第3章: 朝も、夜も、慎さんのもの

第3章: 朝も、夜も、慎さんのもの
意識が浮上するのと同時に、罪悪感の粘ついた膜が全身を覆い、隣で眠る舞の温もりと、昨夜の激しい情事の生々しい匂いが、老いた男の理性を静かに、しかし確実に締め上げていくのを感じた。慎一はゆっくりと瞼を開けた。五月の朝の光が、カーテンの隙間から細い筋となって差し込み、舞の寝顔を白く照らし出していた。その栗色の髪は枕に散らばり、少し開いた唇からは、甘くて温かい吐息が絶え間なく漏れている。一晩を共に過ごした女の寝顔を、こんなに間近で見るのは、死んだ妻以来だ。その無防備な美しさに、胸が締め付けられるが、同時に、この体に何をしたのかという自己嫌悪が、胃の底でどろりと重くなっていた。自分は六十三歳。彼女は二十七歳。そして、あの部屋には五歳の娘がいる。断り続けるべきだった、そう分かっていながら、自分はこの若い肉体の熱に溺れ、獣のように彼女を貪り、自分のものとしてしまったのだ。慎一はそっと身を起こそうとしたが、その瞬間、舞がぐっと彼の腕にしがみついてきた。
「…ん、慎さん?」
眠気ぼんやりとした声が、彼の胸元で響く。その声には、昨夜の淫らな喘ぎとは全く異なる、子犬のような無垢さが混じっていた。
「…ごめん、起こしちゃったか」
「ううん…。起きたくない。このまま、ずっと一緒にいたい」
舞は顔を慎一の胸に埋め、鼻をくすぐるように深く息を吸った。その仕草に、慎一は固くなる。彼女は、自分の体から立ち上る、汗と精液と、そして加齢の匂いが混じり合った、決して芳しいとは言えない匂いを嗅いでいる。そして、その表情は、嫌悪ではなく、むしろ安堵と満足に満ちているのだ。
「…慎さんの匂いがする。私の体の中も、まだ慎さんの匂いでいっぱい」
そう呟きながら、舞の片手が、そっと慎一の股間へと滑り込んでいく。その指先が、まだ寝ている自分の肉棒に触れた瞬間、ぬるりとした感触とともに、遅ればせながら欲望が目覚めていく。彼女は握ったり、こすったりはしない。ただ、そっと、自分のものだと確認するように、その温かさと硬さを掌に包み込んだ。
「…また、大きくなってる。私のこと、求めてるんでしょ?」
その言葉は、問いかけではなく、断定だった。彼女の性器は、もう彼の匂いを覚え、彼の肉を求めてひくつき始めている。一夜の情事で、この若い母親の体は、完全に自分のものに刻み込まれてしまったのだ。その事実が、慎一に罪悪感と同時に、底知れぬ支配欲と幸福感を与える。彼はもう、逃げられない。
その時、隣の部屋から小さな声が聞こえた。
「ママ、おはよう…」
由紀だった。その声に、慎一の体はびくりと跳ねた。現実が、目の前に突きつけられる。舞は、彼の腕から離れるそぶりも見せずに、こちらを向いて微笑んだ。
「おはよう、由紀。ママはここにいるよ」
由紀が眠たげな目でこくりこくりとしながらリビングに入ってきて、その瞬間、固まった。ベッドの上で、見知らぬおじさんに抱きつかれている母親の姿を見て、大きな黒い瞳に驚きと不安が浮かんだ。
「…ママ、そのおじさん、だれ…?」
舞は、由紀を自分の方に招き寄せると、慎一の腕に依然としてしがみついたまま、娘の髪を優しく撫でた。
「由紀に紹介するね。こちらは、慎さんっていうの。ママの、とっても大切な人」
その言葉に、慎一は息をのんだ。大切な人。そんな軽々しい言葉で、自分とこの一夜の関係を定義するのか。しかし、由紀は不思議そうな顔で慎一を見つめていたが、母親が平然としているのを見て、恐怖心は薄らいでいったようだ。舞はさらに、由紀の手を取って、慎一の頬にそっと触れさせた。
