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◯校一年の宮川亜梨子が自室の姿見の前でパンツをずらし、匿名の投稿サイトに尻と性器の写真を晒して見られる快感に目覚めるまでの三か月

露出/羞恥 全8章 約37分で読了(18,021字) 新着 短編 2026年10月28日

あらすじ

カーテンを閉めた自室、冷たい姿見の前で十六歳の亜梨子はスマホを構える。顔を猫のイラストで隠し、局部にボカシを入れて匿名の海へ放つ写真。届くコメントの文字が、彼女の肌の奥の熱を少しずつ変えていく。見られる快感と隠す手順のあいだで揺れる、ひと夏の告白。

第1章 鏡の前でパンツをずらした夜、亜梨子は初めて自分の尻を撮る

第1章のシーン

第1章: 鏡の前でパンツをずらした夜、亜梨子は初めて自分の尻を撮る

カーテンの隙間から、六月の月のひかりが細く差し込んでいた。青白い筋が畳の上を横切り、姿見の縁をすこしだけ明るくしている。亜梨子は自分の部屋のまんなかに立って、胸のあたりまで響く心臓の音を、しずかに聞いていた。手にしたスマホはまだ冷たくて、画面は暗いまま。部屋の空気はむっと蒸していて、汗ばんだ太腿の裏がひやりと感じられるほど、亜梨子の身体は熱を持っていた。

タブレットで見ていた女の人たちのことが、まぶたの裏にまだ残っている。みんな、カメラの前で脚をひらいて、お尻を突き出して、恥ずかしいところを隠さずに写していた。亜梨子もああなりたい、ああやって誰かに見てもらいたい、と指の腹で膨らみを捏ねながら、何度も何度も思ってきた。いま、その「ああ」が、亜梨子の足を鏡の前まで運んだのだ。

亜梨子はスカートのウエストに指をかけた。ゆっくり下ろすと、穿いていた白いパンツが太腿の半ばでくしゃりと縮まり、部屋の空気が素肌の上を這っていく。ふわりと自分の匂いが立ちのぼった。汗と、すこしだけ甘くて酸っぱい、昼間から溜まっていたにおい。亜梨子はパンツのまま、後ろ向きに鏡へ身体を向けた。そして、膝をすこし曲げて、腰を突き出すかたちにする。腕を後ろへ回すと、手鏡に映すのとは違う、全身を映す大きな硝子の面が、亜梨子のお尻と、その奥の薄暗い谷間を、くっきりと捉えていた。

「わぁ……」

声が、息と一緒に洩れた。丸くて白い二つのふくらみが、鏡のなかでぼんやりと発光しているみたいに見える。そのあいだの割れ目は、いつも触っている場所よりもずっと深く暗くて、ふたつの穴の位置まで見えそうで、けれど月明かりだけでは輪郭がぼやけてしまう。亜梨子は右手のスマホを耳の横あたりに構えた。画面のなかに、現実とも鏡とも違う、もうひとりの亜梨子が現れる。

カシャッ。

あの音が、しずまり返った部屋に鋭く響いた瞬間、亜梨子のいちばん敏感な小さな粒が、きゅう、としぼむように疼いた。シャッター音が、まるで誰かの視線みたいに亜梨子の肌を撫でていく。胸がつまって、おなかの奥のほうがかっと熱くなる。もう一枚、と指が動く。

カシャッ。カシャッ。

音のたびに、ツンと尖った小さな芽がひくひくして、パンツの股布がしっとりと湿っていくのが自分でわかった。亜梨子はまばたきもせず、スマホの画面を見つめる。白いお尻。淡い色をした秘めやかな咲き口。こうして見ると、この身体はほんとに亜梨子のものなのかしら、と思うくらい艶めかしくて、同時に、とてもいやらしい。

投稿したら、どんなコメントが来るんだろう。かわいいって言ってくれる人、もっと脚をひらいてって言う人。亜梨子の知らない大人のひとたちが、画面の向こうで息を詰めて、ここを見るのだ。想像しただけで腰の奥がしくしくした。蜜が太腿の内側へ一筋、垂れていく感触があって、亜梨子は小さく膝を寄せた。

そのとき、スマホの画面に写った自分の顔が、半分だけ見えた。目が、うっとりと潤んで、口が半開きになっている。亜梨子は慌てて顔を伏せ、長い髪を耳にかけた。やっぱり顔は隠さないと、と思う。猫ちゃんのイラスト、かわいいのを探さなくちゃ。まだ誰にも送っていない一枚の写真が、撮ったその瞬間から、もう誰かに見られているような気配を、亜梨子は肌で感じていた。

ベッドにうつ伏せて、カーテンの隙間から洩れる月の光のなか、亜梨子はその写真をもう一度そっと開く。拡大してみると、大陰唇がうっすらとひらきかけて、内側の淡紅色があらわになっていた。亜梨子は息を止めて、太腿をきゅっと擦り合わせる。写真の中の亜梨子が、これからどんな言葉で見られていくのか。そんなことはまだ何も決まっていないのに、身体の芯はもう、次の一歩を待ちきれないみたいに、とくとくと脈打っていた。

第2章 猫のイラストとボカシを入れた画像を、夢見るアリスと名乗って投稿した夜

第2章のシーン

あの夜から三日目の深夜、亜梨子はベッドの上で膝を折り、パジャマの短パンのゴムを指先で弄んでいた。部屋の灯りはつけていない。カーテンの向こうで六月の生ぬるい空気が窓ガラスに張り付いているのが、背筋のあたりでじっとりと感じられる。スマホの冷たい縁を握りしめると、手のひらに汗が滲んで、画面の光が指の輪郭をぼんやり浮かび上がらせた。

「顔は、猫ちゃんのイラストで隠しちゃえば、だれにもわからない……よね」

亜梨子は小さく呟いて、鏡の前に立つ自分の姿を思い浮かべた。あのとき撮った写真。お尻と、その奥の、鏡に映った全部が丸見えだったあの一枚。あれを、たった一枚だけ、いつも眺めているあのサイトに流してしまおうか。心臓が喉のすぐ裏で跳ねて、太腿の内側がひたっと汗ばむ。指先が勝手にスマホの画面をなぞって、フォルダを開いていた。

