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体育祭の保護者席から目を離した隙に、36歳の夫が34歳の若妻を体育着姿の◯学生たちに体育倉庫で集団陵辱され中出しされるまでの半日

学生/いけない / 寝取られ(NTR) 全5章 約58分で読了(28,574字) 短編 2026年10月3日

あらすじ

息子の体育祭に訪れた夫婦。二十代にしか見えない妻は短いスカートで人目を引き、保護者席の後方では中学生たちが品定めの視線を送っている。夫はその会話を聞き、優越感と微かな興奮を覚えた。昼下がり、トイレへ向かう妻が戻らない。体育倉庫の隙間から覗いた先にいたのは、体育着姿の少年たちに押さえ込まれた妻の姿だった。夫の眼前で始まる陵辱。怒りと膨張する股間の矛盾に、平凡な夫の心臓は音を立てる。

第1章 純白のカットソーと短い紺スカート、保護者席の後方から妻を品定めする少年たちの視線

第1章のシーン

第1章: 純白のカットソーと短い紺スカート、保護者席の後方から妻を品定めする少年たちの視線

朝七時に玄関を出た瞬間、十月とは思えないほど強い陽射しが瞼を刺した。右手にビデオカメラのショルダーバッグを提げ、左手で革靴の踵を軽く地面にぶつける。隣で身支度を整えていた妻の木村彩夏が、ふわりと香るシャンプーの残り香ごと私の半歩前へ踏み出した。腰まである艶やかな黒髪を高い位置でひとつに束ね、白いうなじが朝の光を弾いている。琥珀色の大きな瞳が、私を見上げて細められた。

「翔太、もう先に行ったの?」

「ああ、朝練があるからって六時半には出たぞ」

そう答えながら、私は彩夏の服装へ意識を持っていかれた。白いカットソーの胸元は開きすぎていない。それなのに、彼女が身じろぐたびに鎖骨のラインが浮いては消え、その下に隠れた豊かな膨らみの気配が視線を吸いつける。紺色のフレアスカートは膝上十五センチ。素足に近い肌色のパンプスを履いた引き締まったふくらはぎから、薄布の裾がふわりと風を含んで持ち上がる。

「そのスカート、体育祭には短くないか」

私は思わず口にした。昨夜も同じことを言った気がする。彩夏は振り返りもせず、指先で裾をつまみながら言い返してきた。

「親が若くて綺麗な方が子供も自慢で嬉しいでしょ」

迷いのない口調だった。実際、隣に並ぶと私が年上の護衛にしか見えない日もあり、彩夏の若々しさは二十二歳の頃からほとんど変わっていない。しかし、学校行事の昼の光に晒すには少し華やかすぎる。私が黙っていると、彩夏は首だけ振り返り、いたずらっぽい笑みを唇にのせた。

「優弥は心配性すぎ」

言葉は軽いのに、指先はスカートのプリーツを確かめるように撫でている。日差しを浴びた白い肌はぴかぴか光っていて、高い位置で揺れる黒いポニーテールが背中を叩くたび、純白のカットソーに小さなしわが寄っては消えた。

中学校までの道のりは十分ほどだった。街路樹の銀杏が色づきはじめ、舗道に落ちた葉を私たちの足が交互に踏む。香ばしい埃っぽさと、彩夏から漂う柔らかい制汗剤の匂いが混ざって、朝の空気に妙な生々しさを与えていた。私は歩きながら何度もビデオカメラのベルトを握り直した。今日の任務は息子の木村翔太が全力で走る姿を残すことだ。ファインダーが揺れないよう、呼吸を整える。それだけを考えているつもりだった。

校門を抜けると、運動場にはすでにテントが並び、生徒たちの甲高い叫び声が四方から飛び交っていた。十月の青空はどこまでも抜けるように高く、万国旗のロープが風にたわんでは揺れている。私は彩夏の背中を目で追いながら受付を探した。彼女は保護者の列に並ぶと、前の女性と何気ない会話をはじめ、時折うなずきながら笑った。白い首筋が動くたびにポニーテールの束が肩の上で跳ねる。同年代の保護者たちの地味な装いの中で、彩夏だけが一枚の花を浮かべたように目立っていた。

「うわ、あの人誰の保護者?」

「若っ。お姉さんかと思った」

すぐ近くから聞こえた小声に、私は無意識のうちに胸を張った。彩夏の後ろ姿を見たまま、腹の奥がむずむずと温かくなる。私の妻だ。その事実が急に甘やかな優越感へ変わり、指の先まで満たしていく。だが同時に、じっと見られているという感覚もあって、首筋の産毛が逆立つようだった。

保護者席はすでに満員に近く、私たちは校庭の端、白線から少し離れた芝生の上へレジャーシートを敷いた。彩夏は正座から片膝を立てる姿勢になり、スカートの裾を手のひらで押さえる。白い太腿が重力に従ってわずかに広がり、脂肪のない滑らかな曲線が露わになった。私はビデオカメラの電源を入れ、適当な被写体を探すふりをして、ファインダー越しに彼女の背中から太腿、ふくらはぎへ続く線を無意識に追ってしまう。

「暑くなってきたわね。まだ九時なのに」

彩夏が額に手をかざして空を見た。

「もうすぐ開会式だろ。水分だけはこまめに取れよ」

声をかけつつ、私は視線だけ後方へ泳がせた。シートのすぐ後ろ、数メートル先には校舎の壁に沿った喫煙所がある。灰色の壁に黄色いバケツがひとつ置かれ、煙草の吸い殻が数本、水の張られていない底に白く浮かんでいた。体育着姿の中学生が五六人、その黄色いバケツを中心にたむろしている。金に近い茶髪を短く刈り上げ、体育着の袖を肩まで捲り上げた少年が、煙草を一本抜いて仲間に回した。工藤蓮、という名は後から知った。彼を中心に、少年らは互いの肩を小突き、声をひそめては下卑た笑いを漏らしている。

「あそこ、中学生が堂々と煙草吸ってるぞ」

思わずつぶやくと、彩夏も一瞬振り返った。

「ほんと。先生達、なんで注意しないのかしら」

彼女は首を戻し、つまらなそうにペットボトルのキャップを回した。私は「まぁいいか」と結局ファインダーを覗き、開会式の行進を待つ列へレンズを向ける。少年たちの存在が気にならないと言えば嘘になる。しかし、学校の行事はもう始まろうとしていた。私の役割は撮影係だ。邪魔をして息子に恥をかかせるのも大人げない。

放送部の合図が流れ、全校生徒が入場行進を始めた。赤々とした運動場の土を、体操着の白い波が区切られたまま進んでいく。保護者たちが一斉に立ち上がり、歓声を上げる。私も片膝を立ててカメラを固定し、行進してくる翔太の姿をファインダーに捉えようと必死になった。子供の熱気と土埃と芝の匂いが風に乗って流れ、行進曲の軽快なリズムが鼓膜を叩く。

彩夏が私の隣で跳ねるように手を振った。彼女がスカートの裾を押さえながら立ち上がる瞬間、スカートの合わせ目がふっと膨らみ、太腿の白い内側が朝日の中でちかちか光る。私のカメラは翔太ではなく、その後ろ姿を追っていた。無防備に揺れる紺色の布と汗ばみ始めた肌の気配。ファインダーの端に黄色いバケツが映り込む。喫煙所の少年たちも、今度は行進ではなく彩夏の立ち姿へ熱い視線を注いでいた。一人が煙草をくわえたまま仲間の腕を叩き、あごでこちらを示す。私は胸が高鳴るのを感じた。自分の妻が視られている。ただそれだけのことが、消費された煙草の煙より重たく喉を満たす。

「翔太、前から四列目の真ん中あたり」

彩夏の声が弾んでいる。

「見えてる。ほら、今こっち手ぇ振った」

私は慌ててカメラを翔太へ戻す。息子は大人びた顔に白い体操着を着て、行進の列の中を真面目な顔で歩いていた。縁のない運動帽を被っていないせいか、刈り上げに近い黒髪が額にはりついている。組によって帽子の色が違い、翔太の白いゼッケンが太陽に反射して眩しい。私は胸が熱くなり、しばらくは純粋に父として応援していた。

開会式は滞りなく進み、校長の挨拶も短かった。秋の連休明けで生徒たちは浮き足立っている。保護者たちも似たようなもので、競技が始まる前から冷たい麦茶やスポーツドリンクを取り出し、世間話に興じている。彩夏はシートに戻り、ペットボトルを口につけて少しあおいだ。白い喉が細かく上下する。飲み終えると、彼女はペットボトルの口に指先で触れ、水滴をぬぐうように首筋へ滑らせた。

「もう汗かいちゃった」

「そんなに動いてないのに?」

「日差しが強いもの」

笑いながら彩夏はカーディガンを脱ぎ、白い二の腕を日に晒した。薄手のカットソーが肩から浮き上がり、脇の下に薄い汗の影が浮かぶ。私の下腹部のあたりが一瞬、子供じみた熱を持った。バッグから出したハンドタオルで彼女が首筋を拭く仕草を、隣の父親連中の視線が追っている。心の中で「いいだろ俺の嫁だぞ」と呟いてみる。皮肉なことに、その言葉は私自身の劣情をなぞる指先のようでもあった。

やがて最初の競技、一年生の徒競走が始まる。保護者たちがトラックの周りに入り、声を張り上げる。その熱気に当てられた私は、少し下がった場所から撮影を続けた。彩夏はシートに浅く座り、背筋を伸ばしてトラックを見つめている。後方の黄色いバケツのそばでは、少年たちが依然として煙草の紫煙をくゆらせていた。工藤蓮が火を点け直した煙草を指で挟み、ゆっくりと彩夏の後ろ姿へ視線を這わせる。あれほど露骨に見られていれば、私以外の誰かが気づいてもおかしくない。だが、周囲は競技に夢中で、喫煙所の存在は風景の一部として無視されていた。

