第4章: 老いた肉体に注がれる、蜜と赦しの熱(続き 2/3)
彼女の鼓動が早く、熱く、学の頬に伝わってくる。
「私……ずっと我慢してたんです。あなたの匂いを、感じたかった」
彼女はそう言うと、学の首筋に顔をうずめた。
学はハッとした。
自分の体からは、加齢による独特の臭い――いわゆる加齢臭が滲んでいると自覚していた。
シャワーを浴びたばかりでも、老いた皮脂の微かな酸味が残る。
それを、彼女は「匂い」と言った。
「この匂い……すごく、好き」
綾音は深く息を吸い込み、学の肌に鼻をこすりつけた。
熱い吐息が首筋に当たり、学は思わず身震いした。
「だって……学さんそのものの匂いでしょう? 長年生きてきた証拠で、優しさがにじみ出てるみたいで」
その言葉に、学の目頭が熱くなった。
妻に捨てられ、子どもたちに見放され、自分自身さえ忌み嫌っていた老いの臭いを。
彼女は「優しさ」と言った。
それは赦しであり、受け入れであった。
***
激しい感情に押され、学は綾音をベッドに倒れ込ませた。
上から彼女の体を見下ろし、ゆっくりと自分の衣服を脱いでいく。
Yシャツのボタンを外し、チノパンを下ろす。
痩せて皺の寄った胸。
たるんだ腹。
細くなった脚。
全てを曝け出すことに、もう羞恥はなかった。
彼女の目が、慈愛に満ちてその肉体を見つめていたからだ。
「綾音……」
学は彼女の名前を呼び、体の上に覆いかぶさった。
肌と肌が触れ合う。
老いた硬い肌と、若く柔らかい肌が、温度を交換し合う。
綾音は学の背中を撫でながら、耳元で囁いた。
「全部……私に預けて。感じたままに、させて」
彼女の手が学の腰を伝い、股間へと下りていく。
パンツの上から、萎えかけた陰茎を包み込む。
「あっ……」
学は声を漏らした。
長年、ほとんど意識することのなかったその部分が、彼女の手の温もりでゆっくりと目覚めていく。
「ここ……感じてますね」
綾音が優しく握り、上下に動かし始めた。
布越しの摩擦が、学の下半身に熱を灯す。
我を忘れて腰を押し出し、微かな快感に喘ぐ。
「もう、大丈夫……私が、全部受け止めるから」
彼女は学のパンツを下ろし、陰茎を露出させた。
年齢と共に小さくなり、色もくすんでいたが、先端からは透明な液がにじんでいる。
綾音はためらわずにそれを包み込み、手のひらで優しくこすった。
「熱くなってきましたね……学さん、私を、求めてる」
その言葉が、学の理性を溶解させた。
***
無我夢中で綾音のランジェリーを脱がせ、股間を覗き込んだ。
豊かな陰毛の奥、ぷっくりと膨らんだ陰唇はすでに濡れ光り、甘酸っぱい匂いを放っている。
学は指でそっと割り、内側を覗く。
鮮やかなピンク色の粘膜が、微かに脈打っていた。
「中、見えないで……恥ずかしい。でも……学さんには、見せたい」
綾音が腿を広げ、自ら陰唇を指で開いて見せた。
奥から愛液がじわっと滲み出し、学の指を濡らす。
その液体を嘗める。
濃厚な甘みと塩気が、舌の上で広がる。
「綾音の中……美味しい」
学はそう呟き、顔を彼女の股間にうずめた。
舌で陰核を探り、舐め上げる。
「ひぃっ!」
彼女の体が跳ね上がり、手が学の頭髪を掴んだ。
「あ、そこ……んぁ、んぁ……優しすぎる……」
学は彼女の喘ぎ声を糧に、舌先を膣口へと滑り込ませた。
ぬめりとした内壁が舌を包み込み、熱く締まりつつある。
ぐちゅっ、ぐちゅっ。
淫らな音が部屋に響く。
綾音の腰が激しく揺れた。
「だめ、もう……中まで舐められると、私、溶けちゃう……」
脚が学の肩に絡みつき、腰を押し付けてくる。
学は舌の動きを速め、彼女の奥で震える一点を執拗に攻めた。
綾音の声が次第に裏返り、叫びに変わり始める。
「あ、あぁん! そこ、そこ! 学さん……学さん!」
膣が激しく痙攣し、温かい愛液がどっと溢れ出した。
学は顔中をぬらされながら、彼女の絶頂を見届けた。
***
綾音は息を切らし、胸を波打たせてベッドに沈んでいた。
しかし、彼女はすぐに体を起こし、学を引き寄せた。
「今度は……私が、学さんを気持ちよくさせる番」
彼女は学を仰向けに寝かせ、股間に跨った。
濡れきった陰唇が、学の陰茎の先端に触れる。
ゆっくりと、沈み込んでいく。
「んぐ……っ」
二人同時に声を漏らした。
学は彼女の膣の熱く締まる感触に、目を見開いた。
まるで生き物のように内壁が彼を包み込み、吸い付く。
年を重ねて萎えかけた肉体が、ここまで激しい快感を覚えるのか。
驚愕が、快感に混じり合う。
「入った……学さん、私の中に……」
綾音は涙を浮かべながら微笑み、腰をゆっくり動かし始めた。
上下の運動が、学の陰茎を膣の奥深くまで押し込む。
ぐちゅり、ぐちゅり。
水音が、彼らの動きに合わせて響く。
「気持ちいい? 私……学さんので、いっぱい感じてる……」
学はうなずくしかなかった。
言葉にならないほどの快楽が、脊椎を駆け上がり、頭頂で火花を散らす。
彼の手は彼女の腰を掴み、リズムを合わせて押し上げた。
「あ、そう……その調子……もっと、学さんらしく激しくして……」
綾音の誘いに、学は長年眠っていた本能を解き放った。
腰を激しく突き上げ、彼女の体を揺さぶる。
ベッドがきしみ、二人の汗が混じり合う。
部屋中に、肉体と愛液の濃厚な匂いが充満した。
「学さん、学さん……私、あなたじゃなきゃダメなんだよ」
綾音が泣きながら繰り返す言葉が、学の胸を貫いた。
彼は彼女を抱きしめ、深くキスをしながら、腰の動きをさらに加速させた。
快感の波が、頂点に近づいていた。
もう、抑えきれない。
「綾音、私も……一緒に……」
「ええ、一緒に……私の中に、全部出して……」
その許可が、学の最後の理性を吹き飛ばした。
膣の奥深くへ突き刺さるような感覚と共に、長年蓄積されていた全てを解放する。
熱い液体が脈打ちながら放出され、綾音の内壁を満たす。
「あぁああん!」
彼女も叫び、膣を激しく痙攣させて学にしがみついた。
***
やがて、全てが静かになった。
二人は汗と愛液と涙にまみれたまま、重なり合って息を整えている。
学は彼女の体の下で、自分の老いた肉体がまだ熱く脈打っているのを感じた。
死にかけていたものが、再び生命を吹き込まれたような感覚。
綾音がゆっくりと体を起こし、学の顔を見下ろした。
目は潤んでいるが、輝きに満ちていた。
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