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シニアバイトの男が母子家庭の熟れた雇い主と高校生の娘にけしかけられ親子ぐるみで堕ちるまで

シニア官能 / 不倫/浮気 全5章 約52分で読了(25,945字) 短編 2026年9月2日

あらすじ

倉庫整理のシニアバイトとして働き始めた私を、雇い主の高橋直美はジャージ越しの熟れた肢体で毎日惑わせる。狭い倉庫で突きつけられる胸と尻、すぐ横に干される大きな下着。そこへ高校生の娘・由佳が母への欲望を無邪気に焚きつけ、妻までが「親子丼しなよ」と煽る。日常と背徳の境界が溶ける中、私は直美の熱い身体に抗えなくなる。

第1章 倉庫の中で雇い主のジャージが浮かばせる熟れた線を意識してしまう

第1章のシーン

四月の半ば、桜が散りかけた午後のことだった。私は友人の紹介で、ひまわり食品という小さな食料品店の倉庫整理を始めることになった。会社を辞めてから半年あまり、家にいても仕方がないと思っていたところへ、ちょうどいい働き口だと勧められたのだ。駅から歩いて十分ほどの住宅街の角、古びた看板と色褪せた暖簾がかかる店構えは、昭和の名残をそのまま閉じ込めたような佇まいで、入り口の脇には赤い郵便受けと小さな植木鉢が並んでいた。自動ドアをくぐると、むわっとした空気が肌にまとわりつく。醤油と鰹節の匂い、それから段ボールの粉っぽい埃の味が舌の奥に張りついた。

「あっ、田中さんですね。聞いてますよ、ありがとうございます、助かります」

声の方を向くと、レジの向こうから小柄な女がこちらを見ていた。高橋直美、この店の経営者で、まだ四十八と聞いていたが、その数字と目の前の身体がうまく結びつかない。丸い顔に深い黒い目が二つ、口元には赤い唇がぽってりと厚く、笑うと頬の肉が盛り上がってえらのあたりに影を落とす。髪は短いセミショートで、うなじが汗でしっとり光っていた。動きやすさ第一といった風情の古いジャージを上下に着て、胸のあたりが不自然に盛り上がっている。いや、不自然ではない。あれは身体の線そのものだ。布地が張りつくほどに大きな乳房の形が、柔らかく垂れ気味に、けれど確かな質量を持って私の視界に飛び込んできた。

「こちらこそ、よろしくお願いします。田中です」

私は丁寧に頭を下げながら、つい目線を外した。外した先に、また彼女の下半身があった。ジャージの裾から覗く足首は白く、甲高で、サンダルの鼻緒が指の間に深く食い込んでいる。そこから上へ目を這わせると、太腿の張り、腰の丸み、そして尻の輪郭があまりにはっきりと布越しに浮き上がっていて、私は慌ててレジの上に積まれたガムの箱へ視線を逃がした。

「あ、私、高橋直美って言います。店のことは気にしないで、倉庫の方をお願いしますね。細かい段ボールがいっぱいで、ずっと手が回らなかったのよ」

彼女はそう言いながらレジ台の横から出てきて、私の半歩手前まで近づいた。柔軟剤の匂いがふわりと鼻をくすぐる。甘ったるい花の香りではなく、青い石鹸のような、汗と混ざってむしろ生々しさを増す匂いだった。身長は私より頭一つ低いくらいで、見下ろすと胸元がますます近い。ジャージの前立ては浅く開いていて、白いTシャツの首元から鎖骨がのぞき、その下には汗でうっすら透けた肌の光沢が揺れている。

「倉庫はこっち、狭いけど、がんばってちょうだい」

そう言って歩き出すと、尻の肉が左右に大きく波打った。フルバックの下着がくい込んでいるのが、薄いジャージ越しにはっきりとわかる。尻の下の線、太腿の付け根、歩くたびに布がめくれ上がって下着の縁が浮き上がる。私は彼女の後ろを三歩ほど離れて歩きながら、何度も目を逸らそうとして、結局その度にまた見てしまう自分に気づいていた。

倉庫は店の奥、冷暖房の効かない四角い空間だった。鉄骨の棚が三方を囲み、天井の蛍光灯は黄色く濁って、埃の粒が光の中でゆっくり舞っている。床はコンクリートで、長年の汚れが染みついて黒ずんでいた。午後の日差しが入らない分、空気はひんやりとしているのに、鼻の奥には油と米ぬかと古紙の匂いが混ざり、温度以上に重く肌へ沈んでくる。

その奥の壁際に、古いアルミの物干し台が立てかけられていて、干された洗濯物が換気扇の低い唸りに合わせてゆっくりと揺れていた。目をやって、私は息を呑んだ。大きな女物の下着だった。フルバックの白い綿と薄い灰色の一枚がハンガーにぶら下がり、乾ききらない布の重みで静かに形を変えている。どれもこれも、大人の女の豊かな腰回りを包むだけの、ゆったりとした作りと丈の長さだった。あれは、直美さんの、だ。干す場所がここしかないのは分かる、分かるが、あの布の広さも丈も、さっきジャージ越しに見た腰から尻の膨らみをそのまま写し取ったようで、胸の奥がざわついて落ち着かない。見なかったことにしよう、と思うのに、目は勝手に奥の隅へ戻ってしまう。

「これ、お願いね。賞味期限の近いやつは手前に、古いやつはこっちの隅に移して。あ、重いの持つときは無理しないでよ?私、全然手伝うから」

直美さんはそう言って、すでに腰を屈め、段ボールの山へ手を伸ばしていた。膝を曲げず、腰から折るような格好で、背中から尻にかけてが一直線に突き出される。ジャージが山の形に持ち上がり、下着のラインが布地を斜めに横切って、食い込んだ肉をさらに強調していた。脇からこぼれる胸の重みが、腕を動かすたびにゆさゆさ揺れ、時折、胸元の開きから白い柔肉がのぞきそうになって、私は咄嗟に別の段ボールへ手を伸ばした。

「田中さん、そっちのダンボール、中に缶詰が入ってるから、下に敷くやつにした方がいいわよ。こっちの軽いの、上に重ねるから」

彼女が振り返り、私の顔をまっすぐ見て微笑んだ。額にうっすら汗が浮き、前髪が数本張りついている。饅頭みたいな丸い顔の真ん中で、厚い唇がゆるく開いて、白い歯がのぞいた。私は「ああ、はい」と気のない返事をして、腰を曲げた。背中が急に熱い。彼女の視線が、うなじから尻にかけてを撫でている気がする。いや、そんなはずはない、と心の内で否定しながら。

「そうそう、上手。あとこれが終わったら、こっちの在庫を数えてちょうだい。伝票と照らし合わせるやつ。うち、古い店だから、ろくなシステムなくて」

彼女が笑うと、湿った空気が揺れた。鼻息がかすかに届くほど近くまで寄ってきて、段ボールの端をつかむ。腕が私の肘に触れた。柔らかい。熱い。その一瞬、私の耳の奥で、自分の心臓がどくどくと鳴っていた。

二時間ほど作業を続け、倉庫の床に積まれていた段ボールの山はいくぶん形を変えた。埃が舞い、額から汗が流れ、首の後ろがじっとりと蒸れている。直美さんは隣で「若い男手がいるっていいわねえ」と言いながら、濡れたタオルで顔を拭いていた。拭くたびにTシャツの襟元が引っ張られ、汗で透けた胸の谷間がくっきり浮かぶ。白い肌の、薄い青い血管の走る、やわらかそうな膨らみ。目の置き場に困って、私は足元の伝票を拾うふりをした。

「田中さん、お昼にしましょう。こっち、バックルームになってるから」

店の裏手にあるバックルームは、四畳半ほどしかない。壁際に流し台と小さな冷蔵庫があり、真ん中に折りたたみの机と、パイプ椅子が二つ。棚には古い経理書類や使いかけの文具が雑然と積まれ、生活感が滲んでいる。直美さんは「狭いでしょ、ごめんなさいね」と笑いながら、電子レンジで温めた弁当らしき容器を机に置き、私にも同じものを差し出してきた。自家製の炒め物と卵焼き、ふりかけご飯。味噌汁の香りが濃く、しばらく空腹だったことを思い出す。

「いつもこんなの?お弁当、余りもので悪いけど」

「いえ、ありがたくいただきます。奥さんが作ったんですか?」

「私。あの子と二人分ついでに。男の人って量いるでしょう。半分こする?」

彼女はそう言って、自分の箸で卵焼きを私の弁当へ移そうとした。身を乗り出した拍子に、太腿の外側が私の膝にぴたりとくっつく。弾力のある肉が、薄い作業ズボン越しにまで温かな熱を伝えてくる。とっさに離れようにも、反対側は壁で、身じろぎできる余裕がない。

「あ、大丈夫ですよ。もったいないから」

「遠慮しないの。私、小食だから、いつも余らせちゃうのよ」

彼女は笑い、身をさらに寄せる。肘が肘に、膝が膝に、そして太腿の側面がぴったりと密着したまま、彼女は平然と箸を動かしている。肉の厚みが、呼吸のたびに膨らみ、沈む。汗と柔軟剤、それから微かに油の匂い。私は股間の奥がむずむずと熱を帯びるのを自覚して、慌てて足を組み換えた。心臓が痛いくらい早い。

