あなたの体温、彼の記憶
あらすじ
幼なじみの健輔との穏やかな日常に、大学デビューで入ったテニスサークルの先輩、不和道夫が現れる。派手な見た目とは裏腹の丁寧な物言いと、女子を笑わせる軽やかさは、健輔にはない大人の魅力。彼に「フォームが良くなってきたね」と褒められるたび、朋美の処女心は知らぬ間に疼き始める。健輔の優しいキスの感触と、不和の視線がもたらす胸の高鳴り。その二つの感覚に戸惑いながらも、彼女の心は少しずつ、禁断の扉へと引き寄せられていく。
第1章 小林健輔のキスは、いつもこうだった。

小林健輔のキスは、いつもこうだった。
朝の柔らかな光が、部屋の空気中の塵を金色に照らし出す。その光の中で、彼の唇は洗い立てばかりのタオルのように清潔で、そして少しだけ物足りない控えめな温かさを宿している。僅かに乾燥した彼の唇が優しく重なるたび、安心するような心地よさが朋美の全身を包み込む。
でも、そのどこか寂しげな温かさに、胸の奥がふっと空しくなることもあった。
健輔の細い腕が彼女の腰を抱きしめる。その力加減は、壊れやすい硝子細工を扱うかのように繊細で、優しすぎた。
二人の間には、幼い頃から積み重ねた時間という名の、温かくて少しごつごつした絨毯が敷き詰められている。
その上を歩くのは安全で、当たり前で、でも時々、その下に隠された未知の何かを想像しては、胸がざわつき、疼くのだった。
「おっはよ。今日も一日、がんばれよ」
健輔はそう言って、朋美の髪をくしゃりと強く撫でる。
その仕草にも、彼らしい誠実さが滲み出ていて、朋美は「うん」と小さく頷き、彼の黒い瞳を見つめ返した。
この瞳の中には、自分だけが、今も昔も、丸ごと映っている。
そう信じていた。
大学に入って、彼女の世界が少しずつ形を変え始めても、この健輔との関係だけは、変わらない家のようにそこにあると思い込んでいた。
キャンパスへ向かう電車に揺られながら、彼女は窓ガラスに映る自分の顔を無意識に眺めた。
長めの栗色の髪は、健輔が気に入ってくれたという内巻きのカールがかかっている。
濡れたような黒い瞳は、今日も少し緊張で潤い、艶めいている。
何のために、と自問した。
テニスサークルの、新しい世界のためだった。
テニスコートに立つと、五月の陽光が肌を刺すように眩しく、緑の芝生と白いラインが強烈なコントラストを描いていた。
硬式ボールが打ち合われる鋭い音、女子たちの甲高い笑い声、汗の匂いと太陽の匂いが混ざり合った、活気と欲望に満ちた空気。
それは、高校までの通学路とは全く違う、もう一つの世界だった。
そして、その中心にいつもいるのが、不和道夫先輩だった。
明るい茶色に染められた髪を無造作にくしゃっとさせ、ブランド物のラフなウェアを着こなした姿は、まさに雑誌から抜け出てきたような「チャラ男」そのもの。
周りを取り巻く女子たちの笑い声は、いつも彼を中心に熱く渦巻いていた。
朋美は、そんな彼を遠くから見つめるのが精一杯だった。
自分とは住む世界が違う、そう思っていた。
「お、浅香さんか。フォーム、なかなか良くなってきたじゃん。まじめにやってるんだな」
その声が、背後から突然響いた。
振り返ると、そこには不和先輩が、汗で濡れた髪をかき上げながら立っていた。
太陽の光を浴びて、彼の鋭い目元が、笑うと優しさに変わる瞬間をまざまざと見せていた。
一見、軽そうな見た目とは裏腹に、彼の言葉遣いは驚くほど丁寧で、そのギャップが不意に胸を深く突いた。
健輔にはない、大人の男性の雰囲気。
それは、洗練された香水のようにはっきりと存在感を放ちながらも、決して押しつけることがない、そんな軽やかと危うさを秘めた魅力だった。
「え、あ、はい……ありがとうございます」
朋美は自分でも驚くほど、狼狽した声で返事をしてしまった。
頬がじりじりと熱くなるのを感じ、どうしようもなく視線を泳がせる。
すると、不和先輩はニッと笑い、テニスラケットを軽く振った。
「その素振り、いい感じだよ。もっと腰の回転を意識したら、ボールに力が伝わるはず。よかったら、俺がちょっと見てやろうか」
「えっ、ほ、本当ですか!?」
