風紀を守る熱血教師の留守宅で、訪問者を装った三人の教え子が妻の柔肌を暴き、膣と口と肛門というすべての穴へ若い欲望を何度も注ぎ込み、動画の脅しを残して立ち去った土曜の惨劇
あらすじ
熱血教師の妻・友香のもとへ、夫の教え子を名乗る三人の中学生が訪ねてくる。尊敬する先生への寄せ書きを手渡したい、という言葉にドアを開けたその瞬間、若い獣の計画が牙を剥き、平穏だった若妻の身体は三本の欲望に浸食されていく。強制された輪姦の中で、際立つ羞恥。閉ざされた部屋に満ちる汗の熱と粘液の音。逃げ場のない午後が終わるまで、彼女は妻としての矜持を守り続けられるのか。熱血教師の知らぬ間に行われる教え子たちの計画的な復讐劇を描く、読み応え十分の寝取られ官能長編。
第1章 夏草の裏庭で土に染みた制服の恥辱

第1章: 夏草の裏庭で土に染みた制服の恥辱
昼休みが終わる五分前、俺は職員室の窓から旧校舎のほうへ細い煙が立ち昇るのを見つけた。青い空に溶けきらず、白い筋がゆらゆらと曲がりながら消えていく。あのあたりには用のない生徒が近づかないはずだ。直感が背中を押して、俺はジャージのまま外へ出た。七月の中旬、照りつける陽射しがアスファルトの上で熱を歪ませていた。
旧校舎の裏手は、夏草が膝のあたりまで伸びて、むっとする土の匂いが籠もっている。俺は足音を殺して角を曲がり、三人の後ろ姿を視界に捉えた。学ランの黒い背中が三つ、壁に張りつくように並んでいる。手元から煙が上がっていた。
「お前ら、そこで何してる」
声を張ると、三人がいっせいに振り返った。石橋亮太、田口慎二、東太一郎。三年の不良連中だ。石橋は咥えていた煙草を地面に落とし、スニーカーの先で土と一緒に踏みつけた。田口はまだ煙草を指に挟んだままで、東は俺を見た途端に肩を跳ねさせ、手を背中に隠した。
「先生、俺ら別に悪いことしてないっすよ」
田口がにやけながら言った。浅黒い肌が汗で光り、首筋を流れる滴が学ランの襟に染み込んでいる。東は小さな目を忙しなく動かし、何度も石橋の横顔を窺っていた。
「隠すな。今ここで吸ってたのは見え見えだ。その手出せ、東」
詰め寄る俺に、東は観念したように太い指から煙草を離した。火種の消えていないそれを地面へ放り、革靴の先で摘む。煙草の臭いが汗の匂いと混ざり、むわっと鼻をつく。
石橋が一歩前に出た。身長が伸びたばかりの学ランは袖も裾も短く、骨ばった手首と足首が剥き出しになっている。目つきは精悍で、唇の端を舐めて下がった笑みが浮かんでいた。
「いちいちうるせぇんだよ、センセ。ちょっと休憩してただけだろ」
「休憩に煙草は必要ない。吸ってた分、生活指導を受けるぞ」
俺がそう言うと、石橋の目が細くなった。仲間二人に囲まれたまま、彼は俺を試すような視線を向けてくる。
「俺ら、卒業まであと半年以上あるっすけど、そのたびにセンセ出張ってくんの。息切れしねぇ?」
「何度でも来てやる。お前らが煙草をやめるまでな」
一触即発の空気の中で、東がもごもごと呟くのが聞こえた。
「し、石橋、やめとけよ。先生には……俺らじゃ勝てねぇから」
その言葉に石橋が舌打ちをした。次の瞬間、彼は地を蹴ってこちらへ突っ込んでいた。伸ばした手が俺の胸倉を狙っている。俺は半身になって彼の勢いを受け止め、右手で袖を掴むと、足を後ろに引いて体を開いた。内股に掛けた足がくるりと回り、石橋の身体が空中で横回転する。受け身も取れず、彼は夏草の生い茂る地面へ背中から落ちた。
どさ、と重い音がして土埃が舞い上がる。石橋は一瞬息を止め、細かい土の粒が短くなった制服の裾から転がっていく。灰色の土が黒い学ランに張りつき、袖口やズボンの折り目に入り込んでいくのが見えた。
「いてぇ……!」
うつ伏せに倒れた石橋は、肘をついて起き上がろうとした。掌に力が入ると、湿った土が指の間に挟まって崩れる。古い草と土とが捏ねられ、青臭い匂いが一段と強く立ち昇った。俺は彼の脇に落ちた煙草の箱を拾い上げてポケットに入れる。箱はまだ温かく、フィルム越しに三人分の指の熱がしみているようだった。
「お前ら、揃って昼休み終了後に生活指導室へ来い。わかったな」
石橋は答えない。土まみれのまま地面に座り込み、乱れた前髪の下から俺を睨み上げている。学ランについた土の汚れは、汗でじわりと濃い色に変わっていた。彼は唇をへの字に曲げ、喉の奥で何か言葉を転がしていた。
「先生よ、人の物取ったら泥棒と同じじゃねぇの」
田口が横から口を挟んだ。東が慌てて彼の腕を引く。
「よ、余計なこと言うなって……」
俺は一度だけ振り返って、三人の顔を順に見た。田口は軽い悪態を吐きながらも、深追いする気はないらしく両手をポケットに突っ込む。東は肩をすぼめ、肥えた腹を揺らして後ずさった。石橋だけが、草を踏んで起き上がりながら低い声を落とした。
「覚えてろよ」
その声は俺の耳のすぐ下を刺すように通り過ぎた。唾を吐いたわけでも、怒鳴ったわけでもない。かすれて、乾いて、それでいてやけに冷たい音だった。
俺は左手についた土埃の匂いを確かめるように指をこすり合わせ、そのまま旧校舎の影から校庭側へ出た。背後で蝉が鳴き立て、風もないのに夏草がざわざわと蠢く音がした。
職員室に戻ると、机の上のスマートフォンが青い光を点して着信を知らせていた。友香からだった。折り返すと、受話口の向こうで柔らかい声が跳ねる。
「もしもし、お昼休みにごめんね。今日、帰りにスーパーで安いトマト見つけたから、晩ごはん冷製パスタにしようと思って」
「いいな、ちょうど腹が減ってたところだ。トマトのやつ、好きだよ」
「嬉しい。あなた、今、外? 蝉の声がしてる」
「ああ、校庭の近く。ちょっと生徒を叱ってた」
友香の声を聞いているうちに、指先に残っていた土のざらつきが薄れていく。黒い学ランの背中にこびりついた土の色と、妻の白いエプロンの光景が、まるで別々の世界のもののように分かれていった。
電話を終えてから、俺は鞄の内ポケットを開けた。朝、友香が入れてくれた弁当の包み紙から、ほのかに米と海苔の匂いがする。ふと机に置いた鞄の底に、土埃らしき砂の粒が一粒落ちているのが見えた。旧校舎裏の地面を踏んだときにでも付いたのだろう。俺はそれを指先で摘むと、ゴミ箱の上で払い落としながら、隣席の国語教師に声を掛けられた。
「伊佐見先生、また三年連中? ったく、暑いのに頭が下がりますよ」
「これが俺の仕事だからな。それより、あの三人、最近どんどん質が悪くなってる気がする」
「石橋あたりはこの辺の中学じゃ有名なガキですからね。気をつけてくださいよ」
軽く受け流したが、耳の奥には石橋の掠れた声が残っていた。覚えてろよ。教室で投げかける捨て台詞のような言葉を、ああいう低い音で吐く十五歳の顔が、妙に瞼の裏に張りついている。
同じ頃、旧校舎の裏では、三人の影がまだ動いていた。石橋は地面に片膝をつき、汚れた掌に土を掬い上げて握りしめた。固く拳を作ると、指の隙間から細かい砂がさらさらと零れ落ちる。
「亮太、大丈夫かよ。今度は俺が後ろからでも抑えとけば」
田口が腰を屈めて覗き込み、東は額の汗を学ランの袖で拭いながらおろおろと二人の間を見ていた。
「先生、意外と早いよな。あの年で本気出されたら、正面からは無理だって」
「分かってる。だから正面から行くつもりはねぇよ」
石橋は立ち上がり、制服についた土を乱暴に払った。叩くたびに、土埃が小さく舞って衣裳にこびりついた痕を残す。彼はそれをあえて払いきらず、汚れを眺めるように首を傾けた。
「伊佐見のやろう、最近、妙に調子こいてんだよなぁ」
田口が杏子ガムを噛みながら吐き出すように言う。
「し、新婚だからじゃないか? へへ、社会科の授業で、自分の嫁さんの自慢してたらしいよ」
東がもじもじと指を擦り合わせて言った。その口調は半分ほど噂の受け売りで、残りは自分の好奇心を含んでいるようでもあった。
「嫁さん」
石橋が声を低くした。
「どんな女なんだよ、それ」
「知らねぇけど、たしか若くて可愛いらしいぜ。先生がたまに弁当の中身とか話してるの聞いた」
田口が軽く笑った。
石橋はしばらく黙って、校舎の向こうに見えるグラウンドの方向を睨んでいた。夏草が彼の足首あたりを撫で、遠くで蝉が一際大きく鳴いた。
「あのせんせぇに、こっぴどく恥かかせる方法、俺はもう決めてる」
彼は掌を開いた。さっき握りしめた土が線のように黒く肌に染みている。それを制服のズボンに拭いつけると、白い歯をのぞかせて薄く笑った。目はまったく笑っていなかった。
「お前ら、あの女、調べるぞ。伊佐見の奥さんを、取り返しのつかないところまで落としてやる」
東は唾を飲み、田口はニヤリと口笛にもならない息を漏らした。午後一時を回った校庭の隅で、三人の影法師が長く伸びていく。旧校舎裏の土埃は風もないのにゆらりと舞い、彼らの黒い学ランに降りかかっていく。石橋の制服に染みた土の汚れは、日なたで乾き、白っぽく浮き上がって見えた。それがまるで、これから始まる何かの印のように、夏草の間でくっきりと残っていた。
教員室では、俺がもう一度スマートフォンの画面を見ていた。待受には友香とのツーショットが設定してある。彼女は白いワンピースを着て、俺の肩に寄りかかって笑っていた。その隣の俺は、少し照れたように口元を緩めている。夏の光が二人の上に落ちていた。
午後一時二十分。教員室にはエアコンの冷気が流れているのに、俺の背中にはまだ旧校舎裏のむわっとした土の温度が残っていた。窓の外、正門の向こうの並木道には陽炎が立ち昇っている。遠い夏草の匂いが、風のない空気を伝わってくる気がした。
第2章 かくして真面目な中学生がインターフォンを押しに来た土曜日

第2章: かくして真面目な中学生がインターフォンを押しに来た土曜日
7月下旬の職員室は、朝から冷房がやけに効きすぎていて、腕を組んで座っていると二の腕の産毛が逆立つようだった。窓の外では蝉が鋭く鳴いていて、その金属的な響きが壁一枚隔てただけの室内にまで容赦なく差し込んでくる。俺は机の上に広げた生活指導の記録用紙から目を上げて、冷やされた空気のせいで少し乾いた唇を舐めた。今日は終業式まであと三日というところで、通知表の所見に追われる同僚たちが、パソコンのキーを叩く小さな音を散らしていた。隣の席の若い英語教師が紙コップの麦茶を啜る音が、かさりと薄く耳に触れる。俺はデスクの脇に置いた黒いビジネスバッグへ手を伸ばし、サイドポケットから弁当箱を包んだ紺色の風呂敷を引き出した。友香が今朝、玄関で「今日は唐揚げと出汁巻きだよ」と笑いながら手渡してくれたあの包みには、まだ微かに彼女の手の感触が残っている気がして、指先で包み目を確かめる。柔らかな布の下で、弁当箱の角がつんと存在を主張していた。俺はそれを教員机の上に置くと、腕時計を見る。午前11時を回ったばかりの針が、冷えた文字盤の上をゆっくりと滑っていくところだった。
「伊佐見先生、ちょっといいですか」