「田中さん、暑い?顔、赤いけど」

「いえ、夏みたいな空気なんで、少し」

「倉庫、風通し悪いもんね。今度、扇風機出しとくわ」

彼女の深い黒い目が、私の顔を真っ直ぐ見ている。口元だけ笑っている。厚い唇が、噛みしめた卵焼きの油でてらてらと光り、咀嚼するたびに顎の肉が小さく上下した。私は目を伏せ、ご飯を口へ掻き込んだ。味が分からない。ただ、隣にいる女の体温と、太腿の弾力、そしてあの桃のように張った尻の感覚だけが、胃の底で重く渦巻いていた。

「あ、そうだ。午後は店の方も手伝って。レジの子が帰ってきたら、在庫の数を書いてってくれるから」

「レジの子、というのは?」

「娘の由佳。学校終わったら店番してるの。かわいい子だから、田中さんも嫌にならないでね」

直美さんはそう言うと、椅子から少し身を起こし、胸元を掻くような仕草で服の襟をぱたぱたと動かした。こぼれそうな双丘が揺れる。首の下、汗ばんだ鎖骨のあたりに黒い髪が一本張りついている。目の毒だった。

午後になって、いったん倉庫に戻った。在庫の数を数え、台帳と照らし合わせ、鉛筆でチェックを入れる。直美さんは店との往復で、そのたびに倉庫の奥へやって来た。何かを取りに来るたび、必ずどこかしら私の傍を擦り抜け、その度に体温と匂いが濃く残った。

「それ、どこまで進んだ?」

「あと二段ですね。棚の上、古いのが多いですよ」

「見てみるわ」

彼女は私の横に立ち、棚の上の段ボールへ手を伸ばした。つま先立ちになり、腕を上げる。ジャージの裾がたくし上がり、腰から尻へかけての弧が、これでもかとはっきりと浮き上がった。桃の実のような、肉感的な曲線。布地がくい込む尻の割れ目。手を伸ばした拍子に下着のラインがぎゅっと持ち上がり、直美さんは「んっと」と小さく息を漏らした。私はダンボールに目を向けているふりをしながら、彼女の全身を視野の端で追っていた。こんなことをしては駄目だ。雇い主だ。いや、目の前の光景がどうした、ただの作業の一部だ。

「とどかない。田中さん、肩、貸してくれる?」

「へっ?」

「踏み台がないから、手ぇ引っ張ってくんない?私が登るから」

彼女が右手を差し出してきた。小さい、汗ばんだ、しっとりした手のひら。私は咄嗟にその手を握った。指が太く、節があるのに、肉は柔らかくて熱い。彼女は棚の下段に片足をかけ、ぐいと体を持ち上げた。瞬間、私の目の前に彼女の尻がくる。鼻先すれすれに、汗で湿ったジャージの布地。ふわりと、饐えたような、それでいて甘く鼻の奥を強くする女の匂いが舞った。私は顔を背けた。心臓が、腹の奥へ落ちたようだった。

「取れた。重たいやつじゃないから大丈夫」

そう言って振り返った彼女と、ほとんど鼻がくっつくくらいの距離だった。彼女は目を少し見開いて、それから照れ笑いのように頬を赤らめた。私の手を離さない。

「ありがと。田中さん、力あるのね」

「いや、大したことは……」

「また、あとで手伝ってもらうわね」

私の手を一瞬握り直して、彼女はようやく体を離した。離れゆく指先のざらついた感触が、私の手のひらにいつまでも残った。

夕方、店の外では西日が舗道を赤く染めていた。私は店を出て、生ぬるい風を浴びながら、五本の指を開いたり握ったりしていた。手のひらの感触。あの熱。あの太腿の張り。あの尻の線。

「田中さん、お疲れさまです。少し、涼んでいかれます?」

振り返ると、レジに若い女の子が立っていた。高校の制服のまま、紺色のエプロンを胸から下げ、無造作に縛った黒い髪を肩のあたりで揺らしている。母譲りの丸顔に、茶色がかった瞳が愛嬌たっぷりに笑っていた。電話越しに聞いていた声より、ずっと幼い。十七歳。高橋由佳。直美さんの娘だ。

「あ、お嬢さん。お疲れさまです。少し、風に当たってから帰りますよ」

「いい時間ですよね、このへん。あ、ママ、今日はずっと鼻歌でしたよ。田中さんが来て、すごくご機嫌で」

由佳さんは、にこにこしながらレジ台に肘をついた。その笑顔は素直で、頬が丸く上がり、目が細くなる。なのに、どこか悪戯っぽい。彼女の口調は軽く、少女らしいのに、視線は私の胸のあたり、いや、もっと下、腰から尻にかけてを一瞬だけ走ったような気がした。

「そうですか。お役に立ててればいいんですが」

「ぶへへ、お役に立ちすぎなくらいですよ。あ、でも、あんまり無理しないでくださいね。ママ、押しが強いから」

「押しが強い?」

「なんでもないでーす。明日もよろしくです、田中さん」

彼女は片手をひらひら振り、くるりと背を向けた。細い腰、若い脚、母とは別の種類の色気が、ぎこちなく漂っている。その背中から、店内のほうへ引っ込む直前に、声が飛んできた。

「あ、ママの機嫌、田中さんのせいですからね。知りませんよぉ」

「はあ……」

私は曖昧に笑い、店の外の生ぬるい風に顔を湿らせた。まだ夕方だというのに、頭の芯が熱い。耳の奥、倉庫で聞いた衣擦れの音が反芻する。目を閉じると、ジャージが貼りついた尻の線、近づいた太腿、汗でしっとり光るうなじ、それから棚に登るため差し出された手のひら。あの感触が、なかなか消えない。しまいには、倉庫の奥でゆっくり揺れていたあの大きな下着の形までが、まぶたの裏に混じって浮かんでは沈んでいった。

「雇い主なんだ」

私は誰にともなく、そう呟いた。風は止み、暖簾がゆらりと揺れた。店の奥から「ママ、田中さん、まだ外にいるよ」という由佳さんの明るい声と、「あら、そう」と応える直美さんの、あの湿った笑い声がかすかに届いた気がした。

第2章 娘に煽られ妻に探られながら干された下着と近距離の身体に焦れていく

第2章: 娘に煽られ妻に探られながら干された下着と近距離の身体に焦れていく

翌週の火曜日、私はいつものようにひまわり食品の自動ドアをくぐった。朝の空気はまだ冷たく、店の中のむわっとした醤油と鰹節の匂いが、外気に触れて一層濃く感じられた。由佳さんはもう店番に立っていて、私の姿を認めると、レジ台から身を乗り出してくる。

「田中さん、おはようございます。今日は奥の机、使ってくださいね。ママが伝票いっぱい置いときましたから」

「おはようございます。奥の机って、住居側のやつですよね」

「そうそう。店の帳簿、あっちの方が見やすいんで」

由佳さんはにこにこ笑いながら、店の奥へ続く引き戸を指さした。私は曖昧にうなずき、倉庫へ向かう前にいったん住居側の廊下へ足を踏み入れた。薄暗い板張りの廊下は、店の匂いとは違う、洗濯洗剤と畳と、ほんの少し饐えたような生活の匂いがする。廊下の突き当たり、窓のある部屋の前に古いスチール机が置いてあり、その傍らに物干し台が一つ。淡い桜色の大きな布地が、湿度を含んでゆっくり揺れていた。

馬鹿でかい女物の下着だった。フルバックの、腰まわりが深い、小さなリボンのついたやわらかそうな布地。淡い桜色は洗濯で色あせて、股のあたりだけがぐっしょりと濡れたように見えた。いや、濡れているはずはない。乾きかけの、まだ水気を残した布が、朝の光を受けてはんのり透けているのだ。私は思わず立ちすくんだ。目の前の下着は、直美さんの身体を包んでいたものだ。あの、桃のように張った尻を覆い、汗の匂いを吸い込み、下着のラインとして私の視界に何度も焼きついたあの布地。

「あ、今日も干ってますよ、ママの。田中さん、もう見るだけじゃ済まないんですよねえ、えへへ」

背後の声に飛び上がりそうになった。振り返ると、由佳さんが引き戸の影から顔を出し、悪戯っぽい目を細めて笑っている。この前はこんなことを言わなかった。いや、この前は気づかなかっただけなのかもしれない。彼女は私の反応が見たくて、わざわざ後を追ってきたようだった。

「な、何言ってるんです。盗っちゃ駄目ですよ」

「盗んでなんて言ってないですよ。見るだけでしょ、田中さん。男の人は仕方ないですよ、えへへ」

「見てません」

「うそ。目、釘付けでしたもん」

由佳さんは喉を鳴らして笑うと、私の横をすり抜け、干された下着に顔を寄せるようにして匂いを嗅ぐ真似をした。普段は素直そうな顔が、この時ばかりはあからさまに色っぽい。十七の少女が、母親の下着で噂話をする。それだけで、私の背中にはじわりと汗が滲んだ。