嬉しさと戸惑いが入り混じった声が、思わずこぼれた。
健輔が教えてくれるフォームは、優しくて安全で、でもどこか教科書的で退屈だった。
でも、不和先輩の言葉は、体の奥から響くような、人を惹きつける説得力があった。
彼が近づいてくるにつれて、汗と、ほんのり高級そうな石鹸の匂いが混ざった、野性的な男の匂いが鼻をついた。
それは健輔の、柔軟剤の優しい香りとは全く違う、刺激的で、少し危険な匂いだった。
彼が朋美の背後に回り込み、その大きな手で朋美の手首を優しく掴んだ時、彼女はハッと息を呑んだ。
彼の体温が、薄いウェアの生地越しにじんわりと伝わってきて、背筋にびりりとような電流が走る。
「こう、ラケットを引く時に、体をねじるんだ。そう、その感じ。いいね、浅香さん」
その丁寧な声が、耳元で低く響く。
温かい吐息が、首筋に触れたような気がして、朋美は体をこわばらせた。
何が起きているのか分からない。
ただ、自分の心臓が、健輔とキスをした時とは全く違うリズムで、高鳴っていることに気づく。
それは、小鳥が胸の中で暴れているような、乱暴で、でもどこか甘く疼きを伴う鼓動だった。
彼の指が、無意識に彼女の腰に触れる。
テニスウェアの柔らかい生地の上から、その熱と力強さを感じた瞬間、朋美は自分の性器が、ほんのわずかに濡れていることに気づいて、顔から血が引いていくのを感じた。
恥ずかしい。
健輔の彼女が、他の男にこんなことを感じてしまうなんて。
練習が終わり、更衣室で一人になると、朋美は鏡の前の自分を見つめた。
頬はまだ赤く、瞳はうっすらと潤んでいる。
何かが変わってしまった。
確実に。
健輔の優しさは、温かいスープのように体を芯から温めてくれる。
でも、不和先輩との接触は、唐辛子のように舌を痺れさせるような刺激だった。
どちらも必要なものかもしれない。
でも、その唐辛子の痺れるような味を忘れられない自分がいた。
家路を急ぐ健輔との待ち合わせの時間を、彼女は少しだけ遅らせてしまった。
一人でベンチに座り、まだコートに残る不和先輩の姿を、誰にも見られないように、じっと見つめていた。
彼の笑顔、彼の動き、彼の声。
そのすべてが、もう一つの秘密として、朋美の心の中に、静かに、しかし確かに刻み込まれていくのを感じていた。
第2章 合宿の夜、壊された純潔

夏の始まりの、粘つくように湿った空気が汗の甘ったるい匂いと安物ビールの酸っぱい匂いを混ぜ合わせ、合宿所の薄汚い廊下に充満していた。
薄い壁を隔てて響き渡る宴会の騒ぎが、まるで朋美の鼓動を無理やり掻き立てるかのように、不快な高音で耳に突き刺さる。
健輔と過ごした穏やかで、どこか青臭い日々が、まるで遠い国の出来事のように色褪せ、胸の奥がきゅうと締め付けられるような苦痛が襲う。
派手な笑い声や、グラスがぶつかる甲高い音が響くたびに、この輪にただ居合わせることさえ、耐え難い恥辱として肌に焼き付いていく。
「よーし、じゃあ次の王様は…んーと、オレだ! うわーっと面白いことしようぜ…よし、10番の番号の奴、パンツ脱げ! ちなみに女の子だったら、ブラジャーもな!」
王様になったサースの先輩が、酔いにまなこを潰らせながら大声で叫ぶ。
周囲の男たちは「おーっ!」と下品な声を上げて盛り上がり、女たちからは「ヤメてよ!」というブーイングが飛んだ。
朋美は、自分が引いた札の番号「10」を、じっと見つめる。顔から一気に血が引いていく、氷のような感覚が全身を駆け巡った。
一瞬、世界から音が消え、呼吸が止まる。
「…はい」
堪えきれない羞恥に喉が渇き、か細い声で名乗りを上げる。
部屋がどよめく。男たちの視線が熱い針となって肌を刺し、女たちの視線が冷たい刃となって心をえぐり取っていく。
ゲームを中断させることなどできない。そんな重苦しい、呪われた空気。
羞恥で目の前が霞み、彼女は震える指でスカートの裾をそっと掴んだ。
健輔に選んでもらった、控えめで可愛らしい純白の綿の下着。
それをそっと足首まで引き下ろし、小さく丸めて手のひらで握りしめる。裸になった下半身に、廊下の冷たい空気が心地悪く、しかし刺激的に触れた。