声がして、入り口のほうを見ると、そこに石橋亮太が立っていた。浅黒い肌でもなく、むしろ青白いほど静かな顔をして、制服の襟元をきっちりと合わせ、まるで入学式の日に撮った証明写真のような表情を作っている。いつもの乱暴な目つきは鳴りを潜め、唇の端が微かに強張っているのが、かえってその作り物めいた真面目さを浮き彫りにしていた。田中主任が印刷機の陰から顔を出したが、石橋の姿を認めると、何事もなかったように書類の束を小脇に抱えて職員室の奥へ引っ込んでいく。俺は背もたれに預けていた背筋をゆっくりと起こして、腕組みを解いた。旧校舎裏であの三人を叱ってから二週間近く経つ。石橋はあの後しばらく俺と目を合わせようとしなかったし、廊下ですれ違うたびに田口や東と連れ立って、わざとらしく窓の外へ目をやっていた。なのに今はこうして、職員室の入り口に独りで立ち、手の先を所在なさげに動かして、まっすぐ俺の顔を見ている。
「どうした、石橋。今日は早いんだな。職員室に用か」
俺は、彼が座るよう促す代わりに、自分のデスクのすぐ横の空気を軽く掌で示した。石橋は一度だけ小さく頭を下げると、擦り足のような静かな歩き方で近づいてきて、俺の机の前に立った。近くで見ると、伸びた前髪の先が汗で湿っていて、それが薄く額に張り付いている。冷房の利いた室内なのに、脇のあたりにじんわり滲んだ汗の跡が白いカッターシャツを透かして、ほんのり肌色に浮いていた。彼は唇を開こうとして、一度だけ、喉を掴まれた小鳥みたいに小さく息を呑む。それから意を決したように口を開いた。
「この前は、すいませんでした」
声は小さく、しかしはっきりとしていた。職員室のざわめきに消されないぎりぎりの音量で、後ろめたさを装うには十分すぎる低さだった。
「煙草のことなら、もういい。反省文もあとで受け取る。だが、お前が自分から来るとは思わなかったな」
俺が言うと、石橋は目を伏せ、唇を噛み締めるようにして一瞬だけ黙った。開け放たれた職員室の窓から、遠い校庭のほうで運動部の掛け声が微かに流れてきて、それが彼の肩を揺らしたようにも見えた。石橋はカッターシャツの胸ポケットに手を入れると、折り畳んだ便箋を取り出し、それを俺の机の上に置いた。淡い罫線の便箋は、折り目の端が擦れて柔らかくなっていた。彼は息を一つ吐き、視線を落としたまま口を開く。
「あれから俺、自分がどうしてあんなことしたのか考えました。先生の言うとおり、煙草は体に悪いし、校則だし、何より、自分で自分を格好悪くしてるだけだって」
「ほう。ちゃんと考えたんだな。それで?」
俺は便箋には手を触れず、彼の顔を見た。石橋は一瞬だけ俺の瞳を覗き込み、それからすぐに逸らして、上履きの爪先をきゅっと床に押し当てる。その仕草は、叱られた教え子の誰もがやる、ぎこちなくて幼い動きだった。
「先生が、俺のこと、生活指導で何度も見てきたのに、見捨てないでいてくれたのが、申し訳なくて」
「お前は賢い生徒だ。やり直すなら、今なんだよ。夏休みに頭を冷やして、二学期、また同じ失敗をするな。お前ならできる」
声に熱が篭るのが自分でも分かった。俺はつい、身を乗り出して、右手で彼の肩口の空気を叩いていた。石橋は黙って聞いていた。時折、深く頷いて、便箋の端をつまんで折り目を付け直したりしている。俺は言葉を畳み掛けた。高校受験の話、生活態度の話、仲間との付き合い方、そういったものを手を替え品を替え話すうちに、彼の強張った肩から少しずつ力が抜けていって、白い喉仏が上下するのが見えた。ふと、机の上に置いた弁当の風呂敷へ目が落ちる。今日は友香が作ってくれた唐揚げが入っている。俺は口角を持ち上げて、声を柔らかくした。
「昼を食いながらでよければ、もう少し話すか? ほら、うちの妻が弁当を作ってくれてな。お前も昼はどうするんだ」
石橋は目を瞬かせて、俺の顔と弁当箱を交互に見た。それから小さく首を振り、かすれた声で「今日は学食で田口と食う約束っす。だから、ここで帰ります」と言い、一歩後ろへ下がった。
「そうか。なら今日はこれでいい。反省文、確かに受け取ったぞ。ゆっくり読むからな」
「ありがとうございました」
石橋は深く頭を下げる。その拍子にカッターシャツの背中が浮き、首筋の骨がくっきりと持ち上がった。俺は頷いて、読みかけの記録用紙へ目を戻しかけた。石橋が身を翻そうとした時、その右腕が微かに俺のデスクの縁に触れ、続けて廊下側の手が、椅子の背に掛けてあった俺の黒いジャケットの方へ伸びる。何か引っ掛けたのではないかと顔を上げた瞬間には、彼はもう背を向けて、職員室の扉のほうへ歩き始めていた。右手の指先を軽く握り込み、何か小さなものを包み込むようにしている。俺は少しだけ首を傾げたが、隣の同僚が「伊佐見先生、冷房、強すぎません?」と話しかけてきたので、それ以上は気に留めなかった。涼しい空気が、背中を這って落ちていく。
それから三日が過ぎて、終業式が終わり、夏休みが始まった。学校には補習や部活の生徒が毎日出入りしていたが、空気はどこか緩んでいて、朝の職員室には湯飲みを抱えた教員たちの話し声がだらりと流れていた。俺は柔道部の夏の練習計画を顧問として立て直すのに忙しく、家に帰れば夕食の前に居間のソファでうたた寝をしてしまう日が続いた。友香は「疲れてるなら、ご飯の後すぐお風呂に浸かりなよ」と笑い、俺の眠る横で薄い夏用のタオルケットを掛けてくれていた。彼女の白い手が俺の額に触れるたび、その指先の温度が心地よくて、俺は寝たふりをしながら彼女の気配を味わっていた。夫婦の時間は静かで、しかし確かに満ち足りていて、夜になれば扇風機の回る薄暗い寝室で、俺から彼女の背中に腕を回すことの幸福を疑いもしなかった。彼女の肌は汗を含んで少し湿っていて、指の腹で触れると吸い付くように柔らかい。耳元で「んっ」と小さく身じろぐ声がして、それがこの夏の一番甘い音だった。
土曜日が来た。朝の五時半にセットした目覚ましが鳴る前に、俺は目を開けた。隣で友香が、頬に一筋だけ髪の毛を張り付かせて、開かない目をしていた。俺は熱いシャワーを短く浴び、柔道部の赤いポロシャツとグレーのチノパンを穿き、スポーツバッグに竹刀と着替えを押し込んだ。地区大会の引率は初めてではなかったが、夏の畳の熱気と、汗と柔道着の匂いが混ざるあの独特の空気を思うと、背筋が自然と伸びる。俺はリビングへ行くと、友香がパジャマの上から薄いカーディガンを羽織り、顔を洗う前のぼんやりした様子で冷蔵庫を開けていた。その背中が、朝の光に透けて白く溶けそうに見えて、俺は近寄って、後ろから細い肩を抱いた。
「行ってくるな。夕方には戻る」
「うん。いってらっしゃい、あなた。水分いっぱい摂るのよ。保冷バッグに麦茶、入れておいたから」
友香は俺の腕の中でくすぐったそうに首を縮めて、振り返りざまに俺の胸へ額を擦り付けてきた。洗い立ての前髪から、蜜柑の花のような柔らかなシャンプーの匂いが立ち上る。俺はその匂いを胸いっぱいに吸い込み、彼女の二の腕を一度だけ強く握ってから手を離した。玄関で運動靴の踵を潰すように履き、ドアを開けると、外から焼けたアスファルトの匂いと、湿度の高い空気が流れ込んできた。七時四十分。蝉はもう鳴き始めている。俺は振り返らずに、白い陽射しの中へ踏み出していった。
午前九時半。マンションの一階エントランスに設置されたインターフォンのカメラが、三人の少年たちを映し出していた。石橋は、耳の横で少し汗に湿った黒髪を整えながら、真新しい半袖のワイシャツの襟を指先で摘んだ。田口は背が高い。ぱりっと糊の利いた白いシャツを着て、黒いズボンを履いていたが、裾が少し足りない気がして落ち着かない様子で、首の後ろを掻いている。東は丸い体に学校指定の白いポロシャツをきっちりと着て、ズボンのベルトを何度も触り、唇を舐めるようにして額の汗を拭っていた。三人は互いに目配せをして、石橋が一つだけ深呼吸をした。それから、カメラの下にある呼び出しボタンの前に立ち、指先で静かに押す。電子音が、カン、と軽く響いた。
しばらくして、スピーカーから声が流れてきた。
「はい、伊佐見です。どなたですか?」
明るくて、少しだけ高い。石橋は喉を鳴らして、唇を笑みの形にした。彼はわざと背伸びしたくすぐったそうな声を作り、インターフォン越しに響かせる。
「あの、高山中学の三年です。いつも伊佐見先生に、お世話になってます。奥さん、ご在宅でしょうか?」
一呼吸おいて、友香の声が答える。
「はい、妻です。あの、伊佐見は今日、柔道の地区大会で、朝から出てるんですよ。何かありましたか?」
声は不思議そうで、それでも警戒より好奇心のほうが勝っている。石橋はもう一押しだと思い、さらに声を弾ませた。
「あ、はい。それで、ちょっと奥さんにお願いがあって来たんです。実は、この前の球技大会で、僕たちのクラスが優勝したんですけど、その時先生がすごく応援してくださって。それで、クラスで寄せ書きをしたんですが、奥さんにも一言もらえたらなって思って」
スピーカーの向こうで、小さく息を呑む気配がした。それから、笑いを含んだ声が降ってくる。
「まあ、そうだったんですね。夫から聞いてました。クラスの子たちが頑張ったって、すごく嬉しそうに話してくれて。……分かりました。ちょっと待っていてくださいね、下へ降りますから」
石橋はスピーカーに向かって「はい、すみません。ありがとうございます」と笑顔で答える。十数秒後、重いガラス扉の向こうでエレベーターが降りてきて、小さなスリッパの音が近づいてきた。ガチャ、と解錠の音がして、友香が顔を出す。肩で切りそろえた黒髪、薄いワンピースの上にカーディガンを羽織り、裸足の踵をかすかに汗ばませて立っている。三人は、中学生らしい弾んだ挨拶を揃えて頭を下げた。友香は目を細めて笑い、「暑いのにわざわざ来てくれたんですね」と、彼らを入口に招き入れる。
石橋は彼女のすぐ後ろに並び、優しい声で言った。
「これ、寄せ書きの色紙です。よかったら、このまま手渡ししてもいいですか? それと、もし奥さんからも一言いただけたら」
友香はためらいなく頷いた。マンションの静かなロビーに、四人分のスリッパの音が小さく響く。石橋が振り返ると、田口が一歩下がって肩で呼吸を整え、東が唇を引き結んで、ゴクリと唾を飲んだ。その肩越し、東の背に隠したスマートフォンの角がちらりと動き、液晶の縁で赤い録画ランプが小さく灯ったように見えた。エレベーターに乗り込み、五階で降りると、友香は軽やかな足取りで部屋の前へ進み、ドアを開けた。冷たい風が、廊下へふわっと流れ出る。
「どうぞ。狭いですけど、上がってください」
笑顔で招く友香の背中を、三人の影のような視線が追いかける。石橋が最初に玄関へ入り、田口、東と続いた。友香がドアを閉めようとした瞬間、東の手がするりと伸びて錠を捕らえる。ガチリ、と重い金属音が玄関に鳴った。友香が微かに肩を揺らして振り向く頃には、石橋がその顔をじっと見下ろしながら、薄い唇の端を持ち上げていた。閉め切られた玄関には、四人分の蒸れた靴の匂いと、汗の酸っぱい匂いが急に濃く満ちてきて、空調の風が天井の端でひゅう、と鳴いた。
午前十時三十五分。鍵のかかった玄関の中で、友香の背中が壁すれすれに後退る。石橋の目が、暗い輝きを帯びて細くなる。田口が無言で上履きを脱ぎ散らかし、東がスマホを胸の高さで構えて、赤いランプを友香の青ざめた顔へ真っ直ぐに向けていた。彼女の震える手がカーディガンの前を掴み、乾いた唇から、声にならない短い息が漏れる。三人の少年たちが、まるで生まれたての獣のように、静かで、息を潜めた足取りで彼女を囲んでいく。
第3章 汗ばむ肌と肉の音、壊れていく昼下がり

第3章: 汗ばむ肌と肉の音、壊れていく昼下がり
