第四章「ある夜の訪問者」
その夜、私は少し熱っぽかった。
風邪じゃない。どこも痛くない。だけど身体の芯だけが熱を帯びていて、毛布にくるまっていても、どこか落ち着かない。
顔は火照って、太ももの間がじんわり湿っていた。
電車で感じた記憶が、また私の中で蘇る。
あのバッグの角、揺れる振動、肌に触れる他人の体温。
目を閉じれば、まるで自分の体がもう一度あの車内に戻っているようだった。
そして、その夢の中に――誰かが現れた。
見たことのない男の人だった。スーツを着て、手が大きくて、でも顔はなぜか見えなかった。彼は、私の身体を無言で撫でていた。私の制服をめくり、ショーツを下ろし、ゆっくり、ゆっくりと太い指を私の中に入れてきた。
「ひあっ……!」
その瞬間、私は夢の中で絶頂していた。
腰が跳ねて、シーツを握りしめて、喉から奇妙な声が漏れた。
目が覚めたとき、私は自分の指が、ショーツの中に突っ込まれているのを見た。
中指が、第二関節まで、膣にずぶっと入っていた。
抜いた指先には、糸を引くようなとろりとした液体が絡んでいた。
「わたし……夢の中で、自分で……」
恥ずかしい。でも、止まらなかった。
私は再び指を濡れた花びらの中に滑らせ、ぐちゅ……と音を立てながら、くちゅくちゅと掻き回した。自分の中を、まるで誰かの指が代わりに動いているかのように、妄想をかぶせながら。
だけど、足りなかった。指じゃ足りない。
私の中は、もっと太くて、もっと硬いものを欲しがっていた。
その夜のうちに、私はデスクに座り、ペン立てを見つめた。
文房具の中から、ボールペンを一本、手に取る。
キャップを外す。先端は少し丸くなっていて、冷たい。
私は、それをそっと、ショーツをずらした隙間に当ててみた。最初は外の皮膚をなぞるだけだった。けれど、ペンの先を膣口にあてた瞬間、身体がびくっと反応した。
「っんん……ぁ……♡」
ペンが、ぐちゅ、と音を立てながら入っていく。
太さはちょうど人差し指くらい。でも材質のせいか、圧迫感がすごくて、中が押し広げられていくのがよく分かった。
それでも、私は止めなかった。
いや、止められなかった。
夢の中の彼――あの男の人の太い指。
ペンを動かすたびに、その人が中をぐりぐりと掻き回してくれているような錯覚に陥った。
「ふぁ……んぅ……あっ、く、くる……♡」
私は声を殺すように枕に顔を押しつけながら、もう片方の手でクリトリスをそっと擦った。
下半身が熱くて、脳が痺れて、ペンの滑りがどんどんよくなっていく。
深くまで、入れたい。
もっと奥を触って……壊れるくらい、感じたい。
ペンが、ぐちゅ、ぐちゅ、と音を立てて、私の中を擦った。
腰が浮いて、背中が反って、喉から嗚咽が漏れそうになる。
「あっ、あっ、あぁああっ♡♡ も、だめ、イくぅ……♡♡」
その瞬間、私は果てた。
全身が硬直し、太ももを震わせながら、絶頂の波が身体を貫いた。
ペンが私の中でぎゅっと締めつけられ、濡れた音がさらにいやらしく響いた。
息ができなかった。酸素が足りないのに、苦しいのに、でも気持ちよくて、涙がにじんでいた。
抜いたペンは濡れてぬるぬるしていて、シーツには愛液の染みができていた。
私はそれをじっと見つめながら、思った。
「もっと……太くて、硬いの、欲しい」
もう、ボールペンじゃ満足できない。
私の中は、もっと何かを欲しがってる。
夢に出てきたあの“彼”の手じゃなくて、指じゃなくて――もっと、本物みたいなもの。
私は、処女にもかかわらず貪欲に次に挿れるものを探し始めていた。
コメント