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夫の出張中にパパ活で知り合った60歳グレイヘアー男と、昼酒で羞恥を流し、ホテルで巨根に何度も絶頂した人妻

シニア官能 / 人妻/主婦 全7章 約63分で読了(31,158字) 2026年8月31日

あらすじ

22歳の息子拓哉の東京就職が決まり、子育て終了の空白を抱えた45歳の松田明菜は、夫が出張でいない自宅マンションの浴室で全裸になり、鏡に映る自分の姿を眺める。色白の豊満な乳房、くびれた腰、薄い陰毛の下で眠る性器。若い頃のプロポーションがまだ残る身体に指を這わせ、学生時代の彼氏の巨根と、その熱に貫かれた記憶を呼び起こし、バスタブの縁に腰を下ろして自慰に耽る。行為の後、シンクの水滴が床に落ちる音だけが響く部屋で、明菜はWEBの主婦パパ活記事を開き、自分も登録すればこの渇きを埋められるかもしれないと考える。夫からの帰宅連絡は、日付と時間だけの短文だった。終了時点: 夜、自宅マンションの浴室とベッド。明菜がパパ活サイトに登録を決意し、スマホに指を置いた状態。

第1章 子育てを終えた夜、全裸の鏡に残る女の身体とパパ活サイトへの指先

第1章: 子育てを終えた夜、全裸の鏡に残る女の身体とパパ活サイトへの指先

洗面所のドアを閉めた途端、マンションの静けさが肌に張りつくような夜だった。フローリングの冷たさが素足の裏から這い上がり、明菜は誰にともなく息を吐いた。リビングの明かりを消してきたので、廊下は薄暗く、壁に手を当てながら歩くと、ひんやりとした塗装の感触が掌をそっと押し返した。今日から息子の拓哉は東京のワンルームで一人暮らしを始めている。あの子の部屋の扉はもう開かない。そう思うたび、胸の片隅に風が吹き抜けるような空白が生まれて、けれどその空白の底には、言葉にできない安堵とも倦怠ともつかないものが澱んでいた。

浴室のドアを開けると、換気扇の低い羽音が耳の奥に響いた。明菜は洗濯機の上に畳んでおいたバスタオルを手に取り、顔を埋めるようにして嗅いだ。柔軟剤の甘い香りが鼻腔をくすぐり、その向こうから微かに塩素の匂いがした。夫は今日も泊まりの出張で、朝のうちにスーツケースを引いて玄関を出ていった。見送りながら交わした言葉は、「いってきます」「気をつけて」だけだった。それ以上でもなく、それ以下でもなく、二十五年の結婚生活はそういう濃度で続いてきたのだと、明菜は鏡の前で改めて思った。

鏡の中に、明菜自身の姿があった。淡いグレーのカーディガンを羽織り、下には部屋着のワンピースを着た、どこにでもいる四十五歳の女。明菜はまず、自分の顔をまじまじと見つめた。肌は白い。若い頃から色白だと言われ続けてきた肌は、浴室の暖色の照明の下でも青白く透き通るようで、目の下にうっすらと疲れの影が浮いていた。唇は薄く、血色は悪くないが、化粧を落とした素顔はどこか頼りなく見えた。そして、こめかみのあたりに一本、白いものが光っていた。手を伸ばしてそっと摘むと、それは銀色ではなく、真っ白な髪だった。明菜は指先に絡めた白髪をしばらく見つめてから、そっと洗面台の隅に置いた。

服を脱ぐ。カーディガンのボタンをひとつずつ外し、腕を抜く。薄い木綿のワンピースが肩から滑るように落ちて、床に波のように崩れた。ブラジャーのホックを背中で外し、肩紐を下ろすと、豊満な乳房が重みを持って解放される。明菜は両手で乳房の下からそっと持ち上げ、鏡に映した。四十五歳になっても、形は女盛りの頃とほとんど変わっていない。重力にやや抗いかねて、先端はやや下を向きはじめてはいるものの、白い肌に浮かぶ青い静脈の透け方は若い女のようだと、明菜は自分でも思った。乳輪は桜色に近い薄い葡萄色で、乳首は浴室の冷気に触れて硬くしこっていた。

下着を下ろす。ウエストのくびれはまだ残っていて、腰骨の張りは若い頃のままだった。太腿は肉付きよく、しかし締まりを失っていない。明菜は鏡に近づき、下半身を覗き込むようにして、薄い陰毛の下に隠れた性器を見た。陰毛は年齢のわりに薄く、まるで少女のころの名残をそのままにしているようだった。大陰唇の白い膨らみの奥に、ほんのわずかに桜色の縦筋が覗いている。明菜は指先でそっとその膨らみを押し開いて、中を検めた。小陰唇はまだ薄く、しかし濡れてはいなかった。触れるとひくりとだけ反応し、指先にじんわりと体温が移った。

「まだ、いけるわよね」

声に出してみると、浴室の壁に声が吸い込まれて、自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえた。明菜はバスタブの縁に体重を預けて、もう一度鏡を見た。全身を映す鏡の中の女は、たしかに四十五歳には見えなかった。色白の肌が裸の女を陶器のように包んで、胸の膨らみと腰の括れがくっきりと闇に浮き出している。けれど、こめかみの白髪を思い出すと、その身体がどこか無理をしているようにも感じられて、明菜は唇を噛んだ。

あの頃のことを思い出した。大学二年の夏、付き合っていた彼氏の部屋で初めて抱かれた日のことを。彼の名前はもう、日常では思い出さない。けれど、身体の芯を貫かれたあの感触だけは、何年経っても鮮明に蘇る。彼のペニスは大きくて、入りきるかどうか不安で、押し広げられるたびに泣いた。痛いのと気持ちいいのとが溶けて混ざった初めての経験。あの熱。あの重さ。あの内側が満ちて溢れるような圧迫感。

明菜は目を閉じて、右の手をゆっくりと下腹部まで滑らせた。指先が陰毛をかすめ、もっと下へ進む。人差し指と中指で陰唇を割り開くと、かすかに粘り気のある液体が糸を引いた。くちゅ、と小さな音がして、明菜は思わず息を呑んだ。中指がぬめる襞の間を滑り、クリトリスの付け根を掠めると、背中がぞくっと震えた。あの彼氏の巨根が自分を貫いた時のことを、映像としてではなく、身体の深い場所で反芻するように、指を動かす。奥を押し広げられた記憶。子宮が押し上げられるような異物感。頭の中が真っ赤に染まって、何度も何度も達した夜。

「……はぁん……」

浴室の換気扇がその声を奪い、水滴がシンクに落ちる音がやけに大きく響いた。明菜はバスタブの縁に腰掛け直し、腿を開いた。鏡の中の女が同じように腿を開いていて、自分が今から何をしているのかを視覚的に突きつけてくる。羞恥が首の後ろを熱くしたが、その熱がかえって指を深くさせた。クリトリスを直接擦ると、太腿の内側が痙攣するように跳ね、くちゅ、くちゅっと粘液が音を立て始めた。失われていた女の身体が、手淫という形で少しずつ息を吹き返していくのがわかった。

もっと深く。中指だけをゆっくりと挿入する。ぬぷ……と音を立てて、指が熱い襞に吸い込まれた。膣内は思いのほかきつく指を締めつけ、その圧迫感に明菜自身が驚いた。この締まりの奥に、もう何年も夫のものが入っていない。夫のペニスは小さく、そもそも強く望む人ではなかった。出張ばかりで帰宅しても疲れた顔で寝てしまう。夜の営みはいつからなかっただろうか。息子が高校を卒業する頃にはもう、触れることさえされていなかった。触れられても、明菜の身体は期待しなくなっていった。

指をゆっくりと抜き差しすると、ぐちゅ、ぐちゅと下品な水音が浴室に反響した。鏡の中の自分が、獣のような音を立てて指を出し入れしている。見てはいけないものを見ているようで、目を逸らせない。明菜は左手でもう片方の乳房を揉み、硬い乳首を指の腹で転がした。彼氏の大きなペニスが、自分の膣を無理やりに押し開くあの感覚。あのころの自分はあれを痛いと思ったが、今ならもっと深くまで味わえる気がした。ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ……。明菜は指を二本に増やし、奥の柔らかい天井を圧すように押し上げる。子宮の入り口をかすめると、視界が一瞬白んで、太腿がガクガクと震えた。

「あ……っ……ぁ、……んぅ……」

声が漏れる。夫がいないから、誰にも聞かれない。その安心が、明菜の身体から最後の箍を外した。クリトリスの皮を親指で押し上げて、剥き出しになった小さな芽に直接触れる。じゅぷ、ちゅぅ、と音が鳴り、明菜は腰を突き出した。脚を大きく広げ、もう限界だった。学生時代のあの大きな熱が、自分の中いっぱいに溢れていた記憶が、今の自分の指と重なって、果てそうになった。

「……ああっ、……いく……っ……」

内腿を痙攣させながら、明菜は背を弓なりに反らせて達した。膣内がぎゅっと収縮し、指を深くまで咥え込む。息が止まって、心臓が耳の裏で叩きつけた。あの彼氏の中に堕ちていった若い日の自分が、四十五歳のこの浴室で、指先に縋って戻ってくるようだった。

達した後、明菜はしばらく動けなかった。へその下が疼いて、指を抜くと透明な液体が糸を引いた。荒い呼吸を整えながら、鏡を見る。頬が上気して、目の下が潤んでいた。全裸の女が腿を開いたまま、自分の愛液で濡れた指を、所在なさげに宙に浮かせている。こんなことをして、何になるのだろう。明菜は目を伏せた。せっかく達しても、心の奥の空白は埋まらなかった。

シャワーを浴びる気力もなく、明菜はバスタオルで下半身を拭いて、洗面所を出た。素肌にバスローブを羽織り、リビングのソファに倒れ込む。シンクの水滴が、浴室の床を打つ音が、ぽつり、ぽつりと聞こえた。あの音だけが、この家に生きているものの音だった。外を走る車の音も、隣家のテレビの音も、どこか遠い国で響いているようで、明菜はソファの上で丸くなった。

スマホを手に取る。夫からのメッセージが一件届いていた。『明日の夜、九時頃帰ります。それまでに着替えのワイシャツを出しておいてください』それだけだった。日付と時間と用件だけが並ぶ、事務的な短文。明菜は指先でそっと画面をなぞった。出してある。夫のワイシャツはいつも、クローゼットの右端に同じ向きで並べてある。出張から帰れば、洗濯してアイロンをかけて、また出張に持っていく。その繰り返しの中で、自分という女はどこに消えたんだろう。

何気なく開いたWEBのニュース記事。主婦のパパ活が流行っている、という特集だった。見出しの横に、若い主婦たちの笑顔の画像が並んでいた。お小遣いを稼ぐ主婦、夫に内緒で外泊する女、深夜の繁華街で待ち合わせる四十代。明菜は画面をスクロールする指を止めた。その中の一人の女性が、〈ただの暇つぶしです。刺激が欲しかっただけ〉と答えていた。お金のためでもなく、性欲を満たすためでもなく、寂しさを舐めてもらうために、男と会う女たち。