「ママ、最近ね、下着を新しくするんですよ。今日みたいな日、朝から干してるやつ。知ってますか、こういうのって女の人からのサインらしいですよ」

「サイン……」

「ええ、無意識にそうなっちゃうんでしょうね。盗んでって言ってるみたいでしょう」

私は何か返そうとして、声が出なかった。由佳さんは、私の顔を下から覗き込み、もっと小さな声でささやいた。

「田中さん、あとちょっと押したら倒れるって、ママに言っておきますから」

そう言って彼女は、ふわりと笑い、店の方へ走っていった。私は干された下着から目を背け、慌てて机に向かった。伝票の束を手に取る。数字を追う。しかし目はすぐ、隣で揺れる桜色へと引き寄せられる。朝の空気が、下着ごしに甘い粉の匂いを運んでくるようだった。

昼近くなり、倉庫での段ボール整理も一段落ついた頃、直美さんが「お昼、先に食べて」と声をかけてきた。私は手を洗い、裏のバックルームへ向かう。四畳半ほどの狭い部屋には、今日も折りたたみ机とパイプ椅子が二つ。壁際の流し台から、湯を沸かしたばかりのヤカンの蒸気が立ち、床にはごみ取りの古い新聞紙が敷かれていた。

「はい、今日はきんぴら入り。倉庫で重いのいっぱい動かしたから、お腹空いたでしょう」

「ありがとうございます。いつもお手数ですね」

「あの子の分と一緒だから。男の人は、これじゃ足りないかしら」

直美さんは私の隣に座り、持参した弁当を広げた。パイプ椅子が軋む。膝頭が当たり、咄嗟に身を引こうとしたが、壁に阻まれて動けない。こちらの太腿と彼女の太腿が、昼の湿った空気の中でぴったり吸い合うみたいに密着した。汗ばんだ肌の温度が、薄いズボン越しにじかに伝わってくる。肉の弾力があり、ごくわずかに動くたび、内ももの脂肪がむにゅりと形を変えた。食べている間中、その接触だけが熱っぽく、卵焼きの甘さを喉に押し込むのに苦労した。

「田中さんの家の人、お弁当は作ってくれないの?」

「いや、うちの妻も、たまには作ってくれますが、基本は自分で……」

「へえ、そうなの。あ、汗かいちゃった。今日は湿気がすごいわね」

彼女は箸を置くと、Tシャツの襟元を指でつまんで、ぱたぱたと扇ぎ始めた。首すじが汗ばんで光り、襟の開きから白い胸元が深くのぞく。垂れ気味の乳房が、呼吸に合わせて落ち着きなく揺れた。汗の匂いと柔軟剤が混ざり、鼻の奥で甘くかっとする。私はご飯を噛む振りをして、まぶたを伏せた。目を開ければ必ず、彼女の胸の谷間か、膝小僧か、あるいは机の下の二つの太ももを追ってしまう。

「暑いね」

耳もとから、吐息まじりの声がした。

「ねぇ、田中さん、聞いてる?」

「はい。暑いですね、本当に」

「そうでしょう?倉庫、風通し悪いから。今度、扇風機を奥まで持ってくるわ」

彼女は私の腕にそっと手を置いた。離す、また置く。汗ばんだ手のひらが、私の手首のあたりを二度、三度と撫でるような仕草で触れた。身体の距離は、先週よりさらに近くなっている。昼の光が閉め切ったブラインドの隙間から差し込み、塵が金色に踊る部屋で、二人分の呼吸の音が妙に大きく聞こえた。

夕食の終わった茶の間で、私は何をするでもなく座っていた。テレビの音が小さく流れ、裏の風呂場から湯の沸く音がきこえる。梨沙が台所で食器を片づけながら、背中越しに話しかけてきた。

「ねぇ、あの店の女、旦那さんいないんでしょ」

「ああ。前はいたらしいけど、別れて、娘さんと二人だよ」

「ふうん、あの女が。へぇ、それで田中さんが行くとちょうどいいんじゃない?旦那がいないと寂しくて、雇ったおじさんに色目使うんじゃないの」

「馬鹿言うなよ。オーナーは真面目に仕事してるだけだ」

「ただのバイトに毎日弁当出して、身体くっつけてるって、お前、自分で言ったじゃない。あんな若くもない女のどこがいいのよ」

「若くもないとか、そういう話はよせって」

「親子丼するなら、ちゃんと言ってくれたらいいのよ。私、化粧ぐらいしてやるから」

梨沙は食器を拭く手を休めず、声だけは明るく、けれどその明るさが刃のように薄かった。私は返す言葉を探し、湯飲みに残った麦茶を飲み干した。氷が溶けてぬるく甘い。喉の奥に、昼のあの汗ばんだ太腿の感触がよみがえって、体中の血が下へ集まっていくようだった。

風呂に入っても、直美さんの汗の匂いとジャージの感触が剥がれない。湯に浸かって目を閉じると、白い湯気の向こうに、あの桜色の大きな下着が揺れ、その奥から色あせた笑い声が聞こえてくる気がした。

その夜、私は床に就いてからも眠れず、隣で梨沙が眠る息を聞いていた。暗い天井を睨んだまま、先週の倉庫での光景を思い返す。段ボールの前で屈み、尻を突き出した背中。よじれて下着の線がのぼる、あの肉感的な曲線。笑いながら私の腕をつかんだ小さな手。今年の湿気は、まだ本番でもないのに、私の寝間着の下をじっとりと湿らせていた。明日のシフトは昼からだ。店の裏手で、またあの干された下着が揺れる。私は寝返りを打ち、由佳さんの含み笑いと、直美さんの湿った声が、頭の芯でこだまするのを聞きながら、ただ朝にならないことを祈るように目を閉じていた。

第3章 倉庫で抱きつかれ唇を奪われたシニアバイトが雇い主の熱い粘膜へ抗えず挿入する

第3章のシーン

第3章: 倉庫で抱きつかれ唇を奪われたシニアバイトが雇い主の熱い粘膜へ抗えず挿入する

翌日の午後、店の裏手から倉庫へ抜ける勝手口の前で、私は足を止めた。昼下がりの日差しが舗道をじりじりと焼き、軒下に吊るされた風鈴の代わりのような古い温度計が三十五度を指している。シャツの背中は朝から汗で濡れ、首の後ろには湿った空気がへばりついていた。店の奥でレジを打つ音が途切れ、かわりに若い女の声が近づいてくる。

「あ、田中さん、お疲れさまです。倉庫、今ママしかいないんで、ゆっくりしていってくださいね」

由佳さんはレジ横のカウンターから身を乗り出し、私の腕に手をかけて、そのまま背を押した。制服のエプロンの胸元がくしゃりと折れ、茶色がかった瞳がいたずらっぽく細められる。彼女は私の耳元に顔を寄せ、声を落とした。

「ママ、昨日からずっとそわそわしてて、今日は特に気合い入ってるみたいなんですよ。昼から下着、新しいのに替えたって言ってました」

「由佳さん、そういう冗談は……」

「冗談じゃないです。あ、でも私、レジから動けないんで、何があっても気にしないでください。音、あんまり聞こえないようにするんで」

彼女はそう言って引き戸を開け、私の背を軽く押した。私は後ろを振り返る間もなく、薄暗い廊下を三歩踏み出していた。後ろで戸が閉まる。由佳さんの笑い声が、小さく廊下に残った。

倉庫の中は、昼でも薄暗かった。天井の蛍光灯が一本、黄ばんだ光を放ち、もう一本は点滅を繰り返してやんだ。段ボールの山が三方の壁に積まれ、中央の床には古い木のパレットが敷かれている。空気は粉っぽく、それでいて生ぬるく、米ぬかと油と新聞紙の匂いが舌の上に甘苦く広がる。直美さんは奥の棚の前で、私に背を向けて立っていた。

「田中さん」

声だけが先に届く。いつもより低く、喉の奥に水を含んだような声だった。ゆっくりこちらを振り向いた彼女の黒い目が、薄明かりの中でぎらりと光る。目が合った瞬間、胸の奥を掴まれたような息苦しさが走った。彼女は何も言わず、私の方へ一歩、また一歩と近づいてくる。

「オーナー、伝票なら朝のうちに住居側の机で……」

「もういいのよ、そんな話」

彼女は私の真ん前で立ち止まった。距離は一尺もない。白いTシャツの胸元が汗でうっすら透けて、下着の花模様と、その下の肉の陰りを浮かび上がらせている。ジャージの腰ひもがだらりと垂れ、太腿のあたりは布がしわになって、動くたびに内腿の肉がむにゅりと寄った。甘ったるい汗と、洗い立ての布の匂いが混ざり、鼻の奥をじんと刺激する。私は半歩後ろへ下がった。背中が、閉まったドアに触れる。

