第1章: 迎え入れられた幼き蜜(続き 2/2)
彼女の呼吸は、少しずつ乱れていった。
パジャマの下で、腿の内側がこすれ合う。
ほんのりと汗ばんだ肌が、さらさらとした布地に触れるたび、背筋に変な痺れのようなものが走る。
優菜は、目をぎゅっと閉じた。
布団の中でもう一方の手が、自分のまだほとんど膨らみのない胸の上へともぐり込んだ。
乳首が、パジャマの上からこすられる。
小さな、かすかな快感が、じんわりと広がる。
「んっ……」
漏れ出た吐息は、暗闇に吸い込まれて消えた。
彼女は、かつての「お義父さん」がそうしていたように、パンツの上からぎゅっと股間を押しつけ、腰を小さく、もぞもぞと動かした。
布越しに、陰唇の形が擦れる。
ほんのりと湿気が増していくのが、自分でもわかった。
でも、何かが足りない。
空虚だった。
膣の奥が、じんわりと疼くような、むずがゆいような感覚。
あの、太くて硬いもので、ぎっちりと塞がれ、ずぶずぶと撹拌される感覚が、無性に欲しかった。
「あぁ……」
優菜は、布団の中で唇を噛みしめた。
もう一方の手が、無意識にパジャマの裾を捲り上げ、直接肌に触れようとしていた。
その時、ふと、階下から微かな物音が聞こえた。
新聞紙をめくる音だろうか。
――孝雄おじさん。
彼女の動きが、ぴたりと止まった。
大きくて温かい手。
優しい声。
新聞を読んでいる時の、少し険しいような、でもどこか穏やかな横顔。
優菜は、ゆっくりと布団から顔を出した。
目は、暗闇の中で、きらりと微かに光っていた。
翌朝、孝雄がリビングのソファで新聞を読んでいると、そばに小さな気配が近づいた。
「おはようございます、孝雄おじさん」
まだ眠そうな声で、優菜が挨拶した。
彼女は、昨日と同じピンクのパジャマ姿で、孝雄の座っているソファの端に、そっと腰を下ろした。
「おはよう。よく眠れたか?」
孝雄は、新聞を少し下ろして彼女を見た。
優菜は、うつむき加減で、小さくうなずいた。
「うん……ちょっと、さみしかった」
その言葉に、孝雄は胸がつまる思いがした。
「そうか……でも、もう大丈夫だよ。ここがおうちだからな」
彼は、無意識に優菜の頭に手を伸ばし、そっと撫でた。
柔らかい髪の感触が、掌に伝わってくる。
優菜は、その手の温もりに、ほんの一瞬、体をすくめるようにしたが、すぐにこっそりとその手に寄り添うように頭を預けた。
そして、彼の古びた灰色のスウェットの匂いを、そっと吸い込んだ。
洗剤の匂いと、ほのかな、大人の男性の体臭。
それは、「お義父さん」のそれとは全く違う、落ち着いた、安心できる匂いだった。
しかし、優菜の心臓は、なぜか高鳴り始めた。
股間の奥が、再びじんわりと疼く。
「おじさん」
「ん?」
「優菜ね、昨日ね……」
彼女は、わざとらしく寂しげな、甘えたような口調で話し始めた。
「一人で寝るの、ちょっと怖かったんだ。なんだか、変な夢も見ちゃって」
孝雄は、新聞を完全に膝の上に置いた。
「そうか。どんな夢だったんだい?」
「それは……秘密」
優菜は、いたずらっぽく、でもどこか潤んだ目で孝雄を見上げた。
その瞬間、台所から雅子が顔を出した。
「二人とも、朝ごはんできるわよ――」
彼女の声は、そこでぱったりと止まった。
ソファで、夫が優菜の頭を撫で、優菜がその手に寄り添っている光景。
それは、絵になるほど穏やかな父娘の情景だった。
しかし、雅子の胸の奥で、ほんの一瞬、鋭いざわめきのようなものが走った。
理由はわからない。
ただ、夫の顔に浮かんでいる、あまりに自然な優しさと、優菜の、一見無邪気に見える後ろ姿が、なぜか重く、そしてどこか不自然に感じられた。
「……まさこ?」
孝雄が、振り向いて声をかけた。
雅子は、慌てて微笑みを作った。
「あ、ごめんなさい。なんでもない。さあ、優菜ちゃん、ご飯にしましょう」
「はーい」
優菜は、孝雄の手から離れ、嬉しそうに台所へ駆けていった。
孝雄は、新聞を拾い上げようとしたが、なぜか手が止まった。
彼の掌には、まだ少女の髪の柔らかい感触が残っている。
そして、ほのかに、子供らしいシャンプーの匂いと、もうひとつ、よくわからない、甘くて微かな生臭さのようなものが、かすかにまとわりついているように感じた。
彼はその手をじっと見つめ、そしてゆっくりと拳を握った。
台所では、雅子が優菜に卵焼きを取り分けながら、さっきのざわめきの正体を必死に考えようとしていた。
――気のせいよ。きっと。
――あの子は、やっと安心できる場所を見つけたんだ。それだけよ。
けれど、彼女の目は、知らず知らずのうちに、リビングに残った夫の後ろ姿へと、何度も向けられていた。
朝日が窓から差し込み、新しい一日が始まろうとしている。
静かな住宅街の、一軒の家に、三つの影が交錯していた。
その均衡は、まるで張り詰めたガラスの薄膜のように、美しく、そして危うく輝いていた。
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