第3章: くちゅっという音に、私が溶ける

第3章: くちゅっという音に、私が溶ける
「では、一度抜いてみましょうか。次の段階に進むために、筋肉を一度リセットしてあげるのです」
斎藤先生の声は、実験室で被験体に指示を与えるような、一切の情熱を欠いた冷たさだった。その無機質な響きが、静寂な教室に針のように突き刺さる。
その言葉に、佐藤悠人の少年らしい指が、びくりと震えた。唯夏の肛門に深く根差していた小さなプラグを、ゆっくりと、しかし確実に引き抜き始める。
抜かれる感覚は、挿入時の抵抗とは真逆の、内臓を引きずり出されるような嫌悪感を伴う。ぬめった粘膜が吸い付くように最後の抵抗を試み、そして。
ぐちゅっ……っ。
あまりに生々しく、濡れた音が唯夏の鼓膜に直接こびりついた。自分の体から発せられた音でありながら、まるで他人の隠された醜態を暴かれたような、灼熱の羞恥が顔を焼き焦がす。
頬が火照り、その熱が耳たぶまで伝わり、じりじりと煮えくり返る。後ろの穴がぽっかりと虚しく開き、教室の冷えた空気が内壁の粘膜を直接撫でる。ぴくり、ぴくりと、慣らされたばかりの敏感な筋肉が何もを求めて痙攣する。
抜かれた直後の残り温と、ローションと愛液が混ざった粘り気、そして何より、あの下品な音。唯夏の理性は、その音によってさらにボロボロと削り取られていく。
「次は、中間モデルです。表面に凸凹があり、感覚をより鋭く刺激するように設計されています」
先生が静かに差し出すプラグは、先ほどのものよりひと回りも太く、見るからに卑劣なギザギザが全身に刻まれている。もはやこれは訓練用具などではなく、紛れもない拷問道具のように、唯夏の瞳に悪魔の影を落とす。
悠人はそのプラグを受け取る手が震え、恐る恐る唯夏の方を振り返った。切れ長のその瞳には、戸惑いと、それでも抑えきれない少年の好奇の光が混じり合って揺れている。
「村越さん…これ、本当に…大丈夫かな…?」
悠人の心配がこぼれた声は、唯夏の震える背中に届く。でも、唯夏は答えられない。ただ俯いたまま、自分の意志とは無関係に肛門がぴくりと脈動するのを感じるだけ。
答える言葉など、とっくに頭の中から溶け出してしまっていた。悠人は恐る恐る、新しいプラグにたっぷりとローションを重ね塗りする。じゅる、じゅると、濡れた音がする。
その光沢のある、悪魔的な形をした塊が、再び自分のケツ穴に接近してくる。恐怖と、そして否定しきれない期待。その二つの感情が唯夏の心臓を鷲掴みにし、激しく締め付ける。
プラグの先端が、ゆっくりと尻の裂け目を滑り落ち、ぬめった穴の入り口にぐっと押し当てられた。先ほどより太い、より強い、より排他的な圧力。唯夏は思わず息を殺す。
悠人がそっと力を込める。固く閉ざしていた肛門の輪が、無理やり、少しずつ引き裂かれていく。最初のギザギザが、筋肉の抵抗をねじ伏せ中へ滑り込んだ瞬間。
ひゃっ…!あ、あっ…!
先までとは全く違う、より鋭く、より凶暴な快感が背骨をよじ登った。痛みと快楽が混じり合った、危険で甘美な電流。悠人がその反応に驚いて一度止まるが、先生の冷たい視線を感じて、恐る恐るさらに深く押し込んでいく。
プラグの表面の凸凹が、一つひとつ肛門の敏感なひだをこすり上げ、ひっかきながら、内側へと侵略してくる。ケツ穴のひだは無理に引き伸ばされ、うっ血して赤黒く膨れ上がり、少し脱腸気味に内側がめくれ返るような感覚。
それは痛みだ。だが同時に、脳が痺れるような甘い疼きでもあった。
んぐっ…!い、いや…っ…!
口から漏れるのは拒絶の言葉だったが、体はあまりに正直だった。お尻の穴は、そのギザギザした刺激を貪欲に記憶し、もっともっとと欲しがり始めていた。
その時だった。隣の席から、葵の喘ぎ声が、もはや一切の恥じらいもなく蕩けきって響いてきた。
「あんんっ…!もっと、そのギザギザ…感じる…!すごい…、唯夏、聞こえる…?」
葵の声は、蜜のように甘く、快楽に溶けていた。その声に誘われるかのように、唯夏の最後の理性の糸が、ぷつりと音を立てて切れた。
--なんで…葵ちゃんは、あんなに楽しんでるんだろう…。
--なんで、自分はこんなに……気持ちが…よくなってきたんだろう…。
考えるのをやめた。唯夏は自分でも驚くほどの、獣のような動きで腰を後ろに突き出した。
「…村越さん?」
悠人が驚いた声で呼びかける。その声に応えるかのように、唯夏はさらにお尻を突き上げる。スカートの裾がめくれ上がり、薄いパンティーの布地が股間に食い込み、恥ずかしいほどにその形を浮かび上がらせる。
もう、悠人の手を求めているのは、唯夏の意志ではなく、疼き続ける肛門そのものだった。
ああっ!あ、あああっ…!
悠人がその意図を悟ったのか、彼は震える手でプラグを動かし始める。ゆっくりと抜き、ゆっくりと挿入する。そのたびに、ギザギザが肛門の内壁をひっかき、甘い痙攣が唯夏の全身を駆け巡る。
お尻の穴はもはや唯夏のものではない。唯夏の意志を完全に無視して、快感だけを求めてひくつき、締め付け、喘ぐ欲望の器官と化していた。
くちゅっ、ぐちゅっ、じゅずる…。そんな下品で淫らな音が、自分の体から繰り返し聞こえるのが、今はもう恥ずかしくなんかない。ただ、その音が自分の核心を溶かしていく呪文のように感じられる。
唯夏は目を閉じ、快楽の濁流に身を委ねた。もう、何も考えられない。ただ、この感覚が永遠に続くことを、ただ願うだけだった。
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