六十五歳、初恋の肌は熱く濡れて

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第4章: 淫らな歳月、果てない快楽

第4章のシーン

第4章: 淫らな歳月、果てない快楽

その夜を境に、時間の流れが変わった。

いや、正確には流れが止まったと言うべきか。栗原章介の質素なマンションと、清水香里の仕出し屋の仕事から帰ったばかりの小さなアパートを行き来する日々の中で、彼らは暦も時計も、外の世界が何事かと進んでいくことさえ、どうでもよくなっていった。大切なのは、ただ次の肌の触れ合いがいつになるかということだけだった。

あのソファの上での初めての結合から一週間が経とうとしていた頃、香里は仕出し屋の勤めを終え、買い物袋を提げて栗原の部屋のドアを開けた。彼はテレビのニュースを見ながら、缶ビールをちびちびと飲んでいた。彼女が入ってくると、彼はリモコンを置き、ゆっくりと振り返った。言葉は交わさなかった。もう、必要なかった。

彼女が台所に買ってきた食材を置き、エプロンを外し、髪を少し整えるその一連の動作を見つめるだけで、彼の股間は熱を持ち、ズボンの上からもわかるほどに膨らみ始めた。

彼女はそれに気づいて、ほんの一瞬、目を伏せた。頬がほんのり赤らむ。けれどその足は、台所からリビングへ、彼の坐るソファの方へと、迷いなく向かっていた。

「……ただいま、って言うのも変ね」

彼女が呟くように言った。声にはまだ、どこかよそよそしさの残滓が漂っていた。

栗原はグラスを置き、彼女の細い手首を掴んだ。冷たい。外の夜気に染まっていた。

「こっちへ来い」

彼はそう言うと、軽く引いた。彼女はそのまま、彼の膝の上に腰を下ろした。スカートの裾がめくれ上がり、年齢の割に色白で、ところどころに薄い静脈の浮かんだ腿が露になる。

彼はその腿を、ごつい掌で包み込んだ。温めようとするように、ゆっくりと撫でた。

「仕事、疲れただろう」

「ええ。でも……こっちに来るときは、疲れも吹っ飛んじゃうみたい」

彼女の言葉に、彼は満足そうに鼻息を漏らした。彼のもう一方の手が、彼女のブラウスのボタンに掛かった。

一つ、また一つと外されていく。下には、前回と同じベージュの機能的なブラジャーが見えた。

彼はそのワイヤー越しに、膨らみを残した乳房を揉んだ。

「ん……」

彼女の細い吐息が、静かなリビングに落ちた。彼はブラジャーのフックを外すことすらせず、そのまま布越しに乳首を摘んだ。こりこりと、固くなった小さな突起が彼の指先に感じられる。

「今日は……どうしてほしい?」

彼が耳元で低く問うた。酒とタバコの匂いが、彼女の鼻腔をくすぐる。彼女は目を閉じ、唇を噛みしめた。

答えが出てこない。いや、出てくるが、口に出せない言葉が、喉の奥で渦巻いていた。

彼は待たなかった。彼女の沈黙を、それすらも誘いと捉えて、彼女のスカートの裾をさらにまくり上げた。下には、ストッキングではなく、裸の腿が広がっていた。

そして腿の付け根には、シンプルな綿のパンティーだけが、わずかに膨らんだ陰部を覆っている。

「おっと……ストッキング、はいてないのか」

彼が唸るように言った。彼女は恥ずかしそうに股を閉じようとしたが、彼の手がすでにその内腿にあり、優しく、しかし確実に押し広げた。

「仕事中、蒸れて……気持ち悪くて。だから、今日は……」

「いいじゃないか。こっちも楽だ」

彼の指が、綿パンティーの生地の上から、ぽってりと盛り上がった箇所を探り当てた。ぐっと押し当てると、彼女の腰がびくんと跳ねた。パンティーの中心は、もうすでにほんのりと陰湿な色に染まり、生地が張り付いているのが手に取るようにわかった。

「あ……だめ、まだ、そのままじゃ……」

彼女の抗議は、彼の指がパンティーの脇からずるりと潜り込み、直接その膨らみに触れた瞬間、喘ぎに変わった。彼の指先は、熱く、びっしょりと濡れている襞の割れ目に触れ、上下にこすった。

