第4章: 崩壊した楽園(続き 2/2)
「あああ……ああ……あ……っ……」
蜜葉の口から、長く続く喘ぎが漏れた。
目はうつろに天井を見つめ、口からは涎がたっぷりと流れ出ている。
優弥は深く腰を押し込み、そのまま動きを止めた。
肩で息をしながら、蜜葉の体の上に覆いかぶさっていた。
数秒間、部屋の中には二人の荒い呼吸の音だけが響いた。
浩介はただ、立ち尽くしていた。
涙が頬を伝わり、制服の襟元を濡らしているのに気づかなかった。
胸の奥で、何かが壊れていく音が聞こえるようだった。
優弥がゆっくりと腰を引き抜いた。
ぐちゅり、という濡れた音がした。
蜜葉の股間から、優弥のペニスが現れる。
先端からは白い精液が滴り、蜜葉の秘部からもそれがあふれ出ていた。
二人の体液が混ざり合い、シーツに大きな染みを作っていた。
「はあ……はあ……すごかったよ、お姉さん」
優弥はベッドの端に座り、ジーンズを引き上げ始めた。
蜜葉はまだ恍惚の表情のまま、ベッドに倒れていた。
胸は激しく上下し、汗で光る肌が夕日の中できらめいている。
「姉……ちゃん……」
浩介がまた呼びかけた。
今度は、かすれた声が何とか出た。
蜜葉はゆっくりと顔を浩介の方に向けた。
瞳にはまだうつろさが残っていたが、少しずつ焦点が合ってくる。
「浩……介……」
蜜葉の声は、ひどくかすれていた。
「どうして……優弥と……そんなこと……」
浩介の質問に、蜜葉は目を伏せた。
しばらく沈黙が続き、部屋の中には三人の呼吸の音だけが響いた。
「……ごめんね、浩介」
蜜葉がようやく口を開いた。
声は、どこか冷たかった。
「でも……優弥くんのが……とっても気持ちよかったの」
その言葉が、浩介の最後の希望を粉々に打ち砕いた。
「嘘……だろ? 姉ちゃん、嘘言ってるだろ……?」
浩介は涙声で訴えた。
「僕たち、約束したじゃん。ずっと二人だけって……」
「ごめん、でも子供の約束だよ、それ」
蜜葉はゆっくりと起き上がり、ベッドの端に座った。
タンクトップを下ろし、恥ずかしそうに股を閉じた。
でも、そこからはまだ優弥の精液がにじみ出ていた。
「浩介のは……小さいし、何回やっても物足りなかったの。優弥くんのでないと……満足できなかったんだ」
蜜葉の言葉は、一つ一つがナイフのように浩介の心を突き刺した。
「で、でも……僕、姉ちゃんのことが……好きなのに……」
「私も浩介のことは好きだよ。弟として」
蜜葉はそう言い、優弥の方を見た。
優弥はすでに服を整え、得意げな笑みを浮かべて立っていた。
「だけど、体が求めているのは……優弥くんなんだ」
蜜葉は優弥に手を差し伸べた。
優弥はその手を取り、そっと引き起こした。
「そういうことだよ、浩介。お前の姉さん、俺がもらっていくぜ」
優弥は悪戯っぽくウインクし、蜜葉の肩を抱いた。
蜜葉は少し躊躇ったように見えたが、結局優弥に寄りかかり、部屋を出ていった。
浩介はただ、二人が去っていく後姿を見つめるしかなかった。
蜜葉は優弥と手を繋ぎ、階段を下りていった。
最後に振り返ることさえしなかった。
玄関のドアが閉まる音がした。
家の中が、急に静かになった。
浩介はゆっくりと蜜葉の部屋に入り、ベッドに近づいた。
シーツはぐしゃぐしゃに乱れ、汗と愛液、そして精液の匂いが強く漂っていた。
蜜葉の匂いと、優弥の匂いが混ざり合い、浩介には耐えがたいものだった。
ベッドの端に、蜜葉のピンクの下着が落ちていた。
浩介が誕生日にプレゼントしたものだ。
それを拾い上げると、まだ蜜葉の体温が残っているような気がした。
でも、それ以上に、優弥の精液の匂いが染みついていた。
浩介はその下着をぎゅっと握りしめ、ベッドに膝をついた。
涙が止まらなかった。
胸の奥がえぐられるように痛く、呼吸するのもつらかった。
――あの優しさは、全部嘘だったのか。
――二人だけの秘密の時間は、もう戻ってこないのか。
窓の外からは、夕日が部屋の中に差し込み、乱れたベッドシーツを赤く染めていた。
蜜葉の長い髪の毛が何本かシーツに絡まり、光の中で微かに揺れている。
浩介はその髪の毛を一本拾い上げ、指に絡めた。
柔らかくて、いつもの蜜葉の匂いがした。
でも、それだけじゃなかった。
優弥の匂い、汗の匂い、そして性の匂いが混ざり合っていた。
浩介はその髪の毛を顔に押し当て、泣きじゃくった。
部屋の中には、たった今までここで交わされた熱い記憶だけが、重苦しい沈黙の中に漂っていた。
自分と蜜葉だけの秘密の楽園は、もうそこになかった。
崩れ落ちた瓦礫の山だけが、かつての温もりをわずかに伝えているだけだった。
そして浩介は知った。
一番大切なものを、一番信じていた人に奪われるとは、こういうことなのだと。
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