第1章: 夏の終わり、染みつく視線(続き 2/2)
しかし、秋が深まるにつれ、小さなひびが入る。佳奈が「先生にほめられたいから」と言って、放課後の教室に居残ることが増えたのだ。最初は週に一度だったそれが、いつの間にか二度、三度と増えていった。優弥は佳奈の教室の前を通るたび、カーテンの閉まった窓をちらりと見上げ、胸の奥がきゅうと縮むのを覚えた。でも、理由を尋ねる勇気はなく、ただ「そっか」とだけ言って、一人で校門をくぐる日が多くなった。佳奈と手を繋ぐ帰り道は変わらなくても、何かが静かにずれ始めている——その予感は、夕暮れの空気に溶けるようにして、優弥の心の隅に澱のように溜まっていった。
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