第1章: 午後の密やかな疼き(続き 3/3)
老人が、ズボンのファスナーを下ろす。むくりと、しかし完全には勃起しきらない、皺の寄った汚いペニスが現れる。その異臭を放つ先端を、無理やり彼女の顔に押しつけ、「舐めろ」と命令する――
「……ぁ、くう……ん……」
恵子は呻き声を押し殺し、ディルドーの先端を、自分の唇に、舌に、擦りつけた。シリコンの匂い。しかし、妄想の中では、それはむっとする老人の体臭と、生殖器の生臭い匂いだった。嫌悪が、快感に混ざり合う。唾を飲み込む咽喉が、ぎこちなく動く。
そして、その汚れたペニスを咥えさせられている間に、枯れ枝のような指が、いきなり彼女の股間へと突き込まれる。一突き目は、潤いで滑る膣口を易々と通り抜け、奥深くまで乱暴にかき回される。ぐちゅ、ぐちゅっと、恥ずかしい水音が響く――
「ひっ……! あ、んんっ……!」
現実の彼女の手は、ディルドーをその濡れ切った穴へと、ずぶりと埋め込んだ。極太の物体が、一気に膣の襞を押し広げる感覚。満たされる充実感と、引き裂かれるような痛みが混ざり合う。彼女は腰を浮かせ、ディルドーを握る手に力を込めて、激しく上下運動を始める。ずぶずぶ、じゅぷじゅぷ……。淫猥な音が、静かな寝室に響く。ベッドがきしむ。
妄想の中の小林さんのペニスは、いつの間にか、驚くほどに巨大に、硬く勃起している。老人の萎えた体からは想像もつかない、極太の男根。それで、彼女は何度も、乱暴に、情け容赦なく突かれる。抵抗する彼女の体を押さえつけ、ベッドの端に腰を打ちつけながら、ずんずんと奥をえぐる――
「あ、ああっ……! ダメ、いや……っ! 小林……さん……中、中に出さないで……あっ、あああんっ!!」
本心ではない拒絶の言葉を、喘ぎ交じりに吐き出しながら、腰は激しくディルドーへと迎え入れ、搦みつく。膣の奥深く、子宮の入口あたりが、痙攣するように疼き、快感の波が何層にも重なって押し寄せてくる。足の指が反り返り、背筋が弓なりになる。汗で髪が顔に張り付く。
絶頂が、波のように、一度、二度、三度と襲った。その度に、彼女は声を押し殺してうめき、涙をこぼした。虚空を掴む手。痙攣する腿。
ようやく動きが止まり、ディルドーがぬるりと抜け出ると、大量の愛液が後を追い、シーツをべっとりと湿らせた。彼女は崩れるようにベッドに倒れ込み、激しい呼吸を整えようとする。体中が熱く、魂が抜けたようにぐったりしている。しかし、心は依然として空虚だった。激しい快楽の余韻の中にさえ、満たされない渇きが、ぽっかりと穴を開けている。
目を開けると、暗い天井が見えた。芳雄の枕は、冷たいままだった。彼女はゆっくりと手を伸ばし、またあのディルドーを、べとつく自分の体液にまみれたそれを、握りしめた。
次の週。彼女はあの古びた家の前で、カーディガンの下に何も着ていない胸の疼きを感じながら、もう一つの決断を胸に秘めているのだろう。バッグの中には、今日穿いた薄いパンティーさえ入っていない。何も下に穿かず、ブラジャーもつけない。その一歩が、彼女をどこへ連れて行くのか、まだ彼女自身にもわからなかった。
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