第4章: 穴の記憶に刻まれる、最後の濁流

第4章: 穴の記憶に刻まれる、最後の濁流
翌朝の光は、あまりに無慈悲だった。窓から差し込む白い光線が、シーツの上に散らばる黒い毛や、昨日の情事の痕跡を容赦なく照らし出している。体中が、まるで重い石で殴られたような鈍い痛みに支配されている。特に、股間と尻の穴が、熱く腫れ上がり、歩くたびにずきりと疼く。膣の奥には、まだ健司の濃い精液がぬるりと残っているような気がして、アナルは荒々しくほじくり返された記憶に、痙攣するようにきゅうと締まる。彼はもういなかった。朝の陽光を浴びながら、彼は何も言わずに部屋を出ていった。ベッドの上には、男の匂いと、自分の淫らな匂いが混じり合って、甘く、そして生々しい空気を漂わせている。叶はぐしゃぐしゃになったシーツに包まって、じっと天井を見つめていた。満たされたはずの体の奥に、不思議な虚無感が広がっていた。これでいいのだ。これが、自分が求めていたものなのだ。そう自分に言い聞かせるように、彼女はゆっくりと身を起こした。
帰りの列車を待つホームの喧騒は、まるで別世界の音のように聞こえた。昨夜引き裂かれたキャミソールの代わりに、コンビニで買った無地の白いTシャツを着ている。それでも、歩くたびに太ももが擦れ、膣がじくじくと濡れるような感覚が消えない。昨日の大胆なメイクは落ち、すっぴんの顔に疲れが浮かんでいる。それでも、鏡で見る自分の瞳は、どこかうつろで、そして輝いているようにさえ見えた。そんな彼女の背後に、柔らかな影が落ちた。
「やあ。一人旅?」
振り返ると、そこに明るい茶色の髪を無造作に伸ばした、細身ながらも筋肉質な体つきの若者が立っていた。チャーミングな笑みを浮かべ、お洒落なカジュアルウェアを着こなすその男は、まるで雑誌から抜け出てきたかのように、この温泉街の風景には少し不釣り合いだった。彼の名は、佐々木悠。後にそう名乗るのだが、その時の叶は、ただその妖しいほどに輝く瞳に見入っていた。
「…え、はい。そうです」
「そっか。僕もだよ。帰りの待ち?」
悠は、まるで昔からの友人のように、自然に隣に座った。彼からは、さわやかなシトラス系の香水の匂いがした。健司の獣のような体臭とは正反対の、洗練された匂い。それなのに、叶の体はなぜか、この男の匂いに反応して、背筋がじんわりと熱くなるのを感じた。
「いい顔してるね」
悠は、叶の横顔をじっと見ながら、突然そう囁いた。
「え…?」
「その、なんて言うんだろう。満たされたような、でも何かを求めているような顔。すごく、魅力的だよ」
その言葉に、叶の心臓が不意に掴み潰されるような衝撃を受けた。昨日の夜、何度も犯され、精液で満たされた自分の姿を、この男は見抜いてしまったのか? 恐怖と、そして屈辱的な興奮が、同時に頭を駆け巡る。
「最後の思い出、作らないか? 僕と」
悠の声は、甘く、そして人を惑わす蜂蜜のようだった。断るべきだ。もう、これ以上はダメだ。昨日の健司で、自分の穴はもう限界まで犯され、満たされたはずなのに。でも、悠の瞳は、叶の心の奥底にある、まだ満たされていない何かを的確に見抜いていた。彼女は、彼の誘いを断る言葉を見つけることができなかった。ただ、小さく、しかしはっきりと頷いてしまった。
ラブホテルの部屋は、健司の部屋とは全く違っていた。無機質で、清潔感があり、そして部屋の一面を占める巨大な鏡が、すべてを映し出している。ドアが閉まると、悠は何も言わずに叶のTシャツの裾を掴み、静かに、でも確実に脱がせ始めた。抵抗する気力もなく、叶は人形のように身を任せた。裸にされると、彼は彼女を鏡の前に立たせた。
「見て」
悠は、叶の背後に回り込み、その耳元で囁いた。鏡には、自分の裸体が映し出されている。貧乳で細い体、そして、股の間には、昨日の激しい情事のせいでまだ少し赤く腫れた性器が映っている。尻の穴も、鏡に映る自分の姿から、違和感を感じる。
「見て、君のアソコ。昨日誰かに犯されたままだね。ぱっくり開いて、まだ求めてるみたいじゃないか」
「…やめて…そんなこと、言わないで…」
叶の顔が、羞恥で真っ赤に染まる。でも、悠はそんな彼女の気持ちを無視するかのように、スマホを取り出した。カシャリ、というシャッター音が、静かな部屋に不気味に響いた。
