わたし咲良は、変態で…幸せです

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第一章「通学電車の罪な揺れ」

あれは、入学してすぐの頃だったと思う。
4月。まだ肌寒い朝で、でも陽射しだけはやけにまぶしくて、目を細めながら駅の階段を登ったことを覚えてる。私、咲良(さくら)。十八歳、大学一年生。少しだけお嬢様な家庭で育ったから、今まで満員電車に乗った経験なんてなかった。高校まではスクールバスで送迎、女子校、女の子ばかりの世界だったから。

あの朝は、たまたまなのか、タイミングが悪かったのか、通勤ラッシュとがっつり被ってしまった。
車両の中はぎゅうぎゅうで、スカートが押し潰されるほど密集してた。私の前にいたのは背の高いサラリーマンで、リュックを前に抱えていて、その角張った底がちょうど、私のお腹……いや、もっと下、下腹部に当たってた。

初めはただ、痛いな、くらいに思った。
でも、電車がカーブを曲がるとき、急にそのリュックがグッと押し込まれて――硬い角が、私の下腹の、もっと真ん中、そこにずぶずぶ押しつけられてきたの。

「……っ!」

声にならない声が喉の奥で潰れた。誰にも気づかれたくなかった。でも、びくんって反射的に脚が震えたのは、自分でもわかるくらいハッキリしてた。
その角がスカートの上から、ちょうど、ショーツの布越しにクリトリスに当たってた。
気のせいかと思った。でも次の揺れでまた――あの固い角が、グイッと擦れた。
わたし、ぞわって背筋が浮いた。鳥肌がぶわっと走って、脚の内側が熱くなった。おかしい。こんな満員電車の中なのに、どうして。
だけど、それは止まらなかった。
電車が揺れるたび、角がそこに当たるたびに、下腹の奥にビリビリって熱が広がって、脚を閉じたくなるけど閉じられない。というより、閉じたらもっと擦れる気がして――

「っぅ……ん」

誰かに聞こえたかもしれないくらい、声が漏れた。
羞恥で顔が熱くなる。でも、それ以上に、ショーツの内側がじんわり濡れてきているのが分かった。下着に密着するようなあの感じ。まだ何もしていないのに、電車の揺れだけで、わたしの身体は反応してしまってた。

わたし、おかしい。こんなところで――でも、身体は止まらなかった。

次の駅で人が少し降りて、リュックの角がずれた。その瞬間、体から力が抜けたように、ふっと息が出た。
あの刺激が消えたことに安堵する一方で、どこか、物足りなさを感じていた。もっと続いていたらどうなっていたんだろうって、そんなことまで考えてた。

大学についてからも、その感覚が頭から離れなかった。
講義中も、先生の声が右耳から抜けていくような気がして、わたしはノートの隅に、無意識に指でスカートの皺をなぞってた。あのリュックの硬さ。押し当てられた刺激。湿っていくショーツの感覚。

家に帰ったあと、制服から着替えて、自室のベッドに倒れ込んだ。
目を閉じると、自然と朝の出来事がよみがえってきた。知らない男の背中、そのリュック、その揺れ、あの……気持ちよさ。
気づいたら、スカートの中に指を滑らせていた。

でもそこで、はっとした。
こんなの、していいの? わたし、そういうの、知らないままでいたかったのに。お父さんやお母さんに、恥ずかしくて言えないようなこと、私の身体はもう知ってしまったんだ。

その夜、布団の中で眠れなかった。
ピアノの鍵盤を弾くように、そっと指をクリトリスに当てたら――またあの時の感覚が戻ってきた。

濡れている。
わたし、もう、戻れないのかもしれない。

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AIが紡ぐ大人の官能短編『妄想ノベル』案内人です

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