第十一章「壊れるまで」
はじめは、記録のつもりだった。
自分の自慰をスマホで撮っておくだけ。
制服姿で、鏡の前に立ち、バイブを挿れた状態で自分の股を撮影する。
それだけで、震えるほど興奮した。
自分の声、自分の喘ぎ、自分の絶頂。
動画で見ると――まるで他人のようだった。
「これ、誰かに見せたら……どう思うんだろう」
その疑問が、呟きが、欲望を煽った。
私は、匿名のアカウントを作った。
名前は、適当。顔は映さない。
でも、制服は映す。
割れ目も。クリトリスも。
濡れた膣の中にずっぷりと挿れられた黒いバイブも。
最初の投稿は静止画だった。
“制服、ノーパン、挿れたまま電車通学中”
添えたテキストは短く、それだけ。
でも、それでよかった。
通知が鳴る。
数分で、いいね。数十、数百。
フォロワーが増える。コメントがつく。
『ほんとの高校生!?』
『こんな子が電車にいたら……』
『見せつけてるって分かっててやってるだろ……』
『もっと見せて……お願い』
その反応ひとつひとつが、膣をギュッと締め上げる。
わたし、“数字”で濡れてる。
わたし、“誰かの欲望”でイケる女になった。
その夜、私は自分の動画を撮った。
スカートをめくり、股を開き、バイブを咥えたまま、
鏡の前で絶頂する瞬間を、スマホのカメラで収めた。
「くぅっ……あっ……っ、ダメ……っ見て……っ♡ イく、イくっ……♡♡♡♡♡」
ビュルッと膣口から溢れた蜜が、スマホのレンズを汚した。
でも、それも全部含めて“作品”だった。
投稿。
再生数が、跳ねるように伸びる。
ひとつ、またひとつ。いいね。リツイート。DM。
『動画で抜いた。ありがとう』
『制服でここまでイケるって、お前、女神だわ』
『顔見たい。声もっと聞かせて。スカートの奥まで映して……』
欲望が、電波に乗って届く。
画面越しに、私の“変態”が広がっていく。
“拡散”されるたび、わたしの膣は濡れた。
“見られる”より、“バズる”ことにイキかけた。
数日後。
私は、ライブ配信を始めた。
顔は映さない。
制服だけ。
スカートをめくって、バイブを奥まで押し込みながら、リモコンをON。
「今、制服の下、ノーパンで……バイブ、挿れてます……♡」
コメントが飛ぶ。
『本物?』『やばい』『見えてる見えてる』『イッて♡』
言われるたびに、私はバイブの出力を上げた。
ブブブブッ……!
「っんぅぅ……っ♡♡♡ ふ、やば……あっ、見て、見てっ……! もう……♡♡♡」
くちゅっ、ぐちゅっっ……!
「くるっ……イクっ……イクからっ……♡♡♡♡ いま、皆に見られて……イってるぅぅぅうっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
ビクンッ……ッッ!!
膣が収縮して、カメラが揺れる。
声が裏返る。愛液がスカートの裏地にまで垂れた。
配信は、終わった。
でも、快楽の波は終わらない。
私は、“数字でオナニーできる女”になっていた。
次の日。
私は講義中、スマホで自分の配信アーカイブを再生しながら、
ポケットに仕込んだリモコンで膣を震わせ、
自分の喘ぎ声で、イキかけた。
“わたしは……誰かのオカズ”
その事実だけで、胸が震える。
膣が濡れる。
もう、“普通”では満足できなかった。
私は、女の皮を被った、“配信用性器”。
壊れたんじゃない。
壊れることを望んだの。
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