「刺激か……」

ソファの背もたれに頭を預けて、天井を見た。息子が巣立った家は、ひどく広くて、がらんどうだった。夫が出張でいない夜は、時間だけがゆっくりと腐っていくようで、自分の身体がまだ女だという事実を、さっき浴室で自慰をして確認したばかりだった。パパ活。そんな言葉は、これまでの自分とは無縁のものだった。ママ友の不倫話にさえ興味を持てなかったのに、今の自分はどうか。四十五歳で、色白で、身体はまだ若い女の形をしている。鏡の中で自分を確かめたあの身体を、もし見ず知らずの男が抱いたら、どうなるんだろう。どうしてか、その想像は嫌ではなかった。

明菜は起き上がり、ソファのクッションを抱きしめた。甘い柔軟剤の香りが鼻をくすぐる。その匂いとは別に、自分の身体から、さっきの自慰の後の微かな性の匂いがしていた。明菜は顔をクッションに埋めて、目を閉じた。胸の奥で、何かがゆっくりと解けていくようだった。それは罪悪感ではなく、もっと柔らかくて、けれど確実に自分を変えていく熱のようなものだった。

スマホが再び掌の中で震えた。画面には、さっき夫から届いたのと同じ文章が上に表示されている。明菜はそれを閉じて、ブラウザの検索窓に触れた。大手安心パパ活サイト、と打ち込む。指先がほんの少しだけ震えていた。浴室で達してからずっと、身体の芯が熱い。今この瞬間、自分は夫に内緒で、息子が知らない自分になろうとしている。四十五歳の主婦が、鏡の前で裸になったあのことと同じくらい、これは静かな反逆だった。

サイトの登録画面が表示されるまでに、迷いはなかった。明菜はログインボタンの上に指先を置いた。画面の白い光が、暗いリビングの中で明菜の色白の顔を青白く照らしている。こめかみの白髪を思い出し、それでも女はまだ終わっていないと、明菜は指を押し込むように画面に触れた。

第2章 顔をぼかしたジム自撮り写真に群がる男たち、落ち着いた文面の60歳・真鍋との約束

スマートフォンの画面に指を置いたまま、明菜は長いあいだ動けなかった。浴室から出たばかりの肌に、秋の夜気がしっとりとまとわりつき、湯上がりの熱を外側からゆっくりと冷ましていく。部屋着の襟もとからは、上気した鎖骨の窪みと、薄い胸の際がこぼれそうにのぞいていた。胸の奥には、あの鏡に映った裸体の残像が、消えない火種のようにくすぶっている。夫からの連絡は今夜も、日付と帰宅予定だけが並ぶ事務的な短文で、その無機質な文字の連なりが、迷う背中を静かに押した。半年以上も肌を触れられていないこの身体が、湯船で確かめたあの深い潤みを、だれかに見つけてほしいと疼いている。

翌日から、明菜の日常は静かに変わった。顔をぼかしたスポーツジムの自撮り写真をプロフィールに設定すると、メッセージが途切れることなく届いた。トレーニングウェアの上からでもわかる胸の膨らみだけを褒める若い男、昔の恋愛話を何度も繰り返す年上の男、最初の一行から下品な誘いを並べる男。どれも明菜の心をちっとも熱くせず、むしろ、こんな場所に身を置く自分が浅ましく思えて、指先でアプリを消そうとする夜が続いた。それでも、画面の通知が光るたびに、色白の胸元と引き締まった二の腕だけが切り取られた写真に群がる言葉を、まるで自分のことではないように眺めてしまう。

五日目の夜、夫はまた出張で、リビングには冷蔵庫の唸りだけが響いていた。食器を片づけた台所に立ち、手のひらに置いたスマートフォンを何気なく開いた明菜は、新しいメッセージの一覧を上から流し読んでいた。その中で、ひとつだけ異質な文面が目にとまる。六十歳、真鍋仁哉。名前の下に並ぶ言葉は、ほかの男たちと比べて妙に静かだった。「はじめまして。プロフィールのお写真、うちの近所のジムによく似ていて、思わず送ってしまいました」。たったそれだけの一行に、明菜の胸の奥で消えかけていた火種が、ほんの少し身じろぎをした。

明菜は返信をためらった。六十歳という年齢に、息子と呼んでしまうほどの若い男たちに囲まれて感じた居心地の悪さとは別の、妙な安心感があった。夫より年上の、もう落ち着いた大人なら、深夜の下品な言葉とは無縁だろう。それに、生活圏が近いというのなら、店で偶然顔を合わせてもおかしくない距離にいるわけで、むしろ現実の輪郭が見えるぶんだけ怖くなかった。そう自分に言い聞かせながら、「あの店の近くでいつも買い物をしています」と短く打ち込む。

すると、真鍋からはすぐに返信が届いた。「私も毎朝あのジムで歩いてから出勤しているんです。土曜のヨガ教室に一度だけ出ましたが、まったく体が硬くて」。その気さくな言葉に、明菜は思わず小さく笑った。乾いた唇の端が、台所の窓ガラスにうっすら映る。二人で同じジムの話をし、更衣室の匂いだの、スタジオの床の冷たさだのを挙げていくうちに、明菜は自分が久しぶりに男と、なんでもない会話をしていることに気づいた。夫とのメッセージは用件だけで、週末の献立すら返事がこないこともある。真鍋の文面はどれも短く、けれど必ずこちらの言葉を受けとめてから返ってくる。その呼吸のような間隔が、不安をゆっくりとほぐしていった。

何度目かのやりとりで、真鍋から「もしお時間があえば、昼の食事でもご一緒しませんか」という、まるで近所の知人を誘うような一文が届いた。「明るい時間なら、お互い安心でしょう」と添えられた言葉に、明菜は喉の奥がきゅうと狭くなるのを感じた。昼の明るい時間なら、危ない流れにはならないはず。夫より年上の、この落ち着いた男なら、喫茶店で二時間ほど話して終われる。心のどこかで何度もそう繰り返しながら、返信には「ぜひお会いしたいです」と打ち込む。送信ボタンを押したあと、歯磨き粉の清涼感が残る口の中で、心臓がとくんと小さく跳ねた。

真鍋からの返信はすぐに届いた。「それでは、駅から少し入った路地のイタリアンはどうでしょう。昼のコースが静かに食べられる店です」。店名と待ち合わせの日時が簡潔に並んでいる。明菜は受信した文字を三度読み返してから、ゆっくりと頷いた。夫はちょうどその日、泊まりの出張が入っていた。知らない男と二人で昼食をとる。それだけのことなのに、胸の奥がずっと泡立つように落ち着かず、寝室のカーテンを閉めて横になっても、会ったことのない真鍋の骨格を、自分の知っているどの男にも似せて想像してしまった。

約束の日が来た。朝から空は高く晴れていて、窓辺の観葉植物の葉が、秋の光をはらんで透きとおっている。明菜はクローゼットの扉を開け、しばらく服を眺めた。ニットカーディガンに小花柄のキャミソール、裾の広がるフレアロングスカート。どれも普段の買い物とは違う、女として見られるための装いで、肌を覆う面積は多いのに、かえって身体の線を意識させて、鏡に映る自分がひどく淫らに見えた。指先が衣擦れの音をたてるたびに、胸の奥がざわめく。下着は、いつもの補正下着ではなく、鼠色のレースのものを選んだ。カップに乳房を載せると、網目から淡い乳頭の色が押しあがって見える。太ももの付け根に指先で触れると、そこはもうしっとりと汗ばんでいた。

待ち合わせは、地方都市の繁華街から少し入った裏通りのイタリアンだった。明菜は約束の十五分前に店の前に着いた。石畳の路地に面した小さな店で、窓には蔦が絡まり、ランチの看板が時折吹く風に揺れている。昼前の街は静かで、自転車の鈴の音が遠くで鳴るたびに、明菜の肩が跳ねた。心臓は耳の裏まで届くほど速く、呼吸の浅さが鎖骨のあたりを上下させる。視線を落として、スカートの裾を何度もさわる。まだ来ない。……まだ来ないほうがいい。そう思いながらも、足の裏がじんと痺れるほどの緊張が、身体の中心へ湿りとなって下りていく。夫以外の男と待ち合わせる。それだけで、下着のクロッチはさっきよりずっと重くなっていた。

ふと、路地の向こうから一人の男が歩いてくるのが見えた。背が高く、がっしりした肩幅。手入れの行き届いた髪は白髪というより銀色に近いグレイヘアーで、深い皺の奥にある鳶色の瞳が、昼の光を受けて静かにこちらを探している。ジャケット姿のその男は、迷いのない足取りで明菜のほうへ歩いてくる。明菜は自分の色白の首元が、かあっと熱くなるのを感じた。息が詰まりそうになる。店の前で立ち止まった真鍋仁哉が、明菜の顔をまっすぐ見つめ、柔らかく細めた。その表情はメッセージの文面から想像していたよりも雄弁で、乾いた秋の空気の中で、彼の鳶色の瞳だけが奇妙にぬれて見えた。

その瞬間、明菜はあの夜、浴室で見た自分の裸を思い出していた。色白の乳房と、薄い陰毛の下でひそかに濡れていた女の部分。いま目の前に立つ男の銀色の髪が、あの鏡の曇りと重なって、身体の芯でちりちりと音を立てる。あの渇きを知っている人なのかもしれない。そう思った自分が、腹の底でふっと灯る。明菜はスカートの中で腿をひっそりと揃え、喉元まで上がってきた息を、音のないかたちでゆっくりと飲みこんだ。

第3章 昼下がりのスプマンテと、初対面の男に溶ける妻のつつしみ

第3章のシーン

第3章: 昼下がりのスプマンテと、初対面の男に溶ける妻のつつしみ

真鍋仁哉は歩み寄るなり、明菜の顔をまっすぐに覗き込んで、口元だけを小さく緩めた。

「君は素敵だ」

その声は低く、けれど乾いていて、昼の陽射しに慣れた耳へすんなりと入り込んできた。明菜は返す言葉を探すより先に、胸の奥で張り詰めていた何かがふっと解けていくのを感じた。緊張と恥ずかしさが混ざった熱が、薄いレースの下着の中心をまたじんわりと重く濡らしていく。黒のワイヤーが食い込む感覚だけが、どうしようもなく現実だった。

「明菜さん、お待ちしましたね」

真鍋はそう付け加えると、片手で扉を開けてくれた。店の中からは若い小麦粉の焦げる香りと、潰したトマトが煮詰まる甘い酸味が流れてくる。明菜は返事の代わりに小さく会釈して、冷たい取っ手に触れた。店内は昼の光が窓硝子をすり抜けて白く濁り、白いテーブルクロスの上に食器の影を落としている。案内されたのはその窓際の二人掛けだった。