「お、おう! 浅香さん、やるじゃん!」「えちえち…!」
下品な歓声と野太い笑いが渦巻く中で、不和だけが少しだけ眉をひそめ、静かに、しかし貪るようにこちらを見つめていた。
その視線に、他の誰よりも強烈な羞恥が、炎のように燃え上がる。
ゲームは続き、次の王様は別の男子が引いた。
そして、その命令は、朋美の心臓を氷漬けにした。
「おーい、王様の命令でーす! さっきパンツ脱いだ10番の子、不和先輩の股間、よろしくな! なでて、もてあそんで、って感じで!」
「え…?」
世界が音を立てて崩れ落ちていく。周りはただ面白がって騒ぐだけ。
どうしよう、どうすればいい。立ち上がれない。動けない。
その時、不和が隣に座り、身を乗り出して囁いた。
その声は、騒がしい部屋の中でも不思議と澄んで、耳の奥にじんわりと染み渡った。
「…大丈夫だよ、浅香さん」
「僕が、ついてるから」
その優しさが、かえって朋美の罪悪感に油を注ぐ。彼をこの泥沼に巻き込んでしまう。
ごめんなさい、先輩…。心で謝りながらも、彼女は仕方なく膝をつき、不和の前に進んだ。
ブランド物のラフなジーンズ。その太ももの付け根あたりから、信じられないほどの熱が放射されている。
震える右手を、ゆっくりと伸ばす。
ジーンズのザラついたデニムの感触が、指先を過敏に刺激する。そして、その生地の下に、信じられないほどの塊が、獣のように眠っていた。
「ごめんね、浅香さん」
不和が言う。だが、彼の股間は朋美の手のひらに、明確に反応していた。
うっすらと熱を帯びていただけだったものが、みるみるうちに脈動を始め、硬質な塊となって彼女の手にその存在を押し付けてくる。
大きすぎる。健輔のとは全く、質が違う。
これは、成人した男の、逞しく、獣のような部分だ。
周りの笑い声が嘘のように遠のき、朋美はただその熱と硬さに、息を呑んでいた。指先を伝う脈動が、まるで彼女の脳を直接揺さぶっているかのようだった。
ゲームが終わり、やれやれというどよめきの中、朋美は必死に下着を穿き直した。
不和の顔は見られない。どうやって顔を合わせればいいのか。
宴会が終わって部屋に戻る廊下を歩くだけで、足がガクガクと震えて止まらない。
部屋のドアに鍵をかけ、背中で預けると、全身の力がぬけた。
ベッドに倒れ込むと、まだ残る酒の匂いと、自分の体から発する恥ずかしい汗の匂いが混ざり合う。
でも、頭の中に浮かぶのは、あの感触。
不和先輩の、あの熱くて、硬くて、大きすぎるもの。
指先が、今もあの脈動を記憶しているかのように、疼いている。
何でこんなに…。
何で、こんなことをしてしまったんだろう。
健輔のことを考えると、胸が張り裂けそうになる。
でも、体は正直だった。
スカートの下を、自分でも信じられないくらい濡れていることに気づく。羞恥と、それとは別の、暗い熱が、下半身を中心に渦巻いていた。
だめだ…。こんなこと、考えてちゃ。
でも、考えないではいられなかった。
彼女はそっと、自分の指を、濡れた布地の下へと滑り込ませた。
アソコは、まるで誰かを待ちわびていたかのように、熱い蜜を噴き出していた。
くちゅっ、と、少し下品な音が静かな部屋に響く。
朋美は顔を真っ赤にしたが、指を止めることはできなかった。
健輔と二人きりの時に感じることのなかった、このどろどろとした、粘っこい欲望。
「先輩の…」
ふと、漏れてしまった声。
彼女は目を閉じ、あの光景を思い出した。
ジーンズの上から触れた、あの逞しい隆起。
もし、あれが直接、自分の…。
想像しただけで、膣内がきゅうっと痙攣するように締め付けられる。
指先で自分のクリトリスを弄り始めると、びくん、と腰が跳ねる。
くちゅっ、ぐちゅっ、と愛液を弄る音が、彼女の耳には甘い調べのように聞こえ始めていた。
「んっ…はぁん…」
もう、健輔の顔は思い浮かばない。
あるのは、笑いながら優しく声をかけてくれる、チャラ男の見た目をした不和先輩の顔だけ。
その丁寧な口調で、自分を罵倒してくれるような、そんな倒錯した幻想に浸りながら、彼女は指の速度を上げていく。
先輩の、あの太いもので…ずぶずぶと、抉られるように…。
はぁん、んんっっ!
