妻に欺かれ退職金を取られ交通事故にも会うが…人生まんざらでもない

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第2章: 洗濯物と嗤う欲望

第2章のシーン

第2章: 洗濯物と嗤う欲望

骨折から二週間が過ぎ、松葉杖での歩行にようやく慣れ始めた的場洋のアパートには、午後の柔らかな光が差し込んでいた。リビングの片隅には、数日分の洗濯物が籠に山積みになっている。ユニフォーム姿の佐藤叶が、その籠をそっと手に取った。

「的場さん、こちら、今日お持ち帰りして洗わせてくださいね。いつもコインランドリーで洗濯されてたんですね。私の家、洗濯乾燥機があるので…明日の朝には乾いたものを持ってきますから」

洋はソファから体を起こそうとして、叶の制止する手に押し戻された。

「いや、そこまでしなくても……近所のコインランドリーでいいんです」

「ダメですよ。松葉杖抱えて洗濯物を運ぶなんて、転んだら大変。それに」

叶は言葉を少し切って、籠を胸に抱えるように抱えた。

「……私が原因ですから。せめてこういうことで、お役に立ちたいんです」

その真摯な、どこか哀願にも似た瞳を見て、洋は反論できなかった。ただ、うつむいて小さく頷くだけだ。彼女の献身は、時に罪悪感という重い鎖のように彼を縛り、同時に、この狭いアパートにただ一人でいるときよりも、はるかに生々しい温もりで満たしてもくれる。

――俺は、もうこの人に逆らえないんだな。

叶は籠を持って玄関に向かった。振り返り、清楚な笑みを浮かべて一礼する。

「では、戻ります。夕食は六時頃にまた伺いますね。冷蔵庫にあるもので何か作りますから、ゆっくりしていてください」

ドアが静かに閉まる音がした。アパートは再び深い静寂に包まれる。洋はソファの背にもたれ、天井を見つめた。足の痛みは和らいでいる。だが、妻にすべてを奪われ、このように身体さえも自由に動かせない現実が、彼を時に深い無力感で沈ませる。その沈黙の中を、叶の姿だけが鮮やかに浮かび上がる。整った黒髪、仕事に追われているはずなのに張りのある肌、そして介護をする時にそっと伸びるその指先の優しさ。

――きれいな人だ。

そう思うと同時に、彼はハッとした。トイレや入浴の補助で、彼女の手が自分の身体に触れるたびに走る、言いようのない緊張。あのとき、彼女がしゃがみ込んでズボンのファスナーを下ろそうとした時、ふと見えた首筋の白さ。それは、あまりに無防備で、そして……女らしかった。

叶のアパートは、洋の住む場所から歩いて十分ほどの、やはり古びた二階建ての建物の一室だった。夫を亡くしてから、息子の学費と生活費を稼ぐため、できるだけ安い家賃の場所を選び続けてきた。部屋は六畳一間に小さなキッチンとユニットバス。洗濯機は本当にある。だが、コインランドリーでも構わなかった。彼女はただ、的場洋の衣服を、ここに持ち帰る口実が欲しかったのだ。

室内に籠を置き、彼女はまず介護のユニフォームを脱いだ。下はシンプルなホワイトのブラジャーと綿のパンティ。息子が家を出てから、誰に見られることもなく、女としての装いなどずっと忘れていた肌着だ。彼女は籠の中から、洋の衣服を取り出し始める。ワイシャツ、チノパン、そして……吸い込まれるように、彼の灰色の綿のトランクスを手に取った。

布地は柔らかく、少し汗ばんだ感触が残っている。彼女は無意識に、その布を顔に近づけた。

――的場さん。

入浴補助の時、何気なく目に入った光景が、突然、鮮烈に脳裏を焼いた。松葉杖にすがり、ショーツ一枚になった的場洋の大きな骨格。そして、その腿の間にだらりと垂れ下がりながらも、太く、重量感をもって存在していたあの男性器。長さも太さも、亡き夫のものよりもはるかに……。

「あ……」

吐息が漏れる。股間が、じんわりと熱を持った。まるで低温の火がついたように、内側から蠢き始める。彼女は慌ててトランクスを籠に戻そうとしたが、指が離せない。布地が、彼の身体の形を記憶しているように感じられる。特に、先端の部分。あの膨らみが収まっていた場所。

罪悪感が胃を締め付ける。自分は何を考えているのか。的場さんは自分が引き起こした事故の被害者だ。献身的に世話をしているのは、贖罪のためのはず。なのに、なのに……。

鼻が、布に近づいていく。理性がストップする。ふわりと、微かな匂いが立ち上る。汗の酸っぱさ。石鹸の残り香。そして、それらを包み込む、濃厚な男の体臭。的場洋という人間の、生活の匂い。

「んっ……」

思わず声が漏れた。股間の熱が一気に疼きに変わる。パンティの布越しに、自分の陰唇が腫れ、湿気を帯びてきているのがわかる。彼女はトランクスをぎゅっと握りしめ、そのまま洗面所に駆け込んだ。鏡に映る自分の顔は、目尻がうっすらと赤くなり、唇をかみしめていた。

――だめ、こんなの……はしたない。恥ずかしい。

けれど、身体は言うことを聞かない。トランクスの布を、今度はしっかりと鼻と口に押し当てた。深く、深く息を吸い込む。的場洋の匂いが、肺の奥まで染み渡る。恍惚とすら感じるその香気に、腰がぐらりと震えた。

「的場……さん……ああ……」

もう、だめだ。彼女は流し台に肘をつき、トランクスを握った手を股間に押し当てた。パンティの上から、ぐりぐりと陰核のある場所を擦る。鈍い快感が、恥ずかしさを凌駕して走る。

「あ、ん……っ、はぁ……」

我慢できなくなった。片手でパンティをずり下げ、もう片方の手の指を、自ら濡れそぼった膣口に押し込んだ。くちゅっ、と情けないほどの湿った音が立てる。内壁は熱く、指を受け入れるとすぐに締まり、吸い付いてきた。

「あ……! だめ、こんなに……濡れて……」

彼女は目を閉じ、的場洋のトランクスを顔に押し付けながら、指を激しく出入りさせ始める。もう一本、加える。二本の指では物足りない。妄想が暴走する。あの太くて長いペニスが、今、自分の奥深くを貫いている姿。ぐちゅぐちゅと下品な音を立てて、彼の男根が自分の膣肉を掻き分け、子宮の入り口を容赦なくこすり上げる幻影。

「的場さん……っ、的場さんの、あのでっかいので……私、こ、ここを……突いて……っ!」

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AIが紡ぐ大人の官能短編『妄想ノベル』案内人です

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