「100メートル走までまだ時間あるね。午後まで競技続くんでしょ」

彩夏がプログラムを広げ、細い指で息子の出場種目をなぞる。白い紙面に落ちた爪の影まで、私ははっきり見ていた。彼女が前かがみになるたび、純白のカットソーが胸の重みで引かれ、首元からわずかな谷間の気配が覗く。視線を泳がせると、喫煙所の少年の一人が煙草を口から離したまま、こちらを直接見ていた。私と目が合うと、その少年はあからさまに笑い、隣の仲間へ耳打ちする。見られているのは彩夏だけではなかった。夫として当然の優先権を、外野から試すような薄い悪意がそこにはあった。

腹の奥が、また疼く。早足の心臓が、怒りが興奮か分からないまま勢いよく血液を送る。私はカメラを握りしめた右手に力を込め、ファインダー越しに妻を守るような視界を作った。彩夏がスカートを直す手のひら、甘く曲がった腰、かすかに汗ばんで照り返す太腿。どの断片も、私だけのものと思いたい瞬間ほど、後ろの少年たちの視線に浸食されていた。

「ねえ、手伝うこともないし、もっと前で見てもいいんじゃない?」

彩夏が立ち上がり、私の手首をかるく引いた。冷えた指先が汗ばんだ肌に触れ、胸の奥で何かが跳ねる。私はそれに逆らう理由もなく、カメラバッグを肩にかけ直した。後方の喫煙所では、工藤蓮が最後の一本を黄色いバケツの中で揉み消す。煙の残り香が乾いた風に流れ、校庭の熱気と混ざる。彩夏のポニーテールが足取りに合わせて揺れ、私はその揺れを追いながら、今日という祝祭のなかで少しずつ息が荒くなっていく自分に気づかないふりをしていた。

第2章 黄色いバケツの吸い殻と「やりてぇ」の低い声、夫の腹底で疼く歪な悦び

第2章のシーン

# 第2章: 黄色いバケツの吸い殻と「やりてぇ」の低い声、夫の腹底で疼く歪な悦び

開会式が終わると、午前の競技は濁流のように過ぎていった。一年生の綱引きでは保護者席の目前で砂埃がもうもうと舞い、二人三脚で転倒した女子生徒の甲高い悲鳴が、古びたスピーカーから割れた音になって校庭へ撒き散らされる。私はビデオカメラのバッテリー残量を二度確認し、翔太の出番を待つあいだも、居ても立っても居られずにファインダーを覗いたり外したりしていた。

隣に座る彩夏は、白いカットソーの胸元に汗をじんわりと滲ませ、生地を肌へ張りつかせたまま、静かに運動場を見渡している。時折、後方の喫煙所へ視線を投げることもあった。その横顔は、少年たちのたむろす気配をただ不快に感じているだけのようには見えなかった。いや、私がそう見たくなかっただけなのかもしれない。

翔太の出る100メートル走が始まったのは、午前も半ばを過ぎた頃だった。スターターピストルの乾いた破裂音に、彩夏が両手を胸の前で固く握りしめて立ち上がる。私も地面に片膝をつき、カメラを構えた。第四レーン、白いゼッケン、刈り上げに近い黒髪。息子がクラウチングスタートの姿勢を取ると、直射日光で体操着の背中が真っ白にかっ飛ぶ。

「翔太、いけるよ……!」

彩夏の声が裏返った。右手が私の左肩を強く掴む。その指先が骨の上から肉へ食い込む感触を、鼓動の速まりとは別のところで意識してしまった。号砲。翔太はスタートで半歩出遅れたが、中盤から腕を大きく振り、前を走る二人を猛然と追い上げる。ゴール前で三人がほぼ横並びになり、結果は組三位。私はカメラを回し続けながら、彩夏がぴょんぴょんと跳ねるたびにフレアスカートの裾がふわりと浮き、陽の光を吸い込んだ太腿の内側まで真正面から視界に飛び込んでくるのを眺めていた。

「組三位って、なかなかじゃない? 予選通過は厳しいかなあ」

彩夏は弾んだ声で私の腕をぽんぽんと叩いた。その笑みには一点の曇りもなく、その無垢な明るさが私の後ろめたさをいっそう際立たせる。

「上出来だろ。決勝は無理でも、よう追い上げた」

私はカメラを再生モードへ切り替え、彩夏と肩を寄せ合って小さな液晶を覗き込んだ。彼女の黒髪が微風に流れて私の頬へ触れ、制汗スプレーとは違う、汗の混じった甘い体温の匂いがふわと鼻の奥をくすぐる。画面の中の翔太が腕を振り切った瞬間を、彩夏が指先でなぞる。爪の先まで神経の行き届いた、細くしなやかな指だ。その指が、私の膝に載せたカメラの上をかすめる。

「この辺、もう少し引きで撮りたかったな」

何気なく声にしたつもりだったが、喉は少し掠れていた。彩夏は答えず、じっと液晶へ視線を落とす。長いまつげが頬へ細い影を投げ、午前の陽射しの下でさえ肌が透き通るように白い。妊娠を経ても、出産を経ても、この女の背中や脚線は高校生の頃と少しも変わっていない。いや、むしろ肉づきに丸みが増し、女としての密度が濃くなった。私が高三の秋、初めて彼女の腰へ手を回したあの放課後の熱が、今日の芝生の照り返しの中へ何の断りもなく重なる。

昼休憩を知らせる校内放送が入ると、保護者たちは一斉にレジャーシートの上へ弁当を広げ始めた。彩夏も重箱を取り出し、私に割り箸を手渡してくる。玉子焼き、唐揚げ、ほうれん草の胡麻和え、ミニトマト。隙間なく整然と詰められた弁当は、彼女が昨夜遅くまで台所に立っていたことを雄弁に物語っていた。

私たちは言葉少なに昼食を取った。翔太はクラスの友人と教室で食べると言って、保護者席のテントの向こうへ駆けてゆく。彩夏が「行ってらっしゃい」と手を振ると、息子の友人数人が一斉にこちらを振り返り、にやにやと口元を緩ませながら小声で囁き合った。

「翔太の友達、みんな活発でいいわよねえ」

彩夏はのんびりした声で空を見上げた。薄い筋状の雲が流れ、正午の光が容赦なく地面を焼いている。白い喉がこくりと上下する。

「あんた、今日は一段と声出してたな」

私は唐揚げをつつきながら言った。彩夏がハンカチで口元を押さえ、くすりと笑う。

「だって、翔太が出るとやっぱり力入るもの」

そう言って彼女は残りの卵焼きを箸でつまみ、行儀よく唇へ運んだ。私はその薄く開いた唇に、昼前の陽気とは別種の熱い湯気が立ちのぼるのを幻視する。喫煙所の少年たちも、きっとこの食事姿を見ている。後ろから、横から、斜めから。あの黄色いバケツの傍らで煙草をふかしながら、彼女の全身を品定めしているのだろう。

食後、水筒の麦茶を飲み干すと、決まった習慣のように煙草が吸いたくなった。この学校は敷地内が原則禁煙だが、保護者向けに校庭の片隅、校舎の壁沿いへ簡易の喫煙スペースが設けられている。黄色いバケツがひとつ置かれただけの粗末な場所だ。水の張られていないその容器に、吸い殻と灰が小山を作っている。午前中からあの少年たちがそこへたむろしているのは不愉快だったが、私が注意をためらったのは、波風を立てるのが面倒だったというより、彼らの生意気な眼差しに何かを値踏みされているような気がしたからだ。

当時の私には、この腹の奥の曖昧な痺れを名付ける言葉がなかった。ただ、煙草を吸えば落ち着くだろうと思った。立ち上がると、彩夏が空いた重箱を重ねながら私の顔を見上げてくる。

「あんた、まだあそこに行くの? 子供たちがたむろしてるのに」

「一服だけだよ。すぐ戻る」

彩夏は一瞬、何か言いたげに唇を開いて、結局小さく頷いた。その瞳に、昼の陽を受けた私の姿が映り込む。私も彼女の喉元から鎖骨、そして白いカットソーの胸元へ落ちる汗の光を視界の端で追いながら、喫煙所へ向かって歩き出した。

舗装された校庭の端、校舎の壁際へ近づくほど、草いきれと土埃の匂いに混ざって、若い男の汗と制汗剤の混じった生温い匂いが濃くなる。体育着姿の少年たちは四、五人の塊になって立っていた。中心にいる工藤蓮が、金に近い茶髪の寝癖を指で乱暴に掻き上げ、切れ長の黒い目をこちらへ向ける。煙草を吸う手は止めず、だるそうに後頭部を白い壁へ預けていた。隣の黒髪マッシュの藤堂海斗はタレ気味の二重瞼を緩ませ、薄い笑みを浮かべて何かをくくっと笑う。口元だけが異様に幼く歪む、油断のならない静けさがあった。

私は黄色いバケツの傍らへ立ち、胸ポケットから煙草を取り出した。ライターで火を点けるふりをして、彼らの会話を聞くでもなく耳へ流す。紫煙が白い壁を這い、乾いた熱気の中へ薄くほどけていく。

「蓮、見てみ。あそこのお姉さん、超可愛くね?」

マッシュ頭の少年ではない、背の低い坊主刈りの少年が顎で保護者席を指した。声の調子には舌足らずな甘えが混じっている。

「ああ、さっきから見てるわ。あれ、翔太の母ちゃんだろ。ありえねぇよな」

工藤蓮が煙を天へ吐き出しながら応じる。声は低いのに、どこか眠たげで、それでいて耳へねっとり絡む。

「やべぇ、いいケツしてんな。やりてぇ……」

続いたのは藤堂海斗の声だった。感情の起伏がほとんどないのに、語尾だけが妙に湿り気を帯びている。紫煙の向こうに彩夏の座るレジャーシートが見える。彼女は片膝を立てて弁当箱を片づけており、スカートの裾が風で浮かないように手のひらで押さえている。その丸みを帯びた膝の曲線、カットソーの背中にくっきり浮かび上がる下着の線、汗で透けた肌の色。少年たちの目はそれらを余すところなく舐め取っている。

