ふんどしの向こう側、夏祭りの濡れ肌
あらすじ
夏休みも終盤、町で行われる「子供ふんどし祭り」が目前に迫る。小学六年生の三和雪は、この祭りが「子供として参加できる最後」であることを知り、ひとつの決断をする。男の子たちと同じように、胸に晒しを巻かず、上半身裸でふんどし一枚で参加したい――。幼い頃から、人目を引くこと、特に「見られる」ことにどこか疼くような感覚を覚えていた彼女は、母・怜子を説得し、許可を得る。祭り前夜、初めて自分の手で男物の晒し木綿を股に当て、結ぶ練習をする雪。布が腿の付け根を擦る感触、まだ平坦な胸が夜風にさらされる想像が、彼女の下腹部に漠然とした熱を灯す。当日、ふんどし姿に身を包んだ雪は、幼なじみの俊や他の男の子たちの中に混ざり、神輿を担ぐ準備をする。周囲の大人たちの好奇と驚きの視線、肌にまとわりつく夏の熱気、そして自分の体が布一枚で包まれているという事実が、彼女の鼓動を早める。祭りの始まりを告げる太鼓の音が、彼女の「普通」の終わりを告げるように響き渡る。
第1章 決意~晒される予感~
第1章: 決意~晒される予感~
夏休みの終わりが、町の空気に混ざり始めていた。
夕方の風に、もう少しだけ冷たさが含まれているような、そんな八月も末の日、三和雪は自分の部屋の窓辺に立って、下を流れる小さな川のせせらぎをぼんやりと聞いていた。
肩までの黒髪が、窓から入ってくる微風に揺れる。
――明日だ。
胸の奥で、その言葉が反響した。
明日は、この町で毎年夏の終わりに行われる「子供ふんどし祭り」の日だった。
小学六年生にとっては、参加できる最後の年。
男の子たちはふんどし一丁で神輿を担ぎ、町内を練り歩く。
女の子は、普通、浴衣を着て沿道から応援するか、あるいは参加しない。
少なくとも、雪がこれまで見てきた限りでは。
「……行ってくる」
雪は小さな声で呟くと、リビングへと向かった。
母の怜子は、台所で夕食の支度をしながら、テレビのニュースを流し聞きしていた。
淡い藍色のエプロンの上で手を拭いながら、振り向いた。
「あら、雪。どうしたの? 何か欲しいものある?」
「ううん」
雪はリビングのソファの端に座り、膝の上で指を絡めた。
手のひらに、じんわりと汗がにじんでいるのに気づいた。
「お母さん、あの……明日の祭りのことなんだけど」
「ああ、ふんどし祭りね。もう準備はできてる? 俊くんたち、楽しみにしてるみたいだよ。今日も『雪も来るんだって?』って、わざわざ電話かけてきたし」
怜子は優しい笑みを浮かべたが、その目にはほんの少しの戸惑いが滲んでいた。
雪が「男の子たちと一緒にふんどしで参加したい」と言い出したのは、一週間ほど前のことだ。
最初は冗談だと聞き流していた怜子も、雪が真剣な瞳で何度も同じことを言うのを見て、ようやく本気だと理解した。
「……うん。それで、お願いがあるんだ」
雪は深く息を吸い込んだ。
喉の奥が、乾いて少し痛い。
「私、胸に晒しは巻かないで行きたい。男の子たちみたいに、上半身は何も着ないで、ふんどしだけにしたい」
一瞬、台所の流水の音だけが響いた。
怜子の手が、エプロンの端で固く握られていた。
「……雪、それって……女の子がするものじゃないよ。だって、胸が……まだ小さいとはいえ、隠さなきゃいけないところだよ」
「男の子たちは隠してない」
雪の声は、思ったより強い響きを持っていた。
「同じ子供なのに、なんで女の子だけ隠さなきゃいけないの? 祭りは、子供がふんどし一丁で神輿を担ぐのが伝統でしょ? 私は……子供として、最後にそれに参加したい」
怜子はため息をついた。
そのため息には、反対する気力よりも、どこか諦めに近い響きが含まれていた。
「……あなた、本当にそうしたいの? 周りの人たちが、どんな目で見るかわかってる?」
「わかってる」
――わかってない。
本当は、全然わかってない。
でも、そう言わなければ、許可はもらえない。
雪は膝の上で拳を握りしめた。
爪が手のひらに、少し食い込んだ。
「お母さん、去年まで、私が俊くんたちのふんどし姿を見て『かっこいいな』って思ってたの、知ってるでしょ? 今年は……私もあの中に入りたい。同じようになりたい」
怜子はしばらく黙って、雪の顔を見つめた。
十二歳の娘の、まだ幼さの残る顔。
けれど、その切れ長の黒瞳には、揺るがない意志の光が確かに宿っていた。
「……わかった」
怜子は、また深いため息をつくと、そう言った。
「思い出になるかもしれないし……あなたがそこまで言うなら。ただ、約束して。恥ずかしくなったら、すぐに母さんのところに来るのよ。上着は持って行くから」
「……うん。ありがとう、お母さん」
雪の胸の中に、熱いものがこみ上げてきた。
それは、許可をもらえた安堵だけではない。
なんだか、お腹の底がくすぐったくなるような、不思議な感覚だった。
