第2章: 屈辱の奉仕、溢れる濁流

第2章: 屈辱の奉仕、溢れる濁流
硝子のグラスに残る琥珀色の液体が、天井の蛍光灯を反射して妖しい光を放った。その一条の光が、剛力刀也の開け放ったシャツの胸元、汗でじっとりと濡れた濃い体毛を照らし出す。高級ウイスキーの甘い香りと、彼の肉体から立ち上る獣のような男臭が混じり合い、粘つく空気となって雅恵の頭を鈍く圧迫した。
隣に座る夫・裕二は、うつむいたまま自分の膝の上で固く握りしめた拳を見つめているだけ。その無力な横顔が、雅恵の心臓に冷たい刃となって突き刺さる。先ほど、スカートの上から撫でられた臀部の感触がまだ忘れられない。あの太く、粘つくような指の圧迫が、布地を通して今も焼き付いているようで、思わず体がこわばる。
「なあ、木下…」
剛力の低く、響くような声が静寂を裂いた。
「俺が大学時代、どれだけお前の面倒を見てやったか。忘れたんじゃないだろうな」
その言葉に、裕二の肩がびくりと震える。彼は顔を上げず、かろうじて小さく頷くだけ。その情けない仕草に、雅恵の胸の底で何かが冷たく砕け散る音がした。この男は、自分の妻さえ守れないのだと、突如として腹の底から理解してしまった。
「いいよな?」
剛力はにやりと唇を歪ませ、ぐらりと立ち上がると、自分のズボンの前に手をやった。
「奥さんにも、せいぜい俺の礼をさせてやるんだ。そうだろ、雅恵?」
唐突に呼び捨てにされた名前に、雅恵は息を呑む。
じりり、という金属の音が静寂の中で鋭く響き渡る。次の瞬間、雅恵の瞳に、信じがたい光景が焼き付いた。夫のものとは比較にならないほど、太く、長く、醜いまでに血管が浮き上がった肉の塊。それはまるで、異形の生き物が彼の股間から顔を出したかのようだった。先端からは粘つくような透明な液が糸を引き、濃密で生々しい匂いを放っている。熱気が、雅恵の顔に直接ぶつかる。
「…さあ、な」
その一言に、雅恵の体は凍りついた。逃げたい、叫びたい、この場から消えたいという衝動が全身を駆け巡る。しかし、その視線の先にいるのは、青ざめた顔で、しかしその目の奥だけは奇妙な輝きを浮かべてこの光景を見つめている夫・裕二だった。あの顔は、拒絶する勇気も、守る覚悟もない、ただの欲望の塊だった。
--絶望…。
力が、膝から抜けていく。自分の意志とは関係なく、体はじりじりと床に跪いていく。
ぐしゃっ、と畳の上に膝をつく乾いた音がした。目の前には、あの恐ろしいほどの巨根が、自分を待ち受けるかのようにそびえ立っている。剛力は雅恵の髪を乱暴に掴むと、何の抵抗も許さず顔を自分の股間に引き寄せた。
--嫌だ、嫌だ、やめて…。
心の中で叫んでも、唇は無防備に開かれ、熱くて硬い肉塊が、ねっとりと口内に滑り込んでくる。舌に当たるそのげっそりとした感触、塩辛く、独特の生臭さを帯びた味が、唾液と混じって瞬く間に広がる。
「くっ…んんっ…」
声にならない声が喉の奥から漏れる。剛力はその反応を気にする様子もなく、腰をずん、と突き上げる。肉棒が奥まで強く押し込まれ、吐き気がするほどの圧迫感に、涙が滲んでくる。
くちゅっ、じゅるじゅる、じゅぼっ…。
下品で淫靡な音が部屋に響き渡る。それは自分の口から発せられているのに、まるで他人事のように遠く聞こえる。溢れ出た唾液がねちょねちょと音を立て、屈辱をさらに深く、肉に刻み込んでいく。
「ふぅ…くっ…そうだ、その感じだよ…」
剛力の満足げな呻きが、雅恵の耳を直接刺激する。雅恵はただ、目を閉じて耐えるしかなかった。夫が隣で、この屈辱的な光景を、あの興奮した顔で見ている。その事実が、羞恥心を異常なほどに煽り立てる。
--なのに…。
どうしようもなく、自分の体の奥で、微かな熱がこみ上げてくるのを感じてしまう。それは、この屈辱と、この男の圧倒的な力に対する、許されない、けだるい反応だった。
その時、口内に収まった肉が、脈打つように激しく震え始めた。びくん、びくん、と。次の瞬間、熱くて粘度の高い液体が、勢いよく喉の奥に放たれる。
ぐぶっ、という不潔な音とともに、濃厚な精液が口いっぱいに広がり、その生臭く、塩辛い味が全ての感覚を支配した。息ができなくなり、思わずごくりと飲み込んでしまう。喉を通っていく精子の熱と感触が、忘れられない記念となる。
剛力はゆっくりと自分のペニスを引き抜くと、ズボンを仕舞うことなく、ぞんざいに椅子に腰掛けた。そして、情けない顔で、明らかに興奮に震えながらこちらを見ている裕二を睨みつけた。
「…どうした、木下」
「自分の嫁が目の前で他人のモノを咥え込んで、そのクソみたいな顔で興奮しやがって」
「情けないな、お前は」
その罵倒の言葉が、雅恵の鼓膜に突き刺さる。口の中には、まだあの男の精液の味と匂いが残っている。喉の奥は熱く、舌はまだびくびくと痙攣している。夫への失望、先輩への憎悪、そして、この屈辱の中で芽生えた自分でも理解できない奇妙な興奮。それらが混じり合って、雅恵の心の中で、ふつふつと黒い炎のように燃え上がり始めていた。
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