「少し、外の空気を吸ってきます」

「だめ」

彼女の手が私の手首を掴んだ。その指は汗ばんで熱く、骨の上をすべるように絡みつく。外へ出ようと体を横に向けた瞬間、背中に柔らかいものが押しつけられた。乳房の厚みが、私の肩甲骨のあたりへぐにゅりと潰れる。背筋から、腹の底まで震えが走った。

「ねぇ、しよっ」

耳元に息が吹き込まれる。湿った声が、耳の穴の産毛を撫でて奥へ染みてくる。彼女の指先が私の脇腹を這い上がり、胸のあたりで一度止まり、ボタンの隙間へ入ってくる。俺は妻帯者で、この人は雇い主で、由佳さんも店の向こうにいる。そう言い聞かせる理性は、けれどこしこしと下腹部をまさぐる指の熱に、溶かされた砂糖のように崩れていった。

「直美さん、駄目です。私には妻が、それに、ここは店の倉庫で……」

振り向きかけた私の口を、彼女の唇が塞いだ。厚みのある、柔らかな唇。そのまま、ぬるりと熱い舌が割り入ってくる。私の舌を追いかけ、歯の裏をなぞり、息を吸われる。口の中いっぱいに、冷やし飴のような甘い唾液と、微かな煙草の味が広がった。鼻にかかる彼女の呼吸が、くぐもった音を漏らす。私は逃げるように顔を引こうとしたが、彼女は私の首に両腕を回し、体全体を押しつけて離さない。

「ん、は……修一、さん」

唇を離した直美さんが、赤い顔のまま微笑んだ。濡れた唇がてらてらと光り、糸を引く唾液が、私の下唇と彼女の上唇を繋いで切れる。彼女は片手で自分のジャージの腰ひもを解き、下腹部までぐいと下げた。下着は、朝に替えたと言っていた白いもので、中央にはっきりと染みが浮いている。それを指で横に押しのけ、ぽっかりと開いた割れ目の奥を私の手のひらへ押し当ててきた。ぬめっとした熱い粘膜が、指を包む。

「ほら、触って。私、もうこんなになってるのよ」

指の腹に、びっしりと生えた陰毛のざらつきと、ぬるぬるの雫がまとわりつく。私は声も出せず、ただ彼女の手に導かれるまま二本の指をぬかるみへ沈み込ませた。くちゅ、と小さな水音が立つ。

「ひゃ……ん」

直美さんは背中を仰け反らせ、私の首筋に顔を埋めた。腰が小さく揺れ、指に絡みつく内襞が収縮する。そのまま彼女は私のズボンの前をまさぐり、固くなったものを外へ引き出した。むわりとカウパーの匂いが、粉っぽい倉庫の空気に混ざる。彼女はひざを折り、私の腰へまたがるように体を密着させてきた。小柄な彼女が背伸びをして、ぬめる先端を自分の入口へ擦りつける。割れ目の肉が二つに割れ、とろとろと溢れる汁が二人の恥毛を濡らした。

「お入りよ、修一さん」

自力で逃げられない。いや、逃げる気をとっくに失った私の体が、彼女の小さな手のぬくもりの中で一点だけ熱を溜めていた。直美さんは私の両肩に手を置き、爪先立ちのまま腰を沈める。ぬちゅ、ぬちゅ、と音が続き、灼けた肉筒が亀頭をくわえこむ。途端、全身の毛穴から汗が吹き出した。根元まで一気に沈めると、彼女は首をのけ反らせ、太ももを内側に震わせた。

「ん、あぁ……すご、い……いっぱい、きてる……」

倉庫の暑い空気の中、私と直美さんは立ったまま正面から結ばれた。彼女が私の腰に両脚を巻きつけ、背後の段ボールに背中を押しつけると、自重でさらに奥まで加え込まれる。ぬるり、ぬるり、太い血管の浮いた陰茎が、狭い襞をこじ開けていく。ずりゅ、と粘った音が倉庫の壁に反響して、二人の間に満ちた。

「動いて。私が擦ってあげるから」

直美さんは私の首に抱きつき、腰を前後に振り始めた。垂れ気味の大きな乳房が、擦りつけるたびに汗ばんだ肌と肌の間で上下左右に弾む。私の胸に押し潰された乳首が、ぷつぷつと固くしこって、彼女の甘い息が耳元を湿らせた。

「んっ、はぁ、ん、そこ、あたる……おく、おくまで、きてるよぉ」

彼女の腰の動きに合わせて、私の奥歯が噛み合わない。腹の奥に溜まった精の塊が、あっという間に育っていく。直美さんはぐちゅぐちゅとかき混ぜるように円を描き、時折、私の胸板を爪で掻いた。結合部から泡立った愛液が溢れ落ち、私のズボンの前をぐっしょりと濡らす。

「もう、出る。直美さん、私、離れて」

「いいの。中へ。一番奥で出して」

耳の裏へ舌を入れられ、腰が跳ねた。彼女の内壁が陰茎を引きちぎれんばかりに締まり、私の中心も堰を切って精を吐き出した。どくん、どくん、と数度にわたる脈動が、彼女の子宮口へ白濁をぶちまけていく。

「あぁ……出た、いっぱい出したね。ふふ、全部、感じるよ」

直美さんは脱力した私に全体重を預け、結合を解かずに喘いでいた。腹と腹の間で、ぬるい汗と精液が混ざり、太い糸のようなそれが二人の足元へ垂れていく。彼女の内ももを白い筋が数本流れ、パレットの隙間へぽたぽたと落ちる音がやけに汚らしく、そして妙に心地よい。私は立っているのがやっとで、肩で息をしながら、ただ直美さんの熱い重みを感じていた。

「ねぇ、田中さん。奥さんと別れて、うちへ来ない。私、こんなに奉仕できる女、他にいないでしょう。毎日、朝でも夜でもしてあげられるわよ」

直美さんは私の陰茎がまだ彼女の内側で硬いままなのを確かめるように、腰を数回揺すり、卑猥な音を立てる。満足そうに笑い、私の耳たぶを食んだ。倉庫の外では、由佳さんが店の商品を並べる音がかすかにする。人の気配がある。それなのに、私は彼女を放れられなかった。

「返事はあとでね。今は、もう一回。後ろからがいいの」

彼女は名残惜しそうに体を離すと、結合部から白い粘液をとろりと溢れさせたまま、くるりと私に背を向けた。パレットに両手をつき、汗で光る大きな尻を突き出す。割れ目の下の穴まで、滴り落ちた精液が筋を作って濡らしている。彼女は指で陰唇を左右に開き、ぱっくりと桃色の肉を見せつけた。

「ほら、修一さん。ここ、入れて」

立ったまま、後ろから突き入れる。肉厚な尻が私の腰を弾ませ、遠慮のない恥音が倉庫に響く。

「真面目な店主の開店中に、騎乗位だの後背位だの、あんた最低の店員だな」

自分でもそう思いながら、私は彼女の腰を掴んで何度も突いた。姦通の昂りが頭の奥まで痺れさせ、直美さんは口元を手の甲で覆い、声を殺して背をのけ反らせる。二回目の射精はあっという間だった。ぐちゅ、と中途半端な音を残して、注ぎ込んだ白濁が彼女の割れ目から溢れ、排水溝のようにぬらぬらと床へ垂れる。私の精と彼女の汁が混ざり、青い工場靴の鼻先にまで飛んだ。直美さんは、しかし満足そうに笑いながら、四つん這いのまま首を回してこちらを見上げた。

「へへ……二回も出したね。若いみたい」

彼女は体を起こし、床の精液を一瞥すると、脱ぎ捨てた下着で自分の下肢を拭き始めた。あの白い下着は精液と愛液でしみだらけになり、小さく絞ると、ぬるい蜜が垂れた。

「ねぇ、田中さん、これ、持って帰りなさいよ。中に私いっぱい詰まってるから」

悪びれもなくそう言って、直美さんは下着を私の胸に押しつけた。粉っぽい倉庫の空気に、生臭く甘い女の匂いが飽和する。私の下半身はまだ彼女の余韻で熱い。踵がわずかに震えていた。

その時、ドアの向こうから由佳さんの声が聞こえた。慌てて距離を取る私を見て、直美さんは濡れた唇をほころばせる。

「ママ、すごい声抑えてたけど、音は全部聞こえてましたよ。えへへ」

由佳さんの明るい声が、倉庫の黄色い光の中へ転がり込む。私は事後のぐちゃぐちゃになった股間を、脱ぎ捨てたジャージの裾で隠すのがやっとだった。床にはまだ白い粘液が散っている。パレットの木目に吸い込まれた精が、黒ずんだ染みを広げている。鼻の奥にこびりついて離れない饐えた匂い。直美さんは濡れた陰部を拭きながら、床の精液を見下ろして満足げに笑っていた。

第4章 娘に音を聞かれた情事の後で本番をねだられ妻へ言い訳を探す

第4章のシーン

倉庫のドアが、ためらいの気配ひとつ見せずに引き開けられた。由佳さんが片手に白いコンビニ袋をぶら下げ、黄色い蛍光灯の下へひょいと顔を出す。視線は母のほうへ一瞬も向けられない。まっすぐ私のところへ歩み寄り、汗と精液の匂いがまだ濃く澱んだ空気のなかで、何事もなかったかのように、するりと笑った。

