第5章: 聖域と化した背徳の果て

第5章: 聖域と化した背徳の果て
電車のドアが閉まる音は、私の意識の蓋を閉じる音と同じだった。あの若い男、駿さんの侮蔑に満ちた笑みが、網膜に焼き付いて、瞬きするたびに浮かび上がる。満員電車の揺れと熱気、海斗さんの指でイかされた絶頂の余韻、そして、そのすべてを覗き見られていたという冷たい恐怖。それらが渾然一体となり、私の頭の中でドロドロと溶け合って、もう何が何だかわからない。海斗さんは、まるで何もなかったかのように、私の腰に腕を回し、静かに私の体温を感じ取っていた。その平然とした態度が、逆に私の恐怖を増幅させる。この人、怒らないの? 私たちの秘密の空間を汚されたって、平気なの? 駅に着き、人波に揉まれながらホームへ出る。すると、そこに、いた。茶色く寝かした髪の、あの男。大きなスウェットを着た、駿さんが、腕を組んで、楽しそうにこちらを見ている。その視線はもはや隠しようもなく、私と海斗さんを、一匹の獲物でも見るように、まっすぐに射抜いてくる。足が凍りつく。逃げたい。でも、海斗さんの腕が、私をがっちりと捕らえて離さない。
「よう、先輩。なかなか面白いもん、見せてもらいましたよ」
駿さんが、ニヤリと笑って声をかけた。先輩? この二人、知り合いなの? 私の疑問を察したかのように、海斗さんが、私の耳元で低く囁いた。
「彼は、僕が面倒を見ている、大学の後輩だ。そして……」
彼は、一度言って止め、駿さんの方へと視線を移した。
「……君の新しい観察者だよ」
観察者。その言葉に、膣の奥がきゅうと痙攣した。海斗さんは、私の震える身体をそっと支えると、駿さんに向かって一歩歩み出た。
「どうだ、駿。面白そうだろう? この子を」
その言葉は、まるで高級な品物を鑑定士に見せるような、傲慢で、所有者じみた響きを持っていた。私の顔がカッと熱くなる。屈辱。でも、その屈辱が、なぜか、股間に熱を帯びさせていく。駿さんは、舌なめずりをしながら、私の身体を上から下まで、品定めするように見た。
「マジでよ。先輩、あんなに濡れとる子、初めて見たわ。俺、本物だと思うんだけど……よければ、俺も混ぜてもらえません?」
無遠慮な、欲望むき出しの言葉。恐怖で心臓が喉までせり上がってくる。でも、私の目は、海斗さんの顔を見ていた。彼は、少しも動じない。むしろ、満足げに、口の端を上げている。そして、彼は、決定的な一言を放った。
「いいだろう。ただし、僕のルールでな」
海斗さんは、私の腕を取り、駿さんに合図した。三人は、何の前触れもなく、天神のネオンが煌めく中を、ラブホテルへと向かって歩き始めた。私の足は、自分の意志では動かない。ただ、二人の男に挟まれて、運ばれていくだけ。フロントでのチェックインは、恥ずかしさで顔が赤くなるほどだった。私一人だけが、まるで売春婦みたいに、二人の男に連れられてる。でも、心の奥では、この状況に、吐き気がするほど興奮してる自分がいた。部屋のドアが開き、私たちは入った。それは、窓が一面のガラス張りで、天神の夜景を背景にした、まるで舞台のような部屋だった。
「さあ、芽郁。僕たちのために、その服を脱いでごらん」
海斗さんの命令に、身体が勝手に反応する。窓の前に立つと、背後には二人の熱い視線を感じる。街の明かりが、私の影をガラスに映し出す。その影が、まるで見知らぬ女のようで、恥ずかしい。震える指で、ブラウスのボタンを外す。そして、スカート。最後に、すべての布が床に落ちた。私は、完全に裸になり、街の明かりを浴びながら、二人の男に、自分のすべてを晒した。
「……ほんま、綺麗な体だ」
駿さんが、咽び声を上げそうな声で呟いた。その視線は、飢えた獣のようで、私の肌をむしっと食い破りそうな勢いだった。一方、海斗さんの視線は、変わらず冷静で、分析的だった。二人の違う種類の欲望が、私の裸体を、前後から挟み撃ちにする。海斗さんが、私の背後に回り、温かい胸を押し付けてきた。そして、駿さんは、私の前に立った。
「まずは、味わわせてもらおうか」
海斗さんがそう言うと、彼の指が、私の股間へと滑り込んできた。すでに愛液でぐしょ濡れだった私の膣は、彼の指を受け入れると、くちゅっ、と淫らな音を立てて、貪欲に締め付けた。その時、駿さんが、私の胸に、荒々しく顔をうずめた。
