食欲と性欲…入れ替わった世界の午後は食欲旺盛【パラレルワールド】
あらすじ
目が覚めた津田恭平の世界は、見た目は同じだったが、何かが根本的に狂っていた。朝食のトーストを口に運ぶ手が震え、誰にも見られたくないという羞恥に襲われる。通勤電車は、人々が互いの体を求め、喘ぎ声がこだまする欲望の密室と化していた。職場に到着しても、その異常な空気は続く。憧れの後輩、藤川御代の姿を見た瞬間、恭平の頭の中にあった彼女への純粋な想いと、目の前の世界の残酷な現実が衝突し、理性が軋み始める。
第1章 歪んだ朝食と、通勤電車の喘ぎ

第1章: 歪んだ朝食と、通勤電車の喘ぎ
目が覚めたとき、世界は昨日までと何も変わっていなかったはずなのに。
カーテンの隙間から差し込む朝の光は、まるで刃物のように刺すような白さを帯び、目覚まし時計の甲高い電子音は、脳髄を直接抉るような不快な響きを持っていた。
津田恭平(つだ きょうへい)はベッドから上半身を起こし、ざらつくシーツの感触に怯えながら、茫然と自室の見慣れたはずの風景を見回した。
本棚に並んだ本の背表紙、デスクの上に散らかる書類の山、クローゼットの取っ手。
すべてが記憶通りの配置で、彼を安心させるどころか、かえって底知れぬ違和感の原因を探させるかのように、そこに静かに佇んでいた。
喉の奥に焼けるような渇きと、それに伴う空虚な空腹感があった。
いつもなら自然だったキッチンへ向かう足取りが、今日は一歩踏み出すたびに心臓が不意に掻きむしられるような、奇妙な抵抗感に満ちていた。
キッチンに立つと、トースターから焼き上がったパンの匂いが鼻腔を突いた。
焦げ付いた小麦と脂の甘ったるいその匂いは、食欲をそそる穏やかな刺激ではなく、どこか下品で、粘膜を濡らすような官能的な香りに感じられた。
恭平は震える手でパンを取り出し、ナイフでバターをすくう。
白く濁った脂が、熱々のパンの上面にじゅわっと染み込んでいく様子が、あまりにも生々しく、まるで他人の目に触れるべきではない秘密の儀式のように思えた。
――何だ、これは……。
彼は誰にも見られていないのに、思わず背中を丸めてパンを口へ運んだ。
その瞬間、サクッ、バリバリという音が静かなキッチンに不釣り合いなほど大きく響き、耳の奥まで突き刺さった。
噛みしめるたびに口の中に広がる小麦の甘みとバターの塩気が、まるで禁断の果実のように罪悪感を伴い、全身の毛穴が逆立つような羞恥に襲われる。
なぜ? なぜ食事という、こんなにも当たり前の行為が、まるで公衆の面前で脱衣するような、耐え難い暴露癖に満ちた行為のように感じられるのだろう。
彼は早口でパンを喉へ押し込み、次いでコーヒーを流し込んだ。
舌の上を焼き付くような苦い液体もまた、喉を灼く熱と共に、彼の内なる何かを穢していくような感覚を残した。
家を飛び出すように恭平は玄関を潜った。
外の空気は、昨日までのものとは明らかに違っていた。粘つくような湿気と、人々の肌から放たれる匂いが混じり合い、淫靡な香りを漂わせている。
人々の表情、歩き方、視線の質。
そのすべてがどこか色めき立っていて、生々しい欲望の粒子が空気中を浮遊しているようだった。
特に、最寄り駅へ向かう道のりで感じる視線は、単なる好奇心ではなく、もっと動物的で、剥き出しの欲求を含んだ眼差しだった。
恭平は無意識に襟を立て、早足で駅へ向かった。
ホームはいつも通りの人でごった返していたが、その騒ぎの中に奇妙なリズムがあった。
人々の息遣いが、いつもより少しだけ早く、濃厚なのだ。
電車がホームに滑り込むと、乗客は我先にと押し合い、車内へとなだれ込んだ。
恭平もその波に呑まれ、車内の奥へと押しやられる。
ドアが閉まり、車内は密閉された箱となった。
その瞬間、恭平は息をのんだ。
車内に満ちるのは、単なる人混みの熱気や汗の匂いだけではなかった。
