第7章: 夏の残響(続き 2/3)
朋美が小声で言い、パンツを履き上げた。今度は、すっと腰まで引き上げ、しっかりと固定した。
「徹くんのも、拭いてあげる?」
「えっ……いいの?」
「だって、さっき私が舐めたから、きれいにしてあげないと」
朋美はにっこり笑い、徹の股間に手を伸ばした。彼女の細い指が、まだ勃起したままのペニスをそっとつかむ。
「わっ……」
徹は背筋を伸ばした。朋美の手の温もりが、敏感な亀頭に直接伝わる。
朋美はティッシュを取り、徹のペニスを包むようにして拭き始めた。先端から根元まで、丁寧に、時には少し強く擦る。
「きれい、きれい……」
子供がおもちゃを拭くような口調で、朋美は呟く。けれどその手の動きは、さっき口に含んだときのことを思い出させるように、時折指先で亀頭の割れ目をこすったり、包皮をめくったりする。
「んっ……朋美……」
「どうしたの?」
「そ、そこ……すごく感じる……」
「ふふ、ここが気持ちいいんだよね」
朋美は悪戯っぽく笑い、わざとらしくゆっくりと拭き続けた。徹は耐えきれず、腰をわずかに突き出してしまう。
やがて、拭き終わると、朋美はぱんぱんと徹の太腿を軽く叩いた。
「はい、できあがり。でもまたすぐ硬くなっちゃうね」
「……朋美のせいだよ」
「えー、私のせい?」
そう言いながら、二人はようやく床に落ちていた服を拾い、着始めた。徹はブリーフとズボンを履き、朋美はショートパンツをはいた。タンクトップは汗で少し湿っていたが、そのまま着ている。
服を着ると、さっきまでの生々しい空気が少し和らぐ。けれど、互いの身体を知り尽くしたという事実は、服の下でひそやかに燃え続けている。
二人はちゃぶ台の前に座り直し、向かい合った。外はもう夕暮れに近く、窓から差し込む光がオレンジ色に変わっていた。雨は完全に上がり、代わりに蝉の声が遠くから聞こえ始めている。
沈黙が流れる。今までの激しさとは違う、重くて甘い沈黙だ。
「……ねえ、徹くん」
朋美が口を開いた。声はまだ少ししわがれている。
「うん?」
「さっき……あれが、セックスなのかな」
徹は考え込んだ。ビデオの中で見た黒人男性と白人女性の激しい結合。自分たちがしたことは、あれとはまるで違う。でも、お互いの性器を触り、舐め、気持ちよくなった。
「……違うと思う。だって、僕たち、くっついてないから」
「くっついてない?」
「ビデオみたいに、おちんちんをおまんこに入れてない」
朋美はその言葉を聞き、ぽっと顔を赤くした。でも、すぐに真剣な顔で言った。
「……入れてみたい?」
どきん、と徹の胸が鳴った。股間が疼く。
「……入れたら、どうなるの?」
「赤ちゃんができるかもしれない」
「えっ……でも、さっき朋美が飲んじゃったし……」
「飲んだのは口の中だから、赤ちゃんはできないよ。おまんこの奥、子宮まで行かないと」
朋美は得意げに説明する。まるで性教育の先生のように。徹はその知識に驚きながらも、ますます朋美の身体への興味が深まった。
「……子宮まで、どうやって行くの?」
「おちんちんを、ずっと奥まで入れるんだよ。ビデオで見たでしょ?あの黒いおじさん、すごく奥まで突き刺さってた」
「痛くないの?」
「女の人、ああやって叫んでたから、痛いかもしれない。でも……気持ちよさそうでもあった」
朋美はそう言い、少し俯いた。手で自分の股間をそっと押さえる。
「私さっき……ああやって叫んじゃったよね。痛くなかったけど……すごく、変な感じだった」
「気持ちよかった?」
聞くと、朋美はうつむいたまま、小さくうなずいた。
「うん……気持ちよかった。今までにない感じ」
その言葉に、徹の胸が熱くなった。自分が朋美を気持ちよくさせた。その事実が、誇らしいような、でもどこか怖いような気持ちにさせた。
「僕も……気持ちよかった。朋美が口でしてくれたの」
「ふふ、よかった」
朋美は顔を上げ、にっこり笑った。その笑顔は、いつもの無邪気な幼馴染のそれに戻っているようでいて、でも瞳の奥にふとした艶が潜んでいる。
「……でも、これって、秘密だよね」
突然、朋美が真剣な声で言った。
「うん。絶対に誰にも言わない」
「約束?」
「約束」
二人は小指を絡め合った。子供らしい仕草なのに、その絆にはさっき交換した体液の重みが込められていた。
「ねえ、徹くん」
また朋美が言った。
「私……もうすぐ引っ越すんだ」
「え?」
徹は息を呑んだ。心臓が一瞬止まりそうになった。
「お父さんの仕事で、遠くに引っ越すことになったの。夏休みが終わったら……もうこっちには住めない」
「……どこに?」
「北海道。すごく遠いところ」
徹は言葉を失った。北海道。地図で見たことある。すごく遠い。飛行機か新幹線でないと行けないくらい。
「……寂しいよ」
ぽつりと呟くと、朋美の目がうるんできた。
「私も寂しい。徹くんと遊べなくなる」
「でも……また会えるよね?」
「うん。いつか。約束する」
また小指を絡め合った。でも今度は、その約束がどこかはかないものに感じられた。
夕暮れの光が部屋を赤く染めていた。二人は並んで窓の外を見つめた。雨上がりの空には、うすらピンクの雲が浮かんでいる。
「……ねえ、徹くん」
「うん?」
「今日のこと……ずっと覚えててね」
「うん。絶対忘れない」
「私も。徹くんのおちんちんの味も、匂いも……全部覚えてる」
その言葉に、徹は胸がきゅっと締め付けられた。朋美の口の中の温かさ、舌のぬめり、そして自分の精液の味。あのすべてが、記憶に焼き付いた。
「僕も……朋美のおまんこの味、匂い……全部覚えてる」
「汚いのに」
「綺麗だよ」
もう何度も交わした会話。けれど、その言葉にはいつもより深い真実が込められていた。
やがて、玄関の方から声が聞こえた。朋美のお母さんが帰ってきたのだ。
二人は慌てて、ビデオテープを元の場所に隠し、ちゃぶ台を整えた。脱ぎ捨てた服のしわを伸ばし、汗で濡れた髪をそっとかきあげる。
「明日も遊べる?」
別れ際、徹が聞いた。
「うん。まだ夏休みは残ってるから」
「じゃあ……また何かしよう」
「何を?」
朋美はいたずらっぽく笑い、徹の股間をちらりと見た。
「……また、あれ?」
「うん……また、あれ」
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