◯学生の息子を虐める同級生の十◯歳に、夫のいない週末の家で口淫を強要されてしまった母親の記録
あらすじ
海外赴任中の夫を待つ美人専業主婦・佳子。息子を虐める同級生の少年が、ある週末に自宅へやってくる。腹痛を装う幼い指先が、彼女の秘めた淋しさを執拗に撫で上げ、口淫の証拠がスマホに収められていく。息子を守りたい母心と、疼く身体の狭間で揺れる彼女は、背徳の階段を一段ずつ下りていく。誰にも言えない隷属の日々を、五感のすべてで描く官能劇。
第1章 教室の隅で撮られた僕と、モールで微笑んだ彼女

【第1章:教室の隅で撮られた僕と、モールで微笑んだ彼女】
日曜日の昼下がり、佳子はカウンターキッチンの前に立ち、白いTシャツの袖をたくし上げて、せっせと夕食の下ごしらえに励んでいた。手にした菜箸がまな板を小さく叩く音と、流しで揺れる水の音。そこに、出汁の匂いが濃密に漂い、夫のいない静かな部屋を満たしていった。佳子の艶やかな黒髪がうなじに張りついている。白いTシャツの胸元から、あるかなきかの谷間の淡い影がこぼれていた。彼女の心は、もう随分と遠い場所にいて、あの小さな背中を追いかけていた。悠が通う小学校は、春の光をいっぱいに受けて、きっと今日もあの子の柔らかい髪を揺らしている。今朝も、朝食のパンをほおばる小さな唇の動きを、彼女は食卓の向かいで見つめていた。あの子が恋しい。そう思うたびに、佳子の胸の奥が寂しく軋んだ。
―――
放課後の教室には、窓から差し込む四月の夕陽が、掃除を終えたばかりの机の列を黄金色に染めていた。空気にはチョークの粉の匂いがかすかに残っていて、誰もいないはずの教室の隅で、僕は壁に背中を押しつけられていた。昼間のざわめきが嘘のように静まり返った空間で、心臓だけがやけに騒がしく脈打っている。冷たい壁の感触が薄いシャツ越しに背中へ染み込んでくるたび、指先がじわりと湿っていくのが分かった。
「滝川、お前さ、昨日の宿題、真希に見せてたろ」
増田くんの声は、笑っているのにちっとも温かくなかった。黒いTシャツに包まれた肩越しに、仲間の男子二人がにやにやと僕を見下ろしている。彼らの影が夕陽に引き伸ばされて、僕の足元まで届いていた。教室の時計の秒針が、やけにゆっくりと音を刻んでいる。窓の外では、校庭の桜の葉が風に揺れてざわざわと鳴っていた。
「違うよ、僕は別に……」
「違わねえだろ。真希が証言してるんだから」
増田くんの合図で、両側から腕を掴まれた。華奢な僕の体はあっけなく床に引き倒され、後ろ手に押さえつけられる。頬に冷たいリノリウムの床の感触が広がった。ちりちりと、鼻の奥がツンとする。床に残った埃の匂いと、彼らの靴底のゴムの匂いが混ざって、胃の奥がきゅっと縮んだ。
「さっさと出せよ、見せたいんだろ、女子に」
誰かの手が僕のハーフパンツのゴムに掛かった。抵抗しようともがいたけれど、細い腕はびくともしなかった。指が食い込むほど強く握られて、肩の骨がぎりぎりと悲鳴を上げる。ズボンが膝まで引き下ろされ、その次の瞬間、パンツまで剥ぎ取られる。股間を覆うものが何もなくなった。四月の空気が、露出した肌の上を冷たく流れていった。
「うわ、小せえぇ」
男子の一人が声を上げた。僕の顔に血が上る。耳の奥で心臓がばくばくと鳴り、夕陽を受けて白く光る床に、自分の幼いペニスが曝け出されているのが分かった。太腿の内側がかあっと熱くなって、汗が滲んでくる。見られたくないものを無理やり見られている、その羞恥が皮膚の内側で燃えているみたいだった。
「持田さん、どうぞ」
増田くんが芝居がかった声で言った。目の前に、真希さんが立っていた。長い栗色の髪が、西日を受けて蜂蜜色に透けている。ピンク色の膝上ワンピースの裾を、白い指が摘まんで持ち上げていく。さらり、という衣擦れの音が、やけにはっきりと鼓膜に届いた。甘ったるい制汗剤の香りが、彼女が動くたびにふわりと空気を震わせた。
「滝川くん、これ、見たいんでしょ?」
真希さんは笑っていた。口元に浮かんだ笑みは、教室で見せるあどけないものとは違って、どこか大人びて見えた。僕の目の前、三十センチくらいの距離で、白い下着が晒される。柔らかな布の中央には、縦に走る浅い溝がくっきりと浮き出ていた。下着越しに伝わる割れ目の淡い影。甘ったるい制汗剤の匂いと、その奥にかすかに混ざる蒸れた肌の気配が、僕の呼吸を乱していく。鼓動が喉の奥まで上がってきて、息がうまくできない。
「あ、反応してる。きっも」
真希さんが指をさして笑った。その指先が、僕の股間をまっすぐに指している。僕の股間では、見られてはいけないものが、彼女の下着の割れ目の形を目に焼き付けたまま、ゆるゆると角度を上げていた。血が集まっていく感覚が、恥ずかしくて泣きそうだった。先端がじんじんと熱を持って、空気に触れているだけでむずがゆいような、どうしようもない感覚に襲われる。
「滝川が持田さんの下着覗いて勃起してんの、超ウケるんだけど」
増田くんの手に握られたスマホのレンズが、僕の顔と股間を交互に舐めるように向けられる。黒い画面の奥に、自分の情けない姿が映り込んでいる気がした。撮られてる。やめて。頭の中では叫んでいたのに、喉からは掠れた息が漏れるだけだった。唇の端が震えて、目の奥が熱くなっていく。教室の床には、彼らが履いてきた運動靴の砂粒が散らばっていて、それが汗ばんだ肌に食い込む痛みだけが、やけに現実だった。
「動画、クラスのやつらに回そ。悠が真希のパンツ覗いてしゃぶりつきたそうにしてましたって」
「違う……見せられただけで……」
「は? お前みたいなのが真希の下着拝めるわけねえだろ。好意に感謝しろよ」
増田くんの靴先が、剥き出しの僕の太腿をつついた。冷たいゴム底の感触に、全身の筋肉が強張る。夕陽はますます色を濃くして、教室の壁を赤く染めていた。黒板には消し忘れた算数の公式が、白い粉の残りを浮かび上がらせて、まるで遠い世界の出来事みたいに思えた。
あの日、僕はどうやって家に帰ったのか、よく覚えていない。滝川悠。華奢で、可愛いとさえ言われる僕は、あの日を境に、クラスの中で「女子の下着を盗み見する変態」として扱われるようになった。本当は自分たちが見せつけたくせに、彼らは巧みに話を作り替えた。動画は一晩でグループに共有され、朝の教室では何人もの女子が、僕と目が合うたびに口元を押さえてひそひそと笑った。教科書を開く音、ノートに鉛筆を走らせる音、そのどれもが、僕の存在を責めているように感じられた。教室の隅で撮られたあの光景が、昼も夜も、瞼の裏に貼りついていた。
―――
でも、家に帰れば、ママがいた。
玄関のドアを開けた瞬間、ふわりと柔軟剤の香りと、夕食の支度であろう味噌汁の香りが鼻をくすぐった。廊下の奥から、スリッパの軽い足音が近づいてくる。
「悠くん、おかえり。今日は暑かったでしょ。宿題、出てるの?」
そう言って姿を現したママの顔を見た途端、僕の胸の奥に溜まっていた重たいものが、少しだけほどけていくのを感じた。佳子。三十六歳にはとても見えない、艶やかな黒髪のセミロング。細いのに胸とお尻だけは、どうしてこんなに膨らんでいるんだろう。白いパット付きのTシャツの下で、柔らかな乳房が息づくたびにささやかに揺れる。グレーのジャージロングスカートの裾から覗く足首は、すらりと白くて頼りないくらい細かった。家の中を歩くたびに、ふわり、と、柔軟剤と、ママの肌から滲むような甘い匂いがした。
「ママ、今日ね……」
僕は言いかけて、やめた。虐めのことは言えない。言って、心配を掛けるのが怖かった。帰り道、アパートの前の生け垣の花を踏みつぶしてしまったこと。教室で、あの動画を見た女子が口を押さえて笑っていたこと。そんなことを、どうやってママに話せばいいのか分からなかった。それに、もしもあの動画のことをママが知ったら―――。想像しただけで、食道の辺りが冷たく収縮した。
「ん? どうしたの、悠くん」
「ううん。なんでもない。ママ、ぎゅってしていい?」
「もう、甘えんぼさんなんだから」
ソファに腰掛けたママの胸に、僕は顔を埋めた。ふわん、と、洗い立ての布の匂いと、汗ばんだ肌の奥から立ちのぼる、甘くて少し塩気のある母親の匂いが鼻孔を満たす。やわらかい乳房が頬に押し当てられ、鼓動が聞こえた。規則正しい、安心する音。シャツ越しに伝わる体温が、教室で凍えた心を包み込んで溶かしていくようだった。
「ママ、いい匂い」
「あら、今日は一段と甘えんぼね」
ママの指が僕の髪を梳く。柔らかいマッシュルームカットの黒髪の間を、白くて細い指が何度も往復する。その指先は、洗い物で少し荒れた部分がありながら、僕の髪に触れるときは不思議なほど優しかった。あの教室の冷たい床の感触、下着の割れ目の影、スマホの黒いレンズ。そういうものを全部、ママの匂いが上書きしてくれた。心臓の音が、少しずつ落ち着いていく。家族って、こういうことなんだな、と思った。どんなに惨めな出来事も、この腕の中にいれば遠ざかっていく気がした。
「週末、何食べたい? 久しぶりにふたりで出掛けようか」
ママの胸に顔を埋めたまま、僕は「どこでもいいよ、ママと一緒なら」と呟いた。くぐもった声が、ママの身体に吸い込まれていく。天井の照明が、ママの黒髪を艶やかに照らしていた。カーテンの向こうでは、夜が深々と降り始め、窓ガラスに映った僕たちの姿が、寄り添う親子の影絵のように揺れていた。
―――
土曜日。ショッピングモールは、真昼の光を天窓からたっぷり取り込んで、人々のざわめきと、あちこちの店から流れる音楽と、ポップコーンの匂いで溢れていた。白いタイルの床が歩くたびに靴底に軽く響く。吹き抜けの天井からは、金色の光が何本もの帯になって降り注ぎ、行き交う人々の肩を撫でていた。
ママは、薄いベージュのカーディガンを羽織って、白のキャミソール、青いジーンズ姿だった。キャミソールの胸元から、形のよい谷間の入り口が、ほんの少しだけ覗いている。ジーンズに包まれたヒップは、歩くたびにふっくらと弾むように揺れた。僕には見慣れた姿なのに、今日のママは、なんだか知らない女の人みたいにきれいだった。知らない人たちの視線が、すれ違いざまにママの後ろ姿へ吸い寄せられていくのが分かる。モールの空気に溶けた柔軟剤でも香水でもない、ママの肌から立ちのぼる甘い匂いが、人混みの中でもはっきりと分かった。天窓からの光がママの黒髪を照らし、その髪の一本一本が絹糸のように光っている。僕は、ママのきれいな横顔を見るたびに、胸の奥がむずむずと落ち着かなくなった。
「悠くん、こっちの店、見てもいい?」
ママが指をさした雑貨屋の前で、ふと足を止めた瞬間だった。店のガラス棚には、形の違うガラスの花器や、異国の風合いのクッションが並び、ママの瞳がいたずらっぽく輝いた。彼女の白い指先が、ガラスの花器に伸びて、きらりと光を弾いた。
「滝川……?」
聞こえてはいけない声が、背中越しに聞こえた。振り向くと、増田くんが立っていた。今日は黒いTシャツではなく、柄物の半袖シャツを着ている。隣には、学校では見慣れない大人っぽい男の子が一人。彼は一瞬、僕を見て、それから、隣にいるママの顔へと視線を滑らせた。その視線が、少しだけ熱を帯びた気配を残したまま、ママの身体を上から下へゆっくりと移動していく。僕はその動きを、すぐ後ろで見ているしかなかった。増田くんの隣にいる男の子の手が、小さく握りしめられているのを、僕はぼんやりと見ていた。
「悠くんの、お母さん、ですか?」
増田くんの声は、別人のように爽やかで、丁寧だった。教室で聞く嘲る響きとは、とことんまで異なる。滑らかで、よく通る、好青年の声。僕の背中に冷たい汗が浮き始めた。汗が一滴、背骨の溝を伝って落ちていくのが分かる。心臓が早鐘を打ち、喉の奥がひときわ熱くなった。
「悠くんの、同じクラスメイトの増田です。悠くんにはいつもお世話になっています」
四角い白い歯をのぞかせて、彼は完璧な笑顔を作った。その笑顔は、僕が今までに見たこともないほど爽やかで、無邪気でさえあった。ママは、僕の友達と思ったのか、ほっと頬を緩ませて、学校で見せるものよりずっと朗らかな声で返事をした。
「あら、悠のクラスメイトさん。こちらこそ、いつも悠がお世話になってるわ。佳子です。悠の母です。」
「佳子さん、ですね。ホント、滝川ってクラスでも人気者で。真希って子が、悠くんのことすごい褒めてて」
「まあ、そうなの?」
ママは嬉しそうに笑った。僕の背中の汗は、じわじわと広がって、シャツの内側に張りつく。会話がどんどん進んでいくのを、まるで地面が傾いていくのを眺めるみたいに、黙って見ているしかできなかった。増田くんの視線が、ママの胸元で一瞬止まった。そして、ジーンズに包まれたヒップから太腿へ落ちる。舐めるような、とは、こういう視線を言うのだろう。僕は、あの時、確かに見た。彼の目玉が、ママの肉の凹凸をなぞるように動くのを。白いキャミソールの中で揺れる双球の輪郭を、彼の黒い瞳が食い入るように追っている。その視線の粘り気に、僕の胃の奥がひっくり返りそうになる。彼の瞳は、モールの天窓から落ちる光を吸い込んで、ガラス玉のように冷たく光っていた。
「悠くん、こんないいお母さんで羨ましいです。おばさんの作るごはん、きっとおいしいんだろうなあ」