頭の中が真っ白になり、背筋を電気が走る。
羞恥と背徳の快感が、潮のように彼女を飲み込み、体を震わせながら、静かに、しかし激しく絶頂が襲った。
息を切らし、ベッドに倒れ込む。
部屋には、愛液の生々しい匂いが充満している。
純情だったはずの自分が、たった一夜で、こんなにも汚れてしまった。
罪悪感に涙が滲むが、体の奥に残る快感の余韻は、消えようとしなかった。
壊れてしまった。
もう、元の純情な浅香朋美には、戻れない。
第3章 罪悪と渇き、止まらぬ裏切り

健輔が実家に帰省してから、朋美の部屋は異様な静けさに沈み込んでいた。
夏の終わりの、粘つくような湿気を含んだ風がカーテンの隙間から忍び込み、肌に不快な膜を張る。
いつもなら二人で笑い声を響かせたソファが、ぽつんと虚しく浮かび上がって見える。
彼の不在は、朋美の心にぽっかりと空いた穴だった。
その穴は、健輔への罪悪感と、名前のつかない熱い渇きで、じわじわと満たされていく。
健輔との電話は、いつも短く、息苦しいものになる。
「うん、元気だよ」
彼の心配そうな声に平気を装うたび、合宿の夜、不和先輩のズボンの下に触れたあの信じがたいほどの熱と硬さが、幻のように指先に蘇るのだ。
あの野性的な匂いまでもが。
お盆の空が燃えるように橙色に染まる午後。
テニスコートの地面から立ち上る熱気は、まだまだ肌を焼くように熱い。
ボールを打ち返すたびに、汗の粒が朋美の額から顎へと伝い、キャミソールの胸元は汗で濡れて、肌に張り付いて冷たい。
そんな彼女の姿を、不和先輩がネットの向こう側で、ただならぬ眼差しで見つめている。
彼の無造作にくしゃっとさせた明るい茶髪が、西日を浴びてキラキラと金色に輝き、テニスで鍛えられた長い手足が、無駄なく美しいアーチを描く。
健輔にはない、野性的でさえある大人の男の匂いが、風に乗って微かに届く。
そのたびに、朋美の心臓は小さく跳ね上がるのを我慢できなかった。
下腹部に、じわりと熱がこみ上げてくるのを感じていた。
練習が終わり、二人でコートを後にすると、不和がふっと息を弾ませながら言った。
「浅香さん、今日のプレイ、見てて気持ちよかった。さすがだよ、普段からちゃんとやってるって感じ」
「そ、そんな…全然。先輩に比べたら、まだまだです」
「いや、そんなことないよ。あのね、悪いんだけど、ご飯くらい一緒にどうかな?」
その誘いに、朋美の喉がカラリと乾くのがわかった。
逃げるべきだと頭ではわかっている。
このまま彼と一緒にいたら、もう健輔のもとへは戻れないかもしれない。
でも、足は凍りついたように動かない。
むしろ、心の奥底から、もっと危険で暗い場所へと引きずり込んでくれるような、甘い誘惑を求める声が響いていた。
朋美はぐっと唇を噛み、勇気を振り絞って、彼の視線を真っ直ぐに見返した。
「あの、ごめんなさい。実は…私、先輩のおうちで、鍋でも作ってお返ししたいなって…。もし、迷惑じゃなかったら」
不和の目が、驚きと明確な喜びで瞬いた。
彼は少し照れくさそうに、しかし確かに頷いた。
「ぜひ、お願いします。すごく嬉しいです」
不和の部屋は、朋美が想像していたよりずっと清潔で、洗剤のようなさわやかな香りがしていた。
一人暮らしの男の部屋とは思えないほど整理整頓されていて、ソファの上にはテニスの専門誌が几帳面に重ねてある。
そんな彼の日常が垣間見えるだけで、胸がドキドキしてしまう。
スーパーで買ってきた具材を鍋に入れ、湯気が立ち上るのを待つ間、二人は缶酎ハイを飲んだ。
アルコールが回り始めたせいか、朋美の体は火照り、言葉が少しずつ弾んでいった。
「ねえ、先輩。合宿の時のこと、覚えてます?」
「ええ、あの王権ゲームですか?…浅香さんには、酷なことになってしまって。本当にごめんなさい」
「ううん、そんな…。私、別に…。ただ、あの時…先輩の、股間が…」
言葉が詰まる。
酔いに任せて、口から出てしまった言葉に、頬がカッと熱くなる。
不和は黙って、彼女を見つめている。
その丁寧な瞳の奥に、何か深く、濁ったものが揺らめいているのが見えた。
「…すごく、大きくて…。びっくりしちゃって。それから、ずっと…気になってたの」
朋美は自分でも信じられないような、震えた声でそう言った。
そして、もう後戻りできないと悟った瞬間、彼女は立ち上がり、不和の前に膝をついた。
ぐっと頭を下げ、震える声で懇願した。