「お待たせしました。私、こういうの初めてだったんで、何持ってくりゃいいか分かんなくて」

彼女の言う「こういうの」が何を指しているのか、私の頭は咄嗟には追いつかない。由佳さんはパイプ椅子を一脚引き寄せると、ビニール袋から透明なパックを取り出した。シュークリームが二つ、行儀よく並んでいる。たっぷりと詰められたカスタードが、パックの縁に押され、白っぽい湯気を上げているようにすら見えた。

「ママと田中さん、二人分です。食べて、元気つけてから行ってくださいね」

「由佳、あんた、勝手にレジ閉めていいの」

「チャイム鳴らしといたんで、大丈夫。それに今は、お客さんよりこっちの方が大事じゃないですか」

直美さんは呆れたように首を振ったけれど、口元はふわりと崩れている。濡れたままの髪が額に張りつき、薄いTシャツは汗で肌に透けて、ついさっきまでの情事の跡をくっきりと浮かべていた。由佳さんはそんな母を恥ずかしがらせようともせず、私の真横に立つと、ビニール袋から紙ナプキンまで抜き出して差し出す。

「田中さん、手、べたべたでしょ。これで拭いてから食べてください。ママに何かこぼされたら、そのまま店出られませんからね」

「あ、ありがとうございます」

喉の奥から、張りついた空気を押し出すようにして礼を絞り出し、紙ナプキンを受け取った。指先が細かく震えているのは、二度の射精の抜け殻のせいばかりではない。由佳さんの耳に、あの倉庫の中で響いたすべての音が届いていた。その事実が、薄暗い壁のあいだを幾度も反響し、私の鼓膜を内側から叩き続ける。

「じゃあ、私、表に戻ってます。出発は私に言ってからにしてくださいね。壮行会、最後までやる予定なんで」

彼女はそう言い残すと、シュークリームの包みを一つ摘まみ、歌うような足取りで倉庫を出ていった。残されたパイプ椅子の上には、私と直美さんの分の菓子が二つ、汗ばんだ空気に照らされて並んでいる。

「あの子、ずいぶん張り切っちゃって。田中さん、嫌になった?」

直美さんが、私の膝にそっと手を置いたまま尋ねる。まだ生温かい手のひら。ついさっきまで私の腰に巻きついていた、あの足の体温と同じ熱さが、作業ズボンの布をゆっくりと透ってくる。

「嫌では、ないです。ただ、気が動転してしまって」

「そう。なら、いいのよ」

彼女は膝から手を離さない。むしろ指をわずかに開き、太腿の内側へ這わせるように滑らせた。汗で張りついた作業ズボン越しに、彼女の指の形が熱く、まざまざと浮かび上がる。床に敷いた段ボールの上で、シュークリームの包み紙が湿気を吸い、しなしなと小さく音を立てた。

「今晩、うちへ来るんでしょう。店、七時に閉めて、あの子も上がりだから」

「今晩、ですか」

「来れるわよね。奥さんには、遅くなるって言っといて」

直美さんは私の返事を待たずにシュークリームを取り、一口かじった。カスタードが唇の端に白くついて、それを分厚い舌先でゆっくりと舐めとる。乳白色に濡れた唇が、薄闇のなかでぬらりと光った。私の腹の奥で、疼きが再び頭をもたげる。情事の余韻がまだ褪せない身体は、彼女の唇が動くのを目で追うだけで、砕けた電球の下でもはっきりと熱を取り戻していく。

「食べないの? 甘いもの、要るでしょ」

私は曖昧にうなずき、残った一つへ手を伸ばした。表面のシュー生地が、手のひらの熱でしっとりと汗をかく。かじると、冷たいカスタードが舌の上でとろりとほどけ、鼻の奥へ甘い卵の香りが抜けた。粉っぽい倉庫の空気に、コンビニ菓子の匂いが厚く混ざり合い、奇妙なほど生々しく肺を満たす。

「修一さん、さっきの、すごく良かったわよ。二回目、特に」

彼女は声をひそめ、私の耳元へ囁いた。シュークリームの甘い吐息が、耳の産毛をぬるく撫でる。私の指から砕けた生地がぽろぽろとこぼれ落ちても、彼女は気にしない。むしろ、私の太腿を掴む手に力を込め、内側をぐっと押してきた。その手がするりと付け根を遡り、作業ズボンの前、乾きかけた染みの上から緩く包み込む。萎えたはずのものが布越しにびくりと震えるのを、彼女は確かめるように一度だけ指を握り込み、それから何事もなかったかのように手を離した。

「今日はこの後、あの子が家で待ってるから。ちゃんと、身体を綺麗にしてから来てね」

「由佳さんも、ご一緒に?」

「何言ってるの。あの子は自分の部屋に引っ込むわよ。それとも、聞かれると興奮するの?」

直美さんは目を細めて笑った。私は首を振るしかない。だが、心のどこかで、由佳さんがまたドアの向こうで息を潜めているのではないかという考えが薄く横切り、それが腹の底をぞわりと泡立たせた。

「冗談よ。顔、赤くなってる。ほんと、可愛いんだから」

彼女は私の頬に手をやると、親指で汗を拭うようにゆっくりと擦った。それから立ち上がり、ジャージのゴムを腰まで引き上げる。下着を着けていないものだから、腰をしゃがませた拍子に黒い茂みがのぞいた。直美さんは気にする様子もなく、床に散らばった紙ナプキンや脱ぎ捨てた下着を拾い集め、足元の精液を自分の靴裏で擦り広げていく。

「後は、奥で流してくるわ。田中さんは、先に表へ出てなさい。由佳に、行く時間だけ伝えて」

私は返事の代わりに、床からようやく腰を上げた。太腿の内側は、自分だけのものではない液体で冷たく湿り、動くたびに布が肌へ張りついて、不愉快なほど確かな感触を残す。倉庫を出る間、背後から彼女の含み笑いが追いかけてきた。振り返らなかった。振り返れば、またあの入り口まで戻ってしまいそうな気がした。

それから三十分ほど表で風に当たっていると、由佳さんが店の外まで出てきて、私の腕に冷たい小銭とレシートの束を押しつけた。

「田中さん、これ、奥の金庫に入れるやつ、ママがやってくれって」

「あ、でも私は、倉庫の外は」

「大丈夫。私が鍵開けてるから。それに、もう田中さんはお店の人みたいなものですよ。ね、ママ」

由佳さんは今にも泣き出しそうな明るさでくるりと振り返り、店の奥に向かって声を張り上げた。ちょうど出てきた直美さんは、濡れた顔のままあくびを一つ漏らし、「そうねえ」とだけ応える。わざとらしい間延びした声が、生ぬるい夕風に溶けて消え、店先の暖簾がゆるく揺れた。

家へ向かう電車のなかだった。吊り革に掴まりながら、ズボンの前の染みが乾いて肌の上で硬い張りになった部分を、何度も掌で隠す。車内は冷房が効いて、汗ばんだ背中がひやりと冷えるのに、下半身だけはまだ彼女の体温が張りついているようだった。隣の乗客の肩が触れるたび、倉庫の壁に押しつけられた時の肉と肉の感触がよみがえり、心臓が浅い拍を繰り返す。

携帯電話が震えた。画面を開く前から、耳の奥で梨沙の声がしている。まだ電話を取ってもいないのに、甲高い着信音だけが、電車の穏やかな走行音を破っていった。仕方なく耳に当てると、妻の冴えた声が飛び込んでくる。

「遅いからかけたのよ。今日、七時上がりでしょ。もう八時過ぎてるんだけど」

「ああ、悪い。店の近所で、棚卸しが長引いてしまってな。伝票の数字が合わなくて、やり直しだよ」

「棚卸し? あの店、あんだけ狭いのに、そんなに時間かかるの?」

「小さいから、余計に昔ながらのやり方でさ。全部、紙で数えてるんだ」

吊り革を握る手に、汗がじわりと浮いた。嘘のたびに、呼吸の間へ小さな棘が混ざる。梨沙は電話の向こうで、ふうん、と鼻を鳴らすだけだった。責められているわけでもないのに、首の後ろが握りつぶされるように熱い。

「まあいいや。飯、冷やしておくから、帰ったら食いなよ。先、寝てるかもしれないけど」

「分かった。そのまま休んでてくれ」

通話が切れた瞬間、全身の力が細く抜けた。車窓に自分の顔が映る。薄暗いガラスの向こう、疲れ果てて蒼ざめた男が、唇だけを噛みしめている。直美さんの唾液の味が、まだ舌の裏にこびりついていた。何度口を閉じても、ぬるい甘さが歯茎にへばりついて消えない。