その夜、雪は自分の部屋で、祭り用に用意された晒し木綿を広げた。
男物の、未晒しのさらし。
真っ白で、少し硬い感触。
長さはたっぷりとあり、幅も十分だった。
――どうやって巻くんだろう。
俊に聞けばよかった、と一瞬思ったが、そんなことはできなかった。
聞けば、なぜ女の子の自分がふんどしの巻き方を知りたいのか、疑われる。
雪はインターネットで調べた画像を頭の中で反芻しながら、まずはパジャマの上から、腰に布を当ててみた。
布の端を片方の腰骨のあたりに当て、もう一端を股の間を通して後ろから前に回し、もう一度腰に巻き付けて前に持ってきて、結ぶ。
理屈ではわかっていた。
いざ実際にやってみると、布がもつれてうまくいかない。
何度かやり直しているうちに、パジャマの下で、布が腿の付け根を擦る。
ごそごそ、という感触。
少し硬い晒し地が、柔らかい肌着の上からでも、くすぐったい摩擦を生んだ。
雪はふと、パジャマを脱いでみた。
下は白い綿のパンツ一丁。
その上から、もう一度晒しを巻き始める。
今度は、布が直接腿の肌に触れる。
さらさらとした、しかしざらりとした晒しの感触が、腿の内側を這う。
股の間を通す時、布がぴんと張って、パンツの薄い布地を圧迫する。
――んっ。
思わず、喉の奥で小さな声が漏れた。
なぜか、鼓動が早くなっている。
胸が、ぽかぽかと温かくなってくる。
まだほとんど膨らみのない、平坦な胸。
その先端が、少しだけ硬くなっているような気がした。
窓から入ってくる夜風が、上半身の裸に触れる。
つい、胸が風にさらされる光景を想像してしまった。
祭りの会場で、自分が上半身裸で、ふんどし一丁で立っているところを。
周りの男の子たちと同じように。
それだけなのに、下腹部のあたりが、じんわりと熱を持った。
なんだか、くすぐったくて、もぞもぞとする感じ。
雪は布を結び終えると、部屋の鏡の前に立った。
パンツの上から巻かれたふんどし。
白い晒しが、腰から腿を覆い、股の間でしっかりと盛り上がっている。
上半身は、確かに何も着ていない。
鏡に映る自分の、小さな胸。
先端は、確かに少し尖って、ほんのりピンク色に見える。
――恥ずかしい。
その思いと同時に、もう一つの感情が、胸の奥をちらりと走った。
――見られたい。
人に、この姿を見られたい。
どこから湧いてくるのかわからない、その衝動に、雪は自分の頬が熱くなるのを感じた。
次の朝、祭りの日は、雲一つない晴天に恵まれた。
午後二時、祭り会場の神社の境内には、すでに多くの人だかりができていた。
雪は自宅で、母の怜子にふんどしを巻いてもらっていた。
「……きつすぎない? 苦しくない?」
「ううん、大丈夫」
雪の声は、少し上ずっていた。
鏡の前で、晒し木綿だけを身にまとった自分を見つめる。
胸は完全に露出している。
まだ膨らみは少ないが、十二歳の少女の、わずかにふくらみ始めた胸の形は確かにそこにあった。
先端は、緊張と何か別の感情で、しっかりと尖っていた。
「本当に……いいのよね」
怜子の声には、心配が濃厚に滲んでいた。
「お母さんの浴衣を持って行くから、もしダメだったらすぐに羽織ってね」
「うん」
雪はうなずくと、裸足に草履を履き、家を出た。
外の光が、肌に直接降り注ぐ。
道行く人々の視線が、一瞬で雪に集まった。
驚き、好奇、困惑、ときには冷笑まじりの目。
それらの視線が、雪の裸の肌を、じりじりと焼くように感じた。
胸が、ぎゅっと締め付けられるような感覚。
でも、それと同時に、お腹の底のあのくすぐったい熱が、また少し大きくなった。
神社の境内に着くと、そこには同じふんどし姿の男の子たちが集まっていた。
みんな日焼けした肌に、白い晒しを巻き、はしゃぎながら神輿の周りを走り回っている。
「おーい! 雪!」
俊の声がした。
スポーツ刈りの茶髪を汗で濡らし、がっしりとした体にふんどしをきっちりと締めた俊が、駆け寄ってきた。
彼の目は、一瞬雪の裸の胸に走り、すぐに慌ててそらした。
耳まで真っ赤になっている。
「き、来たんだな! その……その格好、涼しそうだな!」
「……うん」
雪は、自分でもなぜか笑みが漏れそうになるのを必死にこらえた。
俊の慌てた様子が、なぜか可笑しくて。
そして、なぜか、少し嬉しくて。
「雪ちゃん、ほんとに来たんだ」
他の男の子たちも集まってきた。
みんな、雪の姿を一目見て、一瞬固まった。
「す、すげーな……女の子なのに」
「恥ずかしくないの?」
「かっこいいじゃん!」
色んな声が飛び交う。
その一つ一つが、雪の肌を、じんわりと刺激した。
見られている。
確かに、見られている。
ふんどし一丁の女の子として、好奇と驚きの視線の的にされている。
神輿の担ぎ手として、雪も一つの位置につくことになった。
担ぎ棒は、思ったより重かった。
