第3章: 跪く口と赦しの精液

第3章: 跪く口と赦しの精液
浴室の湯気が、白く靄のように立ち込めていた。
床はタイル張りで冷たく、洋は松葉杖を脇に置き、洗い場の小さな椅子に腰掛けていた。骨折した足はまだ地面に付けず、宙に浮かせている。叶が彼のシャツのボタンを外す指先が、時折、胸板の皮膚に触れる。そのたびに、微かな電流のようなものが走る。
「今日は少し、汗をかいていらっしゃいますね」
叶はそう呟き、脱がせたシャツをそっとかごに入れた。
彼女は今日、いつもより薄いグレーのVネックのトップスを着ていた。袖は七分で、うっすらと汗ばんだ腕の肌が透けて見える。スカートは、膝よりずっと上でひらひらと広がる、淡いベージュのものだ。洗い場にしゃがみ込むと、スカートの裾がさらに上がり、太ももの健康的な肉色が大きく剥き出しになる。
洋は目をそらそうとした。
だが、叶が彼のズボンのベルトに手を掛けた時、もう視線を動かすことができなかった。
叶は真剣な、介護者としての表情を浮かべながら、金属のバックルを外した。
チャキン、と小さな音がして、ベルトが緩む。次に、ズボンの前ファスナーを下ろす。その指が、どうしようもなく近い。布のすぐ下では、洋自身も意識していないうちに、熱を持った肉塊がゆっくりと目覚め始めていた。
「では、立っていただけますか? 片足でも、どうにか……」
叶の声は優しく、しかし確実に指示を出す。
洋はうなずき、椅子の背もたれに掴まりながら、ゆっくりと立ち上がった。叶はそのまましゃがんだまま、ズボンの腰布を両手でつかみ、下へとずり下ろしていく。
――ああ。
洋の喉が、乾いた音を立てた。
しゃがんだ叶の顔の位置は、ちょうど洋の腰の高さだ。彼女の視線は、下ろされつつあるズボンと、その下に現れた紺色のボクサーパンツの膨らみに、自然と向けられていた。そして、その膨らみが、見る見るうちに大きくなり、形を変え、布地を押し上げていくのを、二人は同時に目撃した。
時間が、ぷつりと止まったような感覚がした。
湯気の中で、タイルの冷たさだけが足の裏に伝わり、それとは対照的に、股間は沸き立つような熱を帯びていた。ボクサーパンツの薄い綿生地の上から、血管の浮き上がった陰茎の形が、はっきりと浮かび上がっている。
叶は動きを止めた。
彼女の息遣いが、ほんの少しだけ乱れた。俯いたままの彼女の顔は見えないが、耳朶がほんのりと赤くなっているように見えた。スカートの隙間から覗く太ももの内側が、微かに震えている。
「的場……さん」
彼女の声は、かすかに震えていた。
ゆっくりと顔を上げる。清楚な黒い瞳が、潤みを帯び、暗がりの中の獣のように深く光っている。その視線は、洋の目をじっと捉え、それからゆっくりと、下へ、膨張した陰茎へと滑り落ちた。
「よろしければ……」
叶の唇が、さらに湿り気を増した。
言葉を選びながら、あるいは選ぶことさえ放棄しながら、彼女は紺色の布地の膨らみに、そっと手を伸ばした。指先が、熱く硬くなった肉柱の側面に触れる。布越しでも、その張りと脈動が、手のひらに鮮明に伝わってきた。
「こちらの……お手伝いも、させていただけますか?」
もう、拒む理由などなかった。
洋はただ、喉の奥で呻くような息を漏らすだけだった。叶はそれを許可と受け取った。彼女の指が、ボクサーパンツのウエストバンドを優しく引っ張り、ゆっくりと下ろしていく。
冷たい空気が、灼熱の陰茎の先端に触れた。
大きく膨らんだ赤黒い亀頭が、湯気の中にその姿を現した。先端からは、すでに透明な玉が滲み、ほんのりと光っていた。葉はそれを目にすると、瞼がぴくりと動いた。
そして、彼女はゆっくりと、洗い場の濡れたタイルの上に膝をついた。
跪く姿勢。スカートの裾はさらに上がり、パンティーの薄いレース越しに、ぷっくりと盛り上がった陰唇の輪郭が、くっきりと浮かび上がる。しかし今、洋の目に焼き付いているのは、彼女の股間ではなく、彼女の顔だった。
叶は、巨大に勃起した陰茎を、真剣な眼差しで見つめていた。
まるで、畏敬の念さえ抱くような、神々しいまでの集中力で。そして、彼女はそっと息を吐き、瞳を細めると、顔を近づけた。
最初は、ほんのりと滲んだ先端への、舌先の一撫でだった。
「んっ……」
くちゅっ、という小さな湿った音。
叶の柔らかい舌が、亀頭の稜線をなぞり、溜まった透明な液をそっと拭い取る。その感触に、洋は腰をわずかに震わせた。彼女はそれを感じ取ると、今度は唇を少し開き、亀頭の膨らみ全体を、ゆっくりと口に含んでいった。
熱い。
口内の、しっとりとした温もりが、敏感な先端を包み込む。叶は目を閉じ、睫毛が湿った湯気の中で微かに震えている。彼女の頬がへこみ、陰茎を咥え込む深さを調整する。
「ちゅぱ……じゅる……んっ……」
愛おしむような音が、湯気に満ちた浴室にこだまする。
彼女の舌は巧みに動き、亀頭の下の筋をくすぐり、尿道口の小さな裂け目をしつこく舐め回す。唾液がたっぷりと絡み、陰茎全体を光沢させ、ぬめりを与える。妻でさえ、ここまで丹念に、ここまで貪るように口を尽くしたことはなかった。
「叶……さん……あ……!」
洋の指が、叶の肩に掴みついた。
理性が溶け、崩れ落ちていく。膝をついた彼女を見下ろす角度からは、スカートの奥、パンティー越しに秘裂の形がくっきりと見え、その中心がわずかに濡れ色に染まっているのもわかった。彼女もまた、興奮している。
その視線に気づいたのか、叶は一度ゆっくりと陰茎を口から引き抜いた。
糸を引く唾液が切れ、彼女は上目遣いで洋を見上げた。唇は淫らに腫れ、顎まで唾液と彼の先滲みで光っている。その表情には、清楚な未亡人の面影はなく、欲望に忠実な、ひとりの女の顔があった。
「的場さん……気持ち、いいですか?」
喘ぎ交じりの声で、彼女は尋ねた。
そして、返事を待たず、再び口を深く含んだ。今度は喉の奥まで、鼻先が陰毛に埋もれるほどに。咽頭の柔らかい締め付けが、洋の背筋を揺さぶる。
「んぐ……! ちゅぱ、ちゅぱ……じゅるっ……!」
オチオチとした水音が、次第に激しさを増す。
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