕は声を上げようとした。
だが喉が渇いていて、言葉にならない。
優子の右手が、僕の膝からゆっくりと大腿の内側へと這い上がった。ストッキングの薄い感触を通して、彼女の指先の圧力がじんわりと伝わってくる。太腿の筋肉がぴくんと痙攣するのを感じた。
「先生……」
彼女の声は、さっきまでのそれとは全く異なり、甘く濁った吐息になっていた。
僕の股間が、無様なまでに熱を持ち、膨らみ始めていた。チノパンの生地が張りつき、形が露わになっている。優子の視線がそこに釘付けになり、彼女の唇が微かに開いた。
「あら……お若い先生の、おちんちんが……」
彼女は嗤うように言った。その口調には、もはや母親としての面影はなかった。
優子の左手がジッパーに触れた。
金属の冷たい感触が、薄い生地越しに伝わる。彼女の指がジッパーの留め金を弄び、ゆっくりと――しかし確実に――下ろしていく。
チャーッ。
音が部屋に響いた。
ジッパーが下り切ると、彼女の指先がパンツのゴムに触れた。その動きは躊躇いなく、むしろ熟練した滑らかさで、僕のパンツを腰まで下ろしていく。
熱くなった肉棒が、冷たい室内の空気に触れた。
先端からは、恥ずかしいほどに先走りが滲み、光っていた。
優子は深く息を吸い込んだ。
その鼻の動きは、まるで何か美味しそうな料理の香りを嗅ぎ分けるかのようだった。彼女の目は細くなり、唇の端がゆるんで、恍惚とした表情を浮かべた。
「ああ……本当に、若い方の……」
彼女は呟くように言うと、顔を近づけた。
まずは鼻先を、僕の陰毛の生え際に擦りつけるように押し当てた。深く息を吸い込む音が聞こえた。
「んっ……こういう匂い……久しぶり……」
その声は、完全に陶酔に満ちていた。
そして彼女の舌が、肉棒の根本からゆっくりと這い上がってきた。
べとりとした湿り気と、温もり。舌先が包皮をめくり上げ、亀頭の先端に触れた瞬間、僕は背筋に電流が走るような快感を感じた。思わず腰が跳ね、ガバッとソファの背もたれに掴まった。
「ああっ……」
声が漏れた。
優子は僕の反応を楽しむように、ゆっくりと目を上げて一瞥し、再び舌を動かし始めた。
彼女の口が、肉棒の先端を包み込んだ。
熱い。湿っている。舌がくるりと亀頭の溝を舐め回し、こぼれ出る先走りを一滴残さず啜り取っていく。くちゅっ、くちゅっという卑猥な音が、静かな部屋に響き渡る。
「ん……ちゅっ……若い方の……お味……」
彼女は口の中で囁くように言い、より深く咥え込んだ。
コメント