肩に当てると、木の硬さが骨に響く。
周りには、大人たちの視線がさらに濃く集まっている。
町内会役員らしい男の人たちが、遠くからこっちを見て何か話し合っている。
浴衣姿の女性たちが、手で口を押さえて囁き合う。
カメラを構えた男性が、ふんどし姿の子供たちをパシャパシャと撮影している。
そのレンズが、一度、雪の方に向いた。
雪は思わず、背筋を伸ばした。
胸が、ぴんと張るような感覚。
――撮られた。
その事実が、また下腹部に熱いものを灯した。
太鼓の音が、いよいよ祭りの始まりを告げた。
ドン、ドン、と響く重低音が、境内の空気を震わせる。
「よーいしょ!」
掛け声とともに、神輿が持ち上がった。
重みが一気に肩にのしかかる。
雪は、ぐっと歯を食いしばった。
汗が、すぐに額ににじんだ。
裸の胸を伝わって、汗の粒がすとんと落ちていく。
ふんどしの布が、腿の間にしっかりと食い込み、動くたびにざらりと肌を擦る。
周りの男の子たちの「わっしょい!」という掛け声。
沿道から上がる拍手と歓声。
すべてが混ざり合い、雪の鼓動を狂わせていった。
胸の奥が、高鳴る。
肌全体が、熱を持って震えているような気がした。
――ああ、これが。
人に見られながら、祭りに参加するって、こういう感じ。
恥ずかしさと、どこか昂揚するような気持ちが、絡み合う。
神輿はゆっくりと、神社の鳥居をくぐり、町内への練り歩きを開始した。
その一歩一歩が、雪の「普通」の終わりを告げる足音のように、重く、そして熱く響いた。
道の両側には、たくさんの人の目があった。
子供、大人、老人。
すべての視線が、ふんどし一丁の少女を、貪るように見つめていた。
雪は、そのすべての目を感じながら、肩の担ぎ棒にさらに力を込めた。
もう、後戻りはできない。
この先に何が待っているのか、彼女にはまだわからなかった。
ただ一つ確かなのは、この瞬間、肌にまとわりつく視線の熱が、怖いよりも……どこか、心地よいということだった。
第2章 崩落~露わになる幼き壺~

第2章: 崩落~露わになる幼き壺~
重たい神輿を担いだまま、一行はゆっくりと町の細い路地へと入っていった。
「わっしょーい! わっしょーい!」
周りの男の子たちの掛け声が、汗と熱気にまみれた空気を切り裂く。
雪の肩には、担ぎ棒の木の硬さが骨にじりじりと食い込んでいく。
額を伝う汗が、眉のあたりで一つの大きな粒になり、それがぽたりと裸の胸の谷間を流れ落ちた。
汗の筋が肌を這う感触が、くすぐったくてたまらなかった。
ふんどしの晒し布も、もうすっかり汗で湿っている。
最初はぱりっとしていた木綿が、腿の内側にしっかりと張り付き、動くたびにざらり、ざらりと肌を擦る。
その摩擦が、なぜか股のあたりに、ほんのりとした熱を運んでくる。
――ああ、みんな……私のこと、見てる。
路地の両側には、びっしりと人が立ち並んでいた。
大人も子供も、老人も若者も、すべての目がこのふんどし一丁の列に注がれている。
その中でも、とりわけ雪への視線は濃かった。
好奇のまなざし、驚きの瞳、時には冷たい嘲笑さえも感じる。
「ほら、あの子……女の子じゃないか」
「えっ、本当だ。なんでふんどしなんか……」
「あれ、三和さんちの雪ちゃんじゃない?」
「まあ……可哀想に。お母さんは何してるんだろう」
ささやき声が、風に乗って断片的に雪の耳に飛び込んでくる。
その一つ一つが、胸の奥をぎゅっと掴む。
でも、同時に、お腹の底のあのくすぐったい熱が、少しずつ、確実に大きくなっていく。
見られるのが、怖い。
けれど、それ以上に……どこか、気持ちいい。
この、たくさんの視線を一身に浴びているという感覚。
自分が特別な存在になったような、そんな錯覚。
「雪、ペース落ちたか? 大丈夫か?」
隣で担いでいる俊が、汗だくの顔を向けて心配そうに声をかけてきた。
「……うん。平気」
雪は、ぎりぎりと歯を食いしばって答えた。
声が、少し震えているのに自分で気づいた。
「そっか、無理するなよ。でも……すごいよな、雪。ほんとにやったな」
俊の言葉には、純粋な尊敬のようなものが込められていた。
その一言が、雪の胸にじんわりと温かく染み渡った。
神輿の列は、町の中心部にある小さな広場へと差しかかろうとしていた。
ここは毎年、数組の神輿が一堂に会し、にぎやかなやり取りをする場所だ。
もう一組の神輿が、反対側からやってきているのが見えた。
担ぎ手たちも、こちらと同じくふんどし姿の少年たちだ。
「おーい! そっちもがんばれよー!」
「今年もすげえ熱いな!」
互いに声をかけあい、距離がどんどん近づいていく。
広場は結構狭く、すでに見物客でごった返している。
進路を確保しようとする世話役の大人たちの声が、かき消されるほどの歓声と雑踏の中に消えていく。
「ちょっと、混み合ってるから気をつけろー!」