鍵の落ちる音が、まだ耳の奥で小さく反響していた。友香は背中を玄関の壁に押し付けたまま、目の前でゆっくりと笑みの形を変えていく石橋の顔を見詰めている。彼の唇の端が、さっきまでインターフォン越しに聞いていた優しい声の主とまるで別人のように薄く吊り上がっていく。その下で、喉仏がこくりと動いた。
「やっと二人きりになれたなって、そういうわけでもないけど。まあ、鍵は閉めさせてもらった。奥さん、声、出さないほうがいいぜ。出したら、俺ら、何するか分かんなくなるから」
石橋が一歩、詰める。友香の裸足の爪先が、玄関のタイルの冷たさにぴくりと跳ねた。後退ろうとしても壁が背中を押し返し、肩甲骨が硬い面へ縫い付けられたようになる。浅く速い呼吸が喉の奥で笛のように鳴いていた。指先がカーディガンの前を掴む。その真珠色のボタンを握り潰そうと力を込めて、けれど指先は白くなるだけで、うまく動いてくれない。田口が鼻の頭を掻きながら、横から彼女の横顔を覗き込むようにして言った。
「奥さん、マジで顔ちっちゃいんだな。先生の弁当の話ばっか聞かされてたけど、女もすげぇいい女連れてんじゃん」
「うるせぇ、田口。口より先に手足動かせ。東、撮れてんのか」
東は唇を舐めて、両手でスマートフォンを胸の高さに構え直した。液晶の端に灯った赤いランプが、薄暗い玄関の空気の中で、まるで小さな生き物の目のように呼吸している。彼の四角い肩が、シャッターを切るたびにではなく、録画を止めまいとする緊張で微かに揺れていた。友香は、その赤い光が自分の顔へ向けられていることに気づくと、顎を引いて髪の毛で頬を隠そうとした。すると東が、画面越しではなく生の声で、どもりながら窘める。
「顔、隠されたら、おれ、どう撮ればいいか分かんない。お、奥さん、こっち、向いて。へへ」
その含み笑いが、友香の耳の産毛を逆撫でる。台所から、冷蔵庫の低く唸る音だけが、家じゅうに冷えた空気を薄く張り巡らせていた。廊下の奥のリビングから、クーラーの風がひゅるりと流れ、彼女の膝裏を冷やしていく。冷房は朝から夫が点けっぱなしにして行ったもので、部屋の中は外の暑さが嘘みたいに涼しいのに、背中にはじっとり汗が滲んでカーディガンの裏地を肌へ張り付かせていた。汗の匂いが、彼女自身の首元から立ち上っている。いつもの柔らかなボディソープの香りとは別の、酸っぱい恐怖の匂いだ。
「奥さん、何もしねぇから、リビングまで来てよ。ここで倒れられても面倒だし、床、冷てぇだろ」
石橋の声は、また、あの丁寧な学生言葉の残り香を帯びている。その温度差が、友香の皮膚をざらりと撫でた。彼女は頭を小さく振った。唇が動くより先に、涙が下まぶたへ盛り上がる。
「どうして……。あなたたち、本当に、あの学校の子なの? 夫の生徒さん、なんでしょう。だったら、こんなこと……」
声は上ずり、最後のほうは掠れて消えた。石橋は首を傾げて、友香の目を下からのぞき込む。黒い瞳の奥に、昼間の光が小さく、ナイフの切っ先みたいに光っていた。
「先生の生徒だから、こうやって来てるんじゃないっすか。奥さん、何か、俺らが寄せ書き持ってきたこと、もう忘れた? あの色紙、あとでちゃんと書いてもらうから。ただ、その前に、ちょっと俺らの話も聞いてほしいだけで」
石橋は右手を伸ばし、友香が握り締めているカーディガンの胸元へ指先を触れさせた。彼女の白い指が、その下で硬く固まる。彼は汗で湿った前髪を自分で掻き上げながら、掠れ声で続けた。
「奥さん、服で手いっぱいになってるから、脱がせてやるよ。抵抗すんなよ。痛いの、嫌だろ?」
友香の唇から、ようやく、短い悲鳴が洩れた。半分は悲鳴になりきれず、喉の奥で潰れた空気の塊が鳴る。田口がその声を聞いて、ますます笑みを深くした。彼は自分の片手で友香の右手首を掴み、もう片方の手で彼女の肩を押さえ、まるで重い扉を開けるみたいにして壁から引き剥がす。そのまま三人は、友香の両腕と肩を別々の手で取り、引き摺るようにして廊下の奥のリビングへと入っていった。床はフローリングで、裸足の裏に木目の溝が汗と一緒に食い込んだ。冷たい板が、一歩進むたびにぎし、と細く啼く。
リビングの白いレースのカーテンが、閉め切られた空気の中で微かも揺れていない。窓の外の夏の陽射しはレースを透かして、部屋の中に牛乳色の光を散らした。真ん中に置かれたローテーブルの上には、友香が朝飲んだ麦茶のグラスが一つ、汗をかいた底で輪を作っている。テレビは消えている。クーラーの風が、天井近くから低い唸りと一緒に部屋へ降りてきて、彼女の太ももの裏を冷やした。背中は、床に押し倒されたために、ひやり、と冷たい。その冷たさと三人分の熱い手のひらが、友香の身体の上で入り乱れる。
「いやぁ……、離して、お願い、離してください……!」
彼女は仰向けにされたかと思うと、両手首を頭の上で一つにまとめられ、田口がその両方を畳に縫いつけるように押さえつけた。体重が軽くのしかかって、手首の骨が重なり合い、痛みが細い電線みたいに肘まで走る。石橋は友香の腰を跨ぐようにして座り、彼女のスカートの布地を掴んだ。白と淡い青の花柄が、閉め切った部屋の中で妙に明るく目に焼き付いた。ふわりと洗濯の匂いが立つ。その布を乱暴にまくり上げると、友香は腹筋を強張らせ、太ももを閉じようとする。石橋は、それを両膝で無理やりこじ開ける。浅黒い手が、汗ばんだ太ももの内側へ、ぐ、と食い込んだ。
「脚、固くすんな。そっちのが疲れるだけだぜ。なあ、どうせなら気持ちよくなればいいのに、奥さん」
石橋の指が、友香の膝を左右へ押し広げながら、じりじりと下着の上へ近づいてくる。薄いレースの下着は汗を吸って湿り、恥骨のあたりに張り付いていた。その布地がくっきりと、閉じた花弁の形を浮かび上がらせている。指先が触れる。友香は全身を跳ねさせて、喉の奥から引き攣った息を吐いた。涙がこめかみを伝わって、耳の穴へ生温く流れ込んだ。
「いやっ……! 触らないで、そこ……っ、だめ、本当に、やめてっ」
「大丈夫、触るだけ、まだ。ほら、もう、あったけぇ。奥さん、ここだけ、すげぇ、汗かいてるよ」
石橋が声を潜める。指が、布の上から中心の溝を押すように、ゆっくり上下する。その圧力が、友香の下腹に電気みたいな痺れを放ち、太ももの内側が痙攣した。田口が上から彼女の顔を眺め、熱い息を吐きかける。
「亮太、この奥さん、口ずっと動いてばっかだから、口塞いじまおうぜ。あと、服も脱がせねぇと」
「お前、たまにはいいこと言うじゃねぇか。じゃあ、やるから、手、どけんなよ」
石橋が片手で友香の顎を掴み、彼女の頭を軽く持ち上げる。白い喉が晒された。彼はもう一方の手で、友香の髪の下から細い肩紐を引きずり下ろす。ワンピースの胸元がずれ、汗で乳白色に光る谷間が覗く。彼女は奥歯を食い縛って、それでも漏れる声を抑えきれない。石橋は下着の縁に手を掛け、恐怖で突っ張る彼女の腰を浮かせながら、する、と太ももの付け根まで引き下ろした。レースの中心には、滲んだ染みがべったりと張り付き、細い糸を引いて彼女の肉から離れていく。その、半透明に濡れた糸を見た田口が、喉をぐっ、と鳴らした。
「嘘だろ、奥さん。もうこんなにしてんじゃん。見てるだけで、俺、くらくらしてきたわ」
田口は友香の口へ、丸めた下着をそのまま突っ込んだ。湿った布が、舌の上に押し付けられる。自分の汗と、微かに酸っぱい匂いの滲んだ布が、喉の入り口を塞いだ。友香は首を振ったが、下顎を押さえ付けられ、声はゴフ、という水っぽい音に変わる。白い前歯が、薄絹の布を通して柔らかく震えた。石橋は友香のワンピースの前を、胸元から下へ一息に引き裂いた。布の裂ける音が、閉め切った空気を震わせ、ボタンがいくつか床へ転がった。カチャカチャ、と音がして、友香の白い鳩胸へ冷気が触れる。淡い水色のブラジャーは、片方の肩紐が外れ、左の乳房が布の端からこんもりと溢れている。薄茶色の乳首が、空気に触れて硬く尖り、その周りの粒々が粟立っていた。
石橋は友香の腰を自分の膝で支え、ズボンのベルトを外した。金属の音が、部屋に鋭く響く。友香は目をきつく閉じたが、すぐに、顔の横で田口が「目、開けろよ、奥さん。見ないと勿体ねぇって」と頬を軽く叩いた。仕方なく薄目を開けると、視界の端で、石橋が自分の肉棒を取り出して、亀頭の先を友香の秘部へ押し当てようとしているのが見えた。彼の手の中で、それはもう怒りに燃えた鉄みたいな色をしていて、先端の窪みから透明な汁が糸を引いていた。友香の喉が、下着の布の上から痙攣する。涙がまた、目の縁から溢れて、耳たぶを撫でた。
石橋は焦らすことをやめて、腰を沈めた。ずぶ、と、粘る音が股から立つ。友香の首がのけぞり、手足の指が一斉に開いて、それから痙攣する。下着を食い締めた口の端から、涎と声の混ざった泡が洩れた。彼の肉棒は、濡れた襞をこじ開け、奥へ、奥へと潜り込んでくる。膣の中は、友香自身も驚くほど滑り、ぬるり、と彼の形を受け止めたのは、恐怖のせいなのか、それともいやおなしに高められた熱のせいなのか、区別がつかない。石橋は唇を舐めて、息を熱く吐いた。
「は……、なにこれ。奥さん、めちゃくちゃ締めるくせに、中は吸いついてくるじゃん。先生、毎晩、これ使ってんのかよ」
下品な笑い声が、田口から洩れた。友香は顔を左右に振った。違う、違うの、と心の中で叫んだ声は、口を塞がれて肉の音に変わる。石橋が腰を引くたび、ぬちょ、ぬぷ、と、蜜の泡立つ音が耳の奥に絡みついた。彼は一度、深く突き入れて、友香の子宮の入り口を亀頭でこすり上げると、今度は激しく、若い腰を打ちつけるように動かし始めた。汗ばんだ腹と腹がぶつかり合い、彼女の下腹が白く揺れる。押さえつけられた手首は痺れ、田口の硬い指が彼女の骨に食い込んだ。床の冷たさと、石橋の注ぎ込む熱。二つの温度が、友香の身体の真ん中で溶け合おうとしていた。
「んぐ……っ! んんっ……、ぐうぅ……!」
彼女は喉の奥で叫んだ。涙と鼻水で顔中を濡らし、目は充血している。それでも、奥を突かれるたびに、下腹部の奥で何かが弾けて、桜の花びらみたいな痺れが尻のあたりまで散っていく。自分の意思とは裏腹に、膣の襞が彼の形を覚えて、締め付け、絡み、離すまいと蠢いた。田口は友香の口を塞いでいた下着を引き抜いた。途端に、押し殺した叫びと、ねっとりした唾液の糸が、唇から溢れ出す。
「ふあっ……や、やめ……どうして、あ、ん、いやぁ……っ!」
声が途切れ、石橋の抽送に合わせて喉が鳴る。田口は半勃ちの陰茎を自分のズボンから引っ張り出すと、友香の頭を横に向け、こじ開けた唇の中へ、その先端を捩じ込んだ。友香は舌で押し返そうとしたが、舌の上に彼の熱い肉がのしかかり、口の中を塩辛い匂いで満たした。田口の浅黒い腹が、彼女の鼻先に押し付けられる。ちんこの生臭い熱が、喉の奥へ毎秒のように流れ込み、友香は吐き気と同時に、なぜか舌の根が彼の裏筋を舐めるように動くのを止められなかった。田口が言った。
「口ん中、すげぇ、ヌルヌルしてる。あんた、ホントに人の奥さんか? 俺の先っちょ、舌でなぞってくるし」
友香の鼻から、泣き声が抜けた。東は二人の絡み合いから半歩下がり、スマートフォンを夢中で動かしている。画面の中で、友香の涎と涙に濡れた顔が、赤いランプの光を反射して淫靡に浮かんでいた。彼は空いた手で自分の股間をしごき、くぐもった声で囁く。
「す、すげぇ絵になってる……。あ、これ、あとでまた見るの、やばい……。奥さん、もうちょっと、こっち、舌、見せて……」