心臓が変則的な音を立て始めた。怒りではない。嫉妬だけでもない。腹の底からせり上がる正体不明の動悸が、喉の奥で脈打つ。私の握る煙草の先が小刻みに震えた。自分が今、どんな顔で少年たちの視界の中に立っているのか分からない。

「てかさ、あのお姉さん、しゃがむとき膝閉じないから、パンツぎり見えそうだったよな。白っぽいのがちらっとした気がするし」

さっきの坊主刈りの少年がまた声を潜める。湿った好奇心が言葉の端まで滲んでいた。

「おまえ、そればっか見てんなよ。まじ、キモいんだけど」

そう返した工藤蓮が、火種の短くなった煙草を指先で回し、口角を上げる。

「キモくてもよくね? だって、めちゃくちゃいい身体してるじゃん。何組の親だろ。翔太の母ちゃんって、あのチビの?」

「まじ? あの翔太の?」

「そうそう。三十過ぎであれとか反則だろ。妹って言われても通るっしょ」

下卑た笑いが塊から弾けた。私は煙草を二口目まで吸って、それ以上この場所にいるのが耐えられない。胸のうちで「いいだろ俺の嫁だぞ」と唱える。けれど、その言葉が内側で反響するたび、身体の中心が熱を帯びて膨れ上がるのを自覚してしまう。こいつらが見ているあの太腿も、胸の膨らみも、数年間、同じ家の中で当たり前のように隣にあったものだ。それが今、少年たちの濁った眼差しを経由した途端、卑猥な輪郭をまとい始める。

煙草をもみ消した。黄色いバケツの縁へ白い吸い殻を押し込むと、中に溜まった灰が風に巻かれて靴先へ落ちる。私は振り返らずに彩夏の許へ戻った。戻るあいだ、自分の歩幅がいつもより不自然に小さいのが情けなかった。太腿の内側が、歩くたびに湿った空気を挟んでいる。

シートへ戻ると、彩夏が食後の麦茶を飲みながら、私のビデオカメラの小さい液晶に見入っていた。翔太が組三位に入った瞬間の静止画を、彼女は何度も指でこすっている。その瞳には母としての純粋な喜びが溢れていて、先ほどの薄暗い会話を塗りつぶすほど無防備だ。

「見て、この顔。ゴール前で必死になったときの顔」

「ああ、頑張ってたな。あの子らしい」

私は彩夏の隣に腰を下ろし、膝のあいだで両手を組んだ。彼女は私の顔をちらりと見て、またカメラの画面へ視線を落とす。白いうなじには汗が光り、むき出しのふくらはぎに芝の青い匂いがまとわりついている。その汗の粒を、あの少年たちは舐めるように見ていたのだろうか。

「午後は何があるの」

「障害物競走と、部活対抗リレー、それから綱引きの決勝だな。翔太は障害物に出るんだろ」

「そうなの? 見たいわ。場所、移動しないと」

「保護者席、午後はもっと混みそうだな」

私はそう言いながら背後を振り返る。黄色いバケツは、この位置からだと校舎の白い壁に半分溶けて見えた。紫煙はもう消えているが、あの生温かい灰と汗の匂いがまだ鼻の奥にこびりついている。私の腹の底で、少年たちの舌足らずな声が反響する。やべぇ、いいケツしてんな。やりてぇ。妻が性の対象として視られている。そして私はそれを、同じく男の劣情をもって受け止めている。

やがて午後のプログラム開始を告げる放送が、校庭に機械音を響かせた。『間もなく午後の部を開始します。係の生徒は速やかに担当場所へ移動してください』。保護者たちがのろのろと腰を上げる。

彩夏が立ち上がり、スカートの裾を両手で丁寧に整えた。短い裾から覗く膝裏のしっとりした窪み。土踏まずからふくらはぎへ流れる白い線。その先の、か細く伸びた足首。長い黒髪が背中を滑り落ち、高い位置で結んだポニーテールの束が動きに合わせて左右へ揺れる。

「先にちょっとトイレ行ってくるわ」

彩夏が日陰のほうを指さし、私に軽く手を振った。

「ああ、荷物は置いとけよ。持って行かなくていいから」

彩夏はこくりと頷き、小さなポーチだけを手に取って歩き出した。白いふくらはぎが土埃の上を滑るように進んでいく。その後ろ姿を、私は目で追いながら、行かせなければよかったのだろうかと考えていた。だが、何が起こるという予感はない。ただ、彼女の白い肌がこの熱い午後の光のなかで季節外れに柔らかく、遠ざかるほど私の手の届かない場所へ流れてゆくように思えて、軽い胸騒ぎに似ただるさが眉間の裏にべっとり張りついた。

私はもう一度だけ喫煙所の方向を見た。黄色いバケツのそばに、あの少年たちの姿はない。だが、彼らの残した煙草の匂いだけが、かすかに白壁へ染みついている。私はビデオカメラを抱え直し、午後の撮影位置を確保しようと歩き出す。更衣用テントの向こうで、女子生徒たちの黄色い歓声がはじけた。日常はまだ、私の目の前で当たり前のように続いている。妻のふくらはぎを見送ったあの瞬間の胸騒ぎを、私は「暑さのせいだ」と片づけて、校庭のざわめきの中へ混ざっていった。

第3章 体育館裏の断水、錆びた蝶番の隙間から覗いた白い脚を押し開く少年の指

第3章のシーン

第3章: 体育館裏の断水、錆びた蝶番の隙間から覗いた白い脚を押し開く少年の指

放送が午後の部の開始を告げてから、保護者たちの塊がゆっくりと競技スペースの方へ流れはじめた。私はビデオカメラのバッテリー残量を指先で確かめながら、彩夏が戻るのを待つためにレジャーシートの端に立ったまま、校庭のざわめきを背中で聞いていた。十月の陽射しは相変わらず容赦なく、地面から立ちのぼる草いきれと土埃が鼻の奥に絡む。あれから十分は経っているはずなのに、白いカットソーの後ろ姿は人波の中に見当たらない。私は一応ポケットへ手を入れ、スマートフォンを持ち出していないことに気づいた。充電が残り少なかったのを思い出し、朝のうちにバッグへ入れたままだったのだ。

時計を見ると、午後一時を十五分ほど過ぎている。障害物競走の第一組が入場を始める合図がかかった。放課後の部活動で使うというカラーコーンが何本か運ばれ、生徒たちが短い拳を突き上げて歩いていく。私は立ったり座ったりを二度繰り返し、最後にシートの端を砂の重石で押さえて歩き出した。妻がいないだけで、校庭の熱気が急に知らない場所の様相を見せる。

校舎側のトイレは渡り廊下の突き当たりにあった。格子の昇降口を抜け、薄暗いコンクリートの打ちっぱなしを進むと、数人の保護者らしき女たちが壁の前に集まっていて、張り紙を覗き込んでいる。断水のため使用停止、という黒い文字が黄色い地の紙に書かれていた。周囲の女たちは困ったように顔を見合わせ、体育館のトイレなら使えると手で方向を示されている。その言葉を浴びた人々が、汗をかいた素足の甲をぺたぺた鳴らしながら体育館方面へ折れていく。私もその流れに半ば押されるようにして、校舎とテニスコートのあいだの舗装を渡った。

体育館の白い壁が西日を腹いっぱいに受けて眩しい。側面の大きなガラス窓がむき出しで、中からバスケットシューズの底が床を擦る甲高い音が途切れ途切れに漏れてくる。部活の練習でもしているのだろう。渡り廊下の屋根が途切れるあたりで、私はふと妻の名を呼ぼうとしたが、喉まで出かかった声は急に目の奥でつっかえた。呼んで応えがなかったら、そのとき本物の不安になってしまう気がしたのだ。それよりも、自分の足を前に進めて探すほうがまだましだった。心臓が普通の速さでなくなってからも、私は「まさか」の言葉を胃の裏に呑み込み続けた。

体育館を半周したところに、灰色の鉄製の扉があった。体育倉庫だ。マットやハードル、陸上用のハードル台やロープ類を押し込めてある場所で、普段は南京錠が下がっているはずなのに、今日は錠の金具が外れたまま、扉が数センチ開いている。扉の蝶番には錆が浮き、赤茶けた染みが雨だれのあとと重なって壁にまで這っていた。私はその隙間から、自分の名を呼ぶようなかすれた音がした気がして、足を止めた。いや、違う。もっと低く、喉を塞がれたようなうめき声だった。歌うように伸びるのではなく、息をかみ殺して吐き出すような、ぬるい音。私は口の中が乾くのを感じながら、蝶番の隙間に右目を寄せていった。

視界のほとんどは暗い。十月初旬の午後、あれだけ強かった陽射しも、倉庫の奥へ届かない。剥き出しの蛍光灯が一本、壁のスイッチ近くで青白く点滅している。埃と薬品の匂いが扉の隙間から流れ出ていた。目が慣れてくるにつれ、積み上げられた青い体育マットの手前、床に敷かれた薄いマットの上に、人間の身体が組み敷かれているのが見えた。

女だった。私の妻だった。彼女は仰向けに寝かされ、華やかな黒髪が乱れて床に広がっていた。ポニーテールを結っていた白いリボンはほどけかけ、汗で首筋に張りつく髪の先が何本も口元にかかっている。白いカットソーが胸のふくらみを避けるように大きく乱れ、右の鎖骨から肩までがむき出しになっていた。下着の白いストラップが腕のあたりでねじれ、カップの縁から乳房がこぼれそうな角度で、手のひらがそれを上から掴んでいた。

その手の主は工藤蓮だった。彼は膝をつき、片手で彩夏の胸をつかまえると、指先に力を入れて白い膨らみを潰すように揺らした。私の見ている前で、工藤は首をかしげ、まるで果物の熟れ加減を確かめるみたいに五本の指をゆっくり食い込ませていく。妻の口には丸めた白い布が押し込まれていた。布の端だけが唇の端から覗き、唾液を含んでしっとり重たそうに垂れていた。左右の手首は頭の上で交差させられ、汗のついた体操着が縛ってある。さらにもう一本、袖なしの体操着が足首に巻かれ、ロープのように二重に撚られていた。