どこからか、中村さんの声がした。
雪は、肩の重みにさらに耐えながら、もう一組の神輿が目前に迫ってくるのを見た。
担ぎ手の少年たちの熱気と汗の匂いが、混ざり合う空気に漂ってきた。
――近い……。
ほんの数メートル。
神輿同士がすれ違う寸前、雪の乗った神輿の右側を担いでいた少年が、石畳のわずかな段差につまずいた。
「わあっ!」
小さな悲鳴とともに、神輿が大きく右に傾いた。
「おい! しっかりしろ!」
「重い、重いよ!」
バランスを崩した担ぎ手たちの慌てた声。
雪は、突然肩にかかってきた猛烈な傾きに、足を踏ん張ろうとした。
が、遅かった。
右側から押し寄せてきた衝撃が、神輿全体を不安定に揺らす。
そして、もう一組の神輿の端が、雪たちの神輿の前端に、ごつん、とぶつかった。
「きゃあっ!」
雪の口から、思わず甲高い声が飛び出した。
衝撃が足元から全身を駆け抜ける。
担ぎ棒が肩からすっぽりと外れ、体が浮くような感覚。
背中から地面へと投げ出されていく。
時間が、ゆっくりと流れる。
汗に濁った夏の空。
騒ぎ立てる人々の顔。
俊の、目を丸くした驚愕の表情。
――ああ。
背中が、硬く冷たい石畳にぶつかった。
「ぐっ……!」
肺から空気が押し出される音。
痛みよりも先に、下半身に襲ってきたのは、ひんやりとした虚空感だった。
何かが、ずるり、と腿から滑り落ちていく。
締め付けていたはずの布が、一瞬で緩み、腰から腿を覆っていた白い晒しが、汗に濡れた肌を伝って、すとん、と石の上に落ちた。
一瞬、全ての音が引いていった。
広場の喧騒が、遠くの雑音のように聞こえる。
雪は仰向けに倒れたまま、体が言うことをきかない。
股間に、ひんやりとした空気が直接触れている。
何もない。
布一枚で隠されていた、十二歳の少女の最も秘められた部分が、何の遮るものもなく、午後の陽射しと、無数の視線に晒された。
まだ産毛が柔らかく、うっすらと生え揺らめく無毛に近い恥丘。
その中央に、小さくぷっくりと膨らみ、淡いピンク色の縦じわで固く閉じられた裂け目。
汗と埃で少し汚れた石畳の上に、その幼くて未熟な壺が、唐突に、残酷なまでに露わになった。
「………っ」
雪の喉が、細く震えた。
息が、まったくできない。
周囲から、最初の一人が息をのんだ。
次に、ざわめきが、堰を切ったように広がる。
「うわ……」
「な、なんだあれ……」
「み、見ちゃいけないよ!」
「でも……女の子の……」
「雪ちゃんが……!」
担ぎ手の男の子たちが、凍りつくように雪の倒れた場所を見つめている。
俊の顔が、一瞬で血の気が引いたように青ざめた。
「雪……!」
彼が一歩踏み出そうとしたその時、大人たちの影が慌てて雪の周りに駆け寄った。
「どいて、どいてっ! 子供たちは見るんじゃない!」
「大丈夫か、怪我は!?」
「布! 何か掛けるものはないか!?」
中村さんの焦った声が飛び交う。
雪は、まだ茫然と空を見上げたままだった。
股間の、あのひんやりとした開放感。
そして次に、それを覆い尽くすように襲ってきたのは、数十、いや、数百もの視線が、一斉に自分の最も恥ずかしい場所を舐め回すような、灼熱の感覚だった。
見られている。
完全に。
赤裸々に。
隠すものなく、すべてを。
大人たちの慌てふためく声、近づいてくる足音、それさえも遠くに感じる。
雪の意識は、ただ一点、冷気を感じる股間と、そこに注がれている無数の目に集中していた。
恐怖が、遅れて押し寄せてきた。
でも、その恐怖の底を、もっと深いところから、ぽっかりと湧き上がってくるものがある。
お腹の奥で、ずっとくすぶっていたあの火種が、油を注がれたように、ぼうっと燃え広がる。
――見られた。
ああ……全部、見られちゃった。
その事実が、全身の皮膚を、ちりちりと焦がすような熱に変えていく。
頬が火照り、耳の奥で脈打つ鼓動が、あの小さな裂け目まで響いているような気がした。
慌てて駆け寄ってきた母・怜子の、泣きそうな顔が視界の端に入る。
「雪っ! 雪っ!」
彼女の手に握られた浴衣が、雪の体に慌てて覆いかけられる。
布が肌に触れる。
でも、もう遅い。
見られたものは、取り返せない。
浴衣の下で、雪はゆっくりと、自分の両腿を閉じた。
布が直接触れる恥丘が、なぜか、ほんのりと温かく、そしてどこかびくん、と痙攣するような感覚があった。
目を閉じた。
暗闇の中に、無数の光の粒――人々の瞳が、ちらちらと浮かんで消える。
あの瞬間、石畳の上に晒された自分の体。
それを、みんなが……。
「っ……」
声にならない嗚咽が、喉の奥で潰えた。
それは泣き声ではなかった。
何かが、お腹の深くで、ぐらりと揺さぶられたような。
崩れ落ちるような。
そして、同時に、熱く溶け出すような。
感覚だった。
第3章 慾望~羞恥の果てに咲く快楽~