友香は泣きながら、田口の陰茎を咥えさせられている。口の端からは自分の唾液が泡立ち、その泡が彼の肉棒に白く糸をかけていた。石橋が彼女の腰を高く持ち上げ、足首を自分の肩にかける。膝の裏が彼の汗ばんだ首筋に触れ、彼女の太ももが大きく開かれた。結合部は、すでに蜜でぐしょぐしょと光っている。肉のひだから溢れた液が、後ろの窄まりの縁を濡らし、ゆっくりと背中まで流れていった。石橋が抽送を強めた。
「そろそろ出すから。出したら、もっと分かんだろ? 先生の女が、俺らみたいなのに、腹の奥で、とろってされたの」
友香は首を横へ振ることしかできない。田口が彼女の口から一旦、肉棒を抜いた。耳の奥で、ぬぽ、と唾液の詰まった音が鳴る。友香は無理に起き上がろうとしたが、腹に力が入らず、腰から崩れた。
「最後まで見とけよ、奥さん」
石橋が腰を捻るように奥へ亀頭を押し付けたかと思うと、背中を弓なりに反らせ、友香の最奥で熱い吐精を始めた。一瞬、何が起きたのか分からなかった。子宮の辺りが、焼けた湯を注がれたみたいに溶けていく。彼の肉棒が、どくん、どくん、と何度も跳ねるのが、友香の膣の襞にダイレクトに伝わってきた。彼女の口から、声なのか泣き声なのか分からない細い音が漏れ、脚の先がぶるぶると震えた。石橋は最後の一滴まで注ぎ終えると、膣からゆっくりと肉棒を抜いた。白い粘液が、栓を失くしたように溢れ出して、彼女の割れ目から会陰を伝い、尾骨のくぼみを汚していく。部屋に、精子と牝の匂いが混ざった。
「は……。出ちゃった。奥さんの中、とろっとろ。なあ、田口の、もう突っ込んでみろよ」
東が、それまで自分の股間を弄っていた手を慌ててカメラに戻す。田口は既に軍手を捨てた素手で自分の巨根を振り回し、「俺、ちょっと、腰、入れるの早いかも。勘弁してくれよ、奥さん」と、歌うように言った。友香は涙の膜の奥で、ぼんやりと天井の木目を眺めている。身体はまだ、熱くも冷たくもつかない温度の中で、小さく引き攣っていた。石橋が自分で出した精液を、指先で友香の膣口へ塗り込めると、彼女の太ももがびくりと閉じかける。
「そこで閉じんな。もっと使われないと、あいつら、満足しねぇから」
そんなことを口にする声だけが、相変わらず落ち着いていて、その静けさが、いっそう友香の胸を串刺しにした。リビングのクーラーが、また、ひゅうと鳴く。冷たい風が、汗の浮いた彼女の下腹を撫で、火照った肉を不意に引き締めさせた。窓の外では、蝉の声がずっと同じ高さで鳴き続けている。その騒々しさが、閉め切ったこの部屋の、四人分の呼吸と粘液の音を、外から覆い隠している。カプセルに閉じ込められたような静寂と猛暑の一日が、まだ半分も過ぎていない。友香の意識は、どこか遠いところへ浮かびかけていた。誰かが「次、おれ」と言う声を聞きながら、涙だけが、また、とめどなく、こめかみからフローリングへ流れていった。
第4章 白い粉と体温、肛門からほどけていく声

第4章: 白い粉と体温、肛門からほどけていく声
田口が友香の腰を抱えて自分の下腹に乗せようとした時、彼女の背中がフローリングから浮きかけて、汗で張り付いた髪の束が板張りの床にベト、と音を立てた。腕の力はもう抜けきっていて、肩から先が折れた鳥の翼みたいに投げ出されている。それでも唇だけは小さく動き続け、生温い唾液の泡を吐き出すたびに、喉の奥からガスみたいな吐息が洩れた。田口は彼女の太ももを左右へぐいと押しやり、自分自身の先端を精液の溢れた膣の入り口へ擦りつけた。
「固くなったオッパイですぐ分かんだよ、奥さん。乳首、ぴんぴんじゃん。もう足開いてるし、俺らのこと待ってたんだろ」
友香は答えなかった。答える代わりに、唇を噛んだまま首を背もたれのない床へ深く沈め、白い喉仏を震わせた。田口が腰を進めると、石橋が出したばかりの濃い精と彼女自身の液が混ざり合い、太い肉棒を奥へ導く。膣の壁が生き物のように蠢いて、田口の形を根元まで迎え入れたところで、友香の腰が一瞬、ガク、と跳ねた。
「お、これやべぇ。俺、このままじゃすぐ出るかもしんない。奥さん、中がおれのチンポに食いついてきてるよ」
田口の声は上ずり、浅黒い頬に汗が光った。彼は友香の尻の下へ両手を差し込むと、浮き上がらせる恰好で腰を使い始めた。喉の奥を突かれたみたいに、友香の口から甲高い吐息が追い出される。その声が、閉め切ったリビングの四方の壁を這って、冷房の風の筋に混じると、部屋全体がむっと汗くさく湿った。蛍光灯の光の中で、交わり合う影がフローリングへ板のように張り付いている。東は二人の体の下から、結合部を下から覗き込む角度でスマホを滑り込ませていた。レンズが濡れた下生えの渦を捉えた。赤いランプは、息を詰めて撮る東の手の震えと一緒に、小刻みに揺れている。
「へ、へへ、すごい音してる……。肉と肉が、くちゃくちゃいってて、白いの、そんなに泡立つんだね、奥さんのここ……。おれ、ちゃんと撮れてるから大丈夫だからね……」
東の言葉は、友香を慰めるのか、自分の欲を確かめるのか曖昧だった。友香は泣いている。涙はもう涙でなく、単に目の縁から溢れる体液みたいに止まらず、鼻の頭と上唇を光らせていた。田口の腰が深くなるたびに、彼女の開いた唇から声が素通っていく。
石橋は、気だるげに壁へ寄りかかって、腕を組んだまま友香の顔を観察していた。さっきまで自分が楔を打ち込んだ女の顔が、今は別の男に貫かれ、唾液と涙と精液で汚れていく。白い肌の腹が痙攣し、痩せた脇腹に汗が伝わり、床へ落ちて小さな黒い染みを作った。石橋は、満足そうに息を吐いたが、その目は獲物を味わう鷹の目をしていた。眼の奥の黒が、光を含まない湿度で濡れている。
「お前ら、このまま同じ穴、順番に犯しててもつまんねぇよ。奥さん、まだ目が死んでるし、体も固ぇ。先生の女なら、もっと、こう、溶けるまで追い込まねぇと」
「でもよ、亮太、この奥さん、中は溶けてるぜ。俺の先走りと先生の精液で、もう中ぐちゃぐちゃだし」
「だから意味ねぇんだろ。頭と体が別のこと考えてる女、抱いて何が楽しい。ここに来た意味、忘れてないよな」
石橋はそう言うと、壁から背を離し、脱ぎ散らかした自分のズボンのポケットに手を入れた。外側からでも分かるほど、小さな袋が折り畳まれている。透明なジップロックの中に、細かな白色の結晶が入っていた。彼はそれを指先で摘み上げ、明かりにかざすように掲げる。白い粉は、閉め切った部屋の中で、外の真夏の日差しがレースのカーテンに濾されて当たると、万華鏡みたいな光を放った。
田口は腰を止めず、むしろ一段と乱暴に突き上げながら、その袋を片目で追った。
「なあ、それ、マジで使うのかよ。兄貴のやつだろ。どれくらい入れんだ。間違うと死ぬぞ、奥さんが」
「死なせねぇよ。量は分かってる。それに、これは生で舐めさせるより、腹の奥に溶かしてやるのが一番効く。お前、見てるだけでいい。まだまだ突っ込んでろ」
石橋は台所へ向かった。リビングの隣のオープンキッチンは、冷房の風が回り込まず、わずかに室温より高い空気が滞留している。シンクの蛇口を捻ると、水音が狭い空間に鋭く響き、友香の髪がその音にピクリと反応した。石橋はコップに水を注ぎ、白い粉の半分ほどを慎重に落とした。結晶は音もなく沈み、箸のような指で掻き混ぜると、みるみる透明に溶けて、ごく微かに濁った。彼はコップの水を一度、鼻先へ運んで、金属の錆びた匂いの奥に僅かな苦みの気配があるのを確かめた。石橋の口元が、薄く弓なりに曲がった。
東が、スマホを構えたまま石橋の手元を映した。
「石橋、それ、半グレのお兄ちゃんの……? おれ、よく知んないけど、人に入れたら、あとで警察に、ば、ばれないかな。奥さんの体に残るとか」
「残るもんも、何もねぇよ。お前は黙って、一番見やすいとこから撮ってろ。いい画が録れるぞ、東。この女、声が変わるから。お前のスマホ、容量、足りてんだろうな」
東は慌てて画面を確認し、録画時間がまだ十分に残っていることを二度三度と確かめた。その間も田口は機嫌よく腰を振り、片手で友香の胸を鷲掴みにした。小ぶりな乳房の肉が指の隙間から溢れ、固い乳首が手のひらに食い込む。友香は首を振るでもなく、されるがままになって、目だけで窓の外の光を追っていた。空気が重い。冷房の設定温度は低いのに、四人の熱気で床近くが澱み、汗と精液、それから女の熟れた粘液の混ざった臭いが、カーテンの白さえ黄ばませるように思えた。
石橋が一人、友香の足音へしゃがみ込んだ。田口が動くたびに友香の尻が持ち上がり、薄い会陰が伸びて、その上部の窄まりが浅い息に合わせて、ふしゅ、と窄むのを繰り返している。彼は其処へ、指先でコップの水を少し掬い、そっと垂らした。友香の背筋が総毛立つ。
「つめ、たい……! 何、何する気ですか……。やめて、それ以上、触らないで……」
ようやく、はっきりした言葉が友香の口から転がり出た。声は哀れなくらい掠れていたが、恐怖の形をしていて、石橋の胸をくすぐる。彼は友香の腰を片手で押さえつけ、もう一方の指を窄まりの縁に押し当てた。指先が沈みかけた瞬間、あの狭い穴が、指を吐き出そうとするように強く収縮する。
「声は出してもいいけど、変な逃げ方はするなよ。田口がせっかく気持ちよく動いてんだから」
石橋が片目で田口を見た。田口はにぃ、と笑って、わざと一番深いところを抉るように腰を回す。友香の口から、「ひぁっ」という声が洩れ、両脚が内側へ閉じかけた。石橋は手の甲で膝を押し戻すと、指先をアナルの窄まりへ向かって、ゆっくりと沈み込ませた。第一関節まで入りかけたところで、指を引き抜き、コップの水を口に含んだ。
「続けるから、歯ぁ食いしばんな。……ほら、もう口が開いてる。素直だな、奥さん。こっちの穴、とっても熱心に吸い付いてくれる」
石橋の声が、友香の耳の奥で、粘っこい篠懸の実みたいにこびりついた。彼は、温めた覚醒剤入りの水を口から細く吐き出し、同時に指先で友香の窄まりを押し広げた。冷たい水が、最初は一滴、二滴と、彼女の後ろの蕾のひだへ吸い込まれていく。その温度に友香の腹が波打ち、田口の肉棒を搾り上げるように膣が締まった。田口が「お、なに今の、すっげ締まった」と吠える。
石橋は、コップへもう一度口をつけ、今度は舌の上で水をぬるくしてから、ゆっくりと友香の肛門へ注ぎ入れた。水はまるで細い蛇のように、彼女の腸の内壁を冷たい腹這いで下っていく。友香は、のけぞった。喉の奥でヒューと鳴くような呼吸が洩れ、両手が床を掻いた。爪の先が力なくフローリングをひっかく音が、カリ、カリ、と、部屋の底に沈んでいく。
石橋はさらに指を深く押し込み、ぐちゅ、と指の根元まで埋めた。女の直腸の中はぬるりと熱く、外側から触れるだけでは想像できないほど柔らかな襞が、呼吸に合わせて指へ絡みついてくる。コップの水を流し込むたび、体内の奥で小さな泡が弾けるような、くちゃ、という微かな水音が立った。友香は歯を剥きだしにして首を振り、涙と涎と鼻水で顔を滅茶苦茶にしながら、それでも腰だけは田口に抱えられたまま、下から突き上げられる悦びから逃れられない。
「くうぅっ……、やめっ、あ、あつい、お腹の奥……なにこれ、しんじゃう、ああっ……!」
友香の声が、少しずつ裏返り始めた。石橋はコップの残りを注ぎ終えると、指をゆっくりと抜いた。ぐぷ、という音ともに、抜けた穴が塞がらず、水を咥えたまま、ひくひくと数回収縮する。溢れた水が尾てい骨を伝い、田口が突くたびに泡立って流れた。