真鍋は上着を脱ぐと、椅子の背に丁寧に掛けた。明菜の目の前で、彼の頭のグレイヘアーの短い髪が、窓からの光を受けて銀色に透ける。明菜は自分の指先を見た。色白の手は、ろうそくの火の熱でうっすら桜色に染まりはじめている。この白さと、あの銀色の対比が、妙に艶めかしく脳裏に焼きついて離れなかった。

「ここのランチは、前菜の盛り合わせがなかなか色っぽくてね。女性に喜ばれる店だと思うんですよ」

真鍋が微笑んだ。明菜はメニューを開くふりをしながら、男の顔を盗み見た。六十歳と言われなければ、つい四十代後半かと思う。いや、むしろ若い男にはない疲れの抜けた柔らかさがある。彼が口を開くたび、目のわきに細くて深い皺が走り、それが不思議な色気になっていた。

「あ、では私、パスタランチをお願いします」

自分でも声が上ずっているのがわかった。彼はメニューを閉じると、店員に軽く手を上げて注文を済ませた。明菜が頼んだのは、真鱈と浅利のスパゲッティ。真鍋は牛頬肉の煮込みを選んだ。

「昼からしっかり食べてもらえると、私も嬉しいです」

「今日は朝から、なにも食べてなくて」

「それはよかった。私もです。朝は珈琲だけということが多くてね」

会話は途切れることなく続いた。だが、明菜の意識はテーブルの下の自分の脚に向いていた。フレアロングスカートの布が、座った衝撃で腿にまとわりつく。ナイロンの薄いストッキング越しに、レースの下着が食い込んでいる場所が、先ほどからひどく温かい。立ち上がるたび、座るたび、その湿りの重みが脚の付け根を擦るのだ。自分では意識していないはずなのに、酒を想像しただけで下腹の奥がきゅうと締まってしまう。

前菜のプレートが運ばれてきたのは、それから間もなくだった。陶器の白い皿に、赤黄の野菜のマリネ、生ハム、スモークした魚、チーズの薄切りが彩りよく並ぶ。明菜は思わず口元をほころばせた。

「わっ、お酒に合いそうなものばかり」

その声は自分でも驚くほど弾んでいた。真鍋が目を細める。

「これからの予定はどうですか? よければちょっと飲みませんか?」

彼はワインリストを開き、手早く口元へ持っていく。指先が白いページの上をゆっくりと滑っていくのを、明菜はただ黙って見つめていた。

「昼から飲んでしまっても、ご迷惑じゃないですか」

「私が誘ったんです。君のその、わって声が出る顔を見られただけでも、飲み始めた甲斐があるというものです」

真鍋は片方の眉をわずかに上げた。いたずらっぽいその表情に、明菜はますます恥ずかしくなり、膝の上で指を組んだ。

「じゃあ、お任せします」

「では、スプマンテを。食事が進むように、辛口のものを選びましょう」

店員がワインクーラーに瓶を抱えて戻ってきた。淡い金色の液体が、明菜の脚の付け根の重みとは正反対に、軽やかにグラスへ注がれる。細い泡が立ち上り、頬のあたりで弾ける。明菜はグラスを持ち上げ、くいと一口含んだ。冷えた気泡が喉の奥をくすぐり、食道を細く滑り落ちていく。すぐに胃のあたりから温かいものが弾けて、肩の力が抜けた。

「おいしい」

「ね。この店のスプマンテは、最初の一杯目がよくできてる。飲んだ瞬間、空気が変わるでしょう」

真鍋は自分のグラスを明菜のそれに軽く当てた。ガラスが触れ合う澄んだ音が、店内のざわめきの上をすべっていく。明菜はその音を聞きながら、この時間がとんでもなく贅沢に感じられた。夫と食事をしていても、こんな音を意識したことはない。ガラスの薄い縁が、こんなに美しく響くことさえ知らなかった。

ボトルを二人で一本空けるころには、明菜の心の壁はだいぶ取り払われていた。料理はどれもやわらかく、スプマンテの酸味と合わさって、口の中が唾液で満たされていく。彼が話すのは、地方の工場で起きた笑い話や、取引先の老人が昔話を始めてしまった失敗談ばかりだ。真鍋は自分のことを「年寄」と称して笑うくせに、その瞳は若い獣のように光っていた。

「明菜さんは、ずいぶんとお若く見える。失礼ですが、私の息子と十しか変わりませんよ」

「もう四十五です。息子も東京で働き始めました」

「四十五の何がいけないの? 私は六十で、それでもこうして君と昼の酒を飲んでる」

明菜は笑った。笑ったあと、しばらくしてから、自分の口がほどけていくのを止められなかった。

「最近、主人が泊の出張ばかりで。息子が家を出てから、夜が長くて……こういう時間から遠ざかっていたから、今日はなんだか夢みたいです」

「ご自宅には、ひとりでいらっしゃるんですね」

「はい。犬も飼っていないし、話し相手は録画した番組くらいで」

スプマンテの泡が、明菜の喉をくぐるたびに、身体の内側からやわらかく溶かされていく。閉じ込めていた言葉が、腹の底から浮き上がってくる。夫との夜の営みがないこと。それを恥ずかしいと感じながらも、誰にも言えずにいたこと。更年期という言葉が頭をよぎるたび、女が終わってしまうような怖さに苛まれること。

「私はもう、誰にも必要とされてないのかもしれません」

明菜は、言ってから後悔した。だが、真鍋は茶化すでもなく、ただ相槌を打った。

「明菜さん、私は主婦の孤独というものを、そういう風に聞ける男でいたいね。君の声は、ちゃんと私に聞かせてくれて構わない」

彼の言葉には、妙な含みはなかった。ただ、その真剣な睫の向こう側に、男らしい執着の光が一瞬よぎったのを、明菜は見逃さなかった。下腹部の奥で、もう一度、別の痛みが疼く。テーブルの下で膝を軽くすり合わせた。布越しに、しっとりと湿った下着が陰部の入り口へ吸い付くような感覚がして、息を止めた。

アルコールのせいで、頬が上気して熱い。彼の指がグラスを弄るたび、節のぶっきらぼうな造形ばかりが目に入ってしまう。あの指が、もし自分の手首を掴んだら。もし、膝の上に置かれたら。明菜は考えないように努めて、残りの料理を口へ運んだ。

デザートの小さなレモンシャーベットが運ばれたころ、真鍋が静かにナプキンを畳んだ。

「飲み直しませんか?」

その響きは、店のどこかで割れた皿の代わりに、明菜の耳の奥で反響した。グラスを持ち上げたまま、明菜は真鍋の顔を見た。グレイヘアーの額の下、鳶色の瞳が、昼の白い光の中でやけに潤んでいた。

「はい」

二つ返事だった。声は甘く掠れ、自分でも思っていたより色を帯びていて、恥ずかしさのほうが先に込み上げてきた。

「よかった。では、ここを出て、すぐ近くで続きをと。まだ日は高いが、こういうのは早いうちがいいでしょう」

真鍋は微笑み、店員を呼び止めて会計を頼んだ。明菜は膝の上でこわばった指を解きながら、昼の光の中で二人分の影が重なるのを見つめていた。テーブルクロスの上に落ちた真鍋の手が、見えるようで見えない。心臓は胸の奥というより、もっと下、スカートの裏の湿った場所で打っていた。レースの薄い布は、もう何度も重ねられた熱と水気を吸って、明菜の花びらに張り付いていた。

店外へ出る彼の背中が、玻璃戸越しに銀色に光っている。明菜はその背を見ながら、真鍋の後を追った。外の空気が、火照った頬を冷たく撫でた。ふくらはぎの内側を、熱の残りが走って、最初の一歩を踏み出す足がふらついた。

飲み直しの場所を彼が選ぶ間も、明菜は会計を待つ間のホッと張った胸の内を、まだ誰にも見られないように隠していた。昼下がりの繁華街の、油の焦げる匂いと行き交う人影が、ゆっくりと色を落としていく。真鍋は会計を済ませると、明菜を振り返って、ただ静かに手を差し伸べた。明菜はその手の甲を見つめ、数秒の沈黙ののち、おそるおそる指を預けた。真鍋の体温が、じかに指先へ流れ込んでくる。彼の手は大きく、明菜の白い指を、まるで銀色の影ごと包むように握りしめた。

二人は連れ立って、午後の街へ歩き出した。歩くたびに、下着の重みが腰骨のあたりで揺れ、スカートの内側が黙って湿っていく。その重たさこそが、今の明菜を支えているようでもあった。

第4章 シティホテルの一室で鍵を回し、明菜の下着は初対面の雄の匂いでぐちゅぐちゅに濡れている

第4章: シティホテルの一室で鍵を回し、明菜の下着は初対面の雄の匂いでぐちゅぐちゅに濡れている

真鍋の掌が、明菜の指を指ごと包んだまま離れようとしない。ふたりの影が、午後の光を敷き詰めた歩道の上を重なってゆく。歩みに合わせて、フレアスカートの襞がゆらめき、レースの下着が湿り気を帯びた重さで腿の付け根へ吸いついた。前を歩く真鍋の横顔では、手入れの行き届いた短い髪が銀色に透けて、明菜自身の白い指と並べたくなるような眩しさを放っている。アルコールの残り火が胸の奥でくすぶっていて、身体ごと昼の空気へ溶けていくようだった。

「部屋で、もう少しだけ飲みましょう」

真鍋が前を向いたまま言う。その声は、街の騒ぎと擦れ合って、ひどく近い場所から明菜の耳へ届いた。

「コンビニで、何か買っていきましょうか」

明菜はそう返したつもりが、うまく言葉にならなかった。酢の物でも食べたように、喉の奥が淡く締まって、声が上ずる。スプマンテの泡がまだ身体の隅で弾けている。

真鍋は小さく笑い、角のコンビニで足を止めた。

「冷えたものと、赤を一本。あとは、君が食べたいと思うものを」

自動ドアが左右に割れて、店内の白い光が明菜の目を刺す。冷房の風が太腿の内側まで流れ込んできた。薄いストッキングの上から、濡れそぼったレースの布が急に冷えて、明菜は思わず足を止めた。

店内はビニールの擦れる音とレジの電子音だけが軽く響いている。真鍋は迷いなく酒の棚へ歩いていった。明菜は真鍋の背を見つめながら、飲み物ケースの前に立つ。ガラス越しに色とりどりの缶が並んでいて、そのひとつひとつが昼間の買い物というより、夜の準備のように見えた。

「酎ハイは、どんなのが好みです」

真鍋が振り向かずに尋ねる。

「あまり、甘くない方が……真鍋さんに、選んでいただいたもので」

明菜は答えてから、自分が真鍋に任せてばかりいることに気がついた。彼の前では、決めることさえどうでもよくなってしまう。いや、決めてもらうことで、脚の付け根の重みに蓋をするような心地があった。