上目遣いに近い角度から、増田くんはママを見上げていた。僕と同じ十二歳のはずなのに、その声はまるで、性急な大人の男の体温を含んでいた。ママは気づかない。それが、いちばん怖かった。胸の奥、心臓のある辺りが、氷水をかけられたみたいに冷えた。喉が渇いて、生唾を飲み込むこともできない。彼の笑顔の下で、何かしなやかで危険なものが息を潜めている気配だけが、ひたひたと僕の背中まで押し寄せてきていた。
「じゃあ、悠。月曜、学校でな。おばさん、ごきげんよう」
増田くんはそう言って、人混みに消えていった。隣にいた大人っぽい男の子が、右肩をもう一度ママの背中へ向けて、小走りに追いかける。ママは、彼らが消えた方角をしばらく見送っていたが、やがて淋しげな笑みを浮かべて、僕の方へ向き直った。その笑みの輪郭が、天窓からこぼれる陽の光の中で、一瞬、溶けてしまうように見えた。
「悠くん、冷や汗かいてるの? 具合悪いなら、帰ろうか?」
僕は首を振った。冷や汗の理由は、もちろん言えない。自分の額を拭いながら俯いた僕の耳に、遠くのゲームセンターから他愛もない音楽が流れ込んできた。天窓から差す光が、先刻まで増田くんのいた場所を、真っ白に照らしていた。
その日の夜。増田くんは、自宅マンションの自分の部屋のベッドに寝転んで、暗い天井を見つめていた。窓の外には都会の夜の明かりが滲んでいる。隣には、真希が膝を折って座り、スマホをいじっている。シングルマザーの母親は、スナック経営のため、夕方には出ていったきりだった。部屋には、彼の汗と、真希の甘い整髪料の匂いが混じった空気が淀んでいた。枕元の照明が、真希の長い栗色の髪を暗がりの中でしっとりと光らせる。
「で、悠の母親、どうだった?」
真希の問いに、増田くんはスマホを操作しながら答えた。画面の中には、モールで撮った佳子の後ろ姿が保存されている。白いキャミソールの背中に、ジーンズに包まれた腰の丸み。歩くたびに弾むヒップの肉感が、薄い液晶越しにもありありと浮かんでいた。汗ばんだ彼の指先が、画面をゆっくりと撫でる。空調の風が、網戸の向こうの夜気を部屋の隅へ運んで、カーテンをふるりと揺らした。
「あれは、食いでがあるよ」
言って、彼は唇の端を歪めた。イケメンで、ませていて、母が経営するスナックの女たちに、小学生の頃から可愛がられて育った。服の脱がせ方も、女が息を呑む瞬間の呼吸の乱し方も、みな大人の女から教わっていた。鍛えられた下半身が、映像の中で微笑む佳子の輪郭に反応する。彼は佳子の後ろ姿を保存した画面を一度伏せると、薄暗い天井を睨みつけた。その黒い瞳には、昼間のモールで見過ぎた光がまだ残像となってちらついている。真希が、彼の足元から甘えるような声を出した。
「遥斗……私もいいでしょ?」
真希の白い指が、増田くんの腰を撫でた。彼はもう一度だけ、スマホに保存した佳子の写真をじっと見つめてから、うっすらと笑った。窓の外には都会の夜の明かりが滲んでいた。ママが「悠くんの良い友達」として微笑んだ増田くんが、こんな顔をして自分の母親を狙っているなんて、僕はまだ知らなかった。
第2章 嘘の腹痛と、口に広がる青臭い味

第2章 嘘の腹痛と、口に広がる青臭い味
五月の陽射しが窓ガラスを透かして、リビングのフローリングに淡い光の池を作っていた。佳子は食卓の上に散ったパンくずを指先で寄せ集めながら、ふと、遠くで自転車のスタンドを跳ね上げる金属音を聞いた。土曜日の午後一時。悠はとっくに塾へ向かい、しんと静まり返った滝川家には、冷蔵庫の唸る低い音だけが満ちていた。
玄関のチャイムが、その静けさを鋭く切り裂いた。
佳子は台拭きをシンクへ置き、パット付きの白いTシャツの裾を軽く整えた。薄手の布地の下で、豊かな胸の重みがわずかに揺れる。グレーのジャージロングスカートが、歩くたびにふわりと足首を撫でた。のぞき穴から覗くと、増田遥斗と持田真希のふたりが、初夏の陽射しを背に並んで立っていた。
「こんにちは。先週ぶりですね、佳子さん」
ドアを開けた瞬間、遥斗がそう言って笑った。黒いTシャツの袖からのびる少年の腕は、日に焼け始めている。隣の真希は、淡いピンクの膝上ワンピースの裾を両手で押さえ、申し訳なさそうに首をかしげていた。
「あら、遥斗くんに真希ちゃん。悠は塾に行っちゃったのよ」
佳子がそう告げると、ふたりは顔を見合わせ、それから神妙な面持ちで揃って佳子を見上げてきた。
「佳子さん、実は、悠くんのことでお話があって来ました」
遥斗の声は、モールで聞いたときよりもずっと硬く、真剣な響きを帯びていた。佳子の胸の奥が、とくり、と小さく鳴る。彼女はふたりをリビングへ招き入れ、冷たい麦茶をグラスに注いだ。真希は自分のスカートの膝頭を両手で挟み、うつむき加減に呟いた。
「おばさま、私、少し、言いにくいんですけど……」
真希の黒い瞳が、不安そうに揺れる。佳子は彼女の向かいに腰を下ろし、背筋を伸ばした。
「悠が、学校で何かあって?」
「直接、悠くんが悪いんじゃないんです。たぶん、偶然っていうか、事故っていうか」
真希はちらりと遥斗を見て、膝の上で指を組んだ。窓から差し込む光が、彼女の栗色のストレートヘアの上で細かく弾けて見える。
「私、先週、体育の着替えのときに、スカートの下を見られちゃったんです。それを、誰かが『悠くんがわざと覗いた』って言い出して。それで、クラスの男子が悠くんをからかうようになって」
「悠が……覗いた?」
佳子の声が、自分でもわかるほど乾いていた。頭の中に、昨夜、悠が台所で黙って宿題を解いていた後ろ姿が浮かぶ。華奢な肩を丸めて、消しゴムのかすを集めていた。あれが、虐めの兆候だったのかもしれない。
「悠くんのお母さんに話すか、すごく迷ったんですけど」
真希はそう言って、唇を噛んだ。佳子は、真希の白い指先が膝の上で小刻みに震えるのを、はっきりと目にした。
「でも、放っておいたら、悠くんがもっと傷つくと思って。私も、私の下着のことで悠くんが笑われるのは、嬉しくないし」
「真希はさ、悠くんのこと、実はけっこう心配してるんだよ」
遥斗が、大人びた口調で付け加えた。その声音はどこまでも優しく、けれども胸の奥に染み込むような力があった。
「佳子さん、僕も、悠くんが傷つくのを黙って見てるのは嫌なんです。だから、何かできることはないかなって、ふたりで話し合って。こうして来たんです」
佳子の胸が、じん、と熱くなった。悠の良い友達。あの日のモールで感じた印象が、間違いではなかったのだ。彼女は遥斗の黒い瞳を見つめ、心から礼を言った。
「ありがとう。ふたりとも、悠のためにそこまで考えてくれて……おばさん、嬉しいわ」
しばらく三人で悠の学校での様子について言葉を交わした後、不意に、真希がテーブルの上のスマホを手に取り、小さく声を上げた。
「いけない。今日、五時からオンライン英会話のレッスンが入ってるんでした」
「五時から?」
佳子が壁の時計を見上げると、針はまだ一時半を指したばかりだった。真希は申し訳なさそうに、白いキャミソールの肩紐を手でつまんだ。
「本当にすみません。今から、どこかお部屋をお借りできませんか。スマホのレッスンで、カメラもあるから、静かな場所がいいんです。友達と話すだけの、二十分くらいの簡単なやつですけど、電車で家に帰るより、この近くのほうが助かるので」
佳子は快く、二階の夫の書斎を使うよう勧めた。真希は小さな声で何度も礼を言い、スカートの裾を揺らしながら階段を上がっていった。パタン、と書斎の扉が閉まる音が、階下のリビングに微かに降ってくる。
リビングには、佳子と遥斗のふたりきりが残された。
「真希ちゃん、しっかりしてるわね。英会話だなんて、すごいわ」
佳子はそう言って、麦茶のグラスを両手で包んだ。遥斗はテーブルの上に肘をつかず、背筋を伸ばして座っている。少年らしいのに、どこか大人びた仕草だった。
「佳子さん、少し、僕の話を聞いてもらっていいですか」
遥斗の声は静かで、けれども真剣さが滲んでいた。佳子は目で続きを促す。
「僕……、母親っていうものを、よく分からないまま育ったんです。物心つく前に、家を出ていってしまって。親父も働き詰めで、家にはほとんど帰ってこない。だから、友達がお母さんに弁当を作ってもらった話とか、一緒に買い物に行ったとか、そういう話を聞くたびに、ずっと寂しくて」
佳子の眉が、自然と下がった。彼女は、自分が悠を抱きしめるときの柔らかな体温を思い出していた。遥斗には、ああいうものが一度もないのだ。
「だから、佳子さんみたいなお母さんがいる悠くんを、僕は内心、すごく羨ましい。この前、モールで佳子さんを見たとき、ああ、この人の息子は幸せだなって思いました」
遥斗の黒い瞳が、まっすぐに佳子を捉える。十二歳の少年の眼差しとは思えない深さがあった。佳子は、胸の奥の柔らかな場所をつかまれたような心地で、そっと息を吐いた。
「遥斗くんのご両親も、きっと遥斗くんを大切に思ってるわ」
「そうだといいんですけど」
遥斗は少しだけ笑い、うつむいた。沈黙が降りた。西日がカーテンを透かして、彼の明るい茶髪を黄金に染め始める。
その沈黙を破ったのは、遥斗のほうだった。
「……っ」
突然、少年の顔が苦痛に歪んだ。彼はテーブルの下で、自分の股間を両手で押さえるようにして、前かがみになった。
「遥斗くん? どうしたの」
佳子は腰を浮かせ、彼の傍へ駆け寄った。遥斗の白いうなじに、薄い汗が浮いている。彼は息をひそめ、グレーのイージーパンツの上から、下腹のあたりをぎゅうと押しつけた。
「下腹が、急に痛くなって……きゅうって、引っ張られるみたいに」
「どこか悪いんじゃない? 横になったほうがいいわ」
佳子は屈み込み、彼の額に手を伸ばした。少年の肌は、ほんのりと湿っていて、予想以上に熱かった。額には汗の粒が数個、光っている。
「佳子さん……お願いがあるんです」
遥斗の手が、伸びてきて、佳子の手首を掴んだ。細いのに、骨の芯の強い、少年の掌だった。
「ここ、擦ってもらえませんか。そうすると、少し、楽になる気がして」
そう言いながら、遥斗は佳子の手を、自分の下腹の布の上へと導いた。佳子の指先が、彼のイージーパンツのさらりとした生地を滑る。
その下に、硬いものがあった。
布越しにも分かるほど、燃えるように熱く、異様な硬さを持った、太いものが。佳子の全身が、びくり、と強張った。指先の感覚が、頭の奥で警鐘を鳴らす。こんなものに、触ってはいけない。
「……遥斗くん、あの、おばさん、言いにくいんだけど、そこは」
「佳子さん、ごめんなさい。最近、ときどき、こうなっちゃうんです。お母さんがいないから、誰にも相談できなくて」
遥斗の声は、消え入りそうなほど細く、今にも泣き出しそうな震えを含んでいた。佳子の指は、彼の手首を振りほどけないまま、布の上の硬い隆起に触れた形で止まる。
「たぶん、佳子さんのお胸を見て、どきどきしたからだと思う。そうすると、ここが痛いくらい固くなって、どうにもならなくなるんです」
佳子の頬に、かっと血が昇った。息子の同級生に、自分の胸を見て勃起したと言われている。耳の奥が、かんかんと鳴った。それなのに、指先から伝わる熱さ、硬さが、彼女の膝をひどく頼りなくさせる。
「僕、佳子さんみたいな大人の女性に、触ってもらえたら、この痛いのが治る気がして。お願いです。擦ってください」
佳子の呼吸は、自分でも潮が引くように浅くなった。窓の外の陽は、いつの間にか角度を変えて、部屋の奥へ濃い影を落とし始めている。リビングの壁には、悠が毎日確認する塾の時刻表が貼ってあった。夕暮れの帰宅の時刻まで、まだ二時間以上ある。
指先が、遥斗の掌に押され、布越しの硬いものをそっと撫でた。布の皺が、抵抗のように指の腹へ引っかかる。その下の熱のかたまりが、どんなものなのか、頭では分かっているのに。佳子は、自分の指がそれを確かめるようにゆっくり上下に動くのを、止められなかった。
「そう、痛いところ、擦ってほしいの?」
「お願いします。本当に、苦しくて」
遥斗は自分の指で、イージーパンツのゴムを掴み、ゆっくりと下ろし始めた。腰の骨が浮き上がるほど深く押し込んで。すると、下着の上からでも分かるほどに、彼のものが布を押し上げていた。佳子の指は、反射的にその上を滑り、そして息を呑んだ。
露出したそれは、少年という言葉がひどく滑稽に思えるほど、大きく、太く、血管の浮いた形をしていた。先端は赤黒く充血し、薄い皮を突き破って、濡れた光を宿している。夫のものとは比べ物にならない。佳子の掌の中に、小学生のものではない肉の温度と質量があった。
「佳子さんの手、柔らかくて……」
遥斗が、うっとりとしたため息をこぼした。佳子の手は、もう彼の肉茎をゆっくりと擦り上げ始めている。擦るたびに、手のひらの静脈に、彼の鼓動が伝わってくる。その重さ、熱さ、硬さ。女性としての感覚が、理性の外側で、この肉の雄々しさを確かめようと疼いていた。
「あの、口でも、してくれたら、もっと早く治るんですけど……」
遥斗の声は、いつの間にか、甘えて強引な響きへと変わっていた。佳子は首を振った。振りながら、自分の下着の中へじわりと熱いものが滲み出しているのに気づいてしまう。彼の匂いがする。汗と、布と、少年の肌から立ちのぼる、青い果実のような匂い。塩素にも似た、雄の匂い。
「だめよ……口は、だめ、だめ、そんなこと」
「ちょっと、ちょっとだけでいいんです。佳子さん、お願いします」
佳子は、壁の時刻表をもう一度見た。夕暮れの光が、紙の上の数字を茜色に染めていた。悠の自転車が砂利を踏む音は、まだどこからも聞こえない。