「…ちょっと、だけでもいいから…見せてください。お願いします…」
「浅香さん…!そんな、ダメですよ…」
不和は慌てて彼女を制しようとするが、その手は力なく、朋美の肩に置かれるだけだった。
彼の瞳は、戸惑いと、それ以上の欲望で濁っていた。
朋美はその迷いを突くように、彼のズボンのベルトに指をかけた。
カチャリ、と小さな金属音が響き、彼女はゆっくりと、ジッパーを下ろしていく。
抵抗する彼の腰を、必死に押さえつけながら、ついにその中から、あの夜の怪物を解放した。
布地を穿って現れたのは、朋美の記憶よりもさらに、圧倒的に雄々しい性器だった。
青黒い血管が浮き出た、太い幹は、彼女の顔のすぐ前にうねり、先端からは透明な粘液がぬめりと垂れている。
生々しい、男の匂いが鼻腔を突き、朋美はぐっと息を呑んだ。
理性はもうどこにもなかった。
彼女はおもわず、その熱い肉塊を両手で包み込み、ぬるりと濡れた先端を、自らの唇に押し付けた。
「んっ…!」
甘塩い味が舌に広がる。
その感触に、朋美の膣内がぐっと濡れるのがわかった。
彼女は罪悪感に打ちひしがれながらも、舌を器用に動かし、その巨根を喉の奥まで受け入れようと頑張った。
くちゅっ、じゅるる、と下品な音が部屋に響き、それがさらに彼女の羞恥を煽り、昂ぶりを加速させていく。
不和は苦しそうに息を呑み、朋美の髪を優しく撫でながら、小さく呻いていた。
「…浅香さん…やめてください…僕、もう…」
その声は、拒絶するようで、むしろ誘っているように聞こえた。
朋美は口を離し、ぬめりに濡れた唇で彼の股間にキスをすると、自分の服を乱し始めた。
キャミソールの肩紐をずらし、ブラウスのボタンをはずす。
白く柔らかな乳房が、部屋の明かりに露わになる。
彼女は立ち上がると、ベッドの上に仰向けになり、自らスカートの裾をまくり、濡れたパンツの上から自分の性器を撫でた。
「先輩…もう、ダメなの…。私の中に、入れてください…」
その懇願に、不和の自制心は完全に切れた。
彼は獲物に飛びかかる獣のように、ベッドに覆いかぶさり、朋美のパンツを引き裂くようにして脱がせた。
ぐしょ濡れになった蜜壺が、彼の目の前にぱっくりと開かれる。
彼はそこに顔を埋め、舌をねじ込むようにして舐め上げた。
「ひゃっ…!あ、んんっ…!」
舌が陰核を執拗に弄び、膣内をえぐるように探る。
快感が稲妻のように背骨を駆け上り、朋美の体はビクンビクンと痙攣した。
もう、健輔のことなど考えられない。
この男に犯され、弄ばれ、壊されたい。
その欲望だけが、頭の中を埋め尽くしていた。
充分に濡れそぼった彼女の穴の上に、不和は自らの巨根を押し当てた。
「入れますよ、浅香さん…」
「…はい…お願いします…先輩の全部で…」
ずぶっ、という肉が裂けるような音と共に、灼熱の肉杭が朋美の膣奥へと突き刺さった。
んぐっ…!と息が詰まる。
健輔のそれとは比べ物にならない、圧倒的な太さと長さ。
膣壁が引き裂かれるような痛みと、同時に全身を麻痺させるような快感が襲いかかる。
不和はゆっくりと腰を動かし始めた。
その一振り一振りが、膣の隅々までを抉り、新たな快感の波を作り出す。
「あっ…ああっ!んっ…はぁん…!すごい…先輩の…ぁあっ!」
「浅香さん…中が、すごく締め付けます…気持ちいいです…」
彼の丁寧な声が、淫らな言葉と奇妙に混ざり合い、朋美の羞恥心をさらに燃え上がらせる。
彼女は彼の背にしがみつき、足を彼の腰に絡め、できるだけ深く彼を受け入れようと腰を突き上げる。
ぬちゃっ、ぐちゅぐちゅ、と二人の結合部からは、淫らな音が絶え間なく響き、部屋は濃密な愛液の匂いで満たされていく。
何度か、激しいピストンに耐えきれず、朋美は体を弓なりに反らせて絶頂した。
膣が痙攣し、熱く濃い蜜が噴き出す。
「だめだめっ…イっちゃう…ああああっ!」
しかし、不和は止まらない。
彼女の絶頂を待ってかのように、さらに速く、激しく腰を打ち付ける。
意識が遠のき、頭が真っ白になる。
何度イッたか分からない。
快楽の波が次々と押し寄せ、朋美の体はもはや自分のものではなくなっていた。
ただ、この男の性器に奉仕するための、一つの穴になっていく。
最後に、不和が大きく身を震わせ、朋美の膣奥へと熱い濃いものを放ちたとき、彼女は感謝の気持ちさえ抱きながら、深い、深い闇の中へと沈んでいった。
第4章 決断、引き裂かれる関係

