第3章: 「見たい」と「見せたい」の交差

第3章: 「見たい」と「見せたい」の交差
あの日から、三日。私の頭ん中は、あの男の視線だけがグルグル回っとった。警固公園の縁石に染みついた、私の愛液の匂い。あの知的で飢えたように見つめられる感覚。一人で指で慰めても、あの日の興奮には到底及ばん。ただ、空回りするだけの指先と、虚しくなる膣内。もう、あの視線なしではいられん。そんな風に思い始めてしもた、私。今日も、同じ時間に、同じ場所に。昨日とは違う、黒のタイトスカート。より体のラインを強調する、生地の薄いやつ。下は、もちろん、何もなし。このスカート、ちょっと開いただけに、股の裂け目が丸見えになるんよ。自覚してるだけで、クリがじゅくじゅく濡れてくる。おかしい。こんなに簡単に、身体が反応するなんて。私は、もう元には戻れんのかもしれん。
「……また、来とったんね」
背後から、低く、落ち着いた声がした。振り返るまでもなく。全身の毛が逆立つような、あの視線。あの日、私の股間を貫いた、あの男の視線。ゆっくりと振り返ると、そこにはスーツ姿の彼が、穏やかな笑みを浮かべて立っとった。近くで見ると、もっとカッコいい。切れ長の目が、私の全身をなめるように、いや、解剖するように見てる。その視線に、スカートの中がさらに熱を帯びて、ぬるぬるとした液体が太ももの内側を伝わって落ちていくのがわかった。
「どうして、わかったの……?」
私の声は、震えて、かすれてしまった。彼は一歩、こちらに近づいてくる。その靴音が、私の心臓を直接踏み潰すようで。
「君が、待ってるからだよ。見られるために。この場所で、この格好で。そう思わない?」
「っ……!」
言葉を失った。すべてを見抜かれてる。私の汚い、隠したい欲望を、まるで裸にされてるみたい。羞恥で顔が火照って、目から涙が滲んでくる。逃げたい。でも、足が動かん。なぜなら、この人だけが、私のことをわかってくれるから。誰にも理解されん私の、この歪んだ性を。
「泣かないで。君は、悪くない。ただ、正直なだけだ」
彼は、そっと私の顎を指先で持ち上げた。その指は、温かく、少しごわついてる。職業柄かなんかの、男の指だった。
「僕も、正直だから言うよ。君のこと、もっと見せてほしい」
「……えっ?」
「あの日、縁石に座ってた君の姿が、頭から離れんんだ。開いた脚の間から、陽光を浴びて濡れてる君のアソコ。それを、もっと近くで、もっとゆっくりと、拝見したい」
「ひっ……!」
拝見したい、なんて言葉。あまりに紳士的で、それでいて、あまりに下品で。頭が真っ白になった。恥ずかしい。怖い。でも、でも……心の奥底から、うずき上がる快感。見られたい。この人に、ちゃんと見られたい。その気持ちが、理性に蓋をしてしまう。
「……どこか、静かなところへ行きましょか」
彼は、私の腕をそっと取った。抵抗する力は、もう残っとらん。私は、まるで人形のように、彼に導かれて歩き始めた。天神の喧騒を背に、私たちは大きなデパートへ入っていく。彼は何も言わんが、その確かな歩き方に、私はすべてを委ねる決心をした。エレベーターに乗り、上の階へ。ドアが開くと、そこは高級ブランドの婦人服売り場。静かで、良い香りがする。店員さんに一礼すると、彼は私を一番奥の、個室の試着室へと連れて行った。鍵が、カチリ、と静かに閉まる音。その音で、私は、もう逃げられんと悟った。
「じゃあ、お願いします」
彼は、私の前に少し離れて、ソファに腰掛けた。そして、ただ、じっと私を見つめてる。その視線がプレッシャーになって、私の指が、自分の服のボタンに震えながら触れる。ブラウスのボタンを、一つ、また一つと外していく。肩から滑り落ちる布地が、肌をひんやりと撫でる。次に、スカートのホック。指先が滑って、なかなか外れん。焦りと羞恥で、息が乱れる。
「ゆっくりでいいからだよ。君の時間を、僕がいただく」
彼の声が、背中を押した。ようやくホックが外れて、スカートがずるりと足元に落ちた。最後に、ブラ。背中の手が届かん。ぐずぐずしてると、彼が静かに立ち上がり、後ろに回ってきた。温かい吐息が、私の首筋に触れる。彼の手が、私の背中でブラのホックを外した。その時、指が私の背骨を、ゆっくりとなぞっていくような気がして、ビクンと身体が震えた。最後の布が落ちて、私は、この男の前で、完全に裸になった。
鏡に、自分の姿が映ってる。顔は真っ赤で、目は潤んで、乳首は興奮で硬く尖ってる。そして、その下、股のあたりは、もうぐちゃぐちゃに濡れて、愛液が太ももに光ってる線を描いてる。そんな自分を、後ろから、彼がじっと見てる。その視線が、まるで実体のある熱線みたいで、私の肌を焼き焦がす。
「……綺麗だ」
彼は、そう呟いた。そして、鏡に映る私の目を見つめたまま、そっと私の前に立った。
「自分でも、見てごらん。君の身体が、どんなに正直か。このクリトリス、ぷっくりと腫れて、僕を待ってるじゃないか」
彼の指が、私の股へとゆっくりと伸びてきた。避けようにも、避けられん。くちゅっ、と、いやらしい音が立った。彼の指が、私の濡れに滑って、クリトリスの上をゆっくりと撫でた。
「ひゃっ……んっ!」
初めて、他人の指がそこに触れる。自分の指とは全く違う、太くて、温かい感触。電流が走った。膝がガクガクと震えて、立っていられなくなりそうになる。彼は、もう片方の手で私の腰を支えながら、指先で私の秘部を執拗に弄び始めた。
「くちゅ……ぐちゅ……ああっ……んんっ……」
鏡に映る自分の顔が、蕩けきってるのがわかる。涎が垂れて、声も出せん。ただ、彼の指の動きに、身を任せるだけ。彼は指を一本、私の膣内へと、ゆっくりとねじ込んできた。ぬるっ、という快感と共に、膣壁が彼の指を貪欲に締め付ける。
「中も、熱いね。僕の指を、締め付けてくる。こんなに濡れてるのに、まだまだ足りないんだね?」
「うっ……そ、そんな……んっ……ああっ!」
彼の言葉が、私の羞恥心を煽り、それがさらに快感に変わる。おかしい。私、こんなに卑猥な音を立てて、男の指を咥え込んでる。でも、気持ちいい。気持ちよくて、どうしようもない。彼は、膣内で指をくねらせながら、クリトリスを親指で強く押しつぶした。
「ひっ……あっ……ああああっ!」
視界が白く染まった。膣の奥から、今まで感じたことのないほどの激しい波が押し寄せてくる。腰が勝手に跳ね、足の指が攣る。ぐちゅぐちゅ、と淫らな音を立てながら、私の膣は彼の指を激しく締め付け、愛液を吹き出した。
「イク……イクっ……んぐっ……ぁああああッ!」
意識が飛びそうなほどの絶頂。それが、ようやく静まった時、私は彼の腕にすっかりと支えられ、がくがくと震える身体を抱かれていた。彼は、濡れた指を自分の唇に運び、そっと舐めた。
「君の味、する。甘くて、少し塩気があって……美味しいよ」
その言葉を聞いて、私は、もう一度、小さくイってしまった。
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