第3章: 父の掌

第3章: 父の掌
三日が過ぎた。
その間、朋美は毎夜のように、あの丸いキャップと自分の中を埋める行為を繰り返していた。初めは怖くて、恥ずかしくて、終わった後には必ず涙がこぼれていた。でも、四日目の今、もう涙は出なかった。代わりに体の奥に巣食う、もどかしい疼きだけが、夕方の訪れと共にじわりと広がってくるのを感じていた。
学校から帰ると、パパはまた出張で家を空けていると言われた。明日の朝には戻るらしい。リビングの匂いがぱったりと父の気配を失った部屋で、朋美はなぜかほっとするよりも、むしろどこか物足りなさを覚えた。胸のあたりがすっと空いて、風が通り抜けるようだった。
夕飯をひとりで済ませ、風呂に入り、パジャマに着替えた。でも、布団に入ると、すぐにまたあの衝動が襲ってきた。太ももの内側がじんわりと熱を持ち、まだ毛の生えていないつるんとした股間が、自分でもわかるほど湿り気を帯びている。昨日までは我慢できた。今日は駄目だ。もう、指だけじゃ物足りない。あの冷たいプラスチックが、無理やりに狭い穴をこじ開けるあの感覚が、頭から離れない。
こっそりとベッドから起き上がり、勉強机の引き出しを開けた。中には、三日間使い続けたスティックのりの容器が転がっている。キャップの白い部分は、もう少しだけ色がくすんで、使い込まれた証のように見えた。朋美はそれを握りしめると、もう一度布団に潜り込んだ。でも、今日は違う。布団の中でこっそりやるんじゃなくて、もっと、はっきりと確かめたかった。
部屋の電気は消したまま、窓から差し込む街灯の薄明かりだけを頼りに、彼女はパジャマのパンツをゆっくりと下ろした。冷たい空気が、裸にされた下半身を撫でる。膝を立て、足を開く。片手でキャップを握り、もう片方の手で、自分の股間を触りながら確かめる。縦に走る一本の筋。その入口は、もう三日前よりはずっと柔らかく、指先で軽く押すだけでじゅくっと開くようになっていた。
「……ぁ……」
つぶやくような息が漏れる。キャップの丸い先端を、その濡れた裂け目に当てた。冷たさは相変わらずだったが、もう体はそれを拒まない。むしろ、冷たさがくっきりとした刺激となって、腰が浮き上がりそうになる。ゆっくりと、押し込む。ぐりっ。
「んぁ……っ」
深い。昨日よりも、ずっと深く入った。まだ十歳の体の奥行きは浅いのに、まるでそれがどこまでも続く穴のように錯覚するほど、キャップが根元まで埋まっていく。くちゅっ、という音が布団の上にこもりながら響く。朋美は目をぎゅっと閉じた。そして、引き抜く。またくちゅっ。ぬめっとした愛液がキャップについて、わずかに光る。
もっと。もっと深く。もっと激しく。
理性が溶けていく。彼女は布団の上に仰向けに寝転がり、足を大きく開いた。片手でキャップを握り、膣の入口に突き立てる。今回は勢いをつけて。ずぶっ。
「あっ! んぐ……っ」
鋭い快痛が背骨を走る。でも、痛いのと気持ちいいのの境目が、もうわからなくなっていた。無理やり広げられる感覚。幼い膣壁がこすられ、擦り上げられ、じわじわと熱を帯びていく。動作は次第に早くなり、くちゅっ、くちゅっ、くちゅっという水音が部屋に満ちていく。彼女の呼吸は荒く、パジャマの上衣は汗でわずかに湿り始めていた。
「あ……だめ……また、こんなに……気持ちよく……なっちゃう……」
嗚咽まじりの声が零れる。もう昂汰くんのことは考えられなかった。頭の中は真っ白で、ただ体の中心で蠢く快感だけが全てを支配していた。キャップを挿入するたびに、お腹の底がぐちゃりとゆるみ、何かがこぼれ落ちそうになる。指だけの時とは比べ物にならない、濃厚で下品な悦楽が、十歳の体を蝕んでいく。
その時、背後でかすかに音がした。
ギィ――と、ドアの軸が軋む音。
朋美の動きがぴたりと止まった。冷たい恐怖が一瞬で熱い体を駆け巡る。ゆっくりと、恐る恐る振り向く。
ドアが開いていた。そして、その枠に、大きな男の影が立っていた。
パパだ。
なぜ? 明日の朝まで帰ってこないはずだった。なのに、今、ここに。スウェットパンツにタンクトップという、いつもの家着のまま、無言で部屋の中を見下ろしている。街灯の逆光で、顔の表情はわからない。でも、その視線の重さだけが、暗闇を貫いて朋美の体を押し潰すようだった。
「と、ともみ……」
低く、渋い声が響いた。それはいつもの「おやすみ」の声とは全く違う。地の底から這い上がってくるような、深い響き。