不和先輩の部屋で明けた朝の光は、薄いベールのように窓から差し込み、朋美の肌に昨日とは違う色を落としていた。
腰の奥に鈍く、そして甘く残る疼き。シーツに染み付いた、男の汗と精液、そして先輩の優雅な香水が混じり合った、濃密な匂い。それらが昨夜の激しい情事の記憶を、あまりにも現実的に呼び覚ます。
彼女はベッドの上で胎児のように丸くなり、健輔の顔を思い浮かせようと必死に試みた。だが、脳裏に蘇るのは、不和の丁寧な声と、あの圧倒的な肉塊が自分の体の奥深くを貫き、抉り上げる感覚だけだった。
罪悪感が鉛の塊のように喉に詰まっているのに、なぜか体は芯から温かく、女として深く満たされてさえいるのだと自覚した瞬間、朋美はもう後戻りできないと悟った。このまま健輔との関係を続けることの方が、よほど酷く、身勝手な裏切りだと感じていた。
ゆっくりと身を起こし、枕元のスマートフォンを手に取る。冷たいガラスの画面が、まだ睡気に浮かされた彼女の瞳を冷たく映し出す。アプリの一覧から、慣れ親しんだ健輔とのトーク画面を開く。
永遠に続くと思っていた、愛情のこもったスタンプや、些細な日常を報告し合う無数の文章の列。それらが、今はもう、遠い昔の自分のもののように思えてならなかった。
震える指で、キーボードを打つ。一度でいい、ちゃんと顔を見て別れを告げるべきだという理性の声がかすかに聞こえるが、その声は、不和に弄ばれた肢体の記憶の前では、あまりにか細く、無力だった。
「…ごめんなさい、健輔。もう、やめたいの。好きな人が、できた…」
短く、冷たく、そして決定的な一文。送信ボタンを押す指に、力が入らない。画面の隅に表示された「既読」の二文字が、青い炎となって彼女の心臓に突き刺さる。
続けて、彼女は鍵を返すこと、彼の私物を梱包して送ることを告げる、事務的で無機質な連絡を打ち込んだ。これで全てが終わりだ。健輔がどんなに傷つこうと、自分はもう彼を振り返ることはできない。そう自分に言い聞かせ、朋美は顔を熱い掌に埋めた。掌の下から、抑えきれない熱い涙が零れそうになるのを必死にこらえていた。
一方、健輔は実家の自分の部屋で、朋美からの通知に茫然と立ち尽くしていた。好きな人ができた。その五文字の意味が、すぐには理解できなかった。悪い冗談なのか、それとも何かの間違いなのか。
彼は何度もその文章を読み返したが、文字は変わることなく、彼の世界を静かに、しかし確実に崩壊させていた。混乱と焦燥が頭の中で黒い渦となって巻き、彼は何も考えられなくなった。ただ、このままではいけない、朋美に直接会って、このことを確かめなければと、突発的に行動を起こした。
飛び乗った電車の窓から流れる街並みは、色も形もなく、ただのノイズのように眺めていた。心臓が異常な速さで脈打ち、手のひらは冷や汗でべっとりと濡れていた。アパートの前まで走ると、彼は慣れた手つきでインターホンのボタンを押そうとした。
しかし、その指がボタンに触れる寸前で、彼は動きを凍りつかせた。ドアの向こうから、かすかに、しかし確かに聞こえてくる音があった。それは、男の声だった。
「ああ…浅香さん、本当に…嬉しい。僕の全部を、受け止めてくれるなんて…」
その声は、丁寧で、優雅で、どこか聞き覚えがあった。テニスサークルの、不和先輩だ。健輔の思考は停止した。なぜ、先輩が朋美の部屋に?そして、その言葉の意味は?疑問が湧き上がるよりも先に、今度は朋美の声が聞こえてきた。
それは、健輔が一度も聞いたことのない、息も絶え絶えな、しかし明らかに悦びに満ちた、淫らな声だった。
「ひぃっ…!ああっ!先輩!そこ、そこをッ!もっと激しく…突いて…!」
その言葉に続いて、あぁぁあっ…と、生々しく、蕩けきった嬌声が響いた。健輔の足が、地面に根付いてしまった。信じられないという気持ちと、目の前で起こっている現実から逃げ出したいという恐怖が、彼の体を麻痺させた。
しかし、その足は、悪夢にでも引きずり込まれるかのように、ゆっくりとドアに近づいていく。彼は震える手で、ノブをそっと回した。ドアは、ほんの数センチだけ、罪深い隙間を開けていた。
その隙間から覗いた光景は、健輔の存在そのものを否定するほどに、淫靡で残酷だった。部屋は薄暗く、一本のスタンドライトだけが、ベッドの上を不気味に照らし出している。
