第2章: 空き教室のざらつく椅子と、窓の外の視線(続き 2/2)
本能的に、机の下へと身を投げ出した。慌てすぎて頭を机の角にぶつけ、痛みが走ったが、それよりも恐怖が先だった。パンツも穿かず、スカートも下ろさず、股間はべっとりと愛液で光っている。そんな状態で、机の陰にうずくまる。
ドアが開く音。そして、軽い足音。
「あれ? 誰かいるの?」
聞き覚えのある、明るい声。小野莉子だ。
心臓が止まりそうになった。なぜ、リコが……!? この教室に用事なんて、彼女にはないはずなのに。もしかして、私を探して……?
「みさき……? いたんだ、やっぱり」
机の脚の隙間から、茶色のローファーと、少し短めに調整されたスカートの裾が見えた。彼女は教室内を少し歩き回り、そして美咲が隠れている机の前で足を止めた。
「わあ! なんで机の下に隠れてるの? びっくりしたよ」
上から覗き込まれる。美咲は必死にうつむき、腿をぎゅっと閉じようとしたが、閉じれば閉じるほど、ぬめっとした感触が広がるのを感じた。
「……ご、ごめん。ちょっと……落し物、探してて」
声が上ずっているのをどうすることもできない。
「落し物? なにを落としたの?」
「その……えっと、ペンが……」
「ふーん」
莉子は疑わしそうな口調だった。机の下から出てこない美咲を一瞥し、ため息をついた。
「ねえ、みさき。この前貸した数学のノート、まだ返してくれてないんだけど。明日テストだし、見直したいんだよね」
――あっ、忘れてた。完全に忘れていた。
公園であんなことばかり考えていて、友達との約束をすっぽりと頭から追い出していた。罪悪感が胸を締め付ける。
「ご、ごめん……! 家に、忘れちゃった。明日、絶対持ってくるから」
「うん。約束だよ」
莉子はそう言うと、しばらく黙った。美咲が顔を上げられずにいるのを見て、心配そうに声をかける。
「それより……大丈夫? 最近、なんか顔色悪いっていうか、ぼーっとしてるっていうか。クラスでもすごく静かだし。もしかして……彼氏とか、できた?」
その質問に、美咲は反射的に顔を上げた。そして、莉子の真剣な瞳と直に目が合ってしまった。
「彼氏なんていないよ! そんなの……!」
声が裏返り、慌ててまたうつむく。腿の間が熱く疼いた。彼氏? 違う。そんな清い関係じゃない。私は……誰彼構わず、見られたいだけなんだ。そんなこと、言えるわけがない。
「……そう。ならいいんだけど」
莉子の声に、少し寂しげな響きが混じっていたように思えた。
「なんか、最近、私から離れていってるみたいで。心配なんだよ」
「……ごめん」
それしか言葉が出なかった。本当の意味で謝っているのは、ノートを忘れたことよりも、こんな姿を隠しながら友達と話していることに対してだった。
「ま、いいや。じゃあ、明日、ノートよろしくね。早く帰ったほうがいいよ、もう遅いから」
「うん……ありがとう、リコ」
軽い足音が遠ざかり、ドアが閉まる音がした。しばらくして、完全に静寂が戻ったのを確認してから、美咲はようやく机の下からはい出た。
全身の力が抜け、その場に崩れ落ちそうになった。安堵。そして、その安堵を打ち消すように、再び燃え盛る欲望。リコと話している間も、股間はじくじくと疼き続け、もっと触れてほしいと訴えていた。
もう隠れる必要はない。彼女は再び、あのざらつく椅子に、裸のまま腰を下ろした。指は自然に腿の間に向かう。陰核は、さっきの刺激でますます敏感に膨らみ、触れるだけでびくんと跳ねた。
「あ……んっ……!」
こすりあげる。激しい快感が走る。腰が勝手に動く。もう、我慢できない。公園よりも、空き教室の方が、ずっと危険で、ずっと背徳的で、だからこそずっと……たまらない。
恍惚の中で、ふと窓の外を見下ろした。
中庭の桜の木の下に、人影が立っていた。背の高い男子生徒。三年生の先輩、健太だ。彼はこちらの教室の窓――つまり、美咲が今、裸で椅子に腰掛け、指を股間に入れているその窓を、じっと見上げていた。
目が合った。
時間が止まった。
一瞬、全身の血が引き、凍りつく思いがした。見られた。完全に、あの状態を……。
しかし、健太先輩は動かない。視線を逸らさない。驚いた様子も、軽蔑した様子もない。ただ、静かに、遠くから見つめているだけだ。
その視線が、凍りついた体を逆に熱く溶かしていく。
――見てる。先輩が、私を……私の汚いところを、見てる。
恐怖が、ゆっくりと別の感情に変容していった。承認されたような、許されたような……いや、それ以上に、興奮のようなもの。彼は去らない。彼は見ている。
美咲の手が動いた。こすり上げていた指をわざとゆっくりと動かし、そして、腰まで捲り上げたスカートの裾を、さらに大胆に、腿の付け根のあたりまでたくし上げた。腿を大きく開く。窓ガラス越しでも、十分にその淫らな光景が見えるはずだ。
健太先輩は、ほんの一瞬、目を見開いたように見えた。そして、ゆっくりと、かすかにうなずいた。それだけだ。彼はそれ以上何もせず、そっと踵を返し、中庭の向こうへと歩き去っていった。
見られた。そして、彼は去った。声もかけず、近づきもせず、ただ……見て、去った。
「あ……ああ……!」
美咲の内部で、何かがはじけた。指を深く押し込み、ぐちゅりと愛液が溢れる。見られること。それだけで、ここまで満たされるのか。子宮の奥底が痙攣し、椅子に座ったまま、腰を震わせながら、言葉にならない小さな絶頂が訪れた。膣が締まり、弛み、熱い液体が腿を伝って滴り落ちた。
息を切らしながら、窓の外を見つめた。先輩の姿はもうない。でも、彼の視線の残像が、肌に焼き付いているようだった。
――見られたい。もっと……。
べっとりと濡れた指を引き抜き、そのまま舐め上げたい衝動に駆られた。自分自身の、恥ずかしい味。
震える唇が、囁く。
「誰か……私の、エロまんこ……見て……」
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