最初の異変は、友香の太ももの内側から来た。内腿の筋肉が、波が寄せるみたいに不規則に痙攣し、土踏まずが弓形に反る。汗が毛穴の一つひとつから噴き出し、その汗が葡萄を煮詰めたみたいにねっとりと光を弾いた。友香の白い肌が、見る見る内側から火照って、膝の皿や肘の内側まで赤く染まる。部屋は相変わらず冷房が唸っているのに、友香の周りの空気だけが、確かに揺らいでいた。
「これ、なに……? お腹の下が、沸騰してる……あ、あ、あ……!」
声が変わる。恐怖と痛みに震えていた声が、一音ごとに唾液を含んで、粘膜の奥から押し出される熱っぽい音になってくる。友香は両手で床を掻くのをやめ、代わりに自分の太ももを抱え上げ、田口の腹へ向かって腰を押し付けた。彼女の膣が、田口の根元まで、ずるりずるりと自ら深く銜え込み、尻の肉が白く弾む。田口は目玉をぐるりと上向かせ、悪態を吐いた。
「うっわ、なんだこれ。奥さん、いきなり腰うねらせて……! 出る、やばい、まだ俺、奥さんの中、味わって……ああ、くそ!」
田口が背中を思い切り反らし、友香の内側で果てた。どぷん、どぷんと、若い精が勢いよく注ぎ込まれ、その熱を彼女の子宮口が吸う。友香は喘ぐ。善がり声が、閉め切ったリビングの空気を震わせ、冷房の風がその声をさらに攪拌して、壁一面へ塗りたくる。東は思わず、自分の股間を押さえて腰を折った。スマホを持つ手が、指先までぶるぶる震えている。
「す、すごい……奥さんの顔、完全にエロい……。さっきまで泣いてたのに、今、笑ってる……舌出して、あ、こっち見た。おれ、この顔だけで、ちょっと、いきそう……」
石橋は、もう一度しゃがみ込み、友香の後ろの蕾を指先で押し開いた。そこは先ほど流し込んだ水をすっかり含み、浅い呼吸の度に柔らかく口を開いている。中の腸壁は、外気に触れて痙攣し、透明な液体と腸液が混ざって、ぬらぬらと光をこぼした。石橋は友香の頭を後ろから抱え、耳元へ口を寄せる。
「聞け、奥さん。今、腹の奥で溶けたやつ、まだまだ効いてくる。これが気持ちよくなってくると、目の前の男全員、欲しくなる。お前の夫のことも、仕事も、服も、どうでもよくなる。俺の言うこと、吐くだけで楽になる。分かるよな、もう、顔がいやらしい」
友香は、涙の張った目を石橋へ向け、舌をちろりと下唇へ這わせた。薬の熱が背骨の一本一本を舐め上げ、脳の天辺から陰核の先まで一気に抜ける。目の縁が熱く、視界の端は白く明滅した。夫の名を呼ぼうとしたが、唇から出たのは、だらしなくのびた息と、唾液だけだった。
「ああ……なにこれ、あついの……。んんっ、中まで、熱くって……とけちゃう……。ね、もっとして……お腹の奥、空いてるとこ、全部……しめたいの……」
石橋の喉が、小さく鳴った。彼の計画の輪郭が、柔らかく軋む音を聞くのを楽しんでいる。田口は息を整えながら、半萎えかけた肉棒を友香の膣から抜いた。白濁が二本分、どっと溢れ、彼女の会陰を伝い、後ろの蕾の縁まで汚していく。
「亮太、この女、もうやばいって。俺、もっかい勃たせたら、今度は尻の方、入れたいんだけど、いいか?」
「いいぜ。次、東。お前、撮影ばっかりしてないで、そのデブの体重でこいつを抱け。胸、押し潰して、乳首しゃぶりながら、腹の奥、突け。全部、録画しろよ。言ったろ、女が変わるときの顔が一番、金になる」
東は、一度、スマホの画面へ生唾を吐きかけるように見入ってから、ボタンを押す指を固定したまま、たどたどしくズボンを引き下げた。ずり落ちた下着は湿り気を帯び、先走り汁の匂いが、むわ、と鼻を打つ。黒い肉棒は太く、短いが、怒張した亀頭が浅黒い皮から覗いていた。友香は、東が近づいてくる足音を聞きながら、自分から腰をくねらせて股を開く。足の指を丸めて、太ももを抱え直した。
「君も……こっち、来て。いっぱい、突いて。私の中、まだ、足りないの。なんか知らないけど、すごく、すごく……さみしいの」
その声は、もはや夫と暮らす女のものではなかった。けれど、口調だけは元の柔らかさを残していて、そのねじれた丁寧さが、一層、三人の劣情を生温い泥みたいに掻き回した。東は、どもりながら友香の背中を少し浮かせ、自分の太い陰茎を精液でぬかるむ膣口へ押し当てた。入口は彼の太さを拒むように窄むが、友香が自分から腰を突き上げると、ぬちゃ、と肉が割れて、亀頭が埋まった。
東は、悲鳴のような笑い声を上げた。
「は、あ、あつい……! 奥さんの中、溶けてる、ぐちゅぐちゅ、おれの、お腹の方まで響いて……。あ、あ、気持ちいい、すごい、へ、へへ……」
彼は友香の小さな乳房の片方をむしゃぶるように唇で挟み、豊かな腹で彼女を圧しつぶした。体重をかけて挿入するたびに、友香の背骨が床に沈み、腰の下で蜜が泡立つ音がする。田口は、横から彼女の口へ自分のぬめる肉棒をくわえ込ませた。友香は、先ほどまでとは違い、自ら舌を伸ばし、浅黒い裏筋をゆっくりと味わうように舐め上げた。生臭い味。苦い我慢汁。それらが舌の先で混ざり、薬の熱と一緒に脳へ染みる。口の中が凄く熱くて、喉が男のモノを受け入れるたび、胃の奥までどろりと唾液が流れていった。
「んぐ……ちゅ……ぷは……。お口、もっといっぱい欲しい……。男の子のおちんちん、こんなに熱くて、かたくて……。いっぱい、いっぱい、突いて……」
「奥さん、マジで頭おかしくなってるな。あー、やべ、俺、口ん中の天井、先っぽに吸われてる。それ、どこで覚えたんだよ。先生も、こうされてんのかよ」
田口の声は、笑いと喘ぎの間で揺れた。友香は答えない。答える代わりに、目を潤ませたまま田口を見上げ、舌をだらりと垂らした。唾液が、彼女の顎から首筋を伝い、鎖骨の窪みへ溜まる。それは、彼女自身の手で行われた淫らな見せつけだった。東が奥を突く度、歯の間から洩れる嬌声と、喉で男根を咥えるくぐもった音が、二重の旋律になってリビングを満たしていく。
石橋は、その眺めを部屋の隅から見ながら、再び小さなジップロックを指で弄んだ。スマホの赤いランプが、閉め切ったカーテンの白と混ざり合い、友香の痙攣する脚へ赤い花びらを散らす。体躯の痙攣が、また始まった。友香の太ももの内側が、濡れた革紐みたいにピクピクと波打ち、膣も肛門も、男の肉を締める律動が少しずつ狂い始めている。東が二度、三度、腰を突き上げて、苦悶の声を上げた。
「で、出ます……! 奥さん、もらって……! おれ、制服のままで……きちゃう……!」
東の巨躯が跳ね、友香の奥で精が溢れた。熱い己の種に、彼は脳髄を焼かれたみたいに吠えた。友香は下腹を突き上げられながら、長い舌を出し、喉の奥で田口の肉棒を締め付けた。その拍子に、彼女自身も達していた。背を弓なりに反らし、白目を剥き、開いた口の端から唾液がべとべとに溢れる。腰ががくりと床へ落ち、全身が、まるで冬の稲妻に打たれたみたいに硬直した。太ももの震えが、波だたせた肉にまで達して、内腿から愛液が白く糸を引く。
「あ……あ、あ……! 私、こんな……あつくって、こわ……んあああっ……!」
善がり声はもう、悲鳴でも泣き声でもなかった。石橋は、ようやく、ゆっくりと床から立ち上がり、脱いだシャツの下の痩せた胸へ汗を光らせた。窓は閉めきられたまま。クーラーの冷風だけが、カーテンの襞を時折ふるわせて、日差しを細かく揺らしている。午後の光が、白い粉の溶けた残りを探して部屋の隅々まで舐めていた。時計の音は、もう誰にも聞こえない。
第5章 青いマジックが記す、貸し出された肉体の終わり

第5章: 青いマジックが記す、貸し出された肉体の終わり
東が最後の一滴を友香の奥へ吐き出した余韻が、まだフローリングの冷たさの上を低く漂っていた。四人分の呼吸がわずかずつずれた律動で部屋の空気を揺らし、カーテンの裾が冷房の風に時折、薄い舌みたいに舐められる。友香の背中は濡れた板張りに貼りつき、痙攣の名残で膝が時々、内側へ倒れそうになる。手の指はだらりと開き、爪の先にまで血が通っているのが見えるほど、肌が火照って白い腹にぽつぽつと粟が浮いていた。
石橋が、脱ぎ散らかしたズボンのポケットから細長いものを取り出す。青いマジックペンだった。キャップをするりと外す音が、やけに乾いて耳に届き、ペン先の芯が空気に触れてふっと溶剤の匂いを放つ。それは汗と精液でむせ返るリビングの中で、胸の奥へ刺さるほど鋭い異物だった。田口が、ぐったりした友香の片足を両手で広げさせながら、白い太ももの内側に目を向けている。
「おい、亮太。何書く気だよ。落書きなら、やっぱ腹か、胸か。字、ちゃんと読めるようにしねぇと意味ねぇぞ」
田口の声はまだ上気していて、浅黒い頬に笑いの肉が寄っている。
「決まってんだろ。もっと見えやすい場所。太ももと、腹と、あと、胸の上。先生が帰ってきて、すぐ気づく場所だよ」
石橋は友香の左足首を掴み、膝の裏を浮かせるようにして太ももの内側を押し開いた。友香は口を半開きにしたまま、首をだらりと横に向ける。薬の熱が引いたあとの身体は、寒気と火照りが同時に来るようで、喉の奥から浅い息が断続的に洩れた。青いマジックの先端が、汗と愛液でしっとり光る内腿のやわらかい皮膚へ、つ、と触れる。思ったより冷たくて硬い。友香の腰がびくん、と跳ね、太ももの内側が小刻みに震えた。
「ひゃ……っ」
声は悲鳴と言うより、掠れた咽喉の奥から零れた溜息だった。石橋は顔を近づけ、真剣な目付きで、まるで黒板に字を書くように一画ずつマジックを走らせていく。青い線が、火照った肌の上にじわりと滲み、汗と混ざって僅かに流れた。彼が書きつける度に、先端が肉を押す圧力が友香の神経をちりちりと撫でる。くすぐったさと、鋭い羞恥と、腹の底にまだ残る熱が混ざり合い、彼女は自分の太ももに浮かぶ意味のある字を、頭のどこかで理解しないまま感じていた。
「あ、や……なに書いてるの……。そんなの、やめて……ください」
友香は両手で床を掻いたが、田口がその細い手首を再び上で束ねる。
「じっとしてなよ。字が歪んだら、また書き直すからよ。そしたら、お前の体、青いので埋まっちまうぜ。へへ、まるで教科書の落書きみてぇだけど、奥さんにはよく似合ってるよ」
田口は彼女の耳へ顔を寄せ、ねっとりした声でそう囁いた。友香の目尻から、また涙が一筋、こめかみへ流れ落ちる。視界の端で、東がスマートフォンを構え直しているのが見えた。赤いランプは点いたままで、彼女の全身を、その肌に刻まれていく字と一緒に、細部まで食べ尽くすように映している。
「おい、東。脚、もっと開かせて撮れ。それから、奥さんの顔も寄りで撮れよ。後で先生が、どこから見ても、はっきり分かるように」
東は顎を引いて何度も頷き、カメラを両手で支えながら友香の正面へ回り込んだ。ズボンを脱いだままの下半身はだらしなく汗ばみ、彼の太い影が、友香の腹の青い字の上へ重なる。彼は唇を舐めて、どもる声で呟いた。
「す、すごい……。青い字が、奥さんの肌に、すごく映える……。白いのに、太ももの内側だけ赤くて、そこに字が……へ、へへ、おれ、上手く撮れてるかな……」
友香は天井へ目を逃がす。だが、冷房の風が止んではまた流れるたび、汗の拭われた肌へ青いインクの溶けた匂いが立ち、鼻の奥に張り付いた。石橋は内腿に何かを長く書き終えると、今度は腹へ移る。臍の横の柔らかな部分へマジックを押し当て、迷いなく横へ引く。友香の腹筋が強張り、肋骨が浅く浮いた。見下ろせば、自分の腹の上に「借り」やら「穴」やら、あるいは夫の名前を嘲弄した短い文句が、裏返しにならないまま並んでいる。字を読み取ろうとすると涙で歪む。読み取れないことが、まだ救いだった。