「それ……何してるの?」
朋美は声が出なかった。喉がカラカラに渇き、舌が動かない。握りしめたスティックのりの容器が、汗で滑りそうになる。下半身は完全に露出し、パジャマのパンツは膝の辺りまでずり下がったまま。股間はキャップを挿入されたばかりで、小さな穴がぱっくりと開き、ぬるっとした愛液がじんわりと光っている。全てが、隠しようがなかった。
「あ……ぁ……」
ようやく漏れた声は、悲鳴にも泣き声にもならない、ただの息漏れだった。顔から血の気が引いていくのが自分でもわかった。真っ青になる、という感覚がこれかと思えるほど、全身が冷たくなる。
健一はゆっくりと部屋の中へ一歩踏み込んだ。ドアを閉める音はしなかった。ただ、そっと扉を押し開けたまま、ゆっくりと近づいてくる。その足音は、絨毯に吸い込まれるように沈んで、しかし確実に距離を縮めてきた。朋美は後ずさりしたいのに、体が石化したように動かない。ただ、震えるだけで精一杯だった。
彼は娘の前に来ると、しゃがみ込んだ。背の高い大人がしゃがむと、まだ子供の朋美と目線がほぼ同じ高さになる。街灯の光がようやく彼の顔を照らした。こめかみに混じる白髪、鋭く深い茶色の瞳。その目は、朋美の裸の下半身を、そして彼女が握りしめたスティックのりを、じっと見つめていた。
「そんなもの……」
健一の声は、なぜかとても優しく、しかしその優しさの中に、ぐっと締めつけるような力が込められていた。
「そんなもので……傷つけちゃだめだよ」
そう言うと、彼はゆっくりと手を伸ばした。大きく、がっしりとした労働者の手。その手が、朋美の震えている太ももに、そっと触れた。
「っ!」
朋美の体が跳ねた。父の手のひらの温かさが、冷え切った自分の肌に直に伝わってくる。それは今まで感じたことのない、あまりにも大きすぎる、男の手の感触だった。優しくはあるが、逃げられないほどの圧を含んでいた。
「ほら……開いて」
健一の低い声が、耳元に近づく。彼のもう片方の手も、朋美のもう一方の太ももに触れた。そして、ゆっくりと、しかし確実に、彼女の震える膝を外側へと押し広げていく。抵抗する力など、十歳の女の子にはなかった。ただ、無力に、彼の力に従うだけ。足がもっと広げられ、股間が完全に露出する。キャップはまだ膣の中に挿さったままで、それさえもが恥ずかしい証拠として突き刺さっていた。
「パ、パパ……や、やめて……」
ようやく言葉が出た。それは泣きそうな、哀願するような声だった。でも、健一は聞かなかった。彼の視線は、娘の股間に釘付けになっていた。つるりとした幼い陰部。薄いピンク色の陰唇は、キャップの挿入でわずかに腫れ、中央の縦筋は今、ぬめっとした愛液で光り、ぱっくりと小さく開いていた。その入口には、白いプラスチックのキャップが、異様に埋まっている。
「ちっ……こんなもの、入れて……」
健一はそう呟くと、スティックのりの容器を、朋美が握りしめている手から、ゆっくりと取り上げた。彼女は握る力さえ失っていた。キャップが膣から引き抜かれる時、くちゅっという大きな音がした。そして、空いた穴から、とろりと愛液が糸を引くように溢れ出た。
「あ……ぁ……」
朋美は目を閉じた。見ていられない。これ以上恥ずかしいことはない。でも、健一は彼女の顔を見た。目を閉じて、唇を噛みしめ、頬を真っ赤に染めている娘の表情を、貪るように見つめた。
そして、彼の指が動いた。
右手の親指と人差し指で、そっと娘の陰唇を広げる。まだ子どもの柔らかい肉が、彼の指に押し広げられる。縦筋の奥、小さな膣の入口が、まるで喘ぐかのようにひくついている。愛液がじゅくじゅくと滲み出て、彼の指先を濡らす。
「こんなに……濡れてるじゃないか」
健一の声は、唸るように低かった。彼の息遣いが、突然荒くなったのを朋美は感じた。温かい吐息が、彼女の股間にかかる。そして、ついに。
彼の左手の人差し指が、そっと、その濡れた入口に触れた。
「ひっ……!」
朋美の体が大きく跳ね上がった。目を見開く。今、感じたものは何? 父の指。あの大きな、ごつごつとした指の腹が、直接、自分の一番敏感な、一番恥ずかしい場所に触れた。冷たいプラスチックとは全く違う、生身の温かさ。そして、柔らかさ。指の腹が、愛液でぬるっと滑りながら、膣の入口をそっとなぞる。
「痛い……?」
健一はそう尋ねたが、その指の動きは止まらない。むしろ、ほんの少しずつ、圧を加えていく。入口の皺が伸ばされ、まだ緊く閉じている幼い膣が、異物を受け入れるようにほんのりと開いていく。