それはもっと濃密で、甘ったるく、汗、皮脂、香水、そして性欲が混じり合った、粘膜と粘膜が擦れ合うような生々しい匂いだった。
隣に立つサラリーマンの肩が、恭平の胸に不自然に密着し、その体温がシャツの上からじんわりと伝わってくる。
向かいの女性は、目をつぶり、唇をわずかに開いて、浅い息をついている。その息は白く、車内の空気に溶けていく。
恭平の視線が、少し離れたところにいるカップルに吸い寄せられた。
男性は女性の背後から彼女の腰を抱きしめ、その耳元に何事か囁いている。
女性はうなだれ、羞恥に染まった顔を赤くしているが、その手は男性の手を強く握りしめていた。
そして、恭平は見てしまった。
男性の片手が、女性のスカートの裾へと、ためらいなく滑り込んでいくのを。
女性の肩がびくりと痙攣するような震えを見せ、押し殺したような「くんっ」という喘ぎ声が漏れた。
その声は、電車の走行音に紛れ、他の乗客には何の関心も引いていなかったようだった。
誰もが、自分自身の欲望と、あるいは他人の欲望と、静かに、しかし濃厚に戯れているのだ。
恭平は全身を硬直させ、ただ立っていることさえ困難だった。
背中から冷や汗が流れ、股間がじりじりと熱を帯びていくのを感じた。
――嫌悪か、それとも……抗いがたい興奮か、彼自身にも分からなかった。
ようやく目的地の駅に到着し、恭平は電車から吐き出されるようにして降りた。
オフィス街の朝の光は、さっきまでの密室の暗さとは打って変わって眩しかったが、彼の頭の中はまだ電車内の湿った空気と喘ぎ声で満たされていた。
会社のビルに入り、エレベーターで自分の階へ向かう間も、同じような緊張が続いた。
エレベーターの中では、隣に乗り合わせた同僚の女性が、恭平の腕にそっと自分の腕を絡めてきた。
その仕草は、まるで当たり前の挨拶のように自然で、恭平はただ固まることしかできなかった。
彼女は何事もなかったように微笑み、柔らかな声でこう言った。
「おはようございます、津田さん」
恭平も機械的にそれを返した。
自分のデスクに着くと、恭平は深く息を吐いた。
ここなら、少しは正常な感覚を取り戻せるかもしれない。
そう思ってPCのモニターを起動した。
しかし、その視線の先に、彼の心臓を鷲掴みにする光景があった。
藤川御代(ふじかわ みよ)。彼が密かに想いを寄せていた、後輩の彼女だった。
彼女は少し脱力感のあるポニーテールを汗で濡らした首筋で揺らし、同僚の誰かと楽しげに話していた。
その姿は、昨日まで見ていたものと同じだった。
しかし、恭平の目には、全く違うものとして映っていた。
タイトなニットが強調する豊満な胸の膨らみは、乳首の形まで浮かび上がらせており、ミニスカートから覗く細い脚のラインは、男を誘うように磨き上げられていた。
そのすべてが、もはや無垢な魅力ではなく、この世界のルールに則った、露骨な欲望の表明にしか見えなかった。
彼女が笑うたびに、その濡れたような黒い瞳が、恭平の内側の最も奥深い、隠していた渇きを直視しているような気がした。
恭平の頭の中にあった、彼女への純粋で健やかな想い。
それは、目の前の世界の残酷な現実に直面し、音を立てて砕け散っていく。
頭蓋の内側で何かが軋む音がした。
理性が歪み、音を立てて崩壊し始める。
恭平は、ただ彼女を見つめることしかできず、その視線は、もう戻れない地点へと、彼自身を引きずり込んでいた。
第2章 ランチタイムの誘いと、理性の細い糸

第2章: ランチタイムの誘いと、理性の細い糸
壁に掛けられたアナログ時計の長針が、数字の十二を静かに指し示した瞬間、オフィスの空気はまるで目に見えない膜でも張られたかのように、一変してしまった。
午前中の忙しさを彩るキーボードの打鍵音や電話の呼び出し音が嘘のように絶え、代わりに、シートが軋む音や、布地が擦れるかすかな音、そして、人々の呼吸が濃くなっていくような、生温かい沈黙が支配的になった。