真鍋は缶を二本選び、小さな瓶の赤ワインを手に取った。チーズの袋と燻製の小さなパックを、もう片方の手にぶら下げている。

「これで、酒の肴にはなるでしょう」

「まるで、遠足みたいですね」

明菜がそう呟くと、真鍋は片方の眉を上げて、年相応の笑みを浮かべた。

「おや、君と遠足なら、私はもう少しはしゃいでしまうかもしれない」

会計を済ませて店を出ると、外の熱気が一気に肌を包み返した。真鍋の手が再び明菜の指を取る。温かくて、少し硬い指。ホテルの場所は、コンビニから二つ目の角を曲がった先だった。

ホテルの入り口は、昼の街並みに控えめな黒い庇を差し出していた。明菜は真鍋の腕に近づくように歩みを狭める。昼間の時間帯に男と連れ立ってホテルへ向かうのは、生まれて初めてのことだ。回転扉の向こうには、絨毯が敷き詰められたロビーが見えていた。

「昼からホテルなんて、初めてで……」

明菜の声は、ほとんど息だった。足先が石段の上で迷っている。真鍋の手が、そっと背中に触れた。その一瞬、汗と整髪料と煙草のつかない男の匂いが混ざって、鼻の奥まで届いた。明菜の下着の中で、閉じていた花弁が開くように、熱い液体がとろとろと溢れはじめる。ぐしゅ、と音を立てたような気がして、彼に聞こえていないかと耳を澄ました。

「誰に見られるでもないさ。私は君を、静かな部屋で飲ませてあげたいだけだよ」

ロビーは冷たく澄んでいて、明菜の火照った肌には少し痛いほどだった。フロントで真鍋が手早く手続きを済ませる間、明菜は二歩うしろに立ったまま、自分の靴の爪先を見下ろしていた。しっとりと湿った下着が歩くたびに花芯を擦り、その感触が恥ずかしいのに、剥がれたくないと心のどこかが思っている。

「お待たせしました。行きましょう」

真鍋が戻ってきて、カードキーを片手に、エレベーターのボタンを押した。二人分の影が扉の前でひとつに溶ける。扉が開くと、香り立つような静けさがそこにあった。

エレベーターの中は、外の暑気から切り取られた別世界だった。明菜は壁ぎわに立って、真鍋と半歩の距離を保とうとする。だが、箱が動き出すと同時に、真鍋の広い肩がわずかに傾いて、明菜の二の腕に触れた。ジャケットの生地越しに伝わってくる体温と、滲むような雄の匂い。整髪料に混じる、男の頭皮から立ちのぼる厚い香り。明菜は息を詰めた。下着というより、内ももを伝うものまであって、腰がうまく支えられなくなる。鏡に映る自分を見るのが怖かった。もしそこで、真鍋と目があったら、身体の内側が全部見え透いてしまいそうで。

上階のボタンが点灯して、扉が開いた。真鍋は何も言わずに明菜の腰に手を回して導く。廊下は深い絨毯で、足音が吸い込まれていく。明菜の心臓は、スカートの下まで響いていた。指でない場所が脈打っている。

部屋の前まで来ると、真鍋は明菜の手にカードキーを握らせた。

「開けてごらんなさい」

その声が、妙に低くて、明菜の背中を指で撫でているようだった。カードを差し込んで、鍵が回る電子音。小さなランプが緑に灯り、真鍋がドアノブを回す。室内の空気は、洗い立てのシーツの匂いと、閉ざされたままの午後の熱を孕んでいた。遮光カーテンが隙間なく下りていて、光は壁際からうっすらと漏れるばかりである。明菜は一歩踏み入れた場所で、現実が薄まっていくのを感じた。

ドアが後ろで閉まる音。ロックが自動で落ちる。その音は、日常を外側から閉め出すための合図のように思えた。

「ようやく、ふたりきりになれたね」

真鍋の声が、思ったより近い。明菜が振り返る間もなく、真鍋の両手が明菜の二の腕を軽く掴んで、壁まで半歩だけ後退させた。背中が壁紙のざらつきに触れる。鼻の先がぶつかる近さで、真鍋のグレイヘアーの銀の混ざり方が見えた。彼の瞳が、薄暗がりの中で獣の温度を宿している。

「真鍋さん……」

何かを言おうとしたが、言葉になる前に唇を塞がれた。最初は、試すように。次に、確かめるように。熱い舌が明菜の唇を割り、ぬるりと口腔へ滑り込んでくる。唾の温度と微かなワインの余韻が混ざり、明菜は膝から力が抜けていった。真鍋の舌が上顎をなぞるたびに、下腹の奥が痙攣して、蕾がぷっくりと膨らんでくる。自分が誰かに抱かれる、という実感より先に、女の内側が嬉しそうに疼いているのがわかって、涙が滲みそうになった。

明菜は、自分から真鍋の背中へ腕を回した。ジャケットの下の広い背中が、思いのほか固くて熱い。外国映画の中の女優になったようだ、と心のどこかで思いながら、明菜は真鍋の舌を追いかけた。鼻から抜ける自分の声が、ちいさく「ん、ん」と鳴いて、それがまた身体を溶かしていく。

長いキスの合間に、真鍋が唇をかすかに離して囁いた。

「今日は、本当に美しい一日になった。明菜さん、あなたが私の目にどう映っているか、わかりますか」

明菜は答えなかった。答える代わりに、真鍋の首へ縋りつくように指を回した。スカートの布の下で、レースの下着がぬかるみに沈むようだった。ぐちゅぐちゅ、と、自分でも聞き取れる粘ついた音が、太腿の間から立ちのぼる。真鍋の膝が、さりげなく明菜の足の間に割り込んできて、腿を押し開いた。内ももにたまった熱が、行き場をなくしてぴたりと肌に塗りつく。

「こんなにも、私を待っていてくれたのかい」

真鍋の囁きは、まるで明菜の湿りを知り尽くしたように優しい。明菜は顔を上げられない。視線の先に、彼の首元の白い肌と、シャツの襟から覗く銀色の胸毛がかすんで見えた。この胸毛の白さと、自分の脚の白さ。頭の奥で、昼の光の中にあった色の対比がもう一度まぶしく燃えた。

目を閉じると、真鍋の舌が再び明菜の唇を覆う。下着から溢れたものが、ストッキングの内側をゆっくり伝って、内ももの白い肌へ線を引いていく。明菜は誰かに見られているわけでもないのに、全身を隠したくて、それでいてもっと深くまで触れられたい気持ちで、真鍋の背中を掻き抱いた。

「私、ずっと……こんなの、望んでいたのかもしれない」

明菜の声は、唇の端から洩れた。自分で言葉にした途端、恐怖と安堵が同時に胸を貫く。真鍋はそれには答えず、明菜の耳の裏へ唇を滑らせ、小さく吸った。ぴちゃ、と、粘つく音が耳のすぐ内側で響いた。

彼の舌先が、耳のふちをなぞって、耳孔をくすぐる。身体中の産毛が逆立つ。スカートの下では、もうレースが役目を果たさないほど濡れていて、明菜は立っていられず、真鍋の身体へ寄りかかった。

「真鍋さん、ああ、」

そこから先は、ただ鼻にかかった吐息が洩れるばかりだった。昼の酒の残滓と、男の匂いと、引きずられた部屋の静けさ。すべてが混ざって、明菜という女を液状にしていく。壁に開いた明菜の手が、無意味に壁紙を引っかいた。部屋の中の静けさと、自分の中のぐちゅぐちゅという水音だけが、ひどく鮮明に耳へ届いた。

第5章 「シャワーは汗をかいたあとに浴びるものですよ」、シーツに開いた太腿と初めての巨根

第5章: 「シャワーは汗をかいたあとに浴びるものですよ」、シーツに開いた太腿と初めての巨根

真鍋の膝が、まだ明菜の股間をゆっくりと押し上げていた。ぐちゅ、と濡れた下着が肉の襞へ吸い付く音が、壁に背を預けた明菜の耳の奥で何度も反響する。昼のスプマンテがまだ腹の底で泡立ち、全身の皮膚が薄い膜を張ったように敏感になっていた。ネックレスの汗が鎖骨のくぼみで光っている。真鍋の唇は耳の後ろから首筋へ滑り落ち、彼女の汗をそっと舐め取った。舌の熱さと唾液の冷めやすさが、色白の肌をふるりと粟立たせる。

明菜は真鍋の胸に額を押しつけたまま、消え入りそうな声で言った。

「シャワーを……先に、浴びさせてください」

自分でも何を口にしているのか、半分も判っていなかった。けれど、このぐちゅぐちゅに濡れた下着を脱いでしまいたいという本能だけが、喉を突いて出てきたのだ。

真鍋は少しだけ身体を離すと、うなだれた明菜の耳元へ口を寄せた。

「シャワーは汗をかいたあとに浴びるものですよ。今から、汗かきましょうね、明菜さん」

その声は静かなのに、明菜の腹の芯へ石を落としたように響いた。彼の指が明菜の手首を掴み、壁から引き剥がす。フレアスカートの裾が脚に絡み、歩くたびに濡れた蕾が空気に触れてひくりと疼いた。ベッドまでの数歩が、やけに遠い。

明菜は押されるようにして白いシーツの上へ倒れ込んだ。天井の薄明かりがひどく眩しくて、まぶたの裏まで焼けそうだった。真鍋は片膝をベッドに乗せ、覆いかぶさるようにして明菜の顔を覗き込む。グレイヘアーの短い前髪が、汗でうっすら濡れて額に貼りつき、その下の鳶色の瞳が近すぎるほど光っていた。

「逃げなくていいからね。大丈夫、私は急がないよ」

彼の手が明菜のニットカーディガンの前を寛げていく。ボタンが外れる音さえ、やけに明瞭に耳の中で鳴った。小花柄のキャミソールが露わになり、豊満な乳房の膨らみが薄い布の下で押し上げられて、乳溝の谷間に汗が溜まっているのが空気に触れて冷たかった。

真鍋はそのままキャミソールの上から胸の形をなぞるように掌を押し当てた。指が乳房の下から持ち上げるように揉みしだくと、布越しに乳首が硬く立ち上がるのが分かる。彼の親指が乳首の頂を軽く押しつぶすたび、明菜の腰が浮いて、くちゅ、と下着の中でまた淫らな音がした。その音を聞くたび、酒の酔いとは別の熱が下腹から背筋を駆け上がっていく。

「ん……っ」

小さく鼻から抜ける声が、自分のものとは思えないほど甘い。

真鍋はキャミソールの肩紐を指でずり下げ、鎖骨から胸元へ唇を落とした。熱い舌が汗の玉を転がし、白い肌の上をざらりと蠢く。胸の膨らみを包むレースのカップの上から乳首を食むように吸われると、明菜の指はシーツを握りしめた。湿った布が乳輪に貼りつき、彼の唾液と自分の汗が混ざって、胸の奥まで沁みていくようだった。