「ちっ……こんなにも、ずっと濡れてたのか? 仕事中からか?」

彼の声は、驚きと残酷なほどの喜悦に満ちていた。彼女は首を振った。いや、違う、そうじゃない、と思いたい。けれど、彼女の体は正直だった。朝、彼に「今夜、行くね」というLINEを送った瞬間から、下腹部は疼き始め、電車に揺られている間も、スーパーのレジに並んでいる間も、この指に愛撫される瞬間のことだけを考えて、自らを濡らし続けていたのだ。

「答えろ、香里。仕事中から、こうなってたのか?」

彼は執拗に問いながら、人差し指を膣口に押し当て、ぐいっと第一関節まで入れ込んだ。ずぶり、という水音。長く使われていなかった通路は、一週間で驚くほど柔らかく馴染んでいたが、それでもぎゅっと締まり、彼の指を吸い込むように蠕動した。

「あっ! い、言わないで……そんなこと……んっ!」

彼女は顔を彼の肩に埋め、嗚咽じみた声を漏らした。彼の指が出入りし始める。ぐちゅっ、ぐちゅっ。

下品な音が、彼女の耳に直接響く。彼女は自分の体の中から聞こえるその淫らな音に、耳の奥まで熱くなるのを感じた。

「言わなきゃ、もっとやるぞ」

彼は脅すような、しかし蕩けるような声で囁き、もう一本の中指を加え、二本の指で彼女の膣を広げるように動かした。彼女の奥から、さらさらとした愛液が溢れ、彼の指を伝い、彼女の腿を伝って落ちた。ソファの布地がじんわりと湿る。

「わ、私……ずっと……章介さんのこと考えて……んあっ! そこ……ああ、だめっ!」

彼女は泣きそうに喘いだ。彼の指の動きがさらに速く、深くなり、膣壁のひだをくまなく掻き回す。

ある一点を強くこすられた時、彼女の背筋が弓なりに反り返った。

「ここか? 気持ちいいか、香里」

「い、いや……恥ずかしい……あ、ああっ! イク、イっちゃう……また、こんなに早く……あんっ!」

彼女の膣が痙攣し、彼の指を激しく締め上げた。熱い液体がどくどくと噴き出し、彼の手のひらをべっとりと濡らした。彼は指を抜き、その光る愛液を彼女の目の前に差し出した。

「ほら、見ろ。お前の体は、もう俺のものだ。考えただけでこんなになる」

彼女は涙目でそれを見つめ、ただうなずくことしかできなかった。彼はその濡れた指を自分の口に運び、ゆっくりと舐め取った。彼女はその光景に、またぞろ股間が疼くのを抑えられなかった。

彼は彼女をソファに押し倒した。パンティーをずるりと膝まで下ろし、完全に股間を露出させる。陰毛は白みがかっているが、その中心の陰唇は充血して濃いピンク色に腫れ上がり、愛液で光っていた。

彼は自分のズボンのファスナーを下ろし、既に滴るほどに先走りを滲ませた勃起した陰茎を露出させた。

「今日は、どこがいい?」

彼が俯きかけながら問うた。彼女は仰向けにされ、天井を見つめていた。恥ずかしさで全身が火照る。

けれど、彼女の口は、心とは裏腹に動いた。

「……後ろから……お願い」

声はかすれ、ほとんど息遣いのように聞こえた。彼は一瞬、目を見開いた。そして、荒々しい笑いを一つ漏らすと、彼女の体をくるりと向きを変え、ソファにうつ伏せにさせた。彼女は顔をクッションに埋め、膨らんだ臀部を高く突き出した。皺が寄り、たるんだその白い肉は、しかし彼にとってはこの上なく淫靡な眺めだった。

彼は彼女の背中に覆い被さり、その臀部の割れ目に自らの陰茎を当てた。先端が、まだ閉じている小さな菊蕾と、そのすぐ下のぐっしょりと濡れた膣口の間を、ぬるぬるとすり抜ける。

「どっちだ? こっちか? それとも……こっちか?」

彼はいたぶるように、両方の穴を軽く突きながら聞いた。彼女はクッションに顔を押し付け、首を振った。

「お、お尻……は、だめ……まだ……あちらの穴で……お願い……」

「あちらの穴、か」

彼は満足そうに繰り返し、先端をぐしょぐしょの膣口に確実に導いた。そして、一気に腰を押し出した。

ずぶりっ!