恭平は自分のデスクに座ったまま、固まっていた。
何が起きているのか理解できず、ただ周囲で起こる変化を、まるで異星人の儀式を眺めるように呆然と見つめるしかなかった。
隣の席の女子社員が、さっきまで資料に目を通していた同僚の肩にそっと手を置く。
その仕草は驚くほど自然で、まるで「お腹すいた?」と声をかけるかのように無防備だった。
男性はそれを拒絶することなく、むしろ当たり前のように受け入れ、女性の腰に腕を回して椅子ごと自分の方に引き寄せた。
二人の間に何の言葉も交わされない。
ただ、お互いの体温を確かめるように、顔を近づけていく。
恭平はその光景から目をそらそうとしたが、視線は釘付けになっていた。
羞恥心と嫌悪感で胃が捻れるような感覚に襲われながらも、その一方で、自分の体が内側から熱を帯びていくのを感じていた。
--これは、ただの空腹感ではない。
もっと深く、粘っこく、抗いがたい渇望だった。
「おい、津田。いつまでそこで突っ立ってんだよ?」
その声に、恭平はギクッと肩を跳ねさせた。
振り向くと、先輩の早川悟(はやかわ さとる)が、少し呆れたように、しかしどこか親しみを込めた笑みを浮かべて立っていた。
彼の開いた襟のシャツからは、汗で少し湿った男の匂いが漂ってくる。
その匂い自体が、この世界の空気の一部なのだと恭平は悟った。
「え、あの、仕事がまだ……」
「仕事は午後からでいいよ。そろそろお腹空かない?」
早川はそう言うと、恭平のデスクの上に置かれた、未開封のコンビニ弁当を顎でしゃくった。
その視線の先には、明らかに「それ」ではない何かが示されている。
恭平は早川の視線の先、つまりオフィスの至る所で繰り広げられている、人々が互いの体を求める光景を追った。
なるほど、と恭平の頭で理解が進む。
この世界での「お腹が空いた」とは、そういうことなのだ。
食欲は羞恥であり、性欲は空腹なのだ。
だから、昼休みとは、誰かと体を重ねて互いの「空腹」を満たす時間なのだ。
「そっちじゃなくてさ、こっちだよ」
早川はニヤリと笑い、自分の股間を軽く叩いた。
その無遠慮な仕草に、恭平の顔がカッと熱くなる。
怒りではなく、純粋な戸惑いと、自分がこの世界のルールを全く理解していないことへの恥ずかしさだった。
「俺はもう済ませたんだが、まだの人は結構いるみたいだぜ。いい相手、いるんじゃねぇか?」
早川の視線が、恭平の背後へと流れた。
その瞬間、甘く、どこか乳臭いような、それでいて獣的な体温を感じさせる匂いが、恭平の鼻腔をくすぐった。
その匂いの主は、間違いなく彼だ。
恭平の心臓が、不意に高鳴りを上げた。
体が、その匂いの主を認識し、反応している。
振り返るまでもなかった。
その存在感は、すでに恭平の背後に迫っていた。
「津田さん」
その声は、恭平の耳に溶け込むように響いた。
藤川御代。
恭平がこの世界で来る前から、密かに想いを寄せていた後輩だ。
彼女は、いつも通りに少し脱力感のあるポニーテールを揺らし、濡れたように黒く潤んだ大きな瞳で恭平を見つめている。
タイトなニットは、彼女の豊満な胸のラインを隠すことなく強調し、ミニスカートから伸びる脚は、ハイヒールによってさらに美しく見せている。
彼女の体から放つ熱と匂いが、恭平の周りの空気を彼女だけのものに変えていた。
「藤、藤川さん……」
「津田さん、何も召し上がってないみたいですけど……。よろしければ、私と一緒に、いかがですか?」
御代は無垢な、天使のような笑みを浮かべてそう言った。
その言葉は、一見するとただの昼食の誘いだ。
しかし、この世界の文脈において、その意味するところはあまりにも過激で、あまりにも背徳的だった。
--絶対にダメだ!
御代はそんな子じゃない!
純粋な、大切な子だ!