「ああ……ふわ、熱い……」

真鍋の口がもう片方の胸へ移動し、カップを押し上げて露わになった乳頭に直接舌を這わせる。ちゅる、ちゅく、と透明な音が部屋の空気を濡らした。乳首を強く吸い上げられるたび、明菜の膣の奥がきゅうと締まり、とろりと愛液が下着を越えて太腿へ流れた。彼女の片手が真鍋の後頭部を探り、銀色の短い髪を無意識に掴んで引き寄せていた。

「あっ、や……胸ばかり、やだぁ……そんなに吸わないで」

拒絶の言葉が、声の芯まで蕩けている。真鍋は顔を上げると、唾液で光る唇を明菜のくちびるに重ねた。下唇を柔く食み、舌を差し込み、明菜の口腔を甘く蹂躙する。互いの吐息が混ざり合い、明菜の全身から力が抜けていった。酒の甘みと、男の唾液の苦み。どちらがどちらか分からなくなるほど、深く飲み下すような口付けだった。

彼の手が明菜のスカートの裾を掴み、一気にたくし上げる。むき出しになった太腿の内側に、部屋の冷気が滑り込んで、明菜は思わず脚を閉じようとした。だが真鍋の手がその膝を押さえ、ゆっくりと左右へ開いていく。

「明菜さんの身体は、本当に白くて綺麗だ。この腿のあいだの色が、特に……」

彼は目を細め、白い太腿の付け根を指でそっと撫でた。レースの下着は、愛液と汗でぐっしょりと濡れ、陰唇の形をくっきりと浮かべている。布地を指でなぞると、くちゅくちゅと水音がして、明菜は羞恥に顔を横へ向けた。

「もう……見ないで……お願いだから……」

真鍋は答えず、下着の布の上から割れ目に沿って中指を滑らせた。沸き立つ粘液が布の網目を通して指へ滲み、彼の指先を濡らしていく。下着の中心は熱く、触れただけで陰唇が官能の芽を膨らませて蠢くのが伝わる。布の上から陰核の頭をそっと押されると、明菜の全身がびくんと跳ねた。

「ひ……ぁ、あっ……!」

視界の縁が白くちらつく。真鍋の指が、下着の股布を横へずらし、露になった花弁をゆっくりと割り開く。空気に触れた内壁が、ひくひくと泡立つように愛液を溢れさせた。

「こんなに濡れさせて……さっきまでお酒を飲んでいただけなのに、明菜さんは本当に敏感なんですね」

羞恥で耳まで染めながら、明菜は声を殺そうとした。だが、真鍋が顔を股間に近づけ、生温い吐息が陰唇へ吹きかかった瞬間、腰が勝手に持ち上がった。彼の両手が明菜の太腿を抱え込むように支え、口吻が濡れ光る花弁へ押し当てられる。広い舌が割れ目の下から上へ、ゆっくりと舐め上げた。

「あっ……ああぁ……!」

女の肉の音が、じゅる、と粘り強く響く。真鍋の舌先が膣の入口を円を描くように探り、ヌルついた愛液を啜り上げた。彼の口の中で、明菜の味がじっくりと確かめられている。ちゅぱ、こぷこぷ、と吸う音がするたび、内臓の一番奥まで舐められているような錯覚に陥った。

「明菜さんのここは少女みたいだね。薄い陰毛がふわふわしてて、中はこんなにとろとろなのに、見た目だけは無垢なように見えるよ」

真鍋の低い声が、濡れた肉の上から直接伝わってくる。明菜は耳を塞ぎたかったが、手が動かない。その代わりに、膣口を彼の舌で押し開かれた瞬間、お腹の奥から込み上げてくるものに抗えなくなった。

「ひ……ふぁ、あ、あぁっ!」

クリトリスを唇で吸い上げられ、舌先で転がされる。硬く勃ち上がった愛芽が、真鍋の口腔内でぬらぬらと光る。吸う力が強まるたび、膣の肉がぎゅるると収縮して、愛液が真鍋の顎を伝い落ちた。明菜の腰は浮いて、彼の顔へ下半身を押しつけてしまう。自分の痴態を見る余裕もなかった。

「あ、待っ……なんか、来る……来るぅ……!」

腟内が痙攣を始め、太腿がびくんびくんと震えた。真鍋の舌が膣の入口からクリトリスまでを一気に舐め上げ、その頂を強く吸い絞った瞬間、明菜は背を弓なりに反らして達した。

「くぅ……あ、あああっ……!」

目の奥で火花が散り、脚の先から頭の天辺までが溶けていく。久しぶりに男の口でイかされた身体は、自分が思っていた以上に飢えていた。シーツに沈んだ背中が汗で湿り、胸が波打ち、涎が口元から溢れる。ゆっくりと呼吸を整えながら、明菜は真鍋の頭に手を置いた。

「もう……参ってしまいます……私ばかり、こんな……」

荒い息の合間に、ようやく言葉を紡ぐ。真鍋は口元を拭いながら上体を起こした。シャツの前を見ると、スラックスの股間が異様なほど膨れている。布地が縫い目を引き攣れるほどに張り、そこだけ熱を持っているのが暗い部屋でもはっきり分かった。目が吸い寄せられる。

明菜の心臓が早鐘を打った。痺れる余韻の中でも、あの膨らみの大きさだけは、ゆうに目を見開かせた。夫のものとは比べ物にならない。大学時代に経験した彼氏でさえ、あんな盛り上がりをしていただろうか。いや、していない。記憶のどんな男だって、あれほどではない。

「触っても、いいですか……?」

声の震えを抑えられなかった。真鍋は頷く代わりに、明菜の手を取って自分の股間へ導いた。指先がズボンの布に触れた刹那、その下の熱と硬さが掌にまで飛び込んできて、明菜は息を呑んだ。布越しでも、太くて長い肉の幹が、脈を打っているのが分かる。

「まさか……大きすぎます……」

明菜は恐る恐るベルトに手をかけ、引き抜いた。バックルが外れる音が、沈黙を裂いた。スラックスの前を寛げ、ジッパーを下ろすと、下着の布から今にも弾け出しそうな怒張がのぞいた。ボクサーパンツの黒い布地を押し上げ、先端から滲んだ液が小さな染みを作っている。彼女の指がそれに触れると、布越しに亀頭の形がくっきり浮き上がった。

明菜はベッドの上で膝をつき、真鍋の腰に手を添えた。下着のゴムをゆっくりとずり下ろす。解放された熱塊に、むわっとした獣臭が立ち上って、鼻の奥を刺激した。洗い清潔にされているのに、牡の匂いが重く濃く、明菜の頭をくらくらさせる。目の前に現れたのは、20センチはあろうかという反り返った男根だった。

「すごい……」

思わず、声が漏れた。

竿の形は奇妙なほどに雄々しく、根元から先端まで怒った血管が浮き立ち、亀頭はスモモのように大きく赤濡れていた。先走りの汁が尿道口からとろりと溢れ、竿を一筋流れ落ちる。昼のスプマンテの泡など比べ物にならないほど、生々しい液体の輝きだった。洗っても消えない雄の匂いが、明菜の鼻腔を満たし、下腹を痺れさせる。

明菜は喉を鳴らして唾液を飲み込むと、両手でそっと男根を支えた。掌の中で、それがびくんと跳ね、幹の熱がじんと手のひらに焼きつく。指を回し、先端から根元までゆっくりと扱くと、真鍋の息が少し乱れた。

「そんなに握ったら……」

真鍋の声が掠れた。明菜は両手で支えたまま、首を傾けて根元に近い幹へ舌を這わせる。塩辛さと苦み、それから少し土のような匂いが舌に絡んだ。長い竿を舐め上げ、膨れた亀頭の縁まで到達する。彼女は唇を大きく開き、その頂を口に含もうとした。しかし、亀頭の半分まで入れたところで口蓋が圧迫され、これ以上は開かない。

「んぐ……ちゅ……れろ……」

酸欠になりそうになりながら、唇で亀頭の裏筋を強く吸った。ちゅぱ、じゅる、と卑猥な水音が口内で弾ける。だが、どうしても20センチ近い物を飲み込むには、明菜の口はあまりに小さく、顎が震え始めた。彼女は仕方なく口を離し、亀頭の先端にある尿道口へ舌先を当てて、こぷこぷと溢れ出る先走りを掬い取った。

「ごめんなさい……私、こんな大きなの……お口に入らない」

明菜は目を潤ませながら、唾液で光る唇で謝った。彼の巨根は彼女の唾液と先走りでどろどろに濡れ、手の中でまだ硬さを増している。真鍋は優しい声で微笑んだ。

「私のほうこそ、驚かせてしまって、ごめんね。明菜さんが悪いんじゃないよ」

その声に、明菜の腹の奥がまた甘く痺れた。今、この男に貫かれたい。浅ましいまでに、その一つだけが全身を支配していく。唇から零れた唾液が鎖骨へ伝い、胸の谷間へ落ちていった。彼女のあそこは、またクンニで達したばかりだというのに、溢れるほどの愛液を溜め、膝を閉じるたびにヌルヌルと音を立てた。

真鍋は、明菜の口元からペニスをゆっくりと引き離し、彼女の汗ばんだ額に手をやった。

「時間をかければ、いつか君のここにも馴染むよ。だから今は……君の身体を、こっちで受け止めたくて仕方ない」

明菜は熱い息を吐きながら、ただ一度、小さく頷いた。巨大な肉茎を目前にして、女の部分がきゅうと収縮する。今夜の行為の先にあるものを思うと、全身が歓喜と恐怖で震えた。窓の外では、夕暮れが青から紫へ変わり始め、部屋の空気を一段と重く染めていた。汗と愛液と牡の匂いが混ざり合う中で、明菜の指先はまだ真鍋の竿を握ったままだった。

第6章 気絶するほど咥え込んだ初めての巨根、ノーパンのフレアスカートで寿司屋へ

第6章のシーン

第6章: 気絶するほど咥え込んだ初めての巨根、ノーパンのフレアスカートで寿司屋へ

真鍋の手が明菜の手首から男根を離し、彼女の両肩をシーツへ押し沈めた。沈む背中とは裏腹に、腰だけが男を求めて浮き上がる。明菜は自分から両脚を開き、まだ痺れの残る内腿を真鍋の腰骨で押し広げられると、喉の奥がひゅうと鳴った。汗ばんだ乳房が呼吸のたびに重々しく波打ち、昼のスプマンテが胃の底でまだ温い火種のように揺れている。

真鍋は片手で自分の肉茎を支え、濡れそぼった明菜の入口へ大きな亀頭を押し当てた。先端と女陰のぬめりが触れ合う瞬間、くちゅり、と重く粘る音が部屋の空気を裂いた。その音だけで、明菜の膣の奥がひどく収縮して、溢れた愛液が尾てい骨の下まで流れていく。