写真を選ぶ。何枚も撮った中から、一番はっきり映っているもの。鏡の枠が斜めに入って、自分の膝の裏から腿、そして臀の割れ目が深く食い込んでいる角度。部屋の薄暗がりの中で、肌だけが青白く光っているようだった。亜梨子は画面を二本指でなぞって、自分の顔が映り込んだ上方だけを慎重に切り取った。

「未成年って、ばれちゃ、やばいんだよね……」

呟きながら、猫のイラストを選んだ。白い子猫の顔が、まるで仮面みたいに亜梨子の輪郭を覆い隠す。次に、アソコのあたりにモザイクを掛ける。指先で画面をなぞるたび、そこだけが曖昧に滲んで、かえって生々しく見える気がして、喉の奥がきゅうっと窄まった。ボカシの向こうで、あの淡い色の肉の襞が、誰かの目に晒されるのを待っている。投稿ボタンを押す瞬間、亜梨子はぎゅっと目を瞑り、腹の底からせり上がってくる息を、唇の隙間から細く吐き出した。指先がひとりでに震えて、画面の上で迷子みたいに迷ってから、ようやく、えいって押し込んだ。

振動が手首に響いたのは、それからしばらく経ってからだった。画面を覗き込むと、通知の数字が一つだけ増えている。たった一つのコメント。亜梨子は寝転がったまま、指先で恐る恐る開いた。文字が暗い部屋の中で、やけに白く浮かび上がる。

「すごく綺麗ですね。またお願いします」

声に出して読んでみると、喉の奥から変な吐息が漏れた。こんな短い言葉なのに、腰の奥がじんわり熱くなる。画面の光が頬を照らして、自分の呼吸だけが耳の傍で擦れる。

それから、しばらく間を置いて、もう一つ、通知が光った。

「お尻のラインがたまらないです。すごく若いんですね。肌が張りがあって」

若い、という言葉が、まるで舌で首筋を這われたみたいに、背中をすうっと撫でていく。亜梨子は唇を半開きにして、暗い天井をぼんやり見上げた。若いんだ、亜梨子。そう、亜梨子はまだ、高校生で、十六で、こんなことをして、してるんだ。頭の芯がじんと痺れて、下腹の奥のほうが勝手にきゅっと締まった。

さらに通知が増えた。三つめのコメント。亜梨子は身を起こして、画面に顔を寄せた。

「もっと見たいです。ボカシなしもお願いします。舐めたいくらいです」

短い、直接的な言葉。それなのに、目で追うたびに、その人の視線が亜梨子の開いた場所を実際に舌でべろりと舐め上げたような気がして、太腿の内側がひくんと跳ねた。舐めたい、なんて、亜梨子の、あんなところを。頭の中でその言葉が木霊みたいに反響して、耳の奥まで熱くなる。

亜梨子は膝を擦り合わせながら、パジャマの短パンの中へ手を滑り込ませた。指先はもう湿っていた。ぬるぬるとした滑りが、自分の肌の上でくちゅりと鳴る。見ず知らずの人が、亜梨子の一番いやらしい場所を、ちゃんと見てくれた。若い肌だって、舐めたいって、そう思ってくれてる。それだけで、下腹の奥がまたきゅんと疼く。スマホを持ったまま、もう片方の指先で濡れた襞をそっと押し開いた。ボカシの向こうと同じ場所が、いま確かにひくひくと震えている。指の腹が、濡れそぼった肉の溝に吸い付いて、くちゅくちゅと音を立てた。その音が、暗い静かな部屋に、亜梨子だけの秘密みたいに広がっていく。

投稿したばかりの画面を指でなぞりながら、亜梨子は熱い息を肩で揺らした。コメントの文字が滲んで見えるほど、目の奥がとろけてくる。ああ、亜梨子の写真、いま映ってるんだ。知らない人の画面の中で、亜梨子のお尻とアソコが、はっきり見えてるんだ。そんな、こと。太腿の内側を伝うものがシーツに染みて、生ぬるい匂いが鼻先を掠めた。指の腹で小さな肉の粒をゆっくり捏ね回すたび、膝ががくがくと震えて、画面の光が天井で揺れた。

通知がまた震える。四つめ。

「あの、いくつですか? すごく白くてきれいな肌してますね。おまんこ、もっと見せてほしいです」

おまんこ。知らない大人が、亜梨子のあそこを、おまんこって呼んだ。その言葉を目で追った瞬間、指先がぐちゅりと深く沈んで、腰がびくんと跳ねた。頭の奥で、はしたない音が何度もこだました。おまんこ、おまんこ。亜梨子の写真に、そんな言葉を付けて、大人の人が見てる。下腹の奥がぎゅうぎゅう締まって、指を咥えた肉襞が、物欲しそうにひくひくと動いているのが分かる。こんなに、たった一枚で、こんなになるなんて、思わなかった。

コメントを、もう一度、読む。何度もスクロールし直す。そのたびに、知らない人の視線が亜梨子の開いた場所を舐めていくようで、指先が勝手に速くなった。小さい肉の粒を指の腹で丁寧に押し潰しながら、亜梨子は画面の文字を、一文字ずつ、唇の形でなぞった。若い。綺麗。舐めたい。おまんこ、もっと見せて。そのどれもが、暗闇の中で光る舌みたいに、亜梨子の肌の上をべろりべろりと這い回る。太腿が、腰が、自分の意志を置き去りにして、布団の上でくの字に浮いた。シーツを掴んだ指先が白くて、手首から先だけが、まるで蒸し暑い夜のなかを泳いでいるようだった。

「あぁ……見て、見てる、亜梨子の、ここ、こんなに……」

声にならない囁きが、湿った唇の隙間から泡みたいに零れる。指の第二関節までぬめる肉溝に埋めて、亜梨子は画面の上に浮かんだ自分の写真をぼんやりと見つめた。猫の顔に隠された自分の輪郭。ボカシの向こうで、見知らぬ人たちの言葉に撫でられている、亜梨子の一番恥ずかしい場所。そこが、いま、確かに熱い。ずくずくするみたいに、身体の中心から溶けていくような熱が、指先を通して、腹の奥へ、胸の先へ、鼻の奥へと滲み広がっていく。