「次は胸。乳首の周りに書くと、色が映えるだろ。白いから、青がすげぇ目立つ。先生への伝言は、心臓の上だ」
石橋は片方の乳房を下から手のひらで持ち上げた。小ぶりな肉が彼の指の間で柔らかく潰れる。乳輪の周りへ丸を描くようにマジックを這わせると、友香の背中がぐ、と床へのけぞり、つま先が丸まった。鼻から甲高い息が漏れる。
「んんっ……! やだ、そんな、そこ、字は……、あ、あっ……待って、押さないで……!」
「押さないと書けねぇだろ。動くから、乳首がインクで汚れちまったじゃねぇか」
石橋は笑いを噛み殺し、青くなった乳首の縁を親指で乱暴に拭う。その刺激で友香の口から、また濁った声が上がった。胸のふくらみに文字が連なっていくと、彼女の身体は自分で思う以上に敏感になっていて、マジックの滑りにさえ反応してしまう。書かれる度に、下腹の奥が小さく波打ち、閉じた脚の中心でぬるついたものがじわりと溢れるのが分かった。自分の身体のその反応が、友香には最も堪らなく恥ずかしい。
「なあ、奥さん。書いてる間、自分でも言ってみろよ。カメラ、回ってるから、先生の奥さんが、俺らの前で何を望んでるか、ちゃんと声にしてくれ。そしたら、ここで最後にしてやる」
石橋が顔を近づけ、青いペン先を友香の鎖骨の窪みへ、つ、と立てる。彼女は涙でぬれた瞼を震わせ、唇を噛んだ。口を開けば、自分が何を言わされるのか分かっている。吐息が漏れる。舌の先が下唇を舐める。
「わ、私……もっと、あなたたちの……おちんちんが……欲しいです……。口でも、下のお口でも……奥まで、いっぱい、ください……っ」
声は濡れて震え、語尾が涙で掠れた。石橋は満足そうに息を吐き、ペン先を彼女の顎の下から喉元へ滑らせる。
「よく言えました。東、今のとこ、撮れたか? お前が狙ってたエロい顔、名前呼んで礼くらい言えよ」
東はカメラの画面から顔を上げ、唾を飲み込んで友香へ頭を下げるように言った。
「あ、ありがとうございます、奥さん……。おれ、奥さんのその声、動画で何回も見ます。へへ……」
その無邪気な返礼が、友香の羞恥を更に深い場所へ突き落とした。石橋はそれから、田口の手を借りて友香を四つん這いにさせた。床にこびりついた精液が膝の下で擦れ、ぬちゃ、と小さく鳴る。彼女の尻へも、マジックが走った。腰骨の上、尻たぶの頂上、太ももの裏。書かれている文字の形を目で追うより先に、肌が覚えてしまう。汗、青いインク、男たちの指。どれもが同じ熱さで彼女の皮膚を覆っていく。
「ほら、最後、ここ」
石橋は友香の後ろの窄まりのすぐ横、会陰の柔らかい肉へ、小さな字を書いた。その場所の敏感さに、友香は肩から崩れ、額をフローリングへ擦り付けた。
「ああっ……だめ、そこやだ……書かないで……、ん、くぅ……っ!」
腰が浮き、書きたての青い線が汗で滲む。田口が笑いを堪えきれず、尻を両手で揉みながら声を上げた。
「こりゃ傑作だわ。先生帰ってきたら、どこから読むんだろうな。それより、亮太、書くのは終わったんだし、俺、さっきの続きで、奥さんの尻の穴、もらっていい?」
石橋はマジックのキャップを閉め、床へ放り投げた。青いペンが、濡れた板張りの上を滑って転がる。
「好きにしろよ。俺はちょっと、手紙を書いてくる。東、田口が入れるとこ、ちゃんと録っとけ。もう奥さん、自分から肛門も欲しがってるから、手間はかかんねぇはずだ」
石橋はリビングのテーブルへ寄り、カバンから一枚の白い便箋とボールペンを出した。書き置きの文面を、心の中で何度も反芻する。動画のことは、わざと曖昧に書く。全部は書かない。怖がらせるには、行間にある「かも知れない」の含みが一番効く。彼は背筋を伸ばし、爪先でリズムを取りながら、ゆっくりと文字を埋め始めた。
友香は田口に肩を押さえられ、胸を床すれすれに落とす格好のまま、尻を突き出していた。尻の割れ目の奥で、田口の指が唾液と愛液を掬い、窄まりへ押し当てる。友香の肛門は、先刻の水の注入をまだうっすら覚えている。ぬるく、ひく、ひく、と外気を吸うように震え、指先を待っていた。田口が太い指を沈めると、中は熱く溶けていて、うすす、と柔らかい音をさせた。
「おお、奥さんのケツ、もう指がスッと入る。しかも、中で根元まで食い締めてくんの。どうした、もっと欲しいのか? ちゃんと言ってみなよ、みんなの前で。ああ、この指、太いだけじゃなくて、少し曲がってるから、そこ、ちょっと待って。お前が一番感じるとこ、分かるかも」
田口の指が、中でゆっくりと探るように曲がる。友香は首を反らし、口から意味のない声を溢した。視界の先では、東が這うように近づき、スマホを尻の下から斜めに構えている。画面の中で、青い落書きが散った白い肉体と、そこへ埋まっていく浅黒い指、濡れて光る肛門の一部始終が小さく蠢いていた。友香の涙と涎が混ざって、床に黒い点となって落ちる。
「指だけじゃ……いや……おく、もっと欲しいの……。お尻の穴、いっぱいにして、潰れるまで突いて欲しいんです……、ん、お願い、激しくしてください……」
気がつくと、友香は自分から腰を揺らしていた。青いインクの匂い。汗の重い空気。喉の奥に張り付いた精の味。そういったものが全部、肉体の奥へ染みて、羞恥と快楽の境をぬるぬるに溶かしていく。田口は笑った。
「へへ、素直だね。仰せの通りに、とことん突いてやる。亮太、俺、奥さんのケツ、味わってから出すから、手紙の続き、ゆっくり書いてていいぞ」
田口が友香の尻へ先端を当て、ぐ、ぐ、と押し入っていく。入口が青いマジックの線を跨ぐようにめくれ、直腸の内壁が男根を丸ごと受け入れていく。友香は息を吐くことさえ忘れ、全身で感触を受け止めた。痛みと熱さと、腹の底を押し上げる圧迫感。それが、彼女の膣の奧を鈍く疼かせた。冷たいフローリングの上、自分の額と爪先と胸が、濡れた三点で辛うじて身体を支えている。
「あああ……っ、は……、奥まで、来てる……すごく、熱いのが、お腹、いっぱい……!」
「これからだ、奥さん。今、根元まで入った。お前のケツの形に、俺のが馴染んでくの、気持ちいいだろ。先生の家の、一番柔らかい床の上で、先生の女が、俺のチンポをケツで締めるって……最悪、笑いが止まんねぇわ」
田口は浅黒い腰を回し始めた。抽送はゆっくりだった。肛門を押し開く時の摩擦が、ぐちゅ、くちゅ、と液の粘る音に変わる。友香は自分の後ろの穴を貫かれながら、前の割れ目から滴る汁が、太ももの青い字を伝って流れていくのを感じていた。その液がマジックの線を溶かし、青い筋がいくつも枝分かれして、内腿を淫らな地図みたいに染めていく。体が軽い。後ろの穴だけでなく、目の奥まで熱い。自分から声を上げて、田口の動きをねだる自分が、遠い場所にいる女のように思えたが、体の感覚はすぐ近くで燃えていた。
東が、もう片方の手で自分の陰茎を握り、ぬるぬると扱きながら間の抜けた声を漏らす。
「あ、すご、肛門が田口のを、くわえ込んむ……。青い字、太もも、ぐちょぐちょ……。奥さん、下の口から汁が垂れて、床まで糸になってる。おれ、これ、すごくいい動画撮れてる……」
石橋は、手紙を便箋の真ん中まで書くと、一度、友香の様子を見た。四つん這いの女が、後背から貫かれ、泣き濡れた顔で腰を振っている。青いマジックの文字が、蛍光灯の光にちらちらと浮かんでいた。彼は口元だけで笑い、便箋へ視線を落とす。いま自分が書いている文句は、彼女の体に書いた言葉よりずっと丁寧で、しかし刃のように冷たい。その温度差が、復讐の輪郭を一層くっきりさせた。
「東、洗面所、あとで使うから、明かり点けとけ。それから、便箋、これでいいよな。『伊佐見先生の奥さん、肉便器にしちゃいました。とても気持ちよかったです。動画はたくさんあります。ネットに流してほしくなければ、しばらく静かにしていてください』……まるで、良い子の反省文だよな。先生、こういうの、喜びそうだ」
石橋は便箋を折り、テーブルの上に置いた。東が、慌てた様子で言う。
「洗面所って、何するんだよ。石橋、まさか、あの鏡の前で、また……?」
「まさかって、いい画が撮れるに決まってる。俺と田口とで、ここから連れてく。お前は廊下から、鏡越しの奥さんを撮れ。そうすりゃ、奥さん自身の顔とケツと、青い字が全部、ひとつの画面に入る」
田口は、友香の後ろから腰を打ちつけながら、息を弾ませて応えた。
「鏡越し、最高じゃん。奥さん、今の自分の顔、見ながら、おれに尻突かれて、どんな声出すか楽しみ。ちょっと、移動すんぞ。足、立てよ、奥さん。だめなら、担いでやるからへへ」
友香は、まともに歩ける足ではなかった。膝が笑い、太ももの裏がぴんと張る。それでも田口が腰を抱えて持ち上げると、彼女は青い落書きの散った足を何とか動かし、よたよたと洗面所へ向かって廊下を進んだ。冷たい板の上に、彼女の愛液と三人分の精液と、それから青く滲んだ汗が点々と落ちる。夕方の気配が、カーテンの向こうでいつのまにか橙色を帯び始めていた。リビングの時計は、もうすぐ五時を指そうとしている。
洗面所の灯りが点いた。鏡の中に、裸の友香がいる。肩にかかる乱れた黒髪、泣き腫らした目、青いマジックで埋められた胸と腹。白い肌が、蛍光灯の下ではいっそう冴えて、書かれた言葉の一文字一文字が浮き彫りになった。自分の顔を見た途端、友香の内腿が、つ、と震える。鏡の中の女が、見慣れた妻の顔ではなくなっているのを、彼女は、ごくりと唾を飲み、唇を噛んだ。
「ほら、そこでよく見ろ、奥さん。先生の奥さんが、今から男三人に使われて、鏡の前で何を晒すか。目、逸らすな。東、撮れてるか」
田口が友香の腰を片手で押さえ、もう一方の手で自分の肉棒を、彼女の尻の窄まりへ再び埋める。結合部が鏡へ向くよう、位置を直した。友香は鏡から目を離せない。自分の背後の、浅黒い少年の腹と、ぬめるものを咥えた肛門の縁。視線を落とそうとすると、石橋が彼女の顎を上向かせた。鏡の中の自分が、涙の筋の途中で、小さく唇を開けて喘ぐのが見える。
「やだ、これ、私……? 鏡の女、すごい顔……してる。腰、勝手に動いて……。あ、ああ……っ、恥ずかしい、なのに、お腹、奥が……熱いの……!」
友香は田口の抽送に合わせて、鏡へ手をついた。迫り上がる快感に、肩と膝が揺れる。田口は浅黒い腹で彼女の白い尻を叩き、深い位置を何度も亀頭で擦った。ぱちゅ、ぱちゅ、と肉の音が、狭い洗面所に反響し、鏡の面まで震えているように聞こえる。東がレンズを鏡の中の友香へ向け、自分の荒い息をマイクに入れた。
「お、奥さんの、泣いてる顔と、お尻の穴と、それから太ももの字……。鏡、すごくよく映えて……。え、こんなの、おれだけしか撮れない……。あ、あ、おれ、射精ちゃいそう……」
石橋は後方から友香の口をこじ開けた。彼女は、鏡に映る自分を見たまま、唇を彼の肉棒へ吸い寄せられる。目の前には、鏡の中のもう一人の友香。その後ろから二人の男が、口と肛門と、どちらも塞いでくる。呼吸が、鼻と喉の隙間を通る時だけできる。額に玉のような汗が吹き、薄化粧の残り香と汗と精液が混ざって、陶器の洗面台の白を汚した。友香は、鏡の女が舌を伸ばし、目を上向かせながら男根を咥えているのを見て、足先が鏡の台座に触れた。