「い、痛く……ない……けど……」
朋美は泣き声で答えた。痛くない。でも、それ以上に、怖い。そして、なぜか、くすぐったい。父の指が触れるたびに、お腹の底がぎゅんぎゅんと痙攣し、さっきまで感じていた快感が、倍増して戻ってくるような気がした。それは罪悪感と混ざり合い、体の芯を腐らせるような甘美な毒となって流れ込んだ。
「なら……いいんだ」
健一はそう言うと、人差し指の先を、ゆっくりと膣の入口へと押し込んでいった。
「あっ! や……待って、パパ……入、入らない……っ」
朋美は必死に腰を引こうとした。でも、彼のもう片方の手が太ももをしっかりと押さえつけていた。逃げられない。抵抗できない。ただ、見つめられるだけ。父の真剣な顔を、そして自分の股間で、彼の指が少しずつ埋まっていくのを。
ぐりっ。
鈍い感覚。プラスチックのキャップとはまた違う、柔らかくしかし確固たる肉の棒が、ぬめっとした愛液の中を進んでいく。十歳の膣は狭く、浅い。彼の指は第一関節まで入ったところで、もう奥へは進まない。でも、そのわずかな深さが、朋美にはすべてを壊されるような衝撃だった。
「あ……んぐ……っ」
声が詰まる。目から涙が溢れた。恥ずかしい。怖い。でも、体は勝手に熱を帯び、父の指が埋まっているその感触に、腰が浮き上がりそうになる。膣の内壁が、無意識にその異物を締め付け、吸い付こうとする。自分でも制御できない、卑猥な体の反応。
健一はその全てを見逃さなかった。娘の顔に流れる涙。震える体。そして、自分の指をぎゅっと締め付けるあの幼い膣の収縮。彼の喉が、ごくりと鳴った。
「ともみ……」
彼の声は、もう抑制がきかないほどに濁っていた。
「お前……気持ちいいんだろ?」
そう言われて、朋美は激しく首を振った。いやだ。違う。でも、その否定が、体の正直な反応を止めることはできなかった。父の指がゆっくりと引き抜かれ、また押し込まれる。くちゅっ。今度はもっと容易に、愛液の潤滑で滑らかに出入りする。
「あ……あぁ……だめ……動かさないで……」
泣きながら哀願する声。しかし健一は、その指の動きをむしろ少し速めた。ゆっくりとしたピストン。入るたびに、朋美の細い腰が跳ね、まだ膨らみの少ない胸がパジャマの下で波打つ。彼女はもう、目を閉じることもできず、父の顔を見つめながら、体が堕ちていくのを感じるしかなかった。
指の関節が膣の入口をこすり、ぐりぐりと捻られるような動き。そこは、キャップでは絶対に感じられない、生身の柔らかさと温かさだった。そして、父の指は、自分の指とは比べ物にならない大きさ。埋め尽くされる感覚。支配される感覚。
「パパ……お願い……やめて……恥ずかしい……っ」
「恥ずかしい?」
健一は、初めてわずかに笑ったような表情を浮かべた。しかしその目は、依然として深く暗い。
「でも、お前……こんなにびしょびしょだぞ」
彼は指を完全に引き抜き、それを朋美の目の前にかざした。人差し指の先から第二関節までが、透明な愛液でぬらぬらと光っている。糸を引くように垂れ、滴り落ちそうになっている。
「これ、全部お前のだ。ちっちゃい体で、よくこんなに出るな」
そう言って、彼はその指を、自分の唇に持っていった。そして、ゆっくりと、舐めた。
朋美の脳裏が真っ白になった。何をした? パパが、私の……あの汁を……。吐き気が込み上げるほどの羞恥が、全身を襲った。でも、それと同時に、股の間がぐっしょりとさらに濡れるのを感じた。体が、その卑猥な光景を拒まず、むしろ歓迎している。
「……甘い味がする」
健一はそう呟くと、再びしゃがみ込んだ姿勢から立ち上がった。彼は朋美の方をじっと見下ろし、そして自分のスウェットパンツの上から、大きく膨らんだ股間を、無意識に撫でるようなしぐさをした。
「ともみ」
声は、もう完全に欲望に塗りつぶされていた。
「パパが、もっとちゃんと教えてやる」
そう言うと、彼は娘の脇に座り、彼女の小さな体を自分の膝の上に抱き上げようとした。朋美は無抵抗だった。もう何も考えられない。ただ、父の腕の中で、体が震え続けるだけ。
そして、部屋のドアが完全に閉められる音がした。
次の瞬間から、すべてが変わる予感が、重苦しい闇のように二人を包み込んだ。
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