「うっ……!」
彼の舌が、硬くなった乳首を、がしっと舐め上げる。痛みと快感が、稲妻のように走る。海斗さんの指は膣内で、私のGスポットを執拗に刺激し、駿さんの舌は乳首を、歯で軽く噛んでは、ねぶる。前後から、全く違う種類の快楽が、同時に私を襲う。
「んっ……あっ……ひぃ……!」
もう、我慢できない。腰が勝手に、前後に揺れ始める。すると、海斗さんの指が、膣から抜かれた。ふと、虚しさを感じるが、次の瞬間、私の目は見開かれた。彼は、その濡れた指を、今度は、私の後ろの穴、肛門へと、ゆっくりと持っていったんよ。
「ん……? な、なに……そこは、だめっ……!」
初めて、そこを他人に触れられる恐怖。でも、海斗さんは、私の抵抗をものともせず、指先で、私の肛門をゆっくりと撫でる。くちゅっ、と、いやらしい音がして、指先に愛液がつく。そして、その指が、そっと、穴の中へと、滑り込んできた。
「ひゃっあああっ!」
今まで感じたことのない、違和感と、それを裏切るようなゾクゾクするような快感。肛門の奥の、敏感な神経が、彼の指の侵入にビクンビクンと反応する。彼は、そこで指をゆっくりと動かし、私の体を、新しい快楽に慣らしていく。
「すごいな、先輩。アソコも、お尻の穴も、感じるんだな」
駿さんが、舌を鳴らして言った。彼は、自分のズボンのチャックを下ろし、硬く膨れ上がった性器を取り出した。その先からは、透明な液が、糸を引いてる。海斗さんは、私の肛門を指で広げながら、駿さんに合図した。
「おい、駿。前から、入れてやれ」
「お、ありがたい」
駿さんは、私の足を持ち上げ、自分の腰に合わせた。そして、ぐずぐずすることなく、彼の硬い性器を、私の濡れた膣へと、ずぶずぶと、ねじ込んできた。
「ひっぐっ……ああああッ!」
太い、熱い肉塊が、私の膣内を、いっぱいに広げていく。海斗さんの指が、お尻の穴に入ったままだ。前と後ろから、同時に、穴を犯されている。この感覚が、あまりに異常で、あまりに気持ちよくて、頭がおかしくなりそうだ。
「どうだ、芽郁。二人に同時に犯される気分は。街の明かりを背景に、お前の穴が、僕たちに奉仕してるのが見えるぞ」
海斗さんが、耳元で悪魔のように囁いた。私は、ガラスに映る自分の姿を見た。目は蕩けきり、口は半開きで涎を垂らし、前からは男の性器に、後ろからは男の指に、突かれている。あまりに卑猥で、あまりに醜い。でも、その姿が、私を、さらに興奮させた。
「もっと……もっと、お願いします……!」
自分の口から、そんな言葉が漏れ出る。もう、恥ずかしいなんて、どうでもよかった。ただ、もっと、深く、強く、犯されたい。海斗さんは、私の願いを聞き入れたか、彼の指が、肛門から抜かれ、代わりに、彼自身の硬い性器が、私の後ろの穴に、押し当てられた。
「いくぞ、芽郁。二人で、お前を、穴として、完全にする」
「はい……っ、お願いします……!」
海斗さんの性器が、ゆっくりと、しかし確実に、私の肛門を、広げていく。きゅうっ、という痛みと、ぐりっ、という裂けるような感覚。でも、その奥には、これまた別の、深い快楽が待っていた。前後の穴が、二人の男の性器で、完全に塞がれる。膣壁と直腸の壁が、薄い膜を隔てて、互いの性器の動きを感じ合う。その感覚が、私の理性を、完全に破壊した。
「あああああああああッ!」
声にならない叫び。二人の男が、それぞれのリズムで、私の体を、激しく突き始める。前から突き上げられるたびに、膣がじゅるじゅると音を立て、後ろから突き込まれるたびに、肛門が火照って、痙攣する。快楽の波が、津波のように、私を飲み込んでいく。街の明かりが、きらきらと回転し、見えなくなる。意識が、遠のいていく。
「……もっと、見られて、汚されて……」
かすれた声で、そう呟いた。もう、私は、桐谷芽郁じゃない。ただの、二人の男に犯される、穴だ。前後の穴を、好き勝手に使われ、彼らの欲望を、受け入れるだけの、肉の器。その事実が、私に、究極の安息を与える。意識が、真っ暗な快楽の海に、沈んでいく。背徳の果てに、私の聖域が、あった。
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