恭平の頭の中で、元の世界の価値観が悲鳴を上げている。
しかし、その叫びは、股間でじわじわと疼き始める熱気によって、どんどんかき消されていく。
恭平は答えられなかった。
ただ、御代の黒い瞳を見つめ返すことしかできない。
その瞳の奥には、恭平の戸惑いを面白がるような、いたずらっぽい光と、同時に、純粋な「空腹」の色が混ざっていた。
彼女はただ、空腹を満たしたいだけなのだ。
誰とでもいい。
たまたま、目の前に恭平がいるから、彼に声をかけた。
その事実が、恭平の胸を締め付けるような痛みと、同時に、底知れぬ興奮に変換されていく。
「どうしたんですか、津田さん?顔が赤いですよ」
御代はさらに一歩、距離を縮めた。
恭平のデスクの角に、彼女の腰がそっと触れる。
そのわずかな接触だけで、恭平は全身に電流が走ったような衝撃を覚える。
彼女の体から伝わる温もり。
シャツの生地越しに感じる、彼女の柔らかな肉感。
そして、その匂い。
もっと濃くなった、甘くて湿った匂いが、恭平の理性の細い糸を一本一本、断ち切っていくように迫っていた。
「ねぇ、津田さん……。今日のお昼、一緒に……しませんか?」
御代はもう一度、同じように尋ねた。
しかし、その声はさっきより少し低く、甘さを増していた。
彼女は恭平の頬に手を伸ばしかける。
その指先が、恭平の唇を撫でるかと思われた瞬間、恭平は息を呑んだ。
--逃げなければ。
でも、逃げられない。
逃げたいという頭と、このまま捕まってしまいたいという体が、完全に分裂してしまっていた。
オフィスの喧騒は遠のき、世界には御代の存在だけが、恐ろしいほどの密度で存在感を放っていた。
恭平の理性は、今にも切れそうな蜘蛛の糸のように、震えていた。
第3章 初めての「昼食」と、羞恥に濡れる肌

第3章: 初めての「昼食」と、羞恥に濡れる肌
理性の細い糸が、ぷつり、と静かに音を立てて切れた。
その音は、恭平の頭蓋の内側にだけ響き渡る、世界の終わりを告げる鐘の音だった。
藤川御代の、無垢にして悪意のない誘いの言葉が、最後の重しとなり、彼の常識という名の砂の城を根底から崩し去った。
彼は何も言えない。ただ、御代の濡れたような黒い瞳を見つめ、かろうじて首を縦に振ることしかできなかった。
その頷きが、どれほど重く、どれほど破滅的な意味を持つものであったか、御代に理解できるはずもなかった。
「やった!」
御代の顔に、子供が大好物のお菓子を手に入れたような純粋な喜びが満ち広がる。
その無邪気な笑みが、恭平の胸をえぐるような激痛と、同時に底知れぬ解放感に変換されていく。
彼女は恭平の手を自然に掴む。
ひんやりと冷えた自分の指を、ぬくもりと湿り気を帯びた彼女の手が優しく包み込んだ。
オフィスの床に膝をつくかのように、よろめきながら立ち上がる恭平の体を、彼女は軽く支えた。
周囲の同僚たちが、ちらりとこちらに視線を向ける気がした。
だが、その視線は好奇でも、軽蔑でもなかった。
むしろ、「ああ、津田君もようやく食べるのか」といった、どこか温かい、昼食に行く同僚を送り出すような眼差しだった。
その認識が、恭平の羞恥心にさらに油を注いだ。
エレベーターに乗り込むと、密室の気圧が一変した。
御代の体から放たれる甘く、乳臭く、それでいて獣の蜜のような、濃密な匂いが、恭平の呼吸を奪っていく。
彼女は恭平の隣にぴたりと寄り添い、静かに彼の腕に自分の腕を絡ませた。
鏡に映る二人の姿。ぎこちなく立ち尽くす男と、満面の笑みで彼に寄り添う女。
まるで正反対の存在が、不自然なほどに密着している。
恭平は鏡から目をそらしたが、御代の髪から漂うシャンプーの香りと、その奥に隠れた彼女の体の奥底から滲み出るような生々しい匂いが、彼の嗅覚を容赦なく犯し続けた。
「津田さん、すごい緊張してますねぇ」
御代の声が、恭平の耳元でくすくすと笑った。
「大丈夫よ、津田さん。私、とーっても優しくしてあげる……から」