工藤の斜め後ろで、藤堂海斗が腹這いに近い姿勢になって、彩夏のスカートの裾を握り込んでいた。黒髪のマッシュが汗で前髪の先だけ額にへばりつき、タレ気味の二重瞼をじっとり開いて下の方を覗き込んでいる。彼の白い小さな手が妻の太腿にかかり、汗ばんだ内股を左右へ押し開きはじめた。私は乳白色の皮膚が薄暗い中に浮かび上がるのを見た。膝の内側から、しっとりと光る太腿の先まで、太い血管の走る淡い部分がすべて晒されていく。

声も、体も、動かなかった。私の足裏は剥がれたゴムのように地面に張りつき、呼吸だけがやけに大きく、熱を帯びて鼻から漏れ続けた。助けなければ、と思う。私の中の冷静な声が、扉を蹴破れ、叫べ、大人を呼べ、と掻き立てる。拳は固く、爪は掌に食い込んでいた。それなのに、どうして足首から下だけが腐ったように持ち上がらないのだろう。胸が締めつけられ、奥歯が噛みしめられる。目の前で、藤堂の指がさらに彩夏の太腿の内側を割り込ませ、押し開かれた脚の中心がひらかれようとしていた。

「うわ、すげぇ汗。ここまでびっしょりじゃん」

藤堂の声が小さく弾んだ。

「お姉さん、自転車でも乗ってきたの? 太腿の内側までこんなになってさ」

工藤が手の平で乳房をゆっくり撫で上げながら答えた。

「走ってきたんじゃない。女の身体って、そういうとこから汗かくもんなんだろ」

私は彼らの会話を、自分の中の怒りとは別の耳で聞き取っていた。鼓膜が内側から張り裂けそうなほど脈打つのに、二人の声だけが信じられないほど明瞭に並んで届く。藤堂は彩夏のスカートをもう片方の手でたくし上げ、純白の布の下から、恥ずかしげに窪んだ腹の線へと視線を這わせた。下着も白で、中心の布は斜めに食い込んでいた。汗と、もっと別の親密な水分が布地をわずかに濃く染めているのが、薄明かりの中でも見えた。

私は無意識のうちに扉の枠へ指を這わせていた。錆びた蝶番の表面が指先にかすれたざらつきを残す。そこに体重の一部を預けた瞬間、右足のスニーカーの底が、砂利混じりのコンクリートを擦って小さな音を立てた。かつ、という乾いた物音だった。倉庫の中で、工藤の肩が止まる。藤堂の手が、開いたまま妻の足に触れたまま硬直する。私は咄嗟に身を低くしたが、その動作自体が自分の耳にもひどく鈍く聞こえた。

扉の内側から、床板を踏み抜く音が近づいてくる。私はまだ、そこから逃げ出せなかった。頭のどこかでは、いや、むしろ見つかることをどこかで望んでいたのかもしれない。自分を庇う吐息と、自分を責める心が同時に渦を巻く。股間は、意思に反して熱く強張っていた。私の目は、扉の隙間の向こうで妻の白い脚を押し開く少年の指から、どうしても離せないままだった。倉庫の中からは、彩夏の声にならないうめきと衣擦れの音が断続的に続いていた。

第4章 視姦から共犯へ、じゃんけんで決めた順番に妻を犯し、蹴り倒され闇に沈む夫

第4章のシーン

扉の向こうで床を踏む足音が大きくなるにつれ、私の呼吸だけが妙に静かになっていく。喉の奥の肉が張りつくような感覚があった。逃げなければと思うのに、靴の裏は地面というより自分の鼓動に釘で打ちつけられている。胸の内側で心臓が早鐘を打ち、背筋を一筋の汗がつたい落ちた。錆びた蝶番が耳障りな音を立てて扉が内側へ開かれた。真っ先に飛び込んできたのは、倉庫の匂いだった。汗と土埃と、何か甘ったるいような、それでいて鼻の奥を刺す生温かい臭い。その臭いを吸い込んだ瞬間、唾が変に甘く感じられ、胃の真ん中がゆっくりと持ち上がる。ああ、ここはただの体育倉庫じゃない。若い雄の匂いが壁に染みついた、嗅ぐだけで身体がおかしくなりそうな場所だ。

「あれ、さっきの人じゃね? タバコ吸ってた」

藤堂海斗の舌足らずな声が、暗がりのすぐ近くで弾んだ。私は肩口を掴まれる前に、右腕を後ろへ引こうとしたが、手のひらは宙を掻いただけだった。工藤蓮の太い指が私の手首を囲い、骨ごとねじるような力で倉庫の中へと引き寄せる。十四歳とは思えない握力だった。成長途中の指の節が、まるで小石の塊みたいに硬い。足がもつれ、視界が一瞬ぶれた。灰色の床が斜めに迫り、埃まみれのマットの匂いが顔いっぱいに広がる。

「おっさん、覗きとか趣味わりぃなあ」

誰の声か判別できないほど、少年たちの笑い声が重なった。笑い声に混じって、運動場から聞こえる笛の音と歓声が、別世界の出来事のように倉庫の壁の外で揺れている。私は床にうつ伏せのまま、両腕を背中の上でまとめられ、乾いたロープと体操着を器用に束ねた紐で巻かれていく。巻かれるたびに手首の皮が切れるように痛み、逃げる選択肢が一センチずつ削り取られていくのが分かった。なのに心臓は、恐怖よりも先に妙な昂ぶりで脈打ち始めている。首をねじると、すぐ横に妻の木村彩夏が横たわっていた。白いカットソーが胸の上で乱れ、へそが見えるほど裾がめくれ上がっている。彼女の琥珀色の瞳は、涙の膜を張ったままゆっくりと私のほうへ動いた。私の顔を見た瞬間、瞳の光がわずかに揺れ、唇に詰められた下着の端から細い唾液が伝った。助けて、と目が言っていた。声にならない声が、喉の奥で引き裂かれるように掠れていた。

その目を見た瞬間、私の腹の底で二つの衝動が激しくぶつかり合った。助けなければ、という理性は、目の前の彩夏の乱れきった白い太腿に吸い寄せられていく視線と激しくせめぎ合う。あの足を閉じさせたい。今すぐ、あの太腿のあわいを隠してやりたい。そう思う。間違いなく、夫としての本能がそう叫んでいる。だが、その叫びのすぐ裏側で、別の声がささやくのだ。いや、もっと見ろ、と。閉じるな、開いたまま晒せ、と。心拍数が耳の奥で数えきれないほど跳ね、シャツの下に汗が一気に吹き出した。汗は背中を伝わって腰のくぼみに溜まり、その下のズボンの中では、血流が一箇所に集中して脈打つ。いや、見てはいけない。夫なら、あの足を隠してやるべきだ。そう考えた端から、視線は彼女のめくれた裾と太腿の白さを、喉を鳴らすように追っていた。手の震えが止まらない。縛られた両手は拳になり、指の間に爪が食い込む。この股間の熱さが、怒りなのか、それとも別の何かなのか、私自身もうまく分からなくなっている。

「夫婦で覗くとか、むしろ燃えるわ。こいつにだけは見せたくなかったけどな」

工藤が私の背中に靴の底を押し当て、ぐっと体重をかけた。肋骨が床に押し潰され、苦い空気が強制的に肺から逃げる。だが、その痛みと同時に、鼻の奥に入り込んでくる倉庫全体の生暖かい臭いが、なぜか息を深くさせた。少年たちの汗の匂いと、彩夏の肌から立ち上る甘い何かが混ざり合っている。首を上げようとすると、別の少年が私の口へ丸めた体操着を無理やり押し込んできた。汗の染みた布の味が舌に広がり、歯茎がしびれて息が詰まる。まるで彼らの汗を舐めさせられているようで、口腔いっぱいに若い雄の味が充満した。

「見てんじゃねぇ」

工藤は低く言い放つと、私の脇腹の柔らかいところを爪先で蹴り上げた。小さく唸ることしかできないまま、胃液が逆流するような熱が腹の内側を走る。痛みで目の奥が白く明滅する。それでも、私の視神経は彩夏から離れなかった。蹴られた衝撃で身体が床を転がりかけて、なおも彼女の太腿、乱れた胸元、汗で光る首筋を探してしまう。彩夏が何か叫ぼうとしたのか、首を小さく左右に振った。黒髪が汗で頬に張りつき、乱れた白い胸元が浅い呼吸に合わせて震えていた。

少年たちは私の身体を扉から二メートルほど奥へ転がし、マットの端に押しつけた。目の前で、工藤が腰に手を当てて見下ろしている。薄暗い蛍光灯の光が、彼の金に近い短髪と、体操着の袖を捲り上げた腕に汗の筋を作って落ちていた。小学生上がりのような子供の顔があっても、肩幅は大人びて厚い。体臭は濃く、汗の下に混じる青臭い雄の匂いが、床に伏せた私の高さまで沈んでくる。こんな場所でなければ、ただの生意気な中学生だ。いや、違う。こんな場所だからこそ、こいつらは自分たちが男であることを疑っていない。

「で、どうすんの? せっかく旦那も来たし、見せつけてやる?」

藤堂が首をこてんと傾けて笑った。

「順番、じゃんけんで決めようぜ。フェアだろ」

工藤の提案に、他の少年たちが低く頷く。三人、いや四人。暗がりで輪郭がぼやけていて数えきれない。床に座り込んだ少年たちが、白い指を一斉に握る。その指の節が蛍光灯の明滅に合わせて浮かび上がっては沈んだ。じゃんけん、ぽん。二度、三度と拳が重なり、声にならない勝ち抜けの合図が続く。彼らが拳を振るたび、体操着の袖から立ちのぼる汗の匂いが空気を揺らす。勝ったのは藤堂だった。彼の黒い瞳が、上の方でちかちか光る。

