第5章: 堕天使の初舞台

第5章: 堕天使の初舞台
意識がとろとろに溶けた蜜のように、暗闇の底に沈んでいく。先ほどまでの激しい痙攣が残した甘い痺れは、全身の神経を麻痺させ、亜美の体をぬるぬるとした人形に変えてしまった。ビデオカメラの赤いランプが、ゆっくりと脈を打つように点滅し、その光が目の裏膜に焼き付いて、もう消えることはないだろうと思われた。ぐったりと横たわる自分の姿が、天井の照明に反射して見える。汗とローションと愛液で光る、見るも無残な裸体。それは、アイドルを目指す自分ではなく、ただの、快楽に溺れた獣の姿だった。黒沢さんは、カメラを三脚に固定したまま、満足げに腕を組んでいる。その隣に立つ岡村美香は、まるで素晴らしい芸術作品を鑑賞するかのように、亜美の堕ちた姿に上品な笑みを浮かべていた。その二人の視線が、針のように亜美の残った尊厳を突き刺す。
「さあ、次は本番の登場だわ」
美香が、まるで舞台の幕開けを告げる案内人のように、楽しげに言った。本番?次に何があるの?亜美の朦朧とした頭に、疑問が浮かびもしなかった。ただ、これ以上何かされるのが怖い。もう、これ以上、気持ちよくなんてなりたくない。でも、体はもう自分のものじゃない。その時、スタジオの隅のドアが、しーっと、静かに音を立てて開いた。そこから現れたのは、黒沢さんでも美香さんでもない、見知らぬ男だった。ずんぐりとした、がっしりとした体格。暗い影の中から現れたその姿は、まるで古代の洞窟から這い出てきた、筋肉の塊のような獣のようだった。男は何も言わない。ただ、粘つくような、生々しい視線だけで、床に横たわる亜美の裸体をなめ回した。
「お待たせしました。こちらが、本日のお客様です」
美香が、品定めするように言った。お客様?亜美の頭に、その言葉の意味が届かない。男はゆっくりと近づいてくる。その足音が、床に響くたびに、亜美の心臓が小さく震える。彼はカメラも何も持っていない。ただ、その大きな手だけが、不気味なほどに存在感を放っていた。黒沢が、にやりと笑って男に頷く。その合図だったのか、男は無言で亜美の体を抱き上げた。ぐいっ、と力強く。亜美の体は、まるで重い袋でもあるかのように、簡単に持ち上げられ、男の硬い胸に押し付けられた。男の体からは、汗とタバコと、何か獣のような匂いがした。その匂いが、亜美の呼吸を苦しくさせ、頭をさらに混乱させた。
「ん…っ…」
か細い声が漏れるが、男は意にも介さない。彼は亜美をスタジオの中央に置かれた、シーツだけがかけられた簡易的なベッドの上に、どさりと投げ出した。背中が冷たいマットレスにぶつかる。男はそのまま、亜美の足を両手で掴み、無理やり広げた。まだ快感の余韻でぬくぬくと濡れている小さな穴が、男の貪欲な目の前に、無防備に晒される。恥ずかしい。でも、もう抵抗する力も、意志も残っていない。男は自分のズボンをずるりと下ろした。そこから現れたのは、亜美が今まで想像したこともないような、硬くて、太くて、不気味なほどに血管が浮き出た、生々しい肉の塊だった。それは、まるで自分を犯すためだけに存在する、恐ろしい武器のようだった。
男はその硬い肉塊を片手で握りしめ、亜美の濡れた秘部の入り口に、ゆっくりと押し付けた。ぬるりとした感触。でも、その熱さと硬さは、亜美の体が受け入れられるものではなかった。
「ひっ…!」
息を呑む。男は何の前戯も、優しさもない。ただ、腰をゆっくりと、しかし確実に、前方に押し込んでいく。まだ濡れていない、小さくて未発達な穴が、無理やりにこじ開けられていく。ぐりっ、という、内側が引き裂かれるような音がした。次の瞬間、亜美の体を貫く、鋭い痛みが閃光のように走った。
「あっ…あああっ…!あぐっ…!」
悲鳴と呼べるほどの声は出ない。ただ、苦しげな呻きが、絞り出されるように喉から漏れる。処女膜が破れる瞬間の、内臓をえぐられるような衝撃。亜美の目から、大粒の涙が溢れ落ちた。これは、痛い。ただ痛い。先まで感じていた快感とは全く違う、体が引き裂かれる、壊されていくような、耐え難い苦痛。でも、男はそんな亜美の苦痛を知らぬ顔で、さらに深く、ずぶずぶと、自分のものを亜美の体の中に沈めていく。
「んんんっ…!いたい…いたいよぉ…」
か細い懇願が、男の耳に届くはずもない。彼の腰が、動き始めた。ゆっくりと、亜美の狭い膣内を引き抜き、そしてまた、力強く突き込む。ぐちゅっ、ぐちゅっ、と下品な音が、スタジオに響き渡る。その音は、自分がどれだけ深く犯されているかを、亜美の耳に突き刺す。痛みと、それに伴う嫌な感覚が、亜美の意識を少しずつ遠ざけていく。目の前が、暗い波のように揺れる。アイドルの夢。ステージに立つ自分。キラキラしたライト。そんな光景が、頭の中でぼやけて、砕け散っていく。もう、何もかも、どうでもよくなった。ただ、この痛みが早く終わってほしい。早く、この獣から離れてほしい。
男の腰の動きが、だんだんと速くなっていく。激しいピストンが、亜美の未熟な体を容赦なく打ちつける。腰がバキバキに鳴る。子宮が、奥まで突き上げられるような感覚。亜美の体は、もう痛みさえ感じなくなり、ただ麻痺した人形のように、男の激しい動きに揺られるだけだった。視界の端に、ビデオカメラの赤いランプが、冷たく光っている。自分が、このように獣に犯され、汚されている姿を、すべて記録している。その事実が、亜美の心に最後の一撃を加えた。自分はもう、誰かの夢でも、希望でもない。ただ、男たちの慰みものとして、このカメラの前で、初めての「本番」を演じる、堕天使なのだ。
男の呼吸が荒くなり、彼の腰が最後の激しい突き上げをした。そして、熱くて粘っこい何かが、亜美の膣奥に、どくどくと放出された。うわっ、と思った瞬間、亜美の意識は、完全に闇の中に吸い込まれていった。男は自分のものを亜美の体から抜き出し、何も言わずに立ち去った。そこに残されたのは、精液と血と愛液でぐちゃぐちゃに汚された、小さな少女の裸体と、静かに赤い光を点滅させ続ける、一台のビデオカメラだけだった。アイドルの夢は、そこで完全に砕け散り、代わりに獣たちの慰みものとしての「初舞台」が、静かに幕を開けたのだった。
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