その言葉は慰めなのか、それとも脅しなのか。
恭平には判別できなかった。
エレベーターが地下に降り、ドアが開くと、そこはまるで高級ホテルのロビーのような、静謐な空間が広がっていた。
受付を通ると、そこは無数の小さな個室が並ぶ廊下だった。
御代は何食わぬ顔で、そのうちの一つのドアをカードキーで開ける。
ちりん、と小さな音を立てて解錠されたドアの向こうには、真っ白なベッドと、小さな洗面台が設置された、ミニマルな部屋があった。
これが、この世界での「食堂」なのだ。
ドアが静かに閉まり、施錠される音が恭平の鼓動に重なる。
カチャリ、という重みのある金属音が、恭平の鼓動と完璧にシンクロする。
完璧な静寂。逃げ場はない。
恭平は部屋の中央で、ただ立ち尽くすしかなかった。
全身の力が抜け、指先が震えている。
自分が今からここで、憧れの後輩である藤川御代と、ただの「空腹」を満たすために体を重ねるのだという事実が、頭の中でグルグルと巡り、思考を麻痺させる。
「ねぇ、津田さん。そこに立ってたら、固くなっちゃいますよ?」
御代はそんな恭平に優しく声をかけ、彼のタイトなニットの裾を掴むと、ゆっくりと頭の上から脱がせ始めた。
するすると生地が滑り上がり、彼女の白く、滑らかな肌が露出していく。
豊満な胸が、ブラジャーの下からゆっくりとその形を変えながら解放されていく。
その光景に、恭平は息を呑んだ。
彼女の体から、さらに濃厚な、甘酸っぱい匂いが立ち上った。
汗と愛液が混じり合った、生々しくて甘酸っぱい女の匂いが、湯気のように立ち上った。
「んっ……」
無意識に漏れる恭平の声。
御代はニヤリと笑い、脱いだニットを椅子に投げると、今度は恭平に近づいてきた。
彼女は恭平のシャツのボタンに、指をかけた。
その指先が、恭平の胸の上を滑るように触れる。
その微細な接触が、まるで静電気のように全身を走り、背筋に鳥肌を立てさせた。
「私だって、お腹空いてたんですよ……ね?」
そう囁きながら、御代は恭平のシャツを一枚ずつ、丁寧に脱がせていく。
恭平は抵抗できなかった。
まるで人形のように、彼女の手のひらの上で弄ばれている。
胸が露出し、恥ずかしさで顔が火照る。
御代はその胸に、そっと唇を寄せた。
ぬるりと、湿った感触。
恭平は、はっとして体をこわばらせる。
「ふふっ……敏感なんですね、津田さん」
御代は恭平の乳首を舌で優しくなぞった。
ぐにゅ、と快感が背筋を駆け上る。
恭平はもう、声を押さえることさえできなかった。
はぁん、と吐き出す息は、もはや羞恥ではなく、快楽の音に変わっていた。
彼女の舌は巧みで、恭平の体の隅々まで知っているかのように、彼を悦楽の渦に引きずり込んでいく。
スラックスも、彼女の手によって無造作に脱がされる。
下着姿になった恭平は、自分の股間が恥ずかしげに膨らんでいるのを感じ、目を背けた。
「もう、隠さなくてもいいんですよ」
御代は恭平の手をそっとどけ、彼の膨らんだ性器を、下着の上から優しく包み込んだ。
その温かさと柔らかさに、恭平は腰が砕けそうになった。
くちゅっ、と彼女が自分の愛液で濡れた指で、恭平の性器を撫でる音が、静かな部屋に響き渡る。
その下品で、淫靡な音が、恭平の最後の理性を完全に粉砕した。
「津田さん……私のこと、見て」
御代はそう言うと、自らのミニスカートの裾をまくり上げた。
そこには、薄い生地のパンティーが穿かれており、その中央は、すでに愛液でぐっしょりと濡れ、透けていた。
恭平は、その光景から目が離せなかった。
彼女はその濡れたパンティーの上から、自分の性器を指で優しく押さえた。
ぬるっ、という音と共に、彼女の口から甘い吐息が漏れる。
そして、彼女は恭平の顔を自分の股間に引き寄せた。
甘く、生々しい、濃密な匂いが恭平の鼻腔を突いた。
それは彼女の膣から匂い立つ、蜜のような匂いと、その少し後ろにある、きめ細かい皺が刻まれたアナルから漂う、より獣的な、少しスパイスの効いたような匂いが混ざり合った、究極の香水だった。