「俺、初抜き。お姉さんのここ、入れていい?」

藤堂は彩夏の足元にしゃがみ、既に乱れたフレアスカートの裾を握ったまま、指先で内ももを撫で上げた。妻の両脚は、まだ抵抗の名残で強張っていて、白い膚に汗がむらになって浮いている。藤堂はその太腿を両手で割り開き、黒い髪を垂らしたまま彼女の中心を覗き込んだ。下着はすでにずり下げられ、白い布が片足の膝裏に絡まっている。彼女の陰部が、薄暗い中でもはっきりと赤みがかって見えた。汗と尿の匂いとも違う、生々しい女の匂いが、私の鼻を容赦なく打った。

その匂いを嗅いだ瞬間、私は自分を殴りたくなった。助け出さなければいけない瞬間に、男としての嗅覚が妻の熟れた匂いを追いかけている。頭の芯ではやめろ、目を背けろと叫んでいるのに、心臓はさらに性急に脈打ち、シャツは汗で背中に貼りつく。股間の熱さは痛みに近い。見るな、今すぐ動け、助けるんだ。私の理性は何度もそう命じた。しかし、指一本動かすより先に、視線が、呼吸が、彼女の脚の間へと吸い込まれてしまう。下腹部が熱を帯び、男の部分が意志に反してずるりと持ち上がろうとする。鼻から吸う空気が喉の奥で重たく渦を巻いた。この期に及んで、興奮している。その事実が、胸の内を火箸で掻き回すように苦しい。

「やべ、濡れてる。おしっこしてるみたいになってる」

藤堂は感心したような声をもらし、短い肉棒を体操着の下から引っ張り出した。私は背中の拘束に逆らいながら、妻の秘部が少年の細い指で押し開かれるのを見ていた。小さな陰唇が左右へ離され、桃色の襞が白っぽい液にまみれてかすかに震えている。そこへ藤堂は膝を割り入れ、一気に腰を突き出した。

「う、ぁ……っ」

彩夏の背中がマットに小さく弓なりになる。口の布越しにくぐもった悲鳴が漏れ、首がのけぞったまま数秒、震えていた。妻の中で、少年の肉棒が押し込まれていく。藤堂の細い腰が一度止まり、また浅く引き抜かれて、それから噛みしめるように再び突き込まれる。ぎち、という粘膜の擦れる音が聞こえた。妻の膣は肉棒をくわえて襞をめくれさせ、繋がった部分から白っぽいものと透明な液が混ざって光った。

私は何度も唾を飲みこんだ。視界の中で妻が貫かれている。それを見ている自分は、夫ではなく、まるでこの場所に立てられた一本の杭のように身動きできない。心臓が胸骨を内側から叩き、手首を縛る紐が汗で湿っていく。縛めの下で手のひらが小刻みに震え、爪が肉に食い込む感覚が現実を保たせていた。歯を食いしばりすぎて、頬の内側に血の味が滲む。こめかみから汗が流れ、目の縁に染みた。痛いはずなのに、その痛みすら、今は興奮を誤魔化すための材料になっている。頭では、やめろ、と叫んでいる。しかしズボンの中で、私自身のものが脈を打ち、硬く膨張していく。助けたいのに、見ていたい。いや、正確には、助けるべきだという声の向こうで、もっと見てしまう。その矛盾が腹の底に黒い染みのように広がっていく。己が悍ましい。それでも目が離せない。この自己嫌悪すら、熱を高める薪になっているような気がした。

「うわ、あっつ……お姉さん、中ぎゅうぎゅうする……」

藤堂が震えた声をもらしながら、彩夏の両脚の裏に手を差し込んで折り曲げた。脚が割り開かれ、膝が彼女の肩に近いところまで持ち上がる。スカートの裾は完全に腰に押し上がり、白い山形の下生えと、赤く開かれた入り口が丸見えになった。肉棒が出入りするたび、内側の襞が少し裏返しになって戻され、腹の奥から搾り出すような低い水音が何度も繰り返される。

私はロープの下で両手を拳にして、額を床に擦りつけながらも、目だけは二人の接合部から離せなかった。頭の中ではやめろと叫んでいるのに、ズボンの前は布を突き上げるように固く膨らみ、腰の内側が重くうずいていた。助けるべきだ、という義務感が胸を焼く。だが、それ以上に、妻が他の男に使われている。中学生に犯されている。それを見て、私の一部は罰を受けているような安堵すら覚えている。汗で前身ごろがぐっしょりと湿り、太腿の裏まで熱が回っていた。怒りで手のひらに爪が食い込む。それなのに、腹の下は火口のように脈打ち、呼吸は浅く、股間を床に押しつけたくなる衝動を必死で抑え込んでいた。私という人間の芯が、二つに割けていく。片方は夫で、もう片方は、妻の痴態に粘つく唾液を喉へ溜める一人の雄だった。

「すげぇ、丸見えじゃんか。やべぇ、なにこれ」

「おっぱいも出してやれよ。見とくだけ損だろ」

工藤が近づき、彩夏のカットソーの襟元をひと思いに下へ引っ張った。ぷるぷると震える二つの乳房が、白い胸元からこぼれ出る。三十四歳の妻の乳房は、重力に逆らうように膨らみ、先端の色は薄く紅の差したようだった。工藤はその頂を指先でつまみ、摘んで捻る。

「おいおい、力入れすぎて乳首赤くなってんじゃん。これ、最初から乳首立ってた?」

藤堂が彩夏の中を突きながら笑った。妻は口を塞がれたまま、苦痛と別種の生理的な反応がないまぜになった表情を歪ませている。涙が目尻から流れ続け、汗と混ざってこめかみに黒い髪を張りつかせた。彼女は私に助けを求めていたはずなのに、今はもう私を見ていない。いや、見ることを拒んでいるのかもしれない。私自身が、彼女の痴態に射精しそうになっている夫なのだから。

その瞬間、私の身体は二つに引き裂かれそうになった。妻を守るために立ち上がれ、と頭の中で声がする。あの足を隠せ、この目を閉じろ、夫ならば正気を保て。しかし、目は彼女の乳首が少年の指に摘まれ、痛みに震える姿を焼きつけている。耳は、少年の肉棒が彼女の中で水音を立てる微かな音を、逃すまいと穴のように開いている。心拍数は相変わらず異様に速く、太腿の内側が引きつるほど熱くなった。自分の身体が、助ける方向へではなく、その場で見つづけるためにだけ動いている。動けないのではなく、動かしたくないという暗い声が、腹の奥でとぐろを巻いているのだ。醜い、汚らわしい、それでも目玉が燃えるように彼女を追う。自分自身の獣性に、吐き気がするほどなのに、吐き気と快感が喉の同じ場所で渦を巻いていた。

「奥、あったけぇ。なんかごちゃごちゃ動いて、すげぇ絡んでくる……あ、もう出ちゃいそう……」

藤堂の幼い声が裏返り、腰を前後に震わせた。二度、三度と尻を痙攣させ、深く突き入れたまま身体を硬直させる。私は妻の首が引きつり、脚の指先がぎゅっと折れ曲がるのを見た。藤堂が最奥に精を放っている。ドクドクと送り込むような律動が、彼の薄い腹のへこみから見て取れた。引き抜いた肉棒から、白い液が妻の入り口をつなぐように糸を引いて垂れる。

「はー、きもち。中、マジで吸いついてきたけど」

藤堂はまだ勃ったままの肉棒を揺らし、恥ずかしがるふうもなく後退した。入れ替わるように、工藤が自分の半ズボンを床へ落とした。妻の身体はマットの上にぐったりと背を預けている。しかし工藤が片足の踝を掴んで持ち上げると、彼女はようやく抵抗の素振りを見せ、自由にならない両手首を胸の上で揺らした。

「動けねぇだろ。おっさん見てるから、もっとはしたない声出させてやる。お姉さん、声出したら旦那が喜ぶかもな」

工藤がそう言って、膝の裏へ肩を入れた。妻の中へ、先ほどとは比べ物にならないほど太い肉棒が沈んでいく。彼女の口から、布越しにひゅう、と空気の抜ける音が漏れた。私の目の前で、妻の柔らかい腹が小さく突き上がり、汗ばんだ乳房が波打つ。工藤の腰は最初から容赦がなかった。パン、パンパン、と骨盤と骨盤がぶつかる乾いた音が倉庫の壁を揺らす。彼が突き込むたびに、彩夏の頭が首から垂れて、黒髪が床を擦って乱れた。

胸の奥で罪悪感が叫び声を上げていた。こんなものを見ている夫がどこにいる。妻の苦痛と恥辱を、拳を握って受け止めるだけだなんて。首をもたげる思考とは裏腹に、私の眼窩の奥は熱を持ち、痛みと怒りと、そして滲むような快楽が一つに溶けていく。助けるべき瞬間は何度もあった。扉が開く前も、工藤に捕まる前も、藤堂が妻を貫く前も。だが、私の身体はそのたびに、憤怒よりも強い何かで縫いとめられていた。心臓が耳の奥で拍手みたいに鳴っている。汗が目に入って視界が滲んでも、まだ彼女を見ようとしている。股間は暴力的に硬く、何かから目を離せない分だけ、恥ずかしいほど熱を持って脈打っていた。ああ、私は最低だ。妻が目の前で辱められているのに、こうも昂る自分は、あいつらと何も変わらない。いいや、夫である分、余計に底が深い。歯の根がきしむまで噛みしめて、それでも目だけが、舐めるように妻の肌を這った。

「中、すっげぇいい感じにぬるぬるしてきた。ほら、これがお前の嫁のマンコだよ、奥に指突っ込んだら掴んでくんだけど、わかる?」

工藤がこちらを振り向き、妻と繋がったまま片手を入り口の上へ伸ばした。親指で充血した陰核を押し潰し、肉棒をゆっくりと引き抜く。ぐぷ、と重い音がして、半ばまで露わになった肉棒が、妻の愛液と精液の混じった液でぬらぬらと光っていた。彼女の膣口は肉棒を吐き出しかけて、赤い粘膜をぴったりと張りつかせている。もう一本の少年の手が妻の乳房を下から掴み、潰れた先端をあらわに見せた。