そこには、全裸の二人が獣のように絡み合っていた。不和先輩が、穏やかでさえある微笑みを浮かべながら、朋美の股間に自らの腰を沈めている。彼の背中には汗が光の粒となってきらめき、引き締まったお尻が、獣のように力強くリズミカルに上下する。
その巨大な性器が、朋美の濡れそぼった膣から抜けたり、深々と抉り込んだりするたびに、ぬちゃっ、ぐちゅぐちゅ、じゅるじゅる…という下品で水音が部屋に充満していた。
朋美は、健輔が知らない顔をしていた。目は恍惚と潤み、口は半ば開き、快感に絶えず嬌声を上げている。彼女の白い乳房は、先輩の激しいピストンに合わせて不規則に揺れ、乳首は硬く勃起していた。
彼女は自分から足を大きく開き、先輩の腰に深く絡みつけ、できるだけ多くの肉を受け入れようと、自ら獣のように腰を突き上げている。その姿は、健輔が愛してきた、恥じらうことの多かった幼馴染ではなかった。それは、快楽にだけ忠実な、一つの雌の姿だった。
「ひぃっ…!ああっ!先輩…!そこ…ッ!もっと…!」
「浅香さん…僕も、もう…我慢できない。あなたの奥の、一番深いところで…全部、注ぎ込むね…」
不和の声は、最後まで丁寧だった。しかし、その言葉と裏腹に、彼の腰の動きはさらに荒くなり、まるで朋美の体を自分のものに刻みつけるかのように、容赦なく巨根を打ち込んでいく。
そして、朋美が背筋を反らせ、蝉の鳴き声のような甲高い叫びを上げて絶頂に達した瞬間、不和も大きく身を震わせ、彼女の膣の奥に熱い濃いものを注ぎ込んだ。ぴゅるっ、ぴゅるっ…と、獣の咆哮のような射精音。
二人の体は、しばらくの間、きつく絡み合ったまま動かない。
健輔は、その光景を見続けることができなかった。彼は無言で後ずさりし、震える足でその場を離れた。廊下を歩き、エレベーターに乗り、アパートの外に出ても、目に映るものは全て白黒だった。
頭の中では、先輩のたくましい股間が、自分の恋人のあそこに出し入れされている光景が、何度も何度もフラッシュバックする。自分にはない、あの圧倒的な肉体。自分では与えられなかった、あの底なしの快楽。
全てを奪われた、という喪失感が、彼の体の芯から凍りつかせていた。青春とは、かくも脆く、痛々しい形で、その幕を下ろすものなのだと、彼は骨の髄まで思い知った。
第5章 喪失の黄昏、誰のものでもない孤独

アパートの重い鉄扉が、ゴトン、という絶望的な音を立てて背後で閉ざされた。その乾いた金属音は、健輔の世界から全ての色彩と音を奪い去り、真っ暗な虚無へと叩き落とした。
密室のように閉ざされたエレベーター。下降する階数を示す赤い光は、嘲笑う悪魔の瞳のようにも見え、壁の鏡に映る自分の顔は、血の気を失い、見知らぬ他人のそれのように醜悪に歪んでいた。冷たい鏡面に触れた指先が、震えている。
ロビーへ出ると、夕暮れの街の喧騒が肌を刺す。車の耳障りなクラクション、人々の甲高い笑い声、商店から漏れ出す官能的なサックスのメロディー。そうした生きた営みの全てが、歪んで遠い異国の出来事のように、耳に届いては消えていく。
足は地面に着いているのに、魂が抜け出てふわふわと浮遊しているような、気怠い脱力感。彼はただ、流れる人波に身を任せ、意味もなく歩き続けた。ネオンの灯りが目に眩しく、焦げた肉脂の匂いが鼻孔を突くが、どれもこれも自分とは無縁の刺激で、胸の奥に穿たれた冷たい穴を埋めることはできなかった。
気がつけば、彼はよく通った公園のベンチに座っていた。かつて朋美と二人で分け合ったアイスクリームが溶け、甘いしずくが彼女の指先を伝った、あのベンチ。
西の空が燃え上がるような茜色に染まり始め、やがて深い藍色へと沈んでいく。その光の移ろいが、健輔の心が無情に削り取られていく速さを、そのまま映し出しているかのようだった。
俯いた視界の隅に、自分の握りしめた拳が、白くカッと見える。指の関節が、力を入れすぎて内側から突き上げそうなほどに、痙攣するように震えている。
何もかもが、どうでもよくなった。愛も、青春も、明日も。全てが、あのドアの隙間から覗いた、あまりにも淫靡で、生々しい光景によって、粉々に打ち砕かれたのだ。
「……っ」
嗚咽が、喉の奥を焼くように無理やり絞り出される。それは最初、小さな震えだった。だが、一度堰を切れた感情の奔流は、もう誰にも止められなかった。
健輔は顔を両手で覆い、そのままベンチの上に崩れ落ちるようにうなだれた。嗚咽はやがて、抑えきれない泣き声へと変わる。肩が激しく揺れ、熱い塩辛い涙が汚れた指の隙間から伝わり、ジーンズの膝の上をじっとりと濡らしていく。