恭平は、その匂いに頭を蕩かせ、意識を失いそうになった。
「……嗅いで」
御代の命令に、恭平は抵抗できなかった。
彼は顔を埋め、その匂いを深く吸い込んだ。
同時に、御代は恭平の下着をずり下ろし、彼の硬く熱くなった性器を解放した。
そして、彼女の柔らかな舌が、恭平の性器の根本から、ゆっくりと這い上がっていく。
「ひゃっ!んんっ!」
今まで感じたことのない、電撃のような快感が恭平の脳を焼き尽くした。
彼女の舌は、まるで生き物のように恭平の性器を舐め上げ、絡みつき、先端で亀頭を優しく啜った。
ぐちゅっ、じゅるるっ、と淫らな音が部屋に響き渡る。
恭平はもう、何も考えられなかった。
羞恥も、常識も、元の世界への未練も、すべてが洗い流されていく。
ただ、藤川御代という女に与えられ、犯され、貪られることだけが、彼の世界の全てだった。
彼女の指が、恭平の囊を優しく揉みしだき、もう一本の指が、彼の会陰を撫で、さらに奥の、誰にも触れられたことのないような場所を探り当てる。
「あっ!そこ、だめぇ……んぐっ!」
指先が、恭平のアナルの入り口をそっと撫でる。
羞恥と快感が混ざり合った、あまりにも強烈な感覚に、恭平の体はビクンと跳ねた。
御代はその反応を楽しんでいるかのように、くすくすと笑い、その指をゆっくりと、ぬるりと、恭平の穴の中へと滑り込ませた。
「んっ……くぅっ……あああっ!」
--なんだ……これは……中に、入ってくる……!
初めての異物の侵入に、恭平の意識が遠のいていく。
しかし、それは苦痛ではなかった。
むしろ、未知の快感が、彼の体の奥底から目覚めていくのを感じていた。
御代の舌と指が、完璧な連携で恭平の快楽の神経を一つひとつ解き放っていく。
彼はもう、ただ喘ぐことしかできなかった。
自分の声が、自分のものではないような、卑わいで、甘ったるい声になっていることを認識しながらも、それを止められなかった。
快楽の波が、津波のように彼を襲い、彼の意識を白く染め上げていく。
すべてが壊れ、溶け、彼はただの快感の塊になっていくのだった。
第4章 快楽の渦と、旧世界の残光

第4章: 快楽の渦と、旧世界の残光
真っ白な個室のベッドで、藤川御代という名の快楽の悪魔に骨の髄までしゃぶり尽くされた後、津田恭平がオフィスのデスクに戻った時、世界の彩りは根本から塗り替えられていた。
午前中には忌々しく、穢らわしくさえ感じた蛍光灯の光は、今や官能的なスポットライトのように肉体の起伏を照らし出し、キーボードを叩く音はささやきのような嬌声に聞こえた。
至る所でからだが絡み合い、蜜のように濃い喘ぎ声と、ぐちゃぐちゃという粘膜が擦れる下品で湿った音が、最高のBGMとして空気に溶けている。
それはもはや、秩序を乱す淫行などではなかった。生命が根源的な渇きを満たすための、美しくも自然な営みそのものだった。
恭平の鼻腔をくすぐるのは、汗と愛液と精液が混じり合った、濃密で獣的な匂い。その匂いを深く吸い込むたび、彼の体は内側から熱くなり、先ほど御代に経験したばかりの快感が、全身の細胞を蘇らせるように疼き始めた。
彼の股間は、再びゆっくりと、しかし確実に空腹を訴え始めていた。旧世界の価値観が彼に刷り込んだ羞恥心は、まるで遠い昔の記憶のように色褪せ、もはや彼を縛る力はなかった。
「おい、津田。顔付きが違うな。ちゃんと『栄養』、摂ったか?」
夕方になり、社員が帰り支度を始める中、早川悟が恭平のデスクに腰掛け、ニヤリと笑った。その笑みには、さっきまでの恭平の変化を見抜いたような、少し悪戯っぽい色が含まれている。
恭平は、少し照れくさそうに頷いた。
「ああ、まあ……なんとか」
「ふん、それでよし。今夜は新人歓迎会だ。たっぷり食べてこいよ」
早川はそう言うと、恭平の肩を力強く叩いた。その手のひらから伝わる熱と、彼の体から漂う男の匂いが、恭平の新たな空腹を煽る。