幕を引くみたいに通知がまた光って、亜梨子は荒い息のまま画面を伏せた。スマホを握った手だけが、まだ細かく震えている。暗い天井がゆっくり揺れて、六月の夜が耳の奥でざわざわと鳴っていた。閉じた瞼の裏で、あの文字たちが、まだちらちらと燃えている。若い。舐めたい。もっと見せて。熱い火の粉みたいに、亜梨子の身体のあちこちへ降りかかって、ちりちりと肌を焼いていく。太腿の付け根に残った湿り気が、夜の空気に触れてだんだん冷えていくのを感じながら、亜梨子は身じろぎもせず、天井の揺れを、じっと、見つめていた。

第3章 コメントの数が増えるほど、亜梨子の撮影は趣味になっていく

第3章のシーン

第3章: コメントの数が増えるほど、亜梨子の撮影は趣味になっていく

カーテンの隙間から差し込む七月の西日が、床に置いた小さな三脚の脚を橙色に縁取っていた。亜梨子は床に膝をつき、両手を前に突いて腰を高く持ち上げる。胸と頬がフローリングの冷たさを吸って、なのに後ろから射す夕陽だけが、突き出したお尻をじわりと温めていく。制服のスカートは脱いで、お気に入りでもない地味な水色のカットソーだけを身につけて、下はなにも履いていなかった。紐の細いパンツは三脚の傍らに丸めてあって、体育座りみたいに縮こまったそれは、もうすっかり役目を終えたみたいに見える。

タイマーの赤いランプが、三脚に固定したスマホの横でちかちかと瞬く。亜梨子は首だけを後ろへひねって、自分の尻がどんなふうに写っているのかを確かめた。背中から腿へつながる線が、夕陽のせいでいつもよりずっと白く浮かび上がって、その真ん中、腿のつけ根のあいだに、淡い色の割れ目がぽっかりと口を開けている。そこだけが濡れて光っていて、フローリングにこぼれそうな雫が一筋、内腿を這っているのが見えた。

コメントの人が言ってたのは、こういう角度だった。もっとお尻をこっちへ突き出して、アソコと後ろの穴が両方見えるように、そうすればもっとえっちに見えるよって。亜梨子はスマホの位置を思い出しながら、腰をほんの少しだけ右へずらす。太腿の内側のやわらかい肉がむにゅっと潰れて、開いたところに空気が触れた。ひんやりして、それなのに奥のほうはじんと熱い。自分で撮ってるのに、画面の中の身体はもう亜梨子のものじゃないみたいで、だけど確かに亜梨子の肌が、亜梨子のいやらしいところが、これから撮られようとしている。

カシャッ。

シャッター音が静かな部屋に落ちて、クリトリスの奥がぴくんと跳ねた。音がするたび、あそこが疼くのは、初めて鏡で撮った夜からずっと変わらない。むしろ、回数を重ねるたびに疼きは深くなって、今ではカシャッと鳴る前から、もう下腹部がきゅうと窄まる。亜梨子は唇を開いて、はぁ、と小さく息を逃した。シーツの匂いが、鼻の奥にこびりついている。昨夜の自分の汗と、たぶんもっと別の、ぬるい匂い。それがカーテンの隙間から入る生ぬるい風に混ざって、膝をついた床の上まで流れてくる。

カシャッ、カシャッ。

何枚か続けて撮って、亜梨子は四つん這いのまま三脚へにじり寄った。スマホの冷たい縁を指先でつまんで、画面を覗き込む。映っているのは、夕陽に照らされた自分の尻。アナルがくっきりと影を落とし、その下の性器は淡紅色に開いていて、濡れた襞が光に透けている。これ、亜梨子なのに、亜梨子じゃないみたい。そんなふうに思うのに、指はもう次の構図を探して、太腿を開く角度を少し変えてみる。もっと、もっと、頭の中のどこかが甘く痺れて、投稿したらどんなコメントが来るんだろうって想像しただけで、膣の入り口がきゅうきゅうと窄まるのがわかった。

撮影は、いつのまにか一番濡れる時間になっていた。部屋にはカシャッという音と、亜梨子の浅い吐息だけが繰り返して、西日がゆっくりと床を這っていく。亜梨子は三脚のスマホに背中を向けて、今度は床に胸をつけて尻を突き出す。脇から手を回して性器を指で押し広げると、粘液が糸を引いて床に落ちそうになる。それも撮ってほしい。今度はタイマーを長めにセットして、赤いランプが速く点滅し始めるのを横目で見ながら、亜梨子は指先でアソコをくちゅ、と鳴らした。

第4章 有料ポイントのDMが届き、年齢を聞かれて指が止まる

第4章のシーン

第4章: 有料ポイントのDMが届き、年齢を聞かれて指が止まる

三脚に載せたスマホのタイマーが点滅する赤い光を、畳に膝をついたままぼんやり見つめていた。太腿の内側がしっとりと汗ばんで、布団の上に広げたタブレットの画面には、さっき撮ったばかりの写真が何枚も並んでいる。性器を指で開いて見せつける構図ばかりを選んで撮ったせいで、どの画像も亜梨子の指先がひどくいやらしく映っていた。細くて白い指が、淡い色のひだを左右に押し広げている。その真ん中の、薄紅色に濡れた窪みが、カメラの方向へまるで息をしているみたいに見える。見られることを前提に開かれたそこが、自分のものではないみたいで、でも確かに亜梨子の身体の真ん中で、じんじんと疼いていた。タブレットの縁をなぞると、ひんやりしたガラスの感触が指の腹に吸い付く。その冷たさだけが妙に現実で、ああ、亜梨子、今すごく変な子になってる、と喉の奥で思った。

画面の端に、新しい通知を示す小さな数字が浮かんでいた。いつものコメントかなと思って開くと、そこにはメッセージのアイコンがひとつ、静かに光っていて、開くためにはポイントが必要ですと表示されている。有料ポイント。フォロワーさんたちが、お金を払ってまで亜梨子に何かを伝えたいと思ったときだけ、ここに文字が届く。無料のコメント欄とは違う、もっと近い距離。ベッドの上で膝を抱え直すと、胸の奥がとくんと鳴って、亜梨子はほとんど迷わずにポイントを消費していた。指が勝手に動いたというより、指を止める理由を考える前に、もう押していた。なかなか開かない画面をじっと見る。白い背景に細い文字が浮かぶまで、心臓の音が喉のすぐ裏で聞こえていた。部屋は静かで、エアコンの風だけがカーテンを小さく揺らしている。シーツの匂いが、汗と混ざって甘く鼻に残った。