私は視界から逃げたかった。しかし、目の奥がしびれるほどそれを焼きつける。逃げるな、と腹の底の暗い声が命じた。いや、逃げたい。だが瞼が下ろせない。鼻の奥には、汗と精液、それから微かなタバコのヤニの匂いが混じり合った、倉庫だけの臭いが充満していた。あの喫煙所で吸っていた煙草の残り香と同じ、苦くて乾いた匂い。黄色いバケツに押し込んだ吸い殻の煤けたすすけ臭さまで、妻の肌にまとわりつき、犯されるたびに濃くなっていく気がした。匂いまで快楽に変わりかけている。鼻腔の奥がきりきりと痺れ、脳髄に甘い毒が回っていくようだ。

やめろ、と喉の底で叫んだ。舌は体操着の繊維に絡まり、声は口の中で押し潰される。それでも私の目は、妻の赤く開かれた入り口から目を離すことができない。心臓はさらに鼓動を速め、額の汗は止まらない。股間の疼きだけが、助けるという意志のすぐ隣で、まるで別の生き物のように私自身を侵していく。妻の痴態が映るたびに、視神経が甘く痺れる。腹の下が、殴られたときとは別種の痛みで絞られるように縮み上がった。感情が裂けている。夫としての怒りと、雄としての興奮が、互いの首を絞め合いながら、どちらも私を手放そうとしない。手の震えはもう怒りのためか、欲望のためか分からない。縛めの中で指先がひくつくたび、背骨の奥に冷たいものが走って、そのあと必ず下腹が熱くなった。

「私の妻なのに……」

口に布を噛まされたまま、私は喉の奥だけで呟いた。その抗議すら、自分の股間の熱を言い訳するために聞こえた。私のものだと叫ぶほど、妻の身体は少年の肉棒に逆らいきれない反応を返している。彼女の内ももが白く泡立つ。腰が震え、脚の先が時折ぴくりと跳ねて、マットに汗の跡を点々と落とした。私という男のすべてが、今、悍ましい方向へ流れていく。助けたい、助けられない、そのちぐはぐさが熱を増幅させて、心の表面を灼いていくのだった。

「さぁ続きはじめるか。次、早く抜いたやつが次の番な」

工藤が片手を振って、腰を再び動かし始めた。彩夏の顔から力が抜け、閉じられた瞳の下で黒いまつげが震えている。それでも、少年が出した精液を受け止めた腹の奥が、別の少年を待っているようにも見えてならなかった。実際、待ちかねた別の一人が妻の頭側へ回り、初めて彼女の上に覆いかぶさる。正常位のまま再開された抽送で、妻の胸が下から別の少年の手に揉み潰され、乳首が指のあとをつけて赤く腫れていく。

ああ、なんて浅ましい夫だろう。怒りと嫉妬で胸が張り裂けそうなはずなのに、私は妻の肌に残る少年たちの指の痕を、目で追うのをやめられない。呼吸のたびに生暖かい空気が肺の奥まで入り込み、汗ばんだ胴へと染みていく。恐怖と興奮が血管の芯を駆けめぐり、心臓はちぎれそうなほど脈打っていた。助けるのか、見ているのか。もう、自分の立っている場所さえ分からない。分からないままで、股間の熱だけが、確かな輪郭を持って存在している。自分で自分が食い荒らされていくようだった。頭の中の夫が、雄に食い破られて、砕けた理性の破片が目の奥を熱くしている。

「お姉さん、声、もっと出していいよ。旦那に見られてるって思うとどう? 俺はたまんねぇな」

妻は答えなかった。答えられるはずもない。けれど、その沈黙がかえって少年を駆り立てた。パンパン、ぱん、ぱっぱん、と段々速くなる肉音が、ちょうど運動場から流れてくる応急処置用の笛の音と、どちらが近いのか分からない。体育祭はまだ続いていた。妻の身体を打つ音は、競技が盛り上がっている遠い歓声を食い裂くように響いた。

二度目の射精は、妻の腹の上へ放出された。少年が引き抜いた途端、しずくが跳ね、閉じきらない妻の赤い入り口から白濁がにじみ落ちる。次に選ばれた少年が、妻を横向きにさせて片脚を持ち上げ、立膝のまま横から突き入れた。深く、鈍い音がした。彩夏は喉を反らせ、口の布がわずかに外れかかる。彼女の細い声が一瞬、直接の泣き声になって漏れた。

「んぅ……あ、い……や……」

少年は聞いていない。いや、聞こえているからこそ、動きを速めた。横向きに倒れた妻の白い臀部が、少年の下腹に打たれるたび、柔らかく跳ねてはマットに沈む。骨盤がずれる感覚さえ言葉にできないまま、私は無理に顔を上げた。もう一人が妻の顔を見下ろしながら、硬くなったものを握っている。妻は唇を震わせて首を振ったが、その口へ少年の肉棒が無理やり割り込んでいった。

「うぐ、ぅ……っ」

私の鼓膜は、妻の喉から絞り出される音と、胃の裏まで届く悲鳴と、そして股のあたりから立ちのぼるうつろな熱とを、同時に抱え込んでいた。彼女の口腔をふさがれ、前からも横からも貫かれて、指先が床を引っ掻く。私はもう、夫としての痛みと劣情とを分ける境界がぼやけていくのを止められなかった。目の奥が灼熱していた。心臓が破裂しそうなほど打っている。なのに、まだ目を閉じない。

閉じてはいけない、とさえ思ってしまった。もし目を閉じてしまえば、耳と鼻が、さらに貪欲に妻の痴態を拾い上げてしまうから。肉のぶつかる音、骨張った息、粘膜のぬぐつく音、汗と精液が床のマットにこすれる臭い。どれもが腹の奥の疼きを太らせ、怒りを欲望のすぐ隣まで引きずり下ろす。助けるという言葉は、もう胸の奥で風化しかかっていた。それでも消えない。消えてくれないから、この熱はいっそう罪深い。悔しさなのか、興奮なのか、判別のつかない声にならない唸りが、鼻の奥で微かに震えた。

工藤が妻のスカートの裾を握りしめ、横、いや、彼は手を下へやって、布の繊維に沿って一気に引き裂いた。慣れた手つきではなく、ただ力任せに、欲望のままに。紫色の縫い目が弾ける音がして、紺色のフレアスカートが妻の腰から滑り落ちる。汗ばんだ太腿と腹、白い下生えが、すべて少年たちの前に晒された。スカートの布は残骸のように床へ落ち、青い体育マットの上に汚れた花みたいに広がっている。私はその様子に、喉の奥で短く息を飲んだ。直後、自分の反応に寒けすら覚える。夫として、怒りより先に、剥き出しの肌を目で旬摘みしている。なんと下劣な目だろう。分かっているのに、眼窩の裏側で眼球が疼くようだった。

「いい脚。こすったら火傷しそうなくらい熱い」

少年の一人が、脚を押さえ、太腿の内側へ鼻先を寄せて匂いをかいだ。

「マンコ、汁と混ざってくせぇなあ。でもこれが女って感じ」

少年が笑う。私は奥歯を食いしばりすぎて、口の中に血の味が滲むのを感じた。腕の縛めを抜こうともがくたび、体操着の繊維が肌に食い込み、手首の皮を削った。助ける方法はない、と分かっていた。分かっているのに、私はまだ夫の顔をして、彼らを殺してやりたかった。この熱と怒りと、腹の下で脈打つ歪なものが、同時に私を苦しめる。手のひらを爪で割いても、この熱は少しも冷めなかった。むしろ、自分の血の匂いまでが、倉庫に沈む淫らな空気に混ざって、股間を重くした。

心臓がいっそう速く、胸骨を破る勢いで跳ねた。汗が腋の下を伝い、太腿のつけ根まで嫌な感触で流れ落ちていく。怒っている。たしかに怒っている。彼らを殺したいと思う気持ちは、嘘でも誇張でもない。なのに私は、少年の指が妻の太腿をなぞり、鼻先が股間に近づくのを、食い入るように見つめている。視線が離せない。呼吸すら惜しむように、浅く、熱い息を吐く。そして、奪われるたびに、私の中の雄がひそかに喉を鳴らす。助けたい。見たい。この矛盾が、心臓の拍動とともに全身を内側から焼いていく。お前は夫ではなく、薄暗がりから女を盗み見るだけのけだものだ、と自分を罵れば罵るほど、けだものの心臓は歓喜に打ち震えた。

姿勢が変わった。妻はうつ伏せにひっくり返され、別の少年がその白い背中に覆いかぶさって、後ろから割れ目を開かせた。すでに二人分の精液が溢れ、入り口はぐしょぐしょに濡れて、赤い肉が熟れた唇のように腫れている。少年は迷わず突き入れた。彩夏の爪が床を引っ掻き、喉の奥から絞り出すような低い悲鳴が漏れる。腰がのけぞり、汗で光る背骨の線が薄暗い中に浮き出た。私の下腹が、呼応するように硬直した。股間が熱を持ち、先走りのような湿りがズボンの布へ滲む感触があった。今の一突きに、私の身体が反応している。蔑むべきことだ。それでも、腹の芯にびりびりと快感が走って、背筋が無意識に反るのを抑えられなかった。

「見ろよおっさん。この体、もう俺らのものだぜ、おれのちんぽに腰ふってんの」

工藤が私の髪を掴んで顔を上げさせた。視界いっぱいに、妻が後背位で無数の少年の影に揺さぶられる姿が広がる。白い臀部は少年の骨盤に下から突き上げられるたびに大きな波を打ち、肉の重い響きがパン、パンと腹の底まで届く。妻の横顔は涙と汗にまみれ、唇の端に唾液が泡立っていた。これ以上は見てはならない。そう直感しながらも、私の両目はぎらついて、その光景に縛りつけられている。自分が情けない。あまりに情けない。なのに、ズボンの前ははち切れんばかりに張りつめていた。