「ほら、慎さん、優しいでしょ?大丈夫だよ」
その無垢な行為が、慎一の心をえぐる。これは一体、何なんだ。この歪で、甘美で、そして断ち切れない関係は。彼は罪悪感に顔をしかめながらも、由紀の小さな手のぬくもりに、抗いがたい幸福感を感じてしまう自分がいた。自分は、この母と子の日常に、深く、深く侵入してしまったのだ。
朝食は、奇妙な調和の中で済ませられた。舞は何事もなかったかのように、慎一のために味噌汁を作り、焼き魚をよそった。由紀は最初は慎一を警戒していたが、舞が「慎さん、おいしいって言ってるよ」と慎一のおかずを取って食べる姿を見て、少しずつ心を開いていった。慎一は、そんな母と子の姿をテーブルの向こう側に見ながら、自分がこの家庭の一員になったかのような、幻想に浸っていた。この幸福感は、禁断の毒だった。味わえば味わうほど、体の芯から侵食されていく。
「由紀、保育園の時間だよ。早く準備して」
舞がそう言うと、由紀は「いやだ、もっとおじさんと遊びたい」と駄々をこねた。その言葉に、慎一の胸が熱くなる。おじさん、と。昨夜まで、自分を女として求めていた彼女が、今朝には、娘の前で「おじさん」という言葉を使い、自分を家族の枠組みに引き込もうとしている。その計算し尽くされた、あるいは無垢なまでの策略に、慎一は完全に屈服しかけていた。
由紀を送り出し、アパートのドアが閉まった瞬間、部屋の空気がまた変わった。朝の穏やかな空気は一瞬で蒸発し、濃密で粘ついた欲望の雰囲気が再び二人を包み込んだ。舞は背後から慎一に抱きつき、その顔を彼の背中に押し付けた。
「…やっと、二人きりになれた」
その声は、もはや甘えだけではない。渇望だった。
「私、朝からずっと、我慢してたの。由紀の前で、慎さんを抱きしめるのも、キスするのも。全部、我慢してた」
彼女の手が、再び慎一の股間を探り、今度は大胆に、裤子の上からその硬さを握りしめた。
「私、もう我慢できない。慎さん、私の中に入って。今すぐ」
彼女は慎一をソファに押し倒し、自らスカートをまくり上げた。昨夜、自分が貫いたあの穴が、もう一度、彼の目の前に現れた。パンティは穿いていない。朝の光を浴びて、ぬらりと濡れた陰唇が、昨夜の激しさを物語るように少し赤く腫れ、愛液が糸を引いていた。ぐちゅっ、と、彼女が指で自分の陰裂をなぞると、さらに濃い蜜が溢れ出す。
「見て…こんなに、慎さんを待ってたの。昨夜の、慎さんの熱いお汁が、まだ中に残ってるのに…また、出ちゃう…」
その言葉は、慎一の最後の理性を完全に破壊した。彼は獲物に食いつく獣のように、舞の股間に顔を埋めた。まだ彼の精液が残っているであろう、その穴の奥深くまで舌を突き込み、昨夜の自分の匂いと、彼女の新鮮な蜜の味を嘗め尽くした。
「ひゃっ…!あぁん!慎さん…!そこ、汚いよぉ…!」
「汚いのか?お前のこの穴は、俺のものだ。俺がどうしてもいい」
慎一は、彼女のクリトリスを唇で強く吸い上げ、舌で執拗に弄んだ。ぴくりぴくりと、舞の膣が反応し、彼女の腰が激しく跳ねる。彼女はもう、何も言えない。ただ、甲高い声を上げながら、快感に溺れていくだけだった。慎一は自分の裤子をずり下ろし、先端からうっかりと零れそうなほどに硬くなった肉棒を、彼女の濡れた裂け目にゴツンと押し当てた。
「舞、今度はお前の番だ。自分から、俺のものをしゃぶれ」
