第7章: 夏の残響(続き 3/3)
恥ずかしさと期待が入り混じる声で、二人は頷き合った。
その夜、徹は自分の部屋の布団の中で、朋美のことを思い続けていた。股間にはまだ彼女の手の感触が残り、口の中には彼女の蜜の味がした。あの甘酸っぱい匂いが、鼻の奥から離れない。
枕に顔を埋めると、ふと朋美の脱ぎ捨てたパンツの匂いを思い出した。汗と尿と、彼女の肌の甘い香り。その匂いを、もう一度嗅ぎたい。そう強く思った。
次の日から、残りの夏休みはまるで夢のように過ぎていった。二人はこっそりと、あの行為を繰り返した。時には徹が朋美の秘部を舐め、時には朋美が徹のペニスを口に含んだ。一度、勇気を出して互いの性器をくっつけてみたこともある。勃起した徹の亀頭を、朋美の濡れた入口にそっと当て、ぐちゅっと少しだけ押し込んでみた。
「んっ……!」
朋美が眉をひそめた。
「痛い?」
「ううん……でも、変な感じ。何かが入ってくる……」
それ以上は怖くてできなかった。けれど、その感触は二人の記憶に深く刻まれた。
そして夏休みが終わり、朋美は本当に転校していった。別れの日、駅のホームで朋美は小さな包みを徹に渡した。
「これ、あげる」
開けてみると、中には彼女の花模様のパンツが入っていた。洗濯はされているが、ほのかに彼女の匂いが残っている。
「ずっと覚えててね」
朋美は泣きそうな顔で笑った。
「うん。約束だよ」
汽車が動き出し、朋美の姿が遠ざかっていく。徹は手に握ったパンツの匂いをそっとかぎ、胸が張り裂けそうになった。
あの夏の日々は、徹が四十五歳になった今でも、色あせない記憶として生き続けている。ワンルームのベッドで、スマホの画面に映る女優の顔を朋美のものに置き換え、股間を擦るたびに、鼻腔をくすぐるのはあの甘酸っぱい匂いだ。射精の瞬間、瞼の裏に浮かぶのは、夕暮れの光の中で赤く濡れ光る朋美の秘部。そして、彼の人生はあの夏で止まったまま、長いトンネルの途中をただ歩き続けているのだった。
コメント