第3章: 慾望~羞恥の果てに咲く快楽~
母の浴衣でぐるりと包まれたまま、雪は家まで連れ帰られた。
体中が震えていて、足がちゃんと前に出ない。
怜子が泣きながら支える腕にすがりつくしかなく、周りから聞こえる「大丈夫か」「かわいそうに」という声も、全部遠くでぼんやり響いているだけだった。
家の玄関に入り、上がり框に腰を下ろした時、初めて雪は自分の膝ががくがくと震えているのに気づいた。
「雪……雪……」
怜子は跪くようにして雪の前にしゃがみ込み、両手で娘の頬を包んだ。
その手も震えていて、冷たかった。
「ごめんね、お母さんがちゃんと止めてあげればよかった……ごめんなさい……」
「……違うよ」
雪の声は、かすれてほとんど聞こえなかった。
喉がぎゅっと締め付けられているみたいで、言葉がうまく出てこない。
「私が……行きたかったから……」
「でも、あんなことになって……あなた、あんな風に見られて……!」
怜子の声がまた詰まった。
その泣き声を聞いていると、雪の胸の奥で、ようやく鈍い痛みのようなものがじわっと広がってきた。
――見られた。
石畳の上で、ああやって、股間を全部さらけ出して。
大勢の人たちに、じろじろと。
「……風呂に入ろうか」
怜子は立ち上がり、手を伸ばした。
「体が汗と埃で汚れてるから、きれいにしよう。その後でゆっくり休もうね」
雪は無言でうなずいた。
浴衣の帯を解かれ、布がするりと肩から滑り落ちる。
裸になった肌に、部屋の空気がひんやりと触れた。
胸も、お腹も、腿も、全部が冷たい空気に晒される。
その感覚が、なぜか祭りの広場でふんどしがすとんと落ちた瞬間を、くっきりと思い出させた。
「あ……」
思わず、小さな声が漏れた。
怜子は気づかずに、雪の手を引いて風呂場へと導いていく。
湯船にはもうお湯が張られていて、湯気がもわもわと立ち込めていた。
シャワーの椅子に座らされ、温かいお湯が頭からざあっとかけられる。
髪の毛がびしょびしょになり、額を伝って流れるお湯が目に入って少ししみた。
「目、閉じててね」
怜子が優しく声をかける。
シャワーヘッドを手に持ち、雪の背中を流し始める。
スポンジに泡立てた石鹸が、肌の上をゆっくりと滑っていく。
背中、肩、腕。
その手が、胸のあたりに近づいた時、雪は息をひそめた。
「……自分でやる」
「え?」
「お母さん……そこは、自分で洗うから」
雪は振り向き、母の手からスポンジを受け取った。
怜子は一瞬戸惑ったようだったが、うつむいて小さくうなずいた。
「……わかった。じゃあ、しっかり洗ってね。頭も洗うから、こっち向いて」
雪は正面を向き直し、母がシャンプーを手に取るのをじっと待った。
目を閉じ、頭皮を洗う指の動きに身を任せる。
が、自分の手は動かなかった。
スポンジを握ったまま、膝の上に置いた手が、じっと固まっている。
――あの時……。
瞼の裏に、石畳の冷たさがよみがえる。
それから、股間に注がれた無数の視線の熱。
あの二つが混ざり合って、体の芯をぐらりと揺さぶるような感覚。
胸の奥が、またぞわっと熱くなった。
「雪、大丈夫? 何か気分悪い?」
怜子が心配そうに尋ねる声が、遠くから聞こえる。
「……ううん。平気」
そう答えて、雪はようやくスポンジを動かした。
まずは首筋から、それから鎖骨のあたりを、そっとなでるように洗う。
スポンジが胸のふくらみのてっぺんに触れた時、思わず手が止まった。
まだ小さいけれど、確かにそこにある柔らかい膨らみ。
その先端が、なぜかひりひりと疼いている。
湯気の中、雪はそっと目を開けた。
自分の胸を見下ろす。
泡に覆われた肌が、薄いピンク色を帯びている。
お湯の温度のせいだけではない、内側から湧き上がってくる熱が、そこにある。
手を下ろし、腿のあたりへとスポンジを動かす。
左腿、右腿。
そして、腿の付け根へ。
スポンジが、恥丘のふくらみのあたりに触れる。
ほんの少し、そっと当てただけなのに。
「……ん」
喉の奥で、息が詰まるような音がした。
そこが、さっきまで何もなくて、空気に直接晒されていた場所。
見られていた場所。
スポンジを動かすのをやめ、そのままの位置で手を静止させた。
布越しに伝わる自分の肌の温もり。
そして、その下で、じわじわと広がってくる、くすぐったいような感覚。
指が、自然に動いた。
スポンジを離し、直接肌に触れる。
人差し指の腹が、恥丘の柔らかい膨らみをそっとなでる。
産毛がうっすらと生えた肌が、少しざらりとしている。
でも、その奥の、裂け目に向かってふくらみがなだらかに落ち込んでいくあたりは、すべすべとして、驚くほど柔らかい。
「……っ」
指が、思わず裂け目の縁に触れた。
まだしっかりと閉じられた、小さな縦じわ。
触れた瞬間、そこから微かに、ぴくん、と跳ねるような動きが伝わってきた。