「明菜さん、私のこれを、ちゃんと見て。君の身体が、どこまで受け入れるのか」

真鍋の声は低く、けれどひどく澄んでいた。明菜は涙の膜越しに視線を落とし、自分の開かれた茂みに押し当てられる男根の大きさを目の当たりにする。色白の肌に映える真鍋のグレイヘアーが、暗い部屋の中で銀の輪郭を浮かべ、あの昼の光の中で見た色の対比が、また腹の底を焦がした。

「あ……っ、真鍋さん、そんな……私、こわい……」

声は震え、言葉の端が涙に溶けた。真鍋は答えず、腰をゆっくりと押し進めた。亀頭が割れ目をこじ開け、にゅるり、と怒った肉が明菜の粘膜を割って入り込んでくる。入口を越えた瞬間、明菜の視界が白く弾けた。子宮の入り口へ達するまで、まだ距離があるのに、内側が勝手に千切れそうな悦びで痙攣した。

「ひぁ……あああっ! 来てる、もう来てる……っ!」

ずぶり、ずぶずぶ、と真鍋の腰が沈むたび、明菜の中は未知の圧迫感にひりついた。男根が太い茎を押し広げながら進むにつれ、彼女の内壁は異物を包み込もうと逆に絡みついていく。子宮口を亀頭で押し上げられた刹那、明菜は背を弓なりに反らして、高い悲鳴のまま一度目の深い絶頂へ落とされた。

「あ……ぁあ……っ! 死ぬ、死んじゃう……!」

自分の声が遠い。脚の先が溶けてなくなっていく。真鍋は動きを止めず、明菜の痙攣が収まるのを待つように、それでいて容赦なく、内壁を擦り上げる角度を探るように、ゆっくりと腰を上下させ始めた。ぬちゃっ、じゅぷり、と汁の鳴る音が、明菜の耳を犯す。気を失うまでの快楽ではなく、失っている最中にもなお追い打ちをかける快楽だった。

「明菜さんの奥は、とろとろで温かい。私を、食いしばっている」

真鍋の声が、明菜の肉を通して直接腹の中へ響いた。腰を突き上げられるたび、胎の一番奥から甘い汁が噴き上がり、二人の繋ぎ目を白く濁らせた。明菜はもう何度目の絶頂かも数えられず、ただ声だけが獣の鳴き声になって漏れつづけた。

「ひぅ……あ、きもち、い……きもちいぃの……奥まで、あたって……!」

明菜の片手が真鍋の背中へ回り、銀色の混じる胸毛を掴んだ。汗に濡れた彼の肌は滑らかで、男の匂いが鼻の裏へ絡みつく。その下で繰り返される抽送は、彼女を突き上げるたびに角度を変え、浅い場所と深い場所を交互に引っ掻いた。浅く抉られたかと思うと、次の瞬間には子宮を押し潰されるほどえぐられる。

「んん……っ、また、また来る……おかしくなる……!」

明菜の口から唾液が零れ、首を反らして痙攣した。膣内が真鍋の肉茎を絞り上げ、その締めつけに耐えるように彼の息が荒くなる。彼女はもう目を開けていられなかった。ただ、突き上げられるたびに背中の下のシーツがぐしょぐしょに濡れていくのを感じる。汗と愛液と、男の先走り。すべてが混ざった臭いが、この部屋の空気そのものを獣の檻のように変えていた。

やがて明菜の意識は、深い水底へ沈むように遠ざかった。

気づいた時、明菜は両脚を開いたまま、白いシーツの上に放置されていた。腿の内側まで精液と愛液が乾いて白く膜を作り、陰部はひりつくほど腫れぼったい。窓の外はすでに真っ暗で、カーテンの隙間から夜の街灯りが細く差し込んでいた。部屋の中には、汗の饐えた匂いと、交わった後の生々しい牡の匂いが澱んでいる。

浴室から出てきた真鍋は、白いバスローブを肩に掛けたまま、ベッドの傍らに立っていた。

「目覚めたかい、お嬢さん」

彼の声には照れが混じっていて、それがまた明菜の心をくすぐった。真鍋は髪をタオルで拭きながら、窓の外の黒い空を一瞥した。

「あんまり明菜さんが綺麗だから、つい年甲斐もなく熱くなってしまった。身体は、どこか痛まないかい」

明菜は首を横に振ろうとして、喉がひりつくのに気づいた。声が出ない。なんとか唇を動かすと、かすれた空気だけが漏れた。

「へいき……です。ただ、いつもより……身体が、熱くて」

真鍋は微笑むと、ベッドの縁に腰を下ろし、明菜の乱れた前髪を指で払った。

「汗を流そう。あんまり、ぬるいままでは風邪をひく。私が背中を洗ってあげるから」

彼は明菜の手を引き、彼女をベッドから起こした。足をつくと、膝が笑って立っていられない。真鍋の腕を借りながら浴室へ向かうと、湯気の立つ鏡と、白い陶器のバスタブが夜の光を浴びて光っていた。真鍋が明菜の背中を支え、彼女が浴槽の中に片足を入れた瞬間、熱い湯が腫れあがった花弁へ沁みて、明菜は小さく悲鳴を上げた。

「あ……っ、しみる……でも、気持ちいいです……」

真鍋は明菜の後ろから浴槽に浸かり、彼女の肩を抱いた。湯の中で、彼の手が明菜の乳の膨らみを包み、指先が乳首を転がす。少し慣れた指ではなく、いたわるような、けれど芯を残した動きだった。

「明菜さん、今夜はこのまま、ここに泊まっていけるかい」

彼の唇が、明菜の白い首筋へ落ちた。ちゅ、と吸われる音が浴室に反響する。明菜の肩が跳ね、湯が波打って縁をこぼれた。

「うん」

明菜は目を伏せて、それだけ答えた。声は素直に彼の胸へしみていった。

二人は長く抱き合い、湯の中で互いの唇を丹念に求め合った。真鍋の舌が明菜の上顎をなぞり、彼女の舌を吸い上げると、鼻から抜ける甘い声が浴室の空気を震わせた。身体を洗う手が、時折ねっとりと股間へ引き寄せられる。洗われるたびに、明菜は湯の中で何度も小さな波を立てて、自分の身体がまだ彼を受け入れたがっているのが分かった。

やがて湯から上がり、二人は脱衣所へ向かった。明菜がバスタオルで身体を拭いていると、真鍋は彼女の脱ぎ散らかした衣類を丁寧に畳んでいる。彼の手が、くしゃくしゃになった下着を持ち上げた。

「明菜さん、ベトベトした下着を着るのは嫌でしょう」

真鍋の声は静かで、けれど有無を言わせない響きがあった。

「今夜は、脱いで。それで、あのフレアのスカートを履いてごらん。君の足元を、慣れない風が気持ちよくさせてくれるよ」

明菜は胸の前でタオルを握りしめたまま、しばらく迷った。だが、腫れぼったい陰部はまだ彼を欲しがっていて、布などで覆われたくないと、身体の方が先に決めてしまっていた。彼女は何もつけずにキャミソールをそのまま被り、ニットカーディガンを肩に掛け、フレアロングスカートに足を通した。スカートの内側に生の空気が這い込み、剥き出しの陰部をふわりと撫でた。

「あ……風が、すぐそこまで」

明菜は足をすり合わせた。布が前後左右から素肌へまとわりつく。ノーパンというだけで、歩くたびにスカートの襞が内ふくらはぎを擦り、切ないほど意識をそこへ集めた。下りてきた夜の空気は、ホテルの廊下に出た瞬間、さらに輪郭を鋭くして彼女の蕾を撫で回した。

エレベーターを降り、ロビーを抜けると、街は生温い夜風に包まれていた。真鍋が明菜の手を引き、彼女は彼の腕にすがりついた。一歩踏み出すごとに、スカートの裾が揺れて、汗の残った太腿の間へ夜気が流れ込む。それは冷たいのか熱いのかも分からない、ただの風だった。

「寿司屋まで、ゆっくり歩きましょう」

真鍋の声が夜の街角へ溶けた。明菜は彼の腕へ身を寄せ、足の間で腫れぼったい肉厚の陰部が、歩くたびに空気と擦れ合って熱を失わないのを感じていた。歩道の石畳が白い足を夜の闇に浮かべ、その姿を街灯が淡く照らし出す。昼に出会ったばかりのこの男に抱かれ、女の場所をすっかり開かされて、今も何もつけずに歩いている。その事実が、明菜の芯へまた甘い疼きを刻み込んだ。

真鍋の腕を掴む手に、力がこもる。彼は何も言わず、空いた手で明菜の指を握り返した。ネオンと街灯が混ざる道で、二人の影は黒く長く、交尾の後の雌と雄のまま、寿司屋の白い暖簾へ吸い込まれていった。

第7章 刺し身と日本酒の向こうに滲む妻の不在、朝方まで裸で抱き合う初めての男

白い暖簾をくぐった瞬間、檜の香りと煮切り醤油の甘い蒸気が、夜の冷えた空気から明菜の鼻腔へ雪崩れ込んできた。カウンターの白木は柔らかな照明を吸い込み、木目の一筋一筋が蜜色に浮かんでいる。真鍋が通された角に近い席へ歩くあいだ、ノーパンのフレアスカートの裾が晒した内腿へ、店内の空気が冷たくまとわりつき、歩を進めるたびに、晒された肉と肉のあいだが、ほんの僅かずつ擦れては湿り気を帯びた疼きを呼び覚ますのだった。

「ここなら、隣を気にせず話せるでしょう」

真鍋は明菜の背にそっと手を置き、彼女をカウンターの奥側へ座らせた。木の座面が素肌の太腿にひやりと触れて、尾てい骨のあたりまで細かな震えが走る。隣に腰を下ろした真鍋からは、昼間の酒と、少し汗ばんだ肌の匂いが混ざって漂ってきた。あの、鼻の奥をくすぐるような、熟れた男の匂い。その匂いを胸いっぱいに吸うたび、スカートの中で剥き出しの陰部が、またとろりと重い滴を溢れさせ、秘めた花弁のひだの一本一本が、まるで蜜を求める花のようにひらひらと開きかける感覚があった。

「今夜は何にしましょう。刺し身の盛り合わせを頼んで、あとは握りを見繕ってもらいます」

「ええ……私、こういうお店に来ると、いつも何を頼めばいいのか迷ってしまって。お任せできる方が、かえって落ち着きます」

明菜の声は店のざわめきに紛れるほど細く、そのか細い声とは裏腹に、彼女の内腿は、木の座面に触れた部分からじわじわと熱を溜め、まるで座面の木目を愛液で染め上げてしまうのではないかと思えるほど、奥から滲むものが止まらなかった。真鍋は板前に目顔で注文を済ませると、酒のリストを開き、節の浮いた指で一か所を押さえた。

