パパ活初心者同士…四十歳差の恋人

第3章: 自宅という檻と、開発されゆく肉体(続き 4/4)

最後の一滴まで射精し終えると、清彦はぐったりとソファにもたれかかった。美和もゆっくりと口を離し、こくりとうなずいた。彼女の唇の端に、白い液体が光っている。

「……ごっくん、できました」

彼女は真剣な顔でそう言い、手の甲で口を拭った。

「……味は、さっきのと混ざって……複雑でした」

その言葉に、清彦は笑いが出た。彼は腕を伸ばし、彼女を引き寄せた。美和は抵抗せず、彼の胸に顔を埋めた。

二人はしばらく、ただ抱き合い、互いの鼓動と呼吸を感じていた。清彦の部屋には、コーヒーの香りと、セックスの甘ったるい匂いが混ざり合い、独特の雰囲気を醸し出していた。

「……佐田さん」

しばらくして、美和がぼそりと言った。

「うん」

「今日は、お金、いらないです」

清彦は彼女の肩をそっと離し、彼女の顔を見つめた。

「どうして?」

美和はうつむいた。

「だって……ただで会いたくなっちゃったから。パパ活じゃなくて……佐田さんに会いたくて、ここに来たから」

その言葉は、清彦の胸を直撃した。彼は言葉を失い、ただ彼女の瞳を見つめるしかなかった。彼女の目は、真っ直ぐで、迷いがなかった。

「……美和さん」

「うん」

「……それ、本当に、それでいいの? お金、もらわなくても?」

美和は深く頷いた。

「うん。わたし、絵の具買うお金は、バイトでなんとかなるから。でも……佐田さんとこうして会える時間は、バイトじゃ手に入らないから」

彼女はそう言うと、また清彦の胸に顔を埋めた。

「それに……佐田さんのこの部屋の匂い、好きなんです。古い本と、コーヒーと、あと……佐田さん自身の、整髪料みたいなさっぱりした匂い。絵の具の匂いより、こっちの方が落ち着く」

――整髪料?

清彦は内心で驚いた。彼は確かに、安物の整髪料を少しつけていた。それが彼女に嗅ぎ分けられ、しかも「好き」と言われるとは。

彼はそっと彼女を抱きしめた。彼女の体は、まだ微かに熱を帯びていた。細く、華奢で、しかし確かな温もりを宿している。

「……じゃあ、次も、ここで会おう」

清彦が囁いた。

「うん」

美和は頷き、そのまま微動だにしなかった。

やがて彼女の呼吸が深くなり、規則的になっていくのに気づいた。清彦が覗き込むと、彼女は目を閉じ、すでに眠りに落ちているようだった。長い睫毛が、頬に影を作っている。

彼は動くのをやめ、彼女が眠り続けられるように、そっと腕を枕にした。彼女の無防備な寝顔を見つめながら、清彦はある事実を思い知らされた。

――この子は、もうただの“パパ活相手”じゃない。

彼は、この少女に激しい愛おしさを感じると同時に、深い罪悪感にも襲われた。彼女は十九歳。自分は六十二歳。孫ほどの年齢差がある。こんな関係が、果たして許されるものなのか。

しかし、彼女の温もり、彼女の寝息、彼女が発する微かな甘い匂い。全てが、彼をその罪悪感から救い出し、ただこの瞬間に浸らせた。

窓の外では、夕暮れが近づき、空が茜色に染まり始めていた。部屋の中は次第に薄暗くなり、二人の影が長く伸びていった。

清彦はそっと目を閉じた。彼女の鼓動を、自分の胸で感じながら。

――ただ、このまま、しばらく。

彼はそう願い、眠りに落ちる彼女とともに、ゆっくりと時間が流れるのを待った。

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AIが紡ぐ大人の官能短編『妄想ノベル』案内人です

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