【パラレルワールド】ジェンダーフリーが行き過ぎた教室…彼の前で恥ずかしすぎる。

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第2章: 交差する視線と濡れる音

第2章のシーン

第2章: 交差する視線と濡れる音

トイレの白いタイルが冷たく、その光がまるで審判の目のように春美の全身を照らし出している気がした。工藤くんがその場を立ち去る足音が、遠くで響いては消え、そして再び、水が流れる音が静寂を支配した。あの衝撃的な光景、透明なガラスの向こう側で大胆に現れた男性性器、そして勢いよくほとばしる黄金の泉。その映像が瞼の裏に焼き付き、何度再生されても恥ずかしさと共にじんわりと熱を帯びるのだ。自分も同じ用を足さなければならないという身体的な要求が、下腹部を重く圧迫しているのに、足は地面に根付いたように動かない。まるで、この空間そのものが自分の羞恥を永遠に閉じ込める檻であるかのように。

「小島さん、まだ?」

隣から聞こえた声に、春美の心臓がひょいと持ち上げられるほど驚いた。振り向くこともできず、ただ俯いたまま、固くなった喉をごくりと鳴らす。工藤くんはまだそこにいた。手を洗っているのか、シンクの方にいる気配がする。その声には、何の疑いも、何の下心もない。ただ、純粋な疑問が込められているだけなのに、春美の耳にはそれは鋭い針のように突き刺さる。

「あ、いえ……その……」

どう説明すればいいのか分からない。好きな人の前で、その人の排尿姿を見て興奮し、自分の用も足せなくなった、なんて絶対に言えない。言葉が途切れると、工藤くんが足音を立ててこちらに近づいてくるのが分かった。その気配だけで、春美の背筋に冷たい汗が伝う。

「何かあったの? 具合でも悪いんじゃない?」

心配そうなその声が、かえって春美を追い詰める。顔を上げれば、きっと真っ直ぐに彼の瞳が映る。その瞳に、自分の汚らわしい妄想が読み取られてしまうような恐怖が、全身を駆け巡る。

「いえ、大丈夫です! ただ、少し……考え事をしていて」

必死に言い訳をするが、その声は震え、嘘だと見抜かれているような気がしてたまらない。工藤くんは「そうなんだ」と少し納得したように呟くと、再びシンクに戻る音がした。その瞬間、春美は逃げ出すか、あるいはここで覚悟を決めるかの二者択一を迫られていることに気づく。このままでは、授業に遅れてしまう。それに、この尿意はもう限界が近い。

深く息を吸い込み、春美はよろよろと便器の前に一歩踏み出した。冷たい陶器の縁に指が触れると、その感触が電流のように全身を走る。これが現実だ。この場所で、この人の隣で、自分はあの恥ずかしい行為をしなければならない。ズボンのホックに指をかけ、金属がカチリと乾いた音を立てる。その音が、この静謐な空間に不釣り合いなほど大きく響いて、耳が痛くなるようだ。

次にジッパー。ゆっくりと下ろす。歯が一つずつ離れていく感覚が、まるで自分の理性が少しずつ剥がされていくようで恐ろしい。そして、最後の砦、パンツのゴムの輪に指を引っ掛ける。柔らかい肌触りの布地が、お腹の温もりを包んでいる。ここから先は、もう戻れない。パンツを膝まで下ろした瞬間、冷たい空気が股間に直接触れて、春美は思わず「んっ」と小さな声を漏らしてしまった。無防備になった自分の秘部が、空気に触れるだけでびくびくと脈を打っているのが分かる。恥丘は柔らかな黒い毛に覆われ、その奥の割れ目はすでに興奮の熱で湿り、ぬるりとした蜜が滲み出している。

どうしよう。こんな状態で、彼の隣で……。工藤くんがもし、今ここでふと振り返ったら。この無防備な姿を、彼の目が見てしまったら。その想像が、頭の中で勝手に映像を再生する。工藤くんの驚いた顔。そして、その瞳に映る自分の股間。その光景を思うだけで、なぜか腹の底が熱くなり、蜜壺が疼き始めるのだ。く、くっ……。噛みしめた唇から、かすれた音が漏れる。尿意を催しているはずなのに、身体は快楽を求めて痙攣しかけている。おしっこは出そうにない。それどころか、愛液が太腿の内側を伝って、じっとりと線を描き始めている。

「小島さん、大丈夫? 俺、もう終わったから、どうぞ」

工藤くんの声が、もう一度春美の背中を押した。彼はもう済んだというのに、自分はまだ立ち尽くしている。このままでは、ますます不審に思われる。春美は目を閉じ、全ての感覚をシャットアウトしようと試みる。工藤くんのこと、この場所のこと、すべてを忘れて、ただ「出す」ことだけに集中する。でも、意識すればするほど、身体は固くなる。隣にいる彼の存在感、彼の残した温かい空気、そしてあの生々しい音の記憶が、何重にも鎖となって春美の身体を縛り付けている。

「……ごめんなさい」

とうとう耐えきれず、春美はか細い声で呟いた。パンツとズボンを慌てく引き上げる。濡れた肌が布地に引っかかり、いやらしくぬちゃっと音を立ててしまう。その音に、春美の顔がカッと熱くなる。早くここから出なければ。顔も見ずに、小走りでその場を離れようとした時、肩が何かにぶつかった。

「おっと、危ない」

工藤くんだった。彼は洗面台の前で、タオルで手を拭いていた。春美がぶつかったことで、彼はバランスを崩しかけ、思わず春美の腕を掴んだ。その触れた瞬間、春美の全身に火花が散った。彼の手の温かさと、その指先に感じる力強さが、直接脳に焼き付かれる。

「大丈夫か? 急いでた?」

心配そうな瞳で見つめられる。その真っ直ぐな視線に、春美はもう何も言えない。ただ首を横に振ることしかできない。その様子を不思議そうに見つめていた工藤くんの視線が、ふと春美の足元に落ちた。濡れたシワが残るズボンの裾に、彼の瞳が一瞬、とどまった気がした。その気のせいかもしれない。でも、その可能性だけで、春美の理性が悲鳴を上げた。

「……また、今度」

何を言っているのか自分でも分からない。そう言い放つと、春美は工藤くんを突き飛ばすようにしてトイレから飛び出していった。背後から「おい!」という声が聞こえるが、振り返ることはできない。廊店を走る。胸が張り裂けそうだ。頬は火照り、股間はじっとりと濡れている。逃げ出した。でも、心のどこかで、あの腕を掴まれた瞬間の感触を、あの視線を、もう一度味わいたいと願っている自分がいることに、春美は気づいていなかった。

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AIが紡ぐ大人の官能短編『妄想ノベル』案内人です

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