「……やめ、ろ」

声は布に食われて、誰にも届かない。私のまぶたは落ちかけた。いや、落ちたのではなかった。工藤が私の後頭部を蹴った。爪先ではなく、踵の硬い部分が、私のうなじの下をまっすぐ打った。頭蓋の中で火花が散る。舌の奥に錆びた鉄の味が広がり、視界が黒ずんでいく。倒れる間際、私は妻の白い臀部が少年の腰に貫かれ、ぱんぱんと肉を弾ませる最後の光景を、すり切れた記憶のように、まぶたの裏へ強く映した。その映像ごと、股間の痛いほどの熱も、手の震えも、自分の浅ましさへの嫌悪も、まとめて暗い穴の底へ落ちていくようだった。

遠くで女子生徒の黄色い歓声が聞こえた。陽の差す運動場の匂いが、一瞬だけ倉庫の腐った空気を撫でる。そのあとは、もう何も分からなかった。

それでも、最後まで私の心臓は早く打っていた。股間の熱は消えないままだった。意識が沈む直前、私の身体は、怒りと憎悪にまみれながらも、あの肉の音と、妻の濡れた匂いと、少年たちの荒い息を、指先の先まで染みつかせるように受け止めていた。そして、暗転する意識の片隅で、自分を許せないまま、それでも途方もなく熱い何かを握りしめていた。

第5章 目が覚めた夫の前で白い臀部に肉茎を捻じ込む少年、泣きじゃくる妻と消えない記憶

第5章のシーン

第5章: 目が覚めた夫の前で白い臀部に肉茎を捻じ込む少年、泣きじゃくる妻と消えない記憶

後頭部の奥で、鈍い痛みが心臓の拍動に合わせて波打っていた。私は薄く開いたまぶたの向こうに、滲んだ灰色の天井を見た。埃っぽい空気が肺へ流れ込み、口の中に乾いた繊維の味が蘇る。体操着だ。まだ私の舌は、汗の染み込んだ布に押さえつけられている。息を吸うたび、鼻の奥に生温かい匂いがこびりついた。汗と精液と、若い皮膚から立ちのぼる獣じみた臭い。それが倉庫の空気と混ざり、壁一面に染み渡っているようだった。

私は首を少し傾けた。全身の関節が硬直して悲鳴を上げる。手首は背中側で、足首は膝の後ろで、それぞれ乱暴に束ねられていた。床の冷えた埃が頬に張りつき、目の下で乾いた擦過傷がひりつく。どれほど時間が経ったのだろう。扉の隙間から入る光が、朝の白い陽射しから夕方前の橙を含んだものへ変わっていた。遠い運動場から、閉会式の音楽が薄く流れ込んでくる。管楽器の、間延びした音が壁を這っては消えた。

視線を前方へ向けた私は、喉から空気が抜けるような、奇妙な音を漏らした。妻がいた。木村彩夏が、仰向けに転がった少年の上へ跨っている。あの白いカットソーは胸の下までめくれ上がり、片方の肩からずり落ちて、汗で光る乳房がむき出しになっていた。彼女の背骨は弓なりに反り、高い位置で結った黒髪はもうほどけて背中に乱れている。豊かな腰は、下の少年の骨盤に合わせて前後に動いていた。白い臀部が上下するたび、肉と肉の間に溜まった液が、ちゅく、ちゅく、と粘ついた音を立てた。

「……あ、あ」

私の喉が、言葉にならない声をこぼした。目の前の光景が、まだ夢の続きに見えてしまう。妻は私に背を向けている。その白い尻たぶが、少年の小さな両手で鷲掴みにされ、指が柔らかい肉へ沈み込んでいた。少年が突き上げるたび、彩夏の腰が大きく波打ち、汗ばんだ背中が蛍光灯の明滅を弾く。彼女の両脚は少年の骨盤を挟み込み、内ももは白い泡の混じった液で濡れそぼっていた。

私は工藤蓮の姿を探した。彼は彩夏の背後、赤いランニングシャツを脱ぎ捨てた裸の肩にひたい汗を光らせて立っている。右手で自分の肉棒を支え、手首の返しだけで先端を蜜で濡らすと、白い臀部を両手で割り開いた。肛門があらわになる。妻の窄まりは、すでに何度かの挿入で薄紅く腫れ、周囲の襞が唾液と精液とを混ぜた液でてらてらと照っていた。工藤がその中心へ肉茎の先端を突き入れると、妻の首がぐん、とのけぞった。

「ひゅ……っ、ぅ……!」

妻の喉から、細い悲鳴が迸る。私は唇の布を噛みしめ、涙の玉が両目から滑り落ちるのを感じた。妻の肛門へ、少年の肉茎がずぶ、ずぶ、と沈んでいく。狭い穴が肉を呑み込むたび、白い臀部が小刻みに震え、腰の肉が波打った。工藤は腰を密着させると、一度深く捻じ込んでから、ゆっくりと送り込み始めた。ぬぷ、ぬぷ、ぐちゅ、と、粘度の高い音が耳へ届く。もう一人の少年が妻の顔の前に立ち、黒髪をポニーテールの根元ごと掴んで、自分の股間へ押しつけていた。妻の口が大きく開かれ、薄桃色の舌が肉茎を迎え入れる。彼女の琥珀色の瞳から、生温い涙が頬を伝い、少年の青白い腹へ滴った。

私は口の体操着を噛み締めたまま、全身を焼くような震えに貫かれていた。腹の底が、怒りとも、悲しみとも、劣情ともつかない塊で満たされ、心臓が耳の内側を割るように打つ。目の前で妻が貫かれている。しかも、二つの穴から同時に、その上、口まで犯されている。もう助けようがないほど深く、少年たちの手垢にまみれて揺れている。なのに、ちがう。私のズボンの前は、あのときと同じように布を突き上げ、濡れた熱を滲ませていた。それが何よりも苦しかった。私は自分の身体が、目を背けたがる自分を裏切る様を、ただ床の上で晒しているしかなかった。

「おい、このままだと終わんねぇな。てか、もっかい出せんの?」

彩夏の下にいる少年が、荒い息の合間に言った。声が若い。喉ができあがっていない、中学生のものだ。

「三回目でもいけるだろ。おまえ今日、何もしてねぇじゃん」

工藤が腰を打ちつけながら笑った。下の少年は、彩夏の胸を両手で乱暴に揉みしだき、中指と人差し指で充血した乳首を挟んで引っ張った。妻の背中がびくりと跳ね、彼女の口に含んだ肉茎が一瞬、奥まで入り込む。

「んっ……んぐ、ぅ……」

妻の喉が、苦しげに鳴った。目尻から涙が流れ、汗ばんだ頬に筋を作る。唇の端からは唾液が泡立って垂れ、肉茎の根元まで濡らしていた。髪を掴んだ少年が、腰を前後させ、妻の頭を無遠慮に揺さぶる。白い喉が異様に膨らむ。それでもなお、私の目は、妻の淫靡に腫れ上がった接合部へ何度も吸い寄せられた。

「お姉さん、こっちの穴もいい具合に締まってきたな。そろそろ出すわ」

工藤が言うと、彼は妻の腰骨を手のひらで押さえ、さらに深く押し込んだ。肛門にめり込む肉の形が、白い尻の内側からわずかに浮き上がるのが見える。ずぶ、ずぶぶ、と湿った音が早くなり、彼の腰が前後に凝縮される。

「んっ……、あ、ん、んぬぅ……っ」

妻のくぐもった声が、たどたどしく洩れる。私はまぶたを閉じたくて、閉じられないまま床に爪を立てた。いや、実際には指先も縛られたままで、冷たいコンクリートを引っ掻く真似しかできなかった。工藤が二度、三度と深く衝き、十代とは思えないほど厚みのある腰を妻の屁肉へぶつけた。ぱん、ぱん、という肉音が、薄暗い倉庫の壁を跳ねる。膝の力が抜けた彩夏が、下の少年の胸へ崩れ落ちる。その瞬間、彼らの繋がりが一瞬だけ浮き上がり、赤く熟れ開いた妻の花が、私の目に焼きついた。

「大丈夫だって。まだほら、吸い付いてくる」

下の少年が妻を支え、自分の上に抱き寄せる。妻の額が少年の肩に触れ、彼女の背中がもつれた髪の下で細かく戦慄いた。後ろから中身を絞り出された肛門は、大きな肉茎の輪郭を失って、息をするように窄まっては開いていた。薄い精液が泡立ち、股のあいだを白く汚してぬらぬら光っている。

「ほんとだ。お姉さん、体の中ぜんぶ、あったけぇままだよな」

下の少年が嬉しそうに言い、妻の腰を掴んで揺すった。彼の若い肉茎はまだ膣の奥に埋まったままで、腰を浮かすと、繋がりの底から粘着質な音が這い出してくる。

私は目の前の光景を、いま自分がたしかに見ているのだと理解していた。午後一時すぎ、私はここへ引きずり込まれ、足蹴にされ、暗闇に沈んだ。それからおそらく二時間近くが経っている。あの閉会式の音楽が聞こえるのだから、体育祭は終わろうとしている。こんな場所で、妻だけが、まだ彼らの祭りの残骸として扱われていた。

「あと一発、てか二発いけるんじゃない。お姉さんの口も、この奥、気持ちいいし」

髪を掴んでいた少年が、彩夏の顔を自分の腹から剥がし、濡れて光る自分のものを何度か握った。彩夏は喘ぐように口を開けたまま、目を閉じている。その表情に、もう逃れようとする力は残っていなかった。ただ、わずかに眉が歪み、唇が震えている。苛まれているというより、何かへ沈んでいく途中の顔だった。

私は何かを言いたかった。やめろ。もうゆるしてくれ。彼女を返してくれ。言葉は口の体操着に食われ、喉の肉をただ熱く掠めた。少年たちは私の存在など、もう視界の隅にも入れていない。ときおり、誰かの足音が近づいて、倒れたカラーコーンの支柱に当たる音がするくらいだった。倉庫の扉の隙間から、かすかにタバコの紫煙が流れ込み、西日を浴びて青く、いや、夕方前の黄土色に濁って見えた。黄色いバケツが、外の舗装を引っかくような金属音を立てる。蹴倒したのは誰だろう。少年たちの仲間かもしれない。それとも、あの喫煙所にいた別の誰かか。灰色の壁際に点々と続く吸い殻の染みを思い出した。あそこは、この不逞な祝祭の始まりだった。