「熱燗と冷で、君はどちらにしますか」

「先ほどから身体が火照っているので……冷が、嬉しいです」

彼は片方の眉を上げ、冷の純米吟醸を一本頼んだ。とくりと冷えた酒が注がれ、硝子の縁が明菜の唇をくすぐる。一口含むと、喉を抜ける清涼な辛みが、胃の奥でまだ燻ぶる昼のスプマンテとぶつかり、新しい火を点けた。その火は食道を下るごとに熱を増し、やがて下腹の奥、つい先ほどまで彼の指と舌に蹂躙されていた場所で、ちりちりと燻る種火のようになった。

刺し身の盛り合わせが届く。白身の透き通る薄切り、赤い鮪の塊、ひかりものの銀色。大根の剣と紫蘇の葉が皿を彩る。明菜は鮪の一節を箸で摘み、口へ運んだ。舌の上でとろけた脂が、酒と混ざって、身体の内側を甘やかに溶かしていく。とろり、と、まるで舌の上がそのまま性器のように敏感になっている気がして、彼女はそっと唇を閉じた。喉の奥で、鮪の甘い脂と冷たい酒が混じり合い、それを嚥下するたび、身体の芯が熱くうずいた。

「ああ……舌の上で、ほどけていく……」

自然と声が漏れた。

「ここの刺し身は、産地がはっきりしているものだけを出してくれる。明菜さんのその顔が見たくて、連れてきました」

真鍋の声色が、ほんの少しだけ熱を帯びていた。明菜はうつむいた。白い指がカウンターの上で小さく絡み合い、その指先が、わずかに震えているのを、彼女自身が一番よく知っていた。その手を、彼はしばらく黙って見ていた。まるで、その指が紡ぐはずだった家庭の時間も、今や自分の前で解れていく糸であるかのように、静かに、熱く、見つめていた。

しばらく無言のまま、二人は酒を重ねた。カウンターの向こうで板前が魚を捌く音が、心地よい間隔で空気を裂く。少し酔いが回ったころ、明菜は自分から口を開いた。

「真鍋さんは……どうして、あのサイトに登録なさっていたんですか」

真鍋は杯を受け、酒を飲み干してから、静かに置いた。

「あれは、暇を持て余した男の遊び道具だと思ってください。でもね、明菜さんとこうして話せる相手に出会えた。それは、ほんの偶然の幸運でした」

彼の目が、カウンターの上で明菜の指を追いかけた。明菜が次の質問を言いかけると、真鍋は先に、まるで独り言のように続けた。

「私の妻は、五年ほど前に亡くなりました。五十五でした。それからずっと、この歳になるまで一人で暮らしています」

明菜の箸が止まった。隣に座るこの男の横顔から、急に硬質な何かが零れ落ちたのを感じた。その横顔は、先ほどまであれほど雄弁だった身体の熱を、ひっそりと内側に畳み込んで、ただ深く静かな孤独の輪郭を浮かび上がらせていた。彼の言葉が、夜の空気に溶けて消えるまでの短い沈黙の中で、明菜は、彼の六十歳という年齢と、自分の四十五歳という年齢のあいだに流れる時間の澱まで見つめてしまった気がした。

「ごめんなさい、私……気の利いたことが……」

「謝らないでください。妻の話をできるのは、むしろ嬉しいことです。誰かに訊いていただけるのも、久しくなかった」

真鍋はそう言って、明菜の空いた杯へ酒を注いだ。注がれるあいだも、明菜は彼の手の甲を見つめていた。酒の冷たさが、脚のあいだの熱とは逆に、喉を静かに流れていく。

「子どもが二人おります。息子と娘です。二人とも独立して、娘は嫁ぎ、息子は遠方で建築の仕事をしています。私ひとり、マンションで好き勝手に暮らしているというわけです」

「じゃあ、今日みたいにお昼からお酒を飲んでも、誰にも気兼ねはないんですね」

「ええ、叱ってくれる者もおりませんよ」

真鍋が笑う。深い皺が目の端に集まった。そのグレイヘアーの短い髪が、カウンターの上の照明を吸って銀色に光り、明菜の白い指先と並ぶと、妙に艶めかしい対照を描いた。その銀色の髪は、妻を送った後の時間そのもののように、静かで、手触りのよさそうな光沢をたたえていた。

酒の酔いが、明菜の腹の底から少しずつ温かいものを押し上げてくる。昼間の行為の余韻が、熱の塊となって陰部に沈んだまま、彼の声を聞くたびに激しく脈打った。椅子の上で太腿をすり合わせると、剥き出しの花弁が空気に触れて、喉の奥で息が詰まる。太腿と太腿のあいだで、彼女の蜜はもう、重力にしたがって座面を汚しているかもしれなかった。たった一人の男の声と、酒と、時折触れる視線だけで、身体がこれほどまでに蕩けていくという事実が、明菜にはひどく淫らで、けれど抗いがたく心地よかった。

真鍋は不意に、明菜の太腿へ手を伸ばした。店の明かりには気づかれないよう、カウンターの影を使った静かな仕草だった。彼の掌は、まず膝のすぐ上に触れた。温かくて広い手のひら。素肌の中太腿をゆっくりと這い登ってくる。その指の腹には、わずかに固い皮の感触があって、それがかえって彼女の皮膚を逆立たせた。何年も人に触れていない場所を、こうして年上の男に露骨に撫でられる。それが店のカウンターの影で行われているという背徳が、指先の動きへさらに神経を集中させた。

「真鍋さん……」

明菜が小さく名前を呼んだ。彼は答えず、指先を太腿の内側へ滑らせた。スカートの布を押し上げながら、少しずつ付け根へ近づく。酒のせいか、触れられた場所から過剰な熱が溢れ、彼の指の動く先から皮膚が粟立っていく。その指は、まるで彼女の肌の上に文字を書くように、ゆるやかに、しかし正確に、蜜の溢れ出す場所へ向かって移動してくるのだった。

「お店の中で……だめ、ここは……」

声を潜めて拒もうとしたが、太腿は彼の手を拒まない。むしろ、触れられることを待っていたように、明菜の腰がわずかに前に滑った。真鍋の中指が、ついに剥き出しの陰裂へ到達した。腫れぼったい肉厚の花弁が、彼の指を迎えるようにひくついている。彼の指が割れ目に沿って軽く撫で上げると、粘液の音が、ほんの少し店内の空気へ混ざった。くちゅり、という、耳を塞いでしまいたいほど生々しい水音。だが、その音は確かに自分の身体から発せられていて、明菜は奥歯を噛みしめながら、周囲の客の顔を盗み見た。

「明菜さん、もうこんなに……声を出すと、店の人に聞こえてしまいますよ」

真鍋の唇が、明菜の耳のすぐ傍に寄せられた。低い囁きが、直接、彼女の内耳を犯す。

「だめです、また我慢できなくなっちゃう……」

明菜の涙の膜が張った瞳が、真鍋を振り返る。視界が滲んで、彼のグレイヘアーだけが銀色に光った。彼の指は、陰核の上を何度も往復し、溢れた愛液で指全体を濡らしていた。花弁の奥へ入り込み、熱い内側を浅く掻くように動くたび、明菜の腰が跳ね、箸を取り落としそうになった。

「真鍋さん、も……本当に……私……もう……」

「帰りましょうか。君の顔が、私にはもう耐えられない」

真鍋はようやく指を抜くと、その指先を口元へ運んで、ほんの一瞬、舌で舐めた。その仕草を、明菜は目を見開いて見てしまった。彼女の顎が震えた。彼の薄い唇のあいだから覗いた舌先が、彼女の匂いを味わっている。その光景だけで、また新たな蜜が太腿を伝って落ちるのを感じた。

明菜は真鍋に支えられるようにしてカウンターの椅子を下りた。内腿を愛液が伝い、立つことさえ難しかった。会計を済ませた真鍋が、彼女の腰を抱いて暖簾をくぐる。外の夜気が、火照った身体を包み、スカートの下へ冷たい風を送り込んだ。歩くたび、剥き出しの陰部が空気と肌着一枚の布に擦れて、まだあの指の感触を思い出させる。ひたひたと、濡れた百合の花弁が揺れるような、あやうい感覚が下肢に満ちていた。

「部屋へ戻りましょう。もう、誰にも見られたくないほど、君は美しい顔をしている」

真鍋の声は、夜の静けさの中でやけに鮮明だった。明菜は腕を絡め、小走りにホテルへの道を進む。街灯の輪が二人の影を時に重ね、時に離した。進入ったホテルの扉が重く閉まると、ロビーの空気が冷たく明菜の膝裏を舐めた。

部屋の前で、真鍋は明菜の肩を抱き寄せた。カードキーを差し込む。ドアが閉まった瞬間、明菜は壁へ押し付けられ、熱い唇を塞がれた。昼より深いキス。舌が牙のように明菜の口腔を這い、酒の味と男の味を刷り込んでいく。明菜の膝が抜けた。

「真鍋さん……鏡……」

不意に明菜はそう呟いた。部屋の洗面所の大きな鏡に、二人の姿が映り込んでいた。全裸ではない。着衣のまま。だが、その鏡の中の自分は、昼間の自宅で一人立っていた女とは違う。男の腕に抱かれ、目を潤ませ、口を半開きにして熱に浮かされた顔をしていた。明菜は、昼間の自分が浴室の鏡で見た孤独な裸身を、瞬時に思い出した。あの時、自分で自分を慰めた指。今、その身体を別の男が抱いている。鏡の中の二人が、羞恥と陶酔の狭間で揺れる明菜の情を、そのまま映し出していた。

「鏡に映る君も、やはり綺麗だね。裸の君を見せてごらん。私はここで君のすべてを、一番きれいに覚えていたい」

真鍋の囁きに導かれ、明菜は自ら衣を脱ぎ始めた。ニットカーディガンが肩から滑り落ち、小花柄のキャミソールを引き上げると、豊満な乳房が鏡の前に白く照らされた。フレアスカートを足元へ落とすと、下着のない下半身が露わになり、愛液が内腿に銀の筋を描いているのが見えた。鏡の中の女が、自分の身体を見ている。それは、浴室の鏡の中の自分と、今ここにいる自分が、同じ女であるという、奇妙な確信を明菜に与えた。そして、今日一日で彼の指を受け入れつづけたその茂みの奥が、まだ形を保てずにひくついているのまで、鏡は隠さなかった。

真鍋が後ろから抱きしめ、明菜の乳房を両手で包んだ。鏡に映る彼の手は大きく、色白の肉が指のあいだから溢れている。グレイヘアーの口元が、明菜の首筋に吸いついた。彼の前は既に硬く、スカートのない腰に密着している。明菜は振り返らず、鏡の中の自分を見ながら、彼の手が下腹へ滑りていくのを待った。待っているあいだも、彼女の腰はかすかに揺れて、彼の掌に乳房の重みを押しつけていた。

真鍋が明菜を鏡の前から抱き上げ、ベッドへ運んだ。二人の身体がシーツの上で沈み、鏡はまだ二人の足先を映したままだった。真鍋は明菜の両脚を開かせ、覆いかぶさるようにして、その先端を濡れそぼった入口へあてがった。彼の腰が一気に沈むと、じゅぷり、と熱い肉が割れ入る音が、耳のすぐ下で聞こえた。今日初めての巨根とはいえ、すっかり男の形に慣れた明菜の肉襞は、彼を奥深くへ請け入れた。明菜の口が大きく開き、声にならない悲鳴が天井へ吸い込まれた。