なぜ、なぜだ。自分の何が、いけなかったんだ。優しさだけでは、足りなかったのか。
彼女を抱いた時、いつも彼女の反応が乏しいことは感じていた。もっと、もっと激しく彼女を貪るべきだったのか。でも、そんなことをしたら、彼女を壊してしまう気がして、怖かったんだ。
大切に、大切にと思っていたのに。その愚かな優しさが、彼女を他の男の元へ追いやってしまったのだ。
「うわあああああっ……!」
声にならない叫びが、夕暮れの静寂に溶けていく。泣き叫ぶたびに、あの光景が鮮明に蘇る。
不和先輩の、穏やかで聖人のような微笑み。その笑みと裏腹な、獣のような腰つき。自分には決して真似のできない、鍛え上げられたたくましい肉体。
そして、あの信じがたいほどに太く、長く、醜悪なまでに雄々しい性器。あの黒々とした肉塊が、自分が愛した朋美の、あの温かくて柔らかい膣の中に、ずぶずぶと沈んでいく。
ぬちゃっ、ぐちゅぐちゅ、という粘膜をこすり合わせる下劣な音。朋美の、知らない顔。快楽に蕩けきり、他の男を貪る雌のような、あっと言わせる顔。
その記憶が、熱いナイフのように健輔の脳を抉り、何度も何度も彼の心を引き裂く。
一方、その頃、朋美の部屋は情事の濃厚な余韻に満たされていた。不和はもう寝息を立てていたが、朋美はまだ眠れずにいた。
体中が、先輩に弄ばれた快感の記憶で疼き、腰の奥には、激しい交合の鈍い痛みと、何かに満たされたような重い感覚が、まだ残っている。
部屋には、二人の汗と愛液、そして先輩が膣内に放った熱い濃い精液が混じり合った、粘膜と生々しい匂いが漂っている。それは健輔との間では決して生まれることのなかった、獣的な、征服者の匂いだった。
彼女はそっとベッドから起き上がり、窓の外を見た。街の灯りがきらめいているが、どれも自分とは関係ないように感じられた。先輩の優しい声と、圧倒的な肉体の記憶だけが、頭の中を埋め尽くしている。
健輔のことは、もう考えられない。彼の優しさは、もはや遠い昔の記憶にすぎない。だが、この満たされた感覚の先に、本当の幸せがあるのか、分からないという漠然とした不安が、胸の片隅で静かに疼いていた。
健輔の泣き声が、いつしか途絶えた。涙が枯れ、ただ虚脱感だけが残る。彼はゆっくりと顔を上げた。
公園はすっかり暗くなり、街灯がぼんやりと周囲を照らしている。誰もいない。誰も、自分のことを気にかけてくれる人はいない。
全てを失った。愛する人も、信じていた未来も、自分自身の尊厳さえも。彼はもう、誰のものでもない。
ただ、この公園の片隅で、一人、孤独に朽ちていくだけの存在だ。青春は、こんなにも痛々しく、あっけなく終わってしまったのだ。
彼はただ、空っぽの瞳で、何も映らない夜空を見つめていた。
登場人物
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浅香 朋美あさか ともみ)(女性 ・ 19外見: 長めの栗色の髪を少し内巻きにしている、濡れたような黒い瞳、スレンダーだが肉感的な尻と乳を持つ、身長158cm。服装: 普段はデニムにキャミソールといったシンプルな服装。真面目で少し控えめだが、内に強い好奇心と欲望を秘めている。
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小林 健輔こばやし けんすけ)(男性 ・ 20外見: 黒髪の短い刈り上げ、優しそうな茶色の瞳、細身で線が細い、身長172cm。服装: 大学の私服で、無地のTシャツにジャケットなど、地味で清潔感のある服装。真面目で誠実、少し世間知らずなところがあり、朋美を深く愛しているが、物足りなさを感じさせている。
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不和 道夫ふわ ふみお)(男性 ・ 21外見: 明るい茶色に染めた髪を無造作にくしゃっとさせ、鋭いが笑うと優しさに変わる目、テニスで鍛えられた引き締まった体、特に下半身が逞しい、身長182cm。服装: ブランド物のラフなウェアを着こなし、常に女子に囲まれているチャラい風貌。一見軽そうだが、物事をちゃんと見ており、話し方は丁寧で誠実。そのギャップが女性を惹きつける。