やがて、下の少年がこらえきれずに妻の腰を抱き寄せ、奥へ突き入れたまま細かく震えた。腰を押しつけ、精を放っている。妻の背中がわなわなと震え、唇から抜け落ちた悲鳴が、むき出しの空気の中で「ひぁ、っ」と短く弾けた。口を塞ぐものもなく、その声は私の胸を浅く切った。

「は……、マジで尻、とろとろになってた」

工藤が術中のような、少し掠れた声で言った。

「うん。中、ぽかぽかして、締まった。な、お姉さん」

下の少年が数回、ゆっくり腰を動かしてから、ようやく抜いた。妻の中から、どろりとした白濁が溢れ、少年の萎えかけた陰茎と妻の太腿を伝ってマットに落ちた。彩夏はその場に横向きへ倒れ、胎児みたいに膝を折る。太腿のあいだからは、混ざり合った液が糸を引き、尾骶骨のあたりまで湿った道を作っていた。汗と精液の匂いが、むっとするほど濃さを増す。

少年たちは互いに笑い合い、倒れていた体育着を拾い、埃を払って穿いた。工藤が私のほうを一瞥した。彼の黒い瞳が、わずかに私の股間へ落ちる。唇の端が、にい、と吊り上がったのが分かった。

「この人、泣いてんの。それとも、別のとこで泣いてんのかな。男って、ほんと分けわかんないよな」

藤堂の声が背後で聞こえた。私は顔を伏せた。頬に張りつく髪の先が、冷たい汗を帯びている。顔を伏せて、自分の股間の膨らみを少年たちの目から隠そうとした。恥ずかしかった。妻が犯され尽くすのを見て、勃起している自分が、何より恥ずかしかった。

「っ、ふ……」

妻の啜り泣きが、ようやく聞こえた。誰かが扉を開けると、遠くのブラスバンドの曲が室内へ流れ込み、汗と精液の幕を震わせた。足音が去っていく。あるいは、校門へ向かって駆けていく音。笑い声がひとしきり弾けて、それから、静かになった。

閉会式の音楽も、いつの間にか途切れていた。

倉庫には、私の呼吸と、妻の泣き声だけが残った。外では、時折、保護者らしき大人たちの話し声が通り過ぎ、チャイムが鳴り、風が扉を軽く叩いた。私は、縛られた体をうつ伏せのまま動かそうとした。芋虫のように、両肘で床を這う。ロープの擦れる音が、ぎりり、と耳障りに響く。何度も息が詰まり、口の体操着が唾液でぐしょぐしょに濡れていた。それでも、妻のほうへ近づいた。

彩夏は、私が近づく気配に、肩を縮めた。彼女は裸の両腕を胸元へ押しつけ、膝を抱えたまま、背中を向けて横たわっていた。白いカットソーは裾からはだけ、背中に乾いた汗の塩が浮いている。太腿の裏は、何度も折り曲げられたせいで赤く擦れ、内ももの付け根には血の気が滲んでいた。肛門はまだ閉じ切らず、半開いた穴の縁から、たえず精液が滲み出している。二十代前半に間違われるほど若く艶やかだった妻の肌が、いまは、くすんだ夕暮れの光の中で、ひどく頼りなく見えた。

私は彼女の背中に額を押し当て、縛られた指先を、彼女の手首に巻かれた体操着の束へ必死に押し込んだ。指が動かない。手首が擦れて熱い。何度も息を吐き、細かい動作を繰り返す。にかわ状に固まった唾液と汗が、布を硬くしている。それでも、一本ずつ、結び目が緩んでいった。

「…………」

妻は何も言わなかった。

いや、時々、喉の奥で「ふ、ぅ」という泣き声を漏らしながら、顔だけを背けたまま横たわっていた。

ようやく片方の腕が自由になると、妻は自分の手で顔を覆った。指のあいだから、しゃくり上げるような息が漏れる。私は妻の手首に残った赤い縄のあとを見て、目の奥が焼けた。縄が食い込んだ白い肌に、細かい血点が浮かんでいる。痛々しい。けれど、だからといって、この出来事を消せる言葉は、私のどこにもなかった。

「……私が、」

妻が初めて、かすれた声で言った。

「私が……、翔太の、宝物だったのに」

私は自分自身を奥歯で噛んだ。妻のいまの声には、あの勝気な響きがなかった。体育祭の朝、私に「親が若くて綺麗な方が子供も自慢で嬉しいでしょ」と言い返したときの、あの迷いのない声が遠い。

しばらくして、私のほうも、手首の拘束を音を立てて緩めることができた。自由になった両手で、妻の腕を引き寄せる。彼女の身体はひどく重く、熱かった。汗で肌がしっとりと粘度を帯び、折れそうなくらい細い肩が、私の胸の中で震えていた。私は妻を抱きしめた。抱きしめることしかできなかった。

「寒いか」

声が掠れ、乾いていた。妻は首を振って、しわくちゃになった私のポロシャツへ顔を埋めた。吐息が胸に、熱い。

「……かえり、たい」

しゃくり上げの合間に区切られた声だった。

「ああ。帰ろう」

私がそう言うと、妻は私の背中に手を回した。彼女の指先が、私の背骨を確かめるように、微かに動く。私も妻の髪に埋もれるようにして、目を閉じた。だが、閉じた瞼の裏には、まだあの映像が張りついていた。白い臀部が、少年の腰に打たれて波打っていた。閉じても消えない。むしろ、閉じるたびに、汗と精液の匂いだけが濃く戻ってくる。

私たちは、とにかく互いの体を支え合いながら、倉庫を出た。妻の足元はふらついていた。引き裂かれたスカートの布を握り、胸元を押さえ、裸の膝を時々ぶつけながら歩く。とはいえ、校内は、もう人影がまばらだった。閉会式を終えた保護者たちは帰路につき、生徒たちは校門のあたりで最後の挨拶を交わしている。そのざわめきのひとかけらも、私たちの傷を慰めるものではなかった。

帰り道、妻はしきりにスカートの布を気にした。折れるように前に傾く背中が、私の隣を歩いている。十月の夕陽が、校庭の向こうの建物を橙色にして、私たちの足元に長い影を落とした。妻の肛門から流れた白濁が、今もなお、紺のスカートに染みを作っているのがわかった。乾きかけの布が、動くたびに彼女の太腿の裏を摩る。私は目を離せなかった。その背中から、いつもの弾けるような若さが失われているのではなく、もっと深いものが流れ出したようで、胸がいやに静かに痛んだ。

言葉は、なかった。

私の頭の中には、さっきの妻の声が繰り返されていた。翔太の宝物。あの子は、確かに、まだ物心ついた頃から、自慢の親だと思っていただろう。彩夏もそれを知っていて、だからこそ、若く居続けた。なのに——と私が想像を巡らせると、胃の底が冷えた。

時間が経つほど、私たちの沈黙が濃くなった。夕陽が沈みきって、あたりが薄青い闇に変わる。帰り道の街灯が、ひとつずつ白く点り始めた。あの少年たちの笑い声が、耳の奥に張りついたまま剥がれない。精液の生臭い匂いが、指先に、髪に、鼻の奥にこびりついている。家は目の前なのに、私は、あの日常へ一緒に踏み込んでいいのか、一歩ごとに迷っていた。妻の肩を抱く私の手も、きっとまだ、自分を男として立て直せないでいた。

「……ねえ」

家の前で、妻がはじめて顔を上げた。

「お風呂、先に入っていい?」

小さな声だった。私は「ああ」とも「うん」とも言えず、二度、喉を震わせてから、ようやく何かを飲み込むようにうなずいた。妻はそのまま、門扉を開いた。鍵を回す手が震えている。助けようとして伸ばした私の手のひらは、冷えた空気を掴んで、彼女の細い手首には触れなかった。

日常は、たしかに戻ってくる。

けれど、あの体育倉庫の中で生まれ続けた記憶の熱は、二人の間に消えない澱のように沈んでいた。

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読み終えたあとの余韻に。

OVA 夏妻 #2 を FANZA で見る →
登場人物
  • 木村優弥 きむら ゆうや
    男性 ・ 36

    外見: 短く整えた黒髪、濃い茶色の瞳、やや痩せた中肉中背、身長171センチ。服装: 色褪せた紺のポロシャツにカーキ色のチノパン、スニーカー。会社員らしい平凡さをまとう。自分では若作りを意識しているが、目の下の疲れが年齢を隠せない。

  • 木村彩夏 きむら あやか
    女性 ・ 34

    外見: 腰まで届く艶やかな黒髪を高い位置でひとつに結び、琥珀色の大きな瞳、引き締まった腰回りと豊かな胸、身長158センチ。肌は白く、太腿からふくらはぎへ流れる線が若々しい。服装: 膝上十五センチの紺色のフレアスカートに白いカットソー、薄手のカーディガン。胸元が開きすぎず、それでいて動くたびに鎖骨から谷間の気配が覗く。

  • 木村翔太 きむら しょうた
    男性 ・ 13

    外見: 刈り上げに近い黒髪、黒い瞳、成長途中の細い肩幅と長い脚。体育祭の体操着姿。中学生らしいあどけなさと大人びた反抗心が混ざる。100メートル走に出場予定。

  • 工藤蓮 くどう れん
    男性 ・ 14

    外見: 金色に近い茶髪を短く刈り上げ、切れ長の黒い目、同年代より一回り大きな肩幅と厚い胸板、身長172センチ。体育着の袖を肩まで捲り上げ、白い腕には薄く日焼けの跡。喫煙所にたむろするグループの中心。

  • 藤堂海斗 とうどう かいと
    男性 ・ 14

    外見: 黒髪のマッシュを少し伸ばし、タレ気味の二重瞼、中肉中背。肩は丸く、背丈は165センチほど。口元が常に薄く笑んでいる。見た目はおとなしそうだが、舌足らずな口調で下品なことを平然と口にする。

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