文面は二つに分かれていた。初めの部分は丁寧な言葉で、でもその中に、亜梨子さんのことが知りたくて、という一文があって、その続きに、率直にお聞きしますが、おいくつなんですか、と書いてある。年齢を聞かれている。背筋がすっと冷えて、亜梨子はスマホを両手で握り直した。親に知られたら、学校に知られたら。頭の中でいくつもの「やばい」がくるくる回るのに、身体は別の反応をしていた。太腿の付け根の辺りが、指を動かしてもいないのに、ぬるりと湿りを増している。十六歳です、と打とうとした指先が、震えて止まる。正直に言ったら、通報されちゃうのかな。それとも、もっと喜ばれるのかな。喜ばれるところを想像して、亜梨子は息を吐いた。だって、文字の向こうの人は、未成年かもしれない子に、わざわざ年齢を聞いている。それが何を意味するのか、考えるだけで下腹部がきゅうっと締まった。

もう一つの文面は、もっと踏み込んでいた。お金を払いますから、ボカシのない写真を送ってほしい。顔に被せてる猫のマスクも、外したところを見せてほしい。丁寧な語尾のまま、要求だけがするすると滑り込んでくる。亜梨子は唇を噛んで、ベッドの上に置いたタブレットへちらりと目をやった。あの中に、猫のイラストで顔を隠した亜梨子がいる。ボカシの下で、濡れた性器を指で開いている。あの画像の、隠された部分を想像される。見えないものを見たがる目が、画面の向こうに確かにあって、その視線を思うと、お腹の奥のほうがじんと痺れるように甘くなった。断らなくちゃ、と思う。顔は絶対にだめ、ボカシなしも、もし本物の亜梨子だって誰かに知られたら。なのに手は返信画面を開いていて、空っぽの入力欄の上で親指がぷるぷるしていた。

「どう、しよ……」

声に出したら、掠れて情けない音になっていて、亜梨子は自分の吐息の熱さに驚いた。夜の九時を回った部屋は暗く、スマホの白い光だけが胸元を照らしている。薄い部屋着の襟ぐりから差し込む光が、鎖骨の窪みを舐めるように浮かび上がらせていた。指先はまだ送信ボタンの上を行ったり来たりしている。年齢は、と打っては消し、十九に見える? なんてふざけた文は書けなくて、夢見るアリスは何歳に見えますか、と打ちかけた文字も、送る勇気が出ないまま消えていく。返事を考えているあいだも、股のあいだはじんわりと濡れたままで、ショーツの布が張り付く感触が、動くたびに小さな音を立てそうだった。お金をもらって、ボカシなしを送る。想像しただけで、太腿の内側がひくひくして、膝が閉じられなくなる。そんな自分を、第三の目で見ているみたい。タブレットの画面で何度も見た、脚を開いた女の子たちと同じように、亜梨子も今、開いてしまうんだろうか。

送信ボタンの上で止まった指を、亜梨子はゆっくり離した。スマホを伏せると、視界から白い光が消えて、部屋が急に深い闇に沈む。天井を見上げる。エアコンの微かな運転音の向こうで、自分の心臓がまだ速く打っていた。返事は、送っていない。送っていないのに、股ぐらはぐちゅりと音がしそうなくらい湿っていて、息は浅い。送っていないのに、身体だけが返事をしてしまっている。見たいのかな、亜梨子のほんとの顔。そう思った瞬間、恥ずかしさとは違う、ぞわぞわした熱が背中を駆け上がって、亜梨子は枕に頬を押し付けた。頭の奥で、知らない大人の手がスマホを握り、亜梨子の名前を打ち込んでいる。空想の中のその人は、丁寧な言葉のまま、亜梨子に、見せて、と言うのだ。耳の奥で、低い声がずっと聞こえている気がした。

スマホの画面を伏せたまま、亜梨子は天井を見つめて呼吸を整えた。浅い息が、小さく口から漏れる。部屋の隅の姿見鏡が、暗がりの中でぼんやりと光を返している。あの鏡の前で撮った写真を、あの人は今も保存しているかもしれない。まだ返信はしていない。していないのに、返事を書くよりも先に、次の写真のことを考えている自分がいて、亜梨子はぎゅっと目を閉じた。まぶたの裏に、スマホの白い光と、送信ボタンに触れた指の感覚が残っている。あと少し押せば、亜梨子の文字が、あの大人のところへ届いていた。あと少しで。その「あと少し」を、握りつぶすみたいに、亜梨子は濡れた太腿をすり合わせた。

第5章 一番反応の多かったリクエスト、股を開いた放尿を撮ると決めた朝

第5章のシーン

第5章: 一番反応の多かったリクエスト、股を開いた放尿を撮ると決めた朝

眠れないまま朝を迎えて、亜梨子はベッドの上でスマホを握りしめていた。カーテンの向こうはもう明るくて、八月の光が薄い布を透かして部屋の中を白くにじませている。背中に張り付いたシーツが、汗でしっとりと重い。昨夜のことが、ずっと肌の上に残っているみたい。返信しなかったのに、身体の奥だけが勝手に返事をして、夜中に何度も目が覚めた。スマホを裏返したまま、画面に指を這わせた。まだ何も書いていない。でも、指先が勝手に動こうとする。お腹の下のほうが、朝なのに、もうじんじんしている。

今日やる、と決めたのは、まぶたの裏でリクエストの文字列が何度も浮かんで消えたから。コメントでも、DMでも、声が多かったシチュ。股をおっきく開いて、おしっこ。指を二本使って、そこを左右に開く写真と同じくらい、放尿の文字がたくさん並んでいた。あの文字を読むたび、亜梨子は自分の膀胱のあたりが、きゅう、と縮むのを感じる。笑われないかな。汚いって、思われないかな。でも、こんなの人に見せたら、って思うよりも先に、その汚いとこを見たいって言う人たちのことを考えると、膝のあいだが熱くなった。亜梨子のいちばん恥ずかしいところ。隠しても、隠しても、見つかってしまう場所。