その命令に、舞は恍惚の表情で頷くと、四つん這いになり、慎一の股間に顔をうずめた。そして、彼女の小さな舌が、じゅるりと、肉棒の根元から亀頭までを舐め上げていく。その舌先は、まるで初めてのお菓子を味わうかのように、慎重に、そして貪欲に動いた。くちゅっ、と、彼女が肉棒を口に含み、奥まで咥え込むと、その温かくて濡れた口腔が、慎一の脳を直撃した。
「…うぐ…んっ…じゅるじゅる…」
舞は経験豊かだった。舌で裏筋をなぞり、手で玉袋を優しく揉みしだきながら、リズミカルに腰を動かして彼を奉仕する。その献身的な姿に、慎一は征服感と愛情が入り混じった、複雑な感情で胸がいっぱいになった。もう我慢の限界だ。彼は舞の頭を押さえつけ、喉の奥まで自分の肉棒を突き刺した。ずぶずぶ、と、唾液と愛液が混じり合った下品な音が響く。
「んぐっ!…はぁん…!」
舞は少しむせるが、それを拒絶しない。むしろ、その暴力的な行為に喜びを感じているかのように、彼の股間をより一層激しく愛でる。やがて、慎一は彼女を放すと、今度は彼女をソファの背もたれに押し付け、足を大きく開かせた。そこには、完全に欲望で開ききった、彼女のすべてが晒されていた。
「今度は、子宮の奥まで俺の印を刻んでやる」
慎一は、彼女の足を自分の肩に乗せ、まっすぐに立ち上がった肉棒を、そのぬめった穴の入り口に、ゆっくりと、しかし容赦なく押し込んでいった。ずぶっ、という鈍い音とともに、肉棒は根元まで、彼女の膣内に飲み込まれた。
「あああああっ!入った!慎さんの、熱いのが…私の全部を、満たしてるっ!」
舞の叫びは、もはや快楽の雄叫びだった。慎一は、彼女の若く柔らかな体を抱きしめ、獣のように激しく腰を打ち付けた。ぎちぎち、ぎちぎち、という肉の衝突音が部屋に響き渡り、二人の体は汗と愛液で輝き、部屋には濃厚な性の匂いが充満した。彼女の膣は、昨日の記憶を覚えているかのように、彼の肉棒をきつく、きつく締め付け、蠕動させながら搾り取ろうとする。それはもはや、ただの性交ではない。お互いの所有権を確認し、相手を自分の体に刻み込むための、原始的な儀式だった。
「私のものだよ、舞…この膣も、この子宮も、全部俺のものだ」
「はいっ!…ああん!慎さんのものだけ…!他の誰にも渡さないから…!もっと、もっと深く突いて!私を、慎さんの赤ちゃんが欲しくなるくらいに…!」
その言葉に、慎一の理性が完全に吹っ飛んだ。彼は彼女の腰を持ち上げ、自分の腰を振り下ろすたびに、子宮の入り口を抉るように突き上げた。やがて、背筋を電流が走り、熱いものがせり上がってくるのを感じた。
「出す…舞の中に、全部注ぎ込む…!」
「はいっ!お願いします!私の中で、ぜんぶ、解放してください!」
その懇願とともに、慎一の体は激しく痙攣し、熱い濃い精液が、昨夜のものと混じり合うように、舞の膣奥に打ち込まれた。びゅるるるっ!という長い射精の音とともに、舞もまた、全身を震わせながら、彼の名を呼んで絶頂に達した。
すべてが終わり、二人は汗と愛液にまみれたまま、ソファの上で崩れ落ちた。朝の光は、さらに強くなり、部屋の中を明るく照らしていた。慎一は、息も絶え絶えの舞を腕に抱きしめた。罪悪感はもうどこにもなかった。ただ、この若い母親と、その娘と共に過ごす、この歪で、甘美な日常に、完全に自分を委ねることしかできなかった。朝も、夜も、この体は、もう、自分のものではない。慎一のものだった。誰にも止められない濃密な渦の中へ、二人は、もはや戻ることのできない地点まで沈み込んでいくのを感じていた。
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