お腹の底が、ぐらりと揺さぶられる。
胸が、ぎゅっと締め付けられるような感覚。
でも、それは苦しい締め付けではなかった。
何かが溶け出し、熱く広がっていく、そんな感じ。
「雪、頭流すよ? 目閉じて?」
怜子の声に、はっと我に返った。
雪は慌てて手を引っ込め、スポンジを握りしめた。
「……うん」
目を閉じ、上からざあっとお湯が流れ落ちる。
泡が体を伝って流れていく。
その流れが股間を通過する時、またぞわっとした感覚が走った。
風呂上がり、バスタオルで体を拭きながら、雪は洗面所の鏡に映る自分を見つめた。
髪は濡れてだらりと肩に落ち、肌は湯気でほてって赤みを帯びている。
タオルで拭いたばかりの体は、まだ少し水滴がついていて、それが光っている。
――これが……私。
祭りで、みんなに見られた体。
鏡の前で、雪はゆっくりとタオルを床に落とした。
何も着ていない。
裸のまま、鏡に映る自分の全身を見つめる。
まずは顔。
まだ幼さの残る、十二歳の顔。
次に首、肩。
そして、胸。
お湯で温まったせいか、胸の先端がしっかりと尖って、ほんのりと濃いピンク色になっている。
お腹、腰。
そして、腿の間。
そっと手を伸ばし、指先で恥丘のあたりをそっとなでてみた。
肌はすべすべで、温かい。
少しだけ、湿っているような気がした。
祭りの興奮のせいだろうか、それとも……。
「……見られたい」
口に出したわけではなかった。
でも、胸の奥で、はっきりとその言葉が響いた。
また、あの視線の熱を感じたい。
大勢の目に、じろじろと見つめられたい。
股間まで、隠すところなく。
そう思うと、頬が火照ってきた。
耳の先まで熱くなる。
胸の先端が、ちくちくと疼く。
鏡の中の自分が、なんだか別人のように見えた。
目が潤んで、少しうつむき加減になっている。
唇がわずかに開き、息が荒い。
「……だめ、なのに……」
声に出して呟くと、その言葉が空気に消えていく。
だめなことだって、わかってる。
女の子が、そんなところを人に見せていいわけがない。
お母さんも泣いてた。
周りの人たちは、あきれていたり、可哀想がったりしてた。
でも。
でも、あの時の感覚が、体の奥から消えない。
あの、ぎゅっと締め付けられるような、それでいて熱く溶けていくような。
「……はあ」
深いため息が、自然と漏れた。
タオルを拾い、もう一度体を拭いながら、雪は自室へと向かった。
部屋に入り、ドアを閉める。
カーテンの隙間から、夕暮れ時のオレンジ色の光が細く差し込んでいる。
ベッドに腰を下ろし、ぼんやりと窓の外を見る。
――俊は……なんて思っただろう。
あの時、俊も私のあんなところを見てしまった。
彼のあの、真っ青になった顔を思い出す。
きっと、びっくりして、気持ち悪がってるに違いない。
明日から学校で会ったら、どうしよう。
話しかけてもらえなくなるかもしれない。
そう考えると、胸がきゅんと痛んだ。
でも、その痛みのすぐ横で、また別の感情がもぞもぞと動いている。
俊に見られた、という事実が、なぜかくすぐったくて。
彼の目に、私の一番恥ずかしいところが焼きついたかもしれない、と思うと。
「……ああ、もう」
布団にもぐり込み、顔を枕にうずめた。
頭の中が、ごちゃごちゃしている。
祭りのことばかり考えてしまう。
あの瞬間、何度も繰り返し思い返してしまう。
ふんどしが落ちた感触。
ひんやりとした石の上で、股間が空気に晒された感覚。
それから、押し寄せてきた視線の波。
「……んっ」
布団の中で、思わず腿をぎゅっと閉じた。
腿の内側がこすれ合い、恥丘のあたりにちょうどいい圧迫がかかる。
その刺激が、またぞわっと熱を運んできた。
あの時、ああやってみんなに見られながら、もし誰かに触れられたら……。
考えただけで、背筋がぞくっとした。
怖い。
気持ち悪い。
そう思うべきなのに。
お腹の底のあのくすぐったい熱が、どんどん大きくなっていく。
手が、自然と腿の間へと動いた。
人差し指が、パジャマの布越しに、裂け目のふくらみをそっと探る。
布が薄いせいか、自分の肌の温もりがしっかりと伝わってくる。
ほんのりと湿った感じが、布ににじんでいるようだった。
「……あ」
指先に力を込め、少し押し当ててみた。
ぷにっとした柔らかい弾力。
その奥で、何かがぴくん、と跳ねる。
目を閉じる。
暗闇の中、祭りの雑踏がよみがえる。
人々のざわめき、太鼓の音、掛け声。
そして、無数の目。
その目が、今、布越しに触れている自分の指先を、じっと見つめているような気がしてきた。
「……見て……」
声にならない声が、枕の中に消えた。
もっと、見てほしい。
もっと、じっくりと。
隠すところなく。
指が、無意識に動き始めた。
布の上から、裂け目の形をそっとなぞる。
上下に、ゆっくりと。
動くたびに、かすかな摩擦が生まれる。