深く、重く、年老いた二つの肉体が結合する音が、静かな部屋に響いた。彼女は声を殺した叫びを上げ、指がソファの布地を掴んだ。

埋め尽くされる感覚。前回よりも、彼のものをより深く、より貪欲に感じ取ることができた。

彼女の膣はその侵入を歓迎するように激しく蠕動し、締め上げた。

「ちっ……相変わらず、すげえ締まりだ……香里、お前の中は、まるで吸い込まれるようだ」

彼は唸り、ゆっくりと腰を引く。そして、再び突き入れる。ずっぽり、ずっぽり。

ソファがきしむリズムに合わせて、水音が響く。彼女の愛液が泡立ち、彼の陰茎の出入りする度に白く泡立った汁が飛び散る。

彼の手が彼女の腰を掴み、激しいピストン運動を始めた。早く、深く。彼女の体がソファの上で前後に揺さぶられる。彼女はクッションから顔を上げ、喘ぎ声を零した。

「あ、ああ……もっと……もっと強く……んっ! 奥、奥まで……あたしの奥、えぐって……章介……!」

その言葉に、彼は驚いた。そして、より一層興奮した。彼は彼女の腰を高く上げさせ、より深く突き入れる角度を見つけ、全力で腰を振った。どん、どん、どん! 腰骨が彼女の柔らかい臀部に打ち付かる鈍い音。

「そうか……そう言え、香里。もっと、俺を求めろ」

「求めてる……んあっ! あたし、章介さんしか……見えなくなってる……体が、溶けそう……ああ、イク……またイクっ!」

彼女の膣が痙攣し、激しい収縮が彼の陰茎を締め上げる。彼もまた、それに耐えきれず、低くうめき声を上げて深く突き込み、熱い精液を彼女の子宮の奥深くに噴き出した。どくっ、どくっ、どくっ。脈打つような射精が、彼女の内部を熱く満たしていく。

彼は重い体を彼女の背中に預け、二人の汗が混ざり合った。荒い息遣いだけがしばらく響いた。

やがて、彼はゆっくりと身を引き、結合が解かれる。ちゅぽっ、と小さな音と共に、彼の精液と彼女の愛液が混ざり合った白濁の液体が、彼女の腿の間からあふれ出た。

彼女はうつ伏せのまま、微かに肩を震わせていた。彼は彼女の横に座り、その汗ばんだ背中をそっと撫でた。

「……泣いてるのか?」

彼が問うた。彼女はうつ伏せたまま、小さく首を振った。

「……違う。ただ……なんで、こんなに気持ちいいんだろうって」

その声には、深い戸惑いと、どこか諦めに似た感情がにじんでいた。彼は黙って、彼女の言葉を受け止めた。

そして、彼女の体を優しくひっくり返し、自分に抱き寄せた。彼女は素っ裸で、汗と体液にまみれ、皺の寄った肌を彼に預けた。

「年を取ったからだよ」

彼が突然言った。彼女はきょとんとした目で彼を見上げた。

「え?」

「若い頃は、もっと浅かった。勢いだけで突っ込んで、すぐに済ませてた。でもな、今は……時間がたっぷりある。一つ一つの感触を、味わうことができる。お前の体の温もりも、締まりも、濡れ方も、全部だ」

彼は彼女のまだ熱い陰部に手を当て、そっと撫でた。

「そしてお前もだ。我慢しすぎたからな。ずっと飢えてたから、少しの刺激で、こんなに蕩けちまう」

彼女はその言葉に、また涙が込み上げそうになった。彼はそれを察したように、彼女の頭を自分の胸に押し当てた。

「泣け。恥ずかしがるな。お前の涙も、俺が全部受け止めてやる」

彼女はその胸の中で、声を押し殺して泣いた。それは悲しみでも、後悔でもなかった。

あまりに遅すぎて、あまりに濃すぎて、理解しきれないほどの悦びに、ただただ圧倒されていたからだ。

それから、日々は淫らな悦楽の繰り返しとなった。

香里のアパートの狭い風呂場では、湯気の中でもたれ合い、濡れた肌がこすれ合う音が響いた。

彼が彼女を壁に押し付け、後ろから結合する。湯船の縁に手をつかせ、腰を激しく揺らす。

老いた肉体の交わりは、水音が多く、滑りが良く、いつまでも続くようだった。

ある日、彼女は彼のマンションのリビングの窓辺で、カーテン一枚隔てた外の街灯の明かりを背に、彼に抱かれた。

彼が彼女を窓枠に座らせ、腿を大きく開かせて正面から突き入れる。ガラス越しに、通りを行き交う人々の影が見える。誰かに見られるかもしれないという背徳感が、彼女の快感を倍増させた。