時刻は十時を回っていた。家の中はしんとしていて、お父さんもお母さんももう出かけている。夏休みの留守番。エアコンが低く唸る音だけが、亜梨子の部屋を満たしていた。窓の外から蝉の声が、時々、波みたいに押し寄せる。立ち上がると足の裏に畳のざらつきが吸い付いて、寝間着の裾が太腿をこすった。ショーツは履いていない。昨夜のまま。寝る前には履こうと思ったのに、湿った布を当てるのがなんとなくもったいなくて、そのまま布団に潜り込んだ。おかげで太腿の内側は、朝になってもぬるい。

スマホを手に、亜梨子は部屋を出た。廊下の床がひやりと足裏に冷たくて、裸足のままで風呂場へ向かう。洗面所のドアを開くと、かすかに石鹸の匂いと、水道の金属の匂いが混ざって鼻に入った。ユニットバスのタイルはまだ朝の冷たさを保っていて、素足で踏むたびに、皮膚の薄いところから冷気が這い上がってくる。窓は高い位置に細くあって、そこから八月の光が、白い湯気みたいに差し込んでいた。亜梨子は息を吐いて、わきに置いてある洗面器を手に取る。ピンク色のプラスチック。縁を指でなぞると、硬くて、つるつるしていて、少しひんやりしている。

三脚を立てる。昨日のうちに、風呂場へ持ち込んでおいた小さな三脚。金属の脚がタイルの目地にカチリと音を立てて、亜梨子の心臓が一瞬だけ跳ねた。スマホをセットして、角度を確かめる。画面の中に、まだ服を着たままの亜梨子が映っている。寝間着の白い布。髪が肩に張り付いている。これから撮るものを考えると、画面の中の自分が、もう他人の目で見られているような気がした。試しに、シャッター音を鳴らす。カシャッ、という電子音が、狭い風呂場の壁に反響して、いつもよりずっと大きく聞こえた。その音を合図みたいに、膀胱のあたりが、また、きゅう、と疼く。

今日やる。亜梨子は、声に出さずに唇を動かした。

「おしっこ……するとこ、とるんだよね……」

誰に言うでもない言葉が、湿った風呂場の空気に溶けていく。スマホを三脚から外して、胸の前に抱えた。画面が少し曇っている。湯気じゃない。自分の手の汗。亜梨子の手はもう、たしかに、震えていた。

第6章 洗面器に向けて股を開き、オシッコをする動画を撮った

第6章のシーン

第6章: 洗面器に向けて股を開き、オシッコをする動画を撮った

寝間着の裾を胸の上まで一気に引き上げた。白い布が顔をかすめて髪に引っかかり、亜梨子は首をすくめながら腕を抜く。はだけた胸の先が、風呂場の湿った空気に触れて、つん、と粟立った。脱ぎ捨てた寝間着を洗面台の縁に乗せると、ほとんど重さのない布がふわりと垂れて、素肌だけになった自分の輪郭が、壁の鏡の中にぼんやり浮かぶ。まだ朝の名残をとどめた身体。胸のふくらみは小さく、薄い乳輪の中央が、外気にさらされてきゅっと硬くなっていた。その先から、目に見えない糸が引かれるみたいに、視線が下へ滑っていく。へそ、その下の産毛の薄い肌、閉じた腿のあいだ。亜梨子は一度、ぎゅっと目を閉じてから、三脚に近づいた。

スマホの画面には、全裸になった自分の姿が映っている。タイマーの数字を十五秒に合わせる。液晶の光が、湯気でくすんだ鏡と重なって、ふたつの自分の輪郭がずれて浮かんだ。息を吸う。カシャッ、と試しに一度、空の床を写す。電子音がタイルの壁に跳ねて、亜梨子の耳の奥をなぞった。この音を鳴らすたび、性器の奥のほうで、ちいさな生き物が身じろぎするような疼きが走る。まだ何も写していないのに、身体はもう撮影を始めている。亜梨子は三脚を洗面器の正面へずらし、高さを少し下げた。金属の脚が床をすべる音が、やけに大きく聞こえる。心臓が喉のすぐ下でどきどき鳴っていた。

洗面器を床に置いた。ピンク色のプラスチックの底が、白いタイルに触れる音。亜梨子はしゃがみ込む。タイルの冷たさが足の裏から浸みてきて、開いた腿のあいだを熱い血が駆けていくのを感じた。洗面器を挟んで両足を踏ん張り、腰を落とす。鏡の中の自分が同じようにしゃがんでいる。太腿がゆっくりと左右へ開かれていき、膝を床すれすれまで持ち上げた姿勢になった。股関節がぎしりと張って、いつも閉じているところが外気を孕んでいる。まだ何も出ていないのに、尿口のまわりがひくひくして、自分で開いているというだけで、くらくらした。顔を伏せる。長い髪が両肩から滑り落ちて、胸の先をかすめた。

「見られる、とこ……」

亜梨子は唇だけで呟いた。その言葉は声にならないまま、湿った床の空気へ沈んでいった。三脚のスマホが、亜梨子の開いた股の正面やや上から、すべてを覗き込むように角度を固定している。赤いランプが明滅して、それから、ピッ、ピッ、と小さく時を刻み始めた。あと十五秒。亜梨子は目を開けたまま、自分の性器をまっすぐ見下ろす。太腿のあいだに、桃色のひだが薄く開いていた。奥で光る、つぼみのような尿口。下品なくらい真剣に見てしまっている自分に気づいて、恥ずかしさより先に、下腹がせり上がるような尿意を覚えた。お腹の奥で水が揺れている。朝からずっと、撮るために溜めてきた。膀胱が張って、少しでも脚の角度を変えると、じわ、と出てしまいそう。