布が肌を擦る、ざらりという感触。
それが、なぜかたまらなく気持ちいい。
呼吸が、次第に荒くなっていく。
胸が高鳴り、額に汗がにじんできた。
もっと、もっと。
そう思いながら、雪は布団の中で体をよじらせた。
祭りの夜から、三日が過ぎた。
学校は夏休み明けで、雪は久しぶりに登校した。
教室では、やはり囁きが飛び交った。
「あの子、祭りでふんどしだったって……」
「え、本当? すごいな」
「でも最後、大変だったらしいよ」
「なにが?」
「それは……内緒」
そんな会話が、ちらほらと聞こえてきた。
雪はうつむいて自分の席につき、教科書を広げるふりをした。
俊が教室に入ってきた。
彼は一瞬雪の方を見たが、すぐに目をそらし、自分の席に急いだ。
話しかけてはこなかった。
休み時間も、ずっと他の男子とばかり話している。
――やっぱり。
雪の胸が、きゅんと痛んだ。
でも、その痛みと同時に、またあのくすぐったい熱が、お腹の底でゆらめいた。
俊も、見たんだ。
私の、あんなところを。
放課後、雪は真っすぐに家に帰った。
怜子は買い物に出かけておらず、家は静かだった。
自分の部屋に入り、ドアに鍵をかける。
部屋の隅にしまってある、あの晒し木綿を取り出した。
祭りで使った、あのふんどしだ。
洗濯はしてあるが、まだほのかに汗の匂いが残っているような気がした。
雪はそれを手に取り、じっと見つめた。
白い布が、くるくると巻かれている。
――もう一度。
胸の奥で、声がした。
あの時みたいに、締めたい。
裸のままで。
窓のカーテンを、ほんの少しだけ開けた。
夕方の光が、細い帯になって床に落ちる。
通りを歩く人の気配が、かすかに聞こえてくる。
雪は服を全部脱ぎ、裸になった。
そして、床に座り、晒し布を広げる。
まずは腰に当て、一端をぎゅっと握る。
もう一端を股の間へと通す。
布が腿の内側をざらりと這う。
その感触が、祭りの日をくっきりと思い出させる。
汗で湿った布が肌に張り付き、動くたびに擦れていたあの感覚。
「……ん」
布を後ろから前に回し、もう一度腰に巻き付ける。
きつく締め上げる。
布が恥丘をしっかりと押し上げ、股の間でぴんと張る。
上半身は何も着ていない。
裸の胸が、部屋の空気に直接触れている。
ゆっくりと立ち上がり、鏡の前に移動する。
鏡に映るのは、ふんどし一丁の少女だ。
胸はまだ小さいが、先端はしっかりと尖って、濃いピンク色をしている。
腰から腿を覆う白い布。
その布の真ん中が、股間のふくらみでぽっこりと盛り上がっている。
「……ああ」
声が出た。
鏡の中の自分を見つめながら、雪は手をそっと胸に当てた。
指が乳首をこする。
ひりりとした刺激が、背筋を走る。
もう一方の手は、自然と股間へと下りた。
ふんどしの布の上から、恥丘のあたりをそっとなでる。
布越しに、自分の肌の温もりが伝わってくる。
窓の外から、車の音が聞こえる。
人の話し声が、かすかに風に乗って流れてくる。
――誰かが……見てるかもしれない。
カーテンは少しだけ開いている。
もし通りがかりの人が、ふとこちらの窓を見上げたら。
この部屋の中が、ちらりと見えるかもしれない。
裸の胸と、ふんどし姿の私が。
そう考えると、全身の血がどっと頭に上るような感覚がした。
頬が熱く燃える。
でも、手は動きをやめない。
股間をなでる指が、無意識に力を込めている。
布が押し込まれ、割れ目の形が浮かび上がってくる。
「……はぁ……はぁ……」
息が荒くなっているのに、自分で気づいた。
胸が高鳴り、お腹の底のあの熱が、どんどん広がっていく。
恥ずかしい。
みっともない。
女の子が、こんなことして……。
でも、やめられない。
あの祭りの感覚をもう一度、味わいたくて。
たくさんの目に晒された、あの圧倒的な「見られ感」を。
指が、布の端を探った。
ふんどしの結び目に触れ、少し引っ張ってみる。
緩めば、布はするりと落ちる。
あの時みたいに。
「……っ」
またぞわっとした感覚が、腿の付け根からわき上がる。
目を閉じる。
暗闇の中に、無数の瞳が浮かぶ。
大人たちの、子供たちの、知らない人たちの目。
それらがすべて、今の私を見つめている。
裸の胸を。
ふんどし一枚の体を。
そして、布の下の、まだ見えないけれど確かにあるあの場所を。
「……見て……」
今度は、声に出した。
かすれた、熱っぽい声。
「私のこと……もっと……見て……!」
指がぐっと力を込め、布を押し付ける。
割れ目が、布越しにぐしゃりと歪む。
その刺激で、腰が自然と浮いた。
お腹の奥で、何かがぎゅっと締まり、それからばらりと崩れ落ちるような。
熱いものが、腿の内側を伝い始める。
「あ……ああ……!」
声が、押し殺せなかった。
体が震え、膝ががくがくする。
鏡の中の自分が、目を潤ませ、唇をわなわなと震わせている。