どうして、こんなことになっているのだろう。佳子は、目の前に屹立する息子の同級生の肉茎を見つめながら、胸の奥でそう繰り返した。ついさっきまで、この子は悠の心配をしてくれていた。真希ちゃんと並んで、神妙な顔で、悠くんのために、と、そう言ってくれた。それなのに今、佳子は、その同じ少年の硬く張り詰めたものを掌で握り、扱くかどうかを迷っている。息子の塾の時刻表が壁で見ている。家族の写真が、テレビボードの上で笑っている。夫のいない空白を、この子の熱で埋めてはいけない。頭の芯では、警鐘が何度も打ち鳴らされている。けれども、手のひらに伝わる拍動は、ひどく正直で、力強く、佳子の指を絡め取って離そうとしない。下着の中は、ぐっしょりと湿っていた。罪悪感で身動きが取れないのに、彼女の身体の奥だけが、じくじくと甘い疼きに溶かされていく。
「佳子さん……」
遥斗の甘えるような声が、沈黙を裂いた。少年の眼差しは潤み、苦しげな息遣いが、彼女の頬をかすめる。この子にとって、わたしの口は、痛みを鎮めるためのただの温かな場所なのだ。母代わり、いや、母よりももっと、直接的な。心の中で、もう一人の自分が囁く。早く、咥えてあげなさいと。苦しがっているのでしょう、助けてあげたいのでしょう、と。
今回だけ。この子が楽になるまで。そう、心の中で唱えながら、佳子は床に膝をついた。胸の奥が、悪いことをしているという熱でいっぱいだった。それでも、彼女の顔は、彼の大きく反り返った亀頭の前に、吸い寄せられるように近づいていく。
唇を開くと、先端の濡れた匂いが、むわりと鼻腔を満たした。佳子は目の前で脈打つ亀頭へ、おそるおそる舌先を這わせた。塩気と、青臭い苦み。むわん、と脳を焼くような匂いに、目眩のようなものが走る。彼女は大きく口を開き、彼の亀頭を慎重に頬張っていった。口蓋の奥まで、太くて固い肉が割って入る。唇がこれまでにないほど拡がり、唾液があふれてきて、喉の奥でぼこりと空気が鳴った。
「すごい……佳子さん、僕、もう……」
遥斗が腰を突き出し、少年の喉が仰け反った。佳子は彼の太い根元を両手で支え、その先端を吸い上げる。舌の裏で、怒張した傘の縁をなぞると、彼の体が大きく跳ねた。卑猥な水音が、静かなリビングにぴちゃ、くちゅ、と粘り気をもって響く。
「あぁ、ん……っ」
どぴゅ、と、最初の一発が佳子の口の奥を打った。
熱い精液の塊が喉へと流れ込み、続けてどくり、どくりと、塩素のような匂いを撒き散らしながら彼女の舌の上を満たしていった。口の中いっぱいに広がる、青臭く、イガイガした白い液体。夫の精液よりずっと濃く、喉を灼くような苦味がある。
佳子はこぼさぬように唇を閉じ、その全てを飲み下した。喉が三度、嚥下のために動いた。精液の粘りが喉の奥に絡み、鼻腔には、あの匂いが余韻として粘りついている。
遥斗のものが、彼女の口から抜けていく。粘液が銀の糸を引いて、唇の端へと切れた。佳子は我に返った。今、自分がしていたことを、現実のものとして感じる。唇の痺れが、彼女の罪を、全身に告げていた。
そのときだった。
佳子の視界の端で、リビングのドアの陰が、かすかに動いた気がした。けれども、彼女はまだ、自分の口へ戻っていく唾液の苦みと、下着の中で熱を帯びた自覚に、心を乱されたままだった。
部屋の隅に置かれたスマホの画面のような、黒い四角が、彼女の横顔を静かに映していることに、佳子はまだ気づかなかった。
第3章 撮影された動画と、膣に響く巨根の圧迫

リビングのドアの陰から、少女の声が落ちてきた。硝子を爪で引っ掻くような鋭さの奥に、ねっとりとした蜜をたっぷり含んだ響きが潜んでいる。その声は佳子の背骨に沿ってゆっくりと滑り降り、尾てい骨のあたりで熱い塊に変わり、そこから先は皮膚の内側へじわりじわりと滲み込んで消えていった。
喉の奥に、まだ精が残っている。舌の裏にこびりついた苦みが、唾液と混ざるたびに甦り、上顎の奥へ吸い込む息のたびに、青臭い雄の匂いが鼻の粘膜を灼いた。飲み下したはずのものが、逆流してくるような生々しい余韻。佳子は床に膝をついたまま、まるで水の底から浮上するように、濡れた首をゆっくりと声のほうへ向けた。口の端から伝う唾液と精液の混じった糸が、顎の輪郭をなぞり、鎖骨の窪みへ温かく滑り落ちていく。生温かいそれが胸元へ染み込むたびに、彼女は自分の身体がまだあの少年の匂いを吐き出し続けていることを、濡れた肌の一枚一枚で思い知らされていた。太腿の内側が、べったりと湿って重い。下着の布が、ぐっしょりと水分を含んで肌に貼り付き、身動ぎするたびに、ぬるり、と生暖かい感触が陰部を擦るのだった。
「佳子おばさま、すごく上手なのね」
ドアのところに立っていたのは真希だった。細い背中に栗色の髪を真っ直ぐ流した、まだ幼さの残る輪郭の少女。ピンク色の膝上ワンピースが、リビングの薄明かりの中で浮き上がるように淡く滲んでいる。その小さな右手は胸の高さまで掲げられ、握られたスマホが黒い長方形のまま、あたりの弱い光をすべて吸い込んでいた。吸い込むだけで、何ひとつ照り返さない。あの黒い板が、ついさっきまでの自分を、あの浅ましい姿を、そっくり隠し持っているのだと思うと、佳子の心臓は錆びた金具みたいにぎしぎしと軋み、そのたびに胸の奥の筋肉が強張った。
「ずっと撮ってたの。佳子おばさまが遥斗のおちんぽを舐めるところから、ずうっと」
真希の唇が、言葉を転がすたびに薄く開く。水分の足りない花弁がほころぶような、ういういしい口元だった。彼女の黒い瞳は、濡れた石みたいに光って、真っ直ぐに佳子だけを映している。カメラの小さなレンズは、生き物のように呼吸しながら、佳子の乱れた前髪を、腫れぼったく充血した唇を、汗でぐっしょりと透ける白いTシャツの胸元を、順番に嘗め回しているようだった。無機質な黒い目に覗かれるたび、輪郭が少しずつ削られていく眩暈を覚える。輪郭だけではない。人としての形が、あのレンズの向こうへ薄く薄く剥がれて吸い込まれ、戻ってこない気がした。
「な、なにを言ってるの、真希さん。これは、違うのよ……遥斗くんが、苦しそうだったから、私、ただ……」
「ふうん。苦しそうだから、おちんぽ咥えたんだ」
真希の声は、冷たいというより乾いていた。湿りきったこの部屋の空気のなかで、彼女の言葉だけが異様に乾いて、佳子の汗ばんだ肌へ糊のように張り付く。やがて真希が、リビングへ一歩、足を踏み入れた。素足のままの靴下が、フローリングをぺたり、ぺたりと鳴らす。その薄い足音は、佳子の鼓膜のすぐ裏で、彼女の心臓の鼓動と重なりあい、部屋の沈んだ空気を小刻みに震わせた。湿った空気ごと揺らす音が、薄い硝子を指先で弾くように、耳の奥の柔い薄膜を引っ掻いていく。
「おばさま、私のスマホね、クラスのグループにつながってるの。今、動画を送ろうと思えば、指先ひとつで送れるんだよ、もちろん、悠くんのスマホにも」
「やめて、それだけは……!」
佳子は床に手をついたまま、真希の足元へすがり寄ろうとした。せめて足に縋りついてでも、彼女の細い指先を止めたかった。涎と涙と汗で滑る掌が、フローリングに爪を立て、くやしさで白く浮き上がる。だが、動こうとした手首を、不意に後ろから掴まれた。細い骨を締め上げる、子供とは思えぬ力。熱が、彼の指先から流れてくる。汗ばんだ皮膚が、佳子のみずみずしい脈の上へ食い込み、心臓の早鐘をそのまま指先で数えられているようだった。振り向いたすぐ背後に、遥斗が立っていた。グレーのイージーパンツは下ろしたまま、薄い腹筋がリビングの光を汗で光らせている。まだあどけない鳩尾の形。その中心に、つい先ほど佳子の口中で精を放ったばかりの肉茎が、半分ほどの硬さを保ったまま、重たげに揺れていた。暗い色の血管が浮き出て、先端からは透明な滴が一筋、糸を引いて垂れている。佳子の口腔は、その痛いまでの熱と、上顎の裏まで届いた重圧を、根こそぎ思い出して火照った。
「佳子さん、すごかった。僕のを、急に咥えちゃうんだから」
遥斗は、呆気に取られたような、たどたどしい調子で言った。今にも泣き出しそうに寄せられた眉が、あまりにも巧みで、佳子にはもうそれが演技なのか本心なのかを測る力が残っていない。少年の指は、佳子の手首から力強い脈を伝えてくる。触れ合う皮膚の下で、まだ年端のいかない男の血潮が、どくん、どくんと熱い音を立てていた。その熱さが、つい今しがた喉の奥まで咥え込んでいたものの温度を、生々しく呼び起こす。痛いほど膨れた亀頭の張り、舌の上に絡みついた塩辛い先走り、飲み干した精の苦み。そと吐く息が、少年の体臭のかけらをまた耳元へ運んでくる。シャンプーの匂いの底に、汗と、皮脂と、雄の匂いがまざって、甘ったるく咽せ返るようだった。
「ちがう、ちがうの。お腹が痛いから、あんまり苦しそうだから、私、手を当てていただけで……」
「それは本当? 動画には、おばさまが嬉しそうにしゃぶってる姿が映ってるよ。溜まってたの? 大人の女の人って、みんなあんなに夢中になっちゃうの?」
真希の問いは、言葉の形をしていながら、細い針みたいに佳子の胸を深く刺した。刺さった場所から、じわりと黒い血が滲むように、言い逃れの余地が失われていく。太腿の内側が、ひくん、と震えた。視界の端で、黒いスマホの画面がゆっくりと自分のほうへ向け直される。画面の中に映る自分の顔。乱れて頬に張り付く前髪。裂けるほど開いた唇。その目は、夫が単身赴任してから一度も鏡に晒したことのない、はしたない色に潤んでいた。それは、まぎれもなく、雄の精を吞み干したばかりの雌の貌だった。画面のなかの女は、誰に命じられたわけでもなく、自ら膝を開き、口を吸い付かせ、悦びにまかせて首を振っていた。あれが現実だったことを、自分の口腔に残る粘ついた味が、否応なく証明している。
「佳子さん、大丈夫? 顔が真っ赤だよ」
遥斗が、心配そうな声を作って佳子の額へ手を伸ばした。その手は、けれども額ではなく、耳のうしろから首筋をすり抜け、肩から胸へと滑っていく。白いTシャツの胸元を、あやすように掴む指。生地の下で、汗を吸ったブラジャーの紐が、くい、と食い込んだ。彼の掌の熱と、布越しに食い込む五本の指の形が、女の柔らかな乳房の輪郭をゆっくりと炙り出していく。掌にゆったりと溢れる白い肉は、指を沈めるたびに素直な弾力で彼の手を押し返した。
「やっ……なにを」
「無理しなくていいのに。さっきから、たくさんお漏らししてるのに」
遥斗は佳子の耳元へ唇を近づけ、ねばついた吐息を吹き込んだ。耳の穴を這う、熱い湿気。三歳になる悠のたどたどしい言葉に耳を傾けるときとは比べようもない、雄のねっとりした空気だった。鼓膜の奥で、ぬるり、と粘液がひっくり返る音がした気がする。彼の声が、頭蓋の内側に直接、温い愛液を塗り込んでいくようで、脳がじんわりと痺れた。
「あそこ、腫れそうなくらい濡れてたよ。おばさん、僕ので気持ちよくなってくれた?」
佳子は首を横に振った。振りながら、身体の芯が、あの熱い肉茎の感触をもう一度味わおうと疼いているのを、舌の先で否定できずにいた。彼の指が、グレーのジャージスカートの上から腰をなぞる。するり、と滑る指が、腰骨のくびれを確かめるように、ゆっくりと腹の下へ下りてくる。布の上からでも、指先の軌跡が焼けつくように感じられた。触れられていない胸の先が、服の内側で固く凝り始めている。呼吸が浅くなり、腰がひとりでに逃れようと揺れるのに、その揺れは、少年の手の誘いを待つ女の動きにしか見えなかった。
「おばさま、逃げないで。動画、まだ消してないんだから」
真希が、にんまりと笑った気配がした。空気の色が変わる音がして、佳子は首筋のうぶ毛が逆立つのを感じる。抵抗しながらも、身体の中心へ伸びる遥斗の手を、どうしても本気では振り払えない。少年の指が、ついにスカートのウエストへ潜り込み、薄いショーツのゴムに引っかかった。ぎし、と下着ごと持ち上がる。湿りきった布の重み。彼女の恥ずかしい水分の一切が、脱ぎ捨てられずにそこへ溜まっている。その重みが、自分の内側にどれだけの欲が詰まっているのかを、容赦なく教えてくる。グレーの布と湿った綿の下着が擦れるたび、秘めた場所の熱までが、少年の指先に掃き出されていく。
「こんなになってる。おばさん、きっと旦那さんがいなくて寂しかったんだ。もしかして、悠にも発情してたのかな?」
「ち、違う……悠くんは、関係ない。悠には、手を出さないで……」
「ねえ、ひとつ訊くけど……悠くんにこのこと、バラしていいの?」
真希の声は、残酷なほど落ち着いていた。佳子はハッとして、壁の塾の時刻表を見た。今は午後三時を回ったところ。悠が帰ってくるまで、まだ三時間近く残っている。もっと早く時計が回ればいい。そう思いながら、この時間が止まらないことを、自分の胎の奥が、じくじくと歓んでいる。どちらの気持ちも自分のものなのか、佳子にはもう分からない。もう一度、時刻表の小さな文字を目で追った。裸の白い壁に貼り付いた角ばった数字が、静かなリビングの中で、ぎちぎちと時間を刻んでいる。
「悠のペニスを動画に撮って、学校で流したのも私達なの。ねえ、おばさま、聞いてる?」
真希が笑った。くすくすと、少女らしい無邪気な音。鈴を転がすような笑い声が、かえって背筋を凍らせる。耳に心地よいはずの声音が、ぬるい悪意をまとい、佳子の汗ばんだ項へ張り付いた。ぞわり、と首の後ろが泡立つ。頬の内側を、さっき飲み込んだ精の苦みが、つうっと上ってきた。