タイマーの電子音が、カシャッ、と一度だけ鳴った。同時に、亜梨子の腹筋が、ふる、と震える。出る。その瞬間、熱いものが尿口を押し開く感覚がして、亜梨子は息を止めた。放物線は初め、目の前で一瞬とまどっているみたいに細く、それから、つ、と解けるように勢いを増した。ぴちゃ、ぴちゃぴちゃ、とプラスチックの底へ弾ける水音が、自分の身体から出たものとは思えないほど鮮明に風呂場を満たしていく。黄色く透けた筋が、洗面器の中央へと注がれている。しぶきが内腿に散って、熱い粒が肌の上をすべり落ちた。鼻に届くのは、かすかに甘くて、でも確かに生温い、自分の匂い。性器臭。その匂いを自分で嗅いでいるという事実が、亜梨子の頭の芯をしびれさせた。尿道を通過するたびに、性器のぜんぶが同じ熱さで潤んでいくような、奇妙な一体感があった。目を閉じない。伏せた顔のすぐ先で、自分の尿が落ち続けている。あんまりきれいじゃない。でも、これを待っていた人たちがいる。そう思うと、出しながら腰の裏が震えて、太腿の内側を別の液体が一筋、熱く伝い落ちた。

ぴちゃ、ぴちゃ、と音が途切れて、最後の一滴が尿口から落ちる。しゃがんだまま、亜梨子は浅い呼吸を繰り返した。太腿の内側が濡れて光っている。尿のしぶきと、違うもので。膀胱が空になった軽さと、性器の奥がまだ痺れている重さ。立ち上がると、股のあいだから一筋、自分の気配が垂れて、白い肌の上で真珠色に光った。スマホへ近づく。三脚から外した画面には、しゃがんで脚を大きく開いた亜梨子がいる。伏せた顔、開いた股、その中央から洗面器へと放たれる細い筋。思っていたより、はっきり映っている。恥ずかしい、と思うのに、指はすでに動画アプリを開いて、局部にぼかしを入れている。昨日まで静止画でやってきた手順が、今日は動く画の上で繰り返される。修正をかけながら、亜梨子は画面の中で水音を立てている自分の姿から、目が離せなかった。動いている。画面の中の亜梨子が、見知らぬ女の子みたいに脚を開いている。

投稿する。夢見るアリスとして、短い文を添えて。通知は、風呂場から自室へ戻るまでのあいだに、すでにいくつも届いていた。ベッドに腰を下ろして、震える指でアプリを開く。コメント欄が、数字が、どんどん増えていく。画面の向こうで、見知らぬ誰かが、ついさっきまで亜梨子の身体から出た音と光を、あるいは何度も再生している。そのことが、恥ずかしいよりも先に、喉の奥を甘く締め上げた。親のいない家の静けさの中で、スマホの通知音だけが、とぎれとぎれに、亜梨子の耳を濡らしていく。昼の十二時を回ったばかりの部屋に、蝉の声が遠く、波のように押し寄せていた。

第7章 反響の数字を数えながら、亜梨子は膣に指を二本沈める

第7章のシーン

第7章: 反響の数字を数えながら、亜梨子は膣に指を二本沈める

昼の光がカーテンの向こうでとろりと溶けて、部屋の中が薄い蜜色に満ちている。亜梨子はベッドの上で仰向けのまま、右手のスマホを胸の上まで持ち上げていた。画面の中の数字が、まだ増えている。四十六、四十七、四十八。通知が来るたびに白い文字がぷるりと震えて、視界の奥で小さな星みたいに散っていく。汗ばんだ背中にシーツが絡んで、身動きするたびに、ぐしゃ、と布が水を含んだ音を立てた。シャワーを浴びたわけでもないのに、全身がじっとり湿っていて、太腿の内側は昼に撮った時のまま、ぬめりが乾いていない。

左の膝が、ゆっくりと立ち上がった。もう片方も、引き寄せられるように立つ。スカートはとうに脱ぎ捨てて、履いていた布は床のどこかへ落ちたきり見えない。裸の足の裏でシーツを押すと、布目がざらりと肌をこすって、その微かな痛みさえ気持ちよかった。開いた腿のあいだから、亜梨子自身の匂いが立ちのぼる。汗と尿が混ざった甘い饐えた匂い。それを嗅いでいると、お腹の底のほうが、ちかちかと明滅するように熱を持ちはじめる。昼の風呂場で、あれほど恥ずかしい声を出しながら放ったもの。なのに、あの動画がいま、画面の中の数字を膨らませている。見られてる。あのうしろめたかった自分の姿が、知らない誰かの指先で、何度も再生されている。数字が増えるたび、亜梨子の喉はからからに乾いて、でも股からは蜜みたいなものが垂れていく。

「あの、動画……みんな、見てるんだぁ……」

声に出してみると、舌がうまく回らなくて、言葉のあいだから熱い息が漏れた。スマホをちょっと傾ける。未読のダイレクトメッセージが、白い枠に何件も溜まっていた。有料ポイントを使ってまで送られてくる文字。昨夜見たのと同じ種類の、丁寧な、でも奥の尖った頼みごとが、今日はもっと増えている。年齢を聞かれ、もっと無修正の写真を欲しがられ、できれば動画の続きが見たいと書かれている。お金ならいくらでも払うから、あの猫のマスクだけは外してほしいと、何度も丁寧に。亜梨子は息を吐きながら、画面の中の字をひとつずつ目で追った。断らなくちゃ、と思う。なのに、読み進めるほど、空いたほうの手が自分の意思を置き去りにして、腿のつけねを這い降りていく。指の腹が、濡れて張り付いた陰毛のあいだをすり抜けて、ふくらんだ真ん中へゆっくり触れた。

ぐちゅり、と小さな音がした。触れただけで、こんな音がする。昼から何度も触って、湿ったままだったそこは、もう閉じることを忘れたみたいに柔らかくほぐれている。指先でひだをひろげる。線上にすべらせると、透明に濁った糸が、くちゅ、と音をたてて指のあいだに絡んだ。スマホを持つ手に、力が入る。文字がゆらゆら揺れて、あの放尿の動画を見た大人たちが、今夜も亜梨子の名前を打ち込んでいる。十六歳、と白状したら、この人たちはどんな声を出すのだろう。猫の顔を剥がされた亜梨子の素顔を、想像の中でなぞられて、あの真面目な高校生の亜梨子が、脚をひらいておしっこをしている姿と繋げられる。そう考えた瞬間、腰の奥のいちばん深い場所が、きゅう、と切なく縮んで、指を二本、その熱い窪みへ引き入れた。