自宅へ帰り着くと、私は居間へは寄らず、そのまま風呂場へ向かった。湯を勢いよく浴びる。汗と粉塵と、あの女の内側から溢れた粘液。それらが排水口へ渦を巻いて流れていくのが、白い湯煙の隙間からぼんやり見えた。頭のてっぺんから爪先まで洗い、肌が赤くなるまで擦ったのに、指先はまだ、あのぬかるんだ内襞の形を覚えている。指先だけではなかった。身体の芯に、あの感触がへばりついて離れない。彼女の奥で締めつけられた熱い輪の重み、くちゅっと絡み合う水音、耳元に落ちる低い喘ぎ。二度目に腰をがくがくと震わせてしがみついてきた体温や、汗ばんだ腹と腹が張りついては離れる、粘り気のある音。湯に当たるたびに、それらがざらりと甦り、私はまたあの倉庫の奥へ引き戻されそうになる。額を壁に押しつけ、熱い湯を背中へ叩きつけながら、浅い息を繰り返した。閉じた目の裏に、丸い顔が浮かぶ。厚い唇が笑い、背後のドアの隙間から由佳さんの黒い目が覗いていた。何を言おうとしていたのか、分かっている。彼女まで、私をあの奥へ戻そうとしている。湯気の向こうで、二人分の笑い声が重なり、弾けた。

風呂から上がり、冷めた夕飯をひと口だけ胃に流し込んで、梨沙が眠る寝室の前をそっと通り過ぎる。廊下の灯りを落とし、自分の布団へ潜り込んで目を閉じた途端、枕元の携帯が再び静かに震えた。手を伸ばして画面を開くと、直美さんからのメッセージがひとつ。

「あのシュークリーム、本当はもっと違うクリーム、かけてあげたかったな。明日、楽しみにしてるのよ」

文字の並びはあくまで柔らかいのに、その奥に夜の湿度がまとわりついている。添付された写真は、昨日履いていたのと同じ色合いの下着が、洗面所の隅に無造作に掛けられている一枚だけ。何気ない生活の一部を切り取ったような画像なのに、私の腹の底は、それを見ただけで鈍く火が灯る。布団のなかで寝返りを打つたび、乾いたはずの指先と、湯に流したはずの粘液の名残が、まだ掌の奥で脈を打っていた。明かりを消した部屋の天井を、夜の空気がゆっくりと沈んでいく。私は返信を打てないまま、画面の文字を何度も目でなぞり、やがて眠るでも覚めるでもない浅い闇のなかへ沈んでいった。

翌朝、眠れたのか眠れなかったのか、はっきりしない頭のまま身支度をして、いつもの時間にシャツを着た。洗濯機から出したばかりの服のどこにも、あの匂いはなくなっている。けれど、ハンガーを外した自分の手のひらをそっと嗅ぐ仕草を、鏡の中の男は目を逸らしながらやっていた。梨沙はまだ奥で眠っている。玄関の鍵を回し、外へ出る。朝の空気が、肺の奥まで透明に冷えていた。

店の自動ドアが開くと、シュークリームの匂いなど消え失せ、普段通りの醤油と鰹節の空気が、私のズボンの裾まで一気に絡んでくる。由佳さんがレジから顔を出し、今日も明るく、少しあどけない節をつけて言った。

「おはようございます。田中さん、今日はいつもより早いですね」

「ああ、少し目が覚めてしまって。おはようございます」

「ママ、奥です。朝からずっと、倉庫の前をうろうろしてましたよ」

「はあ、そうですか」

「私、分かってるんですから。早く行ってあげないと、ママ、また一人で鼻歌始めますよ」

由佳さんは、昨日のことを昨夜のうちにすべて忘れたかのような顔で笑う。いや、忘れるどころか、それが彼女にとっては当たり前の、家族の予定くらいの軽さなのだ。高校生の、けれど十七歳の目には、色のない好奇心がうっすらと光っている。私は何も言わず、ぺこりと会釈だけして、店の奥へ向かった。

倉庫の戸を少し開けると、朝のひんやりした空気が、さっと足元にまとわりついた。直美さんは奥の壁際で、小さく背中を丸めて段ボールを抱えている。今日も、くたびれたジャージ。腰のあたりが白っぽく毛羽立った、あの灰色の布。彼女が前かがみになって箱を下ろすたび、股の布地が尻の割れ目へ食い込み、肉の弧が縦に二つ、くっきりと割れて浮いた。耳の奥で、自分の吐いた一つの息だけが、やけにひときわ大きく聞こえる。足が、勝手に一歩を踏み出していた。

直美さんが振り返る。私の顔を見ると、昨日の疲れなど見えない顔で、ゆっくりと笑った。その笑い方は、店先で客を迎える時のものとも、由佳さんに見せる母のものとも違う。もっと深く、性急で、それでいて紙粘土のように柔らかい。

「おいで」

彼女が右手を差し出す。私は、その手を取らない。取れない。それでも、自分の爪先が倉庫の敷居を越えて、乾いたコンクリートの上へ進む。彼女の手が、私の指先をすくい上げた。掌と掌が、湿らない朝の空気の中で、小さく擦れて熱い。

「来れたね」

直美さんは、私の指の冷たさを確かめるように、両手で何度もさすった。それから片手に持ち替え、人差し指の腹で私の掌の中心を、ゆっくりと円を描くようにくすぐる。何かを書いているのか、約束を刻んでいるのか。じれったい痺れが掌の内側から腕を伝い、胸の奥まで染みていく。言葉よりも確かなもので、この先に待っていることを、指先だけが予告していた。

倉庫の外からは、由佳さんがレジのトレーを下ろす、かすかな金属の音が聞こえている。私は空気を胸いっぱいに吸い込んで、その一呼吸の底に、まだ自分の中に残っている女の熱を抱えた。

第5章 妻の顔と直美の笑みが重なる夜に終わらない親子の誘いが続く

第5章 妻の顔と直美の笑みが重なる夜に終わらない親子の誘いが続く

夕方の閉店間際、店の奥の勝手口から住居へ続く廊下は、昼の熱をため込んだまま蒸れていた。直美が私の手首をつかみ、無言のまま浴室の扉を押し開く。脱衣所の蛍光灯はまだ点けられておらず、窓から差し込む西日だけが、洗濯機の白い蓋と、床に落ちた一本の髪の毛を橙色に浮かび上がらせていた。

「今日は、店じゃなくて、こっち。汗、流してからにしましょ。私が背中、洗ってあげる」

直美は振り返りもせず、シャワーの栓をひねった。古い給湯器が低く唸り、やがて湯気が浴室の鏡を白く曇らせていく。彼女は手早くTシャツを脱ぎ、ブラジャーのホックを背中で外すと、小柄な身体に不釣り合いなほど豊かな乳房が、汗の光を帯びて揺れた。桜色の乳首はすでに硬く尖り、薄暗い中で私の目を吸い寄せる。彼女は私の顔を見て、含み笑いをこぼした。

「なに、また朝みたいな顔して。今日は逃がさないわよ。ほら、脱ぎなさい」

「オーナー、まだ店の片づけが」

「片づけなんて、由佳に任せてあるの。あの子、気が利くから、二人分の音も聞こえないふりして全部やってくれるわ。あなたは私の背中を洗う係。いいでしょう?」

私は否応もなく作業着の上着を脱がされ、汗の染みた肌着を頭から引き抜かれた。浴室の湿った空気が、老いた肌の汗を冷やしていく。直美は洗面器に湯を張り、手桶で私の肩へかけながら、後ろから石けんを泡立てはじめた。石けんの匂いは懐かしい、子どもたちがまだ家にいた頃の、夕方の我が家の匂いだった。そこへ、直美の乳首が背中へ押し当てられる。ぬるりと泡の上を滑る二つの粒が、肩甲骨の間を何度も行き来した。

「奥さん、今日も飲むんでしょ。電話、あとでかけておきなさい。冷蔵庫に、昨日の煮物があるって言えば、男は帰ってくるなんて疑わないわよ」

「昨日は、飯も食わずに寝てました。たぶん、怒ってます」

「いいえ、拗ねてるだけ。あんたが私と会ってること、とっくに気づいてるのよ。女はね、最後の一歩が怖いの。夫が帰ってこない夜、女は一人で酒を舐めて、あんたの枕に顔を埋めて泣くの。それでも、夫の帰りを待つしかないのよ」

彼女の声は、浴室の壁に吸われ、私の耳の奥で熱を持つ。私は何も言い返せなかった。直美は泡のついた手のひらを脇腹から腰へ滑らせ、前の茂みへ当てこすった。痛くもない、けれど射精前の睾丸をやわやわと揺らす、あの女だけが知る指の動きだった。私は壁へ手をつき、息を殺した。湯気の奥で鏡に映る私の顔は、情けなく目を閉じて、唇だけが半開きになっている。背後の直美は、鼻歌まじりに私の腰と性器を泡で包み、まるで茶碗でも洗うように丁寧に攥れさせた。

「浴室は狭いから、後ろからいきましょ。壁に片手、ついて。私がこのまま跨ってあげるから、あなたは何も考えなくていいのよ」

洗い流されるべき泡が、足元へ白く流れ落ちる。私の性器は湯と石けんと女の指でぬかるみ、太腿まで泡で覆われていた。直美が私の肩を軽く押すと、私は無意識に壁へ両手を突いていた。見下ろすと、蛇口の上に青い柄の剃刀が置かれている。その古めかしい青が、私の背筋を不意に縮ませ、そして、妻の洗面台を思い出させる。直美が私の腰へ背後から密着した。彼女の下生えの硬い感触が、尻の割れ目をくすぐり、その下の熱い唇のようなものが、私の竿へ下から食いついた。

