第2章: 初めての密室と、触れ合う体温(続き 4/4)
「こちらこそ……美和さんに、そんなことさせて……」
「いえ」
美和は首を振った。
「私……すごく、気持ちよかったです。それに……」
彼女は少し間を置き、小さな声で続けた。
「佐田さんが、私の体を……嫌がらずに、触ってくれて。舐めてくれて。それが……なんか、嬉しかったです」
彼女はそう言うと、恥ずかしそうに顔を膝に埋めた。
佐田は彼女のその横顔を見つめ、胸がまた熱くなった。
「……美和さん」
「はい」
「……また、会ってくれませんか?」
美和は顔を上げ、きょとんとした表情で彼を見た。
その瞳は、まだ潤みを帯びていた。
「……また、気持ちよくしてくれるんですか?」
「ええ。もちろん。それに……お金も、ちゃんと渡しますから」
美和の目がぱっと輝いた。
「……それなら、願ったりかなったりです。よろしくお願いします」
彼女は深々と頭を下げた。
そして、何かを思い出したように顔を上げた。
「でも……次は、ホテルじゃなくてもいいですか? ここ……結構、お高いみたいですし」
その現実的な指摘に、佐田は思わず笑った。
「そうですね。じゃあ……次は、私の部屋に来てもらえますか? 少し狭いですが……」
「はい! ぜひ!」
美和が笑顔で答えた。
その笑顔は、初めて会った時の緊張した表情からは想像もつかない、生き生きとしたものだった。
佐田は、床に落ちた服を拾い、彼女に手渡した。
彼女は恥ずかしそうに受け取り、着衣を始めた。
彼もまた、自分の服を着た。
全てを終え、部屋を出ようとした時、美和が振り返った。
「……佐田さん」
「はい」
「今日は……本当に、ありがとうございました。それと……」
彼女は少し躊躇い、それから続けた。
「佐田さんて、本当に優しい人なんですね。私のわがままなリクエストも、全部聞いてくれて。そういうところ……好きです」
彼女はそう言うと、もう一度にっこり笑い、ドアの方へ歩き出した。
佐田はその言葉を胸に刻みながら、彼女の後を追った。
廊下の電気が、彼女の黒髪に柔らかな光を落としている。
彼はこの瞬間を、ずっと忘れないだろうと思った。
コメント