第2章: 初めての舞台、剥かれる羞恥(続き 2/3)
「当然よ。これが今日の本番の衣装だもの」
紫織はいたずらっぽく笑った。
「ちゃんと、おまんこの形がくっきり見えるデザインだよ。客さん、そういうの大好きなんだから」
智美はビキニを握った手に、汗がにじんだ。
「さあ、準備して。あと五分で出番だよ」
紫織が部屋を出ていき、智美は一人になった。
鏡に映る自分は、ピンクのワンピースで一見かわいらしく見えた。
でも、その下にはあの布切れしかない。
客席から聞こえる喧騒が、壁を伝って響いてくる。
深呼吸をしようとしたが、肺が十分に膨らまない。
胸の鼓動が、耳の中で大きく鳴っていた。
ドアがノックされた。
「目黒、出番だ」
涼の声だった。
智美はもう一度、深く息を吸い込んだ。
――母のため。
――学費のため。
そう唱えながら、ドアを開けた。
舞台への通路は薄暗かった。
ステージの脇に立つと、客席の熱気が肌に伝わってくる。
男たちの笑い声、グラスの触れ合う音、くすんだ照明の中に浮かぶ無数の顔。
「いっくよー! 今日は新鮮な新人ちゃんが登場です!」
DJの陽気な掛け声が、店内に響き渡った。
「お待たせしました、さとみちゃんの初ステージ!」
スポットライトが、突然智美を捉えた。
目がくらむほどの光。
熱い。
その光の束が、彼女を舞台の中央へと追い立てた。
「さあ、皆さん大きな拍手でお迎えください!」
拍手と野次が湧き上がった。
智美は舞台の中央に立った。
足元がふらつく。
「ではさとみちゃん、まずはこのキュートなワンピースを、ゆっくり脱いでいってくださいねー」
音楽が流れ始めた。
スローテンポの、官能的な曲。
智美は震える指を、背中のファスナーにかけた。
金属の感触が冷たい。
――引っぱれば、いい。
ただそれだけなのに、指先に力が入らない。
客席から、「早くしろよ!」という声が飛んだ。
その声に弾かれるように、彼女はファスナーを下ろした。
チュッ、チュッ、チュッ。
歯がほどける音が、自分の中で大きく響く。
ワンピースの背中が開き、冷たい空気が背中に触れた。
「おっ、背中が開きました! 肌がとっても綺麗ですね!」
智美は両肩から袖をずらした。
布が腕を伝って滑り落ち、胸のあたりで引っかかった。
ここで止めたくなった。
でも、もう後戻りはできない。
彼女は目を閉じ、一気にワンピースを腰まで下ろした。
「おおーっ!」
客席から歓声が上がった。
ワンピースは床に落ちた。
智美が立っていたのは、あの極小のビキニ姿だった。
ピンクの三角の布が、かろうじて乳首を隠している。
下は、黒い紐が股を縦に走り、唇の膨らみを左右に分けているのが、客席からも明らかに見える。
「すごい! さとみちゃん、とってもセクシーな水着ですね! 皆さん、もっと近くで見たいですかー?」
「見たい!」
「もっと寄れ!」
叫び声が飛び交った。
DJの合図で、智美は舞台の前端まで歩くよう促された。
一歩、また一歩。
客席との距離が縮まる。
男たちの目が、貪るように彼女の体を舐め上げる。
スポットライトの熱さと、視線の熱さが、混ざり合って肌を焼いた。
「さあ、ポーズを決めてください! 皆さんからのチップ、直接受け取ってくださいね!」
智美は教えられた通り、片手を後頭部に回し、腰をくねらせるポーズを取った。
股を少し開いた姿勢で、Tバックの紐がさらに食い込み、陰唇の形が布越しにはっきりと浮かび上がった。
「はっ!」
近くの席から、息をのむ声が聞こえた。
一人の男が立ち上がり、千円札を智美のビキニの胸元に差し入れた。
指先が、わずかに彼女の肌に触れた。
「ありがとよ、かわいいな」
次々と男たちが近づき、札を彼女の体のあちこちに挿し入れた。
胸の谷間、ビキニの縁、腰の紐の間。
時折、わざとらしく指が肌を撫でる。
恥ずかしさ。
屈辱。
でも、その底を流れる、熱い何か。
股の間が、じんわりと湿り始めているのを、智美は感じていた。
「おい、もっと開いてみろよ」
そう囁く男の息が、彼女の耳元にかかった。
智美は思わず、股をほんの少し広げた。
ああ、ダメ。
そんなことしたら、もっと見られてしまう。
でも、体が言うことを聞かない。
客席から上がる歓声が、彼女の中の何かを溶かしていく。
「はい、さとみちゃん、そろそろお時間です! 大きな拍手でお見送りください!」
拍手が鳴り響く中、智美はうつむいたまま舞台を下りた。
楽屋に戻ると、紫織が待っていた。
「お疲れ様! ほら、これ」
彼女が差し出したのは、智美の体から集められた札束だった。
ざっくりと束ねられており、その厚みは予想以上だった。
「三万円の出演料に加えて、チップだけで……うん、五万円くらいはあるんじゃない?」
智美はそのお金を握りしめた。
紙の感触が、まだ温もりを帯びていた。
「さあ、早く着替えて。あたし、今日の智美ちゃん、とってもよかったよ」
紫織はそう言って部屋を出ていった。
智美は一人、鏡の前に立った。
ビキニ姿の自分が映っている。
頬は火照り、目は潤み、呼吸が浅い。
体のあちこちに、男たちが挿した札の跡が、わずかな折り目として残っていた。
彼女はゆっくりとビキニを外した。
まず胸の紐を解くと、小さな胸が解放された。
乳首は、自分でも驚くほど硬く尖っていた。
次に腰の紐。
Tバックが股から離れる時、ぬるりと湿った感触が伝わった。
智美は鏡の中の自分の股間を見た。
黒い毛がほんの少し生えたその中心が、艶やかに光っている。
触れた。
指先が、自分の肉のひだに触れた。
熱い。
そして、確かに濡れていた。
――どうして。
なんで、あんなに恥ずかしい思いをして、男たちに体を見られて、こんなに体が熱くなっているんだろう。
鏡の中の自分が、とても知らない顔に見えた。
シャワー室で、湯を浴びながら智美は体を洗った。
石鹸の泡が肌を伝う度に、舞台の光と視線を思い出した。
客の目。
野次。
触れた指。
股の間を、再び撫でた。
今度は意識的に。
くちゅっ。
とんでもなく濡れている。
そして、そこを擦ると、腰の奥からぞくっと震える快感が走った。
智美は壁によりかかり、目を閉じた。
湯の音だけが響く中、彼女の指はゆっくりと動き続けた。
母の顔を思い出した。
疲れた笑顔。
「智美ちゃん、本当にえらいね」
そう言う母の声。
コメント