「今日は、このまま挿れたげる。檜の匂い、しないけど、お湯と汗だけでぬるぬるでしょ。私の下も、朝から、ずっと私の汁で滑ってるの」

ぬちっ、と先端が彼女の入口を割る。小さな入口は、かたく閉じた桜の蕾のようでありながら、私の先端を咥えると途端にだらしなく噛みついてきた。直美は背伸びをしながら膝のばねで逃げる私の腰を押さえ、ずぶり、と一息に座り込んだ。生温い湯垢と石けんが混じった滑りが、陰茎の根本まで到達する。しばらくして、彼女の吐息が私の後頭部へかかった。

「どう。お風呂の中で、全部、奥まで挿れられて。奥さんと何度もした、ホテルの朝風呂みたいでしょう。違う、ここはあんたの家じゃないの。私の体の中が、あんたの家になるのよ」

「直美さん、腰が、勝手に」

「勝手に動けばいいの。自然なことよ。ほら、あたしの脚に、あんたがはまってる。人って、熱いお湯の中で繋がると、もうどっちの汗か分からなくなるのね」

彼女の右手が、私のへその下から下生えを何度も往復し、結合部の泡と愛液を指の腹で掻き混ぜた。くちゃくちゅ、と浴室の中いっぱいに鳴る水音は、私の獣じみた呼吸と重なって、排気口へ吸い込まれていく。私は肩越しに振り返り、直美の濡れた前髪が頬へ張りつくのを見た。同時に、私の腰が彼女のリズムへ叩きつけられる。百も二百も、自分が何度打ちつけているか分からない。ただ、白いタイルの目地が、滲んでゆがんで見える。目線の先で、風呂椅子が小刻みに震えていた。

「そう、その調子。あたしの奥、あんたの形に蠢いてる。……あ、ぁ、イきそ。……朝の精子がまだ中にいるのに、今度は夜のやつで子宮まで満タンにされる。修一さん、はやく、奥へ。……奥へ打ちつけて、ぜんぶ出して」

直美が爪を私の尻へ食い込ませ、うしろから私の喉元を抱え込む。首を絞められるようにして初めて、身体中の血が下腹へ降りていくのが分かる。どくん、どくん、と睾丸が大きく脈打つ。私は壁へ額をこするようにして、声にならない声を吐いた。陰茎が内側から破裂し、生温かい奔流が直美の奥を泡立てる。直美も小さく悲鳴をこぼして、私の肩に噛みついた。締めつけが波のように続き、骨盤の奥で、女の子宮が男の精を甘え鳴きしながら飲み込んでいくのが、腹の壁越しにはっきりと伝わってくる。

「……ん……いっぱい出た……今日も濃い、あつい……まだ入れたままでいて……」

二人は、湯も追い焚きもない浴室で、立ったまま抱き合い、呼吸を零した。排水溝からは、石けんと精液の混じった白い筋がゆっくりと消えていく。蛇口の水滴だけが、間を置いて鏡へ跳ね、それが、二人の腰の震えと重なった。私は、妻の名を呼びそうになる自分の唇を噛んだ。直美は私の身体をくるりと返すと、今度は正面から私の首へ手を回し、半ば抱きつくようにして浴槽の縁へ座らせた。湯のない浴槽は、冷たいプラスチックの硬さを私の太腿の裏へ当てる。彼女は笑いながら、結合を解くと、私の腿を跨ぎ直した。

「今度は、前から。顔、見せて。もう寝てるんじゃないの、あなたの奥さんは、どうせ一人で缶ビール片手に野球中継よ。私は、こうしてあんたと同じ湯気の中で、二回、男に中へ出されてるところ。……生きた心地がするでしょう」

直美は私の陰茎を指で持ち上げ、先走りと残った白濁をぬるぬると他人の手形みたいに塗り広げた。浴槽の縁に背中を預けた私の視界で、彼女は自分の割れ目を左右へ指で押し広げる。内側の粘膜は、桜貝から蒸れた梅のような色へ変わって、白い滝の名残をとろとろと溢れさせていた。彼女の指が、私の先端をその中へ再び沈め、くちゅ、と蛙の鳴くような音。今度は対面座位のまま、彼女が私の太腿の上で腰を前後に転がす。私は直美の乳房へ顔を埋め、左手で彼女の尻たぶを搾り、右手で下生えの上の窪みを押した。腹の奥で、また熱い塊が目を覚ます。

「祭りの前から、こんなに毎晩して。あの子が笑うのも無理ないわ。……今日、由佳がね、修一さんの歯ブラシ、買っといたのよ。青と、ピンクと、黄色って。家族三人分、並べておくんだって。もう、あんたの居場所はここにあるの」

彼女の声が、浴室の壁を何度も反響して、天井の湯気の中でほどけていく。私の首筋へ、汗と湯、女の唾液が幾筋も流れた。直美は私の前で、ゆっくりと顔をのけ反らせる。その口から、名も知らぬ声が長く洩れ、彼女の内側が、私のもの全体をくわえ込みながら収縮した。私の頭の芯がしびれ、腹のどこかで「もう、帰らなくていいんだ」と囁く己がいる。いや、帰らなければ。そう思うたび、腰は直美の奥を深く穿ち、直美は喉を反らして啼く。相反する二つの熱が背骨を走り、やがて一つに溶けた。

「ん、んんっ……また、来る……私、もう、あんたと離れられない。ほら、修一さん、奥まで見て。私のここ、ご飯粒みたいになってる。あんたの白いのが、私の赤い肉の下から、もう隠しきれないのよ」

彼女が腰ごしに体重を前へ傾けるたび、結合部から泡立った白濁が空気を吸って膨れ、ぐぱり、と淫らに唇を開いて見せた。私は直美の腰を両手で押さえ、もう自分の腰だとは思えない動きで、浴槽の底を蹴るように何度も突いた。直美の喉が、壊れた笛のような音を立て、揺れる乳房の先端から汗が飛んだ。二度目の射精は、どろどろで量がなく、その代わりに尿道ごと持っていかれるような痺れが睾丸の奥から腹筋を駆け抜けていく。

「……悪い女で、いいのよ。今度は……あんたの、本当の帰る家を、決めさせるから」

風呂場の蛍光灯が、ようやく青白く点灯した。直美の手が、私の背中に真っ赤な掻き傷を作っている。その傷が冷えて疼くほど、私は彼女の内側でなおも生き続けた。

しばらくして、二人は湯を使わぬまま脱衣所へ出て、濡れた身体をバスタオルで拭いた。直美は私の下着を裏返して溜め息をつき、新しいトランクスを何処からか出してくれた。赤錆色の古びた箪笥からは、桜餅の匂いにも似た防虫剤の匂いがする。私の妻はもう何年も、私のために下着を選んでくれなかった。直美が差し出す布を受け取りながら、私は唇の端が自然に緩むのを感じた。

居間へ通されると、テレビの上に小さな仏壇があった。高橋家の先祖と、直美の元夫だろう、角ばった額の男の写真が並んでいる。だが、私は熱りを帯びた目で、そこに直美の白いうなじだけを見ていた。卓上には茶碗に盛られた冷たい素麺が二つ用意されていて、直美が私の隣へ座ると、太腿の外側が当たる。二人で箸を動かすと、薬味の葱の匂いが混じり、居間の空気までつやめいて感じられた。私たちは、世間の目から隠れるように、静かに麺を啜った。

そのとき、私のズボンのポケットで携帯電話が震えた。壁に掛けられた古い鳩時計が、七時を告げようとしている。液晶の表示には「梨沙」の名。直美は、箸を置いて私を見つめる。私は応答をためらったが、鳩時計の振り子の音に急かされて、通話ボタンを押した。

「もしもし、あんた、いま、どこにいるの」

妻の声は、酔いで少し掠れていた。背景には、テレビだろうか、運動会のような歓声と、缶の空く音が小さく響いている。私は直美のまなざしを浴びながら、浴室で汗を流した男の声を、精一杯つくろって答えた。

「仕事が長引いて、これから帰る」

「嘘ばっかり。店、とっくに閉まってるでしょ。さっき、そっちの店の前まで、散歩がてら見に行ったのよ。看板、とっくに仕舞い込んであったわ。あんた、あの女と、どこで汗、流してるの」

彼女の声は、笑っているようで、その奥の寂しさが剥き出しで転がっている。ガラス瓶が倒れる音、スリッパが床を叩く音、そして、私たちの家の、あの白いテーブルに座る妻の太腿の記憶が、電話越しに流れ込んでくる。私の心臓が早鐘を打ち、直美が私の空いた手を握り返す。その手の甲へ、私の汗が滲んだ。