ずぶ、と沈む。指の第二関節まで、亜梨子の中は待っていたみたいに柔らかく吸い付いて、押し返すひだを割りながら、三本目の手前で止めた。内側のかたちが、指のかたちに沿って変わっていく。浅い場所を掻くように曲げると、昼間の尿意とは別の、もっと強くて甘い搏動が、腹の底からせり上がってきた。ぐちゅ、ぐちゅ、と動かすたび、中で泡立った粘液が溢れて、手のひらまで濡らしていく。スマホの画面が、もう見えない。ぼんやり白く光る長方形が、視界の上でふるえている。人差し指と中指が、亜梨子のいちばん熱い場所を、ちゅぷちゅぷと音をさせながら往復している。あんなに恥ずかしい動画を晒したのに、身体はまだ足りない。もっと、奥まで見てほしい。指が勝手に深く分け入っていく。

「み、てる……みんな……あの、おしっこ、してるとこ……えへへ……」

笑ったつもりが、喉から洩れたのは喘ぎに似た音だった。閉じた瞼のうらで、昼の風呂場の光景が、ぴちゃぴちゃという水音ごと蘇る。しゃがんだ亜梨子の太腿、開かれた割れ目、そこから洗面器へ飛び散った黄色い放物線。それを画面越しに見ている大人たちの、息を呑む気配。股を濡らしながら、亜梨子は指を抜き差ししはじめる。二本、抜けるたびに蜜が糸をひいて、皮の薄い入り口が、ちゅぼ、ちゅぼ、と卑しい音で啼く。中の壁をゆっくりと擦りながら角度を変えると、奥まったあたりの少ししこりがある場所へ、爪の先が触れた。刹那、腰が浮き上がる。白い、閃光。亜梨子は喉を反らして、声にならない吐息を幾度も漏らした。画面の中の通知が、また一つ増えた。その数字を見た瞬間、もう駄目、と頭の中で決壊していく。

指を、もっと奥へ。二本を折り曲げて、内壁を指の腹で擦りながら、手首ごとゆっくり動かした。ずちゅ、ぐちゅ、ぬぷ、と濡れきった音が、汗ばんだ太腿のあいだから絶え間なく溢れる。親指の付け根で、ぷっくり硬くなった肉の蕾までぐにぐにと押しつぶすと、下半身ぜんぶが熱い蜜でしゃぶられているみたいだった。太腿がぶるぶる震えて、シーツを蹴る。足の指が丸まって、爪先から力が抜けていく。脚を閉じることもできなくて、真横の鏡には、白い肌を桃色に上気させて、自らの指にしゃくりあげる自分が映っていた。あの鏡越しに、誰かが見ている。今夜この部屋には亜梨子ひとりしかいないのに、画面の向こうの無数の視線が、こんな夜更けの自慰まで見物しているような、けれどそれも昂りの一部にすぎない倒錯した心地が背骨をなぞった。

「あ……だめ、それ……なか、きもち……ぃ……っ」

声が、音にならないところで途切れる。指の腹が中で一番ざらりとした場所を捉えるたび、腹の奥から、熱い真珠が弾ける予感が、だめだ、と思う間もなく膨張していく。腰がのけぞって、背中の汗がシーツに吸われた。膣の中が逃げ水みたいにとろけ、くちゅくちゅと蠢く肉のひだが、二本の指に食いしがる。スマホを持つ手の力が抜けて、白い画面が胸の上で斜めに傾いた。その光で、陰毛のあいだから溢れた蜜が、太腿へ伝うのを幻視する。あるいは、姿見が映している。開いた陰唇の中心で、亜梨子の指が淫らに咲いている。中の襞を広げるように、ゆっくり、ゆっくり。ぬめった音が、部屋の静寂に満ちる。三十分前まで、ただの女子高校生の自室だった夜。今は、ぬぐいきれない牝の密度が、暑い八月の空気いっぱいに立ちこめている。

「あっ……ん、んっ……!」

耳の奥で、ぷちん、と音がした。それと同時に、膣の天井へ亀の子みたいに這わせた指先から、目の裏を白く塗りつぶす快感がほとばしる。足指が一本一本、開いて、縮んで、太腿が大きくけいれんした。中から、ぬる、と泉が抜けるように透明な汁が溢れ出し、ぐしゅぐしゅに濡れたそこから、白い泡が小鳥のさえずりみたいに細い音をあげる。息を、吐いていい。そう思った途端、喉の奥から哀いような、笑っているような、どちらともつかぬ吐息が「ひぅ……ぅ、う……」と漏れた。腹の底のいちばん深い洞の奥が、きりきりと痺れ、やがて指のつけねまで熱い水に沈んでいく。全身の神経がほどけて、髪の毛一本一本の先まで、凄まじい快楽の熱が通っていく。

絶頂がゆっくり引いていく。指はまだ、中に入れたまま。こわばった膝が、がくがくと笑い、力を失った腿が閉じかけて、自分の手を挟んだ。ぐちゅ、という小さな音。それきり、部屋に深い静けさだけが落ちてくる。エアコンの風が、シーツの端を揺らして、汗ばんだ亜梨子の額をさらりと舐めた。見上げた天井は、暗く、それでも遠い街灯の光を吸って、ぼんやり灰色に呼吸している。スマホの画面が、胸の上でまだ白く光っていた。ゆっくり持ち上げる。表示された動画の再生回数と、後から届いたばかりの通知。昼間の自分から流れ出た水音を、今日という日に、何人もの人が見ている。その数字が、まだ、ひとつ、またひとつと増えていく。

「へへ……」

笑い声が、掠れて喉に引っかかった。いいことなのか、悪いことなのか、もうよくわからなかった。わからないまま、亜梨子は両の指を、濡れたまま膣の奥からずるりと抜いた。空っぽになったそこが、名残を惜しむように、ひく、ひく、と小さく蠢いている。指のあいだに、透明な糸。その蜜の匂いを、もう一度、ゆっくり吸いこむ。今夜は返事を書くつもりはないし、書けそうにもない。でも、開いたままのメッセージの文字を見下ろしたまま、ああ、明日も、たぶん、と唇の内側で呟いていた。身体の芯はまだ、静かに水を打っている。まるでもう一人の亜梨子が、この部屋のどこかに潜んで、次の光を待っているみたいに。