新人歓迎会。その言葉が恭平の頭に鈍く響く。この世界での「歓迎会」がどのようなものか、想像するのは容易だった。
昼休みのオフィスがあの程度なのだから、夜の宴会場は、まさに欲望の坩堝に違いない。一瞬、恐怖に近い逡巡が恭平の胸をよぎった。
しかし、それはすぐに、期待という名の熱に変わっていた。あの渦の中に、自分も飛び込んでみたい。もっと深く、もっと濃密な快楽を味わってみたい。
その欲求が、彼の理性を完全に飲み込んでいた。
夜、予約された都内のホテルの一室は、すでに欲望の熱気でむんむんと蒸し暑くなっていた。扉を開けると、まず目に飛び込んでくるのは、足の踏み場もないほどに絡み合う裸の肉体だった。
同僚の男たちが、知らない女たちを抱き上げ、壁やテーブルに押し付け、激しく腰を突き上げている。誰かの甘い吐息が、誰かの耳元で漏れ、すぐに別の誰かの唇によって塞がれる。
アルコールの匂いと、体液の匂い、そして興奮によって高まった体温が混じり合い、この部屋だけの独特の、麻酔のような空気を作り出していた。
恭平は、その光景の前に立ち尽くし、息を呑んだ。
「どうした、まだ入らないのか?中は美味しそうなやつらがたくさんいるぞ」
背中を押されたのは、やはり早川だった。彼はすでに上着を脱ぎ捨て、開いた襟のシャツの胸元が汗で濡れている。
彼は恭平の腕を掴み、何の抵抗も許さずに部屋の奥へと引きずっていった。恭平は、まるで生贄のように、欲望の祭壇へと連れて行かれる。
「あ、津田くん……」
その声に、恭平は振り返った。そこには、部長の木島怜奈(きじま れいな)がいた。彼女はいつもと同じように完璧なタイトスーツを着こなしていたが、そのスカートの裾は大きくまくられ、太ももの付け根が見えている。
彼女の切れ長の瞳は、恭平を冷たく、しかし飢えたように見つめていた。
「木島部長……」
「来たのね。遅いわ、津田くん。もう、時間よ」
彼女はそう言うと、恭平の前に立ちはだかった。そして、冷たい指先で恭平のシャツのボタンを、一つ、また一つと、冷静に、しかし執拗に外していく。
その指先は、まるで精密機械を操作するかのように、恭平の胸の皮膚を撫で、乳首を強くつまんだ。
「ひっ!」
「感じやすいのね。まだ、足りないんでしょう?」
木島部長の声は、感情を一切乗せていなかった。それは、まるで効率的に仕事をこなすための指示のようだった。
しかし、その行為は極めて淫らで、恭平の体を震えさせた。彼女の冷たい指が、恭平の腹筋を伝って股間へと降りていき、ズボンの上から硬く膨らんだ性器を鷲掴みにした。
「くぅっ……」
「いい音ね。もっと聞かせて」
木島部長はそう言うと、恭平のズボンを強く引き下ろし、彼のペニスを解放した。そして、その根本を、冷たい手のひらで力強く握り締め、ゆっくりと上下に動かし始めた。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、と先ほどの行為で残った恭平自身の愛液と、御代のそれが混ざり合った、淫らな音が響く。恭平は、もう抵抗できなかった。
彼の体は、この快楽を欲していた。
その時、背後から熱い吐息が感じられ、誰かが恭平のお尻を両手で掴んだ。振り返る間もなく、熱くて硬い何かが、恭平の臀溝を滑り落ち、彼のアナルの入り口を強く押し付けた。
早川だった。
「待たせたな、津田。さあ、お前の番だ」
「あっ!早川さん、そこは……!」
「なあに、みんなでやるのが一番美味いんだよ」
早川の太い性器が、抵抗する恭平の穴を、ぐりりと、ねじ込むように侵入してきた。ずぶずぶっ、という生々しい音と共に、未曾有の満腹感と、裂けるような痛みと快感が、恭平の背骨を駆け上った。
「ひぎゃっ!ああああっ!痛いっ!でも、いい……!いいぃっ!」
恭平の声は、もはや自分のものではなかった。それはただの、快楽の獣の咆哮だった。