「んぐ、ぷ、ん……っ、ちゅ、ちゅっ……、お口、いっぱい……。あなた……見て、見ないで……。ああ、奥、突かないでぇ……」
声はくぐもって洗面所の小さな壁に反芻した。石橋は友香の髪を掴み、腰を突き出しながら命令する。
「三本、順番に咥えるんだよ。まず俺、次に東、それから今、一番お前のケツに尽くしてる田口。奥さんの口で、何回もイかせてもらうから。その後、ちゃんと、先生のために笑え。最後だからよ、いい顔、見せろ」
友香の喉が、石橋の形を受け入れて、ごく、ごく、と浅く嚥下を繰り返す。涙が洗面台の白い縁を伝い、蛇口の水滴と混ざった。彼女の肛門では、田口が熱い先端を最も深い隅へ擦り付け、泡立つ粘液の音を響かせる。青いマジックの匂いはとうに掻き消え、今は四人分の汗と精液の、濃い酸っぱい芳香が鏡の前を満たしていた。冷水の伝う陶器の質感と、尻の中で脈打つ男の熱。友香の身体は、そのどちらにも敏感に反応しながら、前にも後ろにも溶けていく。
石橋が口内で射精した。彼女は苦しげに眉を寄せ、それでも唇を締めて受け止める。どく、どく、と舌の上へ広がる熱は、喉を焼くように重い。石橋が腰を引くと、友香の口から白い濁りが顎へ滴り、胸の青い字を越え、腹の地図をぬらぬらと汚した。次に東が、震える指で陰茎を彼女の唇へ押し当てた。先走りが糸を引いて、友香はその先端を、迷わず唇に含む。彼女自身の舌が、太い亀頭をむくむくと包むのを鏡の中の女が目撃している。その淫らな事実に、膣の奥がくちゅ、と鳴る。東は、洗面台の角へ手を突き、腰をがくがく揺らして、すぐに果ててしまった。
「ああ、奥さんの口……あたたかくって、出るっ、ごめんなさい、出ます……!」
友香は、吐き出そうとしなかった。それが指令に従っているのか、薬の残り火のためか、自分でも区別がつかない。どろりとした液を飲み下すと、喉の奥が精の匂いに侵される。涙と涎で鏡の中の顔が歪み、陶器の冷たさが掌に突き刺さるようだった。残る田口も、彼女の肛門で深い律動を数回繰り返し、最奥に熱いものを注ぎ込んだ。友香の口から、自分でも知らない声が尾を引く。
「は……ぁ……お尻の、一番奥で……どくどくしてる……あつい……っ」
鏡に映る三人の少年と一人の妻。夕方の空気が、マンションの廊下から少しずつ部屋の温度を冷ましていく頃、彼らはようやく友香を洗面所から引き出し、リビングの床へ戻した。友香は仰向けになり、開いた膝の間から零れる精液を、もう隠すこともしなかった。青い字は汗と体液で輪郭が滲み、最初に書かれた形よりいっそう淫らな染みへ変わっている。石橋は、畳んだ便箋をローテーブルへ置き、脱いだ服を手早く身に着け始めた。田口も東も、黙々とシャツを整え、脱ぎ散らかした下着や靴下をズボンのポケットへ捻じ込んでいる。時計の長針が、音もなく六時を過ぎた。閉めきったカーテンの向こうは、いつのまにか朱に近い橙色が沈んでいる。
「あとは脱がせた服、どうする? 奥さん、裸のままじゃ、帰る時に困るだろ」
声をかけたのは東だった。石橋は鼻を鳴らし、友香のそばへしゃがんで、破れたワンピースを取り上げた。
「そんな気遣い、今さら要らねぇよ。胸と腹に書いてあるのが見えるように、前だけ掛けてやれ。玄関まで見送りに来てもいいなら、来ればいいし。奥さん、まだ、足に力入んねぇか」
友香は首を横へ振る。唇が、動画、という二文字を一度だけ形作って、音にならない。石橋は、テーブルの便箋を指差して言った。
「書いてある。読むのは先生たちだ。あんたは、俺らのこと、忘れないでほしいけど、言うなよ。じゃ、今日はこの辺で、おしまい。奥さん、カメラに、最後、笑って」
友香の口元が、言われた通りに引き攣ったように緩む。彼女は笑った。水分を失った唇が、ひび割れる寸前の果実みたいに震えていた。東のスマホの赤い光が、真正面からそんな彼女の顔を最後まで吸い取って、画面の中で小さく、撮影終了の電子音を立てた。
三人は揃って玄関へ向かった。田口が振り向かずに手を上げる。東は、何かに耐えるように首をすくめながら、一度だけ友香のほうを盗み見て、へへ、と湿った笑みを残した。石橋は、玄関で靴を履く前に、折り畳んだ自分の携帯を操作し、画面の中の女の裸体が本当に保存されていることを確かめた。青いマジックの線と、白い肉体と、開いた股と、自分たちの声。それを指先でロックし、彼はドアノブを回す。重い鍵の外れる音が、薄暗い廊下に響き、冷たい外気がかすかに室内へ流れ込んで、熟れきった匂いを揺らした。
「先生によろしく。あんたの口からは、言わなくていい」
石橋は友香へ、せいぜい丁寧な声でそう残した。ドアが閉まる。鍵は、解放された夏の夕方の空気へ、三人分の足音を溶かしていった。壁にもたれかかった友香は、胸の上で割れた服を握り、青い書体に覆われた身体を広げて横たわっている。やがて閉めきった窓の外で、遠く、カラスが二度鳴いた。部屋の冷房は、誰もいなくなってからも、無人のリビングへ冷たい風をむなしく送り続けていた。
第6章 土の汚れを落とせない背広の帰宅

玄関のドアを開けた瞬間、むっとする空気が鼻の奥に張り付いた。俺は靴を脱ぐ手を止めて、廊下の薄闇に目を凝らす。
どうして、こんなに静かなんだ。
冷房の風は確かに流れているのに、空気全体が汗と生乾きの雑巾を混ぜたような生温かさで澱んでいる。リビングの明かりは点いている。だが、いつもなら玄関まで届いてくるはずの、油の跳ねる音も、包丁がまな板を叩く軽い音もしなかった。ただ、耳の奥で自分の心臓だけが、やけに早く脈打っている。
「友香、ただいま。遅くなって悪かったな。買い物でも行ってたか?」
声をかけて、リビングへ続く短い廊下を踏み出す。靴下の裏が、フローリングの表面に残った微かなねばつきを拾って、ぴたり、ぴたりと小さく吸い付いた。そのたびに、背筋を冷たいものが走る。違和感は足の裏から這い上がって、腹の底でどす黒い予感へと固まっていく。
なんだこれは。家の空気が、まるで知らない場所のものみたいだ。
壁の白さが青白く滲んで見えるのは、廊下の電球が汗で曇っているせいだろうか。一歩ごとに、いつもの自宅にはない気配を身体の奥で測っていた。
リビングの入口で足が止まった。
友香が、ローテーブルの横の冷たい床に仰向けに横たわっていた。
その光景そのものより先に、俺の胸を貫いたのは、あり得ないという思いだった。頭の芯が急に冷え切って、指先から血の気が引いていく。部屋の隅で、クーラーの風がカーテンの裾を揺らしている。その白いレースの隙間から、暮れかかった橙色の光が細く差し込んで、友香の太ももの上で微かに震えていた。
俺の頭の中で、地区大会の歓声と柔道着の擦れる音が一気に遠ざかる。いや、そんなものはとうに消えている。ここは俺の家で、そこに倒れているのは俺の妻で、それなのに、目の前の光景はどうしてこうも非現実の重さで眼球に突き刺さっているんだ。
身体のあちこちに、青いインクの滲み。開いた脚。裂かれたワンピース。乾いた唾液の筋。目に入った情報が、ばらばらの破片のまま頭の中で回転する。
誰だ。誰が、こんなことを。
怒鳴り声が喉の奥まで込み上げて、けれど声にならなかった。握り締めた拳が、自分のものではないみたいに硬く震えている。足が床に張り付いたように動かない。情けなさと悔しさが、腹の底からせり上がって、胃のあたりで煮え立っている。
「友香……どうした。何があった」
ようやく絞り出した声は、自分でもぞっとするほど低く、教室で生徒を黙らせる時の教師の声だった。友香は、俺の気配に気づくと、首をこちらへ回した。目は半開きで、光の焦点が合っていない。唇が動く。呼気だけが、ひゅうと漏れて、言葉の形を取らなかった。
俺は彼女のそばへしゃがみ込み、指先で肩に触れようとした。白い肌がびくりと跳ね、友香は、まるで初めて俺を認めたみたいに、瞼を見開いた。
「あなた……帰ってきちゃったんですね」
その声は笑っているようで、先のほうが凍えたみたいに震えていた。泣いているのか、笑っているのか、判別できない表情が、彼女の顔に貼り付いている。目の下の涙の跡が、冷房の光で乾いた筋になって光っていた。
「帰ってきちゃったって、何を言ってるんだ。誰か来たのか。顔の色、おかしいぞ。具合が悪いのか」
俺は早口でまくし立てながら、彼女の身体をまともに見られずにいた。閉じない膝。内腿に広がる青いインクの滲み。腹へ伸びる字。胸の膨らみに書かれた、覚えのある笑い癖の残る文句。視線を動かすたび、目に入るものが増えていく。増えるたび、胸の内で何かがひび割れていく。
なんなんだ、これは。誰が、俺の妻に、こんな。
夫として、教師として、守るべきものを守れなかったという事実だけが、冷たい刃物のように腹の奥へ沈んでいく。体罰を避け、向かってくる生徒をいなし、話をして聞かせてきた自負。あの日、旧校舎裏で俺が倒した男。その顔が、心の隅で、ちかちかと点滅した。
「動画……撮られてるの。全部、撮られてるんです。私、あの子たちに、知らないうちに、知らない声で……あんな」
友香は天井を見たまま、壊れた笛みたいな息を継いだ。舌先が乾いた唇を舐めないまま、言葉の端を噛んでいる。
「あの子たちって、誰のことを言ってる。動画って。いいから、まず起き上がれるか。冷たい床の上に、いつまで転がってるつもりだ」
俺の声が大きくなる。友香は起き上がろうとした。けれど、床へついた手のひらが力なく滑って、肘から崩れる。左の太ももの内側に書かれた字が、蛍光灯の光を受け、はっきりと目へ飛び込んできた。
肉便器。
その三文字が、汗と体液の混ざった地肌に食い込んで、俺の視界を焼き切った。青い線の角張った文字。誰がそんな言葉を知ったような口で、俺の妻の身体へ、こんなことを。
脳の芯が、いくつもの怒鳴り声を弾けさせた。だが、口から出たのは、それとは違う、弱々しい確認の言葉だった。
「お前……まさか、一人で家にいる間に、上がり込まれて、その……乱暴を」
友香は小さく頷いた。それから、喉の奥だけで、ごくん、と唾を飲み込む。その仕草ひとつとっても、彼女の中に刻まれた恐怖の深さが、俺の胸を締め上げた。
「ごめんなさい、私、玄関で変だって気づいたのに、体が動かなくて。声も、あの青いペンで書かれるたびに、変になってしまって……あなたの生徒さんだって、半分、信じられないまま」
「生徒だと? 誰だ。名前を言えるか」
俺が顔を近づけると、友香は首を横へ振った。その拍子に、乾いた唾液の筋が、彼女の顎の下で銀色に震えた。
「言える……言えるけど、言ったら、あなたが壊れる。私も、きっと、いまより酷くされる。あの子たち、私のことより、あなたに見せつけたかったんだと思う。帰ってきたら、すぐ分かるように、そこに手紙が……置いてあるから」
友香が、ローテーブルの上を視線で示した。白い便箋が一枚、麦茶のグラスの隣に、折り目をこちらへ向けて置かれている。俺は立ち上がり、それを摘み上げた。
指先が、紙の上で滑るほど汗ばんでいた。
なんで俺が震えているんだ。悪いのは、そんなことをした奴らのほうだろう。なのに、便箋を持つ手が、細かく、情けないほど震えている。息が浅くなって、鼻の穴が無駄に膨らむ。指先の汗が、白い紙に湿った跡をつけていく。
中を開く。小さな字が、罫線に沿って大人びた丁寧な形で並んでいる。