「悠くん、教室でね、みんなに脱がされて、私の下着を見せられて、すごく恥ずかしい小さいのを勃たせてた。あの子、今ごろ塾で、また笑われてるかもね」
「そ、そんな……悠を、いじめたの? 二人で?」
「いじめたなんて、人聞きが悪いなあ。ちょっとした遊びだよ。でも、おばさまのこの動画は、遊びじゃ済まないね。大人の女の人が、小学生のちんぽを味わってるんだもん」
真希の言葉が、佳子を足元から崩していく。悠に手を出した。あの子を、教室で、裸にして、笑いものにして、動画まで撮った。心臓が、冷水を浴びせられたみたいに縮んだ。汗は背骨を辿って、腰の最後まで伝い落ち、下着のゴムへ吸い込まれていく。息子の同級生に口淫した母親の映像が、もしも学校で流れたら。悠は、あの教室で、生きていけなくなる。映像を撮ったのが、目の前の二人だと分かっても、何も変わらない。画面に映った自分の女の貌が、悠の目に触れるだけで、すべてが終わる。佳子の身体は、彼女の意志を置き去りにして、ゆっくりと床へ崩れ落ちていた。太腿の内側に、乾いた愛液の薄い膜が突っ張る。動くたびに、く、と皮膚が引っ張られ、己の浅ましさを内側から嘲られるようだった。
「いや……だめ、やめて……お願い、もう、やめて……」
佳子の口から、空気の抜けるような声が漏れた。床に手をついたまま、乱れた髪が頬を打つほど何度も首を横に振る。涙が溢れて視界が滲み、フローリングに小さな水玉を作った。だめ、やめて、と、唇の中で溶かすように繰り返す。繰り返しながら、身体の奥は、恐怖だけを食べて震えているのではなかった。汗ばんだ肌が、遥斗の指先の位置を、布越しに吸い付くように追いかけている。自分でもどうにもできない矛盾が、涙の底で、じくじくと脈打っていた。逃げようとすればするほど、すでに濡れている場所が、ひくつき、熱を持ち、存在を主張してくる。泣きながら感じる自分が、鏡のなかの雌の貌と重なった。
「佳子さん、力を抜いて。気持ちいいから」
遥斗が助け起こすふりをして、Tシャツの上から乳房を掴んだ。柔らかに撓む肉が、少年の掌の中でゆっくりと形を変える。彼の指は、熟れた果物の具合を確かめるように、強すぎない力で、けれど執拗に、胸の丸みを揉みしだいた。白いTシャツが汗で肌に張り付き、掌の動きに合わせて細かなしわを寄せる。掌から溢れる豊かな乳房は、指を沈めるたびに素直すぎる弾力で少年の手のひらを押し返した。遥斗の親指が、服の上から乳首の位置を探り当て、そっと押し潰す。まだ蕾の名残をとどめたそれを、転がすようにゆっくりと撫で回されると、佳子の背中が小さく仰け反った。布とブラ、二枚の薄い膜を隔てているのに、直に触られているより生々しい熱が乳輪の周囲へ広がり、脇の下まで甘く滲んでいく。
「おとなしくしてたら、動画は消してあげる。でも、佳子さんが僕達に隠しごとをしたら、そのときは……わかるよね?」
真希がカーペットの上にしゃがみ込み、佳子の顔のすぐ間近にスマホを差し出した。スクリーンの中では、さっきの佳子が、少年の肉棒を咥え込み、唾液を溢れさせながら必死に頭を前後させていた。動画の中の自分が、現実の自分を見返して、はしたなく喘いでいる。画面の女は、目の縁を赤く染めて、男根を見上げ、腰をくねらせていた。耳目を疑うほど、その貌は蕩けきっている。レンズの奥から、ちゅぷ、ちゅぷという水音と、彼女自身のくぐもった吐息までが滲み出してくるようだった。喉の奥で、つ、と精の苦みが蘇る。唾液を飲み込むと、あのときの粘りと匂いまでが、食道を逆撫でしていった。
「ほら、おばさま。これ、舌、すごい……」
佳子は目を逸らした。逸らした先で、遥斗がイージーパンツを完全に脱ぎ捨てるのが見えた。下半身を剥き出しにした彼の体は、まだ少年の造りをしていたが、股間だけが、酷く雄々しい肉をぶら下げている。勃起しかけのそれは、佳子が見つめるたびに角度を増し、赤黒い傘の縁から、透明な滑りが一筋、糸を引いて垂れていた。垂れた雫が、太腿の内側を伝い、薄い筋肉のうえに光る筋を残す。佳子の目は、その光を追ってしまっていた。汗ばんだ太腿は年相応の細さなのに、内側にだけ硬い筋肉が走っている。その太腿の間に生まれた異物のような雄の象徴が、どくん、と上下に揺れるたび、佳子の下腹の奥が、吸い上げられるように震えた。
「佳子さん、最後までしてくれたら、動画のことはなかったことにするよ」
遥斗の言葉は、悪魔の取引より甘く、子守唄より穏やかに佳子の耳へ滑り込んだ。視界が滲む。涙の膜の向こうで、少年の裸身と、少女のスマホと、壁の時刻表が歪み、すべてが水の底へ沈んでいくみたいに揺らぐ。悠が塾から帰ってくるまで、あと数時間。リビングのソファで、いつもの笑顔を作り「おかえり」と声を掛けなければならない。その可能性が、いまとても遠い。目の前の少年の肌から立ち上る汗の匂いが、シャンプーの人工的な甘さと混ざり、この部屋の空気を内側から占領していく。鼻孔をくすぐる匂いに、さっき行為の熱が重なって、皮膚がしっとりと蒸れ始めていた。
「……わかったわ。今回だけ、だったら」
佳子の唇から、許しを乞うような弱い声が漏れた。自分で自分が情けないのに、口は逃げ道を塞がれる前に、自ら契約を結んでいた。それなのに、心とは裏腹に、彼女の指はスカートのウエストを緩めている。するり、と落ちるグレーの布。露になる白いショーツの股間部分は、布の色が透けて見えるほど濡れていた。湿ったショーツが肌に貼り付き、ずらすたびに、くち、と小さな粘着音を立てる。太腿の付け根まで伝っていた汗と汁が、下着の縁に沿って、細くぬるい線を描いていた。
「じゃあ、おばさま、わたし、ちゃんと撮るから。大人のからだ、綺麗なんだろうな」
真希がスマホを横向きにし、佳子の脚を下から嘗め上げた。黒いレンズの視線が、くるぶしから膝の裏へ、膝の裏から太腿へ、ゆっくりと登っていく。舐められるような錯覚。佳子は目を閉じた。閉じたまぶたの裏で、あの塾の時刻表が、濡れた赤い光と一緒に揺れていた。夕方はまだ来ないのに、目蓋の内側だけには、茜色の残像がべったりと焼き付いている。喉の奥に張り付いた精の名残が、息をするたびに苦く、生温かく香った。
遥斗の指が、ショーツのゴムに掛かった。濡れた布が剥がされる瞬間、ひんやりとした空気が陰部を撫でる。ぬかるんだ肉の熱が、外気に触れて、白いとろみを散らし始めた。少年の掌が、太腿の内側をゆっくりと開かせる。汗ばんだ掌の温度が、内腿のやわらかな肌へじんわり染みていく。そこだけが溶けたように熱い。太腿の白さと、中心に茂る黒々とした陰毛の対比が、まぶたを閉じていても網膜に浮かぶ。彼の指が、やわらかな内腿の肉へ沈み込み、そのたびに佳子の膝が小刻みに震えた。少年の指紋の凹凸が、皮膚の上を虫が這うようにくすぐり、ぞくぞくと背中まで這い上がっていく。
「わあ……大人のあそこ、すごい。黒くて、濡れ濡れ」
真希の声が、遠くの部屋で聞こえるみたいに間延びして鼓膜に届く。佳子は自分の淫毛の茂りを、まだ小さな少女に観察されている。その事実が、膝を細かく震わせ、入り口の肉をひくつかせた。遥斗の人差し指が、くち、と音を立てて肉襞を割る。まだ触れられていないのに、その周辺はもちろん、溢れた液がカーペットの上へ垂れて、暗い染みが広がっていた。その染みは、さっき流した自分の涙と似た色をしている。熟れた皮膚の内側で、ぬらぬらと光る肉襞が、指の侵入を待ちかねるように、微かに、しかし確かに蠢いていた。
「おばさん、ここ、触ってもいい?」
「だめ……」
「だめって顔してないよ。触ってほしくて、腰が浮いてる」
彼の指先が、肉襞の上を上下に走った。愛液を塗り広げるように、滑りを味わうように、何度も何度も。まだ割ってはこない。もどかしい。入り口の芯が、ゆっくりと開きたくてたまらず、息を吐くたびに軽く痙攣した。佳子の吐息が、ひっと上擦る。指がようやく、ぬるつく襞を左右へ押し開き、剥き出しになった突起へ、遥斗の親指が、ゆるりと押し当てられた。
「あぅ……っ」
電流を流されたみたいに、佳子の腰が跳ねた。自分の意思ではない跳ね方だった。ひくん、と腹の肉が縮まり、浮いた腰が床へ落ちる。太腿の肉がぶるりと震え、フローリングを滑った。遥斗の指は、一番敏感な蕾を、円を描くように転がしていく。くちゅ、くちゅ、と水を含んだ音が、部屋の静けさのなかであまりに大きく響く。少年に触られるだけで、女の身体は、朗らかなまでにじゅくじゅくと鳴く。その音が、自分の身体から出ていることが信じがたくて、佳子は耳を塞ぎたくなった。なのに、腰はむしろ指の動きへ押し付けられるように浮き上がり、太腿が内側から開いていく。
「佳子さん、ここ、すごく固くなってる。男みたいなのに、可愛い」
「や、あ、あ、そこばかり触らないで……!」
「やだ。もっと気持ちよくしてあげる」
遥斗が指を増やし、剥き出しの蕾を左右から捏ねるように弄る。同時に、もう一方の指が、入り口のくぼみへと忍び込み、浅い襞を、んちゃ、と掻き回した。佳子の喉から、悲鳴とも吐息ともつかない声が引き出される。自分の中から搾り出される声が、他人のものに聞こえて、頭の芯だけが妙に冷えていた。真希がスマホを近づけ、濡れそぼる秘所を大写しにする。レンズの向こうに、自分の淫らな肉が拡大されている。それだけで、佳子はまた一段と絶頂の岸へ近づいた。白く豊かな内腿が、少年の手の届く範囲で、みっともなく開かれている。
「あ……も、だめ、いく、いきそう……っ」
「いいよ、佳子さん。素直になって」
遥斗が蕾をぐ、と強く押し潰した瞬間、佳子の視界が白く灼けた。太腿から腹、腹から脳天を一気に突き抜ける、破裂する光。躯は床の上で弓なりに反り、喉がくうっと痙攣する。誰の指も入っていないのに、膣のなかが、きゅうきゅうと強く収縮を繰り返した。溢れた愛液が、ぶしゅっ、と音を立てて少年の手を濡らす。飛び散った飛沫が、太腿の内側を熱く伝い落ち、座っていたカーペットに点々と染みを作った。
「すごい、おばさま、潮みたいなの飛ばした」
「はあ、はあ……ちが、ちがう……わたし、こんなの、知らない」
佳子は、首を横に振って泣いた。涙が頬を伝って、耳の中へ流れ込む。身体はなおも小刻みに跳ね、絶頂の余韻が、彼女の足先を何度も握らせた。気持ちよすぎた。夫との夜には、一度も感じたことのない種類の快楽。それが、恥ずかしかった。死ぬほど恥ずかしかった。それでも身体は、終わってしまった快楽をもう一度欲しがって、浅い呼吸を繰り返すのだった。閉じた唇の内側で、精の味と愛液の味が混ざり、舌がもつれた。
「佳子さん、次はこっち。俺ので、奥まで気持ちよくしてあげる」
遥斗が、自分自身を扱きながら言った。大きく反り上がった肉茎が、彼の小さな拳のうえで、ぬらぬらと光っている。少年の手には余る太さで、たぎった血管が浮き上がり、先端からだらりと透明な雫を垂らしていた。佳子は、眩暈のなかで、その逞しい怒張を見つめる。逃げたいのに、腰が動かない。体中が、さっきの余韻でぬかるんでいる。視界の中心で、それがどくん、と脈打つたび、自分の内側も合わせて疼いた。ずるり、と彼の拳が上下し、ねばつく水音が小さく弾ける。その音が、内腿の奥の、まだ痺れている芽へ響いた。
「挿れるから、脚を開いて。真希、ちゃんと撮って」
「うん、任せて。おばさま、カメラ目線、できるだけお願いね」
佳子は、真希のスマホに視線を向けた。黒いレンズが、自分のすべてを呑み込んでいる。息子と同い年の少年の一物が、暴いたばかりの陰部へ近づいてくる。ぬぷり、と傘の先端が入り口に触れた。火傷しそうに熱い。鈴口から溢れた先走りが、佳子の液と混ざり、粘着質な音を立てる。二つの熱が混ざり合う感触を、佳子は鮮明に味わっていた。ぬらぬらと濡れて、もうどこまでが自分で、どこからが彼なのか、境目が分からない。傘の部分が、入り口のくぼみを何度も往復して、そのたびに佳子の胎が反射的に締まる。彼が先端を沈めては抜き、沈めては抜く。もどかしさと、よがり声の一歩手前の息が、彼女の唇から零れていた。
「いくよ、佳子さん」
遥斗が、腰を一息に押し込んだ。
ずぶぶっ。
と、腹の奥まで届く湿りきった挿入音。佳子は目をひん剥いた。声すら出なかった。膣壁が、異物を拒むどころか、のどかに第二の皮膚のように彼を包み込んでいく。少年の肉茎は、夫のものより何倍も太く、何倍も硬く、何倍も熱かった。入り口をくぐった先に、まだ小さな彼の腰が、ぴたりと押し当てられる。自分の内臓が、少年の形に作り変えられていくようだ。ずるずると最奥まで届いたずしりとした重さに、肺の底から空気が押し出される。
「あッ……太い、これ、あぁぁ…深い……」
佳子は、自分の吐き出した言葉に、続けて喘いだ。遥斗がいったん腰を引き、また突き入れる。ぐちゅっ、ぬちゃっ、という水っぽい音が、リビングの四隅にまで響き渡る。窓ガラスに反響する卑猥な水音。その音が、自分の身体の内側から生まれている。佳子の胸の奥で、罪悪感が、薄い布を破るみたいに千切れていく。千切れた布切れは、暗い水のなかをゆっくりと沈んで消えた。もう拾い上げられない場所へ、深く、深く。
「佳子さんの中、ぬるぬるで熱い。全部、僕のを食べようとしてる」
「ちが……これは、身体が勝手に……あっ、ああっ、また、くる……!」