「んあっ……だめ、外が……見える……ああ、でも、気持ちいい……章介さん、もっと、激しく……あたし、窓辺でイかせて……!」

彼女は羞恥心を忘れ、貪欲に腰を振り返した。彼女の膣は彼を激しく締め上げ、何度も絶頂へと導いた。彼もまた、彼女のそんな姿に我を忘れ、窓ガラスが揺れるほどに激しく腰を打ち付けた。

ベッドの上では、彼女が自ら上に乗り、ゆっくりと腰をくねらせながら、彼を味わうように飲み込んでいった。

彼女の垂れ下がった乳房が揺れ、彼はそれを貪りながら、彼女の動きに身を任せた。

「こう……するの、好きなの?」

彼女が俯き、潤んだ瞳で彼を見下ろしながら尋ねた。彼はうなずき、彼女の腰を掴んで導いた。

「ああ……お前が欲しがるままにしろ。全部、飲み込め」

彼女は甘い喘ぎ声を上げながら、より深く、より激しく腰を落とした。彼女の子宮口が彼の先端に打ち付けられる度に、鋭い快感が二人を貫いた。

しかし、どんなに交わり、どれほど悦びに溺れても、彼らが六十五歳であるという現実は変わらなかった。

激しい情事の後、彼女の腿の筋肉が攣り、苦悶の表情を浮かべる。彼は慌ててマッサージをし、湿布を貼る。彼の腰は、連日の行為にうんざりと音を立て、朝起きるのが辛い日もあった。

彼女のアパートで目覚めたある朝、栗原は洗面所の鏡に映る自分を見つめた。白髪が増え、目の下のクマは深く、首の皺は彫刻のように刻まれている。

そしてその横で、歯を磨く香里の背中にも、同じような年の痕が否応なく刻み込まれていた。

青春を取り戻した錯覚。

それは確かにあった。彼女の瞳が快楽に曇る瞬間、彼女の声が泣きだすほどに高ぶる瞬間、彼らは数十年前のままであるような気がした。

けれど、錯覚はいつか醒める。鏡が、窓ガラスが、たまたま見えたテレビの画面が、容赦なく現実を突き付ける。

満たされた虚無。

ある夜、激しい射精の後、彼は彼女の横でぼんやりと天井を見つめていた。体は心地よい疲労に包まれ、心は一時の平穏に満ちている。しかし、その平穏の底には、どこかぽっかりと空いた、埋めようのない穴が口を開けているような気がした。これは何なのだろう。この先、ずっとこうして、ただ交わり続けるだけなのだろうか。

ふと、隣で眠りについた香里が、小さく泣き声を漏らした。夢うつつで、彼の名を呼んでいる。彼はそっと彼女を抱き寄せた。彼女はその温もりにすがりつくように、さらに深く眠りに入っていった。

彼は彼女の白髪混じりの髪に鼻を埋め、微かに漂うシャンプーの匂いと、老いた女の体臭をかぎ分けた。

この匂い。この皺。このたるみ。これらすべてが、今の彼女であり、今の彼だった。

そして、それらを抱きしめながらも、彼の股間はまたぞろ蠢き始めているのに気づいた。満たされたばかりの虚無を埋めるように、次の悦楽を求めている。

彼は静かに息を吐いた。窓の外は、まだ深い夜だった。

明日も、彼女は仕出し屋に勤めに出る。彼は何もせず、彼女の帰りを待つ。そして、彼女が帰ってくれば、またこの淫らな歳月の一頁が繰り返される。

果てない快楽。それは、同時に果てない渇きでもあった。

彼は目を閉じた。掌の中の、彼女の小さな手の温もりだけを確かめながら。

この先がどうなろうと、もう後戻りはできない。戻りたくもない。ただ、この渇きと共に、堕ちていくだけだ。

彼はそう悟り、ようやく眠りについた。隣では、香里が微かに寝息を立てていた。

彼らのセカンドライフは、淫らで甘く、そしてどこまでも飢えた、長い夜の只中にあった。

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AIが紡ぐ大人の官能短編『妄想ノベル』案内人です

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