「やめて! 撮らないで!」
「いいじゃないか、こんなに綺麗な姿だよ。君の、この淫らな顔も、しっかり記録してあげる」
悠はスマホを巧みに操り、様々な角度から叶の裸体を撮影していく。撮られるという屈辱が、奇妙な快感に変わっていく。自分が、男の欲望の対象として、記録されていく。その事実が、叶の体の奥に眠っていた何かを、再び目覚めさせていた。
「さあ、僕に仕えてごらん」
悠はベッドの縁に腰掛け、自分のジーンズのジッパーを下ろした。硬く膨れ上がった肉棒が、下着の上からその形をくっきりと現している。叶は、跪くように彼の前に進み出た。そして、震える指で、その熱い肉塊を解放した。グロテスクなほどに太く、青い血管が浮き出たその男根を前に、叶はもう考えることをやめていた。彼女は、その先端を自分の唇で優しく包み込み、舌でねぶるように舐め上げた。塩辛い、生々しい匂いが鼻腔を満たす。
「んっ…ぐぅ…」
彼女は、まるで聖餐を受けるかのように、その肉棒を深く喉奥まで飲み込んだ。悠は、叶の髪を優しく撫でながら、満足そうに息を呟いた。
「そう、いい子だ…その口、君のアソコもおなじように気持ちいいんだろうね…」
奉仕が終わると、悠は叶をベッドの上に寝かせ、彼女の足を大きく開いた。そして、彼は自分の硬い肉棒を、まだ濡れ残っている叶の膣口にゆっくりと押し当てた。
「今日は、特別に、君を天国に連れて行ってあげる」
そう言うと、彼は肉棒を膣にずぶずぶと挿入した。そして、驚くべきことに、彼はもう一方の手で、潤滑ジェルのようなものを取り出し、それを叶のアナルに塗り込み始めた。
「え…あっ!? そこは…ダメ…!」
「大丈夫、すぐに慣れるよ」
悠は、叶の抵抗をものともせず、潤滑剤で滑りやすくなった指を、固く閉ざされた肛門の中へと滑り込ませた。くちゅっ、という下品な音がする。膣を肉棒で突かれながら、アナルを指で犯される。二つの穴が、同時に、別の快感で満たされていく。それは、昨日の健司との獣のようなセックスとは全く違う、計算され尽くした、悪魔的な快楽だった。
「ああっ! だめぇ…! なんだか…おかしく…なるぅっ…!」
叶の意識が、少しずつ溶けていく。膣壁と腸壁が、ごく近い場所で同時に刺激され、その快感が互いに増幅し合い、脳に直接流れ込んでくる。悠は、膣に挿した肉棒を激しくピストンさせると同時に、アナルの中の指も、激しくかき回し始めた。
「んぐっ! はぁああああっ! ああっ! いい! いいぃぃぃっ!」
もう何も言えない。ただ、獣のように喘ぎ、二つの穴が同時に犯されるという、前代未聞の快楽に、自分のすべてを委ねることしかできなかった。悠は、叶の反応を楽しんでいるかのように、妖しい笑みを浮かべながら、その腰の動きをさらに加速させていく。やがて、彼はうなると共に、膣とアナルを犯していたものを同時に抜き、その熱い肉棒を叶の顔の上に向けた。
「受け取って、君の最後の思い出だ!」
びゅるるるっ! という濃厚な音と共に、熱い白い濁流が、叶の顔、胸、お腹に、勢いよくかけられた。その粘稠な感触と、生臭い匂い。叶は、目も口も開けたまま、そのザーメンのシャワーを全身で受け止めた。すべてが終わった後、彼女はただベッドの上で、満たされた虚無感に包まれていた。もう、元の地味な公務員、木元叶には戻れない。この体は、もう男の精液を求め、犯されることしかできない穴になってしまったのだ。その悟りは、悲しいというよりは、どこか救われたような、穏やかな感情だった。
悠は何も言わずに部屋を出ていった。静寂が戻った部屋で、叶はゆっくりと身を起こした。鏡に映る自分は、精液でぐちゃぐちゃに汚れ、しかし、どこか満ち足りた表情をしていた。彼女は、その顔を指でなぞり、白い濁流を少しだけ舐めてみた。塩辛く、そして甘い。満たされた虚無の中で、次の旅への計画が、自然と脳裏に浮かんでいた。次は、どんな街へ行こうか。どんな男に、この穴を犯してもらおうか。窓の外では、いつもの街の景色が、まるで別世界の出来事のように遠く見えていた。叶の唇に、かすかに、妖しい笑みが浮かんだ。
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