遥斗が腰の動きを速めた。狭い抽送のたびに、入り口から泡だった愛液が溢れ出し、互いの薄い陰毛をしっとりと濡らしていく。黒々とした佳子の茂みと、ほとんど生えていない少年の肌が、汁で艶やかに絡み合う。それは、いけないものが交じり合う、淫らでぬかるんだ光景だった。真希が息を飲む。スマホを持つ手が、かすかに上下に揺れている。彼女の空いたほうの手が、ピンク色のワンピースの裾を捲り、自分の内腿へと滑り込んでいた。細い白い指が、太腿の間の小さな布地を押しのけて、くちゅ、と音を立てて湿った肉へ沈む。
「はあ……おばさま、とってもいやらしい。遥斗、わたしも見てるだけで、あそこ、とろとろ……」
真希の声は、うっとりと蕩けていた。佳子はちらりと、彼女の尻の下に広がる小さな染みを見た。あの少女も、同じ熱を持て余している。くちゅ、くちゅ、と指先が花芯を擦る音が聞こえてくるようで、耳の奥が熱かった。呻くような自分の息が、遥斗の抽送と混じりあい、リビングを重い湿気で満たしていく。触覚の記憶が、もう二度と戻れない貌をして、佳子の内側を何度も刺し貫く。少年の腰の動きに合わせて、太腿の肉がぶるりと揺れ、汗が弾けて飛んだ。ねばつく肌と肌がぶつかるたびに、ぱちゅ、ぱちゅと、みずみずしい肉音が跳ねる。
「佳子さん、乳首、見せて」
遥斗が、白いTシャツを胸の上まで押し上げた。籐色のレースのブラを外すのは手間だと、片側だけが乱暴に下ろされる。ふるり、と露になった乳房の先。充血した乳首が、少年の口へと吸い込まれた。それは熟れた果肉の頂で硬く膨らんだ、桜色の小さな実だった。白い乳房が少年の鼻の形に沈み、口の周りに豊かな肉が溢れる。遥斗の唇が乳首を深く咥え込み、舌先で弾くように転がすたび、胸から背中へ、びりびりと快感が伝播していく。
「ひぃぁ……っ」
ちゅく、ちゅう、と、舌で擦り上げられながら、彼の唇が吸引力を高めていく。佳子はただ宙を見つめて受け入れた。天井の木目が、ぼんやりと揺れている。ちゅぷり、と乳首を吸う音まで、自分のすぐ下で弾けた。抜き差しのたびに、膣の奥では、例えようのない切ない飢えが疼く。満たされているはずなのに、もっと深いところを犯してほしいと、胎の周りが勝手に締まる。自分の子宮が、少年の形を覚え込もうとしている。佳子は、その不埒な内在の声を、指先で掴んで消したくなった。けれど、指先は動かず、代わりに少年の背中へ、汗ばんだ手を縋らせていた。
「佳子さん、すごく締まるよ。気持ちいい?」
「い、言わない……で……ああっ、もう、やめ、やめないで……!」
矛盾した言葉が、彼女の口を突いて出る。真希が、くす、と息を漏らした。
「おばさま、本音、漏れてるよ。……ねえ遥斗、わたしにも、後でちょうだいね」
「ん。後で、真希のなかにも、いっぱい出してやるから」
「嬉しい」
真希は、自らの花芯を擦りながら、ますますカメラを佳子の顔へ近づけた。レンズの黒い穴が、佳子の涙、涎、開いた唇、陰った瞳を、ひとつ残らず呑み込んでいく。佳子は淡紅色に火照った頬を見せつけながら、首を逃がそうと揺らす。見つめたくないのに、目を閉じれば閉じるほど、遥斗の一物の形が、膣の襞に焼き付いて離れない。閉じた視界の裏で、それは、熱く、硬く、執拗に脈打っていた。奥の襞を擦り上げられるたび、内臓の裏側にある知らない場所が、ちりちりと音を立てて燃える。
「佳子さん、もういこう。一緒に」
「い、いい……あっ、また、ああっ、来てる、のぼって、くる……あ、ああッ、イッ……!」
何も遮るもののないまま、佳子は二度目の絶頂へ突き落とされた。子宮の周囲が、握り潰すように収縮して、少年の肉茎を否応なく引き締める。どくん、と彼のものが内側で膨張するのが分かった。彼の脈が、熱が、昂ぶりが、腹の奥へ染み渡る。佳子の白い太腿が、彼の腰を挟むように痙攣し、汗ばんだ内腿のやわらかな皮膚が、少年の脇腹へぴたりと吸い付いた。足先が床を蹴る。爪先が、快楽の余波で白く浮いている。
「出すよ。口、開けて」
遥斗は、一物を引き抜くと、ぬめりを帯びたそれを佳子の顔の前へ差し出した。生温かい精の匂いで、鼻腔が灼けた。あの、青臭く、塩素を含み、少し苦い香り。自分の汁と少年の先走りが混ざり合った重たい匂いが、唇の真上で渦を巻いている。彼女は、自分の拒否権がもう身体のどこにも残っていないと悟り、そっと唇を開いた。しょっぱいものが舌の先へ触れる。
ぢゅるる。
と、舌を添えて、鈴口を吸う。遥斗の腹筋が強張り、口内の肉茎が獰猛に脈打った。
「あっ、佳子さん、出る……ッ」
どくん、どくん、と、太い精塊が喉を滑っていく。今度は、初めて飲まされたときよりも味が濃い。ほんのり苦い雄の味が、舌の上でどろりと溶け、喉の奥へ流れていく。上顎を打つたび、熱い液が塗り込められ、息のたびに青い雄の匂いが口蓋を駆け上がる。佳子はこぼさぬよう、必死に舌で受け止め、喉を鳴らして嚥下した。三度、四度と、喉がこくりと上下する。粘つく残滓が喉の奥にとどまり、息をするたびに精の味を攪拌する。体の中が、彼の匂いと味でいっぱいになった。
「おばさま、凄い……全部飲んじゃった」
真希が、呆れたように報告する。佳子は、唇を閉じながら、まだ脈打つその根元を手で支えていた。飲み干した唇からは、白い液が一滴、零れて、顎を伝い、汗ばんだ首筋へと落ちていく。身体の奥底の熱は、ちっとも鎮まっていなかった。むしろ、さっきまでの行為を思い返すたびに、新しい火種がくべられていく。乳房の先は硬く張ったまま、濡れたTシャツの内側で擦れるたびに、ちり、と小さな火花が散った。
遥斗が、カメラに笑いかけ、佳子の額へ小さなキスを落とした。あまりにも優しいくちづけが、汗ばんだ額に触れただけで、眼尻から冷たい涙が溢れてくる。その涙は、さっきまで流していた熱い涙とは違って、澄んだ水のように静かで、止めどなく頬を伝い続けた。
「佳子さん、これからも、悠くんには内緒で、こういう気持ちいいことしようね」
子守唄のように柔らかい声色だった。佳子は返事をしなかった。していないのに、首が、深く、縦に、ひとりでに動く。脳裏に焼き付いた塾の時刻表。夕暮れはまだ来ない。悠の帰宅までの時間が、これから静かに家を満たしていく。佳子の身体は、すでに少年の精を呑んだ雌として、次の来訪の記憶を食い込ませていた。二人が立ち去る足音を聞きながら、彼女はフローリングに横たわったまま、下着だけ脱いだ自分のみじめな姿を、カメラのなかに取り残していた。静寂が、部屋を潮の匂いで満たしていく。その静けさのなかで、佳子は自分の指が、濡れた太腿をすり、と撫でるのを、もう止めることができなかった。指先が、まだ熱い肉襞の上へ、迷いながら沈んでいく。喉に残る苦い雄の味だけが、彼女をひとりの女に戻さず、暗い水底のような快楽の記憶のなかへ、ゆっくりと沈めていくのだった。
第4章 塾の時刻表と、私を待つ息子の顔

第4章: 塾の時刻表と、私を待つ息子の顔
リビングのフローリングに仰向けになったまま、佳子はしばらく指一本動かせなかった。天井の木目が夕陽を吸って、琥珀色のまだら模様を浮かべている。左の太腿の内側に、乾きかけた液の膜が張りついて、腿を擦り合わせるたびにぱさついた音がした。鼻腔の奥には、まだあの青い雄の残り香が棲みついていて、息を吸うたびに下腹の奥がひくりと鳴くのを感じる。保守的であるべき身体の肉襞が、すでに少年の形を記憶してしまっている。その覆しようのない事実が、佳子の胸を鉛色に重くした。
壁の時計が、かち、と秒を刻む音だけが、しんとした家の中を滑っていく。佳子はよろめくように起き上がり、脱ぎ散らかされたスカートを拾った。グレーの布には、床の埃と、自分の愛液の名残が染みになって残っている。真希の指が動いていた場所。カメラが自分を嘗め回した場所。彼女はそれを抱えたまま、風呂場へ歩いた。
シャワーの栓をひねる。天井からの湯が、首筋から背中へかけて流れ落ちた。熱すぎるくらいの水が、少年に触れられた肌の領域を焼いていく。それなのに、胸の先端がぴんと尖って、湯の筋が当たるたびに千切れるような感覚を放つ。佳子はボディソープを泡立て、鎖骨から乳房へ、腹から鼠蹊部へと、いつもなら何も思わない手順で滑らせた。けれども今夜は、自分の指が彼の指の記憶と重なる。蠢く肉襞を指先で洗えば、あの果汁のような粘度を帯びたものが、まだ奥から滲み出てきそうで恐かった。いけない、と思うほどに、身体中の血流が鼠蹊部のあたりで低く唸る。
「もう、終わったのよ……」
彼女は湯煙の中で声に出した。誰にも届かない声は、白い壁に吸い込まれてくぐもった。終わった。動画を撮られて、彼らが去って、もう取り返しはつかないけれど、それでも日常は続く。夕食を作って、塾から帰る悠を迎えて、いつものように「おかえり」と微笑まなければならない。天井の換気扇が、その決意を嘲笑うみたいに低く回っていた。
シャワーを終えた佳子は、髪をタオルで巻いたまま、脱衣所で自分の裸身を鏡の前に晒した。白く蒸気をはらんだガラスの向こうに、三十六歳の女の躯が溶けている。湯で桜色に上気した肌。張りつめた胸のふくらみ。太腿の付け根の茂みから、すうっと下がる内腿の線を、鏡の女は艶かしく濡らしていた。彼女は唇を薄く開いたまま、自分の指で赤く充血した乳首を半ば押しつぶす。その瞬間、あの少年の舌の記憶が、ちゅく、と音を立てて蘇った。佳子は慌てて手を離し、脱衣所の冷たい空気を肺いっぱいに吸い込んだ。
時計は四時半を回っていた。着替えてリビングへ戻ると、床の敷物の上に、小さなシミが点々と散っているのが目に入る。体液と汗と、目に見えない多くのものが染み込んだ場所。彼女はカーペットを外し、洗面所から固く絞った雑巾を持ってきて、フローリングを這いつくばるように拭いた。木目の中へ吸われた匂いまで消えない。消えないまま、彼女は窓を開けた。五月の風がカーテンを膨らませ、夕方の湿気を部屋に通す。遥斗の、あの切れ長の目。真希の、無邪気なのに凍りついた声。ふたりが帰り際に残した「またあとで」という囁きのような約束が、風と一緒にカーテンを揺らす。
台所へ立ち、夕食の準備を始めた。まな板の上で、玉ねぎを薄く切る。透き通った白い層が、包丁の下で音もなく離れていく。佳子の指は、いつの間にか手早く動いていた。刻む音だけが、静かな家に軽く響く。慣れた作業の合間を縫って、身体の疼きが何度も自己主張をした。下着の中で、粘液が布に滲む。彼女はめまいをこらえるように、シンクの端を片手で掴んだ。
「まだ、濡れてる……」
その言葉が自然に唇からこぼれた。夫との夜には、終わった後にこんなふうに芯が燻ったことなどない。消えない熱。あれは、私のものであって、もう私のものではない。佳子は目を閉じた。閉じたまぶたの裏を、夕陽の赤い光が通過していく。
五時五十分。ごめん、と佳子は心の中で呟いてから、風呂場の鏡の前で前髪を梳いた。水分を含んだ黒髪は、白いうなじにまとわりつく。彼女は薄く化粧水を叩き、着替えた白Tシャツとロングスカートの裾を直した。外が茜色から紫へ移り変わる。玄関の外で、自転車のブレーキが小さく鳴った。
悠が、帰ってきた。
「ママ、ただいま」
玄関に立った悠は、白いソックスを砂埃でうっすら汚していた。肩に食い込む塾のカバン。華奢な体は、夕闇の中で一層か細く見えて、佳子の胸を締めつける。
「おかえりなさい。お腹すいたでしょ、すぐごはんにするからね」
佳子は母の顔を作って笑った。声が震えないように、腹の底の膣壁に力を込めた。悠は、ほっとしたように靴を脱いで、リビングへ入ってくる。彼の手が、カバンの前をかたかたと揺らしていた。佳子は自然に、壁の塾の時刻表へ目をやった。あの紙の日々の上を、少年の帰宅時間が毎週規則正しく滑っていく。
食卓に並んだ温かな食事を前に、悠はスプーンを持ったまま、ぽつりと言った。
「ママ、今日、なんだか顔が赤いよ。お風呂上がり?」
問われて、佳子の鼓動がひとつ跳ねた。彼女は菜箸を置き、できうる限り平静な横顔を作った。
「ちょっと夕方にシャワーを浴びたからね。暑くなってきたもの」
悠は「そうなんだ」とだけ言い、カレーを口へ運んだ。佳子は安堵と共に、息子が自分を見ているのだという感覚を味わった。母の異変に、いちばん近くで気づくのはやはり悠だ。嗅覚か、肌の温度か、それともただの勘か。彼は麺類をすすると、時折、佳子の顔へ気遣わしげな目を向けた。
「……なんかあったの?」
カレー皿の三杯目をおかわりしながら、悠が突然、芯を射た。
「何が?」
「ママ、僕が塾のあいだ、誰か来たの?」
少年の黒目が、真っ直ぐに佳子を見上げた。テーブル越しの視線は、まだ十二歳の、透明なものだった。その透明に、佳子は今日の肉の白濁を重ねてしまう。唇の内側に、精液の青臭い苦みが、嘘のように甦った。
「来てないわ。ずっとお洗濯してたのよ」
「ふうん。じゃあ、気のせいか。なんか、家のにおいが違う気がした」
悠はそう言って、ふたたび皿にスプーンを沈めた。佳子は全身の血が引いていく思いだった。洗濯をした、と口にした舌の先まで、汗に濡れたカーペットの匂いが染みている。少年の鼻は、母の不安を嗅ぎ分けたのかもしれない。
夜も深まり、悠は風呂から出て、リビングのソファで宿題を広げた。佳子は向かいの椅子に座り、冷めた麦茶を口に含む。悠の背中の向こう、窓ガラスには、二人の姿が薄ぼんやり映っていた。片や小学生の息子。片や、彼と同い年の少年に、朝のうちは知らなかった場所を暴かれた母。この一枚のガラスの向こうでは、何も起こらなかったように電灯が灯っている。