彼の前では、木島部長がスカートを脱ぎ捨て、剃り上げられた割れ目を恭平の顔に押し付けた。
「舐めなさい。今すぐ」
命令に、恭平は従うしかなかった。彼は顔を埋め、その冷たくて滑らかな性器を、獣のように舐め上げた。舌を突き入れ、クリトリスを吸い、愛液を啜る。
その味は、少し塩気があって、甘酸っぱい。木島部長の体が、小さく震える。その反応が、恭平にさらに興奮を与えた。
彼の体は、もはや彼のものではなかった。前からは上司の冷たいアナルを、後ろからは先輩の熱い性器を貫かれる。
周りでは、他の同僚たちが彼の体に群がり、彼の手を握り、彼の胸を舐め、彼の耳に甘い囁きを浴びせる。誰かの手が彼の性器をしごき、誰かの唇が彼の唇を奪う。
彼はただ、与えられ、求められる穴になることだけを許された存在だった。
何度、絶頂しただろうか。意識が白く溶けていくたびに、旧世界の記憶が一枚ずつ剥がれていく。
朝食のトーストの焦げ目。通勤電車の冷たい風。オフィスのキーボードの音。そんなものは、もうどうでもよかった。
大切なのは、今ここで感じる、この熱と、この匂いと、この快感だけだった。
「ああっ……あああああっ!」
最後の絶頂が、恭平の体を貫いた。それは、今までのものとは比べ物にならないほど、激しく、深く、そして長かった。
彼の体は、びくびくと痙攣し、意識は遠くの彼方へと飛んでいった。
……どれくらいの時間が経っただろうか。恭平が意識を取り戻したとき、彼はぬるぬるとした体液のプールの中に横たわっていた。
部屋はすっかり静まり返り、満ち足りた寝息だけが聞こえる。彼の体は、誰かの精液でべとつき、自分の汗と愛液で濡れている。
それは、もはや穢れではなかった。戦いを終えた後の、勇士の勲章のようなものだった。
彼は、初めて本当の意味で「満たされた」のだった。心も体も、空っぽになるほどに満たされた、穏やかな虚無。
恭平は、快楽の残骸の中で、静かに、安堵に息を殺すのだった。
登場人物
-
津田 恭平 つだ きょうへい男性 ・ 28外見: 短めの黒髪を七三分け、濃い褐色の瞳、普通の体格で身長は172cm。服装: 何も考えずに選んだ、無地のシャツにスラックスというシンプルなオフィスカジュアル。性格・特徴: 常識人で少し気弱。元の世界の価値観が染みついており、目の前の光景に戸惑い、嫌悪しつつも、抗いがたい好奇心と興奮を抑えられない。
-
藤川 御代 ふじかわ みよ女性 ・ 24外見: 髪を少し脱力感のあるポニーテールに結んだ、明るい茶色の髪。大きな瞳は濡れたように黒く、潤んでいる。スレンダーだが、豊満な胸と腰回りを持つ、身長158cmの魅力的な体つき。服装: 体型のラインがはっきりと出る、タイトなニットとミニスカート。足元はハイヒール。性格・特徴: この世界ではごく普通の、明るく快活な女性。性欲に対してオープンで、恭平の古い価値観を面白がる。思ったことをストレートに言うが、悪気はない。
-
早川 悟 はやかわ さとる男性 ・ 30外見: 無造作に寝かせた茶髪、精悍な顔つきで笑うと口角が上がる。少し筋肉質で引き締まった体つき、身長180cm。服装: 襟の開いたシャツに、少し丈の短いパンツ。ラフだが、洒落ている。性格・特徴: 恭平の先輩社員。この世界のルールに完全に順応しており、性をコミュニケーションの一環として捉えている。恭平の戸惑いを見かねて、親切に(彼にとっては)世界のルールを教える。
-
木島 怜奈 きじま れいな女性 ・ 35外見: ショートカットの黒髪をきっちりとセット、切れ長の瞳が知的で冷ややか。細身で均整の取れたモデル体型、身長165cm。服装: 上質な生地のタイトスーツ。パンプス。性格・特徴: 恭平の上司。部長。仕事は完璧で、感情をあまり表に出さない。性欲も食欲も、あくまで「効率的に処理すべき生理的欲求」として捉えており、部下に対しても淡々とセックスを誘うことがある。