俺はその文面を目で追った。頭では、とっくに分かっていたことが、こうして文字として突きつけられるだけで、胸の内に黒い塊が膨らんでいく。文面を読み終えるまで、息を吐くことさえできなかった。肺のあたりが硬直して、心臓の音が耳の奥でごうごうと鳴っている。
くそ。くそ。くそ。
文面を二度、三度と読み返す。文字だけが部屋の空気に溶けず、いつまでも網膜の裏に青白く焼き付いた。喉の奥に、胃液がせり上がるような苦さが込み上げて、無理やり飲み下す。その反動で、喉仏が上下した。
「ふざけやがって……。誰だ、うちの生徒が、こんな破廉恥な真似を」
声が掠れた。怒りが先に立つのではなく、悔しさが腹の底を冷たく這い回る。何より惨めだったのは、俺が今この瞬間、妻の寝ている間に起こったこの出来事に対して、一ミリも為す術を持っていないことだった。拳を振り上げる相手が、この便箋の向こうに、見えない笑みを浮かべている。
俺は友香の顔をもう一度見た。彼女のまぶたが、涙で赤く腫れ、まつ毛が何本も濡れて張り付いている。裂かれたワンピースの下から、青い文字と、ところどころ赤く擦れた肌が覗いていた。視線を外せない。妻の身体が見知らぬ誰かの欲望で埋め尽くされている。
ああ、友香。俺はお前を、何から守ってやれていたんだ。
「あの子たちの声、ずっと耳の奥に残ってるんです。丁寧なのに、心が入ってなくて……私、インターフォンの時は、本当にあなたの教え子なんだって、笑ってたんです」
友香は床へ目を落とした。顎の下で、乾いた唾液の筋が一筋、胸元の汗と混ざって光る。俺は、彼女を起こそうと手を伸ばしかけてやめた。触れることが、今度は俺の方から怖かった。
「風呂に運ぶぞ。体を冷やしちまってる。痕を、とにかく落とさないと」
俺は、ずるりと友香の背中へ腕を差し入れ、膝裏にもう片方を回して抱え上げた。細いと思っていた友香の身体は、普段よりずしりと重い。汗と、男の精の匂いとが乗り移っていて、鼻先へ粘りつく。肌は冷房で冷えきっているのに、脇腹だけが燃えるように熱かった。
その熱さに触れた瞬間、友香の身体が、俺の腕の中でふにゃりと弛緩した。
「……あなたの腕、あったかい」
友香が、ろれつの回らない舌で、そう呟いた。目はやはり虚ろで、唇の端が、だらしなく緩んでいる。白い粉を飲まされた後、彼女は何度か水を飲まされ、胃の中のものが薄まってきたにもかかわらず、この有様なのだろう。瞳孔が開き、時折、不意に身体がびくんと跳ねる。
抱き上げられた拍子に、友香の脚がだらりと開き、ワンピースの裾が太ももの上までたくし上がった。青い字の残る内腿が、冷房の風に晒されて、つやつやと脂じみた光を帯びている。俺は必死に目を逸らした。逸らそうとして、それが逆に、彼女の裸の肌へ自分の罪悪感をこすり付けているようで、浅い息が漏れた。
「あ、そうだ、私、お手紙置いてあったでしょ。読んでくれました? あの子たち、字がきれいだったから、まるで、こういうのも慣れてるみたいで」
友香が、くすくすと笑った。笑いながら、俺の首へ腕を回す。まるで夫の帰りを喜ぶ、何でもない夜の仕草だった。その温度差が、余計に俺の背筋を凍らせた。
「友香、いいから黙ってろ。いまは喋るな」
俺の語気が強くなる。友香は、こてんと首を傾げ、俺の耳元に熱い息を吹きかけた。
「……あなた、怒ってるの? でも、すごく、らしくない声してましたよ。私のために怒ってくれるの? それとも、私が汚されたから、もう触りたくないって思ってる?」
「そんなこと言ってないだろ。ふざけたことを言うな」
「ふふ……やさしい。あなたは、いつだってやさしいのに、あの子たちの手は、やさしくないの。やさしくないのに、私の奥だけは、ぐしょぐしょにして帰るんですよ。いやらしい子たち……」
友香の言葉は、時々ひっくり返って、語尾が甘ったるく伸びる。明らかに普通ではない。だが、それを責めることも、叱ることもできず、俺は彼女を脱衣所まで運んで、床へ座らせた。
白いタイルがひんやりと冷たく、俺と友香の影を薄く伸ばす。浴槽の蛇口を捻ると、細い湯が底を打つ音が、狭い空間に反響した。俺は手桶に湯を汲み、彼女の肩へゆっくりとかける。背中へ伝う湯が、うっすらと白く濁って床の排水溝へ流れていく。
「友香、腕を上げられるか。下も、全部濡れてる。脱がすぞ」
友香は、細い腕を持ち上げた。言われた通り、俺は裂かれたワンピースを肩から外し、淡い水色の下着へ指をかける。彼女の身体は、冷房で冷えていたはずなのに、脱がされるたび、ぴくりぴくりと小さく跳ねた。胸の上が、泡立つ前の湯気の中で、幾つもの薄青い文字跡とともに浅く上下している。
「おかしいの、私。一杯されて、もう、からだが、変なの……」
友香が、濡れた唇を開いて、息を継いだ。
「何がおかしい。どこが辛いんだ。遠慮せず言え」
俺の手が、彼女の背中へ泡を滑らせようとした、その時だった。友香の指が、不意に俺のスラックスの前をまさぐった。あんまり突然だったので、俺は彼女の手首を掴みそこね、ずるりと、その細い指が、折り目の上から怒張へ触れてしまう。
「あっ、もう、起きてるみたいに、堅い……」
友香の指先が、布越しに俺のそれを確かめるようにカタチをなぞる。ゆきずりの淫声をあげた。俺は、彼女の両手首を一気に掴んだ。
「何してるんだ、友香。正気か、お前」
「正気じゃありません。私、ずっと、ここの奥が、ひりひりして、疼いてて、それであの人たちが帰った後も、自分で、何度も、指を入れちゃったの。……でも、足りないんです。あなたのが欲しい。裕の、おちんぽで、ここ掻き回して……」
友香は、そう言って、自らの両脚を開いた。片方の膝が、脱衣所の床を滑って、色白の太ももの奥を白い蛍光灯に暴かせる。青い字の滲みの下で、性器がうっすらと赤く腫れ、ひくつくたび、糸を引く汁が光った。
「おかしいの。一杯されて、もう、頭も、下も、すごく熱くて……私、どうして、あなたの前で、こんなこと言えるのか分からない。分かっているの。いま、こんな場合じゃないって。なのに、ここが、もっと……穿って、あなたので穿って。中を、ぜんぶあなたで、上書きしてほしい……」
友香は両手を伸ばし、俺のベルトを外そうとした。カチャカチャと鳴る金具の音が、風呂の湯音の中でやけに大きく反響する。彼女の指は震えているのに、動きだけは異様に素早い。
「お前、何を……やめろ。そんな身体で、そんなことをしていいわけがないだろ!」
「やだ、やめてって言わないで。私、あなたがいなきゃ、また、きっと自分でしちゃう。ずっと治らないの。奥が、生き物みたいにうごめいてるの。お願い、裕。いやらしい妻でごめんなさい。でも、今だけは、私のぐちゃぐちゃのおまんこ、あなたの硬いので、塞いで……あ、あたしの、なか……」
友香の指が、俺のジッパーを下ろした。慣れた仕草ではなかった。それどころか、爪先が何度も金具の間に挟まり、それでも必死に、彼女は俺の下着の上から陰茎を引っ張り出そうとしている。濡れた瞳で俺を見上げるその顔は、確かに友香の顔なのに、昔の彼女とは違う笑みを浮かべていた。
だめだ。これは、友香の本心じゃない。
分かっているのに、俺の身体は、彼女の触れた箇所から順に、ぐずぐずに熱を持ち始めている。頭の中では、先ほどの便箋の文字が回っているのに、それより早く、彼女の指先が、先走りで湿った亀頭を剥き出し、裏筋を爪で引っかくように撫で上げた。
「おねがい……ゆたか、おくちでも、手でも、なんでもいいから、私の膣、掻き回して。いま、夫婦でしょ? 普通のこと、しよ? ふりを、しよ? そうしたら、きっと、全部、あの子たちの匂い、あなたので、消えていくから……」
友香の口調は、どこか夢に浮かされたように舌足らずで、時折くすくすと笑い声を漏らす。ヘラヘラした笑顔のまま、彼女は俺の陰茎に頬を寄せようとする。温かい息が、怒張した先端を湿らせる。その熱まで、いつもの彼女と違っていた。ねっとりと甘く、どこまでも浅ましい温度だった。
俺は彼女の肩を引き戻し、湯気の立ちこめる浴室の床で、声を押し殺した。
「壊れてる。お前、完全に、あいつらに頭までやられてるんだぞ。そうじゃなきゃ、いま、自分が何を口走ってるか分かるか。俺はお前の夫だ。畜生、誰に向かって、そんな声を出してるんだ……」
喉の奥が熱く痺れて、言葉がうまく形にならない。友香の身体を押さえつけた両手の下で、彼女の白い肌は、風呂場の湿気を吸ってぬめり、青い字の名残りまでが淫らな染みのように見えた。妻が、壊れてしまった。十五年連れ添ったつもりでいた女の、知らなかった顔が、ここにある。
「裕、ごめんね。私、おかしいの。止まんないの。あの人たちに、白いの、飲まされてから、ずっと、こう……外にいるのに、内側だけが、あなたを呼んでるの。助けて。おちんぽで、助けて……あ゛っ、ゆたかの、それ、もっと押し付けて。お腹の、字のところで、擦って……」
友香は、俺の陰茎を両手で包み、腹に書かれた淫語の上に、先端をこすりつける。ぬちゃ、ぬちゃ、と粘着質な水音が、閉ざされた浴室に響いた。温かい汁が、彼女の腹筋を伝い、へそのくぼみで一度止まって、また下へ流れていく。友香は、そのぬめりを使って、カリの裏から竿の太さまでを、掌で扱いては、先走りと自分の汗とを混ぜ合わせていた。
「いいの、ゆたか。私、裕にめちゃくちゃにされたら、きっと、元に戻れる気がするの。あいつらの動画なんか、どうでもよくなるくらい、あなたの、はげしいやつ、欲しい……」
友香の言葉と、下品な水音が、頭の芯をめちゃくちゃに掻き回す。怒りと悲しみと、そして、恥じ入るほどの熱が、背骨を駆け上がる。妻のぐらぐらに緩んだ笑みを見下ろしながら、俺は、自分が今この瞬間、返す言葉を間違えようとしているのを感じていた。
湯船の湯が、肩まで張られるまで、あと少し。脱衣所の床の上で、友香の唾液と雫があちこちに散り、二人の影だけが、いつ終わるともしれない夜の静寂へ、ぴくり、ぴくりと重なっていく。
登場人物
-
伊佐見 裕 いさみ ゆたか男性 ・ 35
外見: 黒髪短髪、黒目、筋肉質のがっしりした体格、身長178cm。服装: 紺のスーツか黒いジャージ姿。熱血で正義感が強く、体罰を避けつつ指導する自信家。妻を心から愛しているが、人の心の機微を読みとるのはあまり得意ではない。
-
伊佐見 友香 いさみ ゆうか女性 ・ 29
外見: 肩にかかる黒髪ストレート、茶色の瞳、小柄で柔らかな白い肌、身長157cm。服装: 清楚なワンピースやシンプルなエプロン姿。明るく素直で夫を愛し、他人を疑うことを知らない。性的には受け身だが、白い粉の熱で豹変する。
-
石橋 亮太 いしばし りょうた男性 ・ 15
外見: 黒髪の短髪で、鋭い黒目、身長の割に手足が長い痩せ型。身長168cm。制服の袖と裾が少し短く、土埃が染みついていた。黙っていれば真面目そうな、しかし目の奥に粘り気のある復讐心を秘めた少年。
-
田口 慎二 たぐち しんじ男性 ・ 15
外見: 短い茶髪を撫でつけ、薄い茶色の目、背が高く浅黒い肌、肩幅の広い身体、身長178cm。服装: 黒い学ラン。悪態をつくが仲間思いで、性欲を下品な笑いとともに露骨に出す太い声の少年。
-
東 太一郎 あずま たいちろう男性 ・ 15
外見: 黒い坊主頭で丸顔、黒目が小さい。小肥りだが肉付きがよく、身長160cm。服装: 黒い学ラン。おどおどしているが、肉感的なものに強い好奇心を隠さない。撮影係を担う欲望の観察者。