でも、そこに映っているのは、決して泣いている顔ではなかった。
熱に浮かされたような、恍惚とした表情。
自分でもわからないほどの快感が、体を駆け巡る。
それは、祭りのあの瞬間よりも、ずっと強くて、深い。
ゆっくりと床に崩れ落ち、雪はそのままうずくまった。
呼吸がなかなか整わない。
股間は熱く、布が少し湿っている。
でも、もう指を動かす気力はない。
ただ、体の芯がわなわなと震え続けている。
窓の外から、蝉の声が聞こえてきた。
夏の終わりを告げる、せみしぐれだ。
うるさいほどに、じーんじーんと鳴き続ける。
その音が、雪の新しい鼓動と重なって、部屋の中に響き渡る。
――また……見られたい。
次は、もっと。
布なんて、なくても。
そう思うと、またぞわっとした熱が、お腹の底をくすぐった。
恥ずかしさと罪悪感が、ゆっくりと押し寄せてくる。
でも、もうそれらを完全に追い払うことはできない。
あの快楽を知ってしまったから。
人に見られることの、あの圧倒的な熱を。
雪はゆっくりと立ち上がり、もう一度鏡の前に立った。
ふんどし姿の自分を、じっと見つめる。
そして、そっと囁いた。
「……私、おかしくなっちゃったのかな」
でも、その言葉には、もう悲しみは込められていなかった。
どこか、諦めに似た、しかし確かな熱を帯びた響き。
窓の外の蝉時雨が、彼女の新しい目覚めを、騒がしく、そしてどこか哀切に包み込んでいた。
登場人物
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三和 雪 みつわ ゆき女性 ・ 12
外見: 肩まで届くストレートの黒髪、切れ長で澄んだ黒瞳、まだ乳房の膨らみがほとんどない少年のような細身の体型、身長約145cm。肌は日焼けの跡が少しある健康な色。服装: 普段は半袖のシャツとキュロットまたはスカート、白いソックス。祭り当日は男児用の晒し木綿のふんどし一枚のみ(上半身裸)。性格・特徴: 大人しいが内に強い意志を持つ。絵を描くことが好きで観察眼が鋭い。幼いながらも自分の身体に湧き上がる「人に見られたい」という不可解な衝動に戸惑いと微かな興奮を覚えている。同級生の男の子たちがふんどし姿で祭りに参加するのをこっそり羨ましく思っていた。
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高橋 俊 たかはし しゅん男性 ・ 12
外見: スポーツ刈りに近い短い茶髪、丸くて茶色の瞳、がっしりとして日焼けした体格、雪よりも少し背が高い。服装: 普段はTシャツと半ズボン。祭り当日は雪と同じくふんどし一枚(上半身裸)。性格・特徴: 活発で面倒見が良いクラスの人気者。雪とは幼稚園からの幼なじみで、彼女がなぜか男の子の祭りに参加すると聞いて驚きつつも、「一緒に来いよ」と無邪気に誘った張本人。まだ性に対して無知で純粋。
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佐藤 怜子 さとう れいこ女性 ・ 35
外見: きれいになでつけたロングヘア(茶色)、優しげな細目、スリムな大人の女性の体型。服装: 浴衣姿(淡い藍色に白い萩の模様)。性格・特徴: 雪の母。心配性で娘を大切に思う。今回の祭りが「子供として参加する最後」ということで感慨深く、娘の「男の子たちと一緒にふんどしで参加したい」という願いを、少し戸惑いながらも「思い出に」と許可してしまう。祭りの騒ぎの中で娘の異変に最初に気づく存在となる。
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中村 剛志 なかむら たけし男性 ・ 38
外見: 短く刈り込んだ髪(黒髪に混じって白髪が目立つ)、鋭い目つき、がっちりとした労働者の体格。服装: 祭りの世話役として半纏を羽織っている。性格・特徴: 町内会の若手役員。祭りを仕切る立場で、子供たちのふんどし姿にも慣れているが、今年は女の子である雪の参加に内心ではやや複雑な思いを抱いている。ハプニング発生時、現場の対応に当たる大人の一人。
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田辺 浩一 たなべ こういち男性 ・ 45
外見: 少し長めの髪を後ろで束ねている、色白でやや面長な顔、細身。服装: カメラを首から下げ、ポロシャツとチノパンというカジュアルな装い。性格・特徴: アマチュアカメラマン。祭りの風物詩を撮影するために毎年訪れている。純粋に民俗的記録としてふんどし姿の子供たちを撮っていたが、ハプニングの瞬間、偶然にもカメラのレンズが雪の「それ」を捉えてしまう。その瞬間、彼の写真家としての目と、男としての目が大きく揺らぐ。