そのとき、悠が突然、ノートを閉じて立ち上がった。
「ママ、ぎゅってしていい?」
遠慮がちな声だった。幼い頃から変わらない、甘えるときの訛り。佳子はソファへ移り、両腕を広げた。悠が傍へ来て、細い体を預けてくる。ふわり、と石鹸の匂いと、十二歳の汗ばんだ熱が混ざった。彼の腕が、佳子の胸の頂に触れそうな位置で止まり、両手は母の背中に回された。
「ママの心臓、速い」
「おなかがすいてたからよ」
佳子はそう答えながら、悠の髪を撫でた。自分の胸の高鳴りを、鼓動ではなく欲だと決めつけてほしくなかった。けれども、悠の頭を抱える腕の内側では、午後に遥斗の腰が当たった場所が、別のひとの居場所を求めてひくんと収縮する。息子を抱きしめる腕の中でも、膣口の奥が時折甘く痺れた。この子を抱きしめながら、別の少年の体温を思い出している。母の面と、雌の疼きが、締め殺されそうな胸の内で鬩ぎ合っていた。
「悠、今日も塾、大変だった?」
「うん。苦手な理科、ちょっとだけわかってきた」
悠の声がくぐもって胸元へ沈む。彼は虐めを、やはり隠している。佳子の知る息子より、いくぶん影のある声。駅前の塾へ向かう背中を、朝のうち見送った。うつむいた背中に「いってらっしゃい」と掛けた。あの背中が学校でどう扱われているのか、真希の言葉を信じるなら、彼は仲間から笑いものにされている。教室の隅。剥かれた小さな彼自身。佳子の脳裏に、それは生々しい映像として勝手に立ち上がった。しかし、その映像のすぐ脇で、真希の白い下着の下に刻まれた割れ目の影もまた、彼女の思考をよぎる。
「もう、ずっとママのそばにいたいよ」
悠が言った。子供の本音が、母の背徳の上に降り積もる。佳子は息子の背を擦りながら、その無邪気な言葉が、胸を締めつけるのを感じた。
「ずっと一緒にいましょうね」
母としてそう返す口が、今日の午後、少年の一物を吸い上げた口だった。悠を優しく抱く指が、遥斗の根元を探り、真希に見下ろされながら自らの汁を掻き回させた指だった。違う、あれは強要されたの。違う、あの最後だけは、違う。佳子の中で言い訳が渦を巻く。違う、本当はもう、身体が覚えている。あの挿入を、次の機会を。彼女は悠の頭を抱えながら、唇をきつく噛み、目を閉じた。膝の上、ソファの片隅で、二人の身体は静かに重なっていた。
翌日、悠は学校から帰って再び塾支度を整えると、手際よくカバンを背負って玄関へ向かった。時計を見ると、午後一時を少し回ったところである。ばたん、と閉まる扉。自転車のチェーンがふたたび鳴り、遠ざかる。佳子はリビングに一人、昨夜の片付けを終えたテーブルの上に、手持ち無沙汰を置いた。
そのときだった。プルル、と短く椅子の上で彼女のスマホが震えたのは。佳子は迷い、手を伸ばした。画面に浮かぶ送信者を見て、首の後ろが、さっと冷たくなる。増田遥斗。息子のクラスメイトの名前が、光の粒子として暗い部屋に浮かんでいた。
指で開くと、短い文だけがぽつんとあった。
「また悠くんが塾に行っている時に行くね」
佳子の手が止まった。返信欄が白く開いて、彼女の親指を待っている。何と返せばいいのか。断ち切る言葉は、胸のどこかで形にならない。断らなければ。母として、大人として、言うべきことがある。そんな言葉たちは、けれどすべて、沈黙の水底へ落ちていった。
画面の光だけが、台所の片隅を青白く灯す。佳子はじっと、その一文を読み返した。行く、ね。無邪気な報告の形。彼は来る。あの二人が、またこの家へ。もしも来たら、動画が示されるかもしれない。もしも来たら、彼の指がまた、私の下着を引き下ろすかもしれない。それは恐怖のはずなのに、彼女の太腿の付け根は、昨日からずっと熱を抱えたままだった。
佳子は返信を書かないまま、スマホを裏返してテーブルへ置いた。胸の鼓動が耳の裏で槌を打つ。差し込む西日が、家具の輪郭をゆっくりと黄金に変えていた。彼女は手帳を引き寄せ、ペンを取った。来週の土曜日の欄。悠が塾へ出る午後一時、という、ただそれだけを、小さな字で余白に書き込む。
「何をしているの……」
佳子は自分の右手が動くのを見下ろし、息を呑んだ。けれど指は止まらなかった。手帳の罫線は、沈みゆく夕陽をいっぱいに含んで、赤く濡れたように光っていた。書き終えた頁を閉じると、彼女は両手で顔を覆った。断りの言葉を入れられない自分。スマホを見つめ、手帳を開き、まだ見ぬ週末の入口に、足を向けている自分。深夜の静けさがこれらを包み込み、時計の音だけが、彼女の鼓動と重なって、部屋の隅でひときわ強く鳴っていた。
第5章 再訪を待つ雌の顔

第5章 再訪を待つ雌の顔
土曜の朝、佳子は二度寝から抜け出した布団の中で、ふと自分の指先が太腿の内側に触れているのに気がついた。触れた場所が、ひどく湿っていた。寝汗ではない。下着の布地を指で押すと、ぬるりとした滑りが指の腹にまとわりついて、彼女は枕元の時計を見た。午前九時。まだ悠は二階で眠っている。カーテンの隙間から差し込む朝の光が、白い壁に淡い膜を張っていた。彼女は、明け方に見ていた夢の続きを、自分の身体の奥に感じていた。あれは、一週間前のあの指とは別人のように、喉の奥を押し拡げてきた少年の匂いだった。目を閉じると、まだ瞼の裏に、あの黒い瞳と、濡れた舌先が焼きついている。下着の中心に押し当てた指が、布越しに伝わる熱を確かめるように、そっと弧を描く。ひくつく場所が、自分の意志とは無関係に、指の形を欲しがっていた。
佳子は緩慢な動作で起き上がり、シャワーを浴びた。脱衣所の鏡に映る自分の顔は、眠りに濡れたのか、どこか腫れぼったく、白い喉に一粒、汗が伝っていた。湯を首筋から胸の谷間に流しながら、彼女は自分の手が、あの少年の手をなぞるように腹を滑っていくのを止められなかった。指の腹が、へその下から下腹を撫でるたび、昨日の夢の感触が皮膚の上によみがえる。先週の土曜日、あの二人が帰った後、彼女は何度も同じことを繰り返していた。夫と電話で話すときも、悠の弁当を作るときも、身体の芯で疼いている部分を、なかったことにできなかった。湯の中で、彼女は何度目かの問いを自分に投げた。あの動画が、まだどこかのスマホの中に眠っている。その一報が来たら、私はどうするつもりなのか。訊くまでもなく、答えは彼女の指が知っていた。目を閉じて、昨夜の夢を反芻するだけで、こうして脚のあいだが重たくなる。そんなことを考えながらも、彼女の指が下腹をゆっくりと押し沈めると、あの少年の一物を埋められた奥の方が、きゅう、と小さく鳴く。目を閉じた佳子は、湯気のむこうに、あの黒いスマホのレンズを、はっきりと想像していた。湯に溶けた石鹸の匂いの奥に、記憶のなかの青臭い雄の匂いが、ふっと混ざる。指はもう、自分のもののようでいて、あの子のものだった。
昼も近づき、悠が塾へ出かけていく。玄関で、彼女は息子のうつむきがちな背中に声をかけた。「いってらっしゃい」と、いつもどおりの声を。彼は、この一週間というもの、夕食のときに学校の話をしなくなっていた。佳子はそれ以上、何も訊けなかった。訊けてしまったら、自分の口から、あの動画のことが溢れる気がしていた。うなじに汗が滲む。首筋を流れる空気が、妙に冷たかった。悠の自転車の音が遠ざかると、家の中は、ふいに水底のように静かになる。時計の秒針だけが、彼女の胸を押すように響いていた。窓から差し込む五月の午後の光が、フローリングをすこしずつ白く灼いていく。その明るさのなかで、佳子は何をするでもなく立っていた。着替えたのは、あの日と同じ白いTシャツと、グレーのジャージロングスカート。洗濯を終えたばかりの布の匂いに、彼女はむしろ、この一日の予感を嗅いでいた。柔らかな綿の香りが、肺の奥を満たすたび、昨夜からずっと湿っている下腹部が、またちいさく脈を打つ。洗い立ての髪から雫が一滴、鎖骨を滑り、胸のふくらみのあいだへ消えていく。彼女はそれを拭いもせず、ただ、部屋の静けさのなかで、秒針の音を数えていた。
午後一時。夫から届いた通知は、今朝の写真のような、無事を伝える短い文面だけだった。彼女はそれを開きもせず、テーブルの上に伏せた。そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
佳子の指先が、鏡台の前で前髪に触れる。ほんの少しだけ、頬に朱が灯る。鏡のなかの女が、私を見ている。彼女は、わずかに乱れた髪を耳にかけ、唇を引き結んでから、ドアへ向かった。どうして、こんなにも動悸が速いのか、彼女はわかっていた。ううん、わかっていたのに、わからないふりをしただけだった。兆しは、ずっと前からあった。一週間前、あの二人が帰った後のシャワーで、彼女は半泣きになりながら二度、自分で達していた。悠が返ってきていないか、壁の時刻表と睨めっこしながら。
玄関の外には、少年が立っていた。真希も一緒だった。二人の影が、西に傾きはじめた陽に長く伸びて、ドアの敷居をこえて佳子の足元まで届いている。ほのかに甘い果実のような香りが、彼女の鼻先を掠めた。真希の長い栗色の髪が、午後の光を受けて、絹糸のようにさらさらと揺れている。十二歳には見えない、ねっとりした黒い瞳が、佳子の顔をじっと見上げていた。隣の遥斗は、明るい茶髪を無造作にかきあげ、黒いTシャツの肩をうっすら汗で光らせている。幼い顔立ちの少年の体つきは、Tシャツ越しにも、しなやかな筋肉の線がそうぞうされた。
「おばさん、今週も来たよ」
遥斗の声は、あの日と同じように軽く、無邪気だった。佳子は、この少年の舌が、自分の口の奥まで届くことを知っている。知っていて、笑顔を返した。喉の奥が、ひくりと震える。指先は、ドアノブを固く握りしめたまま、けれど離せない。少年の首筋に浮かぶうすい汗の膜と、白い肌の匂いが、彼女の内腿をざわつかせる。
「こんにちは、遥斗くん。真希さん」
彼女の声は、他人事のように落ち着いていた。
「悠は塾に行っているから、今は家にいないの」
彼女はドアを開けたまま、二人の顔を見下ろした。自分が何を言い、何を招き入れようとしているのか、彼女の唇はとっくに決めていた。白いTシャツの下で、ノーブラの乳房が、ほんの少しだけノブの握りに連動して揺れる。その動きに、真希がちらりと視線を落としたのを、佳子は見逃さなかった。
リビングに通された遥斗は、迷いなくソファに腰を下ろし、真希はその隣に立ったまま、佳子の顔を何か値踏みするように見つめていた。空気が、一瞬止まったようだった。冷房の効きすぎたリビングの白い光が、彼女たち三人の影を、フローリングに薄く落としている。佳子は、麦茶ではなく、なぜか自分が彼らをここに座らせて、あとは何をしたらいいのか、立ち尽くして考えてしまう。あの日のように「お腹が痛い」と言ってくれれば、まだ「しかたなく」の顔ができたかもしれない。それが欲しいと、彼女の背中が思っている。しかし、今日の遥斗は、あの日のような演技さえ必要ないと、そう決めている目をしていた。真希の唇が、うっすらと綻んでいる。少女の白い指先が、ピンクのワンピースの裾をもてあそびながら、佳子の下半身をなめるように見つめていた。
「佳子さん、今日はね、来ようか迷ってたんだ」
遥斗が、うつむきがちに言った。佳子は彼の声を、身体の芯で聞いていた。あの声が、一週間分の夢のなかで、何度も彼女の奥を貫いた。鼓膜ではなく、子宮の裏で、その言葉が紐のように絡みつく。
「でも、やっぱり、来ちゃった」
その一言に、佳子の膝裏が微かに震える。腰の奥に、どろりと熱いものが滲むような感覚があった。足を開かなければ、太腿のあいだで、自分の湿りが布に吸われていくのがわかる。彼女は「お茶でも入れるわ」と背を向けた。背中に、二人分の視線が突き刺さる。一秒でも早くこの場から逃げ出したくて、けれど逃げ出した先の台所には、彼女の熱を冷ますものは何もなかった。蛇口をひねり、水をグラスに注ぐ。水面が指先で揺れる。透明な水の冷たさが、かえって、掌の熱だけを浮かび上がらせた。佳子が振り返ると、遥斗が、いつの間にか真希の手を握らせず、一人で立って、彼女のすぐ後ろに来ていた。無言だった。空気を裂く気配すら、傲慢なまでに静かで、けれど存在そのものが、彼女の背中を抱きしめる。
「おばさん、今日は、もっとちゃんとしよう」
まだ幼さの残る声で、彼はそう言った。その声の奥に、彼女は一週間前の、あの執拗な慰めよりも、もっと明確な意志を感じた。彼女は手に持ったグラスを置き損ね、水がシンクの縁に跳ねた。無音のキッチンに、その雫の落ちる音が、一粒ずつ数えられるほど響く。遥斗の細い手指が、佳子の腰に回された。ワンピースの上からではなく、今日はTシャツのすそをくぐらせて、はじめから肌に触れてくる。少年の掌は、外気に冷えていたのに、彼女の肌に触れたとたん、燃えるように熱い。それでも、彼の掌が彼女の背に触れるまでの、その手つきは、初めての恋人にするものより、ずっとゆっくりだった。肌の上を、指先がじり、と這う。汗ばんだ背中のくぼみを、指の腹でなぞられ、ぞわ、と全身の産毛が逆立つ。触れられた場所から、果肉に染み込む蜜のように、甘い疼きが背骨へ滲みていく。
「君は、私の何をしに来たの……」