「何も言えない。何も言えないのね。あんた、嘘が下手だから、こういうとき黙るんだから。あの女の家に、二回、上がったでしょ。私はね、あんたの靴下の匂いで分かるのよ。違う床の匂いがする。……お願いだから、今夜は帰ってきて。久しぶりに、二人で鍋でもしない。あんたが好きな、白菜と豆腐。……私、待ってる」

受話器の向こうで、三秒、四秒、沈黙が降りる。その静けさの底で、妻が口元を手で覆っているのが分かる。私の喉の奥から、「今から帰る」という言葉が、汗と一緒に浮かび上がる。だが、口を開く前に、直美の爪が私の太腿へ食い込み、彼女のつま先が、浴衣の裾の中へ忍び込んできた。彼女は首を振り、私に「まだ、駄目よ」と目だけで告げる。ほんの数時間前、私が中へ二度も精を吐いた女が、湯上りの肌を重ねて私の帰り道を塞いでいる。

「梨沙、あとで、かけ直す」

「あんた、それを……もう、何度目? あとで、あとで、って。……あんた、本当に帰ってくるの。帰ってくるなら、きゅうりの酢の物、今から作るわ。帰ってこないなら、もう、今夜、私……ううん、いい。とにかく、待ってるから」

通話が切れた。鳩時計の針が、ちょうど七時を打つ。古い歯車が軋み、人形の鳩が、七度、短く啼いた。その音が、妻の荒いため息と重なって、居間に湿った影を落とす。私は、直美へ向けて乾いた唇を開いた。

「今の電話で、お前、帰るって顔してた。目と口調でばれるのね。不器用な人」

直美は私の顎を指で持ち上げ、唇を重ねてきた。舌が私の歯列を割り、名残惜しそうに私の唾液を啜る。彼女の舌は酒臭くもないのに、咽喉の奥では梨沙の飲む安物の酒の匂いが蘇る。二つの女の匂いが、私の中で軌道を争い、ぐらぐらと瞳の奥が揺れた。

「でも、電話越しだと、まだ泣いてなかったわね。本気で縋るときは、もっと低い声になる。あの人、あんたを脅すように、あんな風にしか帰りを頼めないのね。かわいそうに」

「やめてください。梨沙は、あれで……根は真っ直ぐなんですよ」

「ええ、だから辛いの。真っ直ぐなまま、あんたの背中だけ見て、夜道まで行って、店の電気を見て……でもね、私だって、ようやく出会えたのよ。この家で、汗と匂いを重ねられる男に。あなたが、家に帰れば、あの人はまた、修一さんに嘘をつかせるだけ。それって、もう、ただの意地。古い肉を冷蔵庫にしまって、腐るのを数えるのと、同じことよ」

由佳が居間の入り口へ立った。学校帰りの制服のまま、脇にセロハンで包まれた花火の束を抱えている。火花の赤と緑の包みが、彼女の腹の前でかさかさと鳴った。彼女は、私と母の顔を交互に見比べて、ふっと笑った。

「田中さん、電話、奥さんからでしょ。ママの顔、見れば分かりますって。あのね、私ね、べつに、奥さんを泣かせる気はないんですよ。ただ、うちには、田中さんの座る場所がありますよって、それだけ。ねえ、ママ」

直美は、何も言わずに、箸先で素麺の麺をひとつ摘んで由佳の口へ入れた。襖の桟に寄りかかる由佳が、それを素直に食べる。親子の仕種も、どこか繋がっている。私を真ん中に据えて、母と子は軽やかに夜を組み立てていく。私の頭のどこかで、梨沙が鍋を火にかける音が、もう聞こえなくなっていた。いや、聞こえてはいる。だが、その音は、私の再起不能な腰へ、遠い隣の家の煮炊きの音のようにしか届かない。

「今日は、ここに泊まるの。ね、修一さん」

「私は、まだ、そうするとは」

「言えないだけでしょ。なら、私が決める。今日は、田中修一は、高橋家の一員として、あたしの男として、朝まで帰しません。……それで、いいわね、由佳」

「いいと思います。えへへ、私、今日、お風呂で防水の時計まで用意して自爆なんですよ。何分、追い焚きするか測るんで。あ、あと、浴衣、ママの分、帯がきつくない方出しました」

由佳は、私の前へ来ると、しゃがみ込んで、逃がさない、というように私の膝を両手で包んだ。温かい小さな拳が、浴衣の裾から覗く私の素足をじんと温めた。

「田中さん、私、父さんって呼んでみてもいいですか。……冗談ですけど。うちは、男手がないから、お中元の箱を運ぶの、いつもママと二人で、くの字でしたよ。あ、くの字に曲がる話、してたら、私の腰まで痛くなってきましたよ」

彼女は笑い崩れ、それから少しだけ真面目な顔をして、私の指を一本握った。小さな、だが確かな力だった。その指に、私は朝の万引き客から店を守るときのような、妙な庇護欲をかき立てられ、同時に、彼女の骨の細さへ、十七歳の夏の熱まで流れ込んでくるようだった。

外はもう暗い。道路を渡る自転車の明かりが、雨戸の隙間を細く撫でては消える。奥の間に、由佳が用意したらしい浴衣が二枚、藍鼠と、黒地に大輪の花の模様で重ねられていた。直美は、私の手を引き、その前へ正座させる。窓外から、夕立ちの去った後の湿った草木の匂いが流れ込み、畳の目が、私の正座した足の甲の骨を固く、優しく責める。

「浴衣、どっちが好み。今夜は、あんたの好きな方を着させて。抱くのは、そのままでいい。どうせ、帯は、すぐに解くものだし」

直美が、笑いながら、藍色の浴衣の胸元へ手を差し入れる。直美は私の目の前で、防虫剤の匂いのする反物越しに、自分の裸を光らせた。祭囃子の聞こえない家の中で、これから始まる夜のための試着が、私の視界を白く染めていく。梨沙の泣き声も、鍋の湯気も、遠い駐車場の車の音でかき消される。私の腹の下では、三度目の熱が、痛みに似た形ですでに鎌首をもたげていた。

私は、妻へ返すはずだった言葉を、舌の上で一度転がしてから、ごくりと飲み込んだ。そして、直美の腰へ手を回し、藍色の浴衣の裾を割りながら、この先へ進むしかない己の重さを、二人の体温の奥へ沈めようとした。夜は、なだらかな川のように、三方を紫に染めて、私の心を下流へ運ぼうとしている。家へ帰る道は、もう、幾度目かの雨に流されて、暗い水底で枝か何かのように沈んでいた。それでも、心の隅で梨沙の「待ってる」が、男の胸をざわ、と揺らす。それは、もはや帰巣の針ではなく、陶酔の底から浮かぶ泡のようだった。

「奥さんが、待ってる間に、私のことを、もっと味わえばいいのよ。その方が、あんたも、私も、あの子も、傷口を抉らずに済むの。……今晩はね、ゆっくり、あなたの形を、三人分の居場所として、覚えさせて。ねえ、修一さん」

直美の腕の中で、私は妻の顔を思い出し、その輪郭を直美の笑みが覆い隠していくのを眺めていた。 やがて、雨戸の向こうで、生ぬるい夜風が庭の丈の高い草を一度、大きく揺らして、物干し竿に掛けたままの桜色の下着を、白い影絵のようにふくらませた。私は、その影を見つめたまま、家へかけ直すことを、今夜初めて、心のどこかで放棄した。由佳が、台所で花火を数える明るい声と、直美の低い笑いが、折り重なる。私は、ゆっくりと立ち上がり、閉じかけた雨戸の桟へ爪をかけた。夏の虫が、網戸を這い、緑の卵を点々と残している。その生々しさに、私は自分の選択がもう、後戻りのきかない地平、いや、夜のぬかるみへ、裸足の足を踏み入れてしまったのだと、ひしひしと感じていた。

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読み終えたあとの余韻に。

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登場人物
  • 田中修一 たなか しゅういち
    男性 ・ 63

    外見: 短い白髪交じりの黒髪、奥二重の黒い目、背は低めで痩せ型。服装: 作業着に近い地味な私服。真面目で礼儀正しいが、女心に鈍感で平凡な男。

  • 高橋直美 たかはし なおみ
    女性 ・ 48

    外見: 短い黒髪のセミショート、深い黒い目、小柄で丸顔、垂れ気味の巨乳と肉厚な尻を持つ体育会系の体型。服装: 仕事中は動きやすいジャージ、フルバックパンティ。精力的だが近距離で身体を寄せる無自覚な誘惑者。

  • 高橋由佳 たかはし ゆか
    女性 ・ 17

    外見: 肩にかかる黒髪のワンレングス、茶色がかった瞳、小柄で健康的、母譲りの素直な顔立ち。服装: 学校帰りは制服やカジュアルな私服、店では手伝い時エプロン。明るく礼儀正しいが、母の恋愛を面白がって煽るませた娘。

  • 田中梨沙 たなか りさ
    女性 ・ 40

    外見: 肩までの茶色い髪、小粒の暗い目、痩せ型で胸尻は控えめ。服装: 家庭内ではゆったりした部屋着。夫の浮気を疑いながら茶化す、明るく執拗な妻。

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