「あ……あぁ……中、いっぱいに……くる……!」

彼の突き上げは、昼間より速い。腰を打ちつけるたび、ぬちゃ、じゅぷ、と汁の音が部屋に満ちる。明菜は真鍋の背へ爪を立て、まるでその男を逃がすまいとするかのように、太腿を腰へ絡めた。しかし、身体のどこかで、明日の朝には夫の待つ家へ帰らなければならないという思いが、薄い膜のように張りついていた。それは快楽の底に沈みながらも、時折ちくりと胸を刺す。夫の出張先のホテルの朝、息子のいない食卓。そんな現実の断片が、押し寄せる波の合間に顔を出しては消えた。

やがて、明菜の内側が強く収縮し、真鍋の背を抱く腕へ力が入った。彼女は声を絞り出すように言った。

「私……私……この日のこと、きっと忘れられない……」

真鍋の腕が彼女の腹を抱え、より深い位置で亀頭を子宮の入り口へ擦りつける。明菜は天井を見たまま、声を漏らし続けた。どれほどそうしていたのか、互いの呼吸が荒く重なるうちに、一度は身体が剥がれた。

ベッドの上で余韻に沈んでいた明菜だったが、真鍋は彼女を急かすようにして上体を起こさせ、その細い腰を抱えて洗面所の大きな鏡の前へ連れていった。まだ脚の震えが残る明菜の腕を、真鍋は後ろ手に鏡の縁へ這わせた。

「今度は、自分がどんな顔をしているか、見せてあげる」

真鍋の声が後ろから落ちてきて、明菜の背筋を這った。彼は彼女の両腕を鏡の縁へ固定し、腰だけを突き出す格好にさせた。真正面の鏡には、汗で額に髪を張りつかせ、乳房を揺らしながら四つん這いになった女の裸が映っている。それが自分だとわかった瞬間、明菜の顔がかっと火照り、目を逸らそうとした。

「逃げない。ほら、ここを見て」

真鍋が明菜の顎に指を添え、鏡の中の自分へ視線を固定させる。彼のもう片方の手が、ずるり、と彼女の陰裂を開き、溢れた愛液で白く泡立った襞を鏡に見せつけた。くちゅ、と指が入り込むたび、鏡の女の腰が痙攣する。明菜は羞恥で耳の奥まで熱くなりながらも、そこから目が離せなかった。昼間、浴室で自分を慰めた女と、今こうして他人の指を咥え込んでいる女は、まぎれもなく同じ肉体だった。くちゅ、くちゅ、と指が内襞を掻く音が、洗面所の壁に反響して、耳の奥へこびりつく。彼女の茂みに絡まった愛液が、鏡の前に立つ二人の足のあいだへ、銀色の糸を曳いて垂れるのさえ見えた。

真鍋が後ろから膝で明菜の両脚を押し広げ、濡れきった入口へ再び激しくあてがった。ずぶり、と音を立てて一気に奥まで貫かれた瞬間、鏡の中の明菜の口が大きく開き、悲痛なまでに淫らな声が部屋へ溢れた。彼の腰が抽送を始めるたび、ぬちゃ、ぐちゅり、と粘着質な水音が洗面所の壁に反響し、明菜の乳房がぶるぶると震えた。羞恥と快楽が同時に押し寄せ、涙が勝手に滲んで、鏡の景色がゆらゆらと滲んだ。

「自分から腰を動かしてごらん」

真鍋が明菜の腰を掴み、ゆっくりと打ちつける。鏡の中で、彼女の白い尻が真鍋の下腹へ向かって突き上げられる様子が、克明に見える。自分という存在が、日常から切り離された裸の雌のように映っている。それがたまらなく恥ずかしくて、それなのに、身体の芯からどろどろと際限なく溢れる悦びだけが、その羞恥を溶かしていった。

「あ……はぁん……いや、見ないで……鏡、見ないで……ああっ……」

泣きながら懇願しても、腰は真鍋の抽送を歓迎して自ら揺れた。日常へ戻るということが、鏡の向こうの遠い景色のようにぼやけていき、この場に流れる粘液の音と、男の低い息遣いだけが現実のすべてになっていった。

やがて二回目の波が来る。明菜は鏡の中の自分が崩れ落ちるのを見ながら、喉を反らせて、長く震える悲鳴を上げた。

それからどれほど意識が飛んでいたのか、真鍋が明菜を抱き起こし、今度は自分がベッドに仰向けになると、彼女の手を引いてその腹の上へ導いた。明菜は何を求められているのか、曖昧な頭で理解した。

「三度目は、君が上に乗って」

真鍋が低く囁く。明菜ははじめ、脚が震えてうまく動けず、彼の胸に手を突いて肩で息を整えた。だが、自分の指が触れた真鍋の肉体はひどく熱く、その下にある怒張は、明菜の太腿の間にぬくぬくと脈打っていた。彼女は恐る恐る腰を浮かせ、その先端を自分の入口へあてがう。ぬる、と触れた先が、まだ溢れている愛液で滑った。

「あ……入り、ます……」

自分からゆっくりと腰を落としていく。半分ほど飲み込んだところで、内側の壁が急に狭くなり、ぴり、と痛みが走った。それでも、先ほどの二度の交合で拓かれた肉は、時間をかけて少しずつ彼の形を覚えていく。明菜は自分の手で真鍋の胸を押さえ、膝を立て、そろそろと抽送を始めた。初めての、自分からの動き。下から突き上げられるばかりだった自分が、今度は腰を回し、胎の奥へ自分の重みを沈めていく。

「そう……、上手だよ。君は、本当に……」

真鍋の声を聞きながら、明菜は泣き出したいほどの充足感を覚えていた。夫の前では見せたことのない、欲望のままに動く女を、この男は下から見上げている。日常では決して触れられることのない部分が、いま剥き出しになっている。明日帰る家のこと、夫の顔、息子のこと、そうしたすべてが頭をよぎるたび、かえって腰を打ちつける動きが深くなった。現実へ戻る思考を、肉の快楽で埋め尽くしたかった。

くちゅ、ぬちゅ、ぴちゃぴちゃ、と自分で動くたびに結合部から卑猥な水音が溢れた。子宮の奥へ、ずろずろと亀頭が抉るように入り込むたび、喉の奥から途切れ途切れの嬌声が漏れる。真鍋の手が明菜の腰を支え、彼女の動きを助けるように揺らした。明菜の胎の奥が、巨大な肉茎を絞りつけるように、きゅうきゅうと蠕動していた。

「あぁ……私、私、動いてる……いっちゃう……」

自分で自分を高みへ導いていく、そのままに、明菜の視界が白く灼けるほどの絶頂が全身を貫いた。彼女の腰が数回大きく痙攣したのち、真鍋の胸へ崩れ落ちる。彼の心臓の音と呼吸だけが、闇の奥でやけに大きく聞こえた。

窓の外が白み始めたころ、明菜は真鍋の腕の中で、ぼんやりと天井を見ていた。男の胸毛は白みを帯び、明菜の色白の肌と重なっていた。二人の汗と体液の匂いが、シーツから夜通し立ち上っている。指を動かすだけで、身体のあちこちが低く疼いた。昼間に出会い、夕方に抱かれ、夜に明かして、今、朝を迎えている。この事実が、明菜の胸へ静かに沈んだ。

真鍋も目覚めていた。彼は明菜の額に唇を乗せ、それから軽く唇を触れた。

「もうすぐ、君を返さなければ」

その一言に、明菜の胸がきしんだ。彼女は何も言えず、ただ彼の胸に頬を埋めた。やがて身体を起こし、脱ぎ散らかした服を拾った。スカートの下は、まだ何も着けたくない気持ちと、現実へ戻るために着けねばという思いがせめぎ合った。結局、彼女は脱いだままの下着を手に取り、バスルームで身支度を整えた。

ホテルを出ると、朝の空気が冷たかった。明菜は真鍋と並んで駅へ歩いた。昨日の夜風より乾いていて、スカートの下へ入り込む風が妙に鋭い。駅の改札で、真鍋は明菜へ軽くキスをした。唇が、昨夜の余韻を残して離れていった。

明菜はホームから電車に乗った。車両の空席に腰を下ろすと、窓の外を色あせた朝の街並みが過ぎていく。脚を閉じても、太腿の内側には彼の精液と自分の愛液がこびりついた感触がまだ残っていた。洗ってはいるが、皮膚の下にしみ込んだ火種のような悦びが消えない。夫の待つ家へ帰る。日常がそこに待っている。それでも、スカートの下を行き交う風が、昨夜の男の指を思い出させて、彼女の胎の奥を小さく震わせた。少女のように恋をしている自分と、妻として帰る自分。その二つの間で、明菜の心はまだ、ぐずぐずと熱をたたえたままだった。

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読み終えたあとの余韻に。

OVA 夏妻 #2 を FANZA で見る →
登場人物
  • 松田明菜 まつだ あきな
    女性 ・ 45

    外見: 長い黒髪を後ろで一つに結んだ上品な髪型、穏やかな茶色の瞳、豊満な胸と若々しい腰のラインを保つ色白の身体。服装: ニットカーディガン、小花柄キャミソール、フレアロングスカート。子育て終了の開放感とセックスレスの渇きを抱き、羞恥と陶酔の間を行き来する。上品なです体で話すが、快楽に溺れると語尾が崩れ、甘くかすれた声で鳴く。一人称は「私」、真鍋を「真鍋さん」と呼ぶ。語尾は「〜です」「〜ます」。動揺すると「ごめんなさい」「だめです」と小さく繰り返し、本気の快感では「きもちいぃぃ」と濁った悲鳴に変わる。

  • 真鍋仁哉 まなべ じんや
    男性 ・ 60

    外見: 手入れの行き届いたグレイヘアーの短髪、深い皺の奥に柔らかい光を湛えた鳶色の瞳、背が高くがっしりした肩幅。服装: ジャケット、スラックス、カッターシャツ。軽快なおしゃべりで相手をほぐし、上品にリードしつつ照れ笑いを見せる。一人称は「私」、明菜を「明菜さん」「君」「お嬢さん」と呼ぶ。語尾は穏やかな「〜ですよ」「〜ましょう」。動揺しても静かに微笑むが、本気の性愛では低く湿った声で「君は素敵だ」と囁く。

  • 夫・松田(名前不明)(男性、50代前後と推定)

    外見: 短く整えられた黒髪に白髪が混じる、疲れの滲む目、中肉中背。服装: スーツ、ネクタイ。仕事優先で家庭の会話が少なく、妻の内面への関心が薄い。一人称は「私」、明菜を名前で呼ぶか不明。口調は短文で要件のみを伝える無口な印象。

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