佳子の口が、絞り出すように動いた。答えは、もはや沈黙そのものだった。彼の腰に回した手が、そのまま彼女のスカートのウエストへ滑って、内側に潜入していく。布地を押し上げて、指が太腿の内側の、濡れた場所を探り当てるまで、ほんの数秒の出来事だった。下着の上から、くの字に曲げた指が、彼女の割れ目をなぞる。ぬるついた布地が、薄い肉のひだに貼りつき、少年の指の形をそのまま彼女に押しつけた。佳子は、太腿を無意識にすりあわせる。だめ、と思うまえに、膝が内側へ逃げて、指を逃すまいと、淫らに腰が揺れた。
同時に、リビングに置かれた無音のスマホが、真希の手によって持ち上げられていた。黒いレンズが、二人の立つキッチンの入り口へ向けられる。あの日、感じた視線とおなじ、けれどもっと酷薄なガラスの眼。少女の細い腕が、ブレずに、佳子の乱れていく姿を捉えようとしていた。
「やめて、真希さん、撮らないで……」
佳子は抵抗の声を出す。けれど、はだけたTシャツの下で、遥斗に掴まれた乳房の先が、彼の掌のなかで硬くしこっていくのを、自分で認めるしかなかった。こねるように、彼の小指が乳首に触れる。ふにゅっ、と沈み込んだ白い乳房の弾力が、彼の指のあいだで形を変えていく。あの日、俺に揉まれた乳房が、今日はこうして自ら吸いつくように、少年を抱きしめている。掌のひらが、汗ばんだ肌に吸盤のようにはりつく。彼女の胸の先端は、もう少年の指の腹だけでなく、空気に擦れても疼くほど、固く色づいていた。
「おばさん、今日は逃がさないよ」
耳元で、遥斗が息を吹き込む。佳子の膝が、ロングスカートの内側でがくりと折れた。真希が無言で、キッチンに足を踏み入れてくる。少女の片手にあるスマホのレンズが、佳子の乱れた黒髪と、少年の腕に抱かれた女の輪郭を舐めるように揺れていた。撮影されている。あの映像がまた、つくられていく。恐怖なのに、ぞくりとした悦びが、尾てい骨から背筋を這いあがる。背中の中央を、冷たい指でなぞられるような、それでいて、内側からは濡れた熱が込み上げる。
遥斗の指が、下着を横にずらして、濡れた茂みを割いた。あの日、真希に「黒ぐろ」と言われた茂みが、今日は、佳子自身の液で重たく光っている。整えていない艶やかな陰毛が、指でかき分けられ、その下から、熟れた果肉のように充血した肉唇がのぞく。痛いくらいの羞恥が、彼女の視界を一瞬、にじませた。指が、くちゅ、と入り口に沈むと、佳子の身体が仰け反り、後頭部が彼の肩にのしかかった。湿った内襞が、入ってきた指の節を、まるで飢えた生き物のように締めつけて、離そうとしない。
「や……指……」
「おばさんの、すごく熱い。ずっと、こうしてた?」
彼に訊かれて、佳子は否定する。顔を横に振りながら、腰は少年の指を包むように、前後に揺れてしまう。後ろから挿入られるような恰好で、遥斗の指が腟口を二本でこねた。くちくち、と湿った音が、キッチンの天井にまで染みていく。佳子は、自分のなかからこんな音がするのが、もはや恥ずかしくなくなっていることに気づいて、うわごとのように「そんな」とだけ呟いた。少年の指が内壁をかき回すたび、ねとねととした粘膜の音が、彼女の耳のなかで反響する。膣奥から溢れる液が、手のひらまで濡らし、指の動きをますます滑らかにした。
「ソファでしよ。真希、先にリビング、撮ってて」
遥斗が言うと、真希は、うっとりとした顔でリビングへ戻っていく。ぱたぱたと裸足の音が遠ざかる。佳子と遥斗も、肩を寄せ合うようにしてリビングへ移った。歩くたび、遥斗の指はスカートのなかで彼女の割れ目を何度も往復し、彼女の足を何度も縺れさせた。歩行の振動で、少年の指が入り口をこすり、陰核の根元を押しつぶすたび、彼女は床に倒れそうになりながら、どうにかその手を拒まなかった。いや、縋りつくように、彼の腕へ体重をあずけていた。
ソファに倒れ込むように座らされ、スカートを捲りあげられる。下着が剥ぎ取られ、そのまま床に落ちるのが見えた。淡いブルーのシンプルな布の中央だけが、彼女のまるみに吸い付くように、縦に黒っぽく湿って、床にほうり出される。ひどく変色した、自分の分泌液の生々しい地図が、フローリングのうえでちいさく縮んでいる。佳子は、それを目で追ってしまい、たまらなくなって顔を背けた。そこへ、無意識のうちに手が動く。彼女は反射的に、白い手のひらで、露わになった股間を隠そうとしていた。指を閉じ、恥丘の茂みごと、おさえつけるように。掌の下で、自分の熱がどくどくと脈打っているのが、あまりに痛いほどわかる。しっとりと濡れた指が、自分の液に触れ、ぬめりが指のあいだに糸を引いた。隠したはずの手のひらが、かえって、閉じきれない陰裂の湿りを確かめるかたちになる。羞恥のあまり背筋が震えたが、その震えの奥に、ちりちりと燃えるような期待が、まぎれもなく彼女自身の掌の熱として、返ってくる。かくしたい、けれど、触れていたい。その矛盾した熱が、指のあいだから溢れて、太腿をゆっくりと伝った。
「どけて。……なんで隠すの。もう、こんななのに」
遥斗は落ち着いた声で言うと、佳子の手首をつかみ、彼女の掌を、ぐっと横へ引き剥がした。抵抗は、ほとんどなかった。ううん、抵抗する力が、もう残っていなかった。指先が、彼女の熱いぬめりを惜しむように、ほんの一瞬、陰毛のうえを滑る。少年に手をどかされた後も、佳子の指は、虚空を掴むようにかたちを残していた。ああ、これで終わりじゃない。この手を離したぶん、もっと深い場所で、受け入れることになる。彼女の内側で、逃げ道を失くした情欲が、ちいさく、悲鳴のような声をあげていた。太腿の筋肉から、すっと力が抜け、両脚が無防備に開かれる。薄明かりのなかで、彼女の秘所は、もう隠しようもなく、少女のカメラと、少年の視線と、自分自身の欲望の前に、さらけ出されていた。
「真希、撮ってていいから」
「わかってる」
真希は、一度も目線を逸らさずに、横向きにしたスマホを両手で構えていた。その構えが、今度はまったくブレていない。佳子は、真希が一週間前よりも、ずっと積極的にこの場にいるのを感じた。少女は撮影者というより、これを楽しむ共犯者の顔をしている。ピンクのワンピースの胸元が、前かがみになるたびに開き、まだ薄い白い胸がのぞいた。それすらも、佳子の惨めさを際立たせる。
遥斗が、ズボンを下ろし、自分自身を解き放つ。佳子の目の前で、あの一物が揺れた。記憶よりも、今日のそれはまだ硬い。彼の手つきは急がず、先端を親指でゆっくりと擦りながら、佳子の唇を見下ろしていた。白い先走りが、濡れた光の粒となって、佳子のあごに落ちそうなほど近い場所でぷくりと浮く。性器の生々しい匂いが、少年の体温とともに、佳子の鼻先へ届く。洗い立ての服の匂いも、台所の水の冷たさも、すべてこの匂いの前では霞んでしまう。
「佳子さん、してくれない?」
少年の声が、すこしかすれている。佳子の呼吸が、ひときわ深くなった。彼女は首をのけぞらせて、大きな亀頭へ唇を近づけた。今日は、あなたがお腹を痛がるのを待たずとも、私はこれを、咥えるのだ。頭の片隅で、悠の時刻表が点滅する。夕暮れは、まだ遠い。唇が亀頭に触れて、ゆっくりと開く。火傷しそうな熱が、口内へと侵入してくる。舌先で裏筋を舐めると、少年の手が彼女の後頭部を押さえた。細い指が髪のあいだに潜り込み、頭皮をやわく掴まれると、首の後ろがぞくりと痺れた。
「あ……それ、上手くなってない?」
「んっ、ふ……っ」
佳子は何も答えず、喉の奥を開いていく。じゅぷ、ちゅる、と水音がして、溢れた唾液が彼の太い幹を伝い、陰嚢まで濡らした。舌の中央で、少年の熱い先端をなぶりながら、上あごへ押し付ける。息を吸おうとすると、鼻の奥に、男の子の雄のにおいが粘るように広がった。真希が、一歩そばに寄って、その接合部をカメラに収める。黒いレンズが、佳子の目そのもののように、彼女の口いっぱいに頬張る淫らな唇を映し出す。
「おばさまの口、遥斗のおちんぽに、もう、くっついてるみたい……」
真希が感心したように囁く。彼女の声が、佳子の胎の奥を揺らす。もっと見て。もっと撮って。そんな声が、淫心の底からせりあがる。そうよ、私は、あなたたちのものになりに来た。彼女の心の奥に、まだ形にならない嬌声が、火のように灯っていく。咥えている自分の唇が、ジュッと熱を発して、少年の肌に溶けてゆくようだった。涙で滲む視界の端に、真希の白い顔と、黒いレンズの穴が、二重になって揺れる。
「ねえ佳子さん、こっち向いて、こっち向いて咥えて」
遥斗が、佳子の後頭部を両手でしっかりと固定して、腰をすこし突き出してきた。口の端から唾液が糸を引き、ぐちゅ、じゅぷ、と唇のまわりで水音が跳ねる。彼女の口内いっぱいに、少年の雄の匂いが充満する。野獣じみた、青臭く、けれどどこか甘ったるい匂いだった。鼻で息を吸うたびに、その匂いが喉の奥へ降りていき、下腹の奥がきゅん、と縮む。遥斗は、佳子が咳き込まないようにか、動きはゆっくりだったが、そのかわり、先端を舌の上、頬の内側、上あご、と、ところどころに押し付け、彼女が味わう場所を変えさせた。
「口の中、まっ赤で熱い。舌、もっと出して」
少年に言われるまま、佳子は舌を差し出し、亀頭を擦る。舌先に残る塩辛さと、苦味に似たものが、彼女のなけなしの理性を痺れさせる。真希が背後に回り、脚のあいだからカメラを滑り込ませる。湿った下着のない秘所を、もう一度、アップで撮られる。佳子は膝を閉じることを許されなかった。少年の指ほどではないにしても、十二歳の指が、彼女の物欲しそうにひくつく陰唇を、遠慮なく押し開いていく。
「こっち、もうベトベト。おばさま、お口でしてるだけで、下も濡れてる」
真希の声に、佳子の耳が熱くなる。耳の穴という穴から、少女の言葉が、粘膜を伝わって下腹へ入り込む。太腿のつけ根が、かくん、と開いて、さらに蜜を垂らした。
「ちが……だって、あなたたちが……んっ」
「ちがわなくない? これ、全部おばさまとちゃうの?」
レンズを向けたまま、真希が小首を傾げる。佳子は否定の言葉を吐こうとして、しかしそのためにもう一度息を吸ったとき、遥斗が彼女の口腔へ奥まで差し込んできた。こぷこぷっ、と咽せ返るような音が喉の奥で鳴る。鼻の奥がつんと痛み、涙が滲んで視界が歪んだ。その涙さえ、真希のカメラは見逃さない。レンズの奥で、彼女の妻の顔、母の顔が、一瞬、花が咲き誇った絶頂を迎えたあとのように、赤く弛む。
「泣いてる顔、かわいい。撮れてるよ、おばさま」
「ん゛っ、んーっ……」
佳子は首を振る。振れば振るほど、少年の一物は彼女の舌のうえで暴れ、口蓋をこすり、喉の狭い入り口を執拗に叩く。遥斗が吐息を漏らし、佳子の髪をかきあげながら呟く。
「佳子さん、口でされたら、僕、すぐ出ちゃいそう」
だが、少年は腰の動きを止めるどころか、彼女の頭を胸元に押し付ける。佳子の鼻先が、薄い陰毛の生えはじめた下腹に埋もれ、獣のような吐息が喉のなかで砕けた。嗅いだことのない、けれど忘れられない、若い肌の匂い。彼女は半ば反射で、少年の腰に手を回していた。自分から、もっと奥に招き入れるように。そんな、淫らな所作だった。
「ほんと、キスしてるみたい。いや、お口で、あそこにキスしてるのね、おばさま」
真希が、扇情的に言う。そこで初めて、佳子は自分が自ら少年の腰を抱きよせていることに気づき、耳の裏まで朱に染まった。しかし、もう手を離すという選択肢は、彼女のなかに存在しなかった。指先が、少年のスポーツで引き締まった腰の窪みをなぞる。そこに、男の子の骨の硬さと、しなやかな筋肉の弾力を感じる。薄い皮膚のすぐ下で、熱を持って脈打つ彼の身体。一週間前、これほどまでのめりこんではいなかった。今日の自分は、あの日よりもずっと深い場所にいる。佳子は唇で肉茎を扱きながら、ゆっくりと顔を上下させた。ぬちゅ、じゅる、れろっ、と、吸い付く音が連続して、リビングの静けさを汚していく。
「そう……上手……佳子さんの口、きもちいい……」
少年が、うわごとのように褒める。その声が、彼女の乳首をまた硬くさせる。自分のものではない快感が、喉の粘膜を伝って降りていく。夫の、正章の、あの匂いとも、重さとも違う。軽く、細く、幼い骨格のなかで、男の証だけが異様な質量を持って彼女を圧迫してくる。
「じゃあ、今度はこっち」
遥斗は、佳子の口から一旦自身を抜くと、彼女の身体をソファの背もたれに押しつけた。肩を掴み、そのまま上向きに仰向けさせる。脚を大きく開かされ、片膝がソファの肘掛けから落ちかけた。太腿の内側に、唾液と先走りの混ざった液がてらてらと光り、陰毛が乱れている。そこへ少年の指が、再びやってくる。今度は迷いなく、二本の指が泥濘った膣口をこじ開ける。
「あ……あぁ……っ」
「ね、佳子さん。この穴、僕の形、覚えてるでしょ?」
耳元に唇を寄せられ、佳子はびくん、と全身を震わせる。ささやきと同時に、長い中指が子宮の入り口ちかくまでずるり、と沈みこみ、指の付け根まで彼女の肉に呑まれる。彼女の膣壁が、異物を締め付けるように収縮する。肉襞がうごめき、少年の指にまとわりつくようだった。熱く濡れた肉の管のなかを、指の節が引っかかるたび、視界の縁が白く明滅する。
「声、出して。おばさまの、すごくえっちな声、撮りたい」
真希が、足のあいだから佳子の顔を撮っている。佳子は首を横に振るが、遥斗が指を鉤型に曲げて、中のざらついた場所をぐりぐりと押し潰す。ひぃっ、と喉の奥から空気が漏れ、彼女の腰がソファから浮いた。唇から唾液の筋が垂れ、あごを伝って、肩のくぼみに溜まる。
「あ、あ、だめ……真希さん、見ないで……顔、撮らないでぇ……」
「見ないと撮れないよ、おばさま。ね、いっぱい声出して。その顔、すごくいい」