第8章 風呂上がりの鏡の前、亜梨子は明日のポーズを考えている

第8章のシーン

第8章: 風呂上がりの鏡の前、亜梨子は明日のポーズを考えている

シャワーの粒を浴びた髪が、肩から背中へ張り付いて、生温い水けを肌に残している。脱衣所の鏡の前に立つと、自分の輪郭が\r暗がりの中から浮かび上がった。洗面所の小さな灯りだけが点いていて、湯気の残りが鏡の表面をかすかに曇らせている。火照った頬も、胸のあたりの赤みも、濡れた前髪の先から落ちる滴も、ぜんぶ薄い膜の向こうに滲んでいた。亜梨子は右手に握ったスマホを持ち上げる。画面はまだ、あの動画の再生回数を映したまま、すぐに暗くなった。黒い長方形が、鏡に映る裸の肩の横で、ぽっかりと穴みたいに見えた。

胸と太腿のあいだに、まだ、さっきの熱が棲みついていた。太腿の内側を伝ったものが、洗い流したあとも皮膚の上でひやりと乾いて、歩くたびに擦れる感覚だけが残っている。誰にも見られていないのに、亜梨子は鏡の前で、自分の身体を、あの投稿写真と同じ角度から眺めていた。肩の線、鎖骨のくぼみ、薄い胸の先に血が集まった色。そして、閉じた腿の奥に隠れた、猫のイラストとボカシの下で何度も晒した場所。あそこを、画面の向こうの誰かがいまも見ている。今夜、再生回数は二百を超えた。指でなぞっただけで、その数字がまぶたの裏に張り付いて離れない。

廊下の奥で、床がみしりと鳴った。

「ぁ……」

背筋に、つめたいものが走る。お父さんか、お母さんか。誰かがトイレに起きた気配。亜梨子は息を止めて鏡の中の自分を見た。心臓が耳のうしろでどくどくと脈打っている。すぐに気配は遠ざかって、家の静けさだけが、脱衣所をじわじわと満たした。すると、恐怖のあとから、わき腹の下のほうが、ずきん、と痛いぐらいに熱を呼び戻した。ばれなかった、と胸を撫で下ろすより先に、もし見つかったら、という想像が粟立った肌の上を這って、股の奥でひく、と小さく蠢く。亜梨子は唇を噛んで、鏡の中の自分と目を合わせた。この顔を、あの人たちは知らない。猫のイラストだけが、代わりに笑っている。

スマホの縁を指でなぞる。ひんやりした金属が汗ばんだ掌に食い込んで、その冷たさが、ざらついた現実の手触りとして残る。画面をつけるべきか、消すべきか。つけたら、また文字が届いている。DMを開いたままにしていた。おやすみなさい、アリス。明日はどんな写真を見せてくれるのかな。一千ポイント分の文字。お金を払って、亜梨子の返事を待っている人。

「……顔、見たい、かぁ」

唇のあいだから洩れた声は、湯気の冷えた鏡に吸われて、誰の耳にも届かない。あの人たちは、猫の下にある亜梨子の本当の顔を、いくら払えば見られると思っているのだろう。想像するだけで、膝の内側がもじもじと擦れて、太腿に生温いものが滲む気配がした。やめる理由は、いくつも、いくつも浮かぶ。高校生だから、親が見ているから、警察に、学校に。でも、その言葉を数えるたび、明日のポーズが頭の中で、するりと動き出すのだ。机に片足を上げて、鏡ごしに開いて見せる角度。タイマーの赤い光が暗い部屋で点滅して、制服は着ないけど、白いソックスだけ履いた脚を、開く。壁にもたれて、左手で胸を寄せて。指で隠した場所を、一本ずつ退けて。そんなことを考えながら、亜梨子の指はスマホの画面を撫でている。線を描くように、まだ暗いガラスを。

「明日は……どんな、のがいいかなぁ……」

鏡の中の自分が、ゆっくりと首を傾げる。濡れた髪が頬に張り付いて、火照った肌の白さを細く分けていた。亜梨子はスマホを見下ろした。親指が、電源ボタンに触れる。画面が一瞬、白く光って、通知が何件も浮かんでいるのが見えた。その光が、鏡に映った二重の自分の顔を、下から照らし上げる。猫のイラストを貼り付けたアプリの画面が、最後に閉じたまま残っていた。あの猫が、亜梨子の代わりに、笑っている。目を、閉じた。唇にじんわりと熱が集まって、亜梨子はそっと、画面を暗くした。指先が、かすかに震えていた。

べッドへ戻ると、シーツの冷たさが背中にしみた。仰向けのまま天井を眺める。アイロン台の匂いが、微かに夜の空気と混ざって鼻をくすぐった。部屋の隅の姿見鏡が、細い光を返している。あの鏡を見るたび、亜梨子は自分の裸を、他人の視線でなぞり直してしまう。目を閉じても、開いても、同じ像が浮かぶ。明日、親がいなくなったら、まず三脚を立てる。風呂場よりも、明るい部屋で。窓の光が横から差す位置に、姿見を動かして。あの放尿の続きを待っている人には、なにか、もっと。もっと、恥ずかしいこと。朝の十一時、カーテンの隙間から溢れる光が、亜梨子の肌を、どこまで白く映すだろう。指を二本、じゃなくて、浅い場所で、とろとろの音を立てながら。

亜梨子は枕元のスマホを、少しだけ自分のほうへ引き寄せた。通知の明かりが、暗がりの中で呼吸するように、また、ぷる、と震えた。手を伸ばして、その光を掌で覆う。冷たい板の下で、見えない文字が、亜梨子を待っている。やめる理由を、あした数える。いまは、この疼きの奥に、少しだけ潜っていたい。

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読み終えたあとの余韻に。

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登場人物
  • 宮川亜梨子 みやがわ ありす
    女性 ・ 16

    外見: 肩甲骨までの黒髪、焦げ茶の瞳、華奢で白い肌。服装: 制服を避けた地味な私服。妄想癖が強く慎重と大胆が同居する高校一年生。

  • 投稿サイトのフォロワーたち
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    外見: アバターと文字列のみで姿は不明。服装: 不明。無料の賞賛で投稿を促し、有料DMでは要求をエスカレートさせる匿名の視線の集まり。

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