第6章: 舌先の波

指先に絡みつく甘く酸っぱい匂い——それは、汗でもなければ、石鹸の香りでもなかった。雨に濡れた朋美の肌から滲み出た、どこか生々しく、それでいて幼い果実が熟れ始めるような、微かな甘酸っぱさ。徹はその匂いに引き寄せられるように、顔をさらに近づけた。鼻先が朋美の太腿の内側に触れる。肌は汗ばんでいて、つるりとしている。
「……変な匂い、する?」
朋美が目を細めて尋ねた。声は恥じらいに濡れ、かすかに震えていた。
徹は首を振った。言葉を探す。「ううん……朋美の匂いだ」
それは真実だった。この匂いは、今まで嗅いだことのない種類のものだが、確かに朋美から立ち上っている。ビデオの中の女の人が発していた、あの濃厚で動物めいた匂いとはまったく違う。もっと淡く、清らかさと穢れが入り混じった、複雑な香気。鼻腔の奥をくすぐり、脳の芯をじんわりと熱くする。
徹は再び指を動かした。今度は人差し指と中指の二本で、ぺたりと開かれた裂け目の両脇をそっと押さえる。柔らかい襞が指の腹に沈み込む。ぬめりが増している。先ほどより確実に、透明な湿気が滲み出ているのがわかる。
「ん……あ……」
朋美の吐息が深くなり、腰が微かに揺れた。目はぎゅっと閉じたまま、まつ毛が小刻みに震えている。
「ここ……さっきビデオで見た女の人みたいに……濡れてる」
徹が呟くと、朋美は唇を噛みしめた。頬がますます赤く染まり、息遣いが荒い。「だって……徹が、さっきあんなことしてくれたから……」
さっきあんなこと——口に含まれ、吸われ、舌でこすられたあの行為。徹の股間は、その記憶だけで再びじんと疼いた。射精したばかりなのに、また熱が込み上げてくる。
「僕も……してみたい」
声は、自分の意思とは別に溢れ出た。頭の中は、朋美の小さな口が自分を包み込んだあの感触でいっぱいだった。あの電撃的な快感を、今度は自分が朋美に与えたい。彼女のこの柔らかく湿った裂け目で、あのビデオの女の人と同じように喘いでほしい。そんな欲望が、理性を溶かしていく。
朋美の目がぱちりと開いた。黒目がちの瞳は潤み、困惑と期待が渦巻いている。「……えっ? どうするの?」
「さっき……朋美がしてくれたみたいに」徹は声を詰まらせながら言った。「口で……舐めてみたい」
「やだっ!」朋美は反射的に腰を引いた。太腿が徹の顔から離れ、隠すように両手で股間を覆う。「そんなの……汚いよ! ここ、おしっこも出るとこだもん! さっきだって、徹だって汚いって言ったじゃん!」
「ちがう」徹の声には、自分でも驚くほどの熱がこもっていた。「ちがうんだ。朋美のここ……すごく綺麗だよ。匂いも……好き」
それは嘘ではない。確かにその匂いは生々しい。でも、なぜか嫌悪感を覚えない。むしろ、もっと嗅ぎ込みたくなる。朋美の身体の奥から滲み出るこの甘酸っぱい香りに、体の芯がぞくぞくと震えている。
徹は朋美の手を、そっと掴んだ。彼女の細い手首は、驚くほど熱かった。「見せて。もう一回」
「……恥ずかしい」
「僕だって恥ずかしかった。でも……朋美が見てくれたから、もっと気持ちよくなれた」徹は真剣に彼女の瞳を見つめた。「だから……今度は僕が朋美を気持ちよくしてあげたい」
その言葉に、朋美の抵抗が少しずつ緩んでいった。覆っていた手の力が抜け、太腿がまたわずかに開かれる。目を伏せ、唇を震わせながら、彼女はかすかに頷いた。
「……じゃあ……ちょっとだけ」
許可を得た瞬間、徹の胸は高鳴った。もう待てない。彼はそのまま前のめりになり、顔を朋美の股間にうずめた。
鼻先にぴたりと柔らかい感触。熱い。そして、あの甘酸っぱい匂いが一気に濃厚になる。汗と、かすかな尿の残香と、それに混じるどこにもない甘み。徹は深く息を吸い込んだ。肺の底までその香りが染み渡る。
そして、恐る恐る舌を伸ばした。
最初に触れたのは、裂け目の上端、ふっくらとした小さな丘のような部分だった。舌先が柔らかい肉の襞に触れる。ぬるり。ほんのりと塩気があり、それでいてどこか甘い。複雑な味が舌の上に広がる。
「ひゃあっ……!」
朋美の身体が跳ねた。腰がびくんと揺れ、太腿が徹の頭を挟み込む。「や……やだ……くすぐったい……あっ……」
徹はその反応に鼓舞された。もう一度、舌で縦にゆっくりと舐め上げる。ぬちゅ、という湿った音が響く。粘膜は驚くほど柔らかく、舌に吸い付くように絡みつく。朋美の身体からまた新しい湿り気が滲み出て、舐めた部分がきらりと光る。
「んっ……あ……徹……そこ……変な感じ……」
朋美の声は泣きそうに震えている。けれど、腰は逃げない。むしろ、微かに前へ、徹の舌に押し付けてきている。その無意識の動きに、徹の股間は再びぎゅっと締まり、疼きだした。
舌の動きをさらに深める。裂け目を縦に舐め上げるだけではなく、横に這わせ、複雑に折り重なった襞の一つ一つを舌先で探る。ぺろり、と舐めるたびに、ぐちゅっとした音が小さく響く。朋美の吐息はどんどん荒く深くなり、リビングには彼女の喘ぎと、雨音と、ぬちゅぬちゅという卑猥な音だけが満ちていった。
「あぁ……だめ……もう……なにそれ……気持ちいい……や……」
朋美の言葉は次第にまとまりを失っていく。手が徹の頭を掴み、髪の毛をぎゅっと握りしめる。その力は痛いほどだが、徹はそれを止めてほしい合図とは感じなかった。むしろ、もっと、もっとという催促のように思えた。
そして、舌が裂け目のさらに上、陰核の小さな突起に、偶然触れた。
その瞬間、朋美の全身が弓のように反った。
「あああんっ!!!」
悲鳴にも嬌声にも聞こえる鋭い叫び。腰が激しく跳ね、太腿が徹の頭を強く締め付ける。徹は一瞬、息が詰まりそうになったが、その場所に舌を戻した。こんどは意識的に、そのぷくっとした小さな粒を舌先で捉える。
「やぁっ! だめ! そこっ! そこ触られたら……ああっ!!!」
朋美は狂ったように首を振り、腰を震わせた。彼女の秘部は今、途切れることなく愛液を溢れさせ、徹の舌をびしょびしょに濡らしている。ぬるっとした透明な液体が、顎から首筋へと伝い落ちる。
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