真希の白い指が、佳子の乱れた黒髪を横へ払う。汗で額に張り付いた髪をどかされ、涙の跡が残る目元があらわになる。佳子は、自分がいま「女」としての顔を、少女のカメラに晒している。その事実が、内くるぶしの奥を震わせる。彼女は、羞恥で死にそうだった。それなのに、膣は少年の指を食いちぎるほど、ぎゅうぎゅうと締め付けて離さない。
「佳子さん、中で僕の指、噛んでるよ。そんなに欲しいの?」
遥斗が、指を抜き差ししながら尋ねる。くちゅっ、くちゅっ、と濡れた音が静かな部屋に反響し、彼女の耳を犯す。ぬめる膣肉が、指を抜こうとするたび、名残惜しそうな音を立てて追いすがる。佳子は答えを、息継ぎのあいだに押し込めた。
「や……ちが……」
「じゃあ、なんでこんなに濡れてるの。指、三本にする?」
「や、いや……あぁっ」
返事の代わりに、遥斗は指を一本増やし、ゆっくりと彼女の腟を掻き回す。痛みすれすれの圧迫と、背筋を駆け上がる快感が同時に彼女を貫いた。彼女の太腿が、がくがくと痙攣し、ソファの布地に爪を立てる。だらりと開いた口から、唾液がこぼれ、あごを伝って鎖骨に落ちた。薄暗いリビングに、女の荒い呼吸と、粘膜をかき混ぜる音が、壁に染み入るように満ちていく。
「佳子さん、自分で跨ってみる?」
突然、遥斗が指を引き抜き、彼女の上に馬乗りになるように告げた。佳子は、その言葉の意味を、熱に浮かされた頭のどこかで反芻する。視線を下ろすと、少年の一物が暗赤色に充血し、上向きに反り返っている。先端から溢れた雫が、腹筋のうえにまで伝っていた。その雫を見た瞬間、彼女の胸の奥で、ちゅん、と鎖が外れる音がした。
「ほら、こっち、おいで」
遥斗は先にソファの中央に背をもたれ、太腿をひろげた。その中心で、硬く勃ちあがったものが、佳子を待っている。真希は、カメラの位置を低くして、彼女の尻と脚が映るように配置を変えていた。滑らかなフローリングに、女の愛液と汗の匂いが、かすかに積もっていく。
「おばさまが遥斗の上に乗るの、ちゃんと撮るから」
少女の声が、まるで、当然の手順のように響く。佳子は一度、首を振る。けれど、彼女の脚は、床に足をつけたまま立ち上がることができずにいた。立てないのではなく、立てたくなかった。身体の内側から、少年の上にでも跨らなければ、この灼熱が治まらない。そんな予感が、腰を支えていた。額の汗が一粒、睫毛に落ちて、世界がにじむ。少年の太腿の上に、自分のどの部分を乗せるのか、彼女の神経が、先に細部をなぞっていく。
「佳子さん、自分で欲しがってるんでしょ。隠さなくていいよ」
遥斗の舌先が、唇をなぞる。その仕草に、佳子の子宮のあたりが、きゅう、と切なく震えた。ああ、そうなのだ。私は、欲しがっている。彼女は息を殺し、少年の身体に向き直った。汗ばんだ太腿をそっと開き、彼の腰の上に片膝を乗せる。柔らかいソファが沈み、彼女の黒い陰毛の奥にある濡れた割れ目から、蜜がこぼれて少年の下腹を濡らした。ぬるりとしたその感触を、少年の腹の上で、彼女自身もはっきり感じる。ああ、私、こんなにも、溢れてしまっている。
「あ……あ……」
「上手。そのまま、ゆっくり腰を下ろして」
遥斗の声が、やさしく、いやらしく、彼女の耳を包む。佳子は両手を少年の肩につき、自分の入り口を彼の亀頭に押し当てた。触れた瞬間、熱さと硬さが陰唇を割って、ぬぶっ、と先端がくわえ込まれる。びりびり、と背骨を電気が走り、彼女の口が、声にならない悲鳴の形に開いた。太腿の内側が痙攣し、爪先がソファの布地を蹴る。
「あ……ああ……あなたの、硬い、奥に入ってくる……っ」
少しずつ、自分の体重で少年を呑み込んでいく。ぬぷぬぷ、ずりゅ、と粘液の音が股間から立ちのぼり、彼女自身の耳を責め立てる。肉茎が、膣壁を押し広げながら最奥へ到達するまでの苦しさと悦さが、彼女の思考をぐちゃぐちゃに溶かしていく。ようやく根元まで咥えこんだとき、佳子は全身から力が抜け、少年の胸に倒れ込んだ。心臓が早鐘を打ち、汗ばんだ肌と肌が密着する。その下で、彼女の膣は少年の形をはっきりと包んで、ひくひくと収縮していた。
「ほら、佳子さん、全部入ってるよ。自分で、ちゃんと見て」
遥斗が囁く。佳子は、言われるまま顔を下へ向ける。自分が少年の上に跨り、結合部の黒い茂み同士が濡れて絡み合っている。少しかさついた少年の下腹と、白い太腿のあいだで、彼の一物が完全に自分のなかに埋まっている。たしかに、私が、自分から挿れている。その考えが、彼女の脳を痺れさせる。今の私は、あの恐怖した土曜日の女ではない。彼女の意識だけが、するりと背骨を抜けて、あのレンズの向こう側へ吸い込まれそうになる。
「うごいて。佳子さんの、いやらしい腰、見せてよ」
遥斗が彼女の腰を掴み、ゆっくりと前後に促す。佳子は、泣き笑いのような息をこぼしながら、自ら腰を持ち上げる。抜けかけた肉茎の凹凸が、彼女の内襞をこすりあげ、は、ぁ、と声が漏れた。そして、また、腰を沈める。ぐちゅ、ぬぷ、と淫猥な音がして、彼女の内腿を蜜が伝った。自分から、少年の一物を味わうように、彼女の腰が上下に揺れ始める。
「あっ、あっ、ああっ、これ、ちが、わたし、自分で、れもう……」
「いいよ、すごくいいよ、佳子さん。中が、僕のを食べてる」
「食べてる……? 私の、なかが……あぁ、ほんとに、あなたの、擦れて、わたし……っ」
一旦、自分で動き出してしまえば、もう止められないことを、そのとき佳子は骨の髄から知った。ソファのばねが、ふかふかと揺れて、彼女の重みをいやらしく弾ませる。彼女の豊満な乳房も、白いTシャツの下で、少年の顔の前を上下に揺れ、汗で透けた布地ごしに乳首の形をはっきりと見せていた。それに気づいた遥斗が、両手でシャツのすそをたくし上げ、乳房をあらわにさせた。下着をしていない、その白い乳房が、重力に従って瑞々しく揺れている。遥斗は首をもたげ、ぷっくりと色づいた乳首を口に含んだ。
「ひゃっ、や、そこ……っ、あ、あ、吸わない……でぇ……」
息をのむ間もなく、乳首をきつく吸い上げられ、佳子の腰がびくびくと暴れる。ちゅぷ、ちゅる、と舌で転がされる音が、彼女の耳のすぐ下で鳴る。少年の舌が、あの日、散々乳首を知り尽くした場所を、さらにねっとりと責め立てる。吸われるたびに、膣の奥がきゅっ、きゅっ、と締まり、彼女の動きは、もはや抽送というより、少年の腰を搾り取るための律動に変わっていた。
「おばさま、もっと。もっと奥まで見えるように、腰、突き出して。この動画、やばいよ」
真希が、息を呑むように言って、二人の結合部を横から撮る。少女の指が、佳子の尻たぶに触れ、持ち上げるように横へずらす。佳子は、恥ずかしい箇所をさらに開かされて、少年の一物が出入りする様を、小さなカメラのレンズに、くっきりと映されてしまった。
「やっ、だめ、そんな……見えちゃ……あっ、ああっ」
「見えてるよ。おばさまのなか、赤くて、桃みたい。遥斗ので、いっぱいいっぱい。奥まで、びちょびちょにしてる」
真希の言葉が、追い詰めるように佳子を責める。その声が、アドレナリンのように官能を加速させた。恥ずかしい、たまらない、それなのに、少女に見られることで悦んでしまう。佳子は、腰を支える膝をがくがく震わせながら、自分の胎内で肉茎を締め上げる。ぶるぶる、と、腹の奥が痙攣に近い動きではじけ、彼女の重心は少年へとのしかかる。
「あ、あぁっ、まっ、わ、私……なにか、くる、くるぅ……っ」
「いいよ、そのまま、自分でイきなよ。手伝ってあげる」
遥斗の手が彼女の腰を下から突き上げ、結合の角度を変える。彼の腰が、ぱん、ぱん、と彼女の臀にぶつかる小気味のいい音をさせた。中の最奥、蜜がたまる場所を、押し蓋をするように亀頭で叩かれ、佳子の視界のなかで銀色の火花が散る。
「あ、あ、ああ、嘘、なに、これ、お腹の奥、んでる……!」
「っ、佳子さんのなか、締まる……やば、出るかも……佳子さん、どこでイく?」
遥斗の息も、苦しそうに乱れて、その声がさらに彼女の腰を重くした。真希が、無言でカメラを佳子の顔に寄せる。男受けする泣き顔、汗、乱れた髪。少女の指が、佳子のあごを下から支え、その表情をレンズへ差し出す。こんなふうに、女としての一番深い場所まで、見られたまま絶頂する。そのことが、彼女の羞恥を締め付け、しかし、その羞恥こそが快楽の芯をさらに灼熱させていく。彼女のなかで張り詰めた糸が、断末魔のような震えと共に、ぷつん、と切れる。
「あ……い、いっ……私、いっちゃ、い、あ、ああっ、ぅ……っ!」
声にならない絶叫とともに、佳子はのけぞった。視界が白く明滅し、身体の奥から、どろりと熱い何かが溢れていく。子宮がでんぐり返る、という比喩が、単なる言葉ではなく、内臓の現実として迫ってくる。膣壁が波のように波打ち、少年の肉茎を根元から絞り上げる。遥斗も喉を反らせ、彼女の乳房に爪を立てる。
「あ、佳子さん……っ、僕も、もう……出す……!」
「え、や、まってい……っ、まだ奥で、んっ……」
佳子は逃げようと身を引くが、その腰を少年の細い腕ががっしりと掴み、下から一気に突き上げる。ぐちゅ、どちゅ、ぬぶっ、と、最奥で吐精の直前の衝撃が、彼女の膣肉を振動させる。そして、どく、どくん、と熱いものが、少年の体内から佳子の中へ叩きつけられた。びゅるるっ、と一射ごとに、彼女の内部が満たされ、熱い精液が内襞を染めていく。奥で爆ぜる熱のたびに、佳子は「ひ、あ、あぅ」とか細い悲鳴をこぼし、彼の首にしがみついた。
遥斗が、射精の余韻に浅く腰を揺する。ぬちゃ、ぬちゅ、と、中で精液と愛液が混ざり合い、結合部から白く濁った泡が溢れ出た。それが少年の黒い下腹のちいさな茂みを濡らし、ソファの布地にまで垂れていく。真希のカメラは、その白濁が女の太腿を伝い、座面に染みていくまでの一部始終を、息をひそめて追っていた。
「……すごい。おばさまの、あふれてる」
少女のつぶやきが、部屋の空気を揺らした。佳子は、肩で息をしながら、ぼんやりと天井を見上げる。涙のあとが、頬に光っている。少年の腰のうえで、彼女はまだ小刻みに震えていた。下肢の奥が、たっぷりと注がれた温かいものの重みを抱えて、じんじんと疼いている。ああ、私は、いま、この子に、自ら跨り、自らのなかで精を受け止めた。その事実が、絡み合う下肢の熱よりも深く、彼女を沈黙させていく。
遥斗が、ぐったりした彼女の背中を、手のひらでゆっくりと撫でる。汗ばんだ女の背中は、しっとりと光り、華奢な肩甲骨の丘が呼吸のたびに上下する。
「佳子さん、やっと自分から乗ってくれた」
少年の声は、優しい。だが、その奥に、得たり、とばかりの余裕があった。佳子は、その声を、目を閉じて聞いていた。額の汗もぬぐわず、身体中で少年の体温と、自分の内に残った精の重みを感じながら。
真希が、さらに近づき、カメラを二人の顔のあいだに入れる。レンズの向こうで、佳子はわずかに瞳を開き、じっと、その黒いガラスを見つめた。泣きはらした女の、いや、雌の顔がそこに映っている。それでも、佳子は目を逸らさなかった。むしろ、そのレンズのむこうにいる、もう一人の自分が、何を言うでもなく「もっと」と唇を動かしているようだった。
「まだ、終わりじゃないからね、おばさま」
真希の囁きが、まるで子守唄のように、佳子の耳へ甘く沈んでいった。
登場人物
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滝川悠 たきがわ ゆう男性 ・ 12外見: 柔らかい黒髪のマッシュルームカット、茶色の瞳、華奢で色白の体型、身長147センチ。服装: 紺色の半袖シャツにベージュのハーフパンツ、白いソックス。素直で優しい性格。虐めを隠して母に甘える。
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増田遥斗 ますだ はると男性 ・ 12外見: 明るい茶髪のソフトモヒカン、黒い瞳、引き締まった筋肉質の体型、身長162センチ。服装: 黒のTシャツにグレーのイージーパンツ、ブランド物のスニーカー。計算高く演技が上手い。性経験豊富で18センチの巨根を持つ。
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持田真希 もちだ まき女性 ・ 12外見: 長い栗色の髪のストレート、黒い瞳、小柄で細い体型、身長145センチ。服装: ピンクの膝上ワンピース、白いキャミソール、リボンのついた靴。遥斗に従順で撮影を実行する。性的に奔放。
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滝川佳子 たきがわ けいこ女性 ・ 36外見: 艶やかな黒髪のセミロング、焦げ茶の瞳、細身ながら豊満なバストとヒップの体型、身長160センチ。服装: パット付き白Tシャツにグレーのジャージロングスカート、ショッピング時はキャミソールにカーディガンとジーンズ。良妻賢母だが夫の不在で淋しさを抱える。性経験が少ない。
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滝川正章 たきがわ まさあき男性 ・ 40
外見: 短い黒髪の七三分け、黒い瞳、中肉中背の体型、身長172センチ。服装: グレーのスーツに白シャツ、紺のネクタイ。真面目で仕事熱心。海